JPH09127112A - 修飾IgM免疫学的測定試薬 - Google Patents

修飾IgM免疫学的測定試薬

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JPH09127112A
JPH09127112A JP30330295A JP30330295A JPH09127112A JP H09127112 A JPH09127112 A JP H09127112A JP 30330295 A JP30330295 A JP 30330295A JP 30330295 A JP30330295 A JP 30330295A JP H09127112 A JPH09127112 A JP H09127112A
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JP
Japan
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igm
antibody
reagent
labeled
modified
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JP30330295A
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English (en)
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Toru Yoshimura
徹 吉村
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Abbott Japan Co Ltd
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Dainabot Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 免疫学的測定の試薬としてIgM自体を利用
する場合、そのIgMが不安定であるという問題があ
る。こうした問題のない長い期間安定であり免疫測定試
薬として有用なIgMを得る。特にHAV関連抗体を検
出したりする場合、被検試料の必要な測定範囲を簡単に
設定できかつ特異的なIgM抗体を検出する時、前希釈
の希釈倍率を低減せしめてより広範囲の測定を可能にす
る自動化に有利な安定化されたIgM試薬を得る。 【解決手段】 免疫学的測定法において使用するための
IgM試薬において、IgMまたはIgM含有水溶液を
還元処理し、ついで遊離スルフヒドリル基と反応可能な
修飾剤で処理して得られた修飾IgMまたは修飾IgM
含有水溶液を該IgM試薬として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫学的測定試薬
として有用な修飾IgMを提供する。特に、IgMまた
はIgM含有水溶液を還元処理し、ついで遊離スルフヒ
ドリル基と反応可能な修飾剤で処理して得られた修飾I
gMまたは修飾IgM含有水溶液は、抗ヒトIgM抗体
試薬を使用して被検試料中の対象抗原に対する特異的I
gM抗体、例えばA型肝炎ウイルス(Hepatiti
s A virus: HAV)感染の診断などにおけ
る免疫学的に測定する方法において、試薬として有用で
ある。また標識剤で標識化された当該還元処理を受けて
いる修飾IgM試薬は、いわゆるサンドイッチ・アッセ
イ法による抗原測定系の標識抗体として有用である。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】免疫学的
測定法は、人の臨床における検査や病気の診断に広く利
用される他、動物についてもその臨床検査や病気の診
断、さらにはその他の広い範囲の測定対象物の分析、測
定、定量、検出などの分野において応用されている。こ
の免疫学的測定法は、抗原とその抗原に対する抗体との
間の抗原抗体反応を利用するものである。免疫グロブリ
ン、すなわち抗体は、IgM、IgG、IgA、IgD
及びIgEといったアイソタイプクラスに分類できるこ
とが知られており、そのうちIgGはさらにIgG2
IgG3 及びIgG4 といったサブクラスに副分類され
る。免疫グロブリンのうちIgMは最も大きな分子量を
有し、約900,000というIgGに比して、5倍以
上の大きさで、一般的にはIgGのペンタマーに相当す
ると考えられている。つまりIgMは一般に10個の重
鎖と10個の軽鎖と1本のJ鎖とからなり、抗体結合部
位が10個で、さらにグルコサミンオリゴ糖の結合した
糖タンパク質である。IgMは免疫応答において最も初
期に生成されてくる抗体と考えられている。ペンタマー
であるIgMは、抗原と結合したときIgGクラス抗体
よりも効率よく動物の補体系を刺激することから、赤血
球凝集反応、溶血反応、溶菌反応、中和反応、抗原との
凝集反応などを起こすことが知られている。
【0003】このIgMは、多糖類に対する特異性が高
いことから、最近では癌関連抗原糖鎖に特異的な抗体と
して、癌診断に利用することが試みられている。こうし
たIgMは、例えば酵素標識し、酵素免疫測定法に応用
しようとすると標識IgM抗体が非常に大きな重合体と
なり、測定時の非特異的吸着などが高くなり、測定の再
現性に問題があったり、感度も低下することが知られて
いる。一方上記したようにIgMは非常に低濃度でも細
菌抗原やウイルス抗原などと反応するというようなその
大きな抗体価を利用して、免疫測定試薬として利用する
ことが図られている。特に急性期において生体内の免疫
反応によりに生じる特異的IgM抗体を測定すること
は、例えば、ウイルス感染、病原菌感染などの初期感染
の診断に用いられて有用であることから注目されてい
る。このIgM測定を利用する免疫学的測定法の代表的
なものとしては、IgM抗体捕捉測定法が挙げられ、例
えば、A型肝炎ウイルス感染の診断、B型肝炎ウイルス
コア抗原(Hepatitis B virus co
re antigen:HBc)、風疹、麻疹、ムンプ
スなどの診断などに利用されている。
【0004】このIgM測定を利用する免疫学的測定法
においては、通常抗ヒトIgM抗体試薬を使用して被検
試料中の対象抗原に対する特異的IgM抗体を免疫学的
に測定することが行われているが、この時被検試料を少
なくともIgMまたはIgM含有水溶液により希釈する
ことにより、被検試料の必要な測定範囲を簡単に設定で
き、より早い時期で特異的なIgM、例えば、HAV関
連抗体を検出したり、前希釈の希釈倍率を低減せしめて
より広範囲の測定を可能にする自動化された測定系に適
した測定方法が見出されている。しかしながら、試薬と
してIgM自体を利用する場合、そのIgMが不安定で
あるという問題があった。また、IgMは多価抗体であ
ることから、非常に低濃度でも細菌やウイルスといった
抗原や赤血球と反応し、凝集を起こす働きがあることが
観察されている。また、IgMはIgGなどと比較して
巨大な分子であるためか、凝集する傾向があり、一般に
精製された形態で安定化することは比較的困難とされて
いる。
【0005】特にIgM自体を試薬として用い、例えば
検体試料の希釈を行うと、IgMは希薄溶液で不安定
で、希薄溶液として使用しようとすると極めて容易に凝
集して、測定に悪影響を与えるという問題があった。こ
のようにIgMは一般的に非常に不安定で、様々な物理
的あるいは化学的ストレスによって容易に凝集沈殿して
しまい、試薬として使用するのに問題であった。こうし
た不安定なIgMは、濃縮溶液あるいは乾燥粉末として
保存し、使用直前に希釈せざるを得ないが、これでは測
定の度毎に特定濃度のIgM希釈液を調整する必要があ
るなど、さらに長期間の保存が困難などの問題があっ
た。また、免疫学的測定試薬としては、安価かつ大量に
安定して供給されることも重要である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した問
題のない希釈溶液としても長い期間安定であり、免疫測
定試薬として有用な、特にHAV関連抗体を検出したり
する場合、被検試料の必要な測定範囲を簡単に設定でき
かつ特異的なIgM抗体を検出する時前希釈の希釈倍率
を低減せしめてより広範囲の測定を可能にする自動化さ
れた測定系に適したIgMを得るべく、鋭意研究を行っ
た結果、簡単な方法によりそれらの問題を解決しうるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0007】本発明は、免疫学的測定法において使用す
るためのIgM試薬において、IgMまたはIgM含有
水溶液を還元処理し、ついで遊離スルフヒドリル基と反
応可能な修飾剤で処理して得られた修飾IgMまたは修
飾IgM含有水溶液を該IgM試薬として用いることを
特徴とする免疫学的測定試薬を提供するものである。ま
たより具体的な態様では、本発明は抗ヒトIgM抗体試
薬を使用して、被検試料中の対象抗原に対する特異的I
gM抗体を免疫学的に測定する方法において、被検試料
を少なくともIgMまたはIgM含有水溶液を還元処理
し、ついで遊離スルフヒドリル基と反応可能な修飾剤で
処理して得られた修飾IgMまたは修飾IgM含有水溶
液からなる試薬により希釈することを特徴とする特異的
IgM抗体測定試薬及びその試薬を用いた測定方法を提
供する。
【0008】本発明は、さらに被検試料中の抗原を免疫
学的に測定する方法において使用するためのIgM試薬
において、IgM抗体試薬を還元処理し、ついで遊離ス
ルフヒドリル基と反応可能な修飾剤で処理して得られた
IgM抗体であり且つ当該IgM抗体は標識剤で標識化
して得られた標識IgM抗体であることを特徴とする免
疫学的測定試薬及びその試薬を用いた測定方法を提供す
る。より具体的な態様では、対象抗原を含有する被検試
料に第1の抗体と第2の抗体を接触させることにより前
記対象抗原と前記第1の抗体と前記第2の抗体とからな
る複合体を形成させる工程を含む免疫学的測定方法にお
いて、前記第1の抗体と前記第2の抗体のいずれか一方
が、IgMまたはIgM含有水溶液を還元処理し、つい
で遊離スルフヒドリル基と反応可能な修飾剤で処理して
得られた修飾IgMまたは修飾IgM含有水溶液であり
かつ当該IgMが標識剤で標識化されたものであること
を特徴とする方法が提供される。好ましくは標識IgM
抗体試薬は、サンドイッチ・アッセイ法による抗原測定
系に使用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】IgMを含む試薬溶液としては、
特に限定されないが、動物の血清、例えばヒト血清、ハ
イブリドーマを移植した動物の腹水液、ハイブリドーマ
及びリンパ球の培養液、遺伝子工学的にIgM様抗体を
分泌せしめられた培養液、あるいは精製されたIgMな
どが挙げられる。またIgMの由来としては特に限定さ
れないが、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤ
ギ、ヒツジ、ウマ、ウシなどの動物が挙げられ、抗血
清、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、それら
の混合物などを用いることが出来る。
【0010】こうしたIgMを還元する試薬としては、
例えばジスルフィド結合を温和な条件で部分的に開裂し
遊離スルフヒドリル基を形成せしめる還元剤が挙げら
れ、例えばシステイン、ジチオスレイトール、グルタチ
オンなどが挙げられる。以上のような還元剤を用いてI
gMを還元して部分的にジスルフィド結合を開裂するに
あたっては、特に限定されないが、例えば反応時間を短
く設定したり、反応時のpHを調整して徐々の温和な還
元となるようにしたり、反応時の温度を低くしたり、試
薬濃度を低くしたりして温和な条件とすることにより、
分子量がIgMの1/5の均一なサブユニットに解離
し、その際IgM 1分子あたり10個のHS−基の遊
離がみられる。こうして還元されたIgMを含む液は、
必要に応じIgM精製処理に付されることができるし、
そのまま次の処理に付すこともできる。好ましくは、還
元処理の前にIgMを精製工程に付したものを使用する
ことが好ましい。例えばIgMを含む液は塩析工程、透
析、濾過などの粗精製を行い、次にゲル濾過クロマトグ
ラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互
作用クロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、高
速液体クロマトグラフィーなどを用いて精製することが
出来る。
【0011】こうして得られた還元されたIgMは、次
にその遊離スルフヒドリル基がS−S結合を形成するの
を防止するため修飾剤で処理される。遊離スルフヒドリ
ル基の修飾剤としては、実質的にIgMとしての利用上
の問題がなければ特に限定されないが、例えばヨード酢
酸、ヨード酢酸アミド、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸アミ
ド、クロロ酢酸、クロロ酢酸アミド、2−ブロモプロピ
オン酸などのハロゲン化酢酸又はその誘導体、N−エチ
ルマレイミド又はその誘導体、5,5’−ジチオビス
(2−ニトロ安息香酸)、2,2’−ジチオビスピリジ
ン、4,4’−ジチオビスピリジン、6,6’−ジチオ
ビスニコチン酸などのアリールジチオ化合物、2−ニト
ロスルフェニルクロリドなどのアリールフェニルクロリ
ド、p−クロロマーキュリ安息香酸、p−ヒドロキシマ
ーキュリ安息香酸、フェニル酢酸水銀などの水銀誘導体
化合物、メチルp−ニトロベンゼンスルホネート、メチ
ルメタンチオスルホネートなどのスルホネート化合物、
O−メチルイソ尿素、テトラチオン酸カリウム、テトラ
チオン酸ナトリウムなどのチオン酸塩、2−ヒドロキシ
エチルジスルフィドなどが挙げられる。還元されたIg
Mに存在する遊離スルフヒドリル基を、アミノエチル
化、S−メチル化、ヨードアセチル化することは、好ま
しい。
【0012】こうして修飾されたIgMを含む液は、必
要に応じ修飾IgM精製処理に付されることができる
し、そのまま使用に付すこともできる。例えば修飾され
たIgMを含む液は塩析工程、透析、濾過などの粗精製
を行い、次にゲル濾過クロマトグラフィーなどを用いて
精製することが有効である。こうして得られた修飾Ig
Mは、さらに必要に応じ標識を施すこともできる。例え
ば放射性ヨウ素などの放射性同位体などで標識すること
もでき、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、ガラクトシダーゼなどの酵素、アクリジニウム塩、
フルオレッセインなどの発光あるいは螢光標識など、ビ
オチンなどで標識することもできる。こうして得られた
修飾IgMは、さらに通常の免疫学的測定法に用いるこ
とが出来る。免疫学的測定法としては、使用する標識、
測定手法などに従い種々の方法が知られ、例えば放射免
疫測定法、酵素免疫測定法、螢光免疫測定法、化学発光
免疫測定法、凝集免疫測定法、サンドイッチ法、競合法
などが挙げられる。さらにこの還元処理されると共に標
識剤で標識化された標識IgM試薬は、好ましくはサン
ドイッチ・アッセイ法による抗原測定系に使用すること
ができる。
【0013】より具体的な態様においては、本発明は、
試料を一旦緩衝剤、希釈液又は希釈剤などの水溶液で幾
分か希釈し、つぎに試料を少なくとも修飾IgMまたは
修飾IgM含有水溶液により希釈した後、試料中の抗ウ
イルス特異的IgM抗体などの特定の抗原に特異性をも
つIgM抗体を、抗ヒトIgM抗体で被覆した固相担体
などと反応させて試料中のIgM抗体を固相抗ヒトIg
M抗体と免疫学的に反応させ、(a)つぎにウイルスな
どの特定の抗原試薬を免疫学的に反応させ、得られた反
応生成物に化学発光標識抗ウイルス抗体などの標識抗体
を免疫学的に反応させるか、または(b)ウイルスなど
の特定の抗原試薬を標識剤で標識した標識抗原を免疫学
的に反応させることからなることを特徴とする特異的I
gM抗体の測定法及びその測定法に用いる試薬が提供さ
れる。また別の具体的な態様においては、本発明は、対
象抗原を含有する被検試料に第1の抗体と第2の抗体を
接触させることにより前記対象抗原と前記第1の抗体と
前記第2の抗体とからなる複合体を形成させる工程を含
む免疫学的測定方法において、前記第1の抗体と前記第
2の抗体のいずれか一方が、少なくともIgMまたはI
gM含有水溶液を還元処理し、ついで遊離スルフヒドリ
ル基と反応可能な修飾剤で処理して得られた修飾IgM
または修飾IgM含有水溶液でありかつ当該IgMが標
識剤で標識化されたものであることを特徴とする方法を
提供する。より好ましくは該方法は、前記被検試料を当
該被検試料中の対象抗原に対する固相担体に結合されて
いる第1抗体(固相化抗体)及び標識されている第2抗
体(標識且つ修飾IgM抗体)とに接触させ、当該固相
化第1抗体と当該抗原と当該標識IgM第2抗体との複
合体を形成させ、当該複合体を未反応標識抗体から分離
した後、当該複合体における標識抗体又は未反応標識抗
体のいずれかを測定することを特徴とするものである。
被検試料中の対象抗原と各抗体との接触は、同時に当該
固相化第1抗体と当該標識且つ修飾IgM第2抗体とを
該被検試料中の対象抗原に接触させるものであってもよ
いし、あるいは先ず該被検試料中の対象抗原と固相化第
1抗体とを接触させ、必要に応じ、洗浄処理を加えた
後、当該標識且つ修飾IgM第2抗体を接触させるもの
であってもよいし、さらには先ず該被検試料中の対象抗
原と標識且つ修飾IgM第2抗体とを接触させ、次に当
該固相化第1抗体を接触させるものであってもよい。典
型的にはサンドイッチ法として広く知られた種々の手法
を適用することができる。
【0014】特に好ましい測定系の例としては、HAV
感染の急性期に生ずる、IgM型の抗HAV抗体を測定
することによりA型肝炎の感染を診断する方法が挙げら
れる。このIgM型の抗HAV抗体を特異的に測定する
系では、μ−鎖特異性の抗ヒトIgM抗体で被覆した固
相、例えば下記に示すような固相担体を、測定試料と反
応させ、次にHAV抗原試薬と反応させ、最後に標識抗
HAV抗体と反応させるというように順次反応させるこ
とにより行われる。A型肝炎ウイルス(HAV)は、1
973年フェインストン(Feinstone)等によ
りA型肝炎急性期患者の便材料のうちに発見され、19
77年には実験感染チンパンジー肝組織における増殖の
報告がされてのち、1979年には初代マーモセット肝
細胞及びアカゲザル胎児腎細胞での増殖が報告されて以
来、HAVを培養細胞系では初代及び株化アフリカミド
リザル腎細胞、ヒト二倍体細胞などにおいて増殖せしめ
ることが報告されている。HAVは糞便などによる経口
感染をその主な伝播経路とするため、環境衛生の不備な
地域での感染の危険は大きく、最近では海外渡航の機会
も増加し、こうしてHAV感染の検査が、近親者間、従
業員者間などでの感染を防ぐ意味でも重要視されてい
る。
【0015】この急性期のHAV感染の検出のために
は、HAV感染に伴って生体内の強い免疫反応により患
者の血液中に出現する抗HAV抗体、特にHAVに特異
的なIgM抗体を検出して行われており、この抗HAV
(IgM)抗体と免疫学的に反応性を有するHAV抗原
を試薬として用いる次のようなIgM抗体捕捉測定法が
開発されている。代表的なIgM抗体捕捉測定法にした
がう急性A型肝炎の感染診断法は、IgM抗体のμ−鎖
に特異性をもつ抗ヒトIgM抗体を使用し、その抗ヒト
IgM抗体(μ−鎖特異抗体)で被覆した固相、例えば
下記に示すような固相担体を、測定試料と反応させ、次
にHAV抗原試薬と反応させ、最後に標識抗HAV抗体
と反応させるというように順次反応させることにより行
われている。
【0016】ところが、このような急性期においては血
液、血清、血漿などの被検試料中の抗HAV(IgM)
抗体などの測定すべき特異的なIgM及び総IgMの濃
度は様々である。一般には、血液中の総IgM量は通常
約0.4〜2mg/ml存在していることが知られてい
るが、上記した第一反応での抗ヒトIgM抗体で被覆し
た固相の抗体量が充分でない場合が起こるので、被検試
料を前希釈、例えば、高倍率の前希釈を行うことが必要
であるという問題がある。従来は、緩衝水溶液、生理食
塩水溶液などで被検試料を前希釈していた。こうすると
総IgM抗体の量を減ずることになるが、総IgM抗体
量に対する特異的IgM量の比率を減ずることはできな
い。そのため、必要な測定範囲を得ることが困難である
という問題がある。また自動化された測定系において
は、希釈液量が制限されるという問題があり、測定範囲
が限定されてしまうという問題があった。これを解決す
る手段として、例えば試料をヒトIgM含有フラクショ
ン、精製ヒトIgMなどの水溶液を添加して、試料中の
IgM量に影響されること無く、目的の抗原に特異的な
IgM抗体を測定できるようにする。
【0017】被検試料をIgM含有溶液で希釈する場
合、前もって生理食塩水などで被検試料を適宜希釈して
もよい。さらにヒトIgM溶液の添加処理により、より
広範囲の測定を達成することもできるし、測定試料調製
の手間、例えば試料濃度の調製などの測定範囲設定が簡
易に行うことができるようになり、自動化免疫測定系に
おける適用が容易になる。しかし、試薬としてより安定
なIgMが好ましい。本発明では、修飾ヒトIgM含有
フラクション、精製修飾ヒトIgMなどの水溶液を添加
しても同様な利点が得られることを認識してなされてい
る。こうして上記したように特異的なIgM、例えば、
HAV関連抗体を検出したり、前希釈の希釈倍率を低減
せしめてより広範囲の測定を可能にし、例えば、A型肝
疾患などの高濃度領域における確実な測定法が可能にな
る。また、還元処理したIgM抗体を標識抗体として抗
原測定系に使用すれば、安価かつ大量の標識抗体を供給
することが可能になる。
【0018】本発明に従ったIgM型の抗HAV抗体を
特異的に測定する系で用いられるHAV抗原試薬は、イ
ン・ビトロの細胞培養法で得られたウイルス抗原を用い
ている。それは感染細胞を溶菌化して得られた細胞ライ
ゼートから分離されたHAV抽出物あるいはそれから誘
導されたものが挙げられる。そのHAV抽出物は、例え
ばアフリカミドリザル腎培養細胞、ヒト肝臓腫瘍セルラ
インPLC/PRF/5、Hep.G2などのHAV感
染細胞であって培養しうるもので、さらに好ましくは大
量にHAVを産生しうるセルライン細胞を、公知の生育
培地、例えばイーグル最小必須培地(Eagle’s
MEM)、ダルベッコ最小必須培地(Dulbecc
o’s MEM)、PRM1−1640(Gibco
社)、Eagle’s MEM)、N−(2−ヒドロキ
シエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン
酸)(HEPES)緩衝液添加イーグルMEM、リン酸
緩衝化L−15−a培地、ハンクス液(Hanks’
balanced salt solution)など
の生育培地で、必要に応じウシ胎児血清(FCS)、ペ
ンシリン、トレプトマイシンなどの抗生物質、酵母抽出
液、バクトペプトン、ラクトアルブミン加水分解物、そ
の他細胞成長因子などを添加したものの中で培養し、次
にこうして得られた細胞培養物から次のようにして得ら
れる。
【0019】つまり、上記のようにして得られた細胞培
養物から栄養培地を除去し、ついで細胞を生理的食塩
水、燐酸塩などで緩衝化された溶液などで、必要に応じ
EDTAなどのキレート化剤を添加したもので洗浄す
る。こうして単離・収穫された細胞を、代表的にはED
TAなどのキレート化剤及びポリオキシエチレンエーテ
ル(代表的なものは、0.5%のTriton X−1
00などの商品名で入手しうる)などの非イオン界面活
性剤を含む燐酸塩などで緩衝化された溶液、例えば1m
MのEDTA及び0.5%のTriton X−100
を含む燐酸塩緩衝化溶液、あるいはデオキシコール酸塩
を含む燐酸塩などで緩衝化された溶液でもって溶菌処理
し、こうして得られた細胞ライゼートを、必要に応じ、
例えば約10〜15分間インキュベーション処理し、つ
ぎに遠心処理、例えば約1,000〜20,000×
g、好ましくは約2,000〜10,000×gで、約
5〜60分間、好ましくは約10〜30分間遠心処理
し、HAV抽出物を得ることができる。このように、細
胞ライゼートからその核由来物質、細胞オルガネラ、破
砕物などを遠心分離処理して除き、HAV抽出物が得ら
れている。HAV抽出物は、例えば米国特許明細書第
4,721,675号に記載のようにしても得られる。
HAV抽出物は、必要に応じ、例えばクロロホルム抽出
法、酵素処理法、蔗糖濃度勾配遠心分離法などでさらに
精製することもできる。
【0020】こうして得られたHAV抽出物は、つぎに
公知の方法又はそれを修飾した方法によりその感染性を
不活性化するための処理がなされる。不活性化処理は、
例えばホルマリン液で処理する、例えば約37℃で約2
5〜45%ホルマリン溶液の約1:3000〜1:70
00希釈下、例えば、1:4000希釈下にインキュベ
ーション処理することにより行うことができるが、その
他適切な方法を公知のものの中から選んで適用すること
が出来る。この処理は、例えば、2週間行うこともで
き、さらにそれより短い時間あるいは長い時間でもよ
い。この処理の際の処理液においては、必要に応じ、緩
衝剤、希釈液又は希釈剤、キレート化剤、保存剤などを
添加して用いることもできる。
【0021】緩衝剤、希釈液又は希釈剤としては、水、
リン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン(Tris)緩衝液、生理食塩水などの塩化ナトリウ
ム液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’
−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)液、ピペラ
ジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PI
BES)液、3−(シアノヘキシルアミノ)−1−プロ
パンスルホン酸(CAPS)液、3−(モルホリノ)プ
ロパンスルホン酸(MOPS)液、アミノ酸液などが挙
げられる。これらは単独でも、任意に組合わせて配合し
ても用いることができる。キレート化剤としては、エチ
レンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコ
ール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,
N’,N’−テトラ酢酸(EGTA)などが挙げられ
る。
【0022】本発明によれば、こうして得られた感染性
が不活性化されたHAV抽出物は、それをそのままHA
V抗原として用いることもできるし、さらにそれをつぎ
に界面活性剤で処理し得られたものも用いることがで
き、こうした界面活性剤処理HAV抽出物は好ましいも
のとして使用できる。界面活性剤としては、適切なもの
を公知又は市販のもののうちから選んで用いることがで
き、特にアニオン性界面活性剤が適している。
【0023】アニオン性界面活性剤としては、ステアリ
ン酸カリウムなどの炭素数12〜18の高級脂肪酸のア
ルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、胆汁酸のアルカ
リ金属塩、炭素数12〜18の高級脂肪酸のトリエタノ
ールアミンなどの有機塩基塩、ドデシル硫酸リチウム
(LDS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの
炭素数12〜18の高級脂肪酸又は高級アルコールの硫
酸エステル、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン
酸塩などが挙げられ、特にLDS、SDSは著効を示
す。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リ
チウムなど、アルカリ土類金属としては、カルシウム、
マグネシウムなどが挙げられる。これら界面活性剤は、
共存する蛋白質の量に応じて、その使用量を選ぶことが
好ましく、例えば約0.001%v/v〜約10%v/
vの範囲で用いることができる。特に好ましくはSDS
を用い、約0.05%v/v〜約5%v/v、より好ま
しくは共存する他の蛋白質が存在しない場合には約0.
5%v/v〜約1.0%v/vの範囲で用いることがで
きる。
【0024】界面活性剤でHAV抽出物を処理するにあ
たっては、必要に応じHAV抽出物を緩衝剤、希釈液又
は希釈剤などで希釈し、所要濃度を与える界面活性剤溶
液と混合するか、懸濁する。こうして得られた混合物
は、必要に応じ攪拌処理されることができる。また場合
によっては、混合物中にガラスビーズなどを加えて攪拌
処理してもよい。攪拌処理は、測定感度を改善しうるも
のであれば、例えば穏やかな混合のみで済ますこともで
きるし、激しい攪拌混合であることもできる。処理温度
は、室温で行うこともできるし、冷却下行うこともでき
るし、37℃あるいはそれ以上の温度とすることも測定
感度を改善しうるものであれば、採用できる。界面活性
剤で処理されたHAV抽出物は、そのまま次の処理に使
用できるし、あるいは一旦保存したのち次の処理に使用
できるし、また必要に応じ遠心分離などの分離処理を
し、さらに必要に応じ洗浄などの処理をして後、次の処
理に使用できる。これらの処理は、測定時の非特異吸着
を抑制し、感度を改善しうるように選ぶことができる。
【0025】本発明の界面活性剤処理の際の処理液にお
いては、緩衝剤、希釈液又は希釈剤、キレート化剤、保
存剤などを添加して用いることができる。緩衝剤、希釈
液又は希釈剤としては、水、リン酸又はリン酸塩緩衝
液、Tris緩衝液、例えば生理食塩水などの塩化ナト
リウム液、HEPES液、PIBES液、CAPS液、
MOPS液、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)
−2−アミノエタンスルホン酸(BES)液、N−トリ
ス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスル
ホン酸(TES)液、N−(2−アセトアミド)−2−
アミノエタンスルホン酸(ACES)液、アミノ酸液な
どが挙げられる。これらは単独でも、任意に組合わせて
配合して用いることができる。キレート化剤としては、
EDTA、EGTAなどが挙げられる。
【0026】本発明によれば、HAV抽出物は、必要に
応じて、その感染性を不活性化する前に上記界面活性剤
で処理し、つぎに得られた界面活性剤で処理されたHA
Vを、公知の方法又はそれを修飾した方法により不活性
化処理してもよい。不活性化処理は、上記と同様にして
よく、例えば約37℃で約37%ホルマリン溶液の1:
4000希釈下にインキュベーション処理することによ
り行うことができる。
【0027】より具体的な態様において、本発明で用い
られるHAV抗原試薬は、イン・ビトロの細胞培養法で
得られた細胞ライゼートから得られたHAV抽出物を約
0.5%v/v〜約1.0%v/vの範囲の濃度のドデ
シル硫酸ナトリウム(SDS)液と混合し、つぎに必要
に応じ、例えば室温で3時間インキュベーション処理
し、SDS処理HAV抽出物を得ることによって提供さ
れるものであることもできる。本発明では、少なくとも
IgMまたはIgM含有水溶液処理工程と組合せ、その
該得られたSDS処理HAV抽出物を用いた試料中のH
AV抗体の免疫測定試薬及びそれを用いた試料中の抗体
の測定法も提供される。また抗原、例えば、HBc抗原
などは、ウイルス培養物から得ることもできるが、遺伝
子組換えの手法を用い、大腸菌、酵母などで発現させた
組換え抗原であることもできる。
【0028】本発明において試料中の特異的IgM抗体
を測定するにあたっては、抗IgM抗体を、必要に応じ
て、例えば、寒天、アガロース、架橋アガロース、架橋
アルギン酸、セルロース、ニトロセルロースやカルボキ
シルセルロースなどのセルロースエステルあるいは混合
セルロースエステル、紙、デキストラン、ゼラチン、架
橋ゼラチン、キチン、コラーゲン、綿などの生体由来高
分子あるいは天然物由来高分子、ポリスチレン、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアル
コール、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリ
シジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコ
ールジメタクリレート共重合体、ポリメタクリレート、
ポリアクリルアミドなどのアクリル樹脂、イオン交換樹
脂、光架橋樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレ
タン、ポリアセタールなどの合成高分子・樹脂などの天
然あるいは合成の修飾あるいは非修飾の重合炭水化物、
重合炭化水素など、それらの架橋誘導体など、ガラス、
例えば活性化ガラスなど、シリカゲル、アルミナ、シリ
カ−アルミナ、硫酸バリウム、セラミック、カーボン、
硫酸マグネシウムなどの無機質材料などからなる微粒
子、ビーズ、マイクロプレート、マイクロタイターウェ
ル、マイクロチューブ、ストリップ、メンブレン、トレ
イ、ゲルなど、さらには赤血球、ゴム、ラテックス粒
子、乳剤などの固相に固定しておき、この固相を、分析
対象としての特異的IgM抗体を含有する試料と接触さ
せ、こうして固相化された抗IgM抗体と、分析試料中
の特異的IgM抗体とを免疫学的に反応せしめ、この固
相に結合した特異的IgM抗体を検知することにより行
なうことができる。さらにまた、上記固相はサンドイッ
チ法に用いられる固相として用いることができる。そし
て固相には抗原、抗体など免疫学的反応に関与する様々
な分子種や物質を固定化することができる。通常サンド
イッチ法で良く知られたものが特に制限無く用いること
ができる。好ましい態様において、本発明では試料と反
応せしめられる抗ヒトIgM抗体結合固相としては、ポ
リスチレン製のビーズ、ポリスチレン製の微小粒子など
を用いることができる。
【0029】また、抗体としては、ヒトIgMに対する
抗体であれば特に限定されることなく用いることができ
る。抗体は常法により得ることができ、例えば村松繁、
他編、実験生物学講座14、免疫生物学、丸善株式会
社、昭和60年、日本生化学会編、続生化学実験講座
5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986年、日
本生化学会編、新生化学実験講座12、分子免疫学II
I、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年など
に記載の方法に準じて、例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ウ
サギ、ヤギ、ラット、マウスなどを免疫するなどして得
たり、モノクローナル抗体であることもでき、これらは
単独でもあるいはこれらを組合せて用いることは任意に
できる。これら抗体は、必要なら、ペプシン、パパイン
などの酵素で消化して、F(ab’)2 、Fabとして
使用してもよい。抗ヒトIgM抗体としては、好ましく
はμ鎖に対して特異的に反応する抗体、抗μ鎖抗体が挙
げられ、これらはマウスミエローマ細胞を用いて細胞融
合技術を利用して得られたモノクローナル抗体であって
もよいことはいうまでもない。また、抗原を測定する際
に用いる標識IgM抗体は、モノクローナル抗体であっ
てもよいことはいうまでもない。
【0030】ラジオイムノアッセイ、酵素免疫測定法、
螢光免疫測定法、化学発光免疫測定法などでは、
125I、 3Hなどの放射性物質、西洋わさびペルオキシ
ダーゼ、β−D −ガラクトシダーゼ、アルカリフォスフ
ァターゼなどの酵素、フルオレッセインなどの螢光色
素、アクリジニウムエステル類などの化学発光色素、金
コロイド、セレニウムコロイドあるいは有色ラテックス
粒子などの有色物質などで標識された抗原あるいは抗体
が試薬として用いられ、分析試料中の抗体あるいは抗原
と直接または間接的に結合反応せしめられ、その放射活
性、酵素活性、化学発光あるいは色の有無などを測定し
て、試料中の抗体等が存在していたか否かを判別するこ
とができる。本発明においては、特に化学発光標識法、
例えばアクリジニウムエステル類あるいは螢光標識法、
例えばフルオレッセンスなどで標識された抗体試薬を用
いる螢光あるいは化学発光免疫測定法は自動化された測
定ができ好ましい方法である。特にアクリジニウムエス
テル類で標識された抗体試薬を用いる化学発光免疫測定
法は自動化された測定ができ好ましい。
【0031】アクリジニウムエステル類としては、例え
ば特開昭62−39598号公報、特開昭62−619
69号公報、特開昭63−57572号公報、特開昭6
3−101368号公報、特開昭63−112564号
公報、特開平1−199949号公報、特開平1−26
1461号公報、特開平2−96567号公報、特開平
2−133469号公報、特開平2−503268号公
報、特開平2−501772号公報、欧州特許公開出願
第0082636号、英国特許明細書第1,461,8
77号、米国特許明細書第3,539,574号などに
記載のN−アルキル又はアリールアクリジニウム−9−
カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0032】特に、特開昭63−112564号公報、
米国特許明細書第3,539,574号などに記載の1
0−アルキル・N−アルキル又はアリール−スルホニル
−N−アルキル又はアリールスルホニルアクリジニウム
−9−カルボキサミド、N−メチルアクリジニウム−9
−カルボン酸エステルなどは代表的な化学発光標識とし
て挙げられる。アクリジニウム標識の場合、測定前に発
色試薬処理、例えば過酸化水素、例えば約0.01%〜
約0.1%の過酸化水素水溶液、及び水酸化ナトリウ
ム、例えば約0.05N〜約0.5Nの水酸化ナトリウ
ム水溶液で処理してから、ルミノメーターなどを用いて
測定を行うことができる。勿論、標識剤は上記のものに
限定されること無く、測定に使用される機器、場所など
を考慮し、適宜当該分野で使用することが知られている
ものの中から目的に応じ選択して用いることができる。
【0033】固相あるいは標識などと抗原あるいは抗体
などとを結合あるいは吸着させるには、当該分野で汎用
されている方法を用いることができ、例えばイオン相互
作用、疎水相互作用、共有結合などの物理的吸着や化学
的結合により行うことができる。例えば、架橋剤として
は、グルタルアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’−o−
フェニレンジマレイミド、N−スクシンイミジル 3−
(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、N−スクシン
イミジル S−アセチルメルカプトアセテート、N−ス
クシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘ
キサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジル
6−マレイミドヘキサノエート、N−スクシンイミジ
ル 4−ヨードアセチルアミノベンゾエート、N−スク
シンイミジル 3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピ
オンネート、N−スクシンイミジル m−マレイミドベ
ンゾエート、N−スクシンイミジル 4−マレイミドブ
チレート、N−スクシンイミジル (p−マレイミドフ
ェニル)アセテート、N−スクシンイミジル 4−(p
−マレイミドフェニル)ブチレートなどが挙げられる。
【0034】本発明の測定系においては、界面活性剤、
緩衝剤、希釈液又は希釈剤、ブロッキング剤、キレート
化剤、保存剤などを含有させるようにして用いることが
できる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソル
ビタン(代表的なものは、Tween 20などの商品
名で入手しうる)、ポリオキシエチレンエーテル(代表
的なものは、Triton X−100などの商品名で
入手しうる)、オクチルフェノール・エチレンオキサイ
ド縮合物(代表的なものは、NonidetP−40な
どの商品名で入手しうる)などが挙げられる。
【0035】緩衝剤、希釈液又は希釈剤としては、上記
したような水、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、生理食
塩水など、HEPES液、PBES液、CAPS液、M
OPS液、アミノ酸液などが挙げられる。これらは単独
でも、任意に配合しても用いることができる。キレート
化剤としては、EDTA、EGTAなどが挙げられる。
【0036】保存剤としては、例えばナトリウムアジ
ド、エチルパラベンなどが挙げられる。その他、本発明
の測定系には、各種動物の血清、例えばウシ血清、ウシ
血清アルブンミン(BSA)、ウシ胎児血清(FC
S)、ヤギ血清、卵白アルブンミン、ゼラチン、各種乳
蛋白質、例えばスキムミルク、カゼイン、カゼイン分解
物、ホエー蛋白質など、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドンなどからなる群から選ばれたものを添加
することができる。
【0037】本発明においては、試薬は単一の容器ある
いは複数の容器に入れてあり、使用にあたり配合されて
用いるようになっていてもよい。IgM抗体測定の代表
的なHAV感染診断のための測定系のより具体的な態様
においては、本発明は、試料を適当な濃度に生理食塩水
などで希釈し、例えば約80〜120倍、好ましくは約
100倍に希釈し、ついで適当な量の修飾ヒトIgM溶
液及び抗ヒトIgM抗体結合固相担体あるいは粒子状担
体などを反応させ、次に(1)HAV感染培養細胞から
収穫されたHAV抽出物又は(2)このHAV抽出物を
少なくとも界面活性剤、例えばSDSで処理して得られ
たHAV抗原と免疫学的に反応させ、得られた反応生成
物に化学発光標識抗HAV抗体、例えばアクリジニウム
標識抗HAV抗体を免疫学的に反応させ、過酸化水素溶
液及び水酸化ナトリウム溶液からなるトリガー試薬と反
応させた後検知を行うことを特徴とするHAV抗体の測
定法が提供されうる。
【0038】本発明においては、特異的IgM抗体を測
定する公知の免疫学的測定法にそれを利用可能であり、
例えば、ウイルス感染、病原性微生物感染などにより生
ずる特異抗体測定系に応用できると考えられる。ウイル
スとしては、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、水痘ウイル
ス、ムンプス、麻疹、風疹、AIDSウイルス(HI
V)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス
(HCV)などが挙げられ、病原性微生物などとして
は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum )、ウェル
シュ菌(Clostridium perfringens )、黄色ブドウ球菌
(Staphylococcus aureus )、例えば、MRSA、赤痢菌
(Shigella dysenteriae)、百日咳菌(Bordetella per
ussis )、腸炎菌(Salmonella enteritidis)などが挙
げられる。
【0039】
【実施例】次に実施例を示して、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこの具体例により限定されるもの
でなく、その思想に従うかぎり各種の形態で実施できる
ことは理解されるべきである。
【0040】実施例1 修飾IgMの調製 市販のヒトIgM溶液(米国ケミコン・インターナショ
ナル〔Chemicon Internationa
l,USA.〕社製)を1mg/mlとなるように、
0.9%塩化ナトリウム及び0.1%アジ化ナトリウム
を含有する10mMトリス(Tris)塩酸緩衝液(p
H8.5)(以下、「ヒトIgM用緩衝液」という)中
に希釈し、得られたヒトIgM溶液に、ジチオスレイト
ール(DTT)を含有し、0.9%塩化ナトリウム及び
0.1%アジ化ナトリウムを含有する10mM リン酸
緩衝液(pH8.5)をDTT濃度が2mMになるよう
に加え、室温で1時間処理した。次にDTT処理ヒトI
gM溶液に、ヨード酢酸を含有し、0.9%塩化ナトリ
ウム及び0.1%アジ化ナトリウムを含有する10mM
トリス(Tris)塩酸緩衝液(pH8.0)を、D
DTに対してヨード酢酸が5倍モル量になるように加
え、室温で時間処理した。得られた修飾IgM溶液を、
ヒトIgM用緩衝液中で透析し、残存したDDT、ヨー
ド酢酸及びその混合物を十分に取り除いた後、ヒトIg
Mの濃度で75μg/mlになるようにヒトIgM用緩
衝液で希釈し、4℃で様々な時間保存し、希釈用ヒトI
gM試薬として用いた。
【0041】抗ヒトμ−IgM抗体被覆微粒子の調製 ヤギから得られたヒトIgMのμ鎖に対して特異性をも
ポリクローナル抗体(米国ジャクソン・イムノ・リサー
チ・ラボ社製〔Jackson ImmunoRese
arch Labo.,USA.〕)をカルボキシル化
ポリスチレンラテックス微粒子( 米国セラダイン社製
〔Seradyn,USA.〕;0.2μm)に以下に
記載の方法で結合した。まず、0.015MのMES
(2−〔N−モルホリノ〕エタンスルホン酸)緩衝液
(pH4.7)中の1−エチル−3−(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミド(EDAC;16mg/
ml)を用いてポリクローナル抗体抗ヒトIgM抗体
(160mg/ml)を室温で1.5時間かけて結合し
た。次に1%ツイーン(Tween)20及び0.9%
NaClを含有する0.05Mのリン酸緩衝液(pH
7.2)を用いて洗浄した。最終的には、0.05%ゼ
ラチン、0.1%ツイーン20、0.9%NaCl及び
0.1%アジ化ナトリウムを含有する0.01Mのトリ
ス(Tris)緩衝液(pH7.4)中に貯蔵した。被
覆微粒子の固形分の%が、0.0625%になるように
貯蔵バッファーで希釈し、抗ヒトμ−IgM抗体被覆微
粒子試薬とした。
【0042】アクリジニウム標識抗HAV抗体の調製 β−アラニンアクリジニウム(1mg)を無水ジメチル
ホルムアミド(DMF)(100μl)中に溶解し、N
−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(5.75mg
/ml、50μl)及びEDAC(9.6mg/ml、
50μl)を連続して添加し、暗所、25℃で48時間
攪拌することにより活性化した。プロテインA精製モノ
クローナル抗HAV抗体(1mg/ml)を含有してい
る、0.9%NaCl及び0.5%CHAPSを含む
0.1Mのリン酸緩衝液(pH8.0)に活性化アクリ
ジニウムを加え(抗体の4倍のモル数)、反応混合物を
室温中で10分間攪拌した。緩衝液を0.1%CHAP
S、0.1%アジ化ナトリウム及び0.9%NaClを
含有する0.01Mのリン酸緩衝液(pH6.3)に置
き換えた後、調整物を遠心分離にかけ、上清を置換後の
ものと同じ緩衝液で平衡化したバイオシル SEC 2
50(米国バイオラド社製〔Biolad,USA.〕
のHPLCカラム上のクロマトグラフィーにかけた。そ
れぞれのフラクション(1ml)を369nm及び28
0nmでの紫外分光分析により分析し、アクリジニウム
の結合量を決定した。結合体を濃縮フラクション(約1
00μg/ml)中、約4℃で貯蔵し、使用前に1%カ
ゼインナトリウム、0.1%ツイーン20、0.1%ア
ジ化ナトリウム、5mM EDTA及び0.9%NaC
lを含有する0.05Mのリン酸緩衝液(pH6.3)
で希釈し、アクリジニウム標識抗HAV抗体試薬とし
た。
【0043】HAV抗原の調製 HAVは栄養培地中のバース−アレキサンダー細胞(B
arth−Alexander Cells)を用いて
培養した。培養細胞に、0.5%トライトン(Trit
on)X−100を含有しかつ5mM EDTA及び
0.9%NaClを含む0.02Mリン酸緩衝液(pH
7.2)を混合し、36℃で16〜68時間攪拌した
後、遠心分離にかけ、上清を捨てることにより、HAV
抽出物をホルムアルデヒド希釈倍率で1:4000とな
るように添加した後、36℃で3日間攪拌して、HAV
の感染性を不活性化した。不活性化したHAV抽出物
は、1%牛血清アルブミン、0.05%ツイーン20、
0.1%アジ化ナトリウム、5mM EDTA及び0.
9%NaClを含有する0.01Mのリン酸緩衝液(p
H7.2)で希釈し、HAV抗原試薬とした。HAV抗
原試薬は使用時まで4℃で貯蔵した。
【0044】アッセイ HAV−M陽性パネル試料を生理食塩水で希釈した。室
温で様々な時間保存した修飾IgM試薬(30μl)を
用いて希釈試料をさらに5倍に希釈した。比較としてH
AVAB−M陰性パネル試料を生理食塩水で希釈した後
に、IgMを希釈する際に用いた緩衝液を用いてさらに
5倍に希釈した。希釈した試料(125μl)を容器に
入れ、これに抗ヒトμ−IgM抗体被覆微粒子試薬(3
0μl)を添加し、37℃で20分間反応させた。反応
した微粒子をガラス繊維フィルターで捕捉し、0.1M
のホウ酸緩衝液(pH8.5)(300μl)で2回洗
浄した。次にHAV抗原試薬(30μl)をフィルター
表面に添加し、37℃で20分間フィルター表面に捕捉
されている微粒子と反応させた。フィルターを0.1M
のホウ酸緩衝液(pH8.5)(100μl)で1回、
そして同緩衝液(300μl)で1回洗浄した。次にア
クリジニウム標識抗HAV抗体試薬(30μl)をフィ
ルター表面に添加し、37℃で10分間フィルター表面
に捕捉されている微粒子と反応させた。フィルターを
0.1Mのホウ酸緩衝液(pH8.5)(100μl)
で1回、そして同緩衝液(300μl)で1回洗浄し
た。
【0045】このフィルターを化学発光読取り機に移
し、この中で0.25NのNaOH中の0.4%過酸化
水素を含む発色溶液(50μl)をフィルターに送り込
んだ。微粒子に結合したアクリジニウムが発光し、生じ
た光の量を測定した。結果を図1に示す。無処理のIg
M試薬では、保存時間の経過と共にIgM分子の凝集に
よる発光量(光子カウント)の増加が観察されるが、D
TT処理後ヨード酢酸で修飾したIgM試薬では、保存
時間の経過によっても発光量(光子カウント)の増加は
ない。
【0046】実施例2 SDS処理HAV抗原の調製 HAVは栄養培地中のバース−アレキサンダー細胞(B
arth−Alexander Cells)を用いて
培養した。培養細胞に、0.5%トライトン(Trit
on)X−100を含有しかつ5mM EDTA及び
0.9%NaClを含む0.02Mリン酸緩衝液(pH
7.2)を混合し、36℃で16〜68時間攪拌した
後、遠心分離にかけ、上清を捨てることにより、HAV
抽出物をホルムアルデヒド希釈倍率で1:4000とな
るように添加した後、36℃で3日間攪拌して、HAV
の感染性を不活性化した。不活性化したHAV抽出物に
SDSを添加し、室温で24時間攪拌して、SDS処理
HAV抽出物を得た。SDSは1.2wt%までの各種
濃度となるようにして添加した。SDS処理HAV抽出
物は、0.1%のアジ化ナトリウム、5mM EDTA
及び0.9%NaClを含む0.01Mリン酸緩衝液
(pH7.2)で希釈して、SDS処理HAV抗原試薬
とした。SDS処理HAV抗原試薬は使用時まで4℃で
貯蔵した。
【0047】アッセイ 実施例1と同様にして、HAV−M陽性パネル試料を生
理食塩水で希釈した。希釈試料を修飾IgM試薬(30
μl)を用いてさらに5倍に希釈した。比較としてHA
V−M陰性パネル試料を生理食塩水で希釈した後に、無
処理IgM試薬を用いてさらに5倍に希釈した。希釈し
た試料(125μl)を容器に入れ、これに抗ヒトμ−
IgM抗体被覆微粒子試薬(30μl)を添加し、37
℃で20分間反応させた。反応した微粒子をガラス繊維
フィルターで捕捉し、0.1Mのホウ酸緩衝液(pH
8.5)(300μl)で2回洗浄した。次にSDS処
理HAV抗原試薬(30μl)をフィルター表面に添加
し、37℃で20分間フィルター表面に捕捉されている
微粒子と反応させた。フィルターを0.1Mのホウ酸緩
衝液(pH8.5)(100μl)で1回、そして同緩
衝液(300μl)で1回洗浄した。次にアクリジニウ
ム標識抗HAV抗体試薬(30μl)をフィルター表面
に添加し、37℃で10分間フィルター表面に捕捉され
ている微粒子と反応させた。フィルターを0.1Mのホ
ウ酸緩衝液(pH8.5)(100μl)で1回、そし
て同緩衝液(300μl)で1回洗浄した。このフィル
ターを化学発光読取り機に移し、この中で0.25Nの
NaOH中の0.4%過酸化水素を含む発光溶液(50
μl)をフィルターに送り込んだ。微粒子に結合したア
クリジニウムが発光し、生じた光の量を測定した。実施
例1と同様な結果が得られた。
【0048】実施例3 実施例1と同様にして、HAV−M陽性パネル試料を生
理食塩水で希釈した。希釈試料を種々の濃度に修飾Ig
M試薬を用いてさらに希釈した。比較としてHAV−M
陰性パネル試料を生理食塩水で希釈した後に、無修飾I
gM試薬を用いて希釈した。希釈した試料(125μ
l)を容器に入れ、これに抗ヒトμ−IgM抗体被覆微
粒子試薬(30μl)を添加し、37℃で20分間反応
させた。反応した微粒子をガラス繊維フィルターで捕捉
し、0.1Mのホウ酸緩衝液(pH8.5)(300μ
l)で2回洗浄した。次にSDS処理HAV抗原試薬
(30μl)をフィルター表面に添加し、37℃で20
分間フィルター表面に捕捉されている微粒子と反応させ
た。フィルターを0.1Mのホウ酸緩衝液(pH8.
5)(100μl)で1回、そして同緩衝液(300μ
l)で1回洗浄した。次にアクリジニウム標識抗HAV
抗体試薬(30μl)をフィルター表面に添加し、37
℃で10分間フィルター表面に捕捉されている微粒子と
反応させた。フィルターを0.1Mのホウ酸緩衝液(p
H8.5)(100μl)で1回、そして同緩衝液(3
00μl)で1回洗浄した。
【0049】このフィルターを化学発光読取り機に移
し、この中で0.25NのNaOH中の0.4%過酸化
水素を含む発光溶液(50μl)をフィルターに送り込
んだ。微粒子に結合したアクリジニウムが発光し、生じ
た光の量を測定した。得られた結果を図2に示す。図2
中横軸は試料を希釈するために添加された無修飾IgM
試薬及び修飾IgM試薬で希釈したときの試料中の濃度
で、7.5μg/リットルのIgMを1とした。図2よ
り修飾ヒトIgM含有液で希釈することにより、より少
量のIgM含有液の使用で効果が得られることが判明し
た。こうした測定系において、修飾IgM試薬は保存
性、利便性、そして5量体のままのIgMを添加する場
合に比べて優れた希釈効果が得られることがわかる。免
疫学的測定における試薬として、このように優れた性状
を示すことは予想外のことである。
【0050】
【発明の効果】試料中のIgM抗体の測定において、希
釈液量の制限を回避し、必要な測定範囲を得ると共によ
り優れた測定を行うため、被検試料を少なくとも修飾I
gMまたは修飾IgM含有水溶液により希釈すること
で、安定した、さらに自動化された広範囲の測定系を組
み立てることが可能となった。修飾IgMまたは修飾I
gM含有水溶液は、保存安定性に優れ、簡便に利用で
き、さらに非修飾IgMよりも大きな効果をもたらす。
より早い時期(急性期)で特異的なIgM、例えば、H
AV関連抗体を検出したり、前希釈の希釈倍率を低減せ
しめてより広範囲の測定を可能にし、例えば、A型肝疾
患などの診断・検出を確実に行なうことが可能になる。
修飾IgMは分子量が低下しているため、沈殿・凝集を
起こしにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 種々の時間保存した後の修飾IgM希釈液で
希釈された場合と非修飾IgM希釈液で希釈された場合
との免疫測定での発光量における関係を示す。
【図2】 修飾IgM量及び非修飾IgMの添加量と試
料希釈必要量との関係を示す。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免疫学的測定法において使用するための
    IgM試薬において、IgMまたはIgM含有水溶液を
    還元処理し、ついで遊離スルフヒドリル基と反応可能な
    修飾剤で処理して得られた修飾IgMまたは修飾IgM
    含有水溶液を該IgM試薬として用いることを特徴とす
    る免疫学的測定試薬。
  2. 【請求項2】 IgMまたはIgM含有水溶液の還元処
    理が、システイン、ジチオスレイトール、及びグルタチ
    オンから成る群から選ばれた還元剤で行われる請求項1
    記載の免疫学的測定試薬。
  3. 【請求項3】 遊離スルフヒドリル基と反応可能な修飾
    剤が、アミノアルキル化剤、S−アルキル化剤、ハロゲ
    ノアセチル化剤から成る群から選ばれたものである請求
    項1記載の免疫学的測定試薬。
  4. 【請求項4】 遊離スルフヒドリル基と反応可能な修飾
    剤が、ハロゲン化酢酸又はその誘導体、N−エチルマレ
    イミド又はその誘導体、アリールジチオ化合物、アリー
    ルフェニルハライド、水銀誘導体化合物、スルホネート
    化合物、O−メチルイソ尿素、チオン酸又はその誘導体
    塩、2−ヒドロキシエチルジスルフィドから成る群から
    選ばれたものである請求項1記載の免疫学的測定試薬。
  5. 【請求項5】 遊離スルフヒドリル基と反応可能な修飾
    剤が、ヨード酢酸、ヨード酢酸アミド、ブロモ酢酸、ブ
    ロモ酢酸アミド、クロロ酢酸、クロロ酢酸アミド、2−
    ブロモプロピオン酸、N−エチルマレイミド、5,5’
    −ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)、2,2’−ジチ
    オビスピリジン、4,4’−ジチオビスピリジン、6,
    6’−ジチオビスニコチン酸、2−ニトロスルフェニル
    クロリド、p−クロロマーキュリ安息香酸、p−ヒドロ
    キシマーキュリ安息香酸、フェニル酢酸水銀、メチルp
    −ニトロベンゼンスルホネート、メチルメタンチオスル
    ホネート、O−メチルイソ尿素、テトラチオン酸カリウ
    ム、テトラチオン酸ナトリウム、及び2−ヒドロキシエ
    チルジスルフィドから成る群から選ばれたものである請
    求項1記載の免疫学的測定試薬。
  6. 【請求項6】 IgM試薬が標識剤で標識化されている
    修飾IgMまたは修飾IgM含有水溶液であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか一記載の免疫学的測定
    試薬。
  7. 【請求項7】 標識が、放射性同位体、酵素、発光性物
    質、螢光性物質、及びビオチンから成る群から選ばれた
    ものであることを特徴とする請求項6記載の免疫学的測
    定試薬。
  8. 【請求項8】 標識化されているIgM試薬がサンドイ
    ッチ・アッセイ法による抗原測定系に使用するものであ
    ることを特徴とする請求項6又は7記載の免疫学的測定
    試薬。
  9. 【請求項9】 抗ヒトIgM抗体試薬を使用して被検試
    料中の対象抗原に対する特異的IgM抗体を免疫学的に
    測定する方法において、少なくともヒトIgMまたはヒ
    トIgM含有水溶液を還元処理し、ついで遊離スルフヒ
    ドリル基と反応可能な修飾剤で処理して得られた修飾ヒ
    トIgMまたは修飾ヒトIgM含有水溶液からなる試薬
    により、被検試料を希釈することを特徴とする特異的I
    gM抗体測定方法。
  10. 【請求項10】 特異的IgM抗体がHAVに対するI
    gM抗体又はHBcに対するIgM抗体である請求項9
    記載の特異的IgM抗体の測定法。
  11. 【請求項11】 (1)測定対象試料を必要に応じ緩衝
    剤、希釈液又は希釈剤の水溶液で希釈し、つぎにIgM
    またはIgM含有水溶液を還元処理し、ついで遊離スル
    フヒドリル基と反応可能な修飾剤で処理して得られた修
    飾IgMまたは修飾IgM含有水溶液からなる試薬によ
    り、試料を希釈した後、試料中の測定対象特異的IgM
    抗体を、抗ヒトIgM抗体結合固相担体と反応させて試
    料中のIgM抗体を固相抗ヒトIgM抗体と免疫学的に
    反応させ、 (2)(a)得られた反応生成物に特定の抗原試薬を免
    疫学的に反応させ、さらに抗原試薬に対する抗体を標識
    剤で標識した標識抗体を免疫学的に反応させるか、又は
    (b)得られた反応生成物に特定の抗原試薬を標識剤で
    標識した標識抗原を免疫学的に反応させることを特徴と
    する請求項9又は10記載の特異的IgM抗体の測定
    法。
  12. 【請求項12】 対象抗原を含有する被検試料に第1の
    抗体と第2の抗体を接触させることにより前記対象抗原
    と前記第1の抗体と前記第2の抗体とからなる複合体を
    形成させる工程を含む免疫学的測定方法において、前記
    第1の抗体と前記第2の抗体のいずれか一方が、少なく
    ともIgMを還元処理し、ついで遊離スルフヒドリル基
    と反応可能な修飾剤で処理して得られた修飾IgMであ
    りかつ当該IgMが標識剤で標識化されたものであるこ
    とを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 前記被検試料を、当該被検試料中の対
    象抗原に対する固相担体に結合されている第1抗体(固
    相化抗体)及び標識されている第2抗体(標識抗体)と
    に接触させ、当該第1抗体と当該抗原と当該第2抗体と
    の複合体を形成させ、当該複合体における標識抗体又は
    未反応標識抗体のいずれかを測定することを特徴とする
    請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 (i)(a)対象抗原を含有する被検
    試料に固相担体に結合されている第1抗体を接触させる
    ことにより前記対象抗原を前記第1の固相化抗体に結合
    させ、必要に応じ固相を洗浄処理した後標識され且つ還
    元処理された修飾IgMである第2抗体を接触させるこ
    とにより免疫複合体を形成させるか、あるいは(b)対
    象抗原を含有する被検試料に標識され且つ還元処理され
    た修飾IgMである第2抗体を接触させることにより前
    記対象抗原を前記第2の標識抗体に結合させ、次に固相
    担体に結合されている第1抗体を接触させることにより
    免疫複合体を形成させ、(ii)必要に応じ固相を洗浄
    処理して、当該複合体における標識抗体又は未反応標識
    抗体のいずれかを測定することを特徴とする請求項12
    又は13記載の方法。
  15. 【請求項15】 測定対象試料が、全血、血清、または
    血漿である請求項9〜14のいずれか一記載の方法。
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