JPH09135695A - (s)−3−アルキルフタリドの製造方法 - Google Patents
(s)−3−アルキルフタリドの製造方法Info
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- JPH09135695A JPH09135695A JP29801795A JP29801795A JPH09135695A JP H09135695 A JPH09135695 A JP H09135695A JP 29801795 A JP29801795 A JP 29801795A JP 29801795 A JP29801795 A JP 29801795A JP H09135695 A JPH09135695 A JP H09135695A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、アルキル(2−ハロフェニル)ケ
トンから、光学活性(S)α−アルキル−2−ハロベン
ジルアルコールを製造する方法およびさらにこのアルコ
ール化合物からプロスタグランジンF2α阻害作用を有
する光学活性(S)−3−アルキルフタリドを製造する
方法を提供する。 【解決手段】 式(I)のアルキル(2−ハロフェニ
ル)ケトンに酵素による還元を施して、式(II)の光学
活性な(S)−α−アルキル−2−ハロベンジルアルコ
ールを製造し、さらに、これをパラジウム化合物と第3
級ホスフィンの存在下で、一酸化炭素とカルボニル化環
化反応を行わせて、式(III )の光学活性(S)−3−
アルキルフタリドを製造する。 【化1】
トンから、光学活性(S)α−アルキル−2−ハロベン
ジルアルコールを製造する方法およびさらにこのアルコ
ール化合物からプロスタグランジンF2α阻害作用を有
する光学活性(S)−3−アルキルフタリドを製造する
方法を提供する。 【解決手段】 式(I)のアルキル(2−ハロフェニ
ル)ケトンに酵素による還元を施して、式(II)の光学
活性な(S)−α−アルキル−2−ハロベンジルアルコ
ールを製造し、さらに、これをパラジウム化合物と第3
級ホスフィンの存在下で、一酸化炭素とカルボニル化環
化反応を行わせて、式(III )の光学活性(S)−3−
アルキルフタリドを製造する。 【化1】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキル(2−ハ
ロフェニル)ケトンに、パン酵母または固定化パン酵母
などの酵素を用いて不斉還元を施して、光学活性(S)
−α−アルキル−2−ハロベンジルアルコールを製造す
る方法、およびこの方法により得られた化合物をパラジ
ウム化合物および第3級ホスフィンの存在下で、一酸化
炭素と反応させてこれをカルボニル化し、かつ環化して
光学活性(S)−3−アルキルフタリドを製造する方法
に関するものである。このようなフタリド化合物はセリ
科の植物センキュウに含まれる成分の一つであってプロ
スタグランジンF2α阻害作用を有するものである。
ロフェニル)ケトンに、パン酵母または固定化パン酵母
などの酵素を用いて不斉還元を施して、光学活性(S)
−α−アルキル−2−ハロベンジルアルコールを製造す
る方法、およびこの方法により得られた化合物をパラジ
ウム化合物および第3級ホスフィンの存在下で、一酸化
炭素と反応させてこれをカルボニル化し、かつ環化して
光学活性(S)−3−アルキルフタリドを製造する方法
に関するものである。このようなフタリド化合物はセリ
科の植物センキュウに含まれる成分の一つであってプロ
スタグランジンF2α阻害作用を有するものである。
【0002】
【従来の技術】光学活性3−アルキルフタリドの製造方
法としては、不斉補助剤として、キラルなジアミン(Ch
em.Lett., 1980, 17;Tetrahedron : Asymmetry, 1, 28
3 (1990)) 、キラルなジオール(Tetrahedron : Asymme
try, 1, 287 (1990);Helv.Chim.Acta, 64, 2485 (198
1))、又はエフェドリン誘導体(Tetrahedron : Asymmet
ry, 2, 253 (1991)) を用いて製造する方法、或はo−
アセチル安息香酸を不斉還元(Tetrahedron Lett., 31,
5509 (1990)) して製造する方法などが知られている。
しかしながら、キラルなジアミン、ジオール、エフェド
リンなどの不斉補助剤を用いた製造方法においては、そ
れにより得られる3−アルキルフタリドの光学純度は、
あまり良好ではなく、かつ化学量論的量の不斉補助剤の
使用を必要とするという欠点があり、またo−アセチル
安息香酸エステルの不斉還元による製造方法は、高価な
不斉補助剤を必要とするという欠点があるので実用的な
製造方法とはいえない。
法としては、不斉補助剤として、キラルなジアミン(Ch
em.Lett., 1980, 17;Tetrahedron : Asymmetry, 1, 28
3 (1990)) 、キラルなジオール(Tetrahedron : Asymme
try, 1, 287 (1990);Helv.Chim.Acta, 64, 2485 (198
1))、又はエフェドリン誘導体(Tetrahedron : Asymmet
ry, 2, 253 (1991)) を用いて製造する方法、或はo−
アセチル安息香酸を不斉還元(Tetrahedron Lett., 31,
5509 (1990)) して製造する方法などが知られている。
しかしながら、キラルなジアミン、ジオール、エフェド
リンなどの不斉補助剤を用いた製造方法においては、そ
れにより得られる3−アルキルフタリドの光学純度は、
あまり良好ではなく、かつ化学量論的量の不斉補助剤の
使用を必要とするという欠点があり、またo−アセチル
安息香酸エステルの不斉還元による製造方法は、高価な
不斉補助剤を必要とするという欠点があるので実用的な
製造方法とはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、従来の3
−アルキルフタリド製造方法には、実用性に富む方法が
少ないため、効率よくしかも安価に製造するための方法
の開発が極めて重要なことである。本発明は、簡単な操
作により、光学純度の高い(S)−α−アルキル−2−
ハロベンジルアルコールを製造する方法、およびこの方
法により得られた化合物をパラジウム化合物および第3
級ホスフィンの存在下で、一酸化炭素と反応させカルボ
ニル化し、環化して効率よく光学活性(S)−3−アル
キルフタリドを製造する方法を提供しようとするもので
ある。
−アルキルフタリド製造方法には、実用性に富む方法が
少ないため、効率よくしかも安価に製造するための方法
の開発が極めて重要なことである。本発明は、簡単な操
作により、光学純度の高い(S)−α−アルキル−2−
ハロベンジルアルコールを製造する方法、およびこの方
法により得られた化合物をパラジウム化合物および第3
級ホスフィンの存在下で、一酸化炭素と反応させカルボ
ニル化し、環化して効率よく光学活性(S)−3−アル
キルフタリドを製造する方法を提供しようとするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルキル(2
−ハロフェニル)ケトンに、パン酵母または固定化パン
酵母などのような酵素を用いて不斉還元を施すことによ
りそれによって、光学純度の高い(S)−3−アルキル
フタリドの製造原料である(S)−α−アルキル−2−
ハロベンジルアルコールを効率良く製造することができ
ること、およびこの方法により得られた(S)−α−ア
ルキル−2−ハロベンジルアルコール化合物をパラジウ
ム化合物および第3級ホスフィンの存在下で、一酸化炭
素と反応させカルボニル化、環化して光学活性(S)−
3−アルキルフタリドを効率よく製造することができる
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
−ハロフェニル)ケトンに、パン酵母または固定化パン
酵母などのような酵素を用いて不斉還元を施すことによ
りそれによって、光学純度の高い(S)−3−アルキル
フタリドの製造原料である(S)−α−アルキル−2−
ハロベンジルアルコールを効率良く製造することができ
ること、およびこの方法により得られた(S)−α−ア
ルキル−2−ハロベンジルアルコール化合物をパラジウ
ム化合物および第3級ホスフィンの存在下で、一酸化炭
素と反応させカルボニル化、環化して光学活性(S)−
3−アルキルフタリドを効率よく製造することができる
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明の光学活性(S)−α−
アルキル−2−ハロベンジルアルコールの製造方法は、
下記化学式(I):
アルキル−2−ハロベンジルアルコールの製造方法は、
下記化学式(I):
【化4】 (式中、RはC1-4 アルキル基を表し、Xは臭素または
ヨウ素原子を表す。)で表されるアルキル(2−ハロフ
ェニル)ケトンに対し、酵素による還元反応を施すこと
により、下記化学式(II):
ヨウ素原子を表す。)で表されるアルキル(2−ハロフ
ェニル)ケトンに対し、酵素による還元反応を施すこと
により、下記化学式(II):
【化5】 (式中、RおよびXは前記規定の通りである)で表され
る光学活性(S)−α−アルキル−2−ハロベンジルア
ルコールを製造することを特徴とするものである。
る光学活性(S)−α−アルキル−2−ハロベンジルア
ルコールを製造することを特徴とするものである。
【0006】本発明の光学活性(S)−3−アルキルフ
タリドの製造方法は、前記方法により合成され、式(I
I)により表される光学活性(S)−α−アルキル−2
−ハロベンジルアルコールを、パラジウム化合物および
第3級ホスフィンの存在下で、一酸化炭素とを反応させ
てカルボニル化環化することにより、下記化学式(II
I):
タリドの製造方法は、前記方法により合成され、式(I
I)により表される光学活性(S)−α−アルキル−2
−ハロベンジルアルコールを、パラジウム化合物および
第3級ホスフィンの存在下で、一酸化炭素とを反応させ
てカルボニル化環化することにより、下記化学式(II
I):
【化6】 (式中、Rは前記規定の通りである)で表される光学活
性(S)−3−アルキルフタリドを製造することを特徴
とするものである。
性(S)−3−アルキルフタリドを製造することを特徴
とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る光学活性(S)−α
−アルキル−2−ハロベンジルアルコール(式(II))
の製造および光学活性(S)−3−アルキルフタリド
(式(III ))の製造は、下記経路により行われる。
−アルキル−2−ハロベンジルアルコール(式(II))
の製造および光学活性(S)−3−アルキルフタリド
(式(III ))の製造は、下記経路により行われる。
【化7】
【0008】本発明の光学活性(S)−α−アルキル−
2−ハロベンジルアルコール製造方法において、出発原
料として用いられる式(I)のアルキル(2−ハロフェ
ニル)ケトンは、通常2−ハロ安息香酸塩化物に、アル
キルハライドより製造したグリニア試薬を無水塩化カド
ミウムの存在で反応させる合成方法により調製すること
ができる。
2−ハロベンジルアルコール製造方法において、出発原
料として用いられる式(I)のアルキル(2−ハロフェ
ニル)ケトンは、通常2−ハロ安息香酸塩化物に、アル
キルハライドより製造したグリニア試薬を無水塩化カド
ミウムの存在で反応させる合成方法により調製すること
ができる。
【0009】また、式(I)のアルキル(2−ハロフェ
ニル)ケトンを還元するために用いられる酵素は、所望
の還元作用を示すものであり、その種類に格別の制限は
ないが、パン酵母、および固定化パン酵母を用いること
が好ましい。還元用酵素は原料である(2−ハロフェニ
ル)ケトンに対し、重量比で1〜100倍の量で用いら
れることが好ましい。
ニル)ケトンを還元するために用いられる酵素は、所望
の還元作用を示すものであり、その種類に格別の制限は
ないが、パン酵母、および固定化パン酵母を用いること
が好ましい。還元用酵素は原料である(2−ハロフェニ
ル)ケトンに対し、重量比で1〜100倍の量で用いら
れることが好ましい。
【0010】アルキル(2−ハロフェニル)ケトンと還
元酵素とを反応させるためには、酵素を水中に所定濃度
(好ましくは2〜100g/リットル)で溶解し、この
溶液を、所定温度(好ましくは0〜60℃)に保持しな
がら、これにアルキル(2−ハロフェニル)ケトン又は
その溶剤溶液を添加(例えば滴下)し、この反応混合物
を所定温度(好ましくは15〜25℃)において、所定
時間(好ましくは2〜500時間)撹拌反応させ、必要
により反応停止剤(例えばアセトン)を添加して、反応
を停止させ、反応混合物から反応生成物、すなわち式
(II)の光学活性(S)−α−アルキル−2−ハロベン
ジルアルコールを単離する。
元酵素とを反応させるためには、酵素を水中に所定濃度
(好ましくは2〜100g/リットル)で溶解し、この
溶液を、所定温度(好ましくは0〜60℃)に保持しな
がら、これにアルキル(2−ハロフェニル)ケトン又は
その溶剤溶液を添加(例えば滴下)し、この反応混合物
を所定温度(好ましくは15〜25℃)において、所定
時間(好ましくは2〜500時間)撹拌反応させ、必要
により反応停止剤(例えばアセトン)を添加して、反応
を停止させ、反応混合物から反応生成物、すなわち式
(II)の光学活性(S)−α−アルキル−2−ハロベン
ジルアルコールを単離する。
【0011】本発明方法により光学活性(S)−3−ア
ルキルフタリドを製造するには、光学活性(S)−α−
アルキル−2−ハロベンジルアルコールを、パラジウム
化合物および第3級ホスフィンの存在下に一酸化炭素と
反応させる。すると、光学活性(S)−α−アルキル−
2−ハロベンジルアルコールはカルボニル化環化して光
学活性(S)−3−アルキルフタリドが生ずる。
ルキルフタリドを製造するには、光学活性(S)−α−
アルキル−2−ハロベンジルアルコールを、パラジウム
化合物および第3級ホスフィンの存在下に一酸化炭素と
反応させる。すると、光学活性(S)−α−アルキル−
2−ハロベンジルアルコールはカルボニル化環化して光
学活性(S)−3−アルキルフタリドが生ずる。
【0012】本発明の上記方法に用いられるパラジウム
化合物は、例えば酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ジ
クロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジ
クロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなど
から選ぶことができ、好ましくは、原料である(S)−
α−アルキル−2−ハロベンジルアルコールに対しモル
比で0.05〜1当量の添加量で用いられる。本発明方
法に用いられる第3級ホスフィンは、例えばトリフェニ
ルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホス
フィン、トリブチルホスフィンなどから選ぶことがで
き、好ましくは原料である(S)−α−アルキル−2−
ハロベンジルアルコールに対し、モル比で0.1〜2当
量の添加量で用いられる。また本発明による光学活性
(S)−3−アルキルフタリドの製造反応系中には、ア
ミノ化合物、例えばトリブチルアミン、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなどが
含まれていてもよく、その添加量は原料である(S)−
α−アルキル−2−ハロベンジルアルコールに対し、モ
ル比で1〜10当量であることが好ましい。
化合物は、例えば酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ジ
クロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジ
クロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなど
から選ぶことができ、好ましくは、原料である(S)−
α−アルキル−2−ハロベンジルアルコールに対しモル
比で0.05〜1当量の添加量で用いられる。本発明方
法に用いられる第3級ホスフィンは、例えばトリフェニ
ルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホス
フィン、トリブチルホスフィンなどから選ぶことがで
き、好ましくは原料である(S)−α−アルキル−2−
ハロベンジルアルコールに対し、モル比で0.1〜2当
量の添加量で用いられる。また本発明による光学活性
(S)−3−アルキルフタリドの製造反応系中には、ア
ミノ化合物、例えばトリブチルアミン、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなどが
含まれていてもよく、その添加量は原料である(S)−
α−アルキル−2−ハロベンジルアルコールに対し、モ
ル比で1〜10当量であることが好ましい。
【0013】本発明方法において、パラジウム化合物
は、光学活性(S)−3−アルキルフタリド生成反応に
対して、カルボニル化に際しての触媒作用を示すもので
ある。また、第3級ホスフィンは、光学活性(S)−3
−アルキルフタリドの生成反応に対して、カルボニル化
に際しての助触媒作用を示すものである。さらに、アミ
ノ化合物は、光学活性(S)−3−アルキルフタリド生
成反応に対して、生成した酸塩化物を環化する際の脱塩
化水素剤としての作用を示すものである。
は、光学活性(S)−3−アルキルフタリド生成反応に
対して、カルボニル化に際しての触媒作用を示すもので
ある。また、第3級ホスフィンは、光学活性(S)−3
−アルキルフタリドの生成反応に対して、カルボニル化
に際しての助触媒作用を示すものである。さらに、アミ
ノ化合物は、光学活性(S)−3−アルキルフタリド生
成反応に対して、生成した酸塩化物を環化する際の脱塩
化水素剤としての作用を示すものである。
【0014】光学活性(S)−3−アルキルフタリド生
成反応において、一酸化反応は1〜10気圧の圧力下に
反応系に導入され、光学活性(S)−α−アルキル−2
−ハロベンジルアルコールのX基と反応し、これをカル
ボニル化するとともに環化し、式(III )の光学活性
(S)−3−アルキルフタリドを生成する。この光学活
性(S)−3−アルキルフタリド生成反応は、好ましく
は40〜140℃の温度において、1〜10気圧の一酸
化炭素加圧下に8〜30時間行われる。反応生成物混合
液から、析出したパラジウム化合物を濾過除去し、例え
ば濾液を希酸により酸洗浄し、次に水洗し、乾燥し、残
留溶剤を減圧除去し、適宜の精製手段、例えば、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ベンゼンな
ど)を用いて精製する。
成反応において、一酸化反応は1〜10気圧の圧力下に
反応系に導入され、光学活性(S)−α−アルキル−2
−ハロベンジルアルコールのX基と反応し、これをカル
ボニル化するとともに環化し、式(III )の光学活性
(S)−3−アルキルフタリドを生成する。この光学活
性(S)−3−アルキルフタリド生成反応は、好ましく
は40〜140℃の温度において、1〜10気圧の一酸
化炭素加圧下に8〜30時間行われる。反応生成物混合
液から、析出したパラジウム化合物を濾過除去し、例え
ば濾液を希酸により酸洗浄し、次に水洗し、乾燥し、残
留溶剤を減圧除去し、適宜の精製手段、例えば、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ベンゼンな
ど)を用いて精製する。
【0015】
【実施例】本発明を下記実施例により更に説明する。
【0016】実施例1 (S)−1−(2−ヨードフェニル)エチルアルコール
の製造 蒸留水700mlにスクロース70gを溶かした溶液に、
パン酵母(70g、オリエンタル酵母社製)を加え、3
2℃で30分間かき混ぜた。この混合溶液に2−ヨード
アセトフェノン1.39g(5.64mmol)をアルコー
ル(20ml)に溶かした溶液を30分かけて滴下した。
この混合液を32℃で14日間撹拌を続けた後、これに
アセトン200mlを加えて反応を停止させ、パン酵母を
濾過した。濾別したパン酵母をメタノール200mlで2
回洗い、洗液と濾液を混合し、これを減圧下で濃縮し、
さらにこれをクロロホルム150mlで2回抽出した。さ
らに、このクロロホルム抽出溶液を水洗いし、無水硫酸
マグネシウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフで精製した。無色油状の(S)−1−(2−
ヨードフェニル)エチルアルコール1.09g(収量7
8%)が得られた。この化合物の絶対配置を、パラジウ
ム触媒の存在下におけるオキソ化環化反応による(S)
−3−メチルフタリドの生成により同定した。
の製造 蒸留水700mlにスクロース70gを溶かした溶液に、
パン酵母(70g、オリエンタル酵母社製)を加え、3
2℃で30分間かき混ぜた。この混合溶液に2−ヨード
アセトフェノン1.39g(5.64mmol)をアルコー
ル(20ml)に溶かした溶液を30分かけて滴下した。
この混合液を32℃で14日間撹拌を続けた後、これに
アセトン200mlを加えて反応を停止させ、パン酵母を
濾過した。濾別したパン酵母をメタノール200mlで2
回洗い、洗液と濾液を混合し、これを減圧下で濃縮し、
さらにこれをクロロホルム150mlで2回抽出した。さ
らに、このクロロホルム抽出溶液を水洗いし、無水硫酸
マグネシウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフで精製した。無色油状の(S)−1−(2−
ヨードフェニル)エチルアルコール1.09g(収量7
8%)が得られた。この化合物の絶対配置を、パラジウ
ム触媒の存在下におけるオキソ化環化反応による(S)
−3−メチルフタリドの生成により同定した。
【0017】〔α〕D24=−43.8°(c 0.88
7,CHCl3 ,>99%ee)。 IRスペクトル(neat):3330,780cm-1 NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=1.48(d,
3H,−CH3 ),3.05(br−s,1H,−O
H),5.15(q,1H,−CH−),7.06−
7.88ppm (m,4H,Ar−H)。 マススペクトル(m/z):248(M+ )。
7,CHCl3 ,>99%ee)。 IRスペクトル(neat):3330,780cm-1 NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=1.48(d,
3H,−CH3 ),3.05(br−s,1H,−O
H),5.15(q,1H,−CH−),7.06−
7.88ppm (m,4H,Ar−H)。 マススペクトル(m/z):248(M+ )。
【0018】実施例2 (S)−1−(2−ヨードフェニル)ペンチルアルコー
ルの製造 2−ヨードバレロフェノンを出発原料とし、実施例1と
同様に反応させて、無色油状の(S)−1−(2−ヨー
ドフェニル)ペンチルアルコールを30%の収量で得
た。
ルの製造 2−ヨードバレロフェノンを出発原料とし、実施例1と
同様に反応させて、無色油状の(S)−1−(2−ヨー
ドフェニル)ペンチルアルコールを30%の収量で得
た。
【0019】〔α〕D24=−31.4°(c 0.98
2,CHCl3 ,60%ee)。 IRスペクトル(neat):3350,770cm-1 NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=0.92(t,
3H,−CH3 ),1.22−2.28(m,6H,−
CH2 −),2.96(br−s,1H,−OH),
5.19(t,1H,−O−CH−),7.02−8.
02ppm (m,4H,Ar−H); マススペクトル(m/z):290(M+ )。
2,CHCl3 ,60%ee)。 IRスペクトル(neat):3350,770cm-1 NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=0.92(t,
3H,−CH3 ),1.22−2.28(m,6H,−
CH2 −),2.96(br−s,1H,−OH),
5.19(t,1H,−O−CH−),7.02−8.
02ppm (m,4H,Ar−H); マススペクトル(m/z):290(M+ )。
【0020】実施例3 (S)−3−メチルフタリドの製造 実施例1で製造した>99%eeの(S)−1−(2−ヨ
ードフェニル)エタノール0.322g(1.3mmol)
に、酢酸パラジウム0.15g(0.66mmol)、トリ
フェニルホスフィン0.35g(1.3mmol)、および
トリブチルアミン1.7mlを混合し、この混合物を1気
圧の一酸化炭素の雰囲気中において撹拌しながら100
℃、24時間反応させた。反応終了後、反応系にベンゼ
ン100mlを加え、析出したパラジウムを濾過し、濾液
を希塩酸、水の順で洗い、乾燥した。この反応生成物か
ら減圧で溶媒を追い出した後、これをシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出液:ベンゼン)で精製した。
無色油状の(S)−メチルフタリドを75%の収率で得
た。
ードフェニル)エタノール0.322g(1.3mmol)
に、酢酸パラジウム0.15g(0.66mmol)、トリ
フェニルホスフィン0.35g(1.3mmol)、および
トリブチルアミン1.7mlを混合し、この混合物を1気
圧の一酸化炭素の雰囲気中において撹拌しながら100
℃、24時間反応させた。反応終了後、反応系にベンゼ
ン100mlを加え、析出したパラジウムを濾過し、濾液
を希塩酸、水の順で洗い、乾燥した。この反応生成物か
ら減圧で溶媒を追い出した後、これをシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出液:ベンゼン)で精製した。
無色油状の(S)−メチルフタリドを75%の収率で得
た。
【0021】〔α〕D24=−50.2°(c 0.90
2,CH3 OH,>99%ee);文献値(Helv.Chim.Ac
ta, 64, 2485 (1981))〔α〕D24=−7.58°(CH
3 OH,25%ee); IRスペクトル(neat):1770,770cm-1 NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=1.68(d,
1H,−CH3 ),5.73(q,1H,−CH−),
7.39−7.97ppm (m,4H,Ar−H)。 マススペクトル(m/z):148(M+ )。
2,CH3 OH,>99%ee);文献値(Helv.Chim.Ac
ta, 64, 2485 (1981))〔α〕D24=−7.58°(CH
3 OH,25%ee); IRスペクトル(neat):1770,770cm-1 NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=1.68(d,
1H,−CH3 ),5.73(q,1H,−CH−),
7.39−7.97ppm (m,4H,Ar−H)。 マススペクトル(m/z):148(M+ )。
【0022】実施例4 (S)−3−ブチルフタリドの製造 実施例2で製造した(S)−1−(2−ヨードフェニ
ル)ペンチルアルコール(60%ee)を、実施例3と同
様に処理して、58%eeの(S)−3−ブチルフタリド
を79%の収率で得た。
ル)ペンチルアルコール(60%ee)を、実施例3と同
様に処理して、58%eeの(S)−3−ブチルフタリド
を79%の収率で得た。
【0023】〔α〕D24=−33.2°(c 0.87
5,CHCl3 ,58%ee);文献値(Heterocycle, 2
9, 865 (1989)) 〔α〕D24=−49.3°(c 0.4,CHC
l3 ); IRスペクトル(neat):1770,770cm-1; NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=0.92(t,
1H,−CH3 ),1.22−2.33(m,6H,−
CH2 −),5.45(t,1H,−CH−),7.4
0−7.95ppm (m,4H,Ar−H); マススペクトル(m/z):190(M+ )。
5,CHCl3 ,58%ee);文献値(Heterocycle, 2
9, 865 (1989)) 〔α〕D24=−49.3°(c 0.4,CHC
l3 ); IRスペクトル(neat):1770,770cm-1; NMRスペクトル(CDCl3 ):δ=0.92(t,
1H,−CH3 ),1.22−2.33(m,6H,−
CH2 −),5.45(t,1H,−CH−),7.4
0−7.95ppm (m,4H,Ar−H); マススペクトル(m/z):190(M+ )。
【0024】
【発明の効果】本発明方法により、簡便な操作によっ
て、式(I)のアルキル(2−ハロフェニル)ケトンか
ら、式(II)の光学活性(S)−α−アルキル−2−ハ
ロベンジルアルコールを経て、光学的純度の高い式(II
I )の(S)−3−アルキルフタリドを収率よく製造す
ることが可能である。
て、式(I)のアルキル(2−ハロフェニル)ケトンか
ら、式(II)の光学活性(S)−α−アルキル−2−ハ
ロベンジルアルコールを経て、光学的純度の高い式(II
I )の(S)−3−アルキルフタリドを収率よく製造す
ることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:645) C07M 7:00
Claims (3)
- 【請求項1】 下記化学式(I): 【化1】 (式中、RはC1-4 アルキル基を表し、Xは臭素または
ヨウ素原子を表す。)で表されるアルキル(2−ハロフ
ェニル)ケトンに対し、酵素による還元反応を施すこと
を特徴とする、下記化学式(II): 【化2】 (式中、RおよびXは前記規定の通りである)で表され
る光学活性(S)−α−アルキル−2−ハロベンジルア
ルコールの製造方法。 - 【請求項2】 前記酵素が、パン酵母および固定化パン
酵母から選ばれたものである、請求項1記載の光学活性
(S)−α−アルキル−2−ハロベンジルアルコールの
製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の方法により合成された
前記式(II)の光学活性(S)−α−アルキル−2−ハ
ロベンジルアルコールを、パラジウム化合物および第3
級ホスフィンの存在下で、一酸化炭素と反応させてカル
ボニル化環化することを特徴とする、下記化学式(III
): 【化3】 (式中、Rは前記規定の通りである)で表される光学活
性(S)−3−アルキルフタリドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29801795A JPH09135695A (ja) | 1995-11-16 | 1995-11-16 | (s)−3−アルキルフタリドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29801795A JPH09135695A (ja) | 1995-11-16 | 1995-11-16 | (s)−3−アルキルフタリドの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09135695A true JPH09135695A (ja) | 1997-05-27 |
Family
ID=17854050
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29801795A Pending JPH09135695A (ja) | 1995-11-16 | 1995-11-16 | (s)−3−アルキルフタリドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09135695A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003096029A (ja) * | 2001-09-21 | 2003-04-03 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 光学活性アルコール及びその製造方法 |
JP2006151842A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | Takasago Internatl Corp | 光学活性アルキルフタリド類の製造方法 |
-
1995
- 1995-11-16 JP JP29801795A patent/JPH09135695A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003096029A (ja) * | 2001-09-21 | 2003-04-03 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 光学活性アルコール及びその製造方法 |
JP2006151842A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | Takasago Internatl Corp | 光学活性アルキルフタリド類の製造方法 |
JP4713134B2 (ja) * | 2004-11-26 | 2011-06-29 | 高砂香料工業株式会社 | 光学活性アルキルフタリド類の製造方法 |
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