JPH09126688A - 渦巻板式熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 直交流型の渦巻板式熱交換器において、清掃
装置が少ない部品点数で構成簡易に達成でき、しかも組
み込みも容易な渦巻板式熱交換器を提供する。 【解決手段】 渦巻流路５及び軸方向流路６を有して、
両通路の一方に加熱流体を流入し、他方に被加熱流体を
流入する直交流型の渦巻板式熱交換器において、伝熱板
４ａの上方で渦巻状の径方向に設置された支持部材１２
と、支持部材１２を正逆両方向に回転させる回転駆動手
段１４と、支持部材１２に対し移動自在に吊り下げられ
て、渦巻状の軸方向流路６に垂下される付着物除去用棒
状部材１５とからなる清掃装置１を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、渦巻板式熱交換器
に関し、特に、伝熱面に付着したダスト等を除去する清
掃装置を一体に組み込んだ渦巻板式熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】渦巻板式熱交換器は、渦巻状に巻かれた
伝熱板を介して熱交換を行なうもので、熱効率がよく、
構造が比較的単純であるとともに、多管式熱交換器など
に比べコンパクトであることから種々の分野で使用され
ており、数種の型式が知られている。そのうち、本発明
の対象となるのは、流体の一方が渦巻流で、他方が渦巻
の軸方向流を形成する直交流型の渦巻板式熱交換器であ
り、特にガスの熱交換に適したものである。

【０００３】ところで、熱交換器は、焼却炉等から排出
されるダストを含む排ガスを加熱又は冷却する場合、長
期間使用していると、伝熱面に媒塵等が付着しその付着
部によって性能が低下してくる。このため、従来から、
清掃装置を組み込んで稼動中にも伝熱面の付着物を除去
可能にしたものがある。この清掃装置としては、ノズル
や吐出口から空気や粒状物を伝熱面に噴射する構成、伝
熱管内に摺動自在に設けられたブラシ部材を流体圧力な
どで移動させる構成、平板プレート型熱交換器の伝熱面
間でチェーン等を前後動させる構成（特開平７−９１８
８２号等）が知られている。これら従来清掃装置は、最
初の噴射タイプを除いて流体流路の形状的な制約を受け
易く、多管型又は平板プレート型熱交換器において適用
されているものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】すなわち、渦巻板式熱
交換器は、上記従来の清掃装置を適用するとなると、伝
熱面が渦巻状をなしているため、渦巻状の伝熱面間に沿
ってブラシ部材を移動させたり、特開平７−９１８８２
号に記載の如くチエーン等を渦巻状の内から外側に移動
させなくではならず、その移動させるための機構や制御
が複雑になるなどの制約を受ける。このような理由か
ら、現在の渦巻板式熱交換器では、非稼動時に上記した
噴射する構造を適用する程度であり、上記した清掃装置
を組み込んで稼動中も清掃可能にしたものは未だ開発さ
れていない。

【０００５】そこで、本発明の目的は、特に、直交流型
の渦巻板式熱交換器において、清掃装置が少ない部品点
数で構成簡易に達成でき、しかも組み込みも容易な渦巻
板式熱交換器を提供することにある。他の目的は以下の
説明の中で明らかにする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、流路形成用伝熱板が渦巻状に巻かれた渦巻流
路及び該渦巻流路と上下に直交する軸方向流路を有し
て、両通路の一方に加熱流体を流入し、他方に被加熱流
体を流入する直交流型の渦巻板式熱交換器において、前
記伝熱板の上方で渦巻状の径方向に設置された支持部材
と、前記支持部材を正逆両方向に回転させる回転駆動手
段と、前記支持部材に対し移動自在に吊り下げられて、
前記渦巻状の伝熱板間にある軸方向流路に垂下される付
着物除去用の棒状部材とからなる清掃装置を備えてい
る。

【０００７】以上の本発明構成において、棒状部材とし
ては、屈曲自在であることが好ましく、例えば、チェー
ン、コイルやバネ、球状や片状ブラシを自在継手等で連
結したもの、あるいはこれらを組み合せたものが用いら
れる。その大きさは、渦巻状の伝熱板（以下、伝熱面と
称することもある）間にあって両伝熱面に摺接しつつ移
動可能な幅のものが好ましいが、このに限られず渦巻状
の伝熱板間にあって片側の伝熱面にしか接しないような
幅のものであってもよい。この場合にも、支持部材の正
逆回転に伴う移動方向の変化により両伝熱面に接して共
に清掃可能である。棒状部材の本数は１本でよいが、複
数本を用いると清掃効率を高めることができる。また、
棒状部材が重量的に軽い場合は、下端に錘りを取り付け
て伝熱面との接触を安定させることが好ましい。

【０００８】また、以上の本発明は、支持部材が回転駆
動手段により伝熱板の上方で回転されると、支持部材に
垂下されている棒状部材が渦巻状の伝熱板間にあって少
なくとも片側の伝熱面に摺接しながら支持部材の回転と
同方向へ移動するので、その伝熱面に付着している媒塵
等が棒状部材により払い落され清掃されるようにしたも
のである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態例につ
いて図を参照しながら説明する。図１は本発明を適用し
た渦巻板式熱交換器を模式的に示している。同図の渦巻
板式熱交換器１は、上部カバー２と下部カバー３との間
に渦巻状伝熱ユニット部４を配置することにより、伝熱
ユニット部４の巻数に応じた渦巻状流路５及びこの渦巻
状流路５を上下に直交する軸方向流路６を形成している
と共に、渦巻状流路５の軸心部側に被加熱流体（水等）
を供給する供給管７が設けられる一方、外周端部側に被
加熱流体（温水や蒸気等）を排出する排出管８が設けら
れている。そして、上部カバー２に設けられている入口
９から加熱流体（例えば、燃焼炉から出る排ガス等）が
内部に導入される。この導入された加熱流体は伝熱ユニ
ット部４の軸方向流路６を通過する過程で、渦巻流路５
の被加熱流体と熱交換された後、下部カバー３に設けら
れている出口１０から排出される。

【００１０】なお、本発明の渦巻板式熱交換器１は直交
流型であれば図１のものに限らず他の形態であってもよ
い。また、伝熱ユニット部４自体の構造も公知のものと
同様であり、二枚の帯状伝熱板４ａを用いて所定間隔を
保ちつつ、外周方向へ渦巻状に巻き上げたものである。

【００１１】以上の渦巻板式熱交換器１には、長期使用
により伝熱板４ａに付着する粉塵等の付着物を稼動中に
も清掃可能にする清掃装置１１が組み込まれている。こ
の清掃装置１１は、伝熱ユニット部４の上方に配置され
た支持部材１２と、支持部材１２をシャフト１３を介し
て回転させる回転駆動手段１４と、支持部材１２に移動
自在に吊り下げられた付着物除去用の棒状部材１５とか
ら構成されている。

【００１２】支持部材１２は、その両端部が上部カバー
２の下内周に設けられたコ字形のガイド部材１６に嵌合
されて支持され、渦巻状の伝熱ニユット部４の軸心部上
を通って、伝熱ニユット部４の上端と平行に設置されて
いる。その長さは、伝熱ユニット部４の直径よりも多少
短く設定されているが、単一の棒状部材１５を吊す設計
の場合は伝熱ユニット部４の半径の長さだけあればよ
い。また、この支持部材１２は、シャフト１３を介して
回転駆動手段１４に連携され、回転駆動手段１４の作動
により正逆両方向に回転される。すなわち、シャフト１
３は、下端が支持部材１２の中間部に結合され、上端が
上部カバー２の真上に設けられた開口２ａ及びこの開口
２ａを閉じている蓋１７に設けられた貫通孔１７ａを通
って回転駆動手段１４と連携されている。

【００１３】回転駆動手段１４は、蓋１７上に設置され
て、ギヤを格納したギヤボックス１８及びモータ等の駆
動部１９などを有し、これらが保護カバー２０で覆われ
ている。ギヤボックス１８内ではシャフト１３の上端に
設けられたギヤと駆動部１９の駆動軸に設けられたギヤ
とを連結し、シャフト１３が駆動部１９の作動で回転さ
れるようにしている。このような回転駆動手段１４とし
ては、要は支持部材１２を正逆両方向に回転するもので
あればこの例に限られず、例えば、上部カバー２内に設
けたり、シャフト１３を省略して支持部材１２をその端
部においてギヤ機構などを介し回転させるよう構成する
ことも可能である。

【００１４】棒状部材１５は、上端に設けられた輪状フ
ック２１を有し、この輪状フック２１を介して支持部材
１２に移動自在に吊り下げられて、伝熱板４ａ間にある
軸方向流路６に垂下されている。また、下端には錘り２
２が必要に応じて取り付けられている。図３はこのよう
な棒状部材１５の３例を模式的に示し、図（イ）の棒状
部材１５では１本の鎖１５ａを用いた構造であり、図
（ロ）の棒状部材１５は円筒状ブラシ１５ｂを自在継手
等の手段で連結した構造である。図（ハ）の棒状部材１
５では複数本の鎖単位１５ｃを用いて、これらを間にバ
ネ１５ｄを介在して連結した構成である。本発明の棒状
部材１５は、渦巻状の軸方向通路６内を移動自在である
ことに加え、伝熱板４ａに付着した媒塵等を払い落とす
のに適しているものであれば図３に限らず、他の構造で
あってもよい。

【００１５】（動作説明）図２は以上構成の清掃装置原
理を模式的に示し、以下、これを参照しながら動作を詳
細に説明する。先ず、支持部材１２が矢印の正転方向に
回転されている過程において、棒状部材１５が同図の如
く渦巻状外周端部側の軸方向流路６ａ内にあると仮定す
る。棒状部材１５は、支持部材１２の回転により軸方向
流路６ａを区画している伝熱板４ａに摺接しながら、渦
巻状の形状に誘導され、かつ垂下された状態で支持部材
１２に沿って自在に動きつつ、渦巻状の軸心部側へ移動
する。より具体的には、棒状部材１５は同図の位置か
ら、支持部材１２が１回転すると一点斜線で示している
内側の軸方向流路６ｂに達し、さらに支持部材１２が２
回転すると二点斜線で示している渦巻状軸心部側の軸方
向流路６ｃまで達する。また、支持部材１２は、棒状部
材１５が軸方向流路６ｃまで達したとき反転すべく、回
転駆動手段１４により逆転方向への回転を始める。この
逆転方向に回転している過程においても、棒状部材１５
は同様に伝熱板４ａに摺接しながら、渦巻状の形状に誘
導され、かつ支持部材１２に沿って自在に動きつつ、渦
巻状の軸心部側から外周端部側へと移動する。

【００１６】このように、本発明の棒状部材１５は、伝
熱ユニット部４を構成している渦巻状軸心部側の軸方向
通路６ｃと外周端部側の軸方向通路６ａとの間を往復す
ることを繰り返しながら、渦巻状の伝熱板４ａの全体を
清掃する。この往復動は回転している支持部材１２の反
転を制御すればよい。支持部材１２の反転制御は、例え
ば、回転駆動手段１４が決められた回転数如に切り換え
られるように設定しておく。他の方法としては、棒状部
材１５の位置を検知（例えば、渦巻状の軸心部側と外周
端部側とに検知手段を設け、それで検知された時に回転
駆動手段１４の回転方向を切り換える）することにより
行なうことも可能である。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の渦巻板式
熱交換器は以下の効果を有する。 、清掃装置を組み込んでいるので、稼動中にも渦巻状
の伝熱板間を移動して、その伝熱板に付着している媒塵
等が棒状部材により払い落として清掃できる。これによ
り、渦巻板式熱交換器においても多管型又は平板プレー
ト型熱交換器と同様に伝熱性能を常に維持でき、渦巻板
式熱交換器の利用拡大が期待できる。 、この清掃装置は、回転駆動手段により正逆回転され
る支持部材と、この支持部材に吊り下げられた付着物除
去用の棒状部材により構成されていることから、装置の
部品点数が少なく構成簡易であり、メンテナンス的に優
れると共に既存の渦巻板式熱交換器へ容易に組み込むこ
とができる。 、そして、前記棒状部材は、回転される支持部材がそ
の回転方向の切り換えのみで、伝熱板に摺接しながら渦
巻状の形状に誘導され、かつ垂下された状態で支持部材
に沿って自在に動きつつ、渦巻状の軸心部側から外周端
部側の間を往復することを繰り返すので、最小１個のみ
でも渦巻状の伝熱面の全体を効率的に清掃可能であり、
渦巻状の伝熱板間にある軸方向流路を狭めるという虞も
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した直交流型の渦巻板式熱交換器
を示す模式断面図である。

【図２】前記渦巻板式熱交換器の清掃装置の原理を説明
するための模式図である。

【図３】前記清掃装置の付着物除去用棒状部材の３例を
示す模式図である。

【符号の説明】

１ 渦巻板式熱交換器 ４ａ 伝熱板 ５ 渦巻流路 ６ 軸方向流路 ６ａ，６ｂ，６ｃ 軸方向流路 １１ 清掃装置 １２ 支持部材 １４ 回転駆動手段 １５ 付着物除去用の棒状部材 ２１ 輪状フック ２２ 錘り

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流路形成用伝熱板が渦巻状に巻かれた渦
   巻流路及び該渦巻流路と上下に直交する軸方向流路を有
   して、両通路の一方に加熱流体を流入し、他方に被加熱
   流体を流入する直交流型の渦巻板式熱交換器において、 前記伝熱板の上方で渦巻状の径方向に設置された支持部
   材と、前記支持部材を正逆両方向に回転させる回転駆動
   手段と、前記支持部材に対し移動自在に吊り下げられ
   て、前記渦巻状の伝熱板間にある軸方向流路に垂下され
   る付着物除去用の棒状部材とからなる清掃装置を備えた
   ことを特徴とする渦巻板式熱交換器。
2. 【請求項２】 前記支持部材が、前記渦巻状の略軸心上
   を通って、渦巻状の上端と平行に設けられている請求項
   １に記載の渦巻板式熱交換器。
3. 【請求項３】 前記棒状部材が、下端に取り付けられた
   錘りを有している請求項１又は２に記載の渦巻板式熱交
   換器。