JPH09126494A - 室外機の排気構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ショートサイクルを防止し、小面積に多数台
の室外機を熱効率よく配置できる室外機の排気構造を提
供する。 【解決手段】 内部に熱交換器２及びファン３を備えた
二台の横置型のケーシング１が、近接して対向配置され
ている。この二台のケーシング１には、その下面に空気
の流入口１ａが設けられている。それぞれのケーシング
１の上面には、空気の排出口１ｂが設けられている。こ
の排出口１ｂには、排気方向を斜め上方にガイドするガ
イド板１ｃが複数配設されている。二台のケーシング１
のガイド板１ｃは、互いに向かい合う方向に傾斜してい
る。二つのケーシングの組は、複数組設置されている。
各ケーシング１の間隔は、通常の室外機のケーシングの
間隔よりも狭くなっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機に高い
冷却能力が要求される場合に、複数台設置される室外機
に係り、特にその排気方向に改良を施した室外機の排気
構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】建物内の空気を冷却する空気調和機にお
いては、冷媒の冷却を行うための室外機を建物外に設置
しなければならない。かかる室外機は、通常、室内機と
の間で冷媒を循環させるための配管及び熱交換器を備
え、この冷媒を熱交換器において冷却することにより室
内を冷却させるものである。そして、このような室外機
は、冷却水により熱交換器内の冷媒を冷却する水冷式
と、ファンによる送風により熱交換器内の冷媒を冷却す
る空冷式とに大別できるが、水冷式は一般に冷却塔を有
する大型なものでありメインテナンスも面倒なため、空
冷式が広く用いられている。

【０００３】また、一般の家屋に比べて、ビル等の建物
においては多数の部屋を有し、冷却する空間も広いのが
通常である。特に、事業用のビルになると、消費電力の
大きいＯＡ機器が数多く使用されているので、室内が高
温となりやすい。従って、かかる場合には空気調和機の
室外機には大きな冷却能力が要求されるとともに、その
数も多く必要となり、これらを設置するスペースを戸外
に確保しなければならない。そして、室外機の設置場所
としては、特に通気性がよいことが要求されるため、ビ
ルにおいては屋上が選ばれる場合が多い。

【０００４】以上のような空冷式の室外機であって、ビ
ルの屋上に多数設置するのに適したものの一例を、図面
に従って以下に説明する。すなわち、図６に示すよう
に、横置型のケーシング５の内部に、室内機に接続され
た熱交換器２と、モータ３により駆動されるファン４と
が設けられている。ケーシング５の下部には空気の流入
口５ａが設けられ、上部には排出口５ｂが設けられてい
る。そして、多数台のケーシング５を屋上に配置する場
合には、図７のＬ１，Ｌ２に示すように、各ケーシング
５の間には適当な間隔が設けられている。

【０００５】このような室外機の一例においては、回転
するファン４によって吸引された空気が、図中Ｘに示す
ように、ケーシング５下部の流入口５ａから流れ込み、
熱交換器２に吹き付けられて冷媒の熱を吸収し、図中Ｙ
に示すようにケーシング５上部の排出口５ｂから排出さ
れる。なお、風向案内板によって空気の排出口を上方と
した室外機として、特開平２−１７８５４２に示すもの
が提案されている。

【０００６】ところで、通常の家庭用空調機の室外機で
は、吸気及び排気をケーシングの側面方向（横方向）か
ら行う。このため、多数台の室外機を設置した場合に
は、ある室外機の排気が隣接する室外機の吸気となり、
熱効率が低下して必要な冷却能力が得られなくなる可能
性が高い。しかし、図６に示す従来技術ならば、排気Ｙ
はケーシング５上部から行われるため、この排気Ｙは隣
接する室外機の吸気Ｘになりにくい。従って、多数台設
置した室外機の間隔Ｌ１，Ｌ２が小さくとも、全体とし
ての設置スペースを縮小することができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような従来技術には以下のような改良すべき点があっ
た。すなわち、高いビルにおいては冷却を必要とする部
屋数、容積が多く、これに対応させて室外機が数多く必
要となるにもかかわらず、低いビルに比して屋上の面積
はさほど広くならないため、相対的な屋上面積が狭くな
る。従って、室外機の設置面積の縮小がさらに必要とな
る。

【０００８】しかし、上記のような従来技術において
は、排気Ｙを十分に遠方に排出できる程度のファン４は
備えていないのが通常である。従って、図６中のＺに示
すように、あるケーシング５の排出口５ｂからの排気
が、同一のケーシング５の流入口５ａに戻るといういわ
ゆるショートサイクルが発生し、冷却効率が低下する可
能性がある。これに対処するために、モータ３の出力を
上げてファン４を大型化すると、ケーシング５が大型化
することとなり、多数台の室外機を配置する場合にスペ
ース的に不利となる。

【０００９】このようなショートサイクルを抑制するた
めの従来技術として、特開平３−１５６２２７、特開平
７−９１６８７に示す室外機が提案されている。しか
し、当該室外機における空気の排出口及び流入口は、ケ
ーシングの側面に設けられている。このため、多数台の
ケーシングを並べて配置する場合には、ある室外機の排
気が隣接する室外機の吸気となる可能性は残る。このた
め、室外機同士の間隔を広くとらなければならず、やは
りスペース効率の点で不利となる。

【００１０】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
ショートサイクルを防止し、小面積に多数台の室外機を
熱効率よく配置できる室外機の排気構造を提供すること
である。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１記載の発明は、空気調和機に接続された
熱交換器と、モータにより駆動可能に設けられたファン
とがケーシング内に収容され、前記ケーシングに、前記
ファンの回転による空気の流入口及び排出口が設けられ
た室外機の排気構造において、前記排出口には、斜め上
方に排気をガイドする排出ガイドが設けられていること
を特徴とする。

【００１２】以上のような請求項１記載の発明では、ケ
ーシングからの空気の排出口には斜め上方に排気をガイ
ドする排出ガイドが設けられているので、複数のケーシ
ングを隣接して配置する際に、排出ガイドの傾斜方向が
対向するように配置すれば、複数の排気の上昇流が集ま
って勢いを増し、より強く上昇する。

【００１３】請求項２記載の発明は、請求項１記載の室
外機の排気構造において、近接して配置された二つの前
記ケーシングが少なくとも一組設置され、前記二つのケ
ーシングの排出ガイドの傾斜方向は、互いに対向してい
ることを特徴とする。

【００１４】以上のような請求項２記載の発明では、二
つのケーシングが対向配置され、その排出ガイドの傾斜
方向が互いに対向しているので、両ケーシングからの排
気が上方で集まって勢いを増し、より強く上昇する。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１〜図５
に従って以下に説明する。なお、図６、図７に示す従来
技術と同様の部材は同一の符号を付して説明する。

【００１６】（１）第１の実施の形態 請求項１〜２記載の発明に対応する一つの実施の形態を
第１の実施の形態として、図１、図２に従って以下に説
明する。なお、請求項１及び請求項２記載の排出ガイド
はガイド板とする。

【００１７】（構成）まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、図１に示すように、内部に熱交換器２
及びファン３を備えた二台の横置型のケーシング１が、
近接して対向配置されている。この二台のケーシング１
には、その下面に空気の流入口１ａが設けられている。
また、それぞれのケーシング１の上面には、空気の排出
口１ｂが設けられている。排出口１ｂには、排気方向を
ガイドするガイド板１ｃが複数配設されているが、二つ
のケーシング１のガイド板１ｃは、互いに対向する方向
に傾斜している。

【００１８】このような二つのケーシング１の組は、図
２に示すように、複数組設置されている。各ケーシング
１の間隔Ｌ３，Ｌ４は、図６の従来技術におけるケーシ
ング５の間隔Ｌ１，Ｌ２よりも狭くなっている。

【００１９】（作用）以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、ファン３
を駆動させると、ケーシング１下面の流入口１ａから吸
気Ｘが流入し、熱交換器２に吹き付けられる。吹き付け
られた空気は熱交換器２内の冷媒の熱を吸収し、ケーシ
ング１上面の排出口１ｂから排気Ｙとして排出される。
二つのケーシング１の排出口１ｂに設けられたガイド板
１ｃは、互いに対向しているので、それぞれの排出口１
ｂから排出される排気Ｙは、図２に示すように、ケーシ
ング１の上方で集まって勢いを増して、より強く昇す
る。

【００２０】また、近接配置された各ケーシング１の間
隔Ｌ３，Ｌ４は、従来のケーシング５の間隔Ｌ１，Ｌ２
よりも狭くなっている。しかし、このように近接配置し
た二つのケーシング１からの排気Ｙは、上記のように勢
いを増して上昇するので、一方のケーシング１からの排
気Ｙが、他方のケーシング１の吸気Ｘとなることはな
い。従って、ケーシング１を近接配置しても、熱効率が
低下することはない。

【００２１】（効果）以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、傾斜したガイド板１ｃ
のために、排気に際しては二つのファン３による強い送
風力が得られるので、単独のケーシング１のファン３に
よる場合に比べて排気Ｙの上昇する力がより強くなる。
従って、個々のケーシング１からの排気Ｙが流入口１ａ
に戻ることによるショートサイクルがなくなり、熱効率
の低下が防止される。

【００２２】また、各ケーシング１を近接配置しても熱
効率の低下を防止できるので、多数の室外機の全体の設
置スペースを縮小することができる。

【００２３】（２）第２の実施の形態 請求項１及び請求項２記載の発明に対応する他の一つの
実施の形態を第２の実施の形態として、図３に従って以
下に説明する。なお、請求項１及び請求項２記載の排出
ガイドはガイド筒とする。

【００２４】（構成）まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、図３に示すように、内部に熱交換器２
及びファン３を備えた二台の縦置型のケーシング１が、
近接して対向配置されている。この二台のケーシング１
の相反する側面には、空気の流入口１ａが設けられてい
る。また、それぞれのケーシング１の上面には、空気の
排出口１ｂが設けられている。排出口１ｂには幅広の角
筒であるガイド筒１ｄが設けられているが、二つのケー
シング１のガイド筒１ｄは、互いに対向する方向に傾斜
している。このような二つのケーシング１の組は、図２
に示した第１の実施の形態と同様に、複数組配置されて
いる。

【００２５】（作用）以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、ファン３
を駆動させると、ケーシング１の側面の流入口１ａから
吸気Ｘが流入し、熱交換器２に吹き付けられる。吹き付
けられた空気は熱交換器２内の冷媒の熱を吸収し、ケー
シング１上面の排出口１ｂから排気Ｙとして排出され
る。二つのケーシング１の排出口１ｂに設けられたガイ
ド筒１ｄは、互いに対向しているので、それぞれの排出
口１ｂから排出される排気Ｙは、図３に示すように、ケ
ーシング１の上方で集まって勢いを増して、より強く上
昇する。

【００２６】（効果）以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、傾斜したガイド筒１ｃ
のために、排気に際しては二つのファン３による強い送
風力が得られるので、第１の実施の形態と同様に、単独
のケーシング１のファン３による場合に比べて排気Ｙが
上昇する力がより強くなる。特に、本実施の形態におい
ては、排出口１ｂに設けられているのは筒状体のガイド
筒１ｃなので、排気の分散が防止されて、より強い吹き
出し力が得られる。従って、個々のケーシング１からの
排気Ｙが流入口１ａに戻るショートサイクルがさらに防
止される。

【００２７】また、ケーシング１からの排気Ｙの上昇力
が向上する結果、第１の実施の形態と同様に、各ケーシ
ング１の間隔Ｌ３，Ｌ４を狭くしても熱効率の低下を防
止できるので、全体の設置スペースを縮小することがで
きる。特に、本実施の形態は、熱交換器２及びファン４
が縦であり、ケーシング１が縦置型なので、横置型の第
１の実施の形態よりもさらに設置スペースを節約するこ
とができる。

【００２８】（３）他の実施の形態 本発明は、以上のような実施の形態に限定されるもので
はなく、各部材の形状、大きさ、数等は適宜変更可能で
ある。例えば、請求項１記載の発明に対応する一つの実
施の形態として、以下のようなものも構成可能である。
すなわち、図４、図５に示すように、二つの縦置型のケ
ーシング１を対向配置し、その対向する側面に排出口１
ｂを設ける。排出口１ｂには、排気方向を斜め上方向に
ガイドするガイド板１ｃが複数配設され、二つのケーシ
ング１のガイド板１ｃは、互いに対向している。

【００２９】このような構成すれば、二つのケーシング
１の排出口１ｂに設けられたガイド板１ｃは、互いに対
向しているので、それぞれの排出口１ｂから排出される
排気Ｙは、図２に示すように、ケーシング１の上方で集
まって勢いを増して、より強く上昇する。従って、ショ
ートサイクルが防止され、近接配置による省スペース化
も実現できる。

【００３０】そして、複数のケーシング１の配置態様
は、図２に示すものには限定されない。例えば、図５に
示すように、排気Ｙの上昇流が一カ所に集まるように、
ケーシング１をサークル状に配置することも可能であ
る。かかる配置にすれば、排気Ｙの混合による温度上昇
も相俟って、その上昇力はさらに強化される。従って、
ショートサイクル防止の確実性が増す。

【００３１】また、請求項１及び請求項２記載の排出ガ
イドに対応するガイド板１ｃ及びガイド筒１ｄの角度を
可変にすることも可能である。このような構成にすれ
ば、ファン４の送風力や外気の風に応じて適切な傾斜角
度を選択することができるので、冷却効率をより向上さ
せることができる。

【００３２】さらに、配置するケーシング１、ケーシン
グ１内に設ける熱交換器２やファン４、ケーシング１に
形成する流入口１ａ及び排出口１ｂ等の大きさ、数量、
位置等は上記実施の形態に限定されるものではなく、適
宜変更可能である。例えば、第１の実施の形態において
は、流入口１ａをケーシング１の側面にも設けることが
でき、第２の実施の形態においては、流入口１ａをケー
シング１の下面にも設けることができる。

【００３３】

【発明の効果】以上のような本発明によれば、ケーシン
グの上部に設けた排出口に、斜め上方に排気をガイドす
る排出ガイドを設けるという構成によって、ショートサ
イクルを防止し、小面積に多数台の室外機を熱効率よく
配置できる室外機の排気構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による室外機の排気構造の第１の実施の
形態の構成を示す縦断面図である。

【図２】図１の実施の形態におけるケーシングの配置例
を示す平面図である。

【図３】本発明による室外機の排気構造の第２の実施の
形態の構成を示す縦断面図である。

【図４】本発明による室外機の排気構造の他の実施の形
態を示す縦断面図である。

【図５】本発明による室外機の排気構造の他の実施の形
態を形態におけるケーシングの配置例を示す平面図であ
る。

【図６】従来の室外機の排気構造の一つの実施の形態の
構成を示す縦断面図である。

【図７】図４の従来例のケーシングの配置例を示す平面
図である。

【符号の説明】

Ｘ…吸気 Ｙ…排気 Ｚ…ショートサイクル １，５…ケーシング １ａ，５ａ…吸気口 １ｂ，５ｂ…排気口 １ｃ…ガイド板 １ｄ…ガイド筒 ２…熱交換器 ３…モータ ４…ファン

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気調和機に接続された熱交換器と、モ
   ータにより駆動可能に設けられたファンとがケーシング
   内に収容され、前記ケーシングに、前記ファンの回転に
   よる空気の流入口及び排出口が設けられた室外機の排気
   構造において、 前記排出口には、斜め上方に排気をガイドする排出ガイ
   ドが設けられていることを特徴とする室外機の排気構
   造。
2. 【請求項２】 近接して配置された二つの前記ケーシン
   グが少なくとも一組設置され、 前記二つのケーシングの排出ガイドの傾斜方向は、互い
   に対向していることを特徴とする請求項１記載の室外機
   の排気構造。