JPH09141197A - 模様化粧金属板の製造方法 - Google Patents

模様化粧金属板の製造方法

Info

Publication number
JPH09141197A
JPH09141197A JP32642295A JP32642295A JPH09141197A JP H09141197 A JPH09141197 A JP H09141197A JP 32642295 A JP32642295 A JP 32642295A JP 32642295 A JP32642295 A JP 32642295A JP H09141197 A JPH09141197 A JP H09141197A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
embossing
roll
metal plate
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32642295A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenzo Maeda
健蔵 前田
Takashi Umehara
隆史 梅原
Minoru Tomohiro
実 友弘
Shigeyoshi Sugiyama
茂好 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IGETA KOBAN KK
IGETA KOUBAN KK
NOF Corp
Original Assignee
IGETA KOBAN KK
IGETA KOUBAN KK
Nippon Oil and Fats Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IGETA KOBAN KK, IGETA KOUBAN KK, Nippon Oil and Fats Co Ltd filed Critical IGETA KOBAN KK
Priority to JP32642295A priority Critical patent/JPH09141197A/ja
Publication of JPH09141197A publication Critical patent/JPH09141197A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】粉体塗料を金属板上に塗装し、半硬化状態の塗
膜のみにエンボス加工を行うに際して、塗料を半硬化状
態とするための予備加熱温度範囲の幅が広く工程管理が
容易であり、完全硬化後に優れた塗膜性能及びエンボス
外観を有する模様化粧金属板の製造方法を提供する。 【解決手段】樹脂成分が、ガラス転移温度35〜100
℃である水酸基含有ポリエステル樹脂とブロックイソシ
アネート化合物とからなり水酸基とイソシアネート基の
モル当量比が0.7〜1.3である熱硬化性樹脂75〜9
5重量%及び軟化点が40〜250℃である熱可塑性樹
脂5〜25重量%からなる粉体塗料を、金属板上に塗装
膜厚が15〜200μmになるように塗装し、加熱溶融
させ、溶融塗膜中のゲル含量が20〜70重量%の状態
で塗膜のみにエンボスロール又は模様付シートを用いて
エンボス加工を行った後、焼付けることを特徴とする模
様化粧金属板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、模様化粧金属板の
製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明
は、粉体塗料を用いて塗装し、耐食性、耐候性、耐湿性
などに優れるとともに、長期間使用しても塗膜のひびわ
れやツヤ引けなどの劣化を生じず、粉体塗膜のみにエン
ボス加工を施した意匠性の高い模様化粧金属板の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の壁材や内装材などの建
材、家電製品のハウジング材、あるいは家具などには、
高級な感じをもたらすために視覚性や感触などに優れた
模様化粧材が広く用いられている。このような模様化粧
材を作成する方法のひとつとして、エンボス加工処理が
知られており、エンボス加工処理を施した模様化粧材と
しては、エンボス鋼板が実用化され、種々の用途に用い
られている。エンボス鋼板は、通常鋼板上に、塩化ビニ
ル樹脂系のプラスチゾル塗料又はオルガノゾル塗料を塗
装し焼き付けて、プラスチゾル塗料の場合には300〜
500μm程度の厚さの塗膜を、オルガノゾル塗膜の場
合には70〜100μm程度の厚さの塗膜を形成させた
後、エンボス加工処理を施すことによって作成されてい
る。しかしながら、このような方法によって作成された
エンボス鋼板においては、使用するプラスチゾル塗料や
オルガノゾル塗料にジオクチルフタレートなどの可塑剤
が多量に含まれているため、その塗膜は、経時により可
塑剤が逐次消失してひび割れやツヤ引けを起こすのを免
れないという欠点がある。また、塗膜と鋼板とを同時に
エンボス加工を施すと鋼板の割れをもたらすため、長期
に用いると割れの部分から亜鉛メッキの白サビや鉄板の
赤サビが発生し、著しく意匠性をそこなうだけでなく塗
膜の付着力の低下から一部塗膜のハガレを生じる。液状
塗料を用いて半ゲル化状態で塗膜に凹凸をつけた後完全
硬化させる方法として、印刷模様に同調した凹凸を押印
する化粧合板の製造方法(特開昭50−34082号公
報)、紫外線硬化性塗料に半硬化状態でエンボス処理を
行う化粧板の製造法(特開昭50−157434号公
報)、通気性の細孔を有する型押し用具を押し当てる凹
凸模様形成方法(特開昭51−52441号公報)、金
属板上に塗布した熱硬化性樹脂に半硬化状態でインキに
より絵付を施し、金属板を成型した後完全硬化する方法
(特開昭56−84668号公報)などが提案されてい
る。粉体塗料は加工性に優れ、塗膜の耐候性や耐摩耗性
などが良好である上に、典型的な省資源、無公害型塗料
であることから、近年注目され、例えば、建築用鉄骨
材、ガードレール、フェンス、街路灯、門扉などの屋外
耐久性構造物や、鋼製家具、電気器具、ホーロー代用塗
装など工業製品の塗装に広く用いられている。液状塗料
を用いて半ゲル化状態または硬化過程中で塗膜に凹凸を
つけた後完全硬化させる方法は、液状塗料のもつチキソ
トロピック性を利用したものである。しかしながら、粉
体塗料を用いて実際にこれらの方法で凹凸模様をつけて
みると半ゲル化状態または硬化過程中では確かに凹凸模
様がつけられるが、さらに焼きつけて完全硬化させると
凹凸の角が丸くなり希望の模様を出すことができない。
粉体塗料の硬化を進ませた段階で凹凸模様を入れると凹
凸模様は残るけれども、塗膜にワレが入り意匠性を損な
うだけでなく長期防食性に欠ける。このため、これら液
状塗料に用いられるエンボス技術では、粉体塗料におい
ては望まれる意匠性は得られず、商業化は不可能であっ
た。特開平2−35969号公報には熱硬化性粉体塗料
を使用し、加熱溶融させた後、粉体塗膜のみに又は原材
板とともにエンボス加工を施した模様化粧材の製造方法
が開示されている。ここに開示されている粉体塗料を用
いて塗膜のみにエンボスを与える方法は、液状塗料と異
なり塗料の持つチキソトロピー性を利用しているのでは
なく、未硬化の最も粘度の下がった状態からゲル化する
硬化過程における塗料の状態変化を利用したものであり
新しい考え方が開示されている。この方法は、熱硬化性
粉体塗料を用いることにより塗料が溶融し、一部硬化反
応(ゲル含量15〜75重量%)を起こした段階で半硬
化塗膜のみにエンボス加工を施し、その後で焼き付けて
硬化塗膜を得るものである。しかしながら、この方法で
は、半硬化状態は当然のことながら焼付温度に依存する
ため極めて小さなテストピースしか製造することができ
なかった。すなわち、テストピースのどの部位も均一な
温度が要求されるため、実際のプレコート製造ラインに
おいては用いる板巾が60〜120cmと広く板の外側と
中央部では温度が異なるため、板の中央部と外側では均
一な凹凸模様を得ることができなかった。この方法によ
り得られる模様化粧材の塗膜は良好な性能を有している
が、この方法は粉体塗料を予備加熱して基材に融着する
ときの許容温度範囲巾が狭く、実際のプレコートライン
で均一なエンボス模様を得ることが容易でないという問
題がある。また、特開平2−35970号公報には熱可
塑性樹脂を主成分とする粉体塗料を使用し加熱溶融させ
た後、粉体塗膜のみに又は原材板とともにエンボス加工
を施した模様化粧材の製造方法が開示されている。熱可
塑性粉体塗料を用いる方法は、塗装作業性は良好である
が、熱可塑性塗料の本質的な問題として、塗膜の硬度が
軟らかく、耐食性と耐湿性に劣るという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粉体塗料を
金属板上に塗装し、半硬化状態の塗膜のみにエンボス加
工を行うに際して、塗料を半硬化状態とするための予備
加熱温度範囲の幅が広く工程管理が容易であり、完全硬
化後に優れた塗膜性能及びエンボス外観を有する模様化
粧金属板の製造方法を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂成分が特定
構造を有する熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の特定割合比
率の配合物からなる粉体塗料が、予備加熱温度範囲の幅
が広く、半硬化状態において特定の条件でエンボス加工
することにより、塗膜性能及びエンボス外観ともに優れ
た模様化粧金属板が得られることを見いだし、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、(1)樹脂成分が、ガラス転移温度35〜100
℃である水酸基含有ポリエステル樹脂とブロックイソシ
アネート化合物とからなり水酸基とイソシアネート基の
モル当量比が0.7〜1.3である熱硬化性樹脂75〜9
5重量%及び軟化点が40〜250℃である熱可塑性樹
脂5〜25重量%からなる粉体塗料を、金属板上に塗装
膜厚が15〜200μmになるように塗装し、加熱溶融
させ、溶融塗膜中のゲル含量が20〜70重量%の状態
で塗膜のみにエンボスロール又は模様付シートを用いて
エンボス加工を行った後、焼付けることを特徴とする模
様化粧金属板の製造方法、(2)エンボス加工を行う際
に、エンボスロール又は模様付シートによる塗膜の線圧
が10〜150kg/cmであり、金属板を支える受けロー
ルに金属ロールを用い、エンボスロール又は模様付きシ
ートと受けロールの間隔が金属板の厚みに対して、0〜
+0.15mmである第(1)項記載の模様化粧金属板の製
造方法、及び、(3)エンボス加工を行う際に、エンボ
スロール又は模様付シートによる塗膜の線圧が10〜1
50kg/cmであり、金属板を支える受けロールに耐熱ゴ
ムロールを用い、エンボスロール又は模様付きシートと
受けロールの間隔が金属板の厚みに対して、−0.5〜
0mmである第(1)項記載の模様化粧金属板の製造方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明方法においては、粉体塗料
の樹脂成分として、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を使
用する。熱硬化性樹脂は、水酸基含有ポリエステル樹脂
とブロックイソシアネート化合物とからなるものであ
る。水酸基含有ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、
35〜100℃であり、より好ましくは45〜80℃で
あり、さらに好ましくは50〜65℃である。水酸基含
有ポリエステル樹脂のガラス転移温度が35℃未満であ
ると、製造した粉体塗料がブロッキングしやすくなるお
それがある。水酸基含有ポリエステル樹脂のガラス転移
温度が100℃を超えると、粉体塗料製造時の溶融混練
が十分に行われず、このために塗膜物性が低下するおそ
れがある。本発明方法においては、水酸基含有ポリエス
テル樹脂は市販品より適宜選択して使用することがで
き、このような市販の水酸基含有ポリエステル樹脂とし
ては、例えば、エステルレジンER−6610、ER−
6640、ER−6650、ER−6820、ER−6
700、ER−6570[日本エステル(株)製、商品
名]、ファインディックM−8010、M−8020、
M−8075、M−8076[大日本インキ化学工業
(株)製、商品名]、ユピカコートGV−100、GV−
150、GV−160、GV−710、GV−701、
GV−740、GV−741[日本ユピカ(株)製、商品
名]などを挙げることができる。これらの水酸基含有ポ
リエステル樹脂は、1種を単独で使用することができ、
2種以上を混合して使用することができる。又、熱硬化
性樹脂として、水酸基含有ポリエステル樹脂以外の水酸
基を含有する熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂系、
アクリル樹脂/ポリエステル樹脂系、フッ素樹脂系等を
使用することができる。
【0006】本発明方法においては、水酸基含有ポリエ
ステル樹脂にブロックイソシアネート化合物を配合した
熱硬化性樹脂を用いる。使用するブロックイソシアネー
ト化合物は、加熱によりブロック化剤が外れて、イソシ
アネート基がポリエステル樹脂の水酸基と反応するもの
であれば特に制限なく使用することができる。このよう
なブロックイソシアネート化合物としては、例えば、イ
ソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートなどのポリイソシアネート化合物や、これらの二量
体、三量体や、トリメチロールプロパンなどの多価アル
コールで変性したポリイソシアネート化合物などのイソ
シアネート化合物のイソシアネート基を、ε−カプロラ
クタム、フェノール、ベンジルアルコール、メチルエチ
ルケトキシムなどのブロック化剤でブロックした化合物
などを挙げることができる。本発明方法においては、室
温で固体であるブロックイソシアネート化合物を好適に
使用することができる。このようなブロックイソシアネ
ート化合物の市販品としては、例えば、ベスタゴンB−
1065、B−1530、BF−1540[ヒュルス社
製、商品名]、クレランU−I[Bayer社製、商品
名]、24−2400、24−2430[Cargil
l社製、商品名]などを挙げることができる。これらの
ブロックイソシアネート化合物は、1種を単独で使用す
ることができ、2種以上を混合して使用することができ
る。本発明方法において、水酸基含有ポリエステル樹脂
の水酸基とブロックイソシアネート化合物のイソシアネ
ート基のモル当量比は0.7〜1.3であり、より好まし
くは0.75〜1.25である。水酸基とイソシアネート
基のモル当量比が0.7未満であると、硬化した塗膜に
おいて架橋密度が十分でなく、良好な塗膜性能が得られ
ないおそれがある。水酸基とイソシアネート基の当量比
が1.3を超えると、硬化した塗膜において架橋密度が
高すぎるため塗膜物性が低下するおそれがある。
【0007】本発明方法に使用する熱可塑性樹脂の軟化
点は、40〜250℃であり、より好ましくは50〜2
10℃であり、さらに好ましくは70〜155℃であ
る。熱可塑性樹脂の軟化点が40℃未満であると、粉体
塗料の貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。熱可塑性樹
脂の軟化点が250℃を超えると、粉体塗料の加熱溶融
時に熱可塑性樹脂が溶融せず緩衝剤として作用しないお
それがある。本発明方法において、熱可塑性樹脂として
は、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹
脂、熱可塑性フッ素樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂など
を使用することができる。このような熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、ダイヤナールBR−50、BR−60、
BR−79、BR−90[三菱レイヨン(株)製、商品
名]などの熱可塑性アクリル樹脂、エリテールUE−3
200、UE−3300、UE−3400[ユニチカ
(株)製、商品名]、ポリエスターTP−220、TP−
249、SP−154、SP−165、SP−170、
KF−710、MOP−810[日本合成化学工業(株)
製、商品名]、バイロン200、300、RV−59
0、RV−630[東洋紡績(株)製、商品名]などの熱
可塑性ポリエステル樹脂、カイナーADS、カイナー5
00[アトケム社製、商品名]などの熱可塑性フッ素樹
脂、アミランCM1001P、CM3101P、842
P80、843P80[東レ(株)製、商品名]などの熱
可塑性ポリアミド樹脂などを挙げることができる。本発
明方法において使用する粉体塗料の樹脂成分は、熱硬化
性樹脂75〜95重量%及び熱可塑性樹脂5〜25重量
%からなり、より好ましくは熱硬化性樹脂80〜94重
量%及び熱可塑性樹脂6〜20重量%からなり、さらに
好ましくは熱硬化性樹脂82〜93重量%及び熱可塑性
樹脂7〜18重量%からなる。樹脂成分中の熱硬化性樹
脂が95重量%を超え、熱可塑性樹脂が5重量%未満で
あると、熱可塑性樹脂が緩衝剤としての作用を十分に発
揮しないおそれがある。樹脂成分中の熱硬化性樹脂が7
5重量%未満であり、熱可塑性樹脂が25重量%を超え
ると、熱可塑性樹脂が硬化反応を疎外し焼付け後の塗膜
物性が低下するおそれがある。
【0008】本発明方法において使用する粉体塗料は、
樹脂成分である熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂に必要な
塗料成分を配合し、粉砕することにより調製することが
できる。必要に応じて樹脂成分に配合する成分として
は、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化
鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、
マイカなどの無機顔料、シアニングリーン、シアニンブ
ルー、キナクリドンレッドなどの有機顔料、アルミニウ
ム粉、銅粉、ニッケル粉などの金属粉、あるいは顔料分
散剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電調
整剤、発泡防止剤、触媒などの公知の塗料添加剤を挙げ
ることができる。これらの成分を混練により均一に配合
した後、粉砕し、ふるい分けによって粉体塗料を得るこ
とができる。粉体塗料の粒子径は、100μm以下であ
ることが好ましく、80μm以下であることがより好ま
しい。本発明方法においては、被塗装物として、厚中
板、薄板、亜鉛メッキ板、ステンレス板、アルミニウム
板などの金属板を使用することができる。被塗装物の表
面に粉体塗料を塗装する前に、被塗装物の素地調整を行
うことが好ましい。素地調整によって、被塗装物の表面
に塗膜が完全に密着し、長期の耐久性が保持できるよう
な表面状態がつくり出される。素地調整の方法には特に
制限はなく、被塗装物の材質に応じて従来使用されてい
る公知の方法を使用することができ、例えば、脱脂処
理、サビ落とし処理、化成被膜処理などの処理を施すこ
とができる。このような表面処理を施した被塗装物の表
面に、さらに塗膜の付着性を向上するために、必要に応
じてプライマー塗装を施すことができる。プライマー塗
装は、素地と粉体塗料の両者に親和性のあるものが適し
ており、粉体塗料の素地への接着ガイドの役割を果た
す。プライマー塗装の塗膜の厚さは、一般に5〜10μ
m程度でよく、通常プライマーを塗装後、焼き付け乾燥
処理を行う。
【0009】本発明方法において、粉体塗料の塗装方法
については特に制限はなく、従来粉体塗装に慣用されて
いる方法、例えば、溶射法、吹き付け法、流動浸漬法、
静電吹き付け法、静電流動浸漬法などを用いることがで
きるが、これらの中で静電吹き付け法を好適に使用する
ことができる。静電吹き付け法は、通常−7万V以上の
高電圧が印加されたスプレーガンのノズルを通じて、負
に帯電した粉体塗料を接地した被塗装物に吹き付け、静
電気的に吸引付着させる方法である。本発明方法におい
て、塗装膜厚は15〜200μmであり、より好ましく
は25〜150μmであり、さらに好ましくは30〜1
20μmである。塗装膜厚が15μm未満であると、塗
膜が薄すぎて明瞭なエンボス模様が得られないおそれが
ある。塗装膜厚が200μmを超えると、塗膜に発泡な
どの欠陥が発生しやすくなるおそれがある。本発明方法
においては、金属板上に塗装した粉体塗料を加熱溶融
し、溶融塗膜中にゲルを含有する状態で塗膜のみにエン
ボスロール又は模様付シートを用いてエンボス加工を行
った後、焼付けることにより本発明の模様化粧金属板を
完成する。エンボス加工は、溶融塗膜中のゲル含量が2
0〜70重量%の状態で、より好ましくは26〜59重
量%の状態で行う。エンボス加工を行うときの溶融塗膜
中のゲル含量が20重量%未満であると、焼き付け時に
塗膜が溶融しエンボス模様がくずれるおそれがある。エ
ンボス加工を行うときの溶融塗膜中のゲル含量が70重
量%を超えると、塗膜にゴム弾性が生じるため凹凸模様
が形成されにくくなるおそれがある。本発明方法におい
て、ゲル含量は、硬化中の塗膜を採取してテトロハイド
ロフランにより5時間還流抽出した残査を乾燥し、抽出
前の塗膜重量と抽出後の塗膜重量より算出するものであ
る。ゲル含量は、あらかじめ予備実験により製造条件の
加熱パターンに合わせ、加熱温度及び加熱時間と溶融塗
膜中のゲル含量の関係を求めておき、適宜適切なゲル含
量となるよう適当なタイミングでエンボス加工を実施す
る。
【0010】本発明方法においては、塗装した被塗装物
を粉体塗料の溶融温度以上に加熱し、溶融塗膜中のゲル
含量が20〜70重量%の状態でエンボスロール又は模
様付シートによりエンボス加工処理を施す。この際、エ
ンボスロール又は模様付シートによる塗膜の線圧は10
〜150kg/cmであることが好ましく、20〜120kg
/cmであることがより好ましく、30〜80kg/cmであ
ることがさらに好ましい。塗膜の線圧が10kg/cm未満
であると、エンボス加工に必要な十分な圧力が得られず
エンボス模様が十分に発現しないおそれがある。塗膜の
線圧が150kg/cmを超えると、圧力が高すぎて被塗装
物までエンボスが行われ、凹部がスケるという欠点が生
じるおそれがある。本発明方法において使用するエンボ
スロールは、溶融している粉体塗料が付着しないように
水冷するか、あるいはフッ素樹脂で表面加工したものを
用いることが好ましい。表面加工用のフッ素樹脂として
は、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化エチレン
樹脂など極めて非粘着性の高いものが好ましい。本発明
方法において使用する模様付シートは、模様付のフッ素
樹脂フィルムが非粘着性が極めて高いので好ましい。模
様付シートに用いるフッ素樹脂としては、例えば、四フ
ッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FE
P)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、三フッ化エ
チレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹
脂、四フッ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエー
テル共重合樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−エチレ
ン共重合樹脂(ETFE)などを挙げることができる。
模様付シートのフィルムの厚さは、0.1〜3mm程度と
することが好ましい。本発明方法においては、金属板を
支える受けロールとして金属ロール又は耐熱ゴムロール
を用いることが好ましい。受けロールとして金属ロール
を使用する場合には、エンボスロール又は模様付シート
と受けロールの間隔が、金属板の厚みに対して0〜+
0.15mmであることが好ましい。受けロールとして金
属ロールを使用する場合、エンボスロール又は模様付シ
ートと受けロールの間隔が0mmより狭いと、金属板が変
形するおそれがある。受けロールとして金属ロールを使
用する場合、エンボスロール又は模様付シートと受けロ
ールの間隔が+0.15mmより広いと、エンボスが十分
に行われないおそれがある。本発明方法において、受け
ロールとして耐熱ゴムロールを使用する場合には、エン
ボスロール又は模様付シートと受けロールの間隔が、金
属板の厚みに対して−0.5〜0mmであることが好まし
い。受けロールとして耐熱ゴムロールを使用する場合、
エンボスロール又は模様付シートと受けロールの間隔が
−0.5mmより狭いと、金属板が変形するおそれがあ
る。受けロールとして耐熱ゴムロールを使用する場合、
エンボスロール又は模様付シートと受けロールの間隔が
0mmより広いと、エンボスが十分に行われないおそれが
ある。本発明方法において、溶融塗膜にエンボス加工を
行った後、焼付炉でさらに加熱し硬化反応を完了させ
る。本発明方法においては、連続的にコンベア上で材料
を移送しながら、すべての工程を連続的に行うことがで
きる。
【0011】本発明方法においては、樹脂成分が熱硬化
性樹脂75〜95重量%及び熱可塑性樹脂5〜25重量
%からなる粉体塗料を塗装することにより、エンボス加
工が可能である予備加熱条件の管理幅が大幅に広がる。
塗膜のみにエンボス加工を行う場合、塗膜に割れを生じ
てはならず、またエンボス加工後にさらに焼付けるた
め、焼付けの熱によってエンボス模様がくずれてはなら
ない。このようなエンボス加工を行う場合、塗膜管理と
して、反応率や塗膜粘度で表すこともできるが、実用的
にはゲル含量で表すことができる。図1は、温度一定に
した場合の熱硬化性粉体塗料の粘度と時間との関係を表
すグラフである。従来の熱硬化性粉体塗料は、温度を2
00℃にした場合図1の(a)に示されるように、加熱
開始14分後に粘度が最も下がり、14分から20分後
までの間に粘度上昇つまり反応を起こしている。ゲル含
量が20重量%から70重量%に達するのは、16.5
分後から18.5分後までの間なので、塗膜にエンボス
加工することが可能な時間は2分間である。これに対し
て、本発明方法に使用する樹脂成分の5〜25重量%が
熱可塑性樹脂である粉体塗料は、図1の(b)に示され
るように、加熱開始14分後にゲル含量20重量%に相
当する粘度となり、ゲル含量が70重量%に達するのは
18.5分後であるので、塗膜にエンボス加工すること
が可能な時間は4.5分となり、従来技術の2倍以上に
広がる。実際のプレコートラインでは、板幅サイズによ
り真中と両端とでは昇温スピードが異なるため、板の両
端から真中まで板の位置により温度差による塗料粘度は
異なることになる。このため板の全面において満足でき
る塗膜エンボス加工を行うためには広い管理幅を必要と
し、図1の(a)で示される熱硬化性粉体塗料のみの場
合の管理幅では不充分である。温度を250℃や280
℃のような高い焼付温度に設定した場合には、急激な粘
度上昇が起こるため管理幅は、さらに狭くなる。これに
対して、粉体塗料の樹脂成分に熱可塑性樹脂を加える
と、熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂と硬化剤との反応に対
して緩衝剤の役割を果たし、系全体の反応速度を小さく
して反応の制御を容易にすることができる。さらに、熱
可塑性樹脂の軟化点以上の温度では、樹脂成分の5〜2
5重量%を占める熱可塑性樹脂はゲル含量に寄与しない
ので、ゲル含量が20〜70重量%に相当する粘度範囲
にあるときの温度及び時間を大きく広げることができ
る。
【0012】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例及び比較例におい
て、評価は下記の方法により行った。 (1)エンボス外観良好の予備加熱温度範囲 粉体塗料を静電塗装した金属板を、5℃きざみで温度を
変えて1分間予備加熱し、エンボス加工を行った後25
0℃で3分間焼付けを行い、エンボスのくずれを目視に
より判定して、くずれが認められない予備加熱温度範囲
を求めた。 (2)鉛筆硬度 JIS K 5400(1990)8.4.2手かき法にし
たがって測定した。 (3)耐衝撃性 JIS K 5400(1990)8.3.2デュポン式に
準じて測定した。おもりの高さは50cmとし、試験片の
塗面を上向きにした表打ちと、試験片の塗面を下向きに
した裏打ちを行った。ワレ、ハガレがないものを合格、
ワレ、ハガレが発生したものを不合格とした。 (4)可撓性 塗膜にワレ、亀裂を生じない屈曲条件を求めた。ただ
し、2Tで塗膜にワレ、亀裂が生じる場合は「×」と表
示した。 (5)耐食性 JIS K 5400(1990)9.1耐塩水噴霧性に
したがって300時間の試験を行い、塗膜のフクレ、ハ
ガレが1mm以下のものを良好、塗膜のフクレ、ハガレが
1mmを超えるものを不良とした。 (6)耐候性 JIS K 5400(1990)9.8.2キセノンアー
ク灯式にしたがって500時間の試験を行い、塗膜の変
化がほとんどないものを良好、塗膜の変化があるものを
不良とした。 (7)耐湿性 JIS K 5400(1990)9.2.2回転式に準じ
て300時間の試験を行い、塗膜のフクレ、ハガレが1
mm以下のものを良好、塗膜のフクレ、ハガレが1mmを超
えるもの又は塗膜のツヤがなくなるものを不良とした。 (8)ゲル含量 エンボス外観良好の最低予備加熱温度で1分間予備加熱
した塗膜について還流テトラヒドロフランで5時間抽出
した後、50℃で5時間真空乾燥し、抽出前後の塗膜の
重量から、テトラヒドロフランによって抽出されない塗
膜中のゲル含量(L)を算出した。エンボス外観良好の最
高予備加熱温度で1分間予備加熱した塗膜について同様
にテトラヒドロフランによる抽出試験を行い、ゲル含量
(H)を算出した。 (9)塗装膜厚 得られた試験片を10cm×10cmに切断し、その重量を
測定した後、リムーバーを用いて塗膜を除去し、残った
金属板の重量を測定した。塗膜除去前後の重量差を塗膜
の密度及び試験片の面積で除して、塗装膜厚を算出し
た。 実施例1 水酸基含有ポリエステル樹脂として「ユピカコートGV
−741」[日本ユピカ(株)製、数平均分子量3,70
0、水酸基価40mgKOH/g、ガラス転移温度60℃]
49.1重量部、ブロックイソシアネート化合物として
ε−カプロラクタムブロックイソホロンジイソシアネー
トである「ベスタゴンB−1530」[ヒュルス社製]
9.7重量部、熱可塑性ポリエステル樹脂として「ポリ
エスターMOP−810」[日本合成化学工業(株)製、
軟化点117℃]10.0重量部、白色顔料として「タ
イピュアR−960」[デュポン社製、二酸化チタン]
30.0重量部、発泡防止剤としてベンゾイン0.5重量
部、レベリング剤として「モダフロー」[モンサント社
製]0.5重量部、及び触媒として「スタンOM」[三
共有機(株)製、ジ−n−オクチル錫マレエート]0.2
重量部を、ドライブレンダー[商品名「ヘンシェルミキ
サー」、三井化工機(株)製]に入れ、約1分間均一に混
合した後、80〜120℃の温度条件で押出混練機[商
品名「ブスコニーダーPR−46」、Buss社製]を
使用して溶融混練し、冷却後ハンマー式衝撃粉砕機で微
粉砕した。次いで150メッシュの金網を用いてふるい
分け、粉体塗料を得た。得られた粉体塗料を、コロナ帯
電方式の静電塗装機を用いて荷電圧−40〜−100K
Vで0.5mm厚のリン酸亜鉛処理鋼板に静電塗装し、予
備加熱を1分間行って粉体を溶融させた後、その状態で
深さ30μmのエンボスロールを用い、かつ鋼板を支え
る受けロールに金属ロールを使用し、線圧60kg/cm、
間隔0mmでエンボス加工を行った。次に250℃で3分
間焼付を行い、塗装膜厚120μmの模様化粧金属板の
試験片を得た。エンボス外観の判定から、予備加熱温度
範囲は155〜215℃で、予備加熱温度範囲幅は60
℃であった。鉛筆硬度はHであり、耐衝撃性は表打ち、
裏打ちともに合格、可撓性は0Tであった。また、耐食
性、耐候性及び耐湿性はいずれも良好であった。エンボ
ス外観良好の最低予備加熱温度である155℃で1分間
加熱した塗膜中のゲル含量(L)は27重量%であり、エ
ンボス外観良好の最高予備加熱温度である215℃で1
分間加熱した塗膜中のゲル含量(H)は57重量%であっ
た。 実施例2〜10 第1表に示す配合により、実施例1と同様にして、熱硬
化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含有する粉体塗料を調製
し、予備加熱温度範囲、予備加熱温度範囲幅、鉛筆硬
度、耐衝撃性、可撓性、耐食性、耐候性、耐湿性、ゲル
含量(L)及びゲル含量(H)を評価した。結果を第2表に
示す。 比較例1〜5 第1表に示す配合により、実施例1と同様にして粉体塗
料を調製し、予備加熱温度範囲、予備加熱温度範囲幅、
鉛筆硬度、耐衝撃性、可撓性、耐食性、耐候性、耐湿
性、ゲル含量(L)及びゲル含量(H)を評価した。結果を
第2表に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】[注] 1)ユピカコートGV−741:日本ユピカ(株)製、数
平均分子量3,700、水酸基価40mgKOH/g、ガラス
転移温度60℃。 2)エステルレジンER−6650:日本エステル(株)
製、数平均分子量3,700、水酸基価30mgKOH/g、
ガラス転移温度61℃。 3)ファインディックM−8020:大日本インキ化学
工業(株)製、数平均分子量4,000、水酸基価30mgK
OH/g、ガラス転移温度53℃。 4)ベスタゴンB−1530:ヒュルス社製、ε−カプ
ロラクタムブロックイソホロンジイソシアネート、NC
O当量280g/eq。 5)クレランU−I:Bayer社製、ε−カプロラク
タムブロックイソホロンジイソシアネート、NCO当量
400g/eq。 6)ダイヤナールBR−60:三菱レイヨン(株)製、熱
可塑性アクリル樹脂、軟化点152℃。 7)ポリエスターMOP−810:日本合成化学工業
(株)製、熱可塑性ポリエステル樹脂、軟化点117℃。 8)カイナーADS:アトケム社製、熱可塑性フッ素樹
脂、軟化点75℃。 9)アミラン843P80:東レ(株)製、熱可塑性ポリ
アミド樹脂、軟化点115℃。 10)タイピュアR−960:デュポン社製、二酸化チ
タン。 11)ベンゾイン:発泡防止剤。 12)モダフロー:モンサント社製、レベリング剤。 13)スタンOM:三共有機(株)製、ジ−n−オクチル
錫マレエート、触媒。
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】第2表の結果に見られるように、熱硬化性
樹脂中の水酸基とイソシアネート基の当量比が0.7〜
1.3であり、樹脂成分が熱硬化性樹脂75〜95重量
%及び熱可塑性樹脂5〜25重量%からなる本発明の粉
体塗料は、ゲル含量が20〜70重量%の範囲に入る予
備加熱温度範囲幅が55〜70℃と広いので、塗装工程
において予備加熱温度の管理が容易であり、工業的に非
常に有用である。また、得られた塗膜は、鉛筆硬度がH
と硬く、耐衝撃性試験では表打ち、裏打ちとも合格し、
可撓性試験の結果はすべて0Tで優れた可撓性を示し、
耐食性、耐候性及び耐湿性も良好である。これに対し
て、樹脂成分が熱硬化性樹脂のみからなり熱可塑性樹脂
を含有しない比較例1の粉体塗料は、予備加熱温度範囲
幅が10℃と狭く、実際のプレコートラインで均一のエ
ンボス模様が得られない。水酸基とイソシアネート基の
モル当量比が0.6と小さい比較例2の粉体塗料は、反
応速度が速すぎ、さらに架橋しすぎてもろくなる。この
ため予備加熱温度巾が狭く、さらに耐衝撃性、可撓性、
耐食性、耐候性、耐湿性に劣る。水酸基とイソシアネー
ト基のモル当量比が1.4と大きい比較例3の粉体塗料
は、反応速度が遅くなりすぎ、さらに架橋が不十分なた
め、予備加熱温度巾が狭く、耐衝撃性、可撓性、耐食
性、耐候性、耐湿性に劣る。樹脂成分中の熱可塑性樹脂
の含有量が少ない比較例4の粉体塗料は、熱可塑性樹脂
が緩衝剤としての十分な役割を果たさず、予備加熱温度
範囲幅が20℃と狭い。樹脂成分中の熱可塑性樹脂の含
有量が多い比較例5の粉体塗料は、熱可塑性樹脂が熱硬
化性樹脂と硬化剤との反応を妨げすぎて予備加熱温度範
囲幅が10℃と狭い上に、鉛筆硬度がBと軟らかく、塗
膜性能も全般に不良である。熱硬化性樹脂を含有しない
熱可塑性粉体塗料である比較例6の粉体塗料は、鉛筆硬
度が3Bと極端に軟らかく、耐食性と耐湿性が不良であ
る。 実施例11 実施例1で得られた粉体塗料を、コロナ帯電方式の静電
塗装機を用いて荷電圧−40〜−100kVで0.5mm
厚のリン酸亜鉛処理鋼板に塗装膜厚が60μmになるよ
うに静電塗装し、190℃で1分間予備加熱を行い粉体
塗料を溶融させた後、その状態で深さ30μmのエンボ
スロールを用い、かつ受けロールに金属ロールを使用
し、線圧5kg/cm、間隔0mmでエンボス加工を行った。
次いで250℃で3分間焼付けを行い、模様化粧金属板
を得た。エンボス外観には、やや深みが不足していた。 実施例12 実施例11と同様にして、静電塗装、予備加熱を行い、
受けロールに金属ロールを使用して、線圧20kg/cm、
間隔0mmでエンボス加工を行った後、実施例11と同様
にして焼付けを行い、模様化粧金属板を得た。エンボス
外観は、良好であった。 実施例13〜17 実施例11と同様にして、静電塗装、予備加熱を行い、
受けロールに金属ロールを使用して、第3表に示す線圧
及び間隔でエンボス加工を行った後、実施例11と同様
にして焼付けを行い、模様化粧金属板を得た。結果を第
3表に示す。 実施例18 実施例1で得られた粉体塗料を、コロナ帯電方式の静電
塗装機を用いて荷電圧−40〜−100kVで0.5mm
厚のリン酸亜鉛処理金属板に塗装膜厚が60μmになる
ように静電塗装し、190℃で1分間予備加熱を行い粉
体塗料を溶融させた後、その状態で深さ30μmのエン
ボスロールを用い、かつ受けロールに耐熱ゴムロールを
使用し、線圧60kg/cm、間隔−0.8mmでエンボス加
工を行った。次いで250℃で3分間焼付けを行い、模
様化粧金属板を得た。エンボス外観には、ややくずれが
認められた。 実施例19 実施例18と同様にして、静電塗装、予備加熱を行い、
受けロールに耐熱ゴムロールを使用して、線圧60kg/
cm、間隔−0.5mmでエンボス加工を行った後、実施例
11と同様にして焼付けを行い、模様化粧金属板を得
た。エンボス外観は、良好であった。 実施例20〜21 実施例18と同様にして、静電塗装、予備加熱を行い、
受けロールに耐熱ゴムロールを使用して第3表に示す線
圧及び間隔でエンボス加工を行った後、実施例18と同
様にして焼付けを行い、模様化粧金属板を得た。結果を
第3表に示す。
【0019】
【表5】
【0020】第3表の結果に見られるように、受けロー
ルに金属ロールを用いると、線圧が10〜150kg/cm
であり、エンボスロールと受けロールの間隔が0〜+
0.15mmである場合に特に良好なエンボス外観が得ら
れ、受けロールに耐熱ゴムロールを用いると、線圧が1
0〜150kg/cmであり、エンボスロールと受けロール
の間隔が−0.5〜0mmである場合に特に良好なエンボ
ス外観が得られることが分かる。
【0021】
【発明の効果】本発明方法によれば、粉体塗料を金属板
上に塗装し、半硬化状態の塗膜のみにエンボス加工を行
うに際して、塗料を半硬化状態とするための予備加熱温
度範囲の幅が広く工程管理が容易であり、完全硬化後に
塗膜性能及びエンボス外観ともに優れた模様化粧金属板
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、温度一定にした場合の熱硬化性粉体塗
料の粘度と時間との関係を表すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 301 B05D 7/24 301R 301S (72)発明者 友弘 実 大阪府堺市出島西町2番地 イゲタ鋼板株 式会社内 (72)発明者 杉山 茂好 大阪府堺市出島西町2番地 イゲタ鋼板株 式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂成分が、ガラス転移温度35〜100
    ℃である水酸基含有ポリエステル樹脂とブロックイソシ
    アネート化合物とからなり水酸基とイソシアネート基の
    モル当量比が0.7〜1.3である熱硬化性樹脂75〜9
    5重量%及び軟化点が40〜250℃である熱可塑性樹
    脂5〜25重量%からなる粉体塗料を、金属板上に塗装
    膜厚が15〜200μmになるように塗装し、加熱溶融
    させ、溶融塗膜中のゲル含量が20〜70重量%の状態
    で塗膜のみにエンボスロール又は模様付シートを用いて
    エンボス加工を行った後、焼付けることを特徴とする模
    様化粧金属板の製造方法。
  2. 【請求項2】エンボス加工を行う際に、エンボスロール
    又は模様付シートによる塗膜の線圧が10〜150kg/
    cmであり、金属板を支える受けロールに金属ロールを用
    い、エンボスロール又は模様付きシートと受けロールの
    間隔が金属板の厚みに対して、0〜+0.15mmである
    請求項1記載の模様化粧金属板の製造方法。
  3. 【請求項3】エンボス加工を行う際に、エンボスロール
    又は模様付シートによる塗膜の線圧が10〜150kg/
    cmであり、金属板を支える受けロールに耐熱ゴムロール
    を用い、エンボスロール又は模様付きシートと受けロー
    ルの間隔が金属板の厚みに対して、−0.5〜0mmであ
    る請求項1記載の模様化粧金属板の製造方法。
JP32642295A 1995-11-21 1995-11-21 模様化粧金属板の製造方法 Pending JPH09141197A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32642295A JPH09141197A (ja) 1995-11-21 1995-11-21 模様化粧金属板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32642295A JPH09141197A (ja) 1995-11-21 1995-11-21 模様化粧金属板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09141197A true JPH09141197A (ja) 1997-06-03

Family

ID=18187622

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32642295A Pending JPH09141197A (ja) 1995-11-21 1995-11-21 模様化粧金属板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09141197A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010188309A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Dainippon Toryo Co Ltd プレコートメタルの製造方法
JP2013500860A (ja) * 2009-08-03 2013-01-10 エス・ディ・ウォレン・カンパニー 硬化パウダーコーティングへのテクスチャ付与方法
JP2018104524A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 富士ゼロックス株式会社 粉体塗料

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010188309A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Dainippon Toryo Co Ltd プレコートメタルの製造方法
JP2013500860A (ja) * 2009-08-03 2013-01-10 エス・ディ・ウォレン・カンパニー 硬化パウダーコーティングへのテクスチャ付与方法
JP2018104524A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 富士ゼロックス株式会社 粉体塗料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2627719B1 (en) Hybrid polyester fluorocarbon powder coating composition and process for manufacture thereof
CA2202335C (en) Textured epoxy powder coating for wood substrates and method of coating wood therewith
EP2178654B1 (en) Process of powder coating aluminium substrates
KR20080081047A (ko) 저광택을 제공하는 분말 코팅 조성물
JP3211469B2 (ja) 艶消粉体塗料組成物、塗装方法および塗膜
CN108431153B (zh) 聚氨酯涂料组合物
US20140072802A1 (en) Polyester powder coatings
KR101961780B1 (ko) 하이브리드 폴리에스테르 불화탄소 분말 코팅 조성물 및 그의 제조 방법
CN102233701A (zh) 一种彩色涂层钢板及其涂装工艺
US20040102561A1 (en) Powder coating composition
EP1923375A1 (en) Coatings for ceramic substrates
JPH09141197A (ja) 模様化粧金属板の製造方法
EP3512897B1 (en) A hybrid polyester-fluorocarbon powder coating composition and a method for coating a substrate with such composition
EP0451301B1 (en) Method of preparation of a patterned decorative material
JP4901013B2 (ja) 耐汚染性に優れた粉体塗料組成物およびこれを用いた塗膜形成方法
US5164219A (en) Method of preparation of a patterned decorative material
JPH06256692A (ja) 粉体塗膜形成方法
JP2006212777A (ja) 意匠性に優れた模様塗装金属板とその製造方法
WO2012139520A1 (en) Soft feel powder coating having anodized look
KR102030507B1 (ko) 애노다이징된 외양을 가진 소프트 필 분말 코팅
KR920003864B1 (ko) 무늬화장재의 제조방법
JP2002194297A (ja) プレコート材用意匠性粉体塗料組成物、意匠性塗膜の形成方法および意匠性を有する塗装プレコート材
JP3757744B2 (ja) 意匠性と耐磨耗性とに優れた塗装金属板
JP2005013953A (ja) 意匠性金属板の製造方法、意匠性金属板及びサイディング材
JP2002275420A (ja) 熱硬化型粉体塗料及び熱硬化粉体塗膜形成方法