JPH09128936A - テープカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カセット筺体１の内面側に、このカセット筺
体１内を走行するテープ６の幅方向規制用のガイド凸部
２０が設けられてなるテープカセットにおいて、テープ
６とガイド凸部２０との間の摺動抵抗を小さく抑え、テ
ープの走行負荷を軽減することにより、テープ駆動用モ
ーターの消費電力を減少させて電池寿命を延ばす。 【解決手段】 ガイド凸部２０の少なくともテープに対
する摺接部を、ＦＥＰ（ふっ化エチレンプロピレン）や
ＰＴＦＥ（四ふっ化エチレン）などのふっ素樹脂で形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はテープカセットに関
し、特にカセット筺体の内面側にテープの幅方向規制用
のガイド凸部が設けられているテープカセットに係るも
のである。

【０００２】

【従来の技術】先ず、図１〜図４を参照して従来のテー
プカセットの一例を説明する。

【０００３】ここに例示するテープカセットは、いわゆ
るオーディオ用コンパクトカセットで、図において１は
そのカセット筺体を示しており、このカセット筺体１は
ＰＳ（ポリスチレン）などのスチレン系樹脂材により略
対称形状に成形された上ハーフ（カバーハーフ）２と下
ハーフ（ベースハーフ）３とを組み合わせ、これを螺子
止めによって固着して構成される。

【０００４】両ハーフ２，３には夫々左右二箇所にハブ
駆動軸挿入孔４，５が形成されており、このハブ駆動軸
挿入孔４，５に対応してカセット筺体１の内部には、テ
ープ（磁気テープ）６が巻かれる左右一対のハブ７が回
転可能に収納されている。テープ６は、ＰＥＴ（ポリエ
チレンテレフタレート）によりなるベーステープに磁性
材料を塗布したもので、その両端末部はリーダーテープ
を介してクランパー７ａによってハブ７に止着されてい
る。

【０００５】カセット筺体１の前方面には、テープ６が
露出する開口部８が設けられており、即ち、一方側のハ
ブ７から導出されたテープ６がこの開口部８を通って他
方側のハブ７に巻き取られる如くテープ走行経路が形成
されている。

【０００６】カセット筺体１の内部において下ハーフ３
の内面側には、開口部８の左右両側に位置して対称的に
軸柱９が立設されており、この軸柱９に回転ガイドロー
ラー１０が回転可能に枢支されている。さらに下ハーフ
３の内面側には、回転ガイドローラー１０とハブ７との
間に位置される円柱状の固定ガイドピン１１が左右対称
に立設されており、ハブ７から導出されたテープ６はこ
れら固定ガイドピン１１及び回転ガイドローラー１０で
ガイドされることによって所定のテープ走行経路に沿っ
て走行するようになっている。

【０００７】さらにカセット筺体１の内部においては、
固定ガイドピン１１の近傍の位置に、テープ６の幅方向
規制用のガイド凸部２０が左右対称に設けられている。

【０００８】このガイド凸部２０は、図４に示す如くカ
セット筺体１の上ハーフ２と下ハーフ３の夫々の内面側
に対向してリブ状に突出形成されているもので、走行中
のテープ６はこのガイド凸部２０でガイドされることに
よって幅方向の動きが規制される。即ち、テープ走行時
にはカセット筺体の寸法精度や走行姿勢などの影響によ
り、テープ６は上ハーフ２と下ハーフ３の何れか一方側
に寄せられた状態で走行する場合が多く、このときテー
プ６はそのエッジ部がガイド凸部２０に摺接してガイド
されることによって幅方向の変動が規制され、安定した
状態で走行するようになっている。

【０００９】さらにカセット筺体１の内部においては、
上ハーフ２とハブ７との間、及び下ハーフ３とハブ７と
の間に、テープの走行性の安定と巻き乱れの防止を目的
として、ＰＥＴ等の薄い滑性シート材によりなるライナ
ーシート１２，１３がハブ７を上下から挟むように配さ
れている（図３ではこのライナーシート１２，１３の図
示は省略してある）。

【００１０】テープ６が露出される開口部８の中央部分
は、カセットデッキの磁気ヘッドが挿入されるヘッド挿
入部８ａとなされており、このヘッド挿入部８ａの奥に
は、磁気シールド用の金属板１４が組み込まれ、さらに
この金属板１４の前方に位置するように、リーフスプリ
ング１５の中央部にフェルト材１６が固定されてなるヘ
ッド圧着用の部品１７が組み込まれている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】以上の如く構成される
テープカセットにおいて、テープの幅方向規制用のガイ
ド凸部２０の部分に注目すると、従来このガイド凸部２
０は、図４で明らかな如くカセット筺体１の上下ハーフ
２，３と一体に成形されており、即ち上下ハーフ２，３
と同じＰＳなどのスチレン系樹脂によって成形されてい
る。

【００１２】このＰＳなどのスチレン系樹脂は、安価で
成形性に優れた材料ではあるものの、テープ６に対する
摺動性の面では充分な特性を有しているとは言い難い。

【００１３】従って、テープ走行時には、テープ６とガ
イド凸部２０との間で生じる摺動抵抗がテープ６の走行
負荷を増大させる一因となっていた。このテープの走行
負荷が大きいと、カセットデッキ側のテープ駆動用モー
ターの消費電力が増大し、電源である電池の寿命が短く
なる。特に携帯用の小型カセットプレーヤーにおいて
は、電池の長寿命化が求められており、これに対応でき
るテープカセットが望まれている。本発明は、このよう
な点に鑑みてなされたものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】即ち本発明は、カセット
筺体の内面側に、このカセット筺体内を走行するテープ
の幅方向の動きを規制するためのガイド凸部が設けられ
てなるテープカセットにおいて、ガイド凸部の少なくと
もテープに対する摺接部分を、ふっ素樹脂によって形成
したものである。

【００１５】ふっ素樹脂はテープに対する摺動性に優れ
た材料であるため、テープ走行時にテープとガイド凸部
との間に生じる摺動抵抗が従来よりも小さく抑えられ、
テープの走行負荷が軽減される。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
示す実施例を参照しながら詳細に説明する。本発明によ
るテープカセットの基本的な構成は、前述した図１〜図
３の例と同様である。

【００１７】即ち、ここに例示するテープカセットは、
いわゆるオーディオ用コンパクトカセットで、図におい
て１はそのカセット筺体を示しており、このカセット筺
体１はＰＳなどのスチレン系樹脂材により略対称形状に
成形された上ハーフ（カバーハーフ）２と下ハーフ（ベ
ースハーフ）３とを組み合わせ、これを螺子止めによっ
て固着して構成される。

【００１８】両ハーフ２，３には夫々左右二箇所にハブ
駆動軸挿入孔４，５が形成されており、このハブ駆動軸
挿入孔４，５に対応してカセット筺体１の内部には、テ
ープ（磁気テープ）６が巻かれる左右一対のハブ７が回
転可能に収納されている。テープ６は、ＰＥＴによりな
るベーステープに磁性材料を塗布したもので、その両端
末部はリーダーテープを介してクランパー７ａによって
ハブ７に止着されている。

【００１９】カセット筺体１の前方面には、テープ６が
露出する開口部８が設けられており、即ち、一方側のハ
ブ７から導出されたテープ６がこの開口部８を通って他
方側のハブ７に巻き取られる如くテープ走行経路が形成
されている。

【００２０】カセット筺体１の内部において下ハーフ３
の内面側には、開口部８の左右両側に位置して対称的に
軸柱９が立設されており、この軸柱９に回転ガイドロー
ラー１０が回転可能に枢支されている。さらに下ハーフ
３の内面側には、回転ガイドローラー１０とハブ７との
間に位置される円柱状の固定ガイドピン１１が左右対称
に立設されており、ハブ７から導出されたテープ６はこ
れら固定ガイドピン１１及び回転ガイドローラー１０で
ガイドされることによって所定のテープ走行経路に沿っ
て走行するようになっている。

【００２１】さらにカセット筺体１の内部においては、
固定ガイドピン１１の近傍の位置に、テープ６の幅方向
規制用のガイド凸部２０が左右対称に設けられている。

【００２２】このガイド凸部２０は、図５に示す如くカ
セット筺体１の上ハーフ２と下ハーフ３の夫々の内面側
に対向してリブ状に突出形成されているもので、走行中
のテープ６はこのガイド凸部２０でガイドされることに
よって幅方向の動きが規制される。即ち、テープ走行時
にはカセット筺体の寸法精度や走行姿勢などの影響によ
り、テープ６は上ハーフ２と下ハーフ３の何れか一方側
に寄せられた状態で走行する場合が多く、このときテー
プ６はそのエッジ部がガイド凸部２０に摺接してガイド
されることによって幅方向の変動が規制され、安定した
状態で走行するようになっている。

【００２３】尚、本例ではこのガイド凸部２０は、図３
に示すような円弧形のリブ形状をなし、かつ図５で明ら
かな如く２つのガイド凸部２０が並行する形で設けられ
ているが、このガイド凸部２０の形状はこれに限定され
るものではない。

【００２４】さらにカセット筺体１の内部においては、
上ハーフ２とハブ７との間、及び下ハーフ３とハブ７と
の間に、テープの走行性の安定と巻き乱れの防止を目的
として、ＰＥＴ等の薄い滑性シート材によりなるライナ
ーシート１２，１３がハブ７を上下から挟むように配さ
れている。

【００２５】テープ６が露出される開口部８の中央部分
は、カセットデッキの磁気ヘッドが挿入されるヘッド挿
入部８ａとなされており、このヘッド挿入部８ａの奥に
は、磁気シールド用の金属板１４が組み込まれ、さらに
この金属板１４の前方に位置するように、リーフスプリ
ング１５の中央部にフェルト材１６が固定されてなるヘ
ッド圧着用の部品１７が組み込まれている。

【００２６】以上の如く構成されるテープカセットにお
いて、テープの幅方向規制用のガイド凸部２０の部分の
構造をさらに詳細に説明すると、図５に示す如く、ガイ
ド凸部２０及びその基盤の部分２０Ａが、カセット筺体
１の上下ハーフ２，３とは別の樹脂材で成形されてい
る。

【００２７】即ち、カセット筺体１の上下ハーフ２，３
はＰＳなどのスチレン系樹脂で成形されているのに対
し、ガイド凸部２０及びその基盤の部分２０Ａは、ふっ
素樹脂によって成形されている。

【００２８】このふっ素樹脂としては、ＦＥＰ（ふっ化
エチレンプロピレン）や、ＰＴＦＥ（四ふっ化エチレ
ン）などが好適に用いられる。

【００２９】この図５の例では、ガイド凸部２０及びそ
の基盤の部分２０Ａは二色成形法によってカセット筺体
１の上下ハーフ２，３と一体的に成形されている。

【００３０】この二色成形に用いる金型の構造を図６に
示す。この金型装置において３０は上型、３１は下型、
３２はスライド型、３３はカセット筺体１の上ハーフ２
または下ハーフ３を成形する成形空間（キャビティ）、
３４はガイド凸部２０を成形する成形空間、３５はスラ
イド型３２に形成される樹脂注入用ゲートである。

【００３１】そして、先ずはじめは同図Ａの如くスライ
ド型３２によってガイド凸部の成形空間３４を塞いだ状
態で上ハーフまたは下ハーフの成形空間３３に図示しな
いゲートからＰＳなどのスチレン系樹脂を注入して上ハ
ーフまたは下ハーフを成形し、その後に同図Ｂのように
スライド型３２を後退させた状態でゲート３５からふっ
素樹脂を注入してガイド凸部及びその基盤の部分を成形
する。

【００３２】図７はガイド凸部２０の部分の他の構造例
である。本例においても、前述した図５の例と同じよう
に、ガイド凸部２０及びその基盤の部分２０Ａがカセッ
ト筺体１の上下ハーフ２，３とは別の樹脂材で成形され
ており、即ちカセット筺体１の上下ハーフ２，３はＰＳ
などのスチレン系樹脂で成形されているのに対し、ガイ
ド凸部２０及びその基盤の部分２０Ａは、ＦＥＰやＰＴ
ＦＥなどのふっ素樹脂によって成形されている。

【００３３】但し本例においては、図８に示すようにガ
イド凸部２０及びその基盤の部分２０Ａはカセット筺体
１の上下ハーフ２，３とは別個の部品２１として圧縮成
形によって形成され、このガイド凸部２０及びその基盤
の部分２０Ａの部品２１を上下ハーフ２，３の内面側に
設けられた凹所２２に嵌め込んで一体化してある。

【００３４】このガイド凸部２０及びその基盤の部分２
０Ａの部品２１は凹所２２に対して所謂あり差し状に嵌
め込まれ、これによって上下ハーフ２，３から脱落する
ことなく確実に一体化される構造となっている。尚、こ
の部品２１を凹所２２に嵌め込むときに接着剤で両者を
固着すると、より確実に一体化することができる。

【００３５】図９はガイド凸部２０の部分のさらに他の
構造例である。この図９の例では、ガイド凸部２０は前
述した従来例と同様にカセット筺体１の上下ハーフ２，
３と一体に成形されており、このガイド凸部２０の先端
部つまりテープ６に対する摺接部分に、ＦＥＰやＰＴＦ
Ｅなどのふっ素樹脂によりなる薄いシート２３を接着剤
によって貼着してある。

【００３６】以上の各例においては、ガイド凸部２０の
少なくともテープ６に対する摺接部分がふっ素樹脂で形
成されていることにより、テープ６は従来に比して少な
い負荷でスムーズに走行される。

【００３７】即ち、ふっ素樹脂は各種の樹脂材の中で最
も摩擦抵抗の小さい特性を有する樹脂であり、テープ６
の材料であるＰＥＴに対する動摩擦係数も他の樹脂と比
べて格段に小さく、摺動性に優れているので、テープ走
行時にテープ６とガイド凸部２０との間に生じる摺動抵
抗が小さく抑えられ、そのためテープの走行負荷が軽減
される。

【００３８】従って、テープカセットが装着されるカセ
ットデッキのテープ駆動用モーターの駆動トルクが減少
して消費電力を少なくすることができ（省エネルギ
ー）、これによってテープ駆動用モーターの電源である
電池の寿命が長く延びることになる。

【００３９】また、特に図５の例の場合は、ふっ素樹脂
によりなるガイド凸部２０及びその基盤の部分２０Ａを
二色成形によってカセット筺体１の上下ハーフ２，３と
一体的に形成する構造であるため、成形に手間がかかる
ことなく実施できる利点がある。

【００４０】さらに図７の例の場合は、ガイド凸部２０
及びその基盤の部分２０Ａの部品２１を上下ハーフ２，
３の凹所２２に嵌め込む手間がかかるものの、部品２１
及び上下ハーフ２，３の成形金型には複雑な金型構造を
要しないので、実施が容易である。

【００４１】さらに図９の例では、ふっ素樹脂によりな
る薄いシート２３をガイド凸部２０の先端部に貼着する
構造であるため、高価なふっ素樹脂の使用量が前二例に
比して少なくて済むので、経済的である。

【００４２】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明はこれらの各例に限定されることなく、他に
も種々の実施構造を採り得るものであることは言うまで
もない。

【００４３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明
は、カセット筺体の内面側に、このカセット筺体内を走
行するテープの幅方向規制用のガイド凸部が設けられて
なるテープカセットにおいて、ガイド凸部の少なくとも
テープに対する摺接部分を、ふっ素樹脂によって形成し
たことにより、テープ走行時にテープとガイド凸部との
間に生じる摺動抵抗が従来よりも小さく抑えられるの
で、テープの走行負荷が軽減される。その結果、カセッ
トデッキ側のテープ駆動用モーターの消費電力が減少
し、電池の寿命を長く延ばすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】テープカセットの一部切り欠いた斜視図であ
る。

【図２】同、分解斜視図である。

【図３】同、一部切り欠いた平面図である。

【図４】従来例を示すガイド凸部の部分の縦断面図であ
る。

【図５】実施例を示すガイド凸部の部分の縦断面図であ
る。

【図６】二色成形金型の構造図である。

【図７】他の実施例を示すガイド凸部の部分の縦断面図
である。

【図８】同、分解図である。

【図９】さらに他の実施例を示すガイド凸部の部分の縦
断面図である。

【符号の説明】

１ カセット筺体 ２ 上ハーフ ３ 下ハーフ ６ テープ ２０ ガイド凸部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カセット筺体の内面側に、このカセット
   筺体内を走行するテープの幅方向の動きを規制するため
   のガイド凸部が設けられてなるテープカセットにおい
   て、 上記ガイド凸部の少なくともテープに対する摺接部を、
   ふっ素樹脂で形成したことを特徴とするテープカセッ
   ト。
2. 【請求項２】 ふっ素樹脂によりなるガイド凸部の部分
   を二色成形によってカセット筺体と一体的に形成したこ
   とを特徴とする請求項１に記載のテープカセット。
3. 【請求項３】 ふっ素樹脂によりなるガイド凸部の部分
   をカセット筺体とは別個に成形し、このガイド凸部の部
   分をカセット筺体に嵌め込んで一体化したことを特徴と
   する請求項１に記載のテープカセット。
4. 【請求項４】 カセット筺体と一体に成形されたガイド
   凸部に、ふっ素樹脂によりなるシートを貼着したことを
   特徴とする請求項１に記載のテープカセット。