JPH09131249A - 鏡面反射特性を有する光学部品の製造方法及びそれにより製造された光学部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】車両に適した壊れにくい鏡の製造方法を提供す
る。 【解決手段】光学グレードのプラスチック材料に反射材
料のコーティングを施すことにより膜組織を形成する工
程と、前記反射材料に保護コーティングを施す工程と、
このようにして形成された膜組織を、ベース部材１６に
隣接した反射材料と共に、ベース部材１６上に対応する
形状に形成された表面上に接合する工程とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鏡面反射特性を有
する光学部品の製造方法及びそれにより製造された光学
部品に関する。

【０００２】特に、高い反射性と良好な光学的クリアー
さを有すると共にＥＣの指導に適合し、車両に使用され
るのに適した壊れにくい鏡の製造に関する。

【０００３】

【従来の技術】 【発明が解決しようとする課題】

【課題を解決するための手段】本発明の一つの見地によ
れば、鏡面反射特性を有する光学部品の製造方法は、光
学グレードのプラスチック材料に反射材料のコーティン
グを施すことにより膜組織を形成する工程と、反射材料
に保護コーティングを施す工程と、このようにして形成
された膜組織を、ベース部材に隣接した反射材料と共
に、ベース部材上に対応する形状に形成された表面上に
接合する工程とを備える。

【０００４】プラスチック材料は、好ましくはポリカー
ボネートフィルムであり、反射材料は好ましくはアルミ
ニウムであり、高真空状態での蒸着により形成される。

【０００５】膜組織は、好ましくは反射材料が形成され
る面と反対側の面に傷つき防止のコーティングを有す
る。

【０００６】膜組織は、好ましくは、５００μｍ程度の
厚さである。

【０００７】アルミニウムは、好ましくは、略５００オ
ングストロームの厚さに付着され、酸化シリコンコーテ
ィング等の保護層により空気による腐蝕から保護され
る。

【０００８】膜組織は、完全な光学部品を形成するため
に、転写接着剤を用いて適宜ベース部材に接合される。

【０００９】膜組織は、適宜転写接着剤と裏打ち部材で
コートされ、裏打ち部材は、膜組織が成形型に接着され
るときに取り除かれる。膜組織は、成形型の表面に対し
て圧力パッドを用いて付着される。

【００１０】好ましくは、膜組織が付着される表面は、
成形型に凹所として形成され、膜組織は、例えば凸面形
状をした成形型の表面の形状に膜組織を形作ることがで
きる圧力パッドにより圧力がかけられる様に、凹所から
わずかに突出するような厚さに設定される。

【００１１】膜組織の厚さは、平坦な膜組織が曲面状の
成形型の表面に付着されることによるわずかな変形によ
り鏡の光学的性能に影響が出ないような厚さに設定され
る。

【００１２】この発明は、また、鏡面反射特性を有し、
上記の方法により製造された光学部品を含む。

【００１３】本発明の他の見地によれば、鏡面反射特性
を有する光学部品は、ポリカーボネートの層から形成さ
れ、それにアルミニウムの層が付着され、保護コーティ
ングにより保護され、ベース部材に接着された膜組織を
備える。

【００１４】好ましくは、ポリカーボネートの層は、ア
ルミニウムコーティングと反対側の表面で、傷つき防止
層により保護されている。

【００１５】膜組織は、好ましくは、ベース部材の凹所
に配置され、その凹所からわずかに突出している。

【００１６】膜組織は、好ましくは、その膜組織と凹所
の側壁との間に隙間を有しており、湿気などの進入を防
ぐためにシリコンのシール剤でうめられる。

【００１７】

【発明の実施の形態】この発明は様々な方法で実現され
るが、１つの実施形態を例を用いて、添付図面を参照し
て説明する。

【００１８】図１は、ベース部材に取り付けられる膜組
織の該略図である。

【００１９】図２は、ベース部材に取り付けられた膜組
織の断面図である。

【００２０】図１に示される膜組織は以下の様に形成さ
れる。

【００２１】厚さ約５００μｍの光学グレードのポリカ
ーボネートシートを真空チャンバー内に入れる。このシ
ートは予めその一方の面が傷つき防止コーティングによ
りコートされ、この傷つき防止コートにより保護されて
いない面にこれからコーティングが施される。チャンバ
ー内の真空度は、略１０^-4ミリバールより低く設定さ
れ、シートのコーティングされていない面に略５００オ
ングストロームの厚さの層を形成する様に、純粋なアル
ミニウムが蒸着される。それから、アルミニウムの蒸着
が停止され、このアルミニウムの層の上に酸化シリコン
の保護層が蒸着により付着される。

【００２２】このようにして形成された膜組織は、その
後チャンバーから取り出され、転写接着剤によりコート
される。これは、転写接着剤が酸化シリコンの層に付着
される様に、裏打ち部材に付着された転写接着剤の薄片
が巻かれたローラーの下を前記膜組織を通過させること
により行われる。

【００２３】このようにして形成された膜組織が図１に
示されており、その膜組織の層は以下の様に構成されて
いる。１０は傷つき防止コーティング、１１はポリカー
ボネート層、１２はアルミニウム層、１３は酸化シリコ
ン層、１４は転写接着剤、そして１５は裏打ち片であ
る。

【００２４】ベース成形型に接着される前に、転写接着
剤を有する前記膜組織の薄片は、ベース部材にフィット
させるために、適切な長さに切断され、必要ならば幅方
向にも切断される。ベース部材は、ポリカーボネート、
ＡＢＳあるいはポリプロピレン等の壊れにくい材料から
製造された成形型状に形成される。

【００２５】ベース成形型は、たとえば、反射膜が付着
される光学的形状に適した形の一方の表面を有する車両
のバックミラーの形状に形成されている。もう一方の表
面は、エアロダイナミックに且つ要求される外観が得ら
れる様に美的な形状に形成されており、さらにベース成
形型は、車両に取り付けられるのに適した形状に形成さ
れている。

【００２６】ベース成形型は、図２に概略的に示されて
いる。ここで、ベース成形型は、１６で示されており、
前記膜組織が付着される光学面としての表面１７を有し
ている。これは、前記膜組織の裏打ち片を取り除き、露
出された転写接着剤１４を前記表面１７に接着すること
により行われる。表面１７は、ベース成形型の縁に沿っ
て周囲壁１８が形成される様に、鏡の縁に対してへこん
で形成されている。

【００２７】前記膜組織は、ベース成形型の周囲壁内に
挿入されたとき、周囲壁１８に対して略０.８ｍｍの小
さい隙間があく様に寸法を決められる。凹所の深さは、
前記膜組織が周囲壁１８の上表面１９から非常にわずか
に突出する様に、前記膜組織の厚さよりも僅かに小さく
設定されている。実際には、前記膜組織の突出量が０.
１ｍｍ程度のオーダーになる様に、凹所の深さは０.４
ｍｍ、前記膜組織の厚さは０.５ｍｍに設定されてい
る。

【００２８】上記の突出は、前記膜組織が接着されたと
き、前記表面全体にわたって連続的な圧力が働くことを
確実にする。前記膜組織のベース成形型への接着は、ベ
ース成形型を反転させ、上を向けられて例えば吸引パッ
ド等の適切な手段により位置決めされ、露出された転写
接着剤をベース成形型に付着させることにより行われ
る。その後、前記膜組織は圧力パッドにより滑らかにさ
れ、前記圧力により成形される。前記隙間は、位置誤差
を吸収し、シリコンのシール材は、前記膜組織を湿気等
の進入に対して封止する。

【００２９】上記の方法により製造された鏡を濃縮され
た塩水に６ヶ月間浸したところ、浸透は全く認められな
かった。

【００３０】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、壊
れにくい鏡面反射特性を有する光学部品及びその製造方
法が提供される。

【００３１】

【図面の簡単な説明】

【図１】ベース部材に取り付けられる膜組織の該略図で
ある。

【図２】ベース部材に取り付けられた膜組織の断面図で
ある。

【符号の説明】 １０ 傷つき防止コーティング １１ ポリカーボネート層 １２ アルミニウム層 １３ 酸化シリコン層 １４ 転写接着剤 １５ 裏打ち片 １６ ベース成形型 １７ 表面 １８ 周囲壁 １９ 上表面

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光学グレードのプラスチック材料に反射
   材料のコーティングを施すことにより膜組織を形成する
   工程と、前記反射材料に保護コーティングを施す工程
   と、このようにして形成された前記膜組織を、ベース部
   材に隣接した前記反射材料と共に、前記ベース部材上に
   対応する形状に形成された表面上に接合する工程とを具
   備することを特徴とする鏡面反射特性を有する光学部品
   の製造方法。
2. 【請求項２】 前記プラスチック材料はポリカーボネー
   トフィルムであり、前記反射材料は高真空状態での蒸着
   により形成されたアルミニウムであることを特徴とする
   請求項１に記載の鏡面反射特性を有する光学部品の製造
   方法。
3. 【請求項３】 前記膜組織は、前記反射材料が形成され
   る面と反対側の面に傷つき防止のコーティングを有する
   ことを特徴とする請求項１または２に記載の鏡面反射特
   性を有する光学部品の製造方法。
4. 【請求項４】 前記膜組織は、５００μｍ程度の厚さで
   あり、前記アルミニウムは、略５００オングストローム
   の厚さに付着され、酸化シリコンコーティング等の保護
   層により空気による腐蝕から保護されることを特徴とす
   る請求項２または３に記載の鏡面反射特性を有する光学
   部品の製造方法。
5. 【請求項５】 前記膜組織は、完全な光学部品を形成す
   るために、転写接着剤を用いて前記ベース部材に接合さ
   れることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に
   記載の鏡面反射特性を有する光学部品の製造方法。
6. 【請求項６】 前記膜組織は、前記転写接着剤と裏打ち
   部材でコートされ、前記裏打ち部材は、前記膜組織が前
   記成形型に接着されるときに取り除かれることを特徴と
   する請求項１乃至５のいずれか１項に記載の鏡面反射特
   性を有する光学部品の製造方法。
7. 【請求項７】 前記膜組織が付着される表面は、前記成
   形型に凹所として形成され、前記膜組織は、前記表面の
   形状に前記膜組織を形作ることができる圧力パッドによ
   り圧力がかけられる様に、凹所からわずかに突出するよ
   うな厚さに設定されることを特徴とする請求項１乃至６
   のいずれか１項に記載の鏡面反射特性を有する光学部品
   の製造方法。
8. 【請求項８】 実質的に添付図面を参照して明細書に記
   載されている鏡面反射特性を有する光学部品の製造方
   法。
9. 【請求項９】 請求項１乃至８のいずれか１項に記載の
   製造方法により製造されたことを特徴とする光学部品。
10. 【請求項１０】 ポリカーボネートの層から形成され、
    それにアルミニウムの層が付着され、保護コーティング
    により保護され、ベース部材に接着された膜組織を備え
    ることを特徴とする鏡面反射特性を有する光学部品。
11. 【請求項１１】 前記ポリカーボネートの層は、前記ア
    ルミニウムコーティングと反対側の表面で、傷つき防止
    層により保護されていることを特徴とする請求項９に記
    載の鏡面反射特性を有する光学部品。
12. 【請求項１２】 前記膜組織は、ベース部材の凹所に配
    置され、その凹所からわずかに突出していることを特徴
    とする請求項９または１０に記載の鏡面反射特性を有す
    る光学部品。
13. 【請求項１３】 前記膜組織は、該膜組織と凹所の側壁
    との間に隙間を有しており、湿気などの進入を防ぐため
    にシリコンのシール剤でうめられていることを特徴とす
    る請求項１１に記載の鏡面反射特性を有する光学部品。
14. 【請求項１４】 実質的に添付図面を参照して明細書に
    記載されている鏡面反射特性を有する光学部品。