JPH09141090A - 多孔質膜で表面を被覆されたゲルおよびその製造方法 - Google Patents

多孔質膜で表面を被覆されたゲルおよびその製造方法

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JPH09141090A
JPH09141090A JP30432695A JP30432695A JPH09141090A JP H09141090 A JPH09141090 A JP H09141090A JP 30432695 A JP30432695 A JP 30432695A JP 30432695 A JP30432695 A JP 30432695A JP H09141090 A JPH09141090 A JP H09141090A
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JP
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gel
meth
monomer
oligomer
group
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Application number
JP30432695A
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English (en)
Inventor
Kosei Chiyou
滬生 張
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ゲルを膨潤させている溶剤により膨潤し
ない重合体からなる多孔質膜がゲル表面を被覆している
ことを特徴とする多孔質膜で表面を被覆されたゲル及び
その製法 【効果】 吸水性に優れ、強度が強く、膨潤時形状が変
形せず濾別等の操作やハンドリングに優れる。更に、ゲ
ルの製造において実質的に瞬間的に重合、相分離が完了
するため、生産性が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品工業、医療、
医薬品工業、電子工業、廃水処理、人工臓器等の分野に
おいてタンパク、コロイド、バクテリヤ等の除去や回
収、有害ガスの吸着除去、脱色、水中の有害物の除去、
重金属の捕集、酵素、菌体の固定化用担体、薬剤の徐放
等に用いられる、多孔質膜で表面を被覆されたゲル及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゲルは吸水剤、液体保持剤、吸着剤、人
工臓器、薬剤徐放システム、濾過分離、クロマトグラフ
ィー用充填剤、バイオリアクター等の機能性材料として
用いられている。そしてこのような分野において一般的
に含水ゲルが用いられている。例えば、ポリマー ゲル
ズ、ファンダメンタルズ アンド バイオメディカルア
プリケイションズ(Polymer Gels, Fundamentals and B
iomedical Applications, pp.183, Plenum Press, N.Y.
& London(1991).)には、バイオスラリーの脱水へのゲ
ルの応用が記載されており、通常の膜による濃縮法では
すぐ目詰まりを起こすため濃縮できないが、ゲルを用い
るとスラリーを濃縮できるということが記載されてい
る。
【0003】しかしながら、上記の著書にはゲルの問題
点として、吸水したゲルの強度が弱いため、スラリーか
らの濾別やハンドリング等が困難であること、繰り返し
使用の寿命(形状、吸水量保持性等)が短いこと、特に
吸水性の高いゲルについてはこれらの問題点が顕著に現
れること等がいくつか記述されている。即ち、ゲルの機
能(例えば吸湿性、ゲル中の分子の拡散性等)を十分発
揮するためには、ゲルの含水率(膨潤率)が高い方が好
ましいが、含水率が高くなると、通常のゲルは強度が著
しく低下し、取扱いにくくなってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、膨潤性に優れ、ゲルの機能を十分に発揮でき、か
つ、高強度で取扱い性に優れ、寿命が長いゲルを提供す
ることにある。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゲルに多孔質の
保護膜を被覆することにより、ゲルの機能を十分に発揮
でき、かつ、取扱い性に優れ、寿命が長いゲルを提供で
きること、及びこのようなゲルを高い生産性で製造する
方法を見いだし本発明を完成するに至った。即ち、本発
明は、 1.ゲルを膨潤させている溶剤により膨潤しない重合体
からなる多孔質膜が、ゲル表面を被覆していることを特
徴とする、多孔質膜で表面を被覆されたゲル。 2.多孔質膜が、架橋構造を有するポリマーで構成され
ている上記1記載の被覆されたゲル。 3.ゲルが、架橋構造を有する含水ゲルである上記1又
は2に記載の被覆されたゲル。 4.多孔質膜が、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メ
タ)アクリル酸系オリゴマー、(メタ)アクリル酸エス
テル系モノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系オリ
ゴマーからなる群から選ばれた1種以上の非親水性化合
物を主要構成成分としてなる重合体である上記3記載の
被覆されたゲル。
【0006】5.ゲルが、(メタ)アクリル酸系モノマ
ー、(メタ)アクリル酸系オリゴマー、(メタ)アクリ
ル酸エステル系モノマー及び(メタ)アクリル酸エステ
ル系オリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の親水
性単官能化合物を主要構成成分としてなる重合体である
上記4記載の被覆されたゲル。 6.ゲルが、刺激応答性ゲルである上記5記載の被覆さ
れたゲル。 7.ゲルが、温度応答性ゲルである上記6記載の被覆さ
れたゲル。 8.ゲルが、pH応答性ゲルである上記6記載の被覆さ
れたゲル。 9.ゲルが、アミン含有モノマー及び/又はオリゴマー
からなる重合体を含有するものである上記7又は8記載
の被覆されたゲル。 10.ゲルが、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基
又は4級アンモニウム塩基を有するモノマー及び/又は
オリゴマーからなる1種以上の重合体を含有するもので
ある上記8記載の被覆されたゲル。
【0007】11.エネルギー線照射により重合可能な
モノマー及び/又はオリゴマー(A)と、該モノマー及
び/又はオリゴマー(A)と相溶しかつこれらモノマー
及び/又はオリゴマー(A)にエネルギー線を照射する
ことにより生成するポリマーを溶解又は膨潤させずエネ
ルギー線に対して不活性な相分離剤(B)とを混合した
均一な重合性溶液(I)を鞘とし、エネルギー線照射に
より重合可能な多官能モノマー及び/又はオリゴマーを
必須成分とするモノマー及び/又はオリゴマー(C)
と、該モノマー及び/又はオリゴマー(C)と相溶しか
つモノマー及び/又はオリゴマー(C)にエネルギー線
を照射することにより生成するポリマーを膨潤させかつ
モノマー及び/又はオリゴマー(A)と相溶しないエネ
ルギー線に対して不活性な液体(D)とを混合した均一
な重合性溶液(II)を芯として、該重合性溶液(I)
及び(II)を同時に押し出し、これにエネルギー線を
照射することを特徴とする、多孔質膜で表面を被覆され
たゲルの製造方法。 12.モノマー及び/又はオリゴマー(A)が水に溶解
しないモノマー及び/又はオリゴマーを主成分とし、か
つ、モノマー及び/又はオリゴマー(C)が水に溶解す
るモノマー及び/又はオリゴマーを主成分とする上記1
1記載の製造方法。
【0008】13.モノマー及び/又はオリゴマー
(A)が、ビニル基及び/又は(メタ)アクリロイル基
を、1分子内に1〜6個有するものであり、かつ、モノ
マー及び/又はオリゴマー(C)が、単官能モノマー及
び/又はオリゴマー(C’)と、多官能モノマー及び/
又はオリゴマー(C”)との混合物である上記11又は
12記載の製造方法。 14.単官能モノマー及び/又はオリゴマー(C’)
が、水に溶解するモノマー及び/又はオリゴマーである
上記13記載の製造方法。 15.単官能モノマー及び/又はオリゴマー(C’)
が、アミン、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基、
4級アンモニウム塩基を有するモノマー及び/又はオリ
ゴマーからなる群から選ばれた1種以上のものである上
記14記載の製造方法。 16.多官能モノマー及び/又はオリゴマー(C”)
が、(メタ)アクリロイル基を1分子内に2〜6個有す
るものである上記13〜15のいずれか1に記載の製造
方法。 17.相分離剤(B)が、非水溶性の有機溶剤である上
記12〜16のいずれか1に記載の製造方法。 18.液体(D)が、水又は水溶液である上記16のい
ずれか1に記載の製造方法。 19.重合性溶液(I)及び重合性溶液(II)を二重
円管ノズルを用いて気体又は液体中に押し出し、糸状又
は液滴状で落下又は走行している部分にエネルギー線を
照射する上記11〜18のいずれか1に記載の製造方
法。 に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の、多孔質膜で表面が被覆
されたゲルとは、多孔質内部にゲルが封入されているも
のである。通常、本発明の多孔質膜で表面が被覆された
ゲルは、ゲルが乾燥している場合はゲルを取り囲んでい
る多孔質膜の内側表面にゲルが付着した状態となり、ゲ
ルが膨潤している場合は多孔質膜の内側表面に付着した
ままその多孔質膜の内部で多孔質膜の形状、大きさでゲ
ル状となっている。
【0010】多孔質膜で表面が被覆されたゲルの形状は
どのような形状であってもよく、粒子状(球状)、繊維
状、フィルム状等、その他任意の形状であってもよい。
好ましくは粒子状、繊維状のものであり、粒子状の場合
は、直径0.05〜10mmが好ましく、更に好ましく
は0.3〜5mmである。球は真球である必要はなく概
ね球状であればよい。繊維状の場合は、直径0.01〜
3mmが好ましく、更に好ましくは0.1〜1mmであ
る。繊維は断面が必ずしも円である必要はなく、異形断
面糸であってもよい。繊維又は球の直径をこの値以下に
することは取扱い性の面から困難であり、この値以上に
すると吸・脱着速度の低下を招く。
【0011】本発明の多孔質膜で表面を被覆されたゲル
は、多孔質膜によりゲル表面が完全に被覆されているこ
とが好ましいものの、必ずしも完全に被覆されている必
要はなく、取扱い性の面から実質的に被覆されておれば
良い。即ち、概ねゲル表面の90%以上被覆されておれ
ば良い。例えば、繊維状ゲルの端面が被覆されていなく
ても良い。
【0012】次に本発明で用いられる多孔質膜について
説明する。多孔質膜とは細孔が互いに連通しているもの
をいい、膜中の個々の微小な空隙が互いに連絡してお
り、液体が膜の一方の側から他の側へ透過できる。本発
明の多孔質膜における細孔の孔径は特に制約はないが、
3×10-4〜250μmであることが好ましく、0.0
1〜50μmであることが更に好ましい。孔径が3×1
-4μm以下であると、ゲルを膨潤する溶剤(例えば
水)の出入り(透過)速度が極端に低下し実用性に欠け
るためあまり好ましくないし、孔径が250μm以上で
あると膜の耐圧強度が低下し、膜断面形状及びゲル全体
の変形が生じ易くなり、ゲルの保護膜としての働きが弱
くなりあまり好ましくない。孔径は多孔質膜の透過性に
応じてで任意に選択できる。多孔質膜がどの程度の孔径
を有しているかは、孔径が0.01μ以上の場合は断面
や表面の電子顕微鏡観察で判定でき、それ以下の場合は
透過する分子の大きさで判定できる。
【0013】本発明の多孔質膜における細孔の構造は特
に制約はなく、厚み方向にほぼ等方的な形状であっても
良いし、厚み方向に孔径の小さな部分と大きな部分を有
する非対称な形状であっても良いし、マクロポアと言わ
れる比較的大きな孔径の孔を有していても良い。非対称
構造の場合には、周囲より孔径の小さな部分(緻密層と
もいう)が多孔質膜の外側表面及び/又は内側(ゲル
側)表面に存在することが好ましい。このような緻密層
の位置は用途に応じて選択すればよい。また、本発明の
膜に存在する細孔の密度即ち体積空隙率は20〜70%
が好ましい。空隙率が20%以下であると膜の透過速度
が低下するため実用性が低くなる。また70%を越える
と膜の強度が低下するため実用性が低くなる。また、多
孔質膜の膜厚としては、30〜500μmが好ましい。
【0014】本発明の多孔質膜を形成する重合体は、ゲ
ルを膨潤させる溶剤により膨潤しない重合体であればよ
く、例えば熱可塑性重合体や、エネルギー線硬化型重合
体等の重合体を用いることができるが、エネルギー線硬
化型重合体が硬化時間が短いため好ましい。エネルギー
線硬化型重合体は、エネルギー線の照射により重合しポ
リマーとなるモノマー及び/又はオリゴマーを重合させ
たものであればよく、ラジカル重合性、アニオン重合
性、カチオン重合性等任意のものであってよいが、1分
子内にビニル基及び/又は(メタ)アクリロイル基等の
官能基1〜6個を有するもの、及びこれらの混合物が好
ましく、エネルギー線の照射による重合速度が早いもの
が好ましい。(尚、本願でいう官能基の数とは1分子内
の重合性二重結合の数をいい、(メタ)アクリルなる語
はメタクリルとアクリルを表すものである。)
【0015】多孔質膜を形成する重合体は、架橋してい
てもしていなくても良いが、耐熱性、耐薬品性、耐膨潤
性、膜強度等の点から、架橋ポリマーがより好ましい。
架橋密度が高いほどこれらの性質に優れた多孔質膜が形
成される。架橋密度の調整は、多官能基の数や、多官能
モノマーやオリゴマーの重合体全体に対する含有量によ
り容易に調整することが出来る。多孔質内部のゲルを膨
潤させている溶剤が水の場合、多孔質膜を形成する重合
体として親水性ポリマーが多く含有されていると多孔質
膜自体が膨潤してしまう恐れがあるので架橋密度を高く
することが望ましい。より好ましくは非親水性のポリマ
ーを種に用いることが好ましい。もちろん、必要に応じ
て親水性のポリマーを更に添加してもよい。、
【0016】多孔質膜を構成する主要成分としてはビニ
ル基や(メタ)アクリロイル基を有する重合体が、官能
基の導入量や親水性基等の置換基の導入量を調整しやす
いため好ましく、多孔質内部のゲルを膨潤させている溶
剤が水の場合は、特に(メタ)アクリル系重合体として
は、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリル
酸系オリゴマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマ
ー及び(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーからな
る群から選ばれた1種以上の非親水性化合物を主要構成
成分としてなる重合体が好ましく挙げられる。ビニル基
を有するモノマーとしては、メタクリル酸ビニル、安息
香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニ
ル等が挙げられる。
【0017】非親水性の(メタ)アクリル酸エステル系
モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−
ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アク
リレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレー
ト、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ノニル
フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペン
タニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシ
エチル(メタ)アクリレート等の単官能モノマー、
【0018】1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシグリセ
リンモノメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メ
タ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)
プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイル
オキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ジシ
クロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ビス[(メ
タ)アクリロキシエチル]ヒドロキシエチルイソシアネ
ート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトリレ
ンジイソシアネート、アジピン酸ジビニル等の2官能モ
ノマー、
【0019】トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシア
ネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレ
ートヘキサメチレンジイソシアネート等の4官能モノマ
ー、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メ
タ)アクリレート等の5官能モノマー、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能モノマ
ー等が挙げられる。
【0020】本発明の多孔質膜に用いられる非親水性の
(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーとしては、例
えばエネルギー線照射で重合可能で、重量平均分子量5
00〜50000のものであり、具体的には、ビスフェ
ノールA−ジエポキシ−(メタ)アクリル酸付加物等の
エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエー
テル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエ
ン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メ
タ)アクリル基を有するポリウレタン樹脂等を挙げるこ
とができる。
【0021】本発明で使用される(メタ)アクリル酸エ
ステル系モノマー及び/又はオリゴマーはメタクリル系
であっても、アクリル系であっても良いが、市販の樹脂
として入手しやすいため、アクリル系が好ましい。
【0022】もちろん、上述の非親水性(メタ)アクリ
ル系重合体中には、多孔質膜の性能上支障がなければ、
親水性の重合体が混合されていてもよい。このような親
水性の重合体としては例えば、本発明に用いられる(メ
タ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリル酸系オリ
ゴマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれ
らのオリゴマー等が挙げられる。親水性の(メタ)アク
リル酸エステル系モノマーとしては例えば、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)
アクリレート等の水酸基を有するモノマー、
【0023】ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ノナエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、テトラデカエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、トリエイコサエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシテトラデカエチレング
リコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエイコサ
エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキ
シジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノ
キシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、
フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート、フェノキシノナエチレングリコール(メタ)アク
リレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート等のポリエチレングリコール構造単位を有
するモノマー、
【0024】N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−
n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,
N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルア
ミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メ
タ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイ
ルピぺリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチ
レンビスアクリルアミド、N−メトキシプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)ア
クリルアミド、N−1−メトキシメチルプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシプロピル
(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキ
シエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n
−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジ
オキソラン−2−イル)(メタ)アクリルアミド等のア
ミン含有モノマー、
【0025】2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフ
タル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタ
ル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸
等のカルボキシル基を有するモノマー、モノ(2−メタ
クリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ
(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェー
ト等の燐酸基を有するモノマー、(メタ)アクリロイル
オキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウ
ムクロライド等の4級アンモニウム塩基を有するモノマ
ー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホ
ン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸ナ
トリウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン
酸アンモニウム、アリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン
酸ソーダエトキシメタクリレート等のスルホン基を有す
るモノマー等、あるいはこれらのオリゴマーが挙げられ
る。
【0026】本発明の多孔質膜を形成する重合体は、
(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又はオリゴマー、
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー及び/又はオリ
ゴマー等の選択により、架橋密度を任意に制御し得る。
例えば、耐熱性、耐溶剤性、耐膨潤性、強度に優れた膜
を得るためには、なるべく多官能のモノマー及び/又は
オリゴマーを選択し、それから形成されるポリマーの架
橋密度を高めればよい。逆に、これらの耐性があまり要
求されない場合は、多官能のモノマー及び/又はオリゴ
マーを用いずに、架橋構造をもたないポリマーとしても
良いし、多官能のモノマー及び/又はオリゴマーと単官
能のモノマー及び/又はオリゴマーを併用して比較的架
橋密度の低いポリマーとしても良い。
【0027】また、置換基を有するモノマー及び/又は
オリゴマーを用いることにより、水酸基、カルボキシル
基、りん酸基、スルホン基、アミノ基、アミド基、4級
アンモニウム塩基、ハロゲン等の置換基を容易に重合体
中に導入することができる。これらの置換基、特に親水
基の導入量を調整することにより、膜に要求される親水
性、耐膨潤性、強度、柔軟性等を任意に調節することが
できる。
【0028】次いで、多孔質膜内部にあるゲルについて
説明する。ゲルは架橋構造を有するものであり、該ゲル
を構成する重合体としては、単官能のモノマー及び/又
はオリゴマーと多官能のモノマー及び/又はオリゴマー
とからなる。中でも単官能のモノマー及び/又はオリゴ
マーを主成分とし、多官能、好ましくは2〜6官能、よ
り好ましくは2官能のモノマー及び/又はオリゴマーを
少量含有している重合体が膨潤性が高いため望ましい。
従って重合体成分中の単官能のモノマー及び/又はオリ
ゴマーの混合割合は、好ましくは50〜99.9重量
%、より好ましくは70〜99.9重量%である。従来
のゲルの場合は、多官能のモノマー及び/又はオリゴマ
ーを全体の数十%〜数%添加して、ある程度の架橋密度
を有するものでなければ取扱い性の点から困難であった
が、本発明の多孔質膜で表面を被覆されたゲルの場合
は、表面が多孔質膜で被覆されているため、架橋密度が
低くても取扱い性に支障を生じないため、多官能モノマ
ー及び/又はオリゴマーの添加は従来の1/10〜1/
100程度でも十分であり、そのため従来のゲルと比較
して非常に膨潤性が向上している。
【0029】本発明のゲルは、有機溶剤で膨潤するゲル
であっても良いが、用途面の重要性から水中で膨潤する
ゲル、即ち含水ゲルであることが好ましい。従って、ゲ
ルを形成する重合体としては、親水性重合体を主成分と
するものが好ましく、より好ましくは親水性(メタ)ア
クリル系重合体が挙げられ、更に好ましくは(メタ)ア
クリル酸系モノマー、(メタ)アクリル酸系オリゴマ
ー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー及び(メ
タ)アクリル酸エステル系オリゴマーからなる群から選
ばれた1種以上の親水性単官能化合物を主要構成成分と
する重合体が挙げられる。
【0030】本発明のゲルに用いられる親水性単官能
(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリル酸系
オリゴマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、及び
それらのダイマー、オリゴマー等が挙げられる。
【0031】親水性単官能(メタ)アクリル酸エステル
系モノマーとしては例えば、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等
の水酸基を有するモノマー、ジエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、トリエイコサエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレング
リコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテト
ラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート、メト
キシトリエイコサエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アク
リレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、フェノキシノナエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリ
コール構造単位を有するモノマー、
【0032】N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−
n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,
N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルア
ミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メ
タ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイ
ルピぺリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチ
レンビスアクリルアミド、N−メトキシプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)ア
クリルアミド、N−1−メトキシメチルプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシプロピル
(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキ
シエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n
−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジ
オキソラン−2−イル)(メタ)アクリルアミド等のア
ミン含有モノマー、
【0033】2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフ
タル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタ
ル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸
等のカルボキシル基を有するモノマー、モノ(2−メタ
クリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ
(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェー
ト等の燐酸基を有するモノマー、(メタ)アクリロイル
オキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウ
ムクロライド等の4級アンモニウム塩基を有するモノマ
ー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホ
ン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸ナ
トリウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン
酸アンモニウム、アリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン
酸ソーダエトキシメタクリレート等のスルホン基を有す
るモノマー等、あるいはこれらのオリゴマーが挙げられ
る。
【0034】上記を単独あるいは混合した親水性単官能
のモノマー及び/又はオリゴマーには、ゲルの強度、伸
度、膨潤度(吸水率)等を調節する目的で、非親水性単
官能モノマー及び/又はオリゴマーをさらに添加するこ
ともできる。このようなモノマー及び/又はオリゴマー
としては、1分子内にビニル基、(メタ)アクリロイル
基等の官能基を1個を有するもの及びこれらの混合物が
好ましく、上記の親水性単官能モノマー及び/又はオリ
ゴマーと相溶可能なものが好ましい。
【0035】例えば非親水性単官能モノマー及び/又は
オリゴマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、n
−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)ア
クリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステア
リル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレ
ート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ノニ
ルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキ
シエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ビニル、
安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸
ビニル等の単官能モノマーやこれらのオリゴマーが挙げ
られる。
【0036】このような単官能のモノマー及び/又はオ
リゴマーに加えて、本発明においては、ゲルの強度、伸
度、膨潤度(吸水率)、刺激応答性、架橋密度等を調節
する目的で、親水性あるいは非親水性の多官能のモノマ
ー及び/又はオリゴマーを混合する。親水性の多官能モ
ノマー及び/又はオリゴマーとしては、メチレンビスア
クリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコ
ールジ(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】非親水性の多官能モノマー及び/又はオリ
ゴマーとしては、1分子内にビニル基、(メタ)アクリ
ロイル基等の官能基を2〜6個を有するもの及びこれら
の混合物が好ましく、親水性単官能モノマー及び/又は
オリゴマーと相溶可能なものが好ましい。例えば、1,
6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、3−アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレ
ート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキ
シポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2’−
ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレン
オキシフェニル)プロパン、ジシクロペンタニルジ(メ
タ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシエチ
ル]ヒドロキシエチルイソシアネート、フェニルグリシ
ジルエーテルアクリレートトリレンジイソシアネート、
アジピン酸ジビニル等の2官能モノマー、
【0038】トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシア
ネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレ
ートヘキサメチレンジイソシアネート等の4官能モノマ
ー、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メ
タ)アクリレート等の5官能モノマー、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能モノマ
ーが挙げられる。
【0039】また、本発明に用いられる非親水性の多官
能(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーとしては、
例えば、エネルギー線照射で重合可能で、重量平均分子
量500〜50000のものであり、具体的には、ビス
フェノールA−ジエポキシー(メタ)アクリル酸付加物
等、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリ
エーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタ
ジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に
(メタ)アクリル基を有するポリウレタン樹脂等を挙げ
ることができる。またこれらのオリゴマー同士を混合し
て用いることもできるし、モノマーと混合して用いるこ
ともできる。
【0040】また、親水性単官能モノマー中の置換基の
種類によって、種々の刺激応答性ゲルを得ることができ
る。例えば、アミン含有モノマー(例えばアクリルアミ
ド基、N−置換アクリルアミド基を含有するモノマー)
等を用いることにより、温度に応じて膨潤収縮する、温
度応答性ゲルを得ることができる。また、このようなア
ミン含有モノマーに非親水性の(メタ)アクリル酸エス
テル系モノマー及び/又はオリゴマーを共重合させるこ
とにより、ゲルの応答温度、膨潤度(吸水率)、架橋密
度、強度等を適宜調節することができる。例えば、2官
能以上の非親水性(メタ)アクリル酸エステル系モノマ
ー及び/又はオリゴマーを共重合させる場合、それの含
有量が多い程、得られるゲルの架橋密度が高く、強度が
高くなるが、応答温度も高くなり、膨潤度が小さくな
る。勿論親水性の多官能モノマーおよび/またはオリゴ
マーの共重合量を調節することによってもゲルの架橋密
度、強度及び温度応答性を調節することが出きる。
【0041】また、カルボキシル基、燐酸基、スルホン
酸基、4級アンモニウム塩基、アミン等を有するモノマ
ーを用いることにより、pH応答性ゲルを得ることがで
きる。アルカリ性側で膨潤するゲルを得るには、カルボ
キシル基、燐酸基、スルホン酸基含有モノマーを用いれ
ば良く、酸性側で膨潤するゲルを得るには、4級アンモ
ニウム塩基、アミンを含有するモノマーを用いると良
い。また温度応答性ゲルの場合と同様に、これらのモノ
マーに非親水性の(メタ)アクリル酸エステル系モノマ
ー、オリゴマー、親水性の多官能モノマー、オリゴマー
を1種以上共重合させることにより、ゲルの応答性、膨
潤度(吸水率)、架橋密度、強度等用途を適宜制御する
ことができる。これらの置換基を含有するモノマーは、
ゲルの乾燥重量の5%以上含有されることがより好まし
い。
【0042】次に本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法に用いられるモノマー及び/又はオリ
ゴマー(A)は、本発明の多孔質膜部分を形成するもの
であり、エネルギー線の照射により重合し、ポリマーと
なるものであればよく、ラジカル重合性、アニオン重合
性、カチオン重合性等任意のものであってよいが、1分
子内にビニル基及び/又は(メタ)アクリル基等の官能
基1〜6個を有するもの及びそれらの混合物が好まし
く、エネルギー線の照射による重合速度が早いものがよ
り好ましい。モノマー及び/又はオリゴマー(A)は硬
化により多孔質膜を形成するので、形成された多孔質膜
が架橋構造を有するよう、多官能のモノマー及び/又は
オリゴマーを用いることがより好ましい。
【0043】また特に好ましくは、良好な多孔質被覆膜
を形成するため、(A)が被覆されるべきゲルを膨潤さ
せている溶剤に溶解しないものであることが必要であ
る。例えばゲルが含水ゲルであれば、水に溶解しないモ
ノマー及び/又はオリゴマー主成分であるものが好まし
く挙げられる。このようなモノマー及び/又はオリゴマ
ー(A)として、好ましくは、(メタ)アクリル酸系モ
ノマー、(メタ)アクリル酸系オリゴマー、(メタ)ア
クリル酸エステル系モノマー及び(メタ)アクリル酸エ
ステル系オリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の
非親水性化合物を主要構成成分とするものが挙げられ
る。ビニル基を有するモノマーや(メタ)アクリル酸系
化合物各々の具体例は、先の多孔質膜を形成する重合体
の説明で既に述べたとおりである。
【0044】モノマー及び/又はオリゴマー(A)の選
択については、重合性溶液の粘度、以下に説明する相分
離剤(B)や液体(D)の種類との組み合わせ、生成す
る多孔質膜の強度、柔軟性、耐膨潤性、耐熱性、耐溶剤
性、細孔径、親水性度、置換基の有無等により決定され
る。例えば、耐熱性、耐溶剤性、耐膨潤正、強度等に優
れた多孔質膜を得るためには、多官能のモノマー及び/
又はオリゴマーを多く含有する系を選択する。逆に、耐
熱性を必要とせず、柔軟性を必要とする場合等には、単
官能のモノマー及び/又はオリゴマーを多く併用しても
よい。また、置換基を有するモノマー及び/又はオリゴ
マーを用いることにより、水酸基、カルボキシル基、り
ん酸基、スルホン基、アミノ基、アミド基、4級アンモ
ニウム塩基、ハロゲン等の置換基を容易に導入すること
ができ、これらの置換基、特に親水基の導入量を調整す
ることにより、多孔質膜に要求される親水性、耐膨潤
性、強度、柔軟性等を任意に調節できる。
【0045】本発明に用いられる相分離剤(B)とは、
上述のモノマー及び/又はオリゴマー(A)に相溶する
ものである。これは、該(A)と相溶あるいは溶解する
か、又は該(A)と溶剤との均一溶液に溶解することを
意味する。更に相分離剤(B)は該(A)にエネルギー
線を照射することにより生成したポリマーと相溶せず、
しかもエネルギー線に対して実質的に不活性なものであ
る。従って、本発明に用いられる相分離剤(B)は、モ
ノマー及び/又はオリゴマー(A)の種類により変わり
得るものであり、例えば、重合性オリゴマーとして分子
末端にアクリル基を有するポリウレタン樹脂を用いる場
合には、液状ポリエチレングリコール、ポリエチレング
リコールのモノエステル、ポリエチレングリコールのモ
ノエーテル、グリセリンのモノ、ジ、及びトリエステ
ル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル等の脂肪酸エ
ステル類、ジイソブチルケトン等のジアルキルケトン
類、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジイソブチ
ル等のアジピン酸ジアルキルエステル類、グルタル酸ジ
メチル等のグルタル酸ジアルキルエステル類、ブチルセ
ロソルブアセテート、モノ−p−ノニルフェニルエーテ
ル等を用いることができる。
【0046】良好な多孔質膜を得るには、相分離剤
(B)は、芯となる重合性溶液(II)との相溶性の低
いもの、例えば重合成溶液(II)が水溶性である場合
は非水溶性の有機溶剤等が好ましい。また、相分離剤
(B)は、エネルギー線として紫外線を用いる場合に
は、紫外線吸収の少ないものが好ましい。相分離剤
(B)は、必要とされる重合性溶液の粘度、多孔質膜の
孔径や細孔の形状等により適宜選択することができる。
【0047】相分離剤(B)の、モノマー及び/又はオ
リゴマーに対する比率については、モノマー及び/又は
オリゴマー1重量部に対して0.1〜5重量部の範囲が
好ましく、0.5〜3重量部が更に好適である。0.1
以下では、膜の空隙率が低くなり、5以上では膜の強度
が不十分となるのであまり好ましくない。
【0048】細孔の孔径はモノマー及び/又はオリゴマ
ー(A)と相分離剤の混合比のほか、(A)と相分離剤
との組み合わせに依存し、一般的には相分離剤の混合比
が高い場合や、(A)と相分離剤との相溶性が悪い場合
や、重合性溶液の粘度が低い場合に、孔径が大きくな
る。モノマー及び/又はオリゴマー(A)と相分離剤
(B)との相溶性の良否は、これらをの混合液、即ち重
合性溶液(I)の温度を徐々に低下させて行き、相分離
が生じる温度で判定できる。相分離温度が低いほど、相
溶性が良い。本発明の重合性溶液(I)には、重合開始
剤、増感剤等を添加することも可能である。
【0049】本発明において、等方性の多孔質膜は、
(1)相分離剤(B)として不揮発性の液体を使用する
方法、(2)重合性溶液(I)を液体中に押し出す方
法、等により製造することができる。また非等方性の多
孔質膜は、(1)相分離剤(B)として揮発性の液体を
使用し、該液体の一部を揮発させた後エネルギー線を照
射する方法、(2)相分離剤(B)の他に別の揮発性の
良溶媒(生成するポリマーを膨潤又は溶解させる溶媒)
を添加した重合性溶液(I)をノズルから押し出し、良
溶媒の一部を揮発させた後エネルギー線を照射する方
法、(3)重合性溶液をノズルから高せん断速度で押し
出しエネルギー線を照射する方法、等により製造するこ
とができる。
【0050】本発明の方法に用いられるモノマー及び/
又はオリゴマー(C)は、エネルギー線の照射により重
合し、架橋ポリマーとなるものであればよく、ラジカル
重合性、アニオン重合性、カチオン重合性等任意のもの
であっても良いが、架橋ポリマーを形成するために多官
能のモノマー及び/又はオリゴマーを必須成分とする。
モノマー及び/又はオリゴマー(C)は硬化によりゲル
を形成するので、特にゲルが含水ゲルの場合は、モノマ
ー及び/又はオリゴマー(C)は水に溶解するモノマー
及び/又はオリゴマーを主成分とするものが好ましい。
【0051】また、エネルギー線の照射による重合速度
が速いものが好ましいことから、(メタ)アクリロイル
基を官能基とするものが好ましい。また良好なゲルを形
成するためには、(C)は単官能のモノマー及び/又は
オリゴマー(C’)を主成分とし、多官能のモノマー及
び/又はオリゴマー(C”)を混合した物であることが
好ましい。この場合の混合比は(C’)が50〜99.
9重量%であることが膨潤性の点からより好ましい。
【0052】モノマー及び/又はオリゴマー(C’)
は、エネルギー線の照射により重合しポリマーとなるも
のであればよく、ラジカル重合性、アニオン重合性、カ
チオン重合性等任意のものであってよいが、ゲルを膨潤
させる溶剤(好ましくは水)に溶解するものが好まし
く、エネルギー線の照射による重合速度が早いものが好
ましい。本発明のゲルは含水ゲルであることが好ましい
ため、(C’)としては、親水性単官能モノマー及び/
又はオリゴマーを主成分とするものが挙げれる。このよ
うなものとしては、例えば水酸基、ポリエチレングリコ
ール構造単位、アミン、カルボキシル基、燐酸基、4級
アンモニウム塩基、スルホン基等を有する、(メタ)ア
クリル酸系モノマー、(メタ)アクリル酸系オリゴマ
ー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー及び(メ
タ)アクリル酸エステル系オリゴマー等が挙げられる。
これら各々の具体例としては、既に本発明の多孔質内部
にあるゲルを構成する重合体の欄で説明したとおりであ
る。
【0053】また(C’)には、ゲルの強度、伸度、膨
潤度等を調節する目的で、非親水性単官能モノマー及び
/又はオリゴマーを更に添加してもよく、このようなモ
ノマー及び/又はオリゴマーの例も既に説明したとおり
である。
【0054】また、親水性単官能モノマー中の置換基の
種類によって、種々の刺激応答性ゲルを得ることができ
る。例えば、アミン含有モノマー(例えばアクリルアミ
ド基、N−置換アクリルアミド基を含有するモノマー)
を用いることにより、温度に応じて膨潤収縮する、温度
応答性ゲルを得ることができる。また、このようなアミ
ン含有モノマーに非親水性の(メタ)アクリル酸エステ
ル系モノマー及び/又はオリゴマーを共重合させること
により、ゲルの応答温度、膨潤度(吸水率)、架橋密
度、強度等を適宜調節することができる。例えば、2官
能以上の非親水性(メタ)アクリル酸エステル系モノマ
ー及び/又はオリゴマーを共重合させる場合、それの含
有量が多い程、得られるゲルの架橋密度が高く、強度が
高くなるが、応答温度も高くなり、膨潤度が小さくな
る。
【0055】また、カルボキシル基、燐酸基、スルホン
酸基、4級アンモニウム塩基、アミンを有するモノマー
を用いることにより、pH応答性ゲルを得ることができ
る。アルカリ性に応じて膨潤収縮するゲルを得るには、
カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基含有モノマーを
用いれば良く、酸性に応答するゲルを得るには、4級ア
ンモニウム塩基、アミンを含有するモノマーを用いると
良い。また温度応答性ゲルの場合と同様に、これらのモ
ノマーに非親水性の(メタ)アクリル酸エステル系モノ
マー及び/又はオリゴマーや親水性の多官能モノマー及
び/又はオリゴマーを共重合させることにより、ゲルの
応答性、膨潤度(吸水率)、架橋密度、強度等用途を適
宜制御することができる。
【0056】上記のモノマー及び/又はオリゴマー
(C’)に、架橋性、即ち多官能のモノマー及び/又は
オリゴマー(C”)を共重合させることにより、ゲルの
架橋密度、強度、応答温度、応答pH、膨潤度(吸水
率)等を適宜調節することができる。例えば、2官能以
上のモノマー及び/又はオリゴマーを共重合させる場
合、それの官能基数、含有量が多い程、得られるゲルの
架橋密度、強度が高く、応答温度も高くなり、膨潤度
(吸水率)が小さくなるが、一方、官能基数が多く、含
有量が少ない場合は、強度が強く、かつ膨潤度(吸水
率)の大きいゲルを得ることができる。
【0057】モノマー及び/又はオリゴマー(C”)
は、通常用いられるエネルギー線により架橋可能なもの
はいずれも用いることができるが、モノマー及び/又は
オリゴマー(C’)、又は液体(D)と相溶可能なもの
であり、代表的には2以上の官能基を有するモノマー及
び/又はオリゴマーである。本発明で用いることのでき
る多官能モノマー及び/又はオリゴマー(C”)として
は、親水性、非親水性のものを使用でき、特に(メタ)
アクリロイル基を1分子内に2〜6個有するものが好ま
しく挙げられる。このようなものの具体例としては、既
に多孔質膜内部にあるゲルを構成する重合体の欄で説明
したとおりである。
【0058】本発明に用いられる液体(D)としては、
モノマー及び/又はオリゴマー(C)と相溶し、該
(C)にエネルギー先を照射することにより生成するポ
リマーを膨潤させ、モノマー及び/又はオリゴマー
(A)と相溶せず、かつエネルギー線に対して不活性な
ものである。中でも、多孔質膜の形成性、ゲルの成形後
に液体(D)を除去せずに適用できること、液体(D)
を除去する必要のある場合その容易さ等から、液体
(D)が水又は水溶液であることが好ましい。具体例と
しては、水、プロパノール、脂肪族グリコールエステル
等の1価又は多価アルコール類、アセトン等のケトン
類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N
−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ポ
リエチレングリコール、ポリエチレングリコールのモノ
エステル、ポリエチレングリコールのモノエーテル、ポ
リエチレングリコールソルビタンモノエステル、ポリエ
チレングリコールソルビタンジエステル、ポリエチレン
グリコールソルビタントリエステル、ポリエステルポリ
オール、ポリエチレングリコールアミン、及びこれらの
化合物の水溶液等が挙げられる。勿論、上記のものを混
合して用いることも可能である。
【0059】本発明において、重合性溶液(II)と
は、上述のモノマー及び/又はオリゴマー(C)と液体
(D)とを混合した均一な溶液であり、これがエネルギ
ー線により硬化することで、ゲルを形成する。
【0060】本発明に用いられるエネルギー線として
は、電子線、γ線、X線、紫外線、可視光線等を挙げる
ことができる。なかでも装置及び取扱いの簡便さから紫
外線が好ましい。照射する紫外線の強度は10〜500
0mw/cm2が好ましい。紫外線の照射を不活性ガス
雰囲気下で行うことによって、重合速度を速めることも
好ましい。紫外線を用いる場合には、重合速度を速める
目的で、重合性溶液に紫外線重合開始剤を含有させるこ
とも好ましい。
【0061】本発明に用いられる紫外線重合開始剤とし
ては特に制約を設ける必要はないが、重合性溶液に溶解
可能なものが好ましく、例えばp−tert−ブチルト
リクロロアセトフェノン、2、2’−ジエトキシアセト
フェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン等のアセトフェノン類、ベンゾフェ
ノン、4、4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、
2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサント
ン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオ
キサントン等のケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾ
インイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベ
ンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフ
ェニルケトン等のベンジルケタール類等を挙げることが
できる。
【0062】電子線もまた本発明に用いることのできる
好ましいエネルギー線である。電子線を用いると、液体
(D)、その他の添加剤等の紫外線吸収の有無の影響を
受けないため、これらの選択幅が広がると共に、ゲルの
生産速度も向上する。更に重合開始剤が不要であるた
め、この残留が問題となる用途への適用が容易となる。
【0063】本発明の多孔質膜で被覆されたゲルの製造
方法は、モノマー及び/又はオリゴマー(A)と相分離
剤(B)の均一重合性溶液(I)を鞘とし、モノマー及
び/又はオリゴマー(C)と液体(D)との均一重合性
溶液(II)を芯として、気体又は液体中に同時に押し
出して、押し出された重合性溶液にエネルギー線を照射
し、重合性溶液を硬化させる方法によって製造すること
ができる。重合性溶液(I)(II)は、多重管状ノズ
ルより押し出せばよく、二重円管ノズルを用いる場合
は、中心から重合性溶液(II)を、その外側周囲から
重合性溶液(I)を同時に押し出すことが好ましい。
【0064】本発明の製造方法において、エネルギー線
は、押し出された重合性溶液(I)及び(II)が糸状
もしくは液滴状で落下又は走行中に、その落下又は走行
している部分に照射することがより好ましい。エネルギ
ー線照射ゾーンの雰囲気は、重合性溶液と相溶しなけれ
ば、如何なる流体、例えば空気、不活性ガス、水又は水
溶液、石油エーテル等でもよい。気体の場合、酸素濃度
が5%以下が好ましく、液体の場合は脱酸素されている
ことが好ましい。更に、モノマー及び/又はオリゴマー
がエネルギー線照射による重合に際し、酸素による反応
阻害を受ける場合には、重合性溶液に溶解している酸素
を除去することによって、重合速度を速めることも好ま
しい。
【0065】重合性溶液(I)、(II)にエネルギー
線を照射すると、重合性溶液(I)中のモノマー及び/
又はオリゴマー(A)は、重合或いは架橋すると同時に
相分離剤(B)と相分離し、編み目状や互いに接着した
粒子状等の形状に凝集し硬化する。即ち、モノマー及び
/又はオリゴマー(A)の重合体からなる多孔質膜の細
孔部に相分離剤(B)が充填された状態となる。次い
で、必要に応じ後続の工程において多孔質体の細孔部か
ら相分離剤(B)を除去する。相分離剤(B)の除去に
は洗浄、乾燥、吸引、置換等の方法が採用できる。
【0066】一方、重合性溶液(II)中の架橋性モノ
マー及び/又はオリゴマー(C)も、モノマー及び/又
はオリゴマー(A)と同時に、紫外線の照射により架橋
重合し、液体(D)で膨潤した架橋性モノマー及び/又
はオリゴマー(C)の重合体からなるゲルとなる。次い
で、必要があれば、後続の工程においてゲル中の液体
(D)を除去する。(D)の除去には同様に洗浄、乾
燥、吸引、置換等の方法が採用できる。
【0067】相分離剤の除去後に、更にエネルギー線を
照射(アフターキュア)することも可能である。アフタ
ーキュアにより多孔質膜の強度や硬度の向上が計れる。
また、相分離剤の除去後に熱処理することも可能であ
る。熱処理により、未反応モノマーの完全除去、多孔質
膜の寸法安定性の付与、細孔径の調整等が計れる。
【0068】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、もとより、これに本発明が限定されるもので
はない。 [測定項目の定義]以下の実施例中の測定項目について
の定義は次の通りである。 (1)ゲルの正味重量Wgel(g/g) UV照射直後のゲルの半径R(cm)と多孔質膜の厚み
t(cm)を測定した後、ゲルを洗浄乾燥し、その乾燥
ゲル(1個又は長さ3cm)の重量w1(g)を測定し
て、下記の(1)式又は(2)式よりゲル1g当たりの
ゲルの正味重量Wgel(g/g)を算出する。
【0069】
【数1】 球状 Wgel=〔(4πr3/3)×ρH2O×Cg〕/w1 (1) 繊維状 Wgel=〔(3πr2)×ρH2O×Cg〕/w1 (2) 但し、r=R−t、ρH2Oは水の比重(g/cm3)、C
gは芯剤とする重合性溶液II中重合性成分の重量%で
ある。
【0070】(2)ゲルの吸水率 重量Wo(g)の乾燥ゲルを所定温度(所定pH)の蒸
留水中で飽和まで膨潤させた後、ゲル表面の水を濾紙で
拭き取ってから、膨潤したゲルの重量W’(g)を測定
する。(2)式に示すように、W’とWoよりゲルの吸
水率を算出する。
【0071】
【数2】 吸水率={(W’−Wo)/Wo}×100 (2)
【0072】(3)ゲルの相転移温度(応答温度) 各温度下でゲルの吸水率を測定する。ある温度でゲルの
吸水率が急に低下する時の、この温度をゲルの相転移温
度(応答温度)と定義する。 (4)応答pH 各pH条件下でゲルの吸水率を測定する。あるpHでゲ
ルの吸水率が急に低下する時の、このpHを応答pHと
定義する。
【0073】[実施例1] (重合性溶液Iの調製)数平均分子量2000で1分子
内に平均して3個のアクリロイル基を有するウレタンア
クリレートオリゴマー(商品名ユニディックV−426
3、大日本インキ化学工業社)75部、ジシクロペンタ
ニルジアクリレート(商品名カヤラッドR−684、日
本化薬社)25部、イルガキュアー184(紫外線重合
開始剤、チバガイギー社)を2部、相分離剤(B)とし
てカプリン酸メチル80部、及びラウリン酸メチル70
部を均一に混合し、重合性溶液I−1を得た。
【0074】(重合性溶液IIの調製)N−イソプロピ
ルアクリルアミド((株)興人)98部、N−メチレン
ビスアクリルアミド2部、ダロキュアー2959(紫外
線重合開始剤、メルク社)4部、液体(D)として蒸留
水200部を、均一に混合し、重合性溶液II−1を得
た。
【0075】(球状ゲルの作製)直径6mm、スリット
幅2mm、芯剤注入孔径4mmの円管ノズルを使用し、
芯剤として重合性溶液II−1を10ml/分(吐出線
速度1.3cm/秒)で注入しつつ、重合性溶液I−1
を45ml/分(吐出線速度1.5cm/秒)で空気中
に押し出し、ノズル下30〜60cmの範囲を、6kw
メタルハライドランプにより波長365nmの紫外線を
集光ミラーを用いて照射した。硬化した球状ゲルは、ノ
ズル下150cmの位置にある容器中に落下させた。得
られた球状ゲルは乳白色を呈した。このゲルを石油エー
テル、エタノール、及び水の順で洗浄し減圧下に十分乾
燥させて白色の球状ゲルを得た。このゲルは、直径2.
4mm、膜厚み0.3mmであり、走査型電子顕微鏡
(SEM)によれば、細孔を有する層と、これの内表面
に接着したポリマー粒子とが観察された。細孔径及び細
孔形状はゲルの内表面、外表面、及び断面におけるどの
位置においてもほぼ同じであった。多孔質膜の細孔径は
5.0μm、空隙率は51.7%であった。 (ゲルの物性)このゲルを各温度の水中で吸水率を測定
したところ、最大吸水率が78.5%であり、ゲルの相
転移温度(応答温度)が約35℃で、この温度以上では
吸水率が約15%となった。これらの物性値を表1に示
す。
【0076】[実施例2] (重合性溶液Iの調製)トリス(アクリロキシイソプロ
ピルウレタンヘキシル)イソシアヌレート(S9−41
4)100部、イルガキュアー184を2部、相分離剤
(B)としてジイソブチルケトン160部、を均一に混
合し、重合性溶液I−2を得た。 (重合性溶液IIの調製)N−n−プロピルアクリルア
ミド95部、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(商品名NKエステルA−400、新中村化学工
業社)5部、ダロキュアー2959を4部、アルギン酸
ナトリウム1部、液体(D)として蒸留水200部を、
均一に混合し、重合性溶液II−2を得た。
【0077】(繊維状ゲルの作製)直径6mm、スリッ
ト幅2mm、芯剤注入孔径4mmの円管ノズルを使用
し、芯剤として重合性溶液II−2を35ml/分(吐
出線速度4.6cm/秒)で注入しつつ、重合性溶液I
−2を168ml/分(吐出線速度5.6cm/秒)で
空気中に押し出し、ノズル下30〜60cmの範囲を、
6kwメタルハライドランプにより波長365nmの紫
外線を集光ミラーを用いて照射した。硬化した繊維状ゲ
ルは、ノズル下150cmの位置にある容器中に落下さ
せた。得られた繊維状ゲルは乳白色を呈した。このゲル
を石油エーテル、エタノール、及び水の順で洗浄し減圧
下に十分乾燥させて白色の球状ゲルを得た。このゲル
は、外径0.75mm内径0.4mmであり、SEMに
よれば、細孔を有する層と、これの内表面に接着したポ
リマー粒子とが観察された。細孔径及び細孔形状はゲル
の内表面、外表面、及び断面におけるどの位置において
もほぼ同じであった。多孔質膜の細孔径は1.5μm、
空隙率は50.2%であった。 (ゲルの物性)このゲルを長さ3cmに切り、実施例1
と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
【0078】[実施例3] (重合性溶液Iの調製)エポキシエステル80MFアク
リル酸付加物(商品名エポライト80MFA、共栄社化
学)75部、ヘキサンジオールジアクリレート(商品名
ニューフロンティアHDDA、第一工業製薬社)25
部、イルガキュアー184を2部、相分離剤(B)とし
てポリエチレングリコールモノ−p−ノニルフェニルエ
ーテル(n=約7.5)200部、を均一に混合し、重
合性溶液I−3を得た。 (重合性溶液IIの調製)2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルフタル酸(商品名アロニックスM−540
0、東亜合成社)85部、架橋度調節用にメトキシノナ
エチレングリコールアクリレート(商品名NKエステル
AM−90G、新中村化学工業社)10部、EO変性ビ
スフェノールAジアクリレート(商品名ニューフロンテ
ィアBPE−4、第一工業製薬社)5部、ダロキュアー
2959を4部、液体(D)として蒸留水100部、2
−プロパノール100部、を均一に混合し、重合性溶液
II−3を得た。
【0079】(球状ゲルの作製)直径5mm、スリット
幅0.5mm、芯剤注入孔径2mmの円管ノズルを使用
し、芯剤として重合性溶液II−3を15ml/分(吐
出線速度8.1cm/秒)で注入しつつ、重合性溶液I
−3を15ml/分(吐出線速度2.9cm/秒)で空
気中に押し出し、ノズル下30〜60cmの範囲を、6
kwメタルハライドランプにより波長365nmの紫外
線を集光ミラーを用いて照射した。硬化した球状ゲル
は、ノズル下150cmの位置にある容器中に落下させ
た。得られた球状ゲルは乳白色を呈した。このゲルを
水、エタノール、水の順で洗浄し減圧下に十分乾燥させ
て白色の球状ゲルを得た。このゲルは、外径1.5m
m、膜厚み0.16mmであり、SEMによれば、外表
面に網状の多孔質構造が観察された。この構造はゲルの
内表面、外表面、及び断面におけるどの位置においても
ほぼ同じであった。また、細孔径は1.0μm、空隙率
は53.1%であった。 (ゲルの物性)このゲルについてpHの異なる緩衝液中
で吸水率を測定した。結果を表1に示す。
【0080】[実施例4] (重合性溶液Iの調製)実施例3と同じ重合性溶液I−
3を用いた。 (重合性溶液IIの調製)2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルフタル酸(商品名アロニックスM−540
0、東亜合成社)60部、架橋度調節用にメトキシノナ
エチレングリコールアクリレート(商品名NKエステル
AM−90G、新中村化学工業社)5部、EO変性ビス
フェノールAジアクリレート(商品名ニューフロンティ
アBPE−4、第一工業製薬社)35部、ダロキュアー
2959を4部、液体(D)として蒸留水100部、2
−プロパノール100部、を均一に混合し、重合性溶液
II−4を得た。
【0081】(球状ゲルの作製)重合性溶液II−4を
用いたこと以外は実施例3と同様な操作により白色の球
状ゲルを得た。ゲルの外径、内径、多孔質構造、孔径、
空隙率は実施例3のものとほぼ同等であった。 (ゲルの物性)このゲルについてpHの異なる緩衝液中
で吸水率を測定した。結果を表1に示す。
【0082】[実施例5] (重合性溶液Iの調製)数平均分子量2000で1分子
内に平均して3個のアクリロイル基を有するウレタンア
クリレートオリゴマー(商品名ユニディックV−426
3、大日本インキ化学工業社)70部、ポリプロピレン
グリコールジアクリレート(商品名ビスコート310H
P、大阪有機化学工業社)30部、イルガキュアー18
4(紫外線重合開始剤、チバガイギー社)を2部、相分
離剤(B)としてアジピン酸ジイソブチル180部、を
均一に混合し、重合性溶液I−5を得た。 (重合性溶液IIの調製)メタクリロイルオキシエチル
トリメチルアンモニウムクロライド(商品名ライトエス
テルDQ−75、共栄社化学)60部、架橋度調節用に
フェノキシジエチレングリコールアクリレート(商品名
M−101、東亜合成社)30部、架橋剤としてN−メ
チレンビスアクリルアミド10部、ダロキュアー295
9を6部、液体(D)として蒸留水150部、を均一に
混合し、重合性溶液II−5を得た。
【0083】(球状ゲルの作製)重合性溶液I−5、及
びII−5を用いたこと以外は実施例3と同様な操作に
より白色の球状ゲルを得た。このゲルは、外径1.5m
m、膜厚み0.16mmであり、SEMによれば、外表
面が互いに接着したポリマー粒子と、その間隙として与
えられる細孔とが観察された。細孔径及び細孔形状はゲ
ルの内表面、外表面、及び断面におけるどの位置におい
てもほぼ同じであった。また、細孔径は1.2μm、空
隙率は53.2%であった。 (ゲルの物性)このゲルについて各pHの水中で吸水率
を測定した。物性値を表1に示す。
【0084】[実施例6] (重合性溶液Iの調製)実施例5と同じ重合性溶液I−
5を用いた。 (重合性溶液IIの調製)N−1−メチル−2−メトキ
シエチルアクリルアミド70部、架橋度調節用にフェノ
キシジエチレングリコールアクリレート(商品名M−1
01、東亜合成社)25部、架橋剤としてN−メチレン
ビスアクリルアミド5部、ダロキュアー2959を4
部、液体(D)として蒸留水200部、脂肪族グリコー
ルエーテル(商品名PNT−40 Glycol、日本
乳化剤社)20部、を均一に混合し、重合性溶液II−
6を得た。
【0085】(繊維状ゲルの作製)直径5mm、スリッ
ト幅0.5mm、芯剤注入孔径2mmの円管ノズルを使
用し、芯剤として重合性溶液II−6を30ml/分
(吐出線速度16.7cm/秒)で注入しつつ、重合性
溶液I−5を100ml/分(吐出線速度19.4cm
/秒)で空気中に押し出し、ノズル下30〜60cmの
範囲を、6kwメタルハライドランプにより波長365
nmの紫外線を集光ミラーを用いて照射した。硬化した
繊維状ゲルは、ノズル下150cmの位置にある容器中
に落下させた。得られた繊維状ゲルは乳白色を呈した。
このゲルをエタノール、水、アセトン、ヘキサンの順で
洗浄し減圧下に十分乾燥させて白色の球状ゲルを得た。
このゲルは、外径0.7mm、内径0.4mm、であ
り、SEMによれば、外表面が互いに接着したポリマー
粒子と、その間隙として与えられる細孔とが観察され
た。細孔径は外表面の方が約0.2μmで、内表面及び
断面の方は約0.8μmであった。細孔の形状はどの位
置においてもほぼ同じであった。また、空隙率は54.
0%であった。 (ゲルの物性)このゲルを長さ3cmに切り、実施例1
と同様な評価を行った。結果を表1に示した。
【0086】[実施例7] (重合性溶液Iの調製)数平均分子量2000で1分子
内に平均して3個のアクリロイル基を有するウレタンア
クリレートオリゴマー(商品名ユニディックV−426
3、大日本インキ化学工業社)70部、ジシクロペンタ
ニルジアクリレート20部、メトキシテトラエチレング
リコールメタクリレート(商品名NKエステルM−40
G、新中村化学工業社)10部、イルガキュアー184
を2部、相分離剤(B)としてカプリン酸メチル80
部、及びラウリン酸メチル80部を均一に混合し、重合
性溶液I−7を得た。 (重合性溶液IIの調製)2−ヒドロキシエチルアクリ
レート60部、スルホン酸ソーダエトキシメタクリレー
ト5部、ノナエチレングリコールジアクリレート(商品
名NKエステルA−400、新中村化学工業社)35
部、ダロキュアー2959(紫外線重合開始剤、メルク
社)4部、液体(D)として蒸留水300部を、均一に
混合し、重合性溶液II−7を得た。
【0087】(球状ゲルの作製)重合性溶液I−7とI
I−7を用いたこと、及び洗浄はヘキサン、エタノー
ル、水の順で行ったこと以外は実施例3と同様な操作に
より白色の球状ゲルを得た。このゲルは、外径1.5m
m、膜厚み0.16mmであり、SEMによれば、外表
面に網状の多孔質構造が観察された。この構造はゲルの
内表面、外表面、及び断面におけるどの位置においても
ほぼ同じであった。また、細孔径は3.0μm、空隙率
は51.0%であった。 (ゲルの物性)このゲルについて25℃の水中で吸水率
を測定した。結果を表1に示した。
【0088】[実施例8] (重合性溶液Iの調製)ペンタエリスリトールトリアク
リレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマ
ー(商品名UAー306T、共栄社化学)60部、1,
6−ヘキサンジオールジアクリレート30部、ノニルフ
ェノキシオクタエチレングリコールアクリレート(商品
名アロニックスM−114、東亜合成社)10部、イル
ガキュアー184を2部、相分離剤(B)としてアジピ
ン酸ジイソブチル80部、及びアジピン酸ジイソオクチ
ル70部、を均一に混合し重合性溶液I−8を得た。 (重合性溶液IIの調製)メトキシトリエイコサエチレ
ングリコールメタクリレート(商品名M−230G、新
中村化学工業社)60部、EO変性ビスフェノールAジ
アクリレート(商品名ニューフロンティアBPE−1
0、第一工業製薬社)40部、ダロキュアー2959を
4部、液体(D)として蒸留水350部を、均一に混合
し、重合性溶液II−8を得た。
【0089】(球状ゲルの作製)重合性溶液I−8とI
I−8を用いたこと、及び洗浄はヘキサン、エタノー
ル、水の順で行ったこと以外は実施例3と同様な操作に
より白色の球状ゲルを得た。このゲルは、外径1.5m
m、膜厚み0.16mmであり、SEMによれば、外表
面に網状の多孔質構造が観察された。この構造はゲルの
内表面、外表面、及び断面におけるどの位置においても
ほぼ同じであった。また、細孔径は5.0μm、空隙率
は55.0%であった。 (ゲルの物性)このゲルについて25℃の水中で吸水率
を測定した。結果を表1に示した。
【0090】[比較例1] (球状ゲルの作製)芯剤として蒸留水を用いたこと以外
は実施例1と同様な操作により白色の球状カプセルを得
た。このカプセルは、内部が空洞の球状の多孔質膜であ
り、外径、膜厚み、孔径、細孔形状、及び空隙率が実施
例2とほぼ同等であった。 (ゲルの物性)このカプセルを各温度の水中で吸水率を
測定したところ、どの温度でも、12.0であった。
【0091】[比較例2] (球状ゲルの作製)直径6mm、スリット幅2mm、芯
剤注入孔径4mmの円管ノズルを使用し、重合性溶液I
I−1のみを10ml/分(吐出線速度1.3cm/
秒)で芯剤注入口より空気中に押し出し、ノズル下30
〜60cmの範囲を、6kwメタルハライドランプによ
り波長365nmの紫外線を集光ミラーを用いて照射し
た。しかし、球状のゲルは得られなかった。ノズル下1
50cmの位置にある容器中から回収したのは形の無い
ゼリー状のものであった。
【0092】[比較例3] (ゲルの作製)重合性溶液II−1を直径5cmのシャ
ーレに約5mmの厚みになる様に流し、3kwメタルハ
ライドランプにより波長365nmの紫外線を2分間照
射した。得られたゲルを水、エタノール、水の順で洗浄
し蒸留水中で保管した。 (ゲルの物性)このゲルを、約35℃以上で加熱し収縮
させた後、約1cm角に切り、各温度の水中で吸水率を
測定したところ、35℃以下では吸水したゲルは強度が
弱すぎて水中から形を保ったまま取り出すことができな
かった。35℃以上ではゲルが収縮し、水を殆ど吐き出
した。また、収縮したゲルを取り出して真空乾燥したと
ころ、ゲルが粉状になってしまった。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】本発明の多孔質膜で表面を被覆されたゲ
ルは、吸水性に優れ、強度が強く、膨潤時形状が変形せ
ず濾別等の操作やハンドリングに優れる。また多孔質膜
素材が架橋構造を有するものは特に、ゲルの強度、耐熱
性、耐薬品性等に優れる。また、本発明の製造方法は、
ゲルと多孔質被覆膜を同時に成形できるという特徴を持
っている。親水性基等の置換基の多孔質膜及びゲルへの
導入が容易である。更に、ゲルの製造において実質的に
瞬間的に重合、相分離が完了するため、生産性が高い。
また、本発明の製造方法で製造されたゲルは、ゲルが多
孔質膜内表面と結合しているため、ゲルの溶出が起こら
ない。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲルを膨潤させている溶剤により膨潤し
    ない重合体からなる多孔質膜が、ゲル表面を被覆してい
    ることを特徴とする、多孔質膜で表面を被覆されたゲ
    ル。
  2. 【請求項2】 多孔質膜が、架橋構造を有するポリマー
    で構成されている請求項1記載の多孔質膜で表面を被覆
    されたゲル。
  3. 【請求項3】 ゲルが、架橋構造を有する含水ゲルであ
    る請求項1又は2に記載の多孔質膜で表面を被覆された
    ゲル。
  4. 【請求項4】 多孔質膜が、(メタ)アクリル酸系モノ
    マー、(メタ)アクリル酸系オリゴマー、(メタ)アク
    リル酸エステル系モノマー及び(メタ)アクリル酸エス
    テル系オリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の非
    親水性化合物を主要構成成分としてなる重合体である請
    求項3記載の多孔質膜で表面を被覆されたゲル。
  5. 【請求項5】 ゲルが、(メタ)アクリル酸系モノマ
    ー、(メタ)アクリル酸系オリゴマー、(メタ)アクリ
    ル酸エステル系モノマー及び(メタ)アクリル酸エステ
    ル系オリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の親水
    性単官能化合物を主要構成成分としてなる重合体である
    請求項4記載の多孔質膜で表面を被覆されたゲル。
  6. 【請求項6】 ゲルが、刺激応答性ゲルである請求項5
    記載の多孔質膜で表面を被覆されたゲル。
  7. 【請求項7】 ゲルが、温度応答性ゲルである請求項6
    記載の多孔質膜で表面を被覆されたゲル。
  8. 【請求項8】 ゲルが、pH応答性ゲルである請求項6
    記載の多孔質膜で表面を被覆されたゲル。
  9. 【請求項9】 ゲルが、アミン含有モノマー及び/又は
    オリゴマーからなる重合体を含有するものである請求項
    7又は8記載の多孔質膜で表面を被覆されたゲル。
  10. 【請求項10】 ゲルが、カルボキシル基、燐酸基、ス
    ルホン酸基又は4級アンモニウム塩基を有するモノマー
    及び/又はオリゴマーからなる1種以上の重合体を含有
    するものである請求項8記載の多孔質膜で表面を被覆さ
    れたゲル。
  11. 【請求項11】 エネルギー線照射により重合可能なモ
    ノマー及び/又はオリゴマー(A)と、該モノマー及び
    /又はオリゴマー(A)と相溶しかつこれらモノマー及
    び/又はオリゴマー(A)にエネルギー線を照射するこ
    とにより生成するポリマーを溶解又は膨潤させずエネル
    ギー線に対して不活性な相分離剤(B)とを混合した均
    一な重合性溶液(I)を鞘とし、エネルギー線照射によ
    り重合可能な多官能モノマー及び/又はオリゴマーを必
    須成分とするモノマー及び/又はオリゴマー(C)と、
    該モノマー及び/又はオリゴマー(C)と相溶しかつモ
    ノマー及び/又はオリゴマー(C)にエネルギー線を照
    射することにより生成するポリマーを膨潤させかつモノ
    マー及び/又はオリゴマー(A)と相溶しないエネルギ
    ー線に対して不活性な液体(D)とを混合した均一な重
    合性溶液(II)を芯として、該重合性溶液(I)及び
    (II)を同時に押し出し、これにエネルギー線を照射
    することを特徴とする、多孔質膜で表面を被覆されたゲ
    ルの製造方法。
  12. 【請求項12】 モノマー及び/又はオリゴマー(A)
    が水に溶解しないモノマー及び/又はオリゴマーを主成
    分とし、かつ、モノマー及び/又はオリゴマー(C)が
    水に溶解するモノマー及び/又はオリゴマーを主成分と
    する請求項11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 モノマー及び/又はオリゴマー(A)
    が、ビニル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を、1
    分子内に1〜6個有するものであり、かつ、モノマー及
    び/又はオリゴマー(C)が、単官能モノマー及び/又
    はオリゴマー(C’)と、多官能モノマー及び/又はオ
    リゴマー(C”)との混合物である請求項11又は12
    記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 単官能モノマー及び/又はオリゴマー
    (C’)が、水に溶解するモノマー及び/又はオリゴマ
    ーである請求項13記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 単官能モノマー及び/又はオリゴマー
    (C’)が、アミン、カルボキシル基、燐酸基、スルホ
    ン酸基、4級アンモニウム塩基を有するモノマー及び/
    又はオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上のもの
    である請求項14記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 多官能モノマー及び/又はオリゴマー
    (C”)が、(メタ)アクリロイル基を1分子内に2〜
    6個有するものである請求項13〜15のいずれか1項
    に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 相分離剤(B)が、非水溶性の有機溶
    剤である請求項12〜16のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  18. 【請求項18】 液体(D)が、水又は水溶液である請
    求項16のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 重合性溶液(I)及び重合性溶液(I
    I)を二重円管ノズルを用いて気体又は液体中に押し出
    し、糸状又は液滴状で落下又は走行している部分にエネ
    ルギー線を照射する請求項11〜18のいずれか1項に
    記載の製造方法。
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