JPH091369A - 基板の割断方法及びその割断装置 - Google Patents

基板の割断方法及びその割断装置

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JPH091369A
JPH091369A JP7172256A JP17225695A JPH091369A JP H091369 A JPH091369 A JP H091369A JP 7172256 A JP7172256 A JP 7172256A JP 17225695 A JP17225695 A JP 17225695A JP H091369 A JPH091369 A JP H091369A
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gas
laser
laser light
laser beam
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JP7172256A
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Katsuyuki Imoto
克之 井本
Shinobu Sato
佐藤  忍
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Hitachi Cable Ltd
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロクラックの発生がなく、割断面が平
滑、かつレーザ光の軌跡に忠実な基板の割断方法及びそ
の割断装置を提供する。 【解決手段】 炭酸ガスレーザ光等の加工用レーザ光の
伝搬方向に沿ってガスG2 を流しながら、レーザ光3を
基板1の表面に照射しつつ基板1を移動させて基板1の
一端から他端までを割断する基板1の割断方法におい
て、レーザ光3の焦点が基板1の表面から一定の高さD
に結ぶようにして基板1の表面上に集束されていないレ
ーザ光3aを照射すると共に、ガスG2 の圧力を所定の
圧力に保って吹きつけるようにして基板1を割断するこ
とを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板材料を加工用
のレーザ光により割断する基板の割断方法及びその割断
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガラス材料基板、磁性材料基板、
半導体材料基板さらには誘電体材料基板等の基板に、電
子回路や光回路などを実装したデバイスの製品開発が活
発に行われるようになってきた。これらのデバイスは基
板の中、表面あるいは裏面に数個から数千個形成されて
いる。そのため最後の工程で基板を切断してそれぞれデ
バイスを分離しなければならない。
【0003】デバイスの切断・分離方法としては図12
に示すように、縦横に複数の電子回路702が形成され
た基板701を、一点鎖線703a〜703n、704
a〜704mに沿ってダイヤモンドブレードダイシング
を行う方法や、レーザ光を一点鎖線703a〜703
n、704a〜704mに沿って照射してスクライビン
グを行う方法が挙げられる。
【0004】図13は本出願人が先に提案したCO2
ーザ光の照射によるガラスの切断装置を示す図である
(特願平5−63775号)。この切断装置は、ガラス
基板804を2つの基板A、Bに切断する際に、ガラス
基板804をA側及びB側でそれぞれベース803に真
空吸着することにより固定した後、CO2 レーザ(炭酸
ガスレーザ)801のレーザ光Lの周囲にアシストガス
導入管802からアシストガスGを吹き付け、このレー
ザ光Lをベース803上のガラス基板804に照射する
ものである。ベース803のA側とB側との間に形成し
た溝805は、レーザ光Lがガラス基板804を貫通す
るようにしたもので、溝805があることにより、切断
中に同じ切断条件を保つことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図13に示し
た切断装置を用いてセラミックス基板やガラス基板を割
断しようとして炭酸ガスレーザ光の出力、基板の移動速
度及びアシストガスの圧力を種々変えてみたところ、ク
ラックを生じさせることなくしかも平滑な面をもつよう
に割断することができない場合があった。
【0006】レーザ光の出力が大きい場合には基板が蒸
発現象によって切断される。しかし、切断された基板の
表面、裏面及び側面には熱変形歪によって多くのクラッ
クが生じたり、また基板の裏面側にはドロスが付着する
現象が見られた。これに対してレーザ光の出力が小さい
場合には基板の蒸発現象がないため切断できないことが
あった。
【0007】そこでレーザ光の出力を中程度にした場合
には、割断現象により基板を割ることができるものの、
割れた基板の表面、裏面及び側面にはマイクロクラック
が発生したり、割れた面には10μm程度の凹凸が生じ
ることがあった。
【0008】ここで、基板の移動速度とレーザ光の出力
とは相関関係がある。すなわち、レーザ光の出力を一定
として移動速度を遅くしていくと、ある速度で基板に前
述した蒸発現象が生じ、移動速度を速くしていくと、あ
る領域で割れ現象が生じ、その後は切断も割断も生じな
くなる。またアシストガスの圧力も前述した移動速度と
同じように圧力が小さい場合には蒸発特有の問題点と多
くのドロスが付着しやすく、アシストガスの圧力が大き
い場合には途中で割れの領域を経てその割断も切断もで
きなくなることがある。さらに、無アルカリガラス基板
やホウケイ酸ガラス基板等の多成分系ガラス基板の場合
には、レーザ出力大、移動速度小、アシストガス圧力小
等の蒸発条件では、切断面エッジ表面、裏面及び側面に
は大きなクラックが入って破断し、凹凸の大きな面とな
りやすい。
【0009】レーザ出力小、移動速度大、アシストガス
圧力大などの条件をごく狭く絞った場合にも基板を割る
ことができたが、割れたエッジ表面、裏面及び側面には
同様に多くのマイクロクラックが入り、長期間放置した
後に、マイクロクラックが徐々に進展して大きなクラッ
クとなり、破断してしまうことがある。
【0010】また、炭酸ガスレーザ光の基板表面上への
軌跡に対して忠実に基板を割ることが難しかった。例え
ば基板を直線的に割ろうとしても全体的に曲線的になっ
たり、或いは部分的に曲線的に割れてしまった。
【0011】以上のような良好な割断ができない原因を
種々の角度から検討した結果、基板表面上に照射された
光エネルギー分布が略ガウス分布のように狭い光エネル
ギー分布になっていることが原因となっていることが分
かった。
【0012】すなわち、従来の割断方法及びその割断装
置は、基板表面にレーザ光の焦点を結ぶように構成され
ていた。これは、レーザ光の焦点を結ぶ位置が最もビー
ムスポット径が小さくなり、このビームスポット径が小
さい(100μm以下)ほど、より高寸法精度で加工で
きるためである。このように、従来のレーザ光を用いた
切断、割断、溶接等の加工方法及びその装置は、加工面
上にレーザ光の焦点を結ぶように構成されていた。
【0013】これに対して、本発明者らは、基板の割断
を行うには、基板表面の広い範囲(500〜2000μ
m径)を緩やかな温度分布にし、かつ、基板の割断方向
に対してその温度分布を非対称にすることが熱応力によ
る亀裂を容易に発生させ、かつ、基板の割断方向に対し
てその亀裂をより促進させ、結果的に熱変形歪によるマ
イクロクラックの発生を抑え、かつレーザ光の軌跡に忠
実に割断できると考えた。
【0014】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、マイクロクラックの発生がなく、割断面が平滑、か
つレーザ光の軌跡に忠実な基板の割断方法及びその割断
装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に係わる発明は、炭酸ガスレーザ光等の加工
用レーザ光の伝搬方向に沿ってガスを流しながら、レー
ザ光を基板の表面に照射しつつ基板を移動させて基板の
一端から他端までを割断する基板の割断方法において、
レーザ光の焦点が基板の表面から一定の高さに結ぶよう
にして集束されていないレーザ光を基板の表面に照射す
ると共に、ガスの圧力を所定の圧力に保って吹きつける
ようにして基板を割断するものである。
【0016】そのレーザ光に炭酸ガスレーザ光を用い、
ガスを噴出するガス導入管先端と基板との間でかつ、基
板から少なくとも8mmの高さにレーザ光の焦点を結ぶ
ようにすると共に、ガスの圧力を少なくとも2Kg/c
2 に保つようにしてもよい。
【0017】また、ガスを流すためのガス導入管先端は
基板表面上から少なくとも5mmの位置になるようにす
るのが好ましい。
【0018】さらに、レーザ光に炭酸ガスレーザ光を用
い、基板から少なくとも8mmの高さでかつ、ガスを噴
出するガス導入管内にレーザ光の焦点を結ぶようにする
と共に、ガスの圧力を少なくとも0.5Kg/cm2
保つようにしてもよい。この場合にはレーザ光が清浄な
雰囲気に保たれ、結果的にレーザ光の照射される基板の
表面上もドライで清浄な雰囲気に保たれ、より清浄で均
一な割断加工が可能となる。
【0019】炭酸ガスレーザ光として連続発振している
レーザ光を用いるのが好ましい。
【0020】炭酸ガスレーザ光の光出力は少なくとも5
0Wであり、基板の移動速度は少なくとも5mm/se
cであるのが好ましい。
【0021】基板に、セラミックスやガラス等の脆性材
料からなる基板を用いるのが好ましい。
【0022】基板の移動及びガスの流れを停止させた状
態で、基板の片端側に、炭酸ガスレーザ装置のパルス発
振用駆動回路を操作してパルス発振したレーザ光を照射
して亀裂を作り、ついで炭酸ガスレーザ装置の連続発振
用駆動回路を操作して連続発振したレーザ光とし、基板
を所定の速度で移動させると共にガスを流しつつ、連続
発振したレーザ光を亀裂から順次照射することにより亀
裂を進展させて割断するのが好ましい。
【0023】上記構成によって、基板表面上に形成され
るレーザ光のビームスポット径が拡大し熱エネルギー分
布が緩やかになる。ガスの圧力を所定の圧力に保って吹
きつけることにより基板が受けるレーザ光のエネルギー
分布がさらに緩やかで広くなり、基板の熱変形による歪
の発生が抑えられる。熱応力による亀裂を基板に生じさ
せ、レーザ光を移動させることにより、レーザ光の進行
方向に亀裂が進展して基板が割断される。
【0024】請求項9に係わる発明は、連続発振あるい
はパルス発振した加工用レーザ光を出射するレーザ装置
と、レーザ装置から出射されたレーザ光の一部をモニタ
光として取り出してモニタするモニタ系と、モニタ光の
出力が一定となるようにレーザ装置の電源回路にフィー
ドバックするフィードバック系と、レーザ装置から出射
されたレーザ光をレンズで集光して基板の表面上に照射
する光学系と、レーザ光の伝搬方向に沿ってガスを流す
ためのガス導入系と、基板を少なくとも一方向に移動さ
せることができるステージと、基板をステージ上に固定
させる固定系とを備えたものである。
【0025】レーザ装置として炭酸ガスレーザ装置を用
い、炭酸ガスレーザ装置の出射口と光学系との間のレー
ザ光の光路に光シャッタ機構を設けてもよい。
【0026】炭酸ガスレーザ装置には、パルス発振及び
連続発振の駆動回路を切り替える切り替え回路を含むの
が好ましい。
【0027】基板上に割断位置を示すアライメントマー
クが設けられ、アライメントマークをモニタするアライ
メントマークモニタ系と、アライメントマークモニタ系
からの信号で上記ステージを所望の位置に移動させるコ
ントローラ系と、炭酸ガスレーザ装置、光シャッタ及び
ステージを操作する操作系とを有するのが好ましい。上
記構成によって、基板表面上に形成されるレーザ光のビ
ームスポット径が拡大し熱エネルギー分布が緩やかにな
る。ガスの圧力を所定の圧力に保って吹きつけることに
より基板が受けるレーザ光のエネルギー分布がさらに緩
やかで広くなり、基板の熱変形による歪の発生が抑えら
れる。熱応力による亀裂を基板に生じさせ、レーザ光を
移動させることにより、レーザ光の進行方向に亀裂が進
展して基板が割断される。
【0028】請求項13に係わる発明は、炭酸ガスレー
ザ光等の加工用レーザ光の伝搬方向に沿ってガスを流し
ながら、レーザ光を基板の表面に照射しつつ基板を移動
させて基板の一端から他端までを割断する基板の割断方
法において、レーザ光の焦点が基板の表面から一定の高
さに結ぶようにして集束されていないレーザ光を基板の
表面に照射すると共に、集束されていないレーザ光を基
板の移動方向に対して所定の角度だけ相対的に傾斜さ
せ、ガスの圧力を所定の圧力に保って吹きつけるように
して基板を割断するものである。
【0029】焦点の基板表面からの高さを少なくとも6
mmとし、ガスの圧力を少なくとも1Kg/cm2 とす
るのが好ましい。
【0030】炭酸ガスレーザ光は鉛直下向きに照射する
ようにし、基板をレーザ光に対して所定の角度だけ傾斜
させて移動するようにするのが好ましい。
【0031】基板を断続的に移動させると共に移動速度
を少なくとも5mm/secとするのが好ましい。
【0032】上記構成によって、亀裂の発生方向を基板
の移動方向、すなわち、レーザビームの軌跡に忠実にな
るようにしむけることができる。
【0033】請求項17の発明は、連続発振あるいはパ
ルス発振した加工用レーザ光を出射するレーザ装置と、
レーザ装置から出射されたレーザ光の一部をモニタ光と
して取り出してモニタするモニタ系と、モニタ光の出力
が一定となるようにレーザ装置の電源回路にフィードバ
ックするフィードバック系と、レーザ装置から出射され
たレーザ光をレンズで集光して基板の表面上に照射する
光学系と、レーザ光の伝搬方向に沿ってガスを流すため
のガス導入系と、基板をレーザ光の伝搬方向に対して所
定の角度だけ相対的に傾斜させると共にその傾斜面に沿
って少なくとも一方向に移動させることができるステー
ジと、上記基板をステージ上に固定させる固定系とを備
えたものである。
【0034】レーザ装置として炭酸ガスレーザ装置を用
い、炭酸ガスレーザ装置の出射口と光学系との間のレー
ザ光の光路に光シャッタ機構を設けたものである。
【0035】炭酸ガスレーザ装置には、パルス発振及び
連続発振の駆動回路を切り替える切り替え回路を含むの
が好ましい。
【0036】基板上に割断位置を示すアライメントマー
クが設けられ、アライメントマークをモニタするアライ
メントマークモニタ系と、アライメントマークモニタ系
からの信号でステージを所望の位置に移動させるコント
ローラ系と、炭酸ガスレーザ装置、光シャッタ及びステ
ージを操作する操作系とを有するのが好ましい。
【0037】上記構成によって、亀裂の発生方向を基板
の移動方向、すなわち、レーザビームの軌跡に忠実にな
るようにしむけることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて詳述する。
【0039】図1は請求項1に係わる基板の割断方法の
原理を示す図である。
【0040】非金属材料からなる基板1を矢印2で示す
方向に移動させつつ、その基板1の表面上に例えば炭酸
ガスレーザビーム(以下「レーザビーム」という。)3
を照射するようになっている。
【0041】レーザビーム3は、集光レンズ4で集光さ
れ、集光レンズ4から距離F、かつガス導入管5と基板
1との間のO点に焦点を結ぶようになっている。レーザ
ビーム3は焦点Oを通過した後拡がって基板1の表面ま
での距離Dに達したときにはビームスポット径Sとな
る。
【0042】本発明の実施の形態では基板1の表面上に
レーザビーム3が焦点を結ばない、つまりデフォーカス
状態のレーザビーム3aを照射するようにし、ビームス
ポット径Sの値が500〜2000μm径の範囲になる
ようにDの値を選ぶことが第1条件である。このD値は
8〜16mmの範囲である。
【0043】次にレーザビーム3の外周にはガス導入管
5からガスがG0 、G1 、G2 のように吹き付けておく
ことが第2の条件である。このガスにはN2 、Ar、空
気、O2 、或いはこれらの混合ガス等を用い、本発明の
実施の形態においては、そのガス圧力として少なくとも
2Kg/cm2 を必要とした。このガス圧力が小さいと
割断した面にマイクロクラックが生じる。ガス圧力が大
きい程マイクロクラックの発生が抑圧され、かつ、割断
面が平滑になる。尚、レーザビーム3には連続発振レー
ザ光を用いる必要がある。
【0044】レーザビーム3の光出力と基板1の移動速
度との間には相関関係があり、光出力は少なくとも50
W必要であり、基板1の移動速度は少なくとも5mm/
sec必要である。この光出力の値はガスを流さない状
態でのO点での光出力値である。光出力値を50Wより
も大きくした場合には、基板1の移動速度を5mm/s
ecよりも速くすることができる。例えば光出力値を1
00Wとすると、基板1の移動速度は18mm/sec
程度にまで速くすることができる。
【0045】また、後述するようにレーザ装置の光共振
器の一方をグレーティングに置き換え、そのグレーティ
ングの角度を調節することにより、レーザビームの発振
波長を変えることができる。このため、少なくとも一つ
の波長の光信号を選択的に取り出すことにより、割断し
た面をより平滑にすることができ、割断の精度と再現性
とを大幅に向上させることができる。すなわち、グレー
ティングを用いない場合には、波長が9.1μmから1
1.3μmまでの非常に広い範囲の光スペクトル分布を
もって発振する。このため、基板1の表面に照射された
レーザビーム3のスポット径S内の光モードは多重モー
ドとなっており、亀裂の発生がビームスポット径S内で
不均一となり、レーザビームの軌跡に忠実な割断が困難
となる。その結果、例えば直線状に割断しようとしても
困難であり、非直線的に割断されてしまったり、また、
割断した面に大きな凹凸が発生しやすい。
【0046】図2は図1に示した割断方法を模式的に示
したものである。
【0047】同図において、基板1を矢印2方向に移動
させつつ、レーザビーム3を基板1の表面上に照射す
る。また、レーザビーム3の外周にはガスが矢印G0
1 、G2 のように吹き付けられる。このようにするこ
とにより、熱応力による亀裂6が生じ、かつ、それがレ
ーザビーム3の軌跡に追従して進展し、切り代幅WC
0で割断される。
【0048】基板1にはアルミナ、ムライト、ステアタ
イト、フォルステライト等のセラミックス基板、ホウケ
イ酸ガラス、鉛カリソーダガラス、アルミノケイ酸ガラ
ス、バリウムホウケイ酸ガラス等の多成分系ガラス基
板、Si酸化膜付Si等の半導体基板等を用いることが
できる。また、基板1の厚さ数百μmから数mm程度の
ものまで割断可能である。
【0049】図3は請求項9に係わる割断装置の実施の
形態を示す図である。
【0050】同図に示す炭酸ガスレーザ装置10におい
て、ボックス11内にはその両端にブルースター窓12
と出射口としての内部鏡13とを有する炭酸ガスレーザ
管14と、ブルースター窓12に略対向して配置された
外付けグレーティング部15と、外付けグレーティング
部15の角度を調節する角度調節部16とが設けられて
いる。炭酸ガスレーザ管14内には混合気体(CO2
2 、Heを8:18:74の割合で混合した混合気
体)17が封入されており、両側には放電用の電極1
8、19が設けられている。両電極18、19には電源
20から高電圧が印加されるようになっている。この電
源20は炭酸ガスレーザ装置10を連続発振させるため
の連続発振用駆動回路21と、パルス発振させるための
パルス発振用駆動回路22とが切替えスイッチ23によ
って切り替え自在に接続されるようになっている。外付
けグレーティング部15は、角度調節部16により角度
θを調節することにより、波長9.1μmから11.3
μmの中から少なくとも一つの波長の光信号を選択し、
内部鏡13から光路L1 を通るレーザビームを出力させ
ることができる。
【0051】内部鏡13より出力されたレーザビームの
一部はモニタ光検出用ミラー24によって取り出され光
路L2 を通ってモニタ光検出器25でモニタされる。モ
ニタ光検出器25からの出力信号は、電源20にフィー
ドバック信号26としてフィードバックされ、光路L1
を通るレーザビームの出力値が一定となるように制御さ
れる。尚、炭酸ガスレーザ管14の外周、外付けグレー
ティング部15の側面及び内部鏡13の周辺を、水を循
環させることによって水没させ、その水冷温度が一定と
なるように制御することにより、レーザ光出力が一定と
なるように制御してもよい。
【0052】炭酸ガスレーザ装置10の光路L1 上には
光シャッタ機構27が設けられている。光シャッタ機構
27は光シャッタ開閉調節部28によって基板1を割断
するときに「開」にされ、基板1の割断が終了すると
「閉」にされる。
【0053】モニタ光検出用ミラー24を通過したレー
ザビームは光路L3 を通って全反射ミラー29で全反射
された後集光レンズ4に達し、O点に焦点を結ぶ。レー
ザビームの外周には、ガス導入管5からのガスG0 が吹
き付けられている。焦点を通過して広がったレーザビー
ム3aは基板1に照射される。基板1は、基板固定台3
0上に設置され、真空吸引装置31で基板固定台30上
に密着される。基板固定台30はステージとしてのXY
移動装置32上に固定され、XY移動装置32をモータ
駆動することにより基板1がX方向又はY方向に移動さ
れるようになっている。
【0054】図4は請求項1に係わる基板の割断方法の
他の実施の形態を説明するための説明図である。
【0055】これは基板1の表面にレーザビームの軌跡
を描くことにより熱応力による亀裂を発生させにくい基
板、例えば多成分系ガラス基板を割断するのに好適な方
法である。すなわち、まず基板1の一方の片端面側に、
図3に示した炭酸ガスレーザ装置10のパルス発振用駆
動回路22を駆動させて亀裂33を発生させる。このパ
ルス発振用駆動回路22は、パルス幅が100μsec
〜2msec、繰り返し速度が50pps〜1Kpps
の範囲から選ばれる。
【0056】次いで、ガス導入管5にガスG0 (ガス:
2 、ガス圧力:2Kg/cm2 以上)を流し、切替え
スイッチ23をパルス発振用駆動回路22から連続発振
用駆動回路21に切替える。そしてレーザビームを亀裂
33の部分から一定速度で基板1の反対側に向かって移
動しながら照射させ、亀裂33を進展させて亀裂34を
形成することにより割断するのである。
【0057】このような方法の特徴は、図2に示した場
合よりも割断速度を速くすることができる点にある。す
なわち、割断速度は1.2倍から1.8倍程度速くなる
ことがわかった。また、最初にパルス駆動によって亀裂
を作るときに、レーザビームスポット径をできる限り小
さく絞って亀裂を作るようにすることにより、その後の
連続発振による亀裂をより直線性よく進展させることが
できた。
【0058】図5は請求項9に係わる割断装置の他の実
施の形態を示す図である。以下、図3に示した本発明の
実施の形態と同様の部材には共通の符号を用いた。
【0059】これは、パーソナルコンピュータ35を用
いて種々の装置あるいは回路を自動的に操作するように
したものである。すなわち、基板1の割断位置情報を顕
微鏡付きCCDカメラ36で検出し、この検出信号を画
像処理回路37で処理してパーソナルコンピュータ35
へ入力する。このパーソナルコンピュータ35で演算処
理して、信号aを光シャッタ駆動回路38へ、信号bを
切替えスイッチ42へ、信号cをガス供給用電磁バルブ
39へ、信号dをXYZθ移動装置40のコントローラ
41へそれぞれ入力することによって割断装置を操作す
るようにしたものである。このような操作によって割断
の自動化と省力化とを図ることができる。また再現性及
び信頼性の向上も図ることができる。
【0060】図6は請求項1に係わる基板の割断方法の
他の実施の形態の基本構成図である。
【0061】これは厚さtの基板1を矢印2の方向に移
動させつつ、ガス導入管5a内に焦点Oを結ぶレーザビ
ーム3aを基板1の表面上に照射し、熱応力による亀裂
を発生させて、基板1を厚さt方向に割断するものであ
る。
【0062】炭酸ガスレーザ3は集光レンズ4で集光さ
れ、集光レンズ4から距離FのO点に焦点を結ぶ。その
後、レーザビーム3aは広がりをもち、基板1の表面ま
での距離Dの位置に達したときにはビームスポット径は
Sとなる。本発明の実施の形態では、基板1の表面上に
炭酸ガスレーザ3が焦点を結ばないように、つまりデフ
ォーカスの状態で照射されるようにすると共に、スポッ
ト径Sの値が500〜2000μm径の範囲となるよう
に距離Dの値を選ぶことが第1条件である。このD値は
8〜16μm径の範囲から選ばれる。
【0063】次にレーザビーム3aは円筒状のガス導入
管5aで覆われ、かつそのガス導入管内5aに導入され
たガスG0 、G1 、G2 の雰囲気中を伝搬させることが
第2の条件である。そしてこのガス導入管5aの出口部
のノズル(内径は1.5mm〜2mmの範囲から選ばれ
る。)5aaは、基板1の表面上のごく近傍(間隔H)
までもっていくことが重要である。このノズル5aaと
基板1の表面までの間隔Hは少なくとも5mmに設定さ
れる。このようにすることで、基板1の表面上に照射さ
れたレーザビーム3aのスポット径S内の光エネルギー
分布は略平坦となる。またノズル5aaを基板1の表面
上に接近させることにより、ガス導入管5a内に導入す
るガスG0 の圧力(すなわち、ガス流量)を大幅に小さ
くすることができ、省エネルギー化に役立ち、低コスト
化を図ることができる。このガスには前述と同様に
2 、Ar、空気、O2 、或いはこれらの混合ガス等が
用いられる。ガス圧力は少なくとも0.5Kg/cm2
でよい。(間隔Hが10mmの場合には、ガス圧力を少
なくとも2Kg/cm2 としなければならないのに比
べ、大幅にガス圧を低く、すなわち、ガス流量を低減す
ることができる)。また、ノズル5aaを基板1の表面
近くまで接近させることにより、レーザビーム3aが清
浄な雰囲気に保たれ、結果的にレーザビームの照射され
る基板の表面上もドライで清浄な雰囲気に保たれ、より
清浄で均一な割断加工が可能となる。
【0064】尚、上述のような構成でガス圧力を大きく
すれば、スポット径S内の光エネルギー分布がより平坦
になるため、割断した面へのマイクロクラックの発生を
抑圧でき、かつ直線性良く割断することができる。この
場合に用いるレーザビームは連続発振光とする。このレ
ーザビームの光パワーと割断可能な基板の移動速度との
間には相関関係があり、光パワーは少なくとも50W
で、基板の移動速度は少なくとも5mm/secにしな
ければならない。光パワーを増大すれば、基板の移動速
度も増大させることができる。例えば、光パワー値を1
00Wとすると、基板1の移動速度は18mm/sec
程度にまで速くすることができる。尚、光パワー値は、
ガスを流さない状態でのO点での光パワー値である。ま
た、レーザビームの発振波長は、後述するように炭酸ガ
スレーザ装置の、一方の光共振器をグレーティングに置
き換え、そのグレーティングの角度を調節することによ
り少なくとも一つの波長の光信号を選択的に取り出すよ
うにすると、割断した面をより平滑にすることができ
る。また割断の寸法精度とその再現性を大幅に向上させ
ることができる。すなわち、グレーティングを用いない
場合には、波長が9.1μmから11.3μmの非常に
広い範囲の光スペクトル分布をもって発振している。そ
のため、基板1の表面に照射されたレーザビームのスポ
ット径S内の光モードは多重モードとなっており、亀裂
の発生がスポットS内で不均一となり、レーザビームの
軌跡に忠実な割断が困難となる。その結果、例えば直線
状に割断しようとしても非直線状に割断されてしまうと
いう現象が生じる。また、割断した面も凹凸が大きくな
ることが分かった。
【0065】図7は図6に示した基板の割断方法を模式
的に示したものである。
【0066】基板1を矢印2方向に移動させつつ、レー
ザビーム3aを基板表面に照射する。レーザビーム3a
はガスG0 、G1 、G2 の雰囲気に保たれている。レー
ザビーム3aのスポット径Sを500〜2000μm径
とし、レーザビーム3aの光パワーを少なくとも50W
とし、基板1の移動速度を少なくとも5mm/secと
することにより、レーザビーム3aの照射された基板1
の表面には熱応力による亀裂が生じ、かつそれがレーザ
ビーム3aの軌跡に追従して進展し、結果的に切り代幅
C 「0」で割断される。基板1にはアルミナ、ムライ
ト、ステアタイト、フォルステライト等のセラミックス
基板、ホウケイ酸ガラス、鉛カリソーダガラス、アルミ
ケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等の多成分系
ガラス基板、Si酸化膜付Si等の半導体基板等を用い
ることができる。これらの基板1の厚さは数百μm〜数
mm程度のものまで割断することができた。
【0067】図8は請求項9に係わる基板の割断装置の
他の実施の形態を示す図である。
【0068】図3に示した実施の形態との相違点は、レ
ーザビームの焦点がガス導入管内に設定されている点で
ある。
【0069】同図に示す割断装置の炭酸ガスレーザ装置
10から出射され集光されたレーザビーム3aは、ガス
導入管5aからのガスG0 、G1 、G2 の雰囲気に保た
れて基板1上に照射される。基板1は基板固定台30a
に載置され、真空吸引装置31で基板固定台30aに密
着固定される。基板固定台30aはXY移動装置32上
に固定され、XY移動装置32をモータで駆動すること
によって基板1をX方向又はY方向に移動し、X方向又
はY方向に割断するようになっている。
【0070】図9(a)は請求項1に係わる基板の割断
方法で割断した基板の平面図であり、(b)はその側面
図である。
【0071】これは基板1の表面にレーザビームの軌跡
を描くことにより熱応力による亀裂が生じにくい基板、
例えば無アルカリガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板等
の多成分系ガラス基板を割断するのに好適である。すな
わち、基板(厚さt=1.1mm)1の一方の片端面側
に、図8に示した炭酸ガスレーザ装置の電源20のパル
ス発振用駆動回路22を駆動させて亀裂C1を発生させ
るのである。
【0072】このパルス発振用駆動回路22はパルス幅
が100μsec〜2msec、繰り返し速度が50p
ps〜1Kppsの範囲から選ばれる。ついでガス導入
管5aにガスG0 (ガス:N2 、ガス圧:≧0.5Kg
/cm2 )を流し、切替えスイッチ23で電源20の駆
動回路をパルス発振から連続発振に切り替える。
【0073】レーザビーム(O点での光パワー:60
W)3aを、亀裂C1の部分から一定速度(10mm/
sec)で基板1の反対端面側に向って移動して照射さ
せ、亀裂C2を進展させる。
【0074】ここで、ノズル5aaの出口と基板1の表
面までの間隔Hを5mm程度に保っておくと、基板1の
表面に吹き付けられるガスG0 のゾーンは幅M(≦3m
m)に狭められるので、亀裂がレーザビーム3aの軌跡
に忠実にしたがって進展する。幅Mが大きくなると、亀
裂の直線性が悪くなると共に、割断面の垂直性が悪くな
ることが分かった。すなわち、前述の間隔Hを少なくと
も5mmにすることが重要であることが分かった。尚、
最初にパルス駆動によって亀裂を発生させるときに、レ
ーザビーム3aのスポット径Sをできるだけ小さくして
亀裂をつくると、その後の連続発振による亀裂の進展を
より直線性よく行わせることができた。さらに基板1と
して無アルカリガラス基板を用い、厚さtが0.7mm
から2.2mmまでのものについても割断することがで
きた。
【0075】図10は請求項13に係わる基板の割断方
法の基本構成を示す図である。
【0076】図1に示した実施の形態との相違点は、レ
ーザビーム3aを基板1に対して直交する方向から所定
の角度φだけ傾斜させると共に、その基板1を傾斜方向
(矢印2a方向)に移動させる方法である。
【0077】すなわち、レーザビーム3aを垂直下に照
射した場合に基板1をそのレーザビーム3aに対して9
0°からφだけ傾斜させ、その傾斜方向に移動させる
か、或いは基板1を水平移動させるようにしておき、レ
ーザビーム3aを鉛直下向き方向から傾斜角φだけ傾斜
させて基板1上に照射させるのである。
【0078】このような構成にすることにより、基板1
の表面上に熱応力による亀裂の発生の方向付けを常に基
板1の移動方向に仕向けることができる。すなわち、換
言すれば、レーザビーム3aの軌跡に沿って忠実に割断
を行うことができる。例えば、基板1を直線的に割断す
る場合、極めて直線性良く割断できる。これは、基板1
の移動方向に対してレーザビーム3aが角度φだけ傾斜
しているため、エネルギー分布がその方向にシャープな
分布となり、亀裂の進展の方向付けをするものである。
【0079】炭酸ガスレーザ3は集光レンズ4で集光さ
れ、その集光レンズ4から距離FのO点に焦点を結ぶ。
その後、そのレーザビーム3aは広がり、基板1の表面
に達したときにはスポット径はSaとなる。このスポッ
ト径Saは、レーザビーム3aと基板1とが相対的に角
度φだけ基板の移動方向側に傾斜しているため、略楕円
形に近い形状になるが、その長径の長さが500μmか
ら2000μmまでの範囲になるように距離Dの値を選
ぶことが必要である。この距離Dの値は6mmから14
mmまでの範囲である。
【0080】次にレーザビーム3aの外周にはガス導入
管5からガス(N2 、Ar、O2 或いは空気)をG0
1 、G2 の方向に吹き付けておく。ガス圧力は少なく
とも1Kg/cm2 必要とする。このガス圧力が小さい
と、割断した面にマイクロクラックが発生する。ガス圧
力が大きい程マイクロクラックの発生を抑圧し、かつ割
断面を平滑にすることができる。ただし、あまり大きく
すると(75Kg/cm2 )、スポット径Sの光エネル
ギーが低下し、割断が困難となる。尚、レーザビームは
連続発振しているレーザ光を用いるのが好ましい。
【0081】レーザビーム3aの光パワーと基板1の移
動速度との間には相関関係がある。例えば光パワーが少
なくとも50Wの場合、基板1の矢印2a方向の移動速
度を少なくとも5mm/secにしなければならない。
ただし、この光パワー値はガスG0 を流さない状態での
O点での光パワー値をいう。光パワー値を50Wよりも
大きくしたい場合には、基板1の移動速度も5mm/s
ecより速くすることができる。例えば光パワー値を1
00Wとすると、基板1の移動速度は18mm/sec
程度にまで速くすることができる。またレーザビーム3
aの発振波長は、炭酸ガスレーザ装置10の一方の光発
振器をグレーティングに置き換え、そのグレーティング
の角度θを調節することにより少なくとも一つの波長の
光信号を選択的に取り出すようにすると、割断した面を
より平滑にすることができ、しかも割断の精度とその再
現性を大幅に向上させることができる。
【0082】同図において傾斜角φは数度から十数度ま
での範囲が好ましい。傾斜角φが小さいと亀裂の方向性
が鈍くなり、逆に傾斜角φが大きすぎると光エネルギー
分布が鋭くなりすぎて割断面にマイクロクラックを誘発
することとなり、基板1を角度φだけ傾斜させて移動さ
せる機構が必要となり、装置が複雑化する。尚、傾斜角
φが上述した範囲で大きい程、割断可能なプロセス条件
を幅広くとることが可能となる。
【0083】図11は請求項17に係わる基板の割断装
置の実施の形態を示す構成図である。
【0084】図3に示した実施の形態との相違点は、基
板固定台30aの上面がX方向に対して角度φだけ傾斜
しており、かつ、基板1とガス導入管5との間の距離が
一定のまま基板1の一端から他端までレーザビーム3a
が照射されるようにXYZ移動装置32aが基板固定台
30aを移動させる点である。
【0085】基板固定台30aには基板1が真空吸引装
置31で密着固定され、基板固定台30aがXYZ移動
装置32aによって−X方向及び−Z方向に移動すると
共に、レーザビーム3aが基板1に照射され、ガスG0
がレーザビーム3aの伝搬方向に沿って吹き付けられる
と、基板1が矢印α方向に割断されるようになってい
る。
【0086】次に図11に示した割断装置を用いて基板
を割断した場合を、具体的な数値を述べるが限定される
ものではない。
【0087】(具体例1)基板1に厚さ1mm、長さ1
50mm、幅50mmのアルミナ基板を用い、傾斜角φ
を5°に保ち、基板1を長さ方向(矢印α方向)に8m
m/secで移動させて割断した。レーザビーム3aの
光パワーは60Wで、Fを25.6mmとし、距離D及
びガスG0 の圧力を変えて割断できる条件を求めた結
果、距離Dは8mmから14mmの範囲でマイクロクラ
ックが発生することなく割断することができた。またそ
のときのガスG0 の圧力は1Kg/cm2 から3Kg/
cm2 の範囲が好ましい。
【0088】(具体例2)具体例1と同じ条件で、基板
1の移動速度を6mm/secから10mm/secの
範囲で変えてみたが、略良好な割断を行うことができ
た。ただし、基板1の移動速度が遅い場合には距離Dを
大きくし、基板1の移動速度が速い場合には距離Dを小
さくしなければならない。
【0089】(具体例3)具体例1と同じ条件で、傾斜
角φを3°から15°までの範囲で変えて割断したとこ
ろ、傾斜角φが大きくなると、ガスG0 の圧力を小さく
しなければならないことがわかった。ただし、割断でき
るプロセス条件は広くなることがわかった。例えばガス
圧力、基板1の移動速度、距離Dの範囲が拡がった。
【0090】(具体例4)具体例1と同じ条件で、基板
1の厚さを0.5mmから4mmまでの範囲のアルミナ
基板及びムライト基板について割断を行ったところ、割
断できることが分かった。ただし、基板1の厚さが厚く
なると、光パワーを50Wから最大140Wまで大きく
することによって割断できる。また基板1の移動速度が
5mm/secから28mm/secまでの範囲内で割
断することができた。
【0091】(具体例5)具体例1と同じ条件で、厚さ
が0.7mmから1.1mmの無アルカリガラス基板、
ホウケイ酸ガラス基板についてもマイクロクラックのな
い平滑な割断面を得ることができた。
【0092】以上において、本発明の実施の形態の基板
の割断方法及びその割断装置は、熱変形歪によるマイク
ロクラックの発生がなく、割断した面を平滑で凹凸の少
ない面にすることができる。また、割断には再現性があ
り、信頼性が高く、自動化、省力化の面でも効果があ
る。
【0093】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0094】(1) レーザ光の焦点が基板の表面から一定
の高さに結ぶようにして基板の表面上に集束されていな
いレーザ光を照射すると共に、ガスの圧力を所定の圧力
に保って吹きつけるようにして基板を割断するので、マ
イクロクラックの発生がなく、割断面が平滑な基板の割
断が行われる。
【0095】(2) 割断しようとする基板の一方の端面側
に予めパルス発振したレーザ光を照射して意図的に亀裂
を作っておき、この亀裂を基にして、連続発振したレー
ザ光を順次照射しながら基板上を移動させることによ
り、亀裂が進展して基板が割断される。
【0096】(3) 集束されていないレーザ光を基板の移
動方向に対して所定の角度だけ相対的に傾斜させること
により、レーザ光の軌跡に沿って忠実に基板が割断され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係わる基板の割断方法の原理を示す
図である。
【図2】図1に示した割断方法を模式的に示したもので
ある。
【図3】請求項9に係わる割断装置の実施の形態を示す
図である。
【図4】請求項1に係わる基板の割断方法の他の実施の
形態を説明するための説明図である。
【図5】請求項9に係わる割断装置の他の実施の形態を
示す図である。
【図6】請求項1に係わる基板の割断方法の他の実施の
形態の基本構成図である。
【図7】図6に示した基板の割断方法を模式的に示した
ものである。
【図8】請求項9に係わる基板の割断装置の他の実施の
形態を示す図である。
【図9】(a)は請求項1に係わる基板の割断方法で割
断した基板の平面図であり、(b)は(a)の側面図で
ある。
【図10】請求項13に係わる基板の割断方法の基本構
成を示す図である。
【図11】請求項17に係わる基板の割断装置の実施の
形態を示す構成図である。
【図12】集積回路の切断・分離方法を説明するための
基板の平面図である。
【図13】本出願人が先に提案したCO2 レーザ光の照
射によるガラスの切断装置を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 3、3a レーザ光(レーザビーム) 4 集光レンズ 5 ガス導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 3/00 H05K 3/00 N

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ガスレーザ光等の加工用レーザ光の
    伝搬方向に沿ってガスを流しながら、上記レーザ光を基
    板の表面に照射しつつ該基板を移動させて該基板の一端
    から他端までを割断する基板の割断方法において、上記
    レーザ光の焦点が上記基板の表面から一定の高さに結ぶ
    ようにして集束されていないレーザ光を上記基板の表面
    に照射すると共に、上記ガスの圧力を所定の圧力に保っ
    て吹きつけるようにして上記基板を割断することを特徴
    とする基板の割断方法。
  2. 【請求項2】 上記レーザ光に炭酸ガスレーザ光を用
    い、上記ガスを噴出するガス導入管先端と上記基板との
    間でかつ、該基板から少なくとも8mmの高さに上記レ
    ーザ光の焦点を結ぶようにすると共に、上記ガスの圧力
    を少なくとも2Kg/cm2 に保つようにした請求項1
    記載の基板の割断方法。
  3. 【請求項3】 上記レーザ光に炭酸ガスレーザ光を用
    い、上記基板から少なくとも8mmの高さでかつ、上記
    ガスを噴出するガス導入管内にレーザ光の焦点を結ぶよ
    うにすると共に、上記ガスの圧力を少なくとも0.5K
    g/cm2 に保つようにした請求項1記載の基板の割断
    方法。
  4. 【請求項4】 上記ガスを流すためのガス導入管先端は
    基板表面上から少なくとも5mmの位置になるようにし
    た請求項3に記載の割断方法。
  5. 【請求項5】 上記炭酸ガスレーザ光として連続発振し
    ているレーザ光を用いた請求項2から4のいずれかに記
    載の基板の割断方法。
  6. 【請求項6】 上記炭酸ガスレーザ光の光出力は少なく
    とも50Wであり、上記基板の移動速度は少なくとも5
    mm/secである請求項1から5のいずれかに記載の
    基板の割断方法。
  7. 【請求項7】 上記基板に、セラミックスやガラス等の
    脆性材料からなる基板を用いた請求項1から6のいずれ
    かに記載の基板の割断方法。
  8. 【請求項8】 上記基板の移動及びガスの流れを停止さ
    せた状態で、基板の片端側に、炭酸ガスレーザ装置のパ
    ルス発振用駆動回路を操作してパルス発振したレーザ光
    を照射して亀裂を作り、ついで上記炭酸ガスレーザ装置
    の連続発振用駆動回路を操作して連続発振したレーザ光
    とし、基板を所定の速度で移動させると共にガスを流し
    つつ、上記連続発振したレーザ光を上記亀裂から順次照
    射することにより上記亀裂を進展させて割断する請求項
    1記載の基板の割断方法。
  9. 【請求項9】 連続発振あるいはパルス発振した加工用
    レーザ光を出射するレーザ装置と、該レーザ装置から出
    射されたレーザ光の一部をモニタ光として取り出してモ
    ニタするモニタ系と、上記モニタ光の出力が一定となる
    ように上記レーザ装置の電源回路にフィードバックする
    フィードバック系と、上記レーザ装置から出射されたレ
    ーザ光をレンズで集光して基板の表面上に照射する光学
    系と、上記レーザ光の伝搬方向に沿ってガスを流すため
    のガス導入系と、上記基板を少なくとも一方向に移動さ
    せることができるステージと、上記基板を該ステージ上
    に固定させる固定系とを備えたことを特徴とする基板の
    割断装置。
  10. 【請求項10】 上記レーザ装置として炭酸ガスレーザ
    装置を用い、該炭酸ガスレーザ装置の出射口と光学系と
    の間のレーザ光の光路に光シャッタ機構を設けた請求項
    9記載の基板の割断装置。
  11. 【請求項11】 上記炭酸ガスレーザ装置には、パルス
    発振及び連続発振の駆動回路を切り替える切り替え回路
    を含む請求項9記載の基板の割断装置。
  12. 【請求項12】 上記基板上に割断位置を示すアライメ
    ントマークが設けられ、該アライメントマークをモニタ
    するアライメントマークモニタ系と、該アライメントマ
    ークモニタ系からの信号で上記ステージを所望の位置に
    移動させるコントローラ系と、炭酸ガスレーザ装置、光
    シャッタ及びステージを操作する操作系とを有する請求
    項9記載の基板の割断装置。
  13. 【請求項13】 炭酸ガスレーザ光等の加工用レーザ光
    の伝搬方向に沿ってガスを流しながら、上記レーザ光を
    基板の表面に照射しつつ該基板を移動させて該基板の一
    端から他端までを割断する基板の割断方法において、上
    記レーザ光の焦点が上記基板の表面から一定の高さに結
    ぶようにして集束されていないレーザ光を上記基板の表
    面に照射すると共に、該集束されていないレーザ光を上
    記基板の移動方向に対して所定の角度だけ相対的に傾斜
    させ、上記ガスの圧力を所定の圧力に保って吹きつける
    ようにして上記基板を割断することを特徴とする基板の
    割断方法。
  14. 【請求項14】 上記焦点の基板表面からの高さを少な
    くとも6mmとし、上記ガスの圧力を少なくとも1Kg
    /cm2 とした請求項13記載の基板の割断方法。
  15. 【請求項15】 上記炭酸ガスレーザ光は鉛直下向きに
    照射するようにし、上記基板を上記レーザ光に対して所
    定の角度だけ傾斜させて移動するようにした請求項13
    又は14記載の基板の割断方法。
  16. 【請求項16】 上記基板を断続的に移動させると共に
    移動速度を少なくとも5mm/secとした請求項13
    から15のいずれかに記載の基板の割断方法。
  17. 【請求項17】 連続発振あるいはパルス発振した加工
    用レーザ光を出射するレーザ装置と、該レーザ装置から
    出射されたレーザ光の一部をモニタ光として取り出して
    モニタするモニタ系と、上記モニタ光の出力が一定とな
    るように上記レーザ装置の電源回路にフィードバックす
    るフィードバック系と、上記レーザ装置から出射された
    レーザ光をレンズで集光して基板の表面上に照射する光
    学系と、上記レーザ光の伝搬方向に沿ってガスを流すた
    めのガス導入系と、上記基板を上記レーザ光の伝搬方向
    に対して所定の角度だけ相対的に傾斜させると共にその
    傾斜面に沿って少なくとも一方向に移動させることがで
    きるステージと、上記基板を該ステージ上に固定させる
    固定系とを備えたことを特徴とする基板の割断装置。
  18. 【請求項18】 上記レーザ装置として炭酸ガスレーザ
    装置を用い、該炭酸ガスレーザ装置の出射口と光学系と
    の間のレーザ光の光路に光シャッタ機構を設けた請求項
    17記載の基板の割断装置。
  19. 【請求項19】 上記炭酸ガスレーザ装置には、パルス
    発振及び連続発振の駆動回路を切り替える切り替え回路
    を含む請求項18記載の基板の割断装置。
  20. 【請求項20】 上記基板上に割断位置を示すアライメ
    ントマークが設けられ、該アライメントマークをモニタ
    するアライメントマークモニタ系と、該アライメントマ
    ークモニタ系からの信号で上記ステージを所望の位置に
    移動させるコントローラ系と、炭酸ガスレーザ装置、光
    シャッタ及びステージを操作する操作系とを有する請求
    項19記載の基板の割断装置。
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Cited By (9)

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