JPH0913538A - 外壁パネルと軸組との締結具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】現場において、軸組に対して外壁パネルを効率
よく締結することができる。 【構成】固定部材１０の支持部１１を軸組４０の開口部
４１ａに係止した状態で、固定部材１０の連結部１２に
沿うように外壁パネル５０を配置し、外壁パネル５０の
裏面に設けられた接合部５２に、係止部材２０を挿入し
て内奥部５２ａ内に位置させ、各端部を係合壁５２ｃに
対向させる。このような状態で、ボルト３１を回転操作
すると、係止部材２０がボルトの回転により固定部材１
０の連結部１２に接近するように移動する。これによ
り、係止部材２０の各端部は接合部５２の各係合壁５２
ｃに係止して、各係合壁５２ｃが固定部材１０の連結部
１２に接近され、外壁パネル５０全体が固定部材１０に
接近する。そして、軸組４０と外壁パネル５０とが相互
に圧接されることにより、両者が固定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉄骨系住宅における外
壁パネルと軸組とを締結するために使用される締結具に
関する。

【０００２】

【従来の技術】プレハブリケーション住宅に使用される
外壁パネルとして、近時、内部が中空になった押出成型
パネルが多用されている。このような押出中空外壁パネ
ルは、構造体に対して、現場において締結されるように
なっている。押出中空外壁パネルと構造体との締結は、
通常、次のように実施される。まず、現場において外壁
パネルの四隅に穴開け加工をして４つの締結部をそれぞ
れ形成するとともに、各締結部にＺ型のクリップをそれ
ぞれセットする。また、構造体に下地材を取り付けて、
外壁パネルに取り付けられた各クリップを、構造体に取
り付けられた下地材に対してボルトによって締結する。
その後、ボルトとクリップとを溶接することにより、構
造体に対して外壁パネルが締結されて固定される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような外壁パネル
と構造体との締結方法では、現場にて、外壁パネルの四
隅に締結部をそれぞれ形成しなければならず、また、締
結部内にセットされたクリップとボルトとを溶接する作
業も現場にて実施しなければならない。このような方法
では、現場での加工作業が多くなるために、現場での作
業効率が悪く、短時間にて組み立てることができるとい
うプレハブリケーション住宅を対象とした場合、その特
徴が損なわれるという問題がある。

【０００４】本発明は、このような問題を解決するもの
であり、その目的は、現場での加工作業が少なく、効率
よく外壁パネルと軸組とを締結することができる締結具
を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の外壁パネルと軸
組との締結具は、裏面に長手方向に沿った溝状の接合部
が設けられており、その接合部の開口部における幅寸法
が内奥部の幅寸法よりも小さくなるように開口部の各側
方に係合壁がそれぞれ長手方向に沿って設けられた外壁
パネルと、いずれかの側面に長手方向に沿った開口部を
有する軸組とを締結するために使用される締結具であっ
て、軸組の開口部に係止されてその開口部が設けられた
軸組の側面に沿って配置される平板状の支持部と、外壁
パネルの接合部に沿って対向して配置されるようにこの
支持部に対して直角に設けられた平板状の連結部とを有
する固定部材と、外壁パネルの接合部における内奥部内
に位置されて接合部の各係合壁に係止される係止部材
と、前記固定部材の連結部を挿通して、先端部に前記係
止部材がネジ結合されたボルトと、を具備することを特
徴とするものであり、そのことにより上記目的が達成さ
れる。

【０００６】前記係止部材は、前記ボルトの回転によっ
て、接合部の開口部を通過し得る状態と、接合部の係合
壁に各端部が係止し得る状態とになる。

【０００７】前記ボルトには、固定部材の連結部と係止
部材との間に介在されて両者が過度に接近することを防
止すると共に十分な締め付けトルクが得られるスリーブ
が嵌合されている。

【０００８】前記固定部材における連結部の外壁パネル
に対向する表面に、緩衝シートが設けられている。

【０００９】

【作用】本発明の外壁パネルと軸組との締結具では、固
定部材の支持部を軸組の開口部に係止した状態で、固定
部材の連結部に沿うように外壁パネルを配置する。そし
て、外壁パネルの裏面に設けられた接合部を、固定部材
の連結部を挿通するボルトの先端部に取り付けられた係
止部材に対向させる。その後、係止部材を外壁パネルの
接合部における開口部を通って接合部の内奥部内に位置
させて、各端部を係合壁に対向させる。このような状態
で、ボルトを回転操作すると、係止部材がボルトの回転
により固定部材の連結部に接近するように移動する。こ
れにより、係止部材の各端部は接合部の各係合壁に係止
して、各係合壁が固定部材の連結部に接近される結果、
外壁パネル全体が固定部材に接近される。そして、軸組
と外壁パネルとが相互に圧接されることにより、両者が
固定される。

【００１０】係止部材は、ボルトの先端部にネジ結合さ
れており、接合部の開口部を通過すると、ボルトの回転
により、接合部の内奥部内にて一体的に回動して、各端
部が接合部の係合壁に係止した後に、ボルトによってネ
ジ送りされる。

【００１１】ボルトに嵌合されたスリーブは、係止部材
によって外壁パネルが固定部材に接近した際に、ボルト
の締め過ぎによる両者の間隙が小さくなりすぎることを
防止すると共に十分な締め付けトルクを得ることができ
る。

【００１２】固定部材の連結部に設けられた緩衝シート
は、外壁パネルの裏面を傷付けることを防止すると共に
外壁パネルに加わる衝撃力を吸収する。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

【００１４】図１は、本発明の締結具の実施例を示す分
解斜視図、図２はその使用状態を示す平断面図、図３
は、図２の矢印Ａで示す方向の背面図である。この締結
具は、図２に示すように、内部が中空になった鋼材によ
って構成された軸組４０に取り付けられる固定部材１０
と、固定部材１０にボルト３１によって連結された係止
部材２０とを有している。

【００１５】軸組４０は、いずれか一つの側面４１に、
長手方向に連続して開口部４１ａが設けられている。開
口部４１ａは、組み立てられる住宅の内部に向けられて
おり、開口部４１ａの各側方に、側面４１の係合壁（リ
ップ部）４１ｂが、長手方向に連続して設けられてい
る。

【００１６】外壁パネル５０は、押出成型によって製造
されており、内部に、長手方向に沿って連続する複数の
中空部５１が、幅方向に適当な間隔をあけて設けられて
いる。また、各側縁部に近接して設けられた中空部５１
と、その中空部５１に隣接する中空部５１との間には、
長手方向に沿って連続する溝状の接合部５２が、それぞ
れ設けられている。各接合部５２は、幅方向に広がった
内奥部５２ａと、外壁パネル５０の裏面に開口する開口
部５２ｂとを有しており、開口部５２ｂの幅方向寸法が
内奥部５２ａの幅方向寸法よりも小さくなるように、開
口部５２ｂの各側方に、内奥部５２ａを覆う係合壁５２
ｃがそれぞれ長手方向に沿って設けられている。外壁パ
ネル５０は、軸組４０の開口部４１ａが設けられた側面
４１に直交するように配置される。

【００１７】軸組４０の外壁パネル５０と対向する側面
には、目地シート４４が設けられている。

【００１８】本発明の締結具の固定部材１０は、軸組４
０の開口部４１ａが設けられた側面４１に沿って配置さ
れる矩形の平板状をした支持部１１と、外壁パネル５０
の裏面に沿って配置されるように支持部１１に対して直
角に連続して設けられた矩形平板状の連結部１２とを有
している。支持部１１および連結部１２は、鋼板を直角
に折り曲げることによって形成されている。

【００１９】支持部１１の外側面には、軸組４０の開口
部４１ａを通って内部に挿入される係止片１３が取り付
けられている。この係止片１３は、軸組４０の開口部４
１ａの幅方向寸法よりも若干大きな幅寸法を有する平板
状をした矩形状の鋼板を、幅方向の一方の側部における
上部の角部を切欠するとともに、幅方向の他方の側部に
おける下部の角部も切欠した形状になっている。係止片
１３の各側部には、支持部１１から離れるように湾曲し
た係止部１３ａがそれぞれ形成されている。このような
構成の係止片１３は、一対のピン１６によって支持部１
１に固定されている。

【００２０】係止片１３は、各側部における切欠された
部分間の寸法が軸組４０の開口部４１ａの幅方向寸法よ
りも若干短くなっているのに対して、各係止部１３ａの
外縁間の寸法は、軸組４０の開口部４１ａの幅寸法より
も長くなっている。従って、係止片１３は、切欠部間の
方向が軸組４１の開口部４１ａの幅方向に沿った状態に
なるように、固定部材１０全体を軸組４０に対して傾斜
させた状態で、係止片１３が開口部４１ａを通過し、そ
の後、係止片１３全体を水平にすることにより、各係止
部１３ａが、開口部４１の各側方に位置する係合壁４１
ｂにそれぞれ係止される。

【００２１】固定部材１０における連結部１２の中央部
には、横方向に長くなった貫通孔１２ａが設けられてい
る。また、連結部１２における貫通孔１２ａの上部およ
び下部には、上縁および下縁からの切り込み線によって
切断されて、外方に直角に屈曲された嵌合片１２ｂが、
それぞれ設けられている。各嵌合片１２ｂは、外壁パネ
ル５０における接合部５２の開口部５２ｂ内に嵌合され
る。

【００２２】連結部１２の外側面には、衝撃力を吸収す
るための一対の緩衝シート１４が、貫通孔１２ａを挟ん
でそれぞれ設けられている。各緩衝シート１４は、発泡
ウレタン等のクッション性を有する材料によって構成さ
れている。

【００２３】連結部１２の貫通孔１２ａには、ボルト３
１が挿入されており、そのボルト３１の先端部に、外壁
パネル５０の接合部５２内に嵌合される係止部材２０が
取り付けられている。この係止部材２０は、各側縁部が
直角に屈曲されてフランジ部２１になった断面コ字状の
鋼材を、図３に示すように、各端縁が長手方向に対して
４５度に傾斜した状態で相互に平行になるように切断し
て構成されている。そして、係止部材２０は、各フラン
ジ部２１が外側に突出した状態で、その中央部がボルト
３１にネジ結合されている。

【００２４】係止部材２０の幅方向寸法は、外壁パネル
５０の接合部５２における開口部５２ｂの幅方向寸法よ
りも若干短くなっており、また、係止部材２０の長手方
向の寸法は、接合部５２の開口部５２ｂの幅寸法よりも
十分に長くなっている。従って、係止部材２０は、外壁
パネル５０の接合部５２に沿った状態では、開口部５２
ｂを通って内奥部５２ａ内に進入し、内奥部５２ａ内で
回動することにより、各端部が、各係合壁５２ｃに対向
状態になるとともに、各端縁が内奥部５２ａの内側面に
係止された状態になる。

【００２５】ボルト３１には、固定部材１０の連結部１
２と、係止部材２０との間隔を規定するスリーブ３２が
嵌合されている。このスリーブ３２は、ボルト３１の回
転によって、係止部材２０が固定部材１０の連結部１２
に必要以上に接近することを防止すると共に、十分な締
め付けトルクが得られる。

【００２６】このような構成の締結具は、次のように使
用される。まず、固定部材１０の支持部１１に取り付け
られた係止片１３を、前述したように、固定部材１０と
一体的に、軸組４０の開口部４１ａに対して傾斜させ
て、その開口部４１ａ内に挿入する。そして、係止片１
３が開口部４１ａ内に挿入された状態になると、係止片
１３は、固定部材１０と一体的に回動されて、各側部の
係止部１３ａが軸組４０の各係合壁４１ｂに係止され
る。

【００２７】このような状態になると、固定部材１０の
連結部１２を挿通するボルト３１の先端部に連結された
係止部材２０が、図２に二点鎖線で示すように、接合部
５２に沿った鉛直状態とされて、外壁パネル５０の接合
部５２内に挿入される。そして、係止部材２０が、接合
部５２の内奥部５２ａ内に進入した状態になると、ボル
ト３１が係止部材２０を連結部１２に接近するように回
動される。これにより、接合部５２の内奥部５２ａ内に
位置する係止部材２０も回動して、係止部材２０の各端
部が、内奥部５２ａの各内側面に当接して係止した状態
になる。

【００２８】その後、ボルト３１が回動され続けること
により、係止部材２０は、接合部５２の内奥部５２ａ内
にて回転されず、従って、ボルト３１が係止部材２０に
対してネジ送りされて、固定部材１０の連結部１２とが
相対的に接近され、係止部材２０の各端部が、接合部５
２における各係合壁５２ｃに係止した状態になる。その
後、さらに、ボルト３１を回動し続けることによって、
係止部材２０が固定部材１０の連結部１２に接近し、係
合壁５２ｃに係止した係止部材２０の各端部が、外壁パ
ネル５０全体を、固定部材１０が係止された軸組４０に
対して接近させる。これにより、固定部材１０の連結部
１２が、外壁パネル５０の裏面に、緩衝シート１４を介
して圧接された状態になるとともに、軸組４０と外壁パ
ネルの裏面とが、目地シート４４を介して圧接された状
態になる。その結果、外壁パネル５０は、軸組４０に対
して、本発明の締結具によって、締結されて固定された
状態になる。

【００２９】この場合、ボルト３１によって係止部材２
０と固定部材１０とが過度に締め付けられることが、ス
リーブ３２によって防止される。

【００３０】

【発明の効果】本発明の外壁パネルと軸組との締結具
は、このように、固定部材を軸組に係止した状態で、係
止部材を外壁パネルの接合部に嵌合させてボルトを回転
させるという簡単な作業によって、軸組と外壁パネルと
を締結して固定することができる。その結果、現場での
軸組と外壁パネルとの締結作業の効率は著しく向上す
る。しかも、外壁パネルは軸組に対して強固に締結され
た状態になり、外壁パネルは軸組に対して十分な耐震性
および耐風圧性で固定される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の外壁パネルと軸組との締結具の一例を
示す分解斜視図である。

【図２】その締結具の使用状態を示す平断面図である。

【図３】図２の矢印Ａで示す方向の背面図である。

【符号の説明】

１０ 固定部材 １１ 支持部 １２ 連結部 １２ａ 貫通孔 １３ 係止片 １３ａ 係止部 １４ 緩衝シート ２０ 係止部材 ３１ ボルト ３２ スリーブ ４０ 軸組 ４１ 側面 ４１ａ 開口部 ４１ｂ 係合壁 ４４ 目地シート ５０ 外壁パネル ５１ 中空部 ５２ 接合部 ５２ａ 内奥部 ５２ｂ 開口部 ５２ｃ 係合壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 一夫 大阪府大阪市北区大淀中一丁目１番88号 積水ハウス株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 裏面に長手方向に沿った溝状の接合部が
   設けられており、その接合部の開口部における幅寸法が
   内奥部の幅寸法よりも小さくなるように開口部の各側方
   に係合壁がそれぞれ長手方向に沿って設けられた外壁パ
   ネルと、いずれかの側面に長手方向に沿った開口部を有
   する軸組とを締結するために使用される締結具であっ
   て、 軸組の開口部に係止されてその開口部が設けられた軸組
   の側面に沿って配置される平板状の支持部と、外壁パネ
   ルの接合部に沿って対向して配置されるようにこの支持
   部に対して直角に設けられた平板状の連結部とを有する
   固定部材と、 外壁パネルの接合部における内奥部内に位置されて接合
   部の各係合壁に係止される係止部材と、 前記固定部材の連結部を挿通して、先端部に前記係止部
   材がネジ結合されたボルトと、 を具備することを特徴とする外壁パネルと軸組との締結
   具。
2. 【請求項２】 前記係止部材は、前記ボルトの回転によ
   って、接合部の開口部を通過し得る状態と、接合部の係
   合壁に各端部が係止し得る状態とになる請求項１に記載
   の外壁パネルと軸組との締結具。
3. 【請求項３】 前記ボルトには、固定部材の連結部と係
   止部材との間に介在されて両者が過度に接近することを
   防止すると共に十分な締め付けトルクが得られるスリー
   ブが嵌合されている請求項１に記載の外壁パネルと軸組
   との締結具。
4. 【請求項４】 前記固定部材における連結部の外壁パネ
   ルに対向する表面に、緩衝シートが設けられている請求
   項１に記載の外壁パネルと軸組との締結具。