JPH09137933A - バキューム車の排気脱臭装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バキューム車の真空ポンプからの排気を脱臭
するバキューム車の排気脱臭装置の提供。 【解決手段】 排気脱臭装置１は、バキューム車の真空
ポンプの排気口に、その燃焼ケース２の排気導入口４が
接続され、真空ポンプからの排気を排気導入口４から燃
焼室７内に導入するようになっている。真空ポンプの動
作に同期して燃焼装置３のバーナ１０が燃焼火炎９を燃
焼室７に噴射し、燃焼室７に導入された排気をその燃焼
火炎９で燃焼し、悪臭成分である硫化水素、アンモニア
及びメチルメルカプタン等も同時に燃焼除去し、かつ燃
焼殺菌するようになっている。燃焼した排気は減温通路
８及び排気排出口５を通して安全に外部に排出するよう
になっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、バキューム車の排
気脱臭装置に関し、詳細には、汚水や汚物等を汲み取る
バキューム車の真空ポンプの排気を脱臭するバキューム
車の排気脱臭装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】下水道施設の完備していない地域に於て
は、個別の浄化設備を有する場合もあるが、それ以外の
場合は、云うまでもなく、バキューム車による汚水及び
汚物等の汲み取りが行われている。

【０００３】このバキューム車は、周知のように、汚水
及び汚物等を貯溜するタンクを搭載しており、このタン
クを、その内部の空気を真空ポンプで排気して減圧し、
これによってホースを通じて汚水や汚物等をタンク内に
汲み取り吸引している。したがって、バキューム車の真
空ポンプの排気口から排出される排気は、汚水や汚物等
の貯溜されているタンク内の空気であるため、硫化水素
等の悪臭成分を多量に含んでいるにも拘らず、従来のバ
キューム車は、この真空ポンプの排気をそのまま外部に
放出しているものであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のバキ
ューム車にあっては、真空ポンプの排気をそのまま外部
に放出するようになっていたため、真空ポンプを作動さ
せた汲み取り作業中に於いては、この真空ポンプからの
悪臭成分を多量に含んだ排気が周辺にまき散らされて、
周辺に悪臭が漂うこととなり、この悪臭を軽減すること
が課題となっている。

【０００５】そこで、本発明に於ては、真空ポンプの排
気口から排出される悪臭成分と細菌とを、簡単かつ効率
的に除去して、その動作中に周辺に悪臭及び細菌類をま
き散らすことのないようにするバキューム車の排気脱臭
装置を提供することを解決の課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】しかして本発明の構成の
要旨とするとするところは、真空ポンプでタンク内を排
気減圧することにより該タンクに、これに接続されたホ
ースを通じて汚水及び汚物等を汲み取り吸引するバキュ
ーム車の排気脱臭装置であって、前記真空ポンプの排気
口に接続した脱臭手段で構成し、該脱臭手段に於ける前
記真空ポンプの排出口から排出される排気中の悪臭成分
を除去する脱臭動作を、少なくとも前記真空ポンプの動
作に同期して行なうように構成したバキューム車の排気
脱臭装置であり、これによって前記課題を解決すること
ができる。

【０００７】ここに於いて、バキューム車は、前記のよ
うに、汲み取った汚水や汚物等を貯溜するタンクを搭載
しており、このタンクは、通常、密閉されていて悪臭が
外部に漏れることはないが、汲み取り作業を行う際に、
このタンク内の空気を真空ポンプにより排気して、タン
ク内の圧力を減圧することにより、ホースを通じて汲み
取り作業を行っている。そのため、真空ポンプを作動さ
せたときに、タンク内の悪臭成分が真空ポンプの排気中
に含まれて排出されることとなる。

【０００８】そこで、排気脱臭装置は、少なくともこの
真空ポンプが作動しているときに動作して、真空ポンプ
の排気中の悪臭成分を除去する脱臭手段を真空ポンプの
排気口に取り付けて構成しているものである。この脱臭
手段としては、汚水や汚物等の悪臭成分である硫化水
素、アンモニア及びメルカプタン等を適切に除去できる
ものであれば、どのような方式のものであっても良い。

【０００９】しかして以上の構成によれば、少なくとも
真空ポンプから排出される排気中の悪臭成分を適切、か
つ、効率的に除去することができ、汲み取り作業中に悪
臭を周辺にまき散らすことを防止することができる。

【００１０】この場合、例えば、請求項２に記載するよ
うに、前記脱臭手段を、前記真空ポンプの排気口に接続
した燃焼室と、前記真空ポンプの動作に同期して動作し
て、前記燃焼室に燃焼火炎を噴射する燃焼器と、前記燃
焼室と外部とを連通する排気通路と、で構成し、前記真
空ポンプの排気口から排出される排気を、前記燃焼室で
前記燃焼器から噴射される燃焼火炎により燃焼させた上
で、前記排気通路を介して外部に排出させることとした
ものであっても良い。

【００１１】ここで、燃焼室は、真空ポンプの排気口か
ら排出される排気を燃焼器から噴射される燃焼火炎によ
り効率的に、かつ、安全に燃焼させて、排気中の悪臭成
分を燃焼除去することができるものであれば、その形状
や構造はどのようなものであっても差し支えない。また
前記燃焼器は、前記真空ポンプの動作に同期して動作し
て点火された燃焼火炎を燃焼室に噴射し、真空ポンプか
らの排気を燃焼させるものである。燃焼器としては、例
えば、燃料を貯溜した燃料タンクを備えたバーナ等を利
用することができる。前記排気通路も、燃焼室と外部と
を連通し、燃焼室で燃焼された排気を適切に排出できる
構造のものであれば、その形状や構造は、どのようなも
のであっても良い。

【００１２】以上の構成によれば、真空ポンプの排気を
燃焼させることにより、効率的に、かつ、簡単に悪臭成
分を除去することができるとともに、高温で燃焼させる
ことにより、細菌等をも併せて焼却除去することができ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を一つ
の好適な実施例に基づいて添付図面を参照しつつ詳細に
説明する。尚、以下に述べる実施例は、本発明の好適な
実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付さ
れているが、本発明の範囲は、以下の説明に於いて特に
本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に
限られるものではない。

【００１４】図１は、本発明のバキューム車の排気脱臭
装置の一つの実施例を示す図であって、その正面断面説
明図である。図１に於いて、排気脱臭装置１は、燃焼ケ
ース２と燃焼装置（燃焼器）３とを備えており、燃焼ケ
ース２には、排気導入口４と排気排出口５が構成されて
いる。

【００１５】上記排気脱臭装置１は、図示しないバキュ
ーム車に搭載され、バキューム車は、汚水や汚物等を貯
溜するタンクを搭載している。また、バキューム車は、
タンク内の空気を排気して減圧することにより、これに
接続されたホースを通じて汚水や汚物等をその中に汲み
取り吸引する真空ポンプを搭載しており、前記燃焼ケー
ス２の排気導入口４は、前記したように、この真空ポン
プの排気口に接続されている。

【００１６】前記燃焼ケース２は、直方体状の箱型に構
成されており、仕切り部材６により仕切られることによ
り燃焼室７と減温通路８とに区分され、かつ、燃焼室７
と減温通路８とを、燃焼した排気が適切に流れて排気さ
れる構造に連通して構成している。前記燃焼室７には、
前記排気導入口４が連通しており、排気導入口４から導
入された真空ポンプの排気が燃焼室７内に進入するよう
になっている。

【００１７】上記燃焼室７と前記減温通路８とは、前記
のように連通されており、減温通路８は前記排気排出口
５に連通している。したがって燃焼室７で燃焼された排
気は、減温通路８を通って排気排出口５から大気中に排
出されることとなる。上記減温通路８及び排気排出口５
は、全体として燃焼室７と外部とを連通する排気通路と
して機能している。

【００１８】前記燃焼装置３は、詳細には図示しない
が、燃料、例えば、灯油等を貯溜する燃料タンクと該燃
料タンクからの燃料に着火して、燃焼室７に燃焼火炎９
を噴射するバーナ１０とを備えており、燃料タンクに
は、給油口１１から燃料を補給できるようになってい
る。即ち、前記バーナ１０は、燃料タンクから燃料を取
り込んで、例えば、ガス状にする燃料ガス化機構と着火
機構を内蔵しており、このガス化機構でガス化した燃料
を着火機構で着火して燃焼室７に燃焼火炎９を噴射させ
るようになっている。

【００１９】またバーナ１０は、この燃料ガス化機構と
着火機構の動作を前記真空ポンプの動作と同期させて行
わせるようになっている。即ち、バーナ１０には、真空
ポンプのオン／オフの動作信号が入力されるようになっ
ており、該バーナ１０は、真空ポンプが動作することを
示すオン信号が入力されると、燃料ガス化機構と着火機
構をオンとして、燃焼火炎９を燃焼室７に噴射するよう
になっている。そして、バーナ１０は、この例で使用し
たものでは、燃料として灯油を使用した場合、消費量が
２．６リットル／時間で、発熱量が２１０００ｋｃａｌ
／時間であった。なおこの例のバーナ１０は、１００Ｖ
の電圧で動作するため、バキューム車には、その有する
電源電圧の２４Ｖを昇圧させて供給するための昇圧手段
が搭載されている。

【００２０】この実施例の排気脱臭装置１は、以上のよ
うな構成であるから、既述のように、バキューム車の真
空ポンプの排気口から排出される排気を排気脱臭装置１
の燃焼室７で燃焼させることにより、脱臭と殺菌とを行
っている。即ち、バキューム車は、汲み取り動作を行う
場合、真空ポンプを駆動して、汚水や汚物等を貯溜する
タンク内の空気を該真空ポンプの排気口を通じて排気
し、これを通じて該タンク内を減圧することにより、こ
れに接続されたホースにより汚水や汚物の汲み取り動作
を行う。

【００２１】このとき、タンク内の空気には、汚水や汚
物等から発生した硫化水素、アンモニア及びメルカプタ
ン等の悪臭成分が含まれており、これらの悪臭成分が真
空ポンプの排気口から排出されることになる。しかし、
この例に於いては、排気脱臭装置１が真空ポンプの排気
口に接続されており、真空ポンプから排出された排気は
燃焼ケース２の排気導入口４から燃焼室７内に導入され
ることとなる。

【００２２】そして真空ポンプが駆動されると、該真空
ポンプの動作に同期して燃焼装置３のバーナ１０が動作
し、燃焼火炎９を燃焼室７に噴射する。したがって燃焼
室７に導入された真空ポンプからの排気は、燃焼室７内
で燃焼火炎９により高温で燃焼され、このとき悪臭成分
である硫化水素、アンモニア及びメルカプタン等も同時
に燃焼されて、除去される。

【００２３】燃焼室７で燃焼された排気は、減温通路８
及び排気排出口５を通して大気中に排出されるが、減温
通路８を通過している間に於いても、悪臭成分の分解及
び殺菌が行われるとともに、減温通路８を通過している
間に、燃焼された排気の温度が低下して、安全に外部に
排出される。

【００２４】このときの悪臭成分の除去性能を、バーナ
１０を動作させた状態とバーナ１０を動作させない状態
とを比較する方法による試験検査を行ったところ、表１
に示す結果となった。

【００２５】

【表１】

【００２６】以上の表１に示すように、排気排出口５か
らの排気中の硫化水素は、バーナ不点火時で９３０ppm
であったものが、バーナ点火時で９０ppmになり、９
０．３２％の除去率での除去が認められ、また排気中の
アンモニアは、バーナ不点火時で８５ppmであったもの
が、バーナ点火時で１．１ppmになり、９８．７０％の
除去率での除去が認められる。更に、排気中のメチルメ
ルカプタンは、バーナ不点火時で４．１ppmであったも
のが、バーナ点火時で０．４９ppmになり、８８．００
％の除去率での除去が認められる。

【００２７】したがってこの排気脱臭装置１を用いるこ
とにより、以上の表１に示された除去性能から明らかな
ように、一般の人が悪臭を感じない程度に、十分悪臭成
分を除去することができる。また、真空ポンプから排出
される排気中には、大腸菌等の細菌が存在する虞がある
が、これらの細菌も排気が燃焼される際に、焼却・殺菌
される。更に、バーナ１０は、真空ポンプの動作と同期
して動作するので、不必要な動作を行うことなく、安全
で、かつ、燃料の無駄な消費を削減することができる。

【００２８】このように、この排気脱臭装置１によれ
ば、排気脱臭装置１を真空ポンプの排気口に取り付け、
該真空ポンプの動作信号をバーナ１０に入力するだけ
で、該真空ポンプの動作と同期して、その排気口から排
出される排気中の悪臭成分を効率的に、かつ簡単に低減
させることができるとともに、燃焼により、その排気中
に含まれる細菌を焼却殺菌することができ、汲み取り作
業中に悪臭や細菌を周辺にまき散らすことを防止するこ
とができる。

【００２９】以上、本発明者によってなされた発明を好
適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は以上
のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しな
い範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。

【００３０】例えば、以上の実施例に於いては、真空ポ
ンプの排気を燃焼させることにより、悪臭成分の除去を
行っているが、悪臭成分の除去手段は、燃焼させるもの
に限るものではなく、例えば、脱臭機能を有する樹脂
等、即ち、脱臭剤を充填したケースを真空ポンプの排気
口に接続する等の手段であっても良い。もっとも以上の
実施例に示したように、燃焼させる手段の方が、脱臭と
ともに併せて殺菌をも行うことができ、かつ脱臭剤の交
換等のメンテナンスを必要としないので、利用性が良好
である。

【００３１】

【発明の効果】本発明のバキューム車の排気脱臭装置に
よれば、真空ポンプから排出される排気中の悪臭成分を
適切、かつ効率的に除去することができ、汲み取り作業
中に悪臭を周辺にまき散らすことを防止することができ
る。

【００３２】更に請求項２記載のように、燃焼手段によ
って構成した場合には、真空ポンプの排気を燃焼させる
ことにより、効率的に、かつ簡単に悪臭成分を除去する
ことができるとともに、高温で燃焼させることにより、
細菌等をも焼却除去することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】バキューム車の排気脱臭装置の一実施例を示す
正面断面説明図。

【符号の説明】

１ 排気脱臭装置 ２ 燃焼ケース ３ 燃焼装置 ４ 排気導入口 ５ 排気排出口 ６ 仕切り部材 ７ 燃焼室 ８ 減温通路 ９ 燃焼火炎 １０ バーナ １１ 給油口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 // Ｆ１５Ｂ 11/06

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 真空ポンプでタンク内を排気減圧するこ
   とにより該タンクに、これに接続されたホースを通じて
   汚水及び汚物等を汲み取り吸引するバキューム車の排気
   脱臭装置であって、 前記真空ポンプの排気口に接続した脱臭手段で構成し、
   該脱臭手段に於ける前記真空ポンプの排出口から排出さ
   れる排気中の悪臭成分を除去する脱臭動作を、少なくと
   も前記真空ポンプの動作に同期して行なうように構成し
   たバキューム車の排気脱臭装置。
2. 【請求項２】 前記脱臭手段を、 前記真空ポンプの排気口に接続した燃焼室と、 前記真空ポンプの動作に同期して動作して、前記燃焼室
   に燃焼火炎を噴射する燃焼器と、 前記燃焼室と外部とを連通する排気通路と、 で構成し、 前記真空ポンプの排気口から排出される排気を、前記燃
   焼室で前記燃焼器から噴射される燃焼火炎により燃焼さ
   せた上で、前記排気通路を介して外部に排出させること
   とした請求項１記載のバキューム車の排気脱臭装置。