JPH09134769A - 多対コネクタ用圧接手工具及び電線保持具 - Google Patents

多対コネクタ用圧接手工具及び電線保持具

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JPH09134769A
JPH09134769A JP28622695A JP28622695A JPH09134769A JP H09134769 A JPH09134769 A JP H09134769A JP 28622695 A JP28622695 A JP 28622695A JP 28622695 A JP28622695 A JP 28622695A JP H09134769 A JPH09134769 A JP H09134769A
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pair
pair connector
electric wire
holder
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JP28622695A
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English (en)
Inventor
Tomoyasu Oike
知保 大池
Kenta Wasai
健太 和才
Tsutomu Takagi
勉 高木
Takeshi Sato
武司 佐藤
Satoshi Matsuhashi
里志 松橋
Kankoku Kubota
幹穀 久保田
Yoshiaki Kato
義明 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Nippon Telegraph and Telephone Corp
3M Co
Original Assignee
Fujikura Ltd
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多対コネクタへの電線圧接作業を比較的小さ
な操作力で遂行可能な多対コネクタ用圧接手工具を提供
する。 【解決手段】 圧接手工具10は、支持ハンドル12に
固定的に連結される上部ジョー28と、作動ハンドル1
4に連動して上部ジョー28に接近及び離反する方向へ
移動する下部ジョー30とを備える。上部ジョー28
は、多対コネクタのカバーの一部分を押圧する略平坦な
押圧面を有する圧接部材32を備える。下部ジョー30
は、多対コネクタを保持するホルダ48を着脱可能に受
容する受容部材50を具備する。受容部材50の支持面
54は圧接部材32の押圧面に略平行に配置される。受
容部材50は、ホルダ48を支持面54上で所定位置に
位置決めするボールプランジャ56を備える。ハンドル
操作を繰り返すと、多対コネクタの差込み方向前端から
順次1対の接触子毎に、ケーブル心線が圧接される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電線接続用のコネ
クタに電線を固着するための手工具に関し、特に、ケー
ブルの多対(例えば10対)の心線に電気的接続部を形
成する多対心線接続コネクタ(以下、単に多対コネクタ
という)の各接触子に、複数の心線を手作業で圧接する
ための手工具に関する。本発明はさらに、コネクタの接
触子に電線を圧接する際にコネクタに布線される電線を
保持する電線保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電話回線等に使用される通信ケー
ブルを接続するためのコネクタにおいては、所要の回線
数を接続するために様々な接触子対数を有するものが使
用されている。また、この種の通信ケーブル用コネクタ
において、接触子への心線の固着作業を容易にするため
に、先端に長手方向へ延びるスロットを刻設してU状接
点を形成した接触子を有するものが知られている。この
ようなコネクタでは、絶縁被覆を有する心線を接触子の
スロットに圧力下で挿入すると、スロットを挟んで対向
する接点部分が絶縁被覆を突き破り、心線と接触子との
間に導通が得られるとともに心線が接触子に固着され
る。このような接触子構造を一般に「IDC(Insulati
on Displacement Contact)」と称し、IDCのスロット
に被覆心線を圧入する固着方法を一般に「圧接」と称す
る。
【0003】例えば、IDC構造の複数の接触子対を有
する多対コネクタに通信ケーブルの多対の心線を圧接す
るためには、コネクタの本体内部に設置された各接触子
のU状接点に多対の心線の各々を載せ、その上からコネ
クタのカバーを心線群に押し付けて各心線を各接触子に
同時に圧接するとともにカバーを本体に取着する方法が
採用できる。このとき各心線は、圧接後に余長部分を残
さないように所望長さに切断される。その場合、心線を
圧接前に切断して所望長さにするか、コネクタ本体内部
に心線の余長部分を切断するためのカッター刃を配設し
て心線の圧接と同時に余長部分を自動的に切断除去する
か、又は、コネクタカバーに心線切断用のカッター刃が
通る複数の穴を形成して心線の圧接時若しくは圧接後に
余長部分を切断除去する方法が採られている。
【0004】上記方法で多対コネクタに多対の心線を圧
接するためには、例えば特開昭63−207073号公
報に開示されるような圧接装置を使用することが好都合
である。この圧接装置においては、装置ヘッドの支持部
によりコネクタの本体を支持し、複数の心線をそれぞれ
が本体内の各接触子のU状接点に載るように本体上に布
線し、それら心線にコネクタのカバーを被せた後、装置
ヘッドの押圧部を作動してカバー全体に均等に圧力を加
えつつカバーを本体の方に平行移動させ、複数の心線を
同時に複数の接触子に圧接するとともにカバーを本体に
係着する。このとき、装置に設置された複数のカッター
刃がカバーに設けた複数の穴を通って、接触子に圧接さ
れた複数の心線の余長部分を切断除去する。
【0005】一方、装置ヘッドの支持部には、コネクタ
本体に多数の心線を布線する際に心線がばらつかないよ
うに仮保持する心線保持機構として、1つの引張コイル
ばねが設置される。接触子のU状接点に載せられた心線
は、その余長部分で引張コイルばねの螺条の隙間に挿入
され、摩擦によって仮保持される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術に係る
圧接装置は、1つの装置で多対コネクタへの心線圧接と
余長心線切断とを実施できるものの、多対心線を同時に
圧接する構造であるので、圧接に要する力が非常に大き
なものとなる。例えば、電話回線ケーブルの接続に使用
されている10対コネクタにおいては、10対の心線を
同時に圧接するに要する力が数千N(数百kgf )に達す
るものがある。このような10対コネクタに対し、上記
の圧接装置は倍力機構を備えて、作業者に要求される操
作力を100N(10kgf )程度に低減している。しか
しながら、倍力機構を備えることにより装置の寸法及び
重量が増大し、しかも大きな圧力に耐える高い剛性が装
置構造に要求される。また作業時には、そのような装置
の自重及び圧力に耐えるだけの頑丈な保持台によって、
装置を強固に固定保持しなければならない。
【0007】電話回線ケーブル等の通信ケーブル接続用
のコネクタは、しばしば作業現場にて既に架設されてい
る通信ケーブルの所望心線対に取付けられる場合があ
る。このとき、地上の作業現場だけでなく例えば電柱の
上等の不安定な作業現場で、コネクタをケーブルに取付
けなければならないこともある。そのような場合、上記
の従来の圧接装置では、それ自体の寸法及び重量が大き
く取扱いに不便であり、また頑丈な保持台を必要とする
のでその運搬や不安定な足場への取付け作業が困難とな
る課題が生じる。電柱の上等の不安定な作業現場でコネ
クタ取付け作業を行うには、ペンチ形の手工具の使用が
好都合であるが、従来、1対コネクタをケーブルに取付
けるためのペンチ形手工具は本願出願人により提案され
ているものの(例えば実開平6−62494号公報参
照)、多対コネクタ用のペンチ形手工具は前述のように
多大な操作力を必要とし、1対コネクタ用手工具に比べ
て操作性が悪いという課題がある。また、多対心線を多
対コネクタ本体に布線する際に心線を仮保持する心線保
持具を、別途用意する必要がある。
【0008】また、前述の多対コネクタ用圧接装置に心
線保持機構として配設された引張コイルばねは、その両
端が固定されており、心線を挿入した後も螺条の隙間寸
法がほとんど変化しない構造となっている。したがって
保持しようとする心線の径が変わったときには、異なる
螺条隙間を呈するように両端固定された他の引張コイル
ばねに交換する必要があった。このような心線径に対応
した交換を要する心線保持機構は、現場でのコネクタ取
付け作業を煩雑にするだけでなく、引張コイルばねの保
管及び在庫管理を煩雑にする課題を有していた。
【0009】したがって本発明の目的は、小形軽量で持
ち運び及び作業現場での取扱いに便利であり、多対コネ
クタへの電線圧接作業を比較的小さな操作力で遂行で
き、コネクタへ電線を布線する段階から圧接が完了して
電線を切断する段階までを工具保持具等の補助器具を使
用せずに1つの手工具で遂行できる多対コネクタ用圧接
手工具を提供することにある。本発明の他の目的は、コ
ネクタ圧接装置において、異なる径の電線を保持でき、
交換の手間を省くことができる電線保持機構を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、複数の接触子対を内蔵する本体と本体に
取着されるカバーとを備え、本体とカバーとの間に挿入
された複数の電線の各々がカバーを本体に圧力下で取着
することにより各接触子に圧接される多対コネクタに、
電線を圧接するための多対コネクタ用圧接手工具におい
て、多対コネクタのカバーの一部分に当接されてこのカ
バー部分を押圧する略平坦な押圧面を有した第1ジョー
と、押圧面に略平行に配置される支持面を有した第2ジ
ョーと、押圧面と支持面とを相互接近及び離反方向に相
対的に平行移動させる作動手段と、多対コネクタを着脱
可能に保持して支持面に摺動可能に支持される保持部材
と、保持部材を支持面に係合させつつ支持面上で所定方
向へ案内する案内手段とを具備し、作動手段の1回の作
動により、押圧面が、保持部材に保持された多対コネク
タのカバーの一部分を押圧して、多対コネクタの所望数
の接触子に電線を圧接し、保持部材を支持面上で所定方
向へ摺動させつつ作動手段の作動を複数回繰り返すこと
により、多対コネクタの全ての接触子に電線を圧接する
ことを特徴とする多対コネクタ用圧接手工具を提供す
る。
【0011】上記構成では、複数の電線を予め複数の接
触子の接点上に布線して本体にカバーを被せた状態の多
対コネクタを、保持部材に装着する。この保持部材を、
第2ジョーの支持面に載せ、案内手段により支持面に係
合させつつ、所望の接触子が第1ジョーの押圧面に対向
配置される位置に置く。そこで作動手段を作動させ、押
圧面により、保持部材に保持された多対コネクタのカバ
ーの一部分を押圧して、所望の接触子に電線を圧接す
る。次いで一旦作動手段を停止し、保持部材を支持面上
で案内手段に沿って所定方向へ摺動させて、次に圧接す
る接触子を第1ジョーの押圧面に対向配置する。その位
置で再び作動手段を作動させ、押圧面の押圧により、次
の所望の接触子に電線を圧接する。このような操作を複
数回繰り返すことにより、多対コネクタの全ての接触子
に電線が圧接される。したがって、電線を圧接するため
に要する操作力は、多対コネクタの全ての接触子に同時
に電線を圧接する場合に比べて、所望数の接触子に対し
て要求される圧接力まで低減される。しかも押圧面の面
積は、1回の操作で圧接する接触子数に対応する面積ま
で削減されるので、手工具の寸法及び重量を縮小でき、
持ち運び及び作業現場での取扱いが極めて便利となる。
【0012】好適な実施例において、第1ジョーは、支
持面上での保持部材の摺動方向に沿って、押圧面の両縁
部から、支持面から徐々に離反する方向へ延びるオフセ
ット面を有して構成される。また案内手段は、支持面上
の所定位置に保持部材を位置決めする手段をさらに具備
することが好ましい。さらに案内手段は、支持面上の所
定位置に保持部材を係止する手段を具備することが好都
合である。保持部材は、多対コネクタに布線される電線
を圧接前に保持する電線保持手段を備え、この電線保持
手段が、保持部材に両端を移動可能に係止された引張コ
イルばねからなる構成が有利である。また第1ジョー
は、第2ジョーの方へ延びる所定数のカッター刃を備
え、押圧面が、それらカッター刃を隠蔽する突出位置と
それらカッター刃を露出させる引込位置との間で、突出
位置へ付勢されつつ移動可能に配置されるように構成す
ることができる。
【0013】第1ジョーが押圧面の両縁部から延びるオ
フセット面を有する場合、押圧面が多対コネクタのカバ
ーを押圧する際に、カバーの被押圧部分に隣接する部分
の持ち上がりをオフセット面が効果的に抑え、カバーの
破壊や塑性変形を防止する。案内手段が、保持部材を位
置決めする手段や保持部材を係止する手段をさらに備え
る場合、多対コネクタへの電線の圧接がさらに正確かつ
確実に行われる。保持部材が、保持部材に両端を移動可
能に係止された引張コイルばねからなる電線保持手段を
備える場合、別途、電線保持具を用意する必要がなくな
り、しかも引張コイルばねを交換することなく、異なる
径の電線を確実に保持することができる。第1ジョーに
所定数のカッター刃を備え、押圧面を突出位置と引込位
置との間で移動可能に配置した場合、多対コネクタへの
電線の圧接と同時又は所望時間後に、電線の余長部分を
切断除去することができる。
【0014】さらに本発明によれば、コネクタの接触子
に電線を圧接する圧接装置のコネクタ支持部に配置さ
れ、コネクタに布線される電線を圧接前に保持する電線
保持具において、コネクタ支持部に両端を移動可能に係
止された引張コイルばねからなることを特徴とする電線
保持具が提供される。
【0015】電線保持具が両端を移動可能に係止された
引張コイルばねからなる場合、電線保持具を交換するこ
となく、異なる径の電線を確実に保持することができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明をその好適な実施の形態に基づき詳細に説明する。各
図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照
符号を付す。図15及び図16は、本発明の圧接手工具
を使用して電話回線ケーブルの多対(例えば10対)の
心線を圧接する多対コネクタ1を示す。このようなコネ
クタは、例えば特開昭63−207061号公報及び特
開昭63−207062号公報に開示されている。
【0017】多対コネクタ1は、上記公報に開示される
ような雌雄同一構造を有するコネクタであり、複数の接
触子対を所定位置に相互離間して支持する電気絶縁材料
からなる本体2と、本体2に係着される電気絶縁材料か
らなる別体のカバー3とを備える。接触子対は、1つの
回線を接続するための正負電流に対する雄接触子4と雌
接触子5とからなり、同一構造のコネクタ同士が嵌合す
る際には双方の雄接触子4と雌接触子5とがそれらの先
端4a、5aで相互に接触して1回線の導通が得られる
ようになっている。各接触子4、5は、先端4a、5a
に略直交して延びる他端に、IDC構造のU状接点4
b、5bを備える。
【0018】カバー3は、複数の接触子4、5に対応す
る位置で多対コネクタ1の前面側(嵌合側)に向けて段
違いに延びる複数の突縁部6を有し、これら突縁部6
に、心線切断用のカッター刃が通る穴7が形成される。
心線圧接作業時には、複数の心線Wをそれぞれが各接触
子4、5のU状接点4b、5bに載るように本体2上に
布線し、カバー3をそれら心線Wに被せつつ本体2に仮
に取付ける。そして所定圧力下でさらにカバー3を本体
2の方へ押圧することにより、複数の心線Wが各接触子
4、5のU状接点4b、5bに圧接され、導通が得られ
るとともに、カバー3が本体2に係着される。その後、
カバー3の穴7を利用して心線Wの余長部分を切断し、
接続作業が完了する(図16)。
【0019】本発明は、上記の多対コネクタ1の圧接作
業を容易に実施可能とするものである。図1及び図2に
示すように、本発明の実施形態による多対コネクタ用圧
接手工具10は、相互に回転可能に連結される1組のハ
ンドル12、14と、両ハンドル12、14の連結端領
域に設置される工具ヘッド16とを備える。一方のハン
ドル12は支持ハンドルを構成し、他方のハンドル14
は作動ハンドルを構成する。両ハンドル12、14は、
好ましくは作業者が片手で握持可能な寸法を有し、それ
ぞれの自由端側にカバー18が取付けられる。
【0020】作動ハンドル14は略L字形状を有し、そ
の屈曲部において軸20により支持ハンドル12に枢着
される。軸20に近い方の作動ハンドル14の端部14
aと軸20から遠い方の支持ハンドル12の端部12a
とのそれぞれに、引張りコイルばね22の各端部が掛止
される。手工具10の非使用時には、引張りコイルばね
22の付勢により両ハンドル12、14の自由端が図に
実線で示したように開いた状態に置かれる。
【0021】工具ヘッド16は、略U字状断面を有し、
支持ハンドル12に固定される基部24と、軸20に隣
接する側で基部24から立設されるコラム26と、コラ
ム26から基部24に略平行に延長される固定式の上部
ジョー28と、上部ジョー28から離間して基部24に
支持され、作動ハンドル14の動作に連動して上部ジョ
ー28に接近及び離反する方向へ移動する下部ジョー3
0とを備える。上部ジョー28には、下部ジョー30に
接近及び離反する方向へ移動可能な圧接部材32と、上
部ジョー28の先端側で圧接部材32に隣接して下部ジ
ョー30に向けて略平行に延びる固定式の2枚のカッタ
ー刃34とが設置される。
【0022】図3に示すように、圧接部材32は、後述
する圧接作業時に多対コネクタ1のカバー3を押圧する
略平坦な押圧面36を有する。図示実施形態において押
圧面36は、多対コネクタ1の1対だけの接触子4、5
のU状接点4b、5b(図15)を覆うカバー部分(突
縁部6を除く)に、長手方向及び横断方向へ均一な圧力
を付与できる面積を有する。圧接部材32の押圧面36
の反対側には、押圧面36に略直交する方向へ延びるロ
ッド38及び案内板40が形成される。上部ジョー28
には、下部ジョー30に対向する側に空洞部42が凹設
され、空洞部42内に圧接部材32のロッド38及び案
内板40が挿入される。ロッド38はその先端で、上部
ジョー28の空洞部42の底壁を貫通し、リング44に
より係止される。
【0023】空洞部42内には、底壁と圧接部材32と
の間に、ロッド38を巻回する圧縮コイルばね46が配
設される。したがって圧接部材32は、通常は圧縮コイ
ルばね46の付勢により図示のような上部ジョー28か
ら突出した位置に置かれ、後述する圧接作業時には多対
コネクタ1から受ける圧力により圧縮コイルばね46の
付勢に抗して空洞部42に沿って引き込まれる。このと
き圧接部材32の押圧面36は、案内板40の案内作用
により平行移動する。
【0024】下部ジョー30は、多対コネクタ1を保持
する保持部材であるホルダ48を、着脱可能に受容する
受容部材50を具備する。受容部材50は、工具ヘッド
16を横断する方向(すなわち作動ハンドル14の旋回
面に直交する方向)に略平行に延びる一対の案内壁52
と、それら案内壁52の間に画成される略平坦な支持面
54とを備える。受容部材50の支持面54は、圧接部
材32の押圧面36に対し略平行に配置される。両案内
壁52は、相互接近方向へ突出する軌条53を有し、ホ
ルダ48がそれら軌条53に係合して支持面54上で横
断方向に摺動する。
【0025】受容部材50は、工具ヘッド16の基部2
4から側方に突出する延長部50aを備え、延長部50
aには、ボール56aを支持面54から引込み可能に突
出させるボールプランジャ56が設置される。ボールプ
ランジャ56のボール56aは、ホルダ48の底面に形
成した凹部(後述する)に係合してホルダ48を支持面
54上で所定位置に位置決めする。
【0026】工具ヘッド16の基部24には、コラム2
6から遠い側に、受容部材50の支持面54と略平行に
延びて受容部材50を支持する肩面58と、肩面58に
略直交して延びる貫通穴60とが形成される。下部ジョ
ー30は、受容部材50の支持面54の反対側で支持面
54に略直交する方向に延設される脚部62を備え、脚
部62が貫通穴60に摺動可能に挿入される。脚部62
は、基部24の下方で支持ハンドル12内に延び、脚部
62の下端に設けた軸64を介して作動ハンドル14の
端部14a近傍に回動可能に連結される。
【0027】特に好適な実施形態において、上部ジョー
28に設けた圧接部材32は、図4に示すように、下部
ジョー30の支持面54に略平行に配置される略平坦な
押圧面36と、押圧面36の両縁部から上部ジョー28
を横断する両方向に沿って、支持面54から徐々に離反
する方向へ傾斜して延びる1対のオフセット面37とを
備えることができる。オフセット面37は、押圧面36
が多対コネクタ1のカバー3を部分的に押圧する際に、
カバー3の被押圧部分に隣接する部分の持ち上がりを抑
え、両部分間の境界に集中する応力によってカバー3に
破壊や塑性変形が生じることを防止する。押圧面36に
対するオフセット面37の傾斜角度θは、好ましくは5
°〜30°である。傾斜角度θが5°より小さいと、カ
バー3の所望部分のみを集中的に押圧して所望数の心線
のみを圧接することが困難となり、傾斜角度θが30°
より大きいと、カバー3の被押圧部分に隣接する部分の
持ち上がりを抑えることが困難となる。なお、オフセッ
ト面37は、図示のような平坦面であってもよいし、下
方へ膨出する曲面であってもよい。
【0028】図5及び図6に示すように、ホルダ48
は、多対コネクタ1の本体2を着脱可能に支持するコネ
クタ支持部66と、本体2に布線されるケーブル心線W
(図7)を分離支持する心線分離部68と、ケーブル心
線Wの余長部分を仮保持する心線保持部70とを備え
る。コネクタ支持部66は、本体2を支持する略平坦な
支持面72と、支持面72の長手方向両端部に配設され
た揺動可能な一対のフック74とを備える。コネクタ支
持部66の支持面72には、本体2の裏面に設けた凹部
(図示せず)に係合する位置決め用突起76が設けられ
る。フック74及び突起76の作用により、本体2は支
持面72の所定位置に保持される。
【0029】心線分離部68は、支持面72の長手方向
に延びる一縁部に立設された複数の歯69を備え、隣合
う歯69の間にケーブル心線Wが1本ずつ挿入される。
なお、コネクタ支持部66の長手方向両端部には、ケー
ブルの心線束F(図7)を固定支持するための支持台7
8及び締着帯80が設置される。現場での圧接作業時に
は、ホルダ48に対するケーブルの延長方向に対応し
て、いずれか一方の支持台78が選択的に使用される。
【0030】心線保持部70は、支持面72の長手方向
に延びる他縁部に沿って配置された引張コイルばね82
を備える。引張コイルばね82は、ばね内部を貫通して
延びる取付具84によってコネクタ支持部66に取付け
られる。引張コイルばね82は、非使用時には好ましく
は僅かに引っ張られた状態で、両端で取付具84に固定
的に支持され、心線布線時には、摩擦により螺条隙間に
所定径のケーブル心線Wの余長部分を保持する。
【0031】さらにホルダ48は、コネクタ支持部66
の裏側に固定された基台86を備える。基台86は、圧
接手工具10の下部ジョー30の受容部材50の支持面
54に摺動可能に接触する略平坦な基面88と、基面8
8の両縁から横断方向に突出して長手方向に延びる一対
の突条90とを備える。基面88は支持面72に略平行
に延びる。突条90は、案内壁52の軌条53に摺動可
能に係合して、ホルダ48を受容部材50の支持面54
上で工具ヘッド16を横断する方向(すなわち作動ハン
ドル14の旋回面に直交する方向)に案内する。なおこ
のとき、ホルダ48の一対の突条90の側面90a及び
上面90b(図5)は、案内壁52の内面52a及び軌
条53の下面53a(図3)にそれぞれ摺動可能に接触
し、それによりホルダ48のがたつきが防止されるよう
になっていることが好ましい。また、基台86の基面8
8には、ボールプランジャ56のボール56aを受容可
能な複数の凹部92(図10参照)が形成される。凹部
92は、基面88の長手方向に、好ましくは多対コネク
タ1の接触子対のピッチ(すなわち接触子間距離の2
倍)に相当する間隔で配置される。
【0032】上記構成を有する圧接手工具10を用い
て、多対コネクタ1の圧接作業を実施する際の手順及び
動作を、以下に説明する。まず、手工具10の下部ジョ
ー30から脱離されたホルダ48のコネクタ支持部66
に、フック74及び突起76による位置決めのもとに多
対コネクタ1の本体2を装着する。次いで多対の心線W
を、心線分離部68の歯69によって分離しつつ、それ
ぞれが各接触子4、5のU状接点4b、5b(図15)
に載るように本体2上に布線し、各心線Wの余長部分を
心線保持部70の引張コイルばね82によって保持す
る。さらに多対コネクタ1のカバー3を、それら心線W
に被せつつ本体2に仮に取付ける。
【0033】このようにして心線Wを布線した多対コネ
クタ1を保持するホルダ48を、その基台86の突条9
0が受容部材50の案内壁52の軌条53に係合するよ
うに、手工具10の下部ジョー30に差込み式に取付け
る(図7参照)。これによりホルダ48は、受容部材5
0の支持面54に工具ヘッド16を横断する方向へ摺動
可能に支持される。
【0034】このようにホルダ48を受容部材50の一
端から差込み式に取付けると、ホルダ48の基台86の
基面88にて差込み方向前端に位置する凹部92に、受
容部材50の支持面54から引込み可能に突出するボー
ルプランジャ56のボール56aが嵌入する。このとき
ホルダ48は、差込み方向前端に位置する多対コネクタ
1の1対の接触子4、5が手工具10の上部ジョー28
の圧接部材32の押圧面36の直下に配置されるよう
に、受容部材50の支持面54上で位置決めされる。さ
らに詳述すれば、この位置において、多対コネクタ1の
カバー3に設けた差込み方向前端の1対の穴7は、手工
具10の上部ジョー28の1対のカッター刃34の直下
に配置される。
【0035】この状態で、作業者は手工具10の両ハン
ドル12、14を好ましくは片手で握り、引張コイルば
ね22の付勢に抗して作動ハンドル14を軸20に関し
図2の時計方向へ回転させると、軸64及び脚部62を
介して下部ジョー30が連動し、受容部材50がホルダ
48を支持したまま上部ジョー28の方へ移動する。そ
の結果、ホルダ48に保持された多対コネクタ1のカバ
ー3の差込み方向前端部分が圧接部材32の押圧面36
に当接され、下部ジョー30から多対コネクタ1を介し
て付与される押圧力により、圧接部材32が圧縮コイル
ばね46の付勢に抗して上部ジョー28に引き込まれ
る。
【0036】圧接部材32が上限位置に達すると、多対
コネクタ1の差込み方向前端部分は、押圧面36と受容
部材50の支持面54との間で圧縮される。それにより
カバー3が、差込み方向前端に位置する1対の接触子
4、5に1対の心線Wを圧接するとともに、差込み方向
前端側だけで本体2に係着される。このとき、押圧面3
6、支持面54、及びホルダ48の支持面72が相互に
略平行に配置されているので、カバー3の押圧領域に均
一に圧力が付与され、心線Wが正確かつ確実に圧接され
る。さらに、圧接と同時に、2枚のカッター刃34の各
々が多対コネクタ1のカバー3の差込み方向前端に位置
する一対の穴7を通り、その下方に位置する1対の心線
Wを切断して余長部分を除去する。
【0037】なおここで、上部ジョー28に設置した圧
縮コイルばね46のばね力を充分大きく設定しておくこ
とにより、最初に1対の接触子4、5に1対の心線Wを
圧接し、その後、所望により両手を使って各ハンドル1
2、14をさらに握り締めることにより、心線Wの余長
部分を切断除去するようにすることもできる。このよう
に圧接手工具10においては、両ハンドル12、14へ
の握力の加え方すなわち握り締める速度、又は圧縮コイ
ルばね46のばね力を調節することにより、圧接作業と
切断作業との間に所望の時間差を設定することができ
る。
【0038】このようにして、差込み方向前端に位置す
る1対の接触子4、5への心線Wの圧接及び余長部分切
断が終了すると、ハンドル12、14を一旦開放位置に
戻して圧接部材32から多対コネクタ1を離し、下部ジ
ョー30の支持面54上でホルダ48を差込み方向へ強
制的にさらに押込む。それにより、ボールプランジャ5
6のボール56aがホルダ48の基面88の次の凹部9
2に嵌合し、多対コネクタ1が圧接部材32の下方で1
つの接触子対に相当する距離だけ移動する。したがって
このとき、多対コネクタ1の差込み方向前端から2番目
に位置する1対の接触子4、5が、圧接部材32の押圧
面36の直下に配置され、差込み方向前端から2番目の
1対の穴7が、1対のカッター刃34の直下に配置され
る。
【0039】そこで再び、両ハンドル12、14を握っ
て作動ハンドル14を作動すると、上記と同様にして、
ホルダ48に保持された多対コネクタ1の圧接済部分に
隣接する部分が、圧接部材32の押圧面36と受容部材
50の支持面54との間で圧縮される。それによりカバ
ー3が、差込み方向前端から2番目に位置する1対の接
触子4、5に1対の心線Wを圧接するとともに、それに
対応する部分で本体2に係着される。さらに、圧接と同
時に、2枚のカッター刃34が差込み方向前端から2番
目に位置する1対の心線Wを切断して余長部分を除去す
る。
【0040】このような作業を繰り返すことにより、多
対コネクタ1に対し、差込み方向前端から順次1対の接
触子4、5毎に、心線Wの圧接及び余長部分切断が行わ
れ、接触子対数に相当する回数だけ繰り返したときに、
多対コネクタ1への心線圧接作業が完了する。このよう
な構成によれば、多対コネクタ1にケーブル心線を圧接
するために要する操作力が、1対の接触子4、5に対し
て要求される圧接力まで低減される。しかも、多対コネ
クタ1を保持するホルダ48を圧接手工具10に着脱可
能に取付ける構成としたので、手工具10自体の寸法及
び重量は、1対コネクタ用の手工具と実質的に同じ程度
まで縮小され、持ち運び及び作業現場での取扱いが極め
て便利となる。
【0041】なお上記実施形態では、多対コネクタに対
し、順次1対の接触子4、5毎に心線圧接作業を実施す
る構成としたが、例えば2対毎、1.5対毎、等、圧接
に要する操作力が手作業を困難にしない範囲で、1回の
ハンドル操作による圧接対数を変更することができる。
その場合、カッター刃の本数も圧接対数に対応して設定
される。また、ボールプランジャに係合するホルダ基面
の凹部の配置間隔も、1回のハンドル操作による圧接対
数に対応して設定される。
【0042】また、本発明に係る圧接手工具は、必ずし
もカッター刃を備えなくてもよい。その場合、心線を圧
接前に切断して所望長さにするか、心線の余長部分を切
断するためのカッター刃を本体に内蔵したコネクタを使
用するか、又は、別部材のカッター刃により心線圧接後
に余長部分を切断除去する方法を採ることができる。ま
たこの場合、圧接部材は上部ジョーに直接固定され、上
記実施形態における圧縮コイルばね46等は省略され
る。
【0043】さらに、本発明に係る圧接手工具は、固定
上部ジョー28と可動下部ジョー30との組合せに限ら
ず、多対コネクタのカバーを押圧する押圧面とホルダを
支持する支持面とが相互接近及び離反方向に相対的に平
行移動する構造を有すればよい。
【0044】上記実施形態では、上部ジョー28の圧接
部材32及びカッター刃34に対する多対コネクタ1の
位置決めは、ボールプランジャ56のボール56aとホ
ルダ48の基面88の凹部92との係合によって得られ
る。しかしながら、多対コネクタ1を下部ジョー30の
支持面54上で移動させるためにホルダ48を差込み方
向へ強制的に押込むときに、加える力が大き過ぎると、
凹部92がボール56aを乗り越えてしまい、正確な位
置決めが得られなくなる場合がある。図8は、そのよう
な問題を解決するために、下部ジョー30の支持面54
上でホルダ48を所定位置に確実に係止する係止機構9
8を備えた本発明の他の実施形態による圧接手工具10
0を示す。
【0045】圧接手工具100は、下部ジョー30を除
く部分に関しては、前述の実施形態による圧接手工具1
0と同一の構成を有するので、説明を省略する。手工具
100の下部ジョー30は、多対コネクタ1を保持する
ホルダ48を脱着可能に受容する受容部材102を具備
する。受容部材102は、手工具10の受容部材50と
同様に、一対の案内壁104と略平坦な支持面106と
を備える。作動ハンドル14の動作に連動して下部ジョ
ー30を上部ジョー28の方へ移動させる機構も、手工
具10におけるものと同様である。
【0046】受容部材102は、工具ヘッド16の基部
24から側方に突出する延長部102aを備え、延長部
102aには、支持面106上でホルダ48(図1)を
位置決めするボールプランジャ56と、ホルダ48を所
定位置に確実に係止する係止機構98とが設置される。
係止機構98は、図9に示すように、延長部102aの
支持面106の反対側に取着された取付具108の溝部
110に、軸112を介して回動可能に取着される略L
字状のレバー114と、取付具108とレバー114と
の間に配置されてレバー114を図9の時計回り方向に
付勢するばね116とを備える。
【0047】軸112は作動ハンドル14の軸20(図
2)と略平行に延び、したがってレバー114は作動ハ
ンドル14の旋回面に略平行な面上で回動する。レバー
114の第1端114aは、延長部102aの支持面1
06に穿設された貫通穴118を通って、支持面106
から所定長さだけ突出する。レバー114の第2端11
4bは、取付具108から外方に突出する。レバー11
4は、通常は延長部102aの貫通穴118の壁に係止
されて図9の実線の位置に配置され、ばね116の付勢
に抗して第2端114bを操作することにより図の反時
計方向に回動して図の鎖線の位置に到る。
【0048】上記構成の受容部材102を備えた下部ジ
ョー30への取付けを可能にするために、ホルダ48
は、図10に示すように、受容部材102の支持面10
6に摺動可能に接触する基台86の略平坦な基面88
に、ボールプランジャ56のボール56aを受容可能な
複数の凹部92に加えて、レバー114の第1端114
aを受容する溝120を備える。溝120は、図示のよ
うな鋸刃状の蛇行軌道に沿って延び、その側壁がレバー
114の第1端114aの周面に係合する。溝120の
軌道形状は、レバー114が図9の実線位置にあるとき
には溝120とレバー114の第1端114aとの係合
によりホルダ48を受容部材102の支持面106の所
定位置に係止し、レバー114が図9の実線位置から鎖
線位置に到る間では支持面106上でのホルダ48の摺
動を可能にするような形状となっている。
【0049】レバー114の回動動作に伴う第1端11
4aの往復揺動に対応して、ホルダ48を係止又は解放
する溝120と第1端114aとの相互作用を、図11
を参照して詳述する。まず、ケーブル心線を布線した多
対コネクタ1を保持するホルダ48を、手工具10の場
合と同様にして手工具100の下部ジョー30に、図1
0の矢印A方向へ差込み式に取付ける。このとき、レバ
ー114の第1端114aは、直線導入部120a(図
10)に沿って溝120に進入する。
【0050】そして、ホルダ48の基面88にて差込み
方向前端に位置する凹部92に受容部材102のボール
プランジャ56のボール56aが嵌入したとき、すなわ
ち差込み方向前端に位置する多対コネクタ1の1対の接
触子4、5が上部ジョー28の圧接部材32の押圧面3
6の直下に配置されたときに、レバー114の第1端1
14aは、ホルダ48の差込み方向Aに略直交して延び
る溝120の立上り壁120bに当接される。この位置
(a)で、レバー114はばね116に付勢されて図9
の実線位置にあり、ホルダ48を差込み方向Aに押込む
力はレバー114の回動面に略直交する方向へ第1端1
14aに加えられるのでレバー114は回動せず、した
がって第1端114aと立上り壁120bとの係合によ
りホルダ48が確実に係止される。
【0051】次に、手作業でレバー114の第2端11
4bを操作し、ばね116の付勢に抗してレバー114
を図9の反時計方向に回動させると、第1端114aは
位置(a)から位置(b)へ移動し、溝120の傾斜壁
120cに当接される。そこでさらに反時計方向へレバ
ー114を回動させると、第1端114aが傾斜壁12
0cを押しつつ位置(b)から位置(c)(図9の鎖線
位置)へ移動し、その押圧力によってホルダ48が受容
部材102の支持面106上で矢印A方向に距離Xだけ
摺動する。そこで第2端114bから手を離すと、レバ
ー114はばね116の付勢により図9の時計方向に回
動し、第1端114aが位置(d)に移動する。
【0052】位置(d)では、レバー114の第1端1
14aは支持面106上でのホルダ48の摺動を妨げな
いので、手作業でホルダ48をさらに矢印A方向に押込
むと、第1端114aはばね116の付勢により位置
(e)から位置(f)を経て位置(g)へ移動する。第
1端114aが位置(g)に到ったときには、差込み方
向2番目に位置するホルダ48の凹部92にボールプラ
ンジャ56のボール56aが嵌入してホルダ48が位置
決めされると同時に、位置(a)と同様に第1端114
aと立上り壁120bとが係合して、ホルダ48が押込
み力に抗して確実に係止される。このように、レバー1
14の第1端114aが位置(a)から位置(g)に到
る間に、ホルダ48は多対コネクタ1の接触子対のピッ
チに相当する距離Yだけ、受容部材102の支持面10
6上で差込み方向Aに摺動する。
【0053】このような作業を繰り返すことにより、ホ
ルダ48は受容部材102の支持面106上で、多対コ
ネクタ1に対し順次1対の接触子4、5毎に心線圧接作
業を実施できる距離ずつ、行き過ぎることなく正確に移
動しかつ位置決めされる。前述のように、1回のハンド
ル操作による圧接対数を変更する場合は、それに対応し
てホルダ48の基面88の凹部92のピッチを変更する
とともに、溝120の立上り壁120bのピッチを変更
すればよい。なお、図10に示した溝120の形状によ
れば、ホルダ48を支持面106上で差込み方向の反対
方向に引張ると、レバー114の第1端114aは溝1
20の連続する傾斜壁に押されて自動的に往復揺動し、
手でレバー114を操作しなくてもホルダ48を移動さ
せることができるので、作業上便利である。
【0054】図12は、変形例によるレバー122を示
す。レバー122は、受容部材延長部102aの支持面
106の反対側に取着された取付具124の溝部126
に、ホルダ48の摺動方向に直交する方向へ直線往復移
動可能に装着される。レバー122と取付具124との
間には、レバー122を図12の右方向に付勢するばね
128が配置される。レバー122の第1端122a
は、延長部102aの貫通穴118を通って支持面10
6から所定長さだけ突出する。レバー122の第2端1
22bは取付具124から外方に突出する。レバー12
2は、通常は取付具124の溝部126の壁に係止され
て図12の実線の位置に配置され、ばね128の付勢に
抗して第2端122bを操作することにより図の左方向
に移動して図の鎖線の位置に到る。このようなレバー1
22によっても、ホルダ48を押込み力に抗して所定位
置に確実に係止することができる。
【0055】上記の係止機構は、支持面106上でホル
ダ48を所定位置に確実に係止するので、それ自体に位
置決め機能も有している。したがって、ボールプランジ
ャ56を省略することもできる。しかしながら位置決め
精度は、レバー114、122よりも、ボールプランジ
ャ56の方が優れていることは、当業者に理解されよ
う。
【0056】前述の各実施形態において、ホルダ48の
心線保持部70は、取付具84によって両端をコネクタ
支持部66に固定された引張コイルばね82を備えてい
る。このような引張コイルばね82は、螺条の隙間寸法
が布線しようとするケーブル心線の径に略一致するよう
に予め僅かに引っ張られており、心線を挿入した後も螺
条隙間が殆ど変化しない構造となっている。したがって
布線しようとする心線の径が変わったときには、それに
対応して異なる螺条隙間を呈するように両端固定された
他の引張コイルばねに交換する必要がある。
【0057】図13(a)は、このような交換作業を排
除するために、様々な径の心線を保持できるようにした
心線保持部130を示す。心線保持部130は、取付具
132によって両端を係止された引張コイルばね134
を備える。取付具132の長手方向両端には所定寸法の
長穴136が形成され、それら長穴136に引張コイル
ばね134の両端が摺動可能に挿入される。両長穴13
6の軸方向内側の縁間の距離は引張コイルばね134の
自然長より大きく、したがって引張コイルばね134
は、非使用時には両端で両長穴136に僅かに引っ張ら
れた状態で係止される。このときの螺条隙間は、心線保
持部130を用いて布線可能な最小の心線径以下に設定
される。また、各長穴136の軸方向寸法は、心線保持
部130を用いて布線可能なケーブル心線数及び心線径
の予想される変化量に応じて決められる。
【0058】このような構成の心線保持部130を、取
付具132によって図4の心線保持部70の代わりにホ
ルダ48のコネクタ支持部66に固定する(図14参
照)。そしてホルダ48に保持した多対コネクタにケー
ブル心線Wを布線する際に、引張コイルばね134は、
摩擦により螺条隙間に心線Wの余長部分を保持する。こ
こで、引張コイルばね134の非使用時の螺条隙間より
も心線径が大きいときは、心線Wを螺条隙間に挿入する
に従って引張コイルばね134の両端が取付具132の
長穴136内で自由に移動し(図13(b)矢印B)、
螺条隙間が心線径に対応して自動的に拡大される。この
ように心線保持部130は、引張コイルばね134の両
端が長穴136に摺動可能に係止されているので、螺条
隙間を自在に変化させて様々な径の心線Wを保持するこ
とができる。
【0059】なお、上記構成を有する心線保持部は、前
述の実施形態による多対コネクタ用圧接手工具のホルダ
だけでなく、例えば特開昭63−207073号公報に
開示されるような圧接装置のコネクタ支持部においても
好適に使用できることは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】上記のように、本発明に係る多対コネク
タ用圧接手工具は、保持部材に保持された多対コネクタ
のカバーの一部分を押圧する作動を複数回繰り返すこと
により、多対コネクタの全ての接触子に電線を圧接する
構成とすることにより、電線を圧接するために要する操
作力を、多対コネクタの全ての接触子に同時に電線を圧
接する場合に比べて、所望数の接触子に対して要求され
る圧接力まで低減し、しかも手工具の寸法及び重量の縮
小を可能にした。したがって本発明によれば、持ち運び
及び作業現場での取扱いが極めて便利な多対コネクタ用
圧接手工具が提供される。
【0061】さらに、本発明に係る電線保持具によれ
ば、1つの圧縮コイルばねによって異なる径の電線を保
持でき、電線保持具の交換の手間を省くことができる。
したがって、コネクタ圧接装置の現場での作業性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による多対コネクタ用圧接手
工具の斜視図である。
【図2】図1の圧接手工具の一部断面側面である。
【図3】図1の圧接手工具の工具ヘッドの拡大側面側面
図である。
【図4】図1の圧接手工具における圧接部材の他の実施
形態を示す部分正面図である。
【図5】図1の圧接手工具に使用されるホルダの斜視図
である。
【図6】図5のホルダを多対コネクタの本体と共に示す
概略斜視図である。
【図7】図1の圧接手工具による圧接作業を説明する部
分正面図である。
【図8】本発明の他の実施形態による多対コネクタ用圧
接手工具の斜視図で、ホルダを省略して示す。
【図9】ホルダの係止機構の動作を示す部分拡大断面図
である。
【図10】図8の圧接手工具に使用されるホルダの底面
図である。
【図11】図11のホルダの係止作用を示す部分拡大底
面図である。
【図12】係止機構の変形例を示す部分拡大断面図であ
る。
【図13】心線保持部の変形例を示す図で、(a)非使
用時の平面図、及び(b)心線保持時の平面図、であ
る。
【図14】図13の心線保持部を有するホルダの変形例
の斜視図である。
【図15】多対コネクタの分解斜視図である。
【図16】多対コネクタの組立斜視図である。
【符号の説明】
10、100…圧接手工具 12…支持ハンドル 14…作動ハンドル 28…上部ジョー 30…下部ジョー 32…圧接部材 34…カッター刃 36、94…押圧面 37…オフセット面 48…ホルダ 50、102…受容部材 54、106…支持面 56…ボールプランジャ 66…コネクタ支持部 68…心線分離部 70、130…心線保持部 82、134…圧縮コイルばね 84、132…取付具 88…基面 92…凹部 98…係止機構 114、122…レバー 120…溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大池 知保 神奈川県相模原市南橋本三丁目8番8号 住友スリーエム株式会社内 (72)発明者 和才 健太 神奈川県相模原市南橋本三丁目8番8号 住友スリーエム株式会社内 (72)発明者 高木 勉 千葉県佐倉市六崎1440 株式会社フジクラ 佐倉工場内 (72)発明者 佐藤 武司 千葉県佐倉市六崎1440 株式会社フジクラ 佐倉工場内 (72)発明者 松橋 里志 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 久保田 幹穀 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 加藤 義明 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の接触子対を内蔵する本体と本体に
    取着されるカバーとを備え、本体とカバーとの間に挿入
    された複数の電線の各々がカバーを本体に圧力下で取着
    することにより各接触子に圧接される多対コネクタに、
    電線を圧接するための多対コネクタ用圧接手工具におい
    て、 多対コネクタのカバーの一部分に当接されて該カバー部
    分を押圧する略平坦な押圧面を有した第1ジョーと、 前記押圧面に略平行に配置される支持面を有した第2ジ
    ョーと、 前記押圧面と前記支持面とを相互接近及び離反方向に相
    対的に平行移動させる作動手段と、 多対コネクタを着脱可能に保持して前記支持面に摺動可
    能に支持される保持部材と、 前記保持部材を前記支持面に係合させつつ該支持面上で
    所定方向へ案内する案内手段、とを具備し、 前記作動手段の1回の作動により、前記押圧面が、前記
    保持部材に保持された多対コネクタのカバーの一部分を
    押圧して、多対コネクタの所望数の接触子に電線を圧接
    し、前記保持部材を前記支持面上で所定方向へ摺動させ
    つつ前記作動手段の作動を複数回繰り返すことにより、
    多対コネクタの全ての接触子に電線を圧接すること、を
    特徴とする多対コネクタ用圧接手工具。
  2. 【請求項2】 前記第1ジョーは、前記支持面上での前
    記保持部材の摺動方向に沿って、前記押圧面の両縁部か
    ら、前記支持面から徐々に離反する方向へ延びるオフセ
    ット面を有する請求項1に記載の多対コネクタ用圧接手
    工具。
  3. 【請求項3】 前記案内手段は、前記支持面上の所定位
    置に前記保持部材を位置決めする手段をさらに具備する
    請求項1又は2に記載の多対コネクタ用圧接手工具。
  4. 【請求項4】 前記案内手段は、前記支持面上の所定位
    置に前記保持部材を係止する手段をさらに具備する請求
    項3に記載の多対コネクタ用圧接手工具。
  5. 【請求項5】 前記保持部材は、多対コネクタに布線さ
    れる電線を圧接前に保持する電線保持手段を備え、該電
    線保持手段が、該保持部材に両端を移動可能に係止され
    た引張コイルばねからなる請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の多対コネクタ用圧接手工具。
  6. 【請求項6】 前記第1ジョーは、前記第2ジョーの方
    へ延びる所定数のカッター刃を備え、前記押圧面が、そ
    れらカッター刃を隠蔽する突出位置とそれらカッター刃
    を露出させる引込位置との間で、該突出位置へ付勢され
    つつ移動可能に配置される請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の多対コネクタ用圧接手工具。
  7. 【請求項7】 コネクタの接触子に電線を圧接する圧接
    装置のコネクタ支持部に配置され、コネクタに布線され
    る電線を圧接前に保持する電線保持具において、 前記コネクタ支持部に両端を移動可能に係止された引張
    コイルばねからなることを特徴とする電線保持具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004363099A (ja) * 2003-06-04 2004-12-24 Tyco Electronics Corp ケーブル結線装置及びケーブル結線方法
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