JPH09138430A - エレクトロクロミック素子及びその製造方法 - Google Patents

エレクトロクロミック素子及びその製造方法

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JPH09138430A
JPH09138430A JP8229938A JP22993896A JPH09138430A JP H09138430 A JPH09138430 A JP H09138430A JP 8229938 A JP8229938 A JP 8229938A JP 22993896 A JP22993896 A JP 22993896A JP H09138430 A JPH09138430 A JP H09138430A
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transparent
electrochromic
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resin
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JP8229938A
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English (en)
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Junji Terada
順司 寺田
Shigeru Hashimoto
茂 橋本
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 封止後に所定の着色・消色スピード及び着色
濃度変化量を再現性良く安定して示し、さらに、繰り返
し耐久性に優れたエレクトロクロミック素子を提供す
る。 【解決手段】 透明基板1上に、透明電極2a、酸化発
色性エレクトロクロミック層3、透明イオン伝導層4、
還元発色性エレクトロクロミック層5、透明電極2bを
積層し、上下透明電極2a、2b間に電圧を印加してエ
レクトロクロミック層3、5と透明イオン伝導層4に含
まれるH2 OをH+ とOH- にイオン化した状態で、ヤ
ング率が8〜60kgf/cm2 の樹脂6及び封止基板
7により封止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透過率可変フィルタ
ー、表示素子等に用いられるエレクトロクロミック素子
及びその製造方法に関し、特に全固体型エレクトロクロ
ミック素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電界を印加することにより着消色するエ
レクトロクロミック素子(以下EC素子と記す)は、通
常の液晶素子と比較して、消色時の光透過率が高い、偏
光の影響を受けない、メモリー性があるといった特徴が
あるため、表示素子や透過率可変フィルターへの適用が
研究されている。
【0003】全固体型のエレクトロクロミック素子とし
ては、USP3,521,941号明細書などに記載さ
れている、ネサガラス(SnO2 :透明電極)上にa−
WO3 膜、SiO2 又はCaF2 などの絶縁層、Au電
極を順次積層した4層構成の素子が知られている。ま
た、特公昭60−31355号、USP4、350、4
14号明細書などには、ガラスなどの透明基板上に、I
23 透明電極、Ir(OH)x からなる酸化発色性
エレクトロクロミック層、Ta25 からなる透明イオ
ン伝導層(固体電解質層)、WO3 からなる還元発色性
エレクトロクロミック層、In23 透明電極、を順次
形成することにより、応答速度、繰り返し耐久性(着色
・消色を繰り返した際の耐久性)、を改善した5層構成
のEC素子が開示されている。
【0004】これらのEC素子は、S.K.Deb:P
hil.Mag.27(1973)801.,松久・増
田:真空、第11巻(1980)503〜514頁、及
び、特公平4−35735号公報、に記載されているよ
うに、外界の湿度の影響を受けやすく、特に真空中では
全く着消色を示さないことが知られている。
【0005】このような外界の湿度の影響を受けないよ
うにして、EC素子の耐久性を高めるために、ガラス基
板などの封止基板とエポキシ樹脂などの封止樹脂とを用
いてEC素子を封止する技術が、特公平4−35735
号公報、特開昭63−294536号公報などに記載さ
れている。
【0006】また、上記特公平4−35735号公報に
は、封止後の着色ムラの発生や、耐候性テスト後の性能
低下を防止するために、エレクトロクロミック材料中に
10〜30容量%の水分が含まれていることを確認した
後に封止する点が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、着色・消色を繰り返すことにより、EC素子
内でガスが発生し、これによりEC素子が体積膨張し、
EC素子の膜破壊、封止樹脂又は封止基板の剥離、それ
に伴う外観劣化(光が散乱して見えるようになる)、な
どが生じるという問題があった。
【0008】前記WO3 層と絶縁層とを積層してなる4
層構成のEC素子での着色、消色の反応は次のようであ
ると推定される。
【0009】(1)着色時 2nH2 O→2nH+ +2nOH- 2WO3 +2nH+ +2ne- →2Hn WO3 2nOH- →nH2 O+(1/2)nO2 ↑+2ne- (2)消色時 2Hn WO3 →2WO3 +2nH+ +2ne- 2nH+ +2ne- →nH2 ↑ また、前記WO3 層と絶縁層とにIr(OH)x 層をさ
らに積層した5層構成のEC素子での着色、消色反応は
次式のようであると推定される。
【0010】(3)着色時 nH2 O→nH+ +nOH- WO3 +nH+ +ne- →Hn WO3 nOH- +Ir(OH)x →Ir(HO)n+x +2ne
- (4)消色時 Hn WO3 →WO3 +nH+ +ne- Ir(OH)n+x +ne- →nOH- +Ir(OH)x nH+ +nOH- →nH2
【0011】上記式(1)、(2)より、4層構成のE
C素子では、着消色反応によって酸素ガスと水素ガスと
が発生することがわかる。また、上記式(3)、(4)
に示されているように、5層構成のEC素子では、水の
分解と再結合とが可逆的に起こっており、酸素ガスと水
素ガスとが発生せずに着色と消色とが繰り返されている
ことがわかる。尚、上記式中のH2Oは、主として透明
イオン伝導層中に存在し、電界が加えられることによっ
て、H+とOH-とに解離する。これらのH+とOH-は、
透明イオン伝導層を介した電荷の移動を行なう物質、即
ちキャリヤーである。ここで、上記H2Oはキャリヤー
前駆体といえる。このような可逆的な反応が常に行われ
るためには、還元発色性エレクトロクロミック層中の物
質(主として還元発色性エレクトロクロミック物質、例
えばWO3 )がH+ イオンと反応できる量と、酸化発色
性エレクトロクロミック層中の物質(主として酸化発色
性エレクトロクロミック物質、例えばIr(OH)x
がOH- イオンと反応できる量との間にバランスが取れ
ていることが必要である。
【0012】しかしながら、上記5層構成のEC素子に
おいても、着消色を繰り返すうちに、還元発色性エレク
トロクロミック層中の物質の反応量と、酸化発色性エレ
クトロクロミック層中の物質の反応量とのバランスが崩
れてきて、酸素ガス及び/又は水素ガスが発生してく
る。
【0013】また、上記特公平4−35735号公報記
載の、エレクトロクロミック材料中に水分を含有させた
後に封止する方法を用いて複数のEC素子を製造した場
合、各EC素子製造時の条件(製造雰囲気など)のわず
かな違いによって、着色、消色速度、及び着色濃度変化
量に差異が生じてしまうという問題があった。
【0014】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、本発明の目的は、EC素子の層構成に関係なく、
着消色の繰り返しによる、EC素子の膜破壊、封止樹脂
または封止基板の剥離、外観劣化、といった問題点が解
決されたEC素子を提供することである。
【0015】また、本発明の目的は、封止後に所定の着
色、消色スピード及び着色濃度変化量(コントラスト)
を再現性良く示すEC素子を提供することである。
【0016】加えて、本発明の目的は、繰り返し耐久性
に優れ、安定した着色、消色スピード及び着色濃度変化
量を示すEC素子を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、一対の対向する透明基板間に、一対の対
向する透明電極と、該透明電極間に挟持される、エレク
トロクロミック層と透明イオン伝導層とを少なくとも有
するエレクトロクロミック素子であって、少なくとも前
記エレクトロクロミック層と透明イオン伝導層とが、8
〜60Kgf/cm2 のヤング率を有する樹脂で被覆さ
れていることを特徴とするエレクトロクロミック素子で
ある。
【0018】また、本発明は、一対の対向する透明基板
間に、一対の対向する透明電極と、該透明電極間に挟持
される、エレクトロクロミック層と透明イオン伝導層と
を少なくとも有するエレクトロクロミック素子であっ
て、前記エレクトロクロミック層及び透明イオン伝導層
中のキャリヤー前駆体をイオン化した状態で、少なくと
も前記エレクトロクロミック層と透明イオン伝導層とを
樹脂で被覆してなることを特徴とするエレクトロクロミ
ック素子である。
【0019】さらに、本発明は、一対の対向する透明基
板間に、一対の対向する透明電極と、該透明電極間に挟
持される、エレクトロクロミック層と透明イオン伝導層
とを少なくとも有するエレクトロクロミック素子の製造
方法であって、少なくとも前記エレクトロクロミック層
と透明イオン伝導層とを、8〜60Kgf/cm2 のヤ
ング率を有する樹脂で被覆することを特徴とするエレク
トロクロミック素子の製造方法である。
【0020】加えて、本発明は、一対の対向する透明基
板間に、一対の対向する透明電極と、該透明電極間に挟
持される、エレクトロクロミック層と透明イオン伝導層
とを少なくとも有するエレクトロクロミック素子の製造
方法であって、前記エレクトロクロミック層及び透明イ
オン伝導層中のキャリヤー前駆体をイオン化した状態
で、少なくとも前記エレクトロクロミック層と透明イオ
ン伝導層とを樹脂で被覆することを特徴とするエレクト
ロクロミック素子の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるEC素子の
好適な実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0022】図1は、本発明にかかるEC素子の一例を
示す模式的な断面図である。
【0023】本実施態様にかかるEC素子は、透明基板
1上に、透明電極(透明導電層)2a、酸化発色性エレ
クトロクロミック層3、透明イオン伝導層(固体電解質
層)4、還元発色性エレクトロクロミック層5、透明電
極(透明導電層)2bが、順次積層された5層構造のE
C素子である。そして、透明電極2bに対向するよう
に、透明基板(封止基板)7が設けられており、封止基
板7と透明電極2bとの間、及び透明電極2aと透明電
極2bとの間の各層の周囲には、透明な樹脂(封止樹
脂)6が設けられている。即ち、EC素子10は樹脂封
止されている。封止樹脂6は、透明電極2bと透明基板
7とを接着する役割を有するとともに、酸化発色性エレ
クトロクロミック層3、透明イオン伝導層4、及び還元
発色性エレクトロクロミック層5の各層を被覆しこれら
の各層が外気に触れるのを防止する役割を有している。
この際、透明電極2a、2bの外部接続用の部分は外気
に触れていても構わない。そして、この外部接続用の部
分に、所望の配線をすることができる。また、透明基板
1、7は、EC素子10を物理的に保護すると同時に、
EC素子への外気の影響をさらに小さくするという役割
も担っている。
【0024】上記各層のうち、酸化発色性エレクトロク
ロミック層3は酸化発色性エレクトロクロミック物質と
金属酸化物との混合物からなる層(以下、単に混合層と
いう)としても良く、また、酸化発色性エレクトロクロ
ミック層3と透明イオン伝導層4との間に、酸化発色性
エレクトロクロミック層3とは別に混合層を設けて6層
構造のEC素子としてもよい。
【0025】透明基板1、封止基板7としては、ガラス
基板が好適に用いられるが、EC素子の用途などに応じ
て、プラスティックなど、種々の透明な材料からなる基
板を用いることができる。また、透明基板1の透明電極
2aと反対側の表面(外側の表面)及び封止基板7の透
明電極2bと反対側の表面(外側の表面)には、Al2
3 、TiO2 、MgF2 などの誘電体などからなる単
層膜或いは該単層膜を複数種積層したものを設けること
により、反射防止コーティング(ARC)を施すことが
好ましい。
【0026】透明電極2a、2bとしては、In2
3 、SnO2 、ITO(インジウム錫酸化物)などを用
いることができるが、光学特性(光透過率)、抵抗値な
どの面でITOが好ましく、In23 とSnO2 との
比が95:5程度のITOがより好ましい。
【0027】酸化発色性エレクトロクロミック層3は、
Co、Ni、Fe、Ir、Cu、Ru、Rh、Pd、P
t、Cr、Dy、Erから選ばれる少なくとも1種を有
することが好ましく、これらは、金属単体(M)、或い
はその酸化物(MOx )、もしくはその水酸化物(M
(OH)x )、或いはその酸水酸化物(MOx (OH)
y )、或いはそれらの混合物での状態で存在している。
また、酸化発色性エレクトロクロミック層3は、光学特
性、繰り返し耐久性の面で、イリジウム、酸化イリジウ
ム、水酸化イリジウム、酸水酸化イリジウム、コバル
ト、酸化コバルト、水酸化コバルト、酸水酸化コバル
ト、ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、酸水酸
化ニッケル、もしくはこれらのうちから選ばれる2種以
上の物質の混合物、からなることが、さらに好ましい。
【0028】また、酸化発色性エレクトロクロミック層
3の層厚は1nm〜50nmが好ましい。層厚が1nm
よりも小さくなると繰り返し耐久性が悪化し、層厚が5
0nmよりも大きくなると吸光度が大きくなる。
【0029】混合層を形成する場合、該層に用いられる
酸化発色性エレクトロクロミック物質は、Co、Ni、
Fe、Ir、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Cr、D
y、Erから選ばれる少なくとも1種を有することが好
ましく、これらは、金属単体(M)、或いはその酸化物
(MOx )、もしくはその水酸化物(M(OH)x )、
或いはその酸水酸化物(MOx (OH)y )、或いはそ
れらの混合物での状態で存在している。また、上記酸化
発色性エレクトロクロミック物質としては、光学特性、
繰り返し耐久性の面で、イリジウム、酸化イリジウム、
水酸化イリジウム、酸水酸化イリジウム、コバルト、酸
化コバルト、水酸化コバルト、酸水酸化コバルト、ニッ
ケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、酸水酸化ニッケ
ル、もしくはこれらのうちから選ばれる2種以上の物質
の混合物が、さらに好ましい。
【0030】混合層に用いられる金属酸化物としては、
光透過率の高いものが好ましい。また、該金属酸化物
は、実用的な電圧印加状態で還元発色性エレクトロクロ
ミズムを示さない物質であることが好ましい。該金属酸
化物としては、具体的には、TiO2 、Ta25 、Z
rO2 、HfO2 、Y23 、Al23 、SiO2
SnO2 の中から選ばれる1種、または2種以上の混合
物が好適である。
【0031】混合層において、酸化発色性エレクトロク
ロミック物質と金属酸化物との重量比は、0.02≦
(酸化発色性エレクトロクロミック物質/金属酸化物)
≦1であることが好ましい。重量比が1よりも大きくな
ると吸光度が大きくなり、重量比が0.02よりも小さ
くなると着色速度(応答速度)が遅くなると共に耐久性
が悪くなる。
【0032】また、混合層の層厚としては10nm〜5
000nmが応答速度、光透過率の点から望ましい。層
厚が5000nmよりも大きくなると吸光度が大きくな
り、層厚が10nmよりも小さくなると着色速度(応答
速度)が遅くなると共に耐久性が悪くなる。
【0033】透明イオン伝導層(固体電解質層)4は、
Ta25 、ZrO2 、SiO2 、MgF2 、もしくは
これらの混合物からなることが好ましく、光学特性、繰
り返し耐久性の面でTa25 が特に好ましい。
【0034】還元発色性エレクトロクロミック層5は、
WO3 、MoO3 、Nb25 もしくはこれらの混合物
からなることが好ましく、着色速度の点でWO3 からな
ることが特に好ましい。またWO3 とMoO3 との混合
物を用いて還元発色性エレクトロクロミック層5を形成
することによって、着色時に黒色となるEC素子とする
ことができる。
【0035】また、酸化発色性エレクトロクロミック層
3、混合層以外の各層の層厚は1nm〜5000nmが
好ましく、要求される光学特性、繰り返し耐久性などに
より決定される。
【0036】本願第一の発明では、封止樹脂6は、ヤン
グ率で8〜60Kgf/cm2 の範囲の弾性を有する樹
脂である。該ヤング率は、引張強度10mm/minで
引張試験を行うことによって測定した。該封止樹脂6と
しては、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、変性アクリレー
ト樹脂、エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらの樹
脂は、上記範囲のヤング率を有していることが好ましい
が、それぞれの具体的な樹脂における望ましいヤング率
の範囲は樹脂の接着強度などに応じて決まり、シリコン
樹脂が10〜60Kgf/cm2 、ウレタン樹脂が8〜
34Kgf/cm2 、変性アクリレート樹脂が8〜35
Kgf/cm2 、エポキシ樹脂が10〜40Kgf/c
2 である。
【0037】本願第一の発明では、上記構成とすること
により、着色・消色の繰り返しによるガス発生に伴うE
C素子の体積膨張による変形を、封止樹脂にて吸収し、
実質的な損傷や外観劣化を防止することができる。当該
効果は、ヤング率が上記範囲にある樹脂を用いることに
よって得られる。これによって、封止することによるE
C素子の特性劣化を防止することができる。
【0038】本願第二の発明にかかるEC素子は、上記
樹脂封止を行う前に、EC素子内に存在するキャリヤー
前駆体をイオン化させ、キャリヤー前駆体がイオン化し
た状態(即ち、キャリヤーとなった状態)で樹脂封止を
行ったことを特徴としている。
【0039】尚、本明細書中でいうキャリヤー前駆体と
は、電界を加えることによって容易に陽イオンと陰イオ
ンに分離する物質であり、透明イオン伝導層中の電荷移
動に寄与する物質である。具体的には、H2 O、Li
I、Li3 N、Li2 WO4 等が挙げられ、電荷移動速
度の点及び特別な注入装置を必要としない点からH2
が好ましい。
【0040】透明イオン伝導層4内のキャリヤー前駆体
はイオン化されることによってキャリヤーとなり、還元
発色性エレクトロクロミック層などに移動する。それに
より透明イオン伝導層中へのキャリヤー前駆体の取り込
みが容易となる。さらに、電圧を印加することによって
各エレクトロクロミック層は着色するが、その着色濃度
をモニターし、所望の着色濃度となった時点で樹脂封止
することにより、EC素子作成時の条件(製造雰囲気な
ど)のわずかな違いによって生じていた封止後の着色・
消色スピード及び着色濃度変化量(コントラスト)のば
らつきを低減することができる。
【0041】本実施態様にかかるEC素子は、透明基板
1上に、透明電極2a、酸化発色性エレクトロクロミッ
ク層3、透明イオン伝導層4、還元発色性エレクトロク
ロミック層5、透明電極2bが、順次積層されている
が、逆に、透明基板上に、透明電極、還元発色性エレク
トロクロミック層、透明イオン伝導層、酸化発色性エレ
クトロクロミック層、透明電極、の順次積層されていて
もよい。
【0042】次に、本実施態様にかかるEC素子10の
製造方法について説明する。
【0043】先ず、透明基板1上に、透明電極(透明導
電層)2aを例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング、CVDなどの公知の成膜法により形
成する。
【0044】次に、透明電極2a上に、酸化発色性エレ
クトロクロミック層3を、例えば、真空蒸着、スパッタ
リング、イオンプレーティング、CVDなどの公知の成
膜方法により形成する。
【0045】次に、透明イオン伝導層4を、前述したよ
うな公知の成膜法により形成する。
【0046】続いて、還元発色性エレクトロクロミック
層5、透明電極(透明導電層)2bを順に、前述した公
知の成膜法により形成する。
【0047】最後に、封止樹脂6及び封止基板7を用い
てEC素子10を樹脂封止する。
【0048】ここで、本願第二の発明にかかる樹脂封止
法について、図2を用いて説明する。
【0049】図2は、本願第二の発明にかかるEC素子
の製造過程における封止直前のEC素子の一例を示す模
式的な断面図である。同図中、図1に示すものと同じ部
分は、図1と同じ符号を付し、説明を省略する。図2に
示すEC素子20は、酸化発色性エレクトロクロミック
層を持たない4層構成のEC素子である。以下、この4
層をまとめて4層構造体8とする。尚、9は透明電極2
a、2bに接続されこれらの電極間に電圧を印加するこ
とのできる定電圧電源である。
【0050】本願第二の発明にかかる樹脂封止法では、
樹脂封止を行う前に、定電圧電源9によって、透明電極
2a、2b間に電圧を印加することによって、4層構造
体中のキャリヤー前駆体をイオン化し、電圧を印加した
ままの状態で図1に示したのと同様の形状にあるように
樹脂封止を行う。具体的には、EC素子20の着色・消
色が可逆的な範囲の着色濃度となるように、より好まし
くは、さらに所定の着色スピード(例えば、3Vの電圧
を印加した時に、2secで光学濃度変化ΔOD=1.
0となるようなスピード)が得られるように、前記電極
間に印加する電圧を制御して前記キャリヤー前駆体をイ
オン化する。透明イオン伝導層4中のキャリヤー前駆体
はイオン化されると共に、還元発色性エレクトロクロミ
ック層、酸化発色性エレクトロクロミック層(図2のE
C素子には存在しない)等の層へと移動する。それによ
り、透明イオン伝導層中へのキャリヤー前駆体の取り込
みが容易となる。
【0051】さらに、電圧を印加することによって各エ
レクトロクロミック層は着色するが、その着色濃度をモ
ニターし、所望の着色濃度となった時点で樹脂封止する
ことにより、封止後の着色・消色スピード及び着色濃度
変化量などの特性が安定化されたEC素子を再現性良く
製造することが可能となる。
【0052】また、前記キャリヤー前駆体としてH2
を用い、電圧印加によってH+ とOH- とにイオン化さ
せる場合には、上述のようにしてイオン化量を制御し、
着色濃度をモニターすることにより、大気中の湿度変動
と関係なく、必要量の水分を再現性良く大気中からEC
素子内、とりわけ透明イオン伝導層内に取り込むことが
可能となる。そのため、封止環境を特に制御する必要が
なく、且つキャリヤー前駆体としてLi化合物などを用
いる場合に必要な注入設備なども不要となる。
【0053】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて説明する。
尚、本発明は以下の実施例により限定されるものではな
い。
【0054】実施例1 一方の面に反射防止膜を設けたガラス基板の他方の面上
に、基板温度=300℃、O2 分圧=5×10-2Paの
条件でITOを真空蒸着し、第1層として、層厚150
nmの透明電極(透明導電層)を形成した。
【0055】次に、該透明電極上に、基板温度=室温、
水蒸気とArとの混合ガス圧=5Pa、水蒸気とArと
の流量比=3の条件で、金属イリジウムをターゲットと
して高周波スパッタリングによる成膜を行い、第2層と
して、層厚5nmの酸化発色性エレクトロクロミック層
を形成した。その際、金属イリジウムターゲットへの入
力パワーは130Wとした。尚、この酸化発色性エレク
トロクロミック層は、イリジウム酸化物及びイリジウム
水酸化物を主成分としている。
【0056】次に、該酸化発色性エレクトロクロミック
層上に、基板温度300℃、O2 分圧=3×10-2Pa
の条件で五酸化タンタルを真空蒸着し、第3層として、
層厚300nmの透明イオン伝導層を形成した。
【0057】次に、該透明イオン伝導層上に、基板温度
300℃、O2 分圧=5×10-2Paの条件で三酸化タ
ングステンを真空蒸着し、第4層として、層厚1000
nmの還元発色性エレクトロクロミック層を形成した。
【0058】続いて、該還元発色性エレクトロクロミッ
ク層上に、基板温度300℃、O2分圧=5×10-2
a、高周波パワー150Wの条件でITOを高周波イオ
ンプレーティングにより蒸着し、第5層として、層厚4
50nmの透明電極(透明導電層)を形成した。
【0059】最後に、封止基板と、ヤング率が10Kg
f/cm2 の変性アクリレート樹脂とを用いて、樹脂封
止した。
【0060】以上のようにして、図1に示すような5層
構造のEC素子が得られた。
【0061】上記素子の透明電極2a、2bに、透明電
極2bを負にして電圧を加えると、酸化還元反応が起
き、着色した。また透明電極2bを正にして電圧を印加
すると、逆の酸化還元反応が起き、消色した。
【0062】本実施例のEC素子においても、着色・消
色を繰り返すと、ガスの発生によりEC素子の膜が膨張
する。しかしながら、弾性を有する封止樹脂が、該膜膨
張を吸収し、膜の破壊や、封止樹脂、封止基板の剥離を
抑制する。また、該封止樹脂によって、酸化発色性エレ
クトロクロミック層、透明イオン伝導層、還元発色性エ
レクトロクロミック層への外界の湿度の影響が低減され
る。該封止基板は該封止樹脂及び上記各層を保護する役
割も担っている。
【0063】本実施例のEC素子の電極間に電圧3Vを
印加し、光学濃度変化ΔODが1.0となるように着色
・消色を繰り返したところ、50万回後においても、E
C素子の膜破壊や、封止樹脂、封止基板の剥離、外観劣
化は認められなかった。また、繰り返し後の光学濃度変
化ΔODを測定したところ、初期と同じ1.0であり、
素子特性の劣化も認められなかった。本明細書中で光学
濃度変化ΔODは、ΔOD=log10(T0 /T)(T
0 :消色時の透過率、T:着色時の透過率)で求めるこ
とができる。
【0064】実施例2 実施例1の封止樹脂をヤング率が60Kgf/cm2
シリコン樹脂に変えた以外は、実施例1と全く同じEC
素子を作製し、実施例1と同様に透明電極間に電圧3V
を印加し、光学濃度変化ΔODが1.0となるように、
50万回着色・消色を繰り返した。その結果、EC素子
の膜破壊や、封止樹脂、封止基板の剥離も生じず、外観
劣化、光学濃度変化ΔODの変化も認められなかった。
【0065】実施例3 実施例1の封止樹脂をヤング率が17Kgf/cm2
エポキシ樹脂に変えた以外は、実施例1と全く同じEC
素子を作製し、実施例1、2と同様に透明電極間に電圧
3Vを印加し、光学濃度変化ΔODが1.0となるよう
に、50万回着色・消色を繰り返した。その結果、EC
素子の膜破壊や、封止樹脂、封止基板の剥離も生じず、
外観劣化、光学濃度変化ΔODの変化も認められなかっ
た。
【0066】実施例4 酸化発色性エレクトロクロミック層のない4層構成のE
C素子とする以外は、実施例1と全く同じEC素子を作
製し、実施例1〜3と同様に透明電極間に電圧3Vを印
加し、光学濃度変化ΔODが1.0となるように、20
万回着色・消色を繰り返した。その結果、EC素子の膜
破壊や、封止樹脂、封止基板の剥離も生じず、外観劣
化、光学濃度変化ΔODの変化も認められなかった。
【0067】比較例1 実施例1の封止樹脂を、寸法制度を有する光学部品の接
着などに用いる、弾性に乏しいエポキシ樹脂(ヤング率
は2000〜3000Kgf/cm2 )に変えた以外
は、実施例1と全く同じEC素子を作製し、実施例1〜
4と同様に透明電極間に電圧3Vを印加し、光学濃度変
化ΔODが1.0となるように着色・消色を繰り返した
ところ、20〜50回でEC素子の内部に多数の気泡が
発生し、EC素子の膜破壊や、封止基板の剥離が生じ、
外観劣化が認められた。また、光学濃度変化ΔODを測
定したところ、0.1〜0.4に低下していた。
【0068】比較例2 実施例1の封止樹脂を、ヤング率が70〜100Kgf
/cm2 の変性アクリレート樹脂に変えた以外は、実施
例1と全く同じEC素子を作製し、実施例1〜4と同様
に透明電極間に電圧3Vを印加し、光学濃度変化ΔOD
が1.0となるように着色・消色を繰り返したところ、
比較例1と同様に、20〜50回でEC素子の内部に気
泡が発生し、外観劣化が認められた。また、光学濃度変
化ΔODを測定したところ、0.5〜0.6に低下して
いた。
【0069】比較例3 実施例1の封止樹脂を、ヤング率が3〜6Kgf/cm
2 のシリコン樹脂に変えた以外は、実施例1と全く同じ
EC素子を作製し、実施例1〜4と同様に透明電極間に
電圧3Vを印加し、光学濃度変化ΔODが1.0となる
ように着色・消色を繰り返したところ、EC素子が著し
く変形し、光学経路内などに配置する上での素子として
の機能を損なってしまった。
【0070】比較例4 実施例4の封止樹脂を、ヤング率が70〜100Kgf
/cm2 の変性アクリレート樹脂に変えた以外は、実施
例4と全く同じEC素子を作製し、実施例1〜4と同様
に透明電極間に電圧3Vを印加し、光学濃度変化ΔOD
が1.0となるように着色・消色を繰り返したところ、
12〜16回でEC素子の内部に多数の気泡が発生し、
外観劣化(光散乱)が認められた。また、光学濃度変化
ΔODを測定したところ、0.5〜0.6に低下してい
た。
【0071】実施例5 一方の面に反射防止膜を設けたガラス基板の他方の面上
に、基板温度=300℃、O2 分圧=5×10-2Paの
条件でITOを真空蒸着し、第1層として、層厚150
nmの透明電極(透明導電層)を形成した。
【0072】次に、該透明電極上に、基板温度300
℃、O2 分圧=3×10-2Paの条件で五酸化タンタル
を真空蒸着し、第2層として、層厚300nmの透明イ
オン伝導層を形成した。
【0073】次に、該透明イオン伝導層上に、基板温度
300℃、O2 分圧=5×10-2Paの条件で三酸化タ
ングステンを真空蒸着し、第3層として、層厚1000
nmの還元発色性エレクトロクオロミック層を形成し
た。
【0074】続いて、該還元発色性エレクトロクロミッ
ク層上に、基板温度300℃、O2分圧=5×10-2
a、高周波パワー150Wの条件でITOを高周波イオ
ンプレーティングにより蒸着し、第4層として、層厚4
50nmの透明電極(透明導電層)を形成し、図2に示
すような4層構造のEC素子(封止前)とした。
【0075】次に、電源9を用いて、上記4層構造のE
C素子(封止前)の電極2a、2b間に電極2bが負に
なるように電圧を印加して、還元発色性エレクトロクロ
ミック層を着色させた。この時、着色・消色が可逆な範
囲内(本実施例では着色濃度変化量である光学濃度変化
ΔODが1.6以下)の光学濃度変化が起こるようにし
た。具体的には、光学濃度変化ΔODが1.2まで一定
のスピード(本実施例では10sec)で着色するよう
に、上記電圧の印加を制御した。これにより、4層構造
体8内のキャリヤー前駆体であるH2 OをH+ とOH-
にイオン化させた。上記着色状態にて、封止樹脂を塗布
した封止基板により、樹脂封止を行った。ここで、封止
樹脂としてはヤング率が60Kgf/cm2 の変性アク
リレート樹脂を用いた。
【0076】以上のようにして作製した本実施例の複数
のEC素子において、透明電極2a、2b間に透明電極
2bが正になるように電圧を印加し、酸化還元反応を起
こさせて消色した後、該透明電極間に電圧3Vを印加
し、着色・消色スピード及び光学濃度変化ΔODを測定
した。その結果、いずれのEC素子も着色・消色スピー
ドが6sec、及び光学濃度変化ΔODが1.0とな
り、封止後の着色・消色スピード及び光学濃度変化ΔO
Dに差異はなかった。
【0077】また、本実施例のEC素子は、着色・消色
を20万回繰り返した後においても、着色・消色スピー
ドが6secで、光学濃度変化ΔODが1.0±0.1
となり、特性の劣化は見られなかった。
【0078】このように、本実施例では、複数のEC素
子間で特性が均一で、且つ耐久性に富み特性の安定した
EC素子を得ることができた。
【0079】実施例6 4層構造体8内のキャリヤー前駆体であるH2 OをH+
とOH- とにイオン化させる際に、実施例5よりも遅い
一定のスピード(15sec)で光学濃度変化ΔODが
1.2になるように、透明電極間に印加する電圧を制御
した以外は、実施例5と同様にEC素子を作製した。
【0080】本実施例で作製した複数のEC素子につい
て実施例5同様の評価を行ったところ、いずれのEC素
子も着色・消色スピードが6sec、及び光学濃度変化
ΔODが1.0となり、封止後の着色・消色スピード及
び光学濃度変化ΔODに差異はなかった。
【0081】また、本実施例のEC素子は、着色・消色
を20万回繰り返した後においても、着色・消色スピー
ドが6secで、光学濃度変化ΔODが1.0±0.1
となり、特性の劣化は見られなかった。
【0082】このように、本実施例でも、実施例5同
様、複数のEC素子間で特性が均一で、且つ耐久性に富
み特性の安定したEC素子を得ることができた。
【0083】尚、上記実施例5、6は、4層構造のEC
素子についての実施例であるが、その他の構造のEC素
子にも実施例5、6にかかる手法は有効であり、例え
ば、実施例1に示した5層構造のEC素子についても同
様の効果を得ることができる。以下にその実施例を示
す。
【0084】実施例7 実施例1同様にして5層構造のEC素子を複数作製し
た。但し、実施例5に示したのと同様の方法で、封止前
に5層構造体8内のキャリヤー前駆体であるH2OをH+
とOH- にイオン化させた。
【0085】本実施例で作製した複数のEC素子につい
ても実施例5同様の評価を行ったところ、いずれのEC
素子も着色・消色スピードが6sec、及び光学濃度変
化ΔODが1.0となり、封止後の着色・消色スピード
及び光学濃度変化ΔODに差異はなかった。
【0086】また、本実施例のEC素子は、着色・消色
を50万回繰り返した後においても、着色・消色スピー
ドが6secで、光学濃度変化ΔODが1.0±0.0
5となり、特性の劣化は見られなかった。さらに、繰り
返し耐久性は5層構造のEC素子の方が4層構造のEC
素子よりも優れていることが明らかとなった。
【0087】このように、本実施例でも、実施例5同
様、複数のEC素子間で特性が均一で、且つ耐久性に富
み特性の安定したEC素子を得ることができた。
【0088】また、上記実施例5〜7により、EC素子
の封止前の着色・消色スピード及び光学濃度変化が所定
の値を示すように、EC素子の電極間に印加する電圧を
制御してキャリヤー前駆体をイオン化することにより、
封止後の着色・消色スピード及び光学濃度変化ΔODな
どの特性を制御できることが明らかとなった。
【0089】比較例5 4層構造体8内のキャリヤー前駆体であるH2 OをH+
とOH- とにイオン化させずに、単に4層構造体内に約
30容量%のH2 Oを含ませた後樹脂封止した以外は、
実施例5と同様にEC素子を作製した。
【0090】以上のようにして作製した本実施例の複数
のEC素子において、透明電極2a、2b間に透明電極
2bが正になるように電圧を印加し、酸化還元反応を起
こさせて消色した後、該透明電極間に電圧3Vを印加
し、着色・消色スピード及び光学濃度変化ΔODを測定
した。その結果、光学濃度変化ΔODが1.0となる着
色スピードは素子によって異なり、4〜12secの範
囲でばらついていた。
【0091】また、着色・消色を繰り返したところ、6
00回後に、光学濃度変化ΔODが0.5未満となった
素子があり、実用に耐えられるものではないことが明ら
かとなった。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本願第一の発明に
よれば、着色・消色の繰り返しによるEC素子の膜膨張
が封止樹脂に吸収されるため、EC素子の膜破壊や封止
樹脂及び封止基板の剥離が防止され、EC素子の耐久性
が大幅に向上する。また、5層構造のEC素子において
は、所望の反応が進行するように、酸化発色性エレクト
ロクロミック層、透明イオン伝導層、還元発色性エレク
トロクロミック層などの性質や厚さを精度、再現性良く
成膜しなければならないが、本願第一の発明によれば、
これらの成膜条件に幅を持たせることができ、EC素子
の生産性を高めることができる。
【0093】また、本願第二の発明によれば、EC素子
の作製条件のわずかな違いにより生じていたEC素子毎
の着色・消色スピード及び光学濃度変化の差異をなくす
ことができ、均一な特性を示すEC素子が得られると共
に、耐久性に富み、安定したEC素子が得られる。ま
た、EC素子の封止前の着色・消色スピード及び光学濃
度変化が所定の値を示すように、EC素子の電極間に印
加する電圧を制御してキャリヤー前駆体をイオン化させ
て樹脂封止することにより、封止後の着色・消色スピー
ド及び光学濃度変化などの特性を制御することができ
る。特に、EC素子内のキャリヤー前駆体としてH2
を用いた場合には、大気中の湿度変動と関係なく必要量
のH2 Oを大気中からEC素子内、とりわけ透明イオン
伝導層中に取り込むことが可能となるため、封止環境を
特に制御する必要がなく、且つキャリヤー前駆体を注入
するための設備も不要となり、生産性を向上させること
ができる。
【0094】尚、本願第一の発明と第二の発明とを併用
することにより、さらに優れたEC素子を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるEC素子の一例を示す模式的な
断面図である。
【図2】本発明にかかるEC素子の一例の、封止直前の
状態を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2a、2b 透明電極(透明導電層) 3 酸化発色性エレクトロクロミック層 4 透明イオン伝導層(固体電解質層) 5 還元発色性エレクトロクロミック層 6 樹脂 7 封止基板 8 4層構造体 9 定電圧電源 10、20 EC素子

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の対向する透明基板間に、一対の対
    向する透明電極と、該透明電極間に挟持される、エレク
    トロクロミック層と透明イオン伝導層とを少なくとも有
    するエレクトロクロミック素子であって、少なくとも前
    記エレクトロクロミック層と透明イオン伝導層とが、8
    〜60Kgf/cm2 のヤング率を有する樹脂で被覆さ
    れていることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 【請求項2】 前記樹脂が、シリコン樹脂、ウレタン樹
    脂、変性アクリレート樹脂またはエポキシ樹脂からなる
    請求項1記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 【請求項3】 一対の対向する透明基板間に、一対の対
    向する透明電極と、該透明電極間に挟持される、エレク
    トロクロミック層と透明イオン伝導層とを少なくとも有
    するエレクトロクロミック素子であって、前記エレクト
    ロクロミック層及び透明イオン伝導層中のキャリヤー前
    駆体をイオン化した状態で、少なくとも前記エレクトロ
    クロミック層と透明イオン伝導層とを樹脂で被覆してな
    ることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  4. 【請求項4】 前記キャリヤー前駆体が、HO、Li
    I、Li3N、Li2WO4から選ばれる少なくとも一種
    からなる請求項3記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 【請求項5】 前記キャリヤー前駆体がH2 Oである請
    求項3記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 【請求項6】 一対の対向する透明基板間に、一対の対
    向する透明電極と、該透明電極間に挟持される、エレク
    トロクロミック層と透明イオン伝導層とを少なくとも有
    するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、少
    なくとも前記エレクトロクロミック層と透明イオン伝導
    層とを、8〜60Kgf/cm2 のヤング率を有する樹
    脂で被覆することを特徴とするエレクトロクロミック素
    子の製造方法。
  7. 【請求項7】 一対の対向する透明基板間に、一対の対
    向する透明電極と、該透明電極間に挟持される、エレク
    トロクロミック層と透明イオン伝導層とを少なくとも有
    するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、前
    記エレクトロクロミック層及び透明イオン伝導層中のキ
    ャリヤー前駆体をイオン化した状態で、少なくとも前記
    エレクトロクロミック層と透明イオン伝導層とを樹脂で
    被覆することを特徴とするエレクトロクロミック素子の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記キャリヤー前駆体をイオン化させる
    際に、前記エレクトロクロミック素子の着色及び消色が
    可逆的に起こるような範囲の電圧を前記透明電極間に印
    加することを特徴とする請求項7記載のエレクトロクロ
    ミック素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記キャリヤー前駆体をイオン化させる
    際に前記透明電極間に印加する電圧が、前記エレクトロ
    クロミック素子を所定の着色スピードで着色させる電圧
    であることを特徴とする請求項8記載のエレクトロクロ
    ミック素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記キャリヤー前駆体が、HO、L
    iI、Li3N、Li2WO4から選ばれる少なくとも一
    種からなる請求項7記載のエレクトロクロミック素子。
  11. 【請求項11】 前記キャリヤー前駆体がH2 Oである
    ことを特徴とする請求項7記載のエレクトロクロミック
    素子の製造方法。
JP8229938A 1995-08-30 1996-08-30 エレクトロクロミック素子及びその製造方法 Withdrawn JPH09138430A (ja)

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JP24388995 1995-08-30
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JP7-258293 1995-09-12
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7184191B2 (en) 2004-10-15 2007-02-27 Kabushiki Kaisha Toshiba Display device
CN106662788A (zh) * 2014-06-17 2017-05-10 Sage电致变色显示有限公司 防潮电致变色装置

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