JPH09136554A - 車両の四輪駆動制御装置 - Google Patents

車両の四輪駆動制御装置

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Publication number
JPH09136554A
JPH09136554A JP7297056A JP29705695A JPH09136554A JP H09136554 A JPH09136554 A JP H09136554A JP 7297056 A JP7297056 A JP 7297056A JP 29705695 A JP29705695 A JP 29705695A JP H09136554 A JPH09136554 A JP H09136554A
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JP
Japan
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wheel
clutch
drive
force
vehicle
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Application number
JP7297056A
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English (en)
Inventor
Makoto Inoue
誠 井上
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
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Publication of JPH09136554A publication Critical patent/JPH09136554A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D25/00Fluid-actuated clutches
    • F16D25/08Fluid-actuated clutches with fluid-actuated member not rotating with a clutching member
    • F16D25/082Fluid-actuated clutches with fluid-actuated member not rotating with a clutching member the line of action of the fluid-actuated members co-inciding with the axis of rotation

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】四輪直結走行時に、摩擦クラッチに配設されて
いるスラスト軸受へのスラスト負荷を低減して耐久性を
向上させる車両の四輪駆動制御装置を提供する。 【解決手段】クラッチ圧の供給による係合力の可変制御
により主駆動輪側及び副駆動輪側の駆動力配分を行う摩
擦クラッチ1は、シリンダ室1hへのクラッチ圧の供給
により押圧力を発生するクラッチピストン1gと、この
クラッチピストン1gに押圧されて係合力を発生する多
板クラッチ部材と、クラッチピストン1gと多板クラッ
チ部材との間に介装されたスラスト軸受を備えている。
そして、コントロールユニット58は、四輪直結モード
を選択したとき、車両の走行速度の増加に伴って摩擦ク
ラッチ1の係合力を減少させる制御を行う。これによ
り、車両の高速走行時にはスラスト軸受にはさほど大き
な負荷が加わらないので、スラスト軸受の耐久性を向上
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦クラッチの係
合力を可変制御して車両の前後輪間の駆動力配分を制御
する車両の四輪駆動制御装置に関し、特に、摩擦クラッ
チの内部に、回転が拘束されたクラッチピストンが多板
クラッチ部材側に移動する際にスラスト力を受けるスラ
スト軸受を配設した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の四輪駆動制御装置として、例えば
前後輪のうち何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動
輪として設定し、エンジンからの入力トルクを主駆動輪
側及び副駆動輪側への駆動トルクとして配分する制御を
行うとともに、例えば運転席近傍に設けたモードセレク
トスイッチにより、二輪走行状態を希望するときには二
輪走行モードを選択し、主副駆動輪間の駆動トルク配分
量が50:50である四輪直結走行状態を希望するとき
には四輪直結モードを選択し、二輪走行状態と四輪直結
走行状態の間での前後輪間の駆動トルク配分量の自動変
更制御を希望するときには四輪自動モードを選択するこ
とが可能な装置がある。
【0003】これら各モードに応じてエンジンからの入
力トルクを主副駆動輪側に配分する装置として、主駆動
輪への主推進軸と副駆動輪への副推進軸との間に介装さ
れた多板摩擦クラッチ(以下、摩擦クラッチと称す
る。)が知られている。この摩擦クラッチの具体例とし
て、図9に示すように、例えば本出願人によって先に提
案した特願平6−226466号記載の装置がある。
【0004】図9において符号1で示す摩擦クラッチ
は、エンジンからの入力トルクが伝達されて駆動力を主
駆動輪系に伝達する入力軸2の外周に配設されている。
そして、この摩擦クラッチ1より図の左側に位置する入
力軸2の外周部には、ニードルベアリング等を介して第
1のギヤ3が回転自在に配設されており、この第1のギ
ヤ3は、チェーン4を介して副駆動輪系の出力軸(図示
せず)と同軸に結合した第2のギヤ(図示せず)と連結
している。
【0005】そして、前記摩擦クラッチ1は、前記第1
のギヤ2にクラッチドラム1aが結合され、このクラッ
チドラム1aに複数のフリクションプレート1bがスプ
ライン結合されているとともに、入力軸2の外周にクラ
ッチハブ1cがスプライン結合されている。そして、前
記複数のフリクションプレート1b間に、クラッチハブ
1cに一体結合された複数のフリクションディスク1d
が配設されているとともに、クラッチドラム1a側への
軸方向移動によりフリクションプレート1b及びフリク
ションディスク1dを当接させる回転部材1eが入力軸
2の外周に配設されている。また、回転部材1eをクラ
ッチハブ1cに回転方向に係合させるピン1kがクラッ
チハブ1cに一体結合されているとともに、ケーシング
(トランスファケーシング)5の内壁には、軸方向の移
動が可能とされたクラッチピストン1gが装着されてい
る。
【0006】さらに、クラッチピストン1g及び回転部
材1eの間にスラスト軸受1fが配設され、クラッチピ
ストン1gの軸方向の移動を回転部材1eに伝達すると
ともに、回転部材1eの回転を支持している。また、前
記クラッチピストン1gと前記ケーシング5との内壁間
にはシリンダ室1hが形成されているとともに、クラッ
チドラム1aと回転部材1eの間には、回転部材1eに
クラッチピストン1g側へ付勢力を与えるリターンスプ
リング1jが配設されている。そして、ケーシング5に
は、図示しない流体圧制御装置から所定のクラッチ圧に
調整された作動流体が供給される入力ポート6が形成さ
れており、この入力ポート6から前記シリンダ室1hに
作動流体が供給されるようになっている。
【0007】そして、前記二輪走行モードを選択する
と、流体圧制御装置から前記入力ポート6への作動流体
の供給を停止した状態、即ちシリンダ室1hの圧力が大
気圧若しくはほぼ大気圧に等しい状態となり、リターン
スプリング1jの弾性力によりフリクションプレート1
bとフリクションディスク1dとが離間する。この状態
では入力軸2に伝達されたエンジンからの入力トルクの
全部が主駆動輪系に伝達されるので、車両は、主副駆動
輪間の駆動トルク配分量を主駆動輪:副駆動輪=10
0:0とした二輪走行状態となる。
【0008】また、前記四輪自動モードを選択すると、
流体圧制御装置から入力ポート6に所定のクラッチ圧が
供給され、シリンダ室1hの加圧状態に応じてクラッチ
ピストン1gがクラッチドラム1a側の軸方向に移動す
る。このクラッチピストン1gの移動がスラスト軸受1
fを介して回転部材1eに伝達され、相互に離間してい
たフリクションプレート1bとフリクションディスク1
dとの間に摩擦力による係合力が発生し、エンジンから
の入力トルクの一部が第1のギヤ3、チェーン4等を介
して副駆動輪系の出力軸に伝達される。これにより、例
えば主駆動輪と副駆動輪との回転数差の変化に応じて副
駆動輪への駆動トルクを増減させることにより、車両
は、主副駆動輪間の駆動トルク配分量を主駆動輪:副駆
動輪=100:0〜50:50の範囲とした二輪走行状
態又は四輪直結走行状態となる。
【0009】さらに、前記四輪直結モードを選択する
と、入力ポート6に対して流体圧制御装置から高圧の作
動流体が連続して供給される。これにより、シリンダ室
1hが最大の加圧状態となってクラッチピストン1gが
移動し、このクラッチピストン1gの移動がスラスト軸
受1fを介して回転部材1eに伝達され、フリクション
プレート1b及びフリクションディスク1dにすべりを
発生せずに完全に締結した状態となる係合力(以下、四
輪直結時の係合力という。)が発生する。
【0010】このように摩擦クラッチ1が四輪直結時の
係合力を発生すると、主副駆動輪間の駆動トルク配分量
を主駆動輪:副駆動輪=50:50として主駆動輪及び
副駆動輪に同等の駆動トルクが付与され、車両は四輪直
結走行状態となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した直
結走行モードを選択した際に摩擦クラッチ1が発生する
四輪直結時の係合力は、エンジンの出力トルク及び変速
機の最低の歯車比(一速ギヤ比)を乗じて得られる駆動
力と、車両の最大重量及び乾燥路面等における高い摩擦
係数を乗じて得られる駆動力との両者で、大きい駆動力
と同一値となるように設定されている。この四輪直結時
の係合力は、フリクションプレート1b及びフリクショ
ンディスク1dを完全に締結状態とする係合力を、大き
く上回る値で設定されている。
【0012】そして、四輪直結モード時に、流体圧制御
装置から入力ポート6に高圧のクラッチ圧が供給されて
クラッチピストン1gが移動し、フリクションプレート
1b及びフリクションディスク1dに前述した大きな係
合力が発生すると、クラッチピストン1gと回転部材1
eとの間に介装されているスラスト軸受1fに、スラス
ト反力による極めて大きな負荷が連続的に加わり、特
に、車両の高速走行時には、スラスト軸受1fがスラス
ト方向に大きな負荷が加わった状態で高速回転を行うの
で、耐久性の面で問題がある。
【0013】そこで、例えば自動変速機で行われている
変速時の流体圧制御等のように、直結走行モード時には
必要最小限の係合力(例えば115kgm程度)が発生
するように流体圧制御装置から供給する作動流体の流体
圧を制御する方法が考えられる。しかしながら、その制
御方法を採用すると、流体圧制御装置に複数のソレノイ
ド制御弁等を増設して作動流体の圧力を高精度に制御し
なければならず、流体圧制御装置の高騰化の面で問題が
ある。
【0014】本発明は、上記従来の未解決の課題に着目
してなされたものであり、四輪直結モードを選択したと
きに、車両が高速走行に移行しても摩擦クラッチに配設
したスラスト軸受への負荷を低減して耐久性を向上させ
ると同時に、装置の低廉化を図ることが可能な車両の四
輪駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の車両の四輪駆動
制御装置は、車両の前後輪のいずれか一方を主駆動輪と
し、他方を副駆動輪とし、流体圧力源から所定のライン
圧で供給される作動流体を圧力調整手段により制御信号
に応じたクラッチ圧に調整して摩擦クラッチに供給し、
前記クラッチ圧の供給による前記摩擦クラッチの係合力
の可変制御によって前記主駆動輪側及び副駆動輪側の駆
動力配分を行う駆動力配分調整手段と、前記主駆動輪及
び副駆動輪の回転数差を検出する回転数差検出手段と、
車両の走行速度を検出する走行速度検出手段と、前記主
駆動輪側及び副駆動輪側の駆動力配分量を1:1の比率
に設定する四輪直結モード及び少なくとも前記回転数差
の検出値に基づいて前記副駆動輪側への駆動力が連続的
に変更されるように前記駆動力配分量の比率を変更設定
する四輪自動モードを選択可能とし、且つこれらモード
に応じた前記制御信号を前記圧力調整手段に出力して前
記摩擦クラッチの係合力を制御する駆動力配分制御手段
とを有し、前記摩擦クラッチは、ケーシング内に配設さ
れた多板クラッチ部材と、前記ケーシングの内壁に回転
が拘束されながら前記多板クラッチ部材側に向けて移動
自在とされたクラッチピストンと、このクラッチピスト
ン及び前記ケーシングの内壁の間に形成されて前記クラ
ッチ圧が供給されるシリンダ室と、前記クラッチピスト
ンと回転する多板クラッチ部材との間に介装され、且つ
前記シリンダ室への前記クラッチ圧の供給により移動し
たクラッチピストンが前記多板クラッチ部材に所定の係
合力を発生させる際にスラスト力を受けるスラスト軸受
とを備える車両の四輪駆動制御装置において、前記主駆
動輪側及び副駆動輪側の駆動力配分量を1:1の比率に
設定する前記四輪直結モードを選択したときに、前記走
行速度検出手段により検出した走行速度に基づき、当該
走行速度の増加に伴って前記摩擦クラッチの前記係合力
が減少するように当該係合力を変更する係合力変更手段
を前記駆動力配分制御手段に備えたことを特徴としてい
る。ここで、係合力変更手段が変更する係合力は、例え
ば、車両が走行抵抗の大きい高摩擦係数路面を走行する
際に、主駆動輪側及び副駆動輪側の駆動力配分量を1:
1の比率に設定した状態で四輪直結走行することが可能
な係合力に設定されている。
【0016】本発明の車両の四輪駆動制御装置による
と、車両が四輪直結モードを選択して走行するときに、
摩擦クラッチの多板クラッリ部材にすべりを発生せず完
全に締結する係合力を発生させた状態で主駆動輪側及び
副駆動輪側の駆動力配分量を1:1の比率に設定する際
には、クラッチピストンと多板クラッチ部材との間に介
装されたスラスト軸受に、スラスト反力による大きな負
荷が連続的に加わるおそれがある。ところが、本発明で
は、係合力変更手段が、走行速度の増加に伴って摩擦ク
ラッチの係合力が減少するように係合力を変更するの
で、車両の高速走行時には、従来装置のように多板クラ
ッチ部材が最大の係合力を発生せず、クラッチピストン
と多板クラッチ部材との間に介装されたスラスト軸受へ
の負荷が減少するので、スラスト軸受の耐久性は低下し
ない。
【0017】また、本発明では、係合力変更手段が車両
の走行速度に応じて摩擦クラッチの係合力を変更するだ
けでスラスト軸受の耐久性が向上するので、例えば流体
圧力源に作動流体圧を高精度に制御するための複数のソ
レノイド制御弁等を配設する必要がない。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の車両の四輪駆動制
御装置の実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、
図9で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付し
てその説明を省略する。この実施形態は、FR(フロン
トエンジン・リアドライブ)方式をベースにした四輪駆
動車両用駆動力配分制御装置のトランスファクラッチに
適用したものである。
【0019】図1において符号10は回転駆動源,即ち
機関としてのエンジン、12FL〜12RRは前左輪〜
後右輪、14は各車輪12FL〜12RRへの駆動力配
分比を変更制御可能な駆動力伝達系、16は駆動力伝達
系14による駆動力配分を制御する駆動力配分制御装置
を示す。前記駆動力伝達系14は、エンジン10からの
駆動力を断続する図示されていないクラッチと、このク
ラッチの出力を選択された歯車比で変速する変速機18
と、この変速機18からの駆動力を前輪(副駆動輪)1
2FL,12FR側及び後輪(主駆動輪)12RL,1
2RRに分割するトランスファ20とを備えている。そ
して、駆動力伝達系14では、前記トランスファ20で
分割された前輪側駆動力が前輪側出力軸(副駆動輪の出
力軸)22,フロントディファレンシャルギヤ24及び
前輪側ドライブシャフト26を介して、前輪2FL,2
FRに伝達される。一方、後輪側駆動力はプロペラシャ
フト(後輪側出力軸)28,リヤディファレンシャルギ
ヤ30及び後輪側ドライブシャフト32を介して、後輪
12RL,12RRに伝達される。
【0020】前記トランスファ20は、図2に示すよう
にトランスファケース5内に挿通された入力軸2の同図
の左方端部が変速機18の出力側に連結され、この入力
軸2はベアリング等によって回転自在に軸支されてい
る。また、入力軸2の図2における右方端部は,ベアリ
ング等によって回転自在に軸支された出力軸33に結合
され、この出力軸33がプロペラシャフト28に連結さ
れている。
【0021】そして、前記入力軸2の中央部には、前後
輪に対するトルク配分比を変更できる可変トルククラッ
チとしての流体式クラッチ機構(摩擦クラッチ)1が設
けられている。このクラッチ機構1は、図9で示した機
構と同一構造なのでその構造説明は省略する。また、こ
のクラッチ機構1は、図2の左方端部側に図示のよう
に、前輪側出力軸22に第2のギヤ34がスプライン結
合され、この第2のギヤ34と入力軸2の外周に配設さ
れた第1のギヤ3がチェーン4を介して連結されてい
る。
【0022】ここで、入力ポート6に作動流体圧が供給
されている状態では,シリンダ室1hの加圧程度に応じ
てクラッチピストン1gによる押圧力が発生し、これに
対してフリクションプレート1bとフリクションディス
ク1dとの間に摩擦力による係合力(締結力)が発生
し、これにより全駆動トルクのうちの一部が出力軸16
を介して前輪側にも伝達されるが、この前輪側への伝達
トルクΔTは供給作動流体圧Pに対して下記1式で与え
られるように供給作動流体圧Pに対してリニアに増加す
る。
【0023】 ΔT=P・S・2n・μ・rm ……… (1) ここで、Sはクラッチピストン13gの圧力作用面積,
nはフリクションディスク枚数,μはクラッチ板の摩擦
係数,rm はフリクションディスクのトルク伝達有効半
径である。つまり前輪側への伝達トルクΔTは供給流体
圧Pに比例し、結局,締結力に応じて駆動トルクが後輪
側及び前輪側に配分伝達される。この前後輪に対するト
ルクの配分比は、前記入力ポートに供給する作動流体の
圧力Pに応じて(0:100〜50:50まで)連続的
に変更できる。
【0024】一方、図1に戻って駆動力配分制御装置1
6は、前記トランスファ20と、リザーバ35b内の作
動流体を加圧供給する流体圧力源35と、この流体圧力
源35からの供給流体圧を可変制御して前記クラッチ機
構1の入力ポート6に作動流体を供給する圧力制御弁
(圧力調整手段)50と、前輪速VwF を検出する前輪
速センサ54及び後輪速VwR を検出する後輪速センサ
56と、アクセルペダル49の踏込み量からスロットル
開度θを検出するスロットル開度センサ48と、各輪へ
の駆動力配分を選択できるようにしたモードセレクトス
イッチ52と、前記リザーバ35b内の作動流体温Tを
検出する流体温センサ51と、これらのセンサからの検
出信号に基づいて前記圧力制御弁50の出力流体圧を制
御するコントロールユニット58とを備えてなる。
【0025】前記流体圧力源35は、図2に示すように
電動モータ35aによって回転駆動され,リザーバ35
b内の作動流体を昇圧して前記クラッチ機構1の入力ポ
ート15に供給するポンプ35cと、このポンプ35c
の吐出側に介装された逆止弁35dと、この逆止弁35
d及び前記入力ポート6間の管路に接続されたアキュー
ムレータ35eと、このアキュームレータ35eの接続
点に接続されたリリーフ弁35kとを備え、リリーフ弁
35kから入力ポート15側に略一定のライン圧PL が
供給されている。そしてアキュームレータ35eの接続
点及びクラッチ機構1の入力ポート15間からリザーバ
62に分岐されたドレン配管63に、前記圧力制御弁5
0が介装されている。
【0026】前記圧力制御弁50は、いわゆるデューテ
ィ比制御型の常時開減圧弁で構成されており、前述のよ
うにポンプ35cの吐出側から入力ポートへの管路に接
続されたドレン配管63に介装されている。この圧力制
御弁50は、いわゆるPWM(Pulse Width Modulatio
n)制御によって、そのソレノイド50aに供給される
ディーティ比に応じた電圧信号VD/T に応じて当該減圧
弁内に配設されたスプールの開度が定まり、これにより
電圧信号VD/T のデューティ比が大きくなると当該減圧
弁の一次側,即ちクラッチ機構1側のクラッチ圧Pcが
高くなる。ここで、クラッチ機構1側のクラッチ圧Pc
は当該クラッチ機構1の係合力とリニアであり、当該ク
ラッチ機構1の係合力は前輪側に伝達される駆動力とリ
ニアであるため、このPWM制御によって達成される前
輪側への駆動力配分量(目標前輪配分トルク)Tqは、
前記デューティ比D/Tに対して図3に示すように二次
曲線的に単純増加するようになっている。
【0027】一方、前記前輪速センサ54及び後輪速セ
ンサ56は、前輪側出力軸22及び後輪側のプロペラシ
ャフト28の所定位置に個別に装備され、各軸の回転数
を光学方式又は電磁方式で検知して、これに応じたパル
ス信号又は正弦波信号による前後輪速VwF ,VwR
個別にコントロールユニット58に出力するように構成
されている。
【0028】また、前記モードセレクトスイッチ52
は、例えばインストゥルメントパネル等の運転席近傍に
設けられており、例えば主駆動輪である後輪のみに駆動
力が伝達される二輪走行状態を希望するために運転者が
二輪走行モードを当該モードセレクトスイッチ52上で
選択すると、論理値“1”のON状態である二輪走行モ
ードセレクト信号S2 が出力され、副駆動輪である前輪
にも後輪と同等の駆動力が付与される、即ち前後輪間の
駆動力配分量が50:50である四輪直結走行状態を希
望するために四輪直結モードを選択すると、論理値
“1”のON状態である四輪直結モードセレクト信号S
4Rが出力され、前記二輪走行状態と四輪直結走行状態と
の間で車両の走行状態或いは運転者による操作入力状態
に応じて0:100〜50:50の間で前後輪の駆動力
配分量が自動的に制御される四輪自動走行状態を希望す
るために四輪自動モードを選択すると、論理値“1”の
ON状態である四輪自動モードセレクト信号S4Aが出力
され、夫々理論値“1”のON状態であるモードセレク
ト信号が出力されているときには、理論値“0”のOF
F状態を示すその他のモードセレクト信号が出力される
ように構成されている。
【0029】前記スロットル開度センサ48は,アクセ
ル操作量として得られるスロットルの開度を検出するた
めにポジショナ等で構成されており、具体的にアクセル
操作量が“0”であるとき,即ちアクセルペダルの踏込
みがないときのスロットル開度を0%とし、アクセルペ
ダルを限界まで踏込んだときのスロットル開度を100
%として、その間で当該アクセルペダルの踏込み量に応
じて次第に増加する電圧出力からなるスロットル開度θ
をコントロールユニット58に出力する。
【0030】前記コントロールユニット58はマイクロ
コンピュータ70と、前記圧力制御弁50を駆動する駆
動回路59とを備えている。また、マイクロコンピュー
タ70は前記各センサからの検出信号を各検出値として
読込むためのA/D変換機能を有する入力インタフェー
ス回路70aと、演算処理装置70bと、ROM,RA
M等の記憶装置70cと、前記演算処理装置70bで得
られたクラッチ係合力制御信号ST を出力するためのD
/A変換機能を有する出力インタフェース回路70dと
を備えている。このコントロールユニット58のマイク
ロコンピュータ70では、後段に詳述する図4の演算処
理に従って,前記前後輪速VwF ,Vw R の偏差ΔVw
から第1前輪配分トルクTq1 を算出し、前記流体温T
から第2前輪配分トルクTq2 を算出し、前記スロット
ル開度θから第3前輪配分トルクTq3 を算出し、これ
らのうちの最大値から基準前輪配分トルクTB を算出
し、さらに前記モードセレクト信号S4R、S4A,S2
ら目標前輪配分トルクTqを設定し、この目標前輪配分
トルクTqを制御信号ST として駆動回路59に向けて
算出出力する。
【0031】前記駆動回路59は、前記マイクロコンピ
ュータ70から出力される制御信号ST としての目標前
輪配分トルクTqが達成されるように、前記図3の特性
曲線に従って圧力制御弁50のソレノイド50aのデュ
ーティ比D/Tを設定し、このデューティ比D/Tをな
す駆動信号としての指令電圧信号VD/T を出力するため
に、例えば基準波発生回路やコンパレータ等を含むいわ
ゆるPWM駆動回路で構成されている。
【0032】次に、本実施例のコントロールユニット5
8内で行われる演算処理について図4のフローチャート
を用いて説明する。この演算処理は、前記マイクロコン
ピュータ内で所定サンプリング時間ΔT(例えば10ms
ec)毎のタイマ割込処理として実行される。なお、この
フローチャートでは、特に通信のためのステップを設け
ていないが、演算処理に必要なマップやプログラム,或
いは所定の演算式等は前記記憶装置70cのROMから
随時読込まれ、また演算により得られた算出値や各情報
値は随時記憶装置70cのRAMに記憶されるものとす
る。
【0033】この演算処理では、まず、ステップS1
で、前記前輪速センサ54からの前輪速VwF 及び後輪
速センサ56からの後輪速VwR を読込む。次にステッ
プS2に移行して、前記流体温センサ51からの流体温
Tを読込む。次にステップS3に移行して、前記スロッ
トル開度センサ48からのスロットル開度θを読込む。
【0034】次にステップS4に移行して、前記モード
セレクトスイッチ52からのモードセレクト信号S4
2 を読込む。次にステップS5に移行して、前記ステッ
プS1で読込まれた前輪速VwF 及び後輪速VwR を用
いて、下記 (2)式に従って前後輪速差ΔVwを算出す
る。 ΔVw=VwR −VwF ……… (2) 次にステップS6に移行して、前記ステップS5で算出
された前後輪速差ΔVwを用いて、図5に示す制御マッ
プから第1前輪配分トルクTq1 を算出設定する。この
図5の制御マップでは、前後輪速差ΔVwが正値で且つ
所定閾値(+ΔVw1 )以上の領域では、第1前輪配分
トルクTq1 は比較的大きな所定値Tq 11(例えば11
5kgmであり、具体的には前後輪駆動力配分量が5
0:50となる最大配分量)に保持され、この正値の所
定閾値(+ΔVw1 )から“0”までの領域では前後輪
速差ΔVwの増加に伴って第1前輪配分トルクTq1
リニアに増加し、一方、当該前後輪速差ΔVwが負値で
あり場合には、当該ΔVwが“0”から負値の第1所定
閾値(−ΔVw1 )までは第1前輪配分トルクTq1
“0”となる不感帯が設定され、一方、前後輪速差ΔV
wが、この第1所定閾値(−ΔVw1 )より小さい負値
の第2所定閾値(−ΔVw2 )以下では、第1前輪配分
トルクTq1 は比較的小さな所定値Tq12(例えば50
kgm程度)に保持され、この負値の第2所定閾値(−
ΔVw2 )から“0”までの領域では前後輪速差ΔVw
の減少に伴って第1前輪配分トルクTq1 がリニアに増
加されるようになっている。
【0035】次にステップS7に移行して、前記ステッ
プS2で読込まれた流体温Tを用いて、図6に示す制御
マップから第2前輪配分トルクTq2 を算出設定する。
この図6の制御マップでは、流体温Tが“0℃”より低
い所定閾値T1 (例えば−10℃)以上の通常作動温度
領域では、第2前輪配分トルクTq2 は小さな所定値T
20(例えば2〜4kgm)に維持され、流体温Tが前
記所定閾値T1 より低い寒冷作動温度領域では、大きな
所定値(例えば60kgm程度)に維持されるようにな
っている。
【0036】次にステップS8に移行して、車体速と等
価又はほぼ等価と考えられる前記ステップS1で読込ま
れた前輪速(副駆動輪速)VwF が、予め設定された所
定車体速VC0(例えば20km/h)以下であるか否か
を判定し、当該前輪速VwFが所定車体速VC0以下であ
る場合にはステップS9に移行し、そうでない場合には
ステップS10に移行する。
【0037】前記ステップS9では、前記ステップS3
で読込まれたスロットル開度θを用いて、図7に示す制
御マップから第3前輪配分トルクTq3 を算出設定して
からステップS11に移行する。この図7の制御マップ
では、スロットル開度θが大きいときには、第3前輪配
分トルクTq3 が増大し、スロットル開度θが小さいき
には、第3前輪配分トルクTq3 が減少するようになっ
ている。なお、アクセルペダルの踏込み直後のスロット
ル開度θ1 に対応する第3前輪配分トルクTq 31は、前
記図7に示した制御マップにおける第2前輪配分トルク
Tq2 の小さな所定値Tq20より大きく設定されてい
る。
【0038】一方、前記ステップS10では、前記第3
前輪配分トルクTq3 を“0”に設定してから前記ステ
ップS11に移行する。そして、前記ステップS11で
は、前記ステップS6で設定された第1前輪配分トルク
Tq1 、ステップS7で設定された第2前輪配分トルク
Tq2 及びステップS9又はステップS10で設定され
た第3前輪配分トルクTq3 のうちの最大値を下記 (3)
式に従って選出して、それを基準前輪配分トルクTB
して算出設定する。
【0039】 TB =MAX(Tq1 ,Tq2 ,Tq3 ) ……… (3) 但し、式中、MAXは最大値選出を示す。次にステップ
S12に移行して、前記四輪直結モードセレクト信号S
4Rが理論値“1”のON状態であるか否かを判定し、当
該四輪直結モードセレクト信号S 4RがON状態である場
合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはス
テップS15に移行する。
【0040】前記ステップS15では、前記四輪自動モ
ードセレクト信号S4Aが理論値“1”のON状態である
か否かを判定し、当該四輪自動モードセレクト信号S4A
がON状態である場合にはステップS16に移行し、そ
うでない場合にはステップS17に移行する。前記ステ
ップS17では、前記二輪走行モードセレクト信号S2
が理論値“1”のON状態であるか否かを判定し、当該
二輪走行モードセレクト信号S2 がON状態である場合
にはステップS18に移行し、そうでない場合には前記
ステップS16に移行する。
【0041】前記ステップS16では、前記ステップS
11で算出された基準前輪配分トルクTB を目標前輪配
分トルクTqに設定し、この目標前輪配分トルクTqを
前記記憶装置70cに更新記憶してからメインプログラ
ムに復帰する。また、前記ステップS18では、“0”
を目標前輪配分トルクTqに設定し、この値を記憶装置
70cに更新記憶してからメインプログラムに復帰す
る。
【0042】さらに、前記ステップS13では、車体速
と等価又はほぼ等価と考えられる前記ステップS1で読
込まれた前輪速(副駆動輪速)VwF を用いて、図8に
示す制御マップから四輪直結走行時の前輪配分トルクT
M を設定し、ステップS14に移行して前記前輪配分ト
ルクTM を目標前輪配分トルクTqに設定し、この目標
前輪配分トルクTqを記憶装置70cに更新記憶してか
らメインプログラムに復帰する。
【0043】図8の制御マップで設定される前輪配分ト
ルクTM は、車両が走行抵抗の大きい高μ路面(高摩擦
係数路面)を走行する際に、前後輪駆動力配分量を5
0:50に維持した状態(四輪直結状態)で走行するこ
とが可能なトルクであり、この場合、前述したクラッチ
機構1は、入力ポート6からシリンダ室1hにクラッチ
圧Pcが供給され、このシリンダ室1hの加圧程度に応
じてクラッチピストン1gによる押圧力が発生すること
によって、フリクションプレート1b及びフリクション
ディスク1dに完全に締結状態(すべりが発生しない状
態)となる係合力が発生する。そして、図8の制御マッ
プでは、前輪速VwF が増加するに伴いクラッチ圧Pc
を低い値に変更することによりフリクションプレート1
b及びフリクションディスク1dの間の係合力(締結状
態を維持する係合力)を可能な限り低下させ、それによ
り、前後輪駆動力配分量を50:50に維持しながら前
輪配分トルクTM を減少させている。
【0044】これにより、前輪速VwF が所定の閾値V
WF1 (例えば40km/h)を下回るときには、一定の大き
な値TM1(例えば150kgm)に設定されている。ま
た、前輪速VwF が所定の閾値VWF1 を上回ると、前輪
速VwF の増加に伴って前輪配分トルクTM が二次曲線
的に減少するように設定されている。なお、前輪配分ト
ルクTM が二次曲線的に減少する領域は、変速機18の
各ギヤポジションにおける最大駆動力を結んだ線に沿
い、且つその線を僅かに上回る値に設定されている。
【0045】次に本実施形態の四輪駆動制御装置による
作用を説明する。まず、前記図2に示す流体圧制御装置
の作用についてであるが、本実施形態の車両が独立した
流体圧制御装置を備えていること、並びに当該流体圧制
御装置でのライン圧PL は前述のように一定又はほぼ一
定に自動調整されること、及び前記圧力調整弁50への
デューティ比制御による係合力及び前輪への駆動トルク
配分調整については、前述の通りであるのでこれらの詳
細な説明を省略する。
【0046】まず、車両の通常走行時において、前記図
4の演算処理のステップS1で読込まれる前後輪速Vw
F ,VwR 間に前後輪速差ΔVwが発生すると、同ステ
ップS6で第1前輪配分トルクTq1 が算出設定され
る。このステップS6で用いられる第1前輪配分トルク
Tq1 算出のための制御マップは前述の図5に示した通
りであり、その変数となる前後輪速差ΔVwの定義式
が、前記(2) 式による主駆動輪速(後輪速VwR )から
副駆動輪速(前輪速VwF )を減じた値であるために、
当該前後輪速差ΔVwが正値である場合は、低μ路面や
急加速等によって主駆動輪である後輪12RL,12R
Rが車体速を上回ってスリップしている状態を示す。こ
の正値のスリップ量である前後輪速差ΔVwが大きくな
るほど、副駆動輪である前輪への駆動力を大きくして、
アンダステアを含む走行安定性を高めるべきであるか
ら、前記図5の制御マップのように当該前後輪速差ΔV
wが正値であり且つ“0”から正値の所定閾値(+ΔV
1 )までの間で当該前後輪速差ΔVwの増加と共に第
1前輪配分トルクTq1 を速やかに増加させ、前後輪速
差ΔVwがこの正値の所定閾値(+ΔVw1 )以上の領
域では、例えば前後輪駆動力配分量を50:50とな
る,いわゆる四輪直結状態として走行安定性を最大限に
高めることができる。
【0047】また、車両の通常走行時において前後輪速
差ΔVwが負値である場合は、例えば低μ路面において
エンジンブレーキ力やホイールシリンダ力によって主駆
動輪である後輪12RL,12RRが車体速を下回って
ロック又はロック傾向を示しているか、例えば高μ路面
において或る程度以下の旋回半径で旋回走行していて、
旋回半径の大きい前輪が旋回半径の小さい後輪よりも速
く(多く)回転している状態を示す。そこで、前記図5
の制御マップでは、前記前後輪速差ΔVwが“0”から
前記負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )までの間を不感
帯に設定して、この間は第1前輪配分トルクTq1
“0”とすることで、前記後輪ロック傾向の増幅やタイ
トコーナブレーキ現象を回避し、当該前後輪速差ΔVw
が前記負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )から負値の第
2所定閾値(−ΔVw2 )までの間で当該前後輪速差Δ
Vwの減少と共に第1前輪配分トルクTq1 を速やかに
増加させ、前後輪速差ΔVwがこの負値の第2所定閾値
(−ΔVw2 )以下の領域では、或る程度,より具体的
には前輪の駆動力が後輪のそれの1/4程度になるまで
前輪駆動力配分量を高めてアンダステアを含む走行安定
性を適切に高めることができる。
【0048】次に、図4の演算処理では前記流体温セン
サ51で検出され且つ同ステップS2で読込まれたリザ
ーバ35b内の流体温Tから、同ステップS7で第2前
輪配分トルクTq2 が算出設定される。既知のように、
通常の流体圧制御装置に用いられる作動流体は、“0
℃”を大きく下回る氷点下の低温作動環境で、その粘性
が大きくなり過ぎてアクチュエータの動特性が変化して
しまう傾向にある。本実施形態では、このような低温作
動環境で、例えば前記圧力制御弁50へのデューティ比
に対して所定の作動流体圧がクラッチ機構1に供給され
ず、その結果、前後輪間の駆動力配分量が目標値に一致
せず、誤動作する虞れがある。また、“0℃”を大きく
下回る氷点下の低温作動環境は、路面が凍結し易く、降
雪や積雪の可能性も高い。従って、前記図6の制御マッ
プによれば、前記作動流体温Tが氷点下に設定された前
記所定閾値T1 以下の領域では、第1前輪配分トルクT
2を、例えば前後輪駆動力配分量を50:50とな
る,いわゆる四輪直結状態の大きな所定値Tq21まで高
めて、流体圧制御装置の誤動作を防止すると同時に、四
輪に駆動力を分散することでアンダステアを含む走行安
定性を高めることができるようにしてある。
【0049】また、このような低温作動環境以外の通常
温度作動環境下で、前後輪間の駆動力配分制御を実施す
る際に、本実施形態の駆動力配分調整手段がクラッチ機
構1から構成されている関係上、例えば主駆動輪である
後輪にのみ駆動力を伝達するために前記圧力調整弁50
へのデューティ比を“0”%としてしまうと、前記クラ
ッチ機構1のフリクションプレート1bとフリクション
ディスク1dとが完全に離間してしまう。この状態か
ら、例えば当該クラッチ機構1のフリクションプレート
1bとフリクションディスク1dとが接触し始めて係合
力がほぼ“0”となる状態を通り越して、更に両者の係
合力を高める指令信号が出力されると、前輪への駆動力
の経時変化に不連続点が発生し、またクラッチ機構1が
接触開始するまでの応答時間によって前輪への駆動力配
分制御に応答遅れが発生し、またクラッチ機構1が短時
間に係合することによる衝撃が生じる可能性もある。そ
こで、前記図6の制御マップによれば、前記作動流体温
Tが前記所定閾値T1 以上の領域では、前輪への駆動力
が発生しない程度にクラッチ機構1が軽く接触する前記
小さな所定値Tq20を、いわゆる第2前輪配分トルクT
2 のイニシャルトルクに設定することで、前述のよう
な応答遅れや衝撃発生を回避できるようにしてある。
【0050】次に、図4の演算処理ではステップS3で
読込まれたスロットル開度θから、同ステップS9又は
ステップS10で第3前輪配分トルクTq3 が算出設定
される。前記第1前輪配分トルクTq1 のように、既存
の前後輪間駆動力配分制御の大半が、実際に発生する前
後輪速差ΔVwのフィードバック制御である関係から、
クラッチ機構1の係合力が変化してから副駆動輪である
前輪12FL,12FRの駆動力が路面に伝達されるま
での間には、当該前輪側駆動系,より具体的には前輪側
出力軸22,フロントディファレンシャルギヤ24及び
前輪側ドライブシャフト26と前輪12FL,12FR
自身の回転慣性に抗してエンジンの出力が当該前輪12
FL,12FRに伝達されるまでの応答遅れと、当該前
輪12FL,12FRのタイヤが路面を蹴って回転する
までの応答遅れとがあるから、この前後輪速差ΔVwの
フィードバック制御系では、特に、低μ路面の車両発進
時等において最も後輪2RL,2RRのスリップが発生
し易い状況下での応答遅れが大きくなり、その収束性が
悪化する可能性がある。
【0051】そこで、図4の演算処理では、ステップS
8の判定により車体速と等価又はほぼ等価と見なせる前
輪速VwF が所定車体速VC0以下の領域であると、車両
発進時であると判断してステップS9に移行する。そし
て、後輪12RL,12RRに発生すると考えられるス
リップ量とエンジン出力とスロットル開度とが互いにリ
ニアな関係にあると見なし、このうち最も時系列的に早
いスロットル開度θを検出し、同演算処理のステップS
9で用いられる図7の制御マップでは、このスロットル
開度θの増加と共に第3前輪配分トルクTq3 を増加さ
せてフィードフォワード制御の成分とし、このフィード
フォワード制御成分を有する第3前輪配分トルクTq3
を設定する。この第3前輪配分トルクTq3 が最終的な
目標前輪配分トルクTB に設定されたときには、前述の
ような発進時における後輪12RL,12RRの過大な
スリップを未然に防止し、或いは発生したスリップのそ
の後の収束性が高められるようにしてある。また、本実
施形態では、前輪速VwFが所定車体速VC0より大きい
領域であると、車両発進時でないと判断してステップS
10に移行し、第3前輪配分トルクTq3 を“0”に設
定して前記発進時フィードフォワード制御が強制的に終
了される。
【0052】次に、図4の演算処理のステップS11
で、前述のようにして設定された第1〜第3前輪配分ト
ルクTq1 〜Tq3 のうちの最大値が、後述する最終的
な目標前輪配分トルクTqの基準値となる基準前輪配分
トルクTB として選出される。これは、ここまで説明し
た各前輪配分トルクTq1 〜Tq3 が夫々、車両の走行
状態や運転者の操作入力等に応じて独立に設定されたも
のであり、しかも夫々の前輪配分トルクTq1 〜Tq3
の目的が走行安定性を高めるという共通したものである
ために、何れかを優先するとか何れの比率を高めるとい
う考慮なく、最も走行安定性向上に寄与する前輪配分ト
ルクTq1 〜Tq3 の最大値を基準前輪配分トルクTB
に選出する。
【0053】次に図4の演算処理のステップS12から
ステップS18では、前記モードセレクト信号S4A,S
4R,S2 に応じた目標前輪配分トルクTqの算出出力が
行われる。即ち、前述のようにして設定された各前輪配
分トルクTq1 〜Tq3 は、走行状態や運転者の操作入
力に応じた最適な四輪駆動状態を期待して運転者が意図
的に四輪自動走行モードを選択しているときに実行され
るべきであり、他のモードが選択されているときには、
本来的に運転者の意思を尊重してその通りの走行状態を
創造すべきである。
【0054】そして、四輪自動走行モードが選択されて
いるときにはステップS12、ステップS15及びステ
ップS16に移行し、基準前輪配分トルクTB がそのま
ま目標前輪配分トルクTqとして算出出力され、二輪走
行モードが選択されているときにはステップS12、ス
テップS15、ステップS17及びステップS18に移
行し、目標前輪配分トルクTqが“0”として算出出力
される。
【0055】ここで、車両が四輪直結モードを選択して
走行するときには、ステップS13において前輪速Vw
F に応じた前輪配分トルクTM が設定され、前後輪駆動
力配分量を50:50とした四輪直結走行状態となる。
そして、四輪直結走行状態の車両が高速状態(40km/h
を上回る状態))で走行すると、低い値の前輪配分トル
クTM が設定され、この前輪配分トルクTM に応じたク
ラッチ圧Pcが圧力制御弁50から入力ポート6に供給
される。そして、シリンダ室1hが加圧状態となってク
ラッチピストン1gが移動し、このクラッチピストン1
gの移動がスラスト軸受1fを介して回転部材1eに伝
達され、フリクションプレート1b及びフリクションデ
ィスク1dが完全に締結状態となる。ここで、スラスト
軸受1fには従来装置のように大きな負荷が加わらない
ので、スラスト軸受1fが高速回転を行っても、耐久性
を向上させることができる。ここで、四輪直結走行状態
の車両が低速状態(40km/hを下回る状態)で走行する
と、高い値の前輪配分トルクTM1が設定され、この前輪
配分トルクTM1に応じたクラッチ圧Pcが圧力制御弁5
0から入力ポート6に供給されることにより、スラスト
軸受1fには大きな負荷が加わるが、スラスト軸受1f
は高速回転を行わないので、耐久性の面で問題はない。
【0056】以上より、前記クラッチ機構(摩擦クラッ
チ)1、流体圧力源35及び圧力制御弁(圧力調整手
段)50が本発明の四輪駆動制御装置の駆動力配分調整
手段に相当し、以下同様に前後輪速センサ54,56及
び図4の演算処理のステップS1及びステップS5が回
転数差検出手段に相当し、前輪速センサ54及び図4の
演算処理のステップS1が走行速度検出手段に相当し、
図4の演算処理のステップS6が配分量設定手段に相当
し、図4の演算処理のステップS12、ステップS1
5、ステップS16、ステップS17及びステップS1
8が駆動力制御手段に相当し、図4の演算処理のステッ
プS13及びステップS14が係合力変更手段に相当す
る。
【0057】なお、前記実施形態では後輪駆動車両をベ
ースにした四輪駆動車両について詳述したが、この種の
四輪駆動車両に限定されるものではなく、前輪駆動車両
をベースにした四輪駆動車両に搭載されるトランスファ
のクラッチ機構を制御するものであってもよい。また、
前記実施形態では車体速の評価に副駆動輪速を用いた
が、前述のように当該副駆動輪への駆動力変動によって
変動する副駆動輪の影響が車体速に表れないように、適
切なフィルタをかけて用いてもよいし、或いは既存のア
ンチスキッド制御装置等に用いられる疑似車速(推定車
体速)を転用するようにしてもよい。
【0058】また、前記実施形態はコントロールユニッ
ト58としてマイクロコンピュータを適用した場合につ
いて説明したが、これに代えてカウンタ,比較器等の電
子回路を組み合わせて構成することもできる。また、前
記実施形態では可変トルククラッチを付勢する作動流体
としては、油、水等の流体,空気等の気体を適用し得る
ことは言うまでもない。
【0059】また、前記オイルポンプの回転駆動源とし
ては前記電動モータに限らず,エンジンの回転出力を用
いることも可能である。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように本発明の車両の四輪
駆動制御装置によると、車両が四輪直結モードを選択し
て走行するときに、摩擦クラッチの多板クラッチ部材が
すべりを発生せず完全に締結状態となるように係合力を
発生する際、クラッチピストンと多板クラッチ部材との
間に介装されたスラスト軸受にスラスト反力による大き
な負荷が連続的に加わるおそれがあるが、本発明では、
係合力変更手段が、走行速度の増加に伴って摩擦クラッ
チの係合力が減少するように係合力を変更し、車両の高
速走行時には、クラッチピストンと多板クラッチ部材と
の間に介装されたスラスト軸受にはさほど大きな負荷が
加わらないので、スラスト軸受の耐久性を向上させるこ
とができる。
【0061】また、本発明では、車両の二輪駆動状態及
び四輪駆動状態を制御する駆動力配分制御手段に備えら
た係合力変更手段の制御によりスラスト軸受の耐久性が
向上するので、例えば流体圧力源に作動流体圧を高精度
に制御するための複数のソレノイド制御弁等を配設する
必要がなく、装置コストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の四輪駆動制御装置の一例を示す
車両構成の概略説明図である。
【図2】図1の前後輪間駆動力配分制御装置の一例を示
す概略構成図である。
【図3】図2の前後輪間駆動力配分制御装置で用いられ
るデューティ比と目標前輪配分トルクの相関関係図であ
る。
【図4】図2の前後輪間駆動力配分制御装置の一実施形
態の演算処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の演算処理で、第1前輪配分トルクを算出
設定するための制御マップである。
【図6】図4の演算処理で、第2前輪配分トルクを算出
設定するための制御マップである。
【図7】図4の演算処理で、第3前輪配分トルクを算出
設定するための制御マップである。
【図8】図4の演算処理で、四輪直結モード時の前輪配
分トルクを算出設定するための制御マップである。
【図9】本発明で使用されている摩擦クラッチ、即ちク
ラッチピストンが多板クラッチ部材側に移動する際にス
ラスト反力を受けるスラスト軸受を備えた構造を示す図
である。
【符号の説明】
1 クラッチ機構(摩擦クラッチ) 1b フリクションプレート 1d フリクションディスク 1e 回転部材 1g クラッチピストン 1h シリンダ室 1f スラスト軸受 5 ケーシング 6 入力ポート 12FL〜12RR 前左輪〜後右輪 16 駆動力配分制御装置 18 変速機 20 トランスファ 22 前輪側出力軸 24 前輪側ディファレンシャルギヤ 26 前輪側ドライブシャフト 28 プロペラシャフト 30 後輪側ディファレンシャルギヤ 32 後輪側ドライブシャフト 35 流体圧力源 50 圧力制御弁(圧力調整手段) 52 モードセレクトスイッチ 54 前輪速センサ(走行速度検出手段) 56 後輪速センサ 58 コントロールユニット 59 駆動回路 70 マイクロコンピュータ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後輪のいずれか一方を主駆動輪
    とし、他方を副駆動輪とし、流体圧力源から所定のライ
    ン圧で供給される作動流体を圧力調整手段により制御信
    号に応じたクラッチ圧に調整して摩擦クラッチに供給
    し、前記クラッチ圧の供給による前記摩擦クラッチの係
    合力の可変制御によって前記主駆動輪側及び副駆動輪側
    の駆動力配分を行う駆動力配分調整手段と、前記主駆動
    輪及び副駆動輪の回転数差を検出する回転数差検出手段
    と、車両の走行速度を検出する走行速度検出手段と、前
    記主駆動輪側及び副駆動輪側の駆動力配分量を1:1の
    比率に設定する四輪直結モード及び少なくとも前記回転
    数差の検出値に基づいて前記副駆動輪側への駆動力が連
    続的に変更されるように前記駆動力配分量の比率を変更
    設定する四輪自動モードを選択可能とし、且つこれらモ
    ードに応じた前記制御信号を前記圧力調整手段に出力し
    て前記摩擦クラッチの係合力を制御する駆動力配分制御
    手段とを有し、前記摩擦クラッチは、ケーシング内に配
    設された多板クラッチ部材と、前記ケーシングの内壁に
    回転が拘束されながら前記多板クラッチ部材側に向けて
    移動自在とされたクラッチピストンと、このクラッチピ
    ストン及び前記ケーシングの内壁の間に形成されて前記
    クラッチ圧が供給されるシリンダ室と、前記クラッチピ
    ストンと回転する多板クラッチ部材との間に介装され、
    且つ前記シリンダ室への前記クラッチ圧の供給により移
    動したクラッチピストンが前記多板クラッチ部材に所定
    の係合力を発生させる際にスラスト力を受けるスラスト
    軸受とを備える車両の四輪駆動制御装置において、 前記主駆動輪側及び副駆動輪側の駆動力配分量を1:1
    の比率に設定する前記四輪直結モードを選択したとき
    に、前記走行速度検出手段により検出した走行速度に基
    づき、当該走行速度の増加に伴って前記摩擦クラッチの
    前記係合力が減少するように当該係合力を変更する係合
    力変更手段を前記駆動力配分制御手段に備えたことを特
    徴とする車両の四輪駆動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6729426B2 (en) 2001-07-13 2004-05-04 Nissan Motor Co., Ltd. Driving force controlling apparatus and method for four-wheel drive vehicle
JP2006528569A (ja) * 2003-07-24 2006-12-21 バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト 少なくとも一時的に四輪稼動される自動車用の制御装置

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