JPH0912536A - 正フェネート及び過塩基性化フェネートの製造方法 - Google Patents

正フェネート及び過塩基性化フェネートの製造方法

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JPH0912536A
JPH0912536A JP8059501A JP5950196A JPH0912536A JP H0912536 A JPH0912536 A JP H0912536A JP 8059501 A JP8059501 A JP 8059501A JP 5950196 A JP5950196 A JP 5950196A JP H0912536 A JPH0912536 A JP H0912536A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正フェネート及び過塩基性化フェネートの製
造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリオール助触媒酸化生成物を実質的に
含まない、約50〜150のTBNを有するカルシウム
硫化アルキルフェネート組成物の製造方法であって、少
なくとも1個の炭素数6〜36のアルキル置換基を有す
るアルキルフェノールを硫黄と接触させる際に、炭素数
1〜3のアルカン酸、前記アルカン酸混合物、アルカン
酸のアルカリ土類金属塩、及びこれらの混合物から成る
群から選択される助触媒の存在下、及び前記アルキルフ
ェノールとカルボン酸とを中和させるために充分な、少
なくとも化学量論量のカルシウム塩基の存在下、約13
0℃〜250℃の範囲内の温度において、ポリオール助
触媒もC1 〜C5 一価アルカノールも存在しない反応条
件下で、硫黄の実質的に全てを反応させるために充分な
時間接触させて、それによって、元素状硫黄を実質的に
含まないカルシウム硫化アルキルフェネート反応生成物
混合物を得ることを含む前記方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ポリオール助触媒
(promoters) の酸化生成物を実質的に含まない、正硫化
アルキルフェネートカルシウム塩及び過塩基性化硫化ア
ルキルフェネートカルシウム塩(calcium,normal and ov
erbased sulfurized alkylphenates) 組成物を製造する
ためのプロセス及び方法に関する。他の態様では、本発
明は潤滑性組成物と、このような組成物を含む濃縮物と
に関する。
【0002】第II族金属の過塩基性化硫化アルキルフ
ェネート組成物(時には、“過塩基性化フェネート”と
呼ばれる)は、潤滑性組成物に洗浄性と分散性とを与
え、油中にアルカリ度留保(reserve) を与える、有用な
潤滑油添加剤である。エンジン運転中に発生する酸を中
和するために、アルカリ度留保は必要である。このアル
カリ度留保なしには、このように発生した酸が有害なエ
ンジン腐食を生じることになる。
【0003】
【従来の技術】過塩基性化フェネートの製造は当該技術
分野において周知であり、例えば米国特許第2,68
0,096号;第3,178,368号;第3,36
7,867号;第3,801,507号等に述べられて
いる。各々の開示はその全体において本明細書に援用さ
れる。典型的に、過塩基性化フェネートは、高温下で、
アルキルフェノール、中性(neutral) 又は過塩基性化ヒ
ドロカルビルスルホネート、高分子量アルコール、潤滑
油、第II族金属酸化物、水酸化物又はC1 〜C6 アル
コキシド、硫黄及びポリオール助触媒(promoter)(典型
的に、アルキレングリコール)を混合して、高温混合物
にすることによって製造されている。反応の水を除去
し、二酸化炭素を加える。未結合CO2 を除去し、次
に、反応器をさらに真空下で加熱して、アルキレングリ
コール、水及び高分子量アルコールを除去する。消石灰
及び二酸化炭素を配合することによって、生成物を過塩
基性化する(overbased) 。典型的に、アルキレングリコ
ールを用いて、中和と硫化の両方を促進し、過塩基性化
をも促進する。
【0004】しかし、アルキレングリコール又は他のポ
リオール助触媒を有意な量の硫黄の存在下で用いる場合
には、問題に遭遇する。特に、このような反応条件下で
は、アルキレングリコール又は他のポリオール助触媒が
酸化され(例えば、エチレングリコールは酸化されて、
蓚酸のカルシウム塩になる)、硫黄は還元されて、硫化
水素になる。このような酸化生成物はエンジン寿命にと
って不利であることが分かっている。例えば、米国特許
第4,608,184号は、蓚酸カルシウム(エチレン
グリコールの酸化生成物)がCaterpillar
IG2試験による測定によるとエンジン性能に不利に影
響することを開示し、カルシウム塩基と、アルキルフェ
ノールと、グリコールとの反応生成物ミックスに硫黄を
加えることによって蓚酸カルシウムの量を減ずる硫化フ
ェネート合成法を提案する。
【0005】米国特許第4,744,921号は、沈殿
物が少なく、良好な加水分解能力を示す、10モル%未
満の非硫化アルキルフェネートを含む高TBN第II族
金属過塩基性化硫化アルキルフェネートの製造方法を開
示する。硫化はある種の硫化触媒を用いて、ポリオール
助触媒は用いずに実施する。この硫化フェネートを続い
てアルキレングリコール助触媒を用いて過塩基性化す
る。この特許は未反応硫黄を考慮していないか、又はグ
リコールを用いた過塩基性化反応混合物が元素状硫黄を
含むかどうかを考慮していない。このプロセスは好まし
い有機硫化触媒が非常に高価であるという欠点を有す
る。
【0006】米国特許第3,437,595号及び第
3,923,670号は、米国特許第3,437,59
5号の場合のある種の塩基性触媒又は米国特許3,92
3,670号の場合の、触媒量よりも過剰な量のアルカ
リ金属水酸化物のいずれかを用いて、ポリオール助触媒
を用いずに硫化を実施するプロセスを開示する。過塩基
性化はグリコール及び二酸化炭素の使用の結果として生
ずる。いずれの特許も未反応硫黄を考慮していず、米国
特許第3,923,670号に述べられたプロセス及び
米国特許第3,437,595号に述べられた好ましい
プロセスの場合には、生成物が好ましくないアルカリ金
属残渣を含むと言う事実を欠点として有する。正硫化フ
ェネート(normal sulfurized alkylphenate)からアルカ
リ金属残渣を除去するための分離操作の使用は経済的に
好ましくなく、場合によっては、分離操作は、過塩基性
化プロセスを妨害するか又は不良な過塩基性化生成物を
生じる問題をもたらす。
【0007】ポリオール(典型的には、エチレングリコ
ール)を用いる過塩基性化フェネートの典型的な製造で
は、ポリオールは硫化反応、中和反応及び過塩基性化反
応におけるアルカリ土類金属塩基のための相転移剤及び
/又は活性剤として機能すると考えられる。ポリオール
助触媒を用いずに、例えばギ酸、酢酸及びこれらの混合
物のような、ある種の低分子量カルボン酸(carboxyl ac
id) によって、中和を触媒することができることも先行
技術に知られている。しかし、低分子量カルボン酸を硫
化反応に用いる場合にさえも、ポリオール助触媒又は低
級一価アルコールも用いられた。このように、カルボン
酸触媒の使用によってどのようなプロセス利益が得られ
るかに関係なく、ポリオール助触媒を用いるならば、有
害な酸化生成物がなおも生成された。他方では、低級一
価アルコール助触媒をポリオール助触媒の代わりに用い
た場合には、アルコール助触媒の低沸点のために低い反
応温度を用いなければならないので、特に、発泡を減じ
るために大気圧において又は真空下で反応が有利に実施
されるので、反応速度は必然的に不利に影響される。
【0008】特許第3,493,516号は硫化アルキ
ルフェノールを石灰と高温において既知方法に従って混
合し、この組成物中に少量の比較的低分子量のカルボン
酸又はそれらの混合物を配合して、カルシウムカルボキ
シレートを形成することによる硫化過塩基性化アルカリ
土類金属アルキルフェネートの製造方法を開示する。こ
の特許は、低分子量カルボン酸のカルシウム塩を現場で
(in situ) 製造するか又はフェネート組成物中に混入す
る前に製造することができる、或いは硫化アルキルフェ
ノールの代わりに硫黄とアルキルフェノールとを反応混
合物中に加えることができることを教示する。この特許
は、反応混合物が高分子量アルコールと炭素数2〜3の
ポリエーテルアルコール、通常エチレングリコール若し
くはプロピレングリコールをさらに含むことを教示す
る。この特許に記載された、具体的な低分子量カルボン
酸はギ酸、酢酸、グリコール酸、グリオキシル酸、プロ
ピオン酸、マレイン酸等を含む。この特許の実施例1と
2は、ギ酸とグリコール酸との混合物の存在下のトリデ
シルアルコール及びグリコール中で実施される、テトラ
プロペニルフェノールと石灰と硫黄との間の硫化−中和
反応を述べている。
【0009】米国特許第Re26,811号は、150
℃を越える温度において(A)フェノール又はそのアル
カリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、(B)硫黄及
び(C)アルカリ土類塩基を(D)カルボン酸又はその
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、亜鉛塩若しくは
鉛塩及び(E)式:(ROR’)x OH[式中、Rは水
素又はアルキルであり、R’はアルキルであり、Rが水
素である場合には、xは少なくとも2であり、Rがアル
キルである場合には、xは少なくとも1である]で示さ
れる化合物の存在下で反応させることを含む、塩基性硫
化フェネート及びサリチレートの製造方法を開示する。
第3欄第52行〜第55行において、この特許はカルボ
ン酸又は塩の使用量が反応混合物中のフェノール量の一
般に約5〜20モル%であり、好ましくは約5〜10モ
ル%であることを教示している。カルボン酸と塩の例
は、この特許によって第3欄第38行〜第51行に記載
されており、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、
カプリン酸、ステアリン酸、マレイン酸等と、例えば酢
酸ナトリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸カリウム、
ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、ポリイソブテン置換
コハク酸のカルシウム塩、酢酸亜鉛、プロピオン酸鉛及
びカプリン酸鉛のような塩とを含む。炭素数2〜6の脂
肪族酸とそのアルカリ土類金属塩、特に酢酸と酢酸カル
シウムが好ましいと述べられている。このように、カル
ボン酸が用いられるが、硫化がポリオール助触媒:すな
わち(ROR’)x OHの存在下でまだ実施される。
【0010】米国特許第4,049,560号は、過塩
基性化マグネシウム硫化フェネートの製造方法であっ
て、 (a)1個以上のヒドロカルビル置換基を含む硫化フェ
ノール若しくはチオフェノール、又は1個以上のヒドロ
カルビル置換基を含むフェノール若しくはチオフェノー
ル、又は1個以上のヒドロカルビル置換基を硫黄と共に
含む前記フェノール若しくはチオフェノール 15〜4
0重量%と; (b)有機スルホン酸、有機スルホネート又は有機スル
フェート 5〜15重量%と; (c)グリコール、C1 〜C5 一価アルカノール又はC
2 〜C6 アルコキシアルカノール 5〜15重量%と; (d)水酸化マグネシウム又は活性酸化マグネシウム
2〜15重量%と; (e)C1 〜C18カルボン酸、その無水物、又は前記C
1 〜C18カルボン酸のアンモニウム塩、アミン塩、第I
族金属塩若しくは第II族金属塩 少なくとも0.1重
量%と; (f)希釈剤油(成分(a)と(b)中に存在するもの
を含む) 少なくとも10重量%とを含む反応混合物中
に二酸化炭素を導入することを含む前記方法を開示す
る。
【0011】カルボン酸は助触媒として述べられ、好ま
しくは0.5〜2.0重量%の量で用いられ、好ましく
は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸又は酪酸である。しか
し、この反応混合物はポリオール助触媒、すなわち、グ
リコール若しくはアルコキシアルカノールをも含むか、
又は低級一価アルカノールを含む。
【0012】米国特許第5,035,816号は硫化過
塩基性化アルキルサリチレートの製造方法であって、ア
ルキルフェノールをアルカリ土類金属塩基によって、共
沸溶媒の存在下のC1 〜C18脂肪族カルボン酸、安息香
酸、無水安息香酸又は無機酸から選択される少なくとも
1種の酸の存在下で中和し、その後に、中和された反応
生成物をカルボキシル化し、エチレングリコール中で硫
黄によって硫化することを含む前記方法を開示する。中
和工程に関して、この特許はC1 〜C3 脂肪族カルボン
酸、特にそれらの混合物、例えば0.01/1から5/
1まで、好ましくは0.25/1から2/1までの範囲
であり、特に1/1のオーダーでありうる酢酸/ギ酸比
によるギ酸−酢酸混合物が好ましいことを教示する(第
2欄第53行〜第58行を参照のこと)。
【0013】ヨーロッパ特許出願第271262号(1
988年6月15日公開)は硫化塩基性化(based) ヒド
ロカルビルフェネートの製造方法であって、ヒドロカル
ビルフェノール又はヒドロカルビルフェノールと硫黄の
いずれかをアルカリ土類金属塩基及び少なくとも炭素数
12の少なくとも1種のカルボン酸と、(c)多価アル
コール若しくはアルキルグリコール、アルキルグリコー
ルエーテル又はポリアルキレングリコールアルキルエー
テルのいずれか中で又は共に反応させることを含む前記
方法を開示する。この特許はさらに、グリコール又はグ
リコールエーテルを用いる場合には、それと無機ハロゲ
ン化物(例えば、塩化アンモニウム)及び低級(すなわ
ち、C1 〜C4 )カルボン酸、例えば酢酸を組合せて用
いることが好ましい。
【0014】ヨーロッパ特許出願第0273588号
(1988年7月6日公開)は、アルカリ土類金属アル
キルフェネートのTBNを高める方法であって、高温に
おいて硫化アルカリ土類金属ヒドロカルビルフェネート
と、アルカリ土類金属塩基と、少なくとも炭素数12の
カルボン酸と、炭素数2〜4の多価アルコール、(ジー
若しくはトリー)(C2 〜C4 )グリコール、アルキル
グリコール、アルキルグリコールエーテル又はポリアル
キレングリコールアルキルエーテルのいずれかとを反応
させることを含む前記方法に関する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低分子量ア
ルカン酸(すなわち、ギ酸、酢酸又はプロピオン酸)又
は低級アルカン酸混合物の存在下で硫化−中和を実施す
ることによって、ポリオール又は低級アルカノール硫化
助触媒を用いずに、カルシウム硫化アルキルフェネート
を有利に製造することができると言う我々の発見に一部
基づく。ポリオール助触媒を用いないので、得られる正
硫化フェネート生成物又はやや過塩基性化硫化フェネー
ト生成物はポリオール助触媒のポリオールオキサレート
又は他の有害な副生成物を含まない。この反応はさらに
反応混合物中に存在する元素状硫黄の実際に全ての効果
的な消耗を生じる。過塩基性化反応は一般にポリオール
助触媒(例えば、アルキレングリコール)を必要とする
ので、このことは高TBN過塩基性化生成物が望ましい
場合に特に有利である。したがって、グリコール酸化生
成物の形成を促進する元素状硫黄の有意な量が過塩基性
化反応混合物中に存在しないことが重要である。
【0016】本発明の方法によって得られる正硫化フェ
ネートと過塩基性化硫化フェネートの両方が、中和能力
と改良洗浄性とを与え、より軽度には酸化防止性、粘度
制御及び減摩性(friction reduction)を与え、予備試験
に基づくと、改良された熱安定性を示す潤滑油添加剤と
して有用である。沈殿物(例えば、蓚酸塩)の減少の他
に、本発明の方法は、高い反応速度を生じる高い硫化反
応温度の使用を容易にする。したがって、本発明の方法
は高いプロセス効率、反応器滞留時間の短縮、反応器容
量と濾過費用の両方に関する資本装置費用の低下を提供
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】それ故、1態様では、本
発明は、ポリオール助触媒の酸化生成物を含まない、正
硫化アルキルフェネートカルシウム塩組成物及び過塩基
性化硫化アルキルフェネートカルシウム塩組成物の経済
的な製造方法であって、アルキルフェノールと硫黄と
を、低級カルボン酸助触媒及び少なくとも化学量論量の
カルシウム塩基(例えば、水酸化カルシウム)の存在
下、ポリオール助触媒の不存在下で反応させることを含
む前記方法を提供する。反応生成物を二酸化炭素と、ア
ルキレングリコール(好ましくは、エチレングリコー
ル)の存在下及び好ましくは中性若しくは過塩基性化ス
ルホネート又はアルケニルスクシンイミドの存在下で反
応させることによって、高TBN生成物を製造すること
ができる。この工程において追加のカルシウム塩基を加
えることができる、及び/又は中和工程において、過剰
なカルシウム塩基を用いることができる。同様に、スル
ホネート又はアルケニルスクシンイミドを用いる場合に
は、これを過塩基性化工程において加えることができる
か、又は硫化工程に加えて、過塩基性化工程まで運ばせ
ることができる。上述したように、硫化反応を適当に実
施した場合には、元素状硫黄の全てが消耗され、せいぜ
いごく痕跡量の元素状硫黄が過塩基性化反応混合物にま
で運ばれるにすぎない。元素状硫黄の存在は金属軸受
け、特に銅軸受けの腐食と汚染(staining)を促進するの
で、最終の潤滑油添加剤生成物にも有害である。
【0018】他の態様では、本発明の方法は、ポリオー
ル酸化副生成物を含まない、上記方法によって製造され
る正硫化アルキルフェネートカルシウム塩又は適度に過
塩基性化硫化アルキルフェネートカルシウム塩と、少量
の適合性希釈剤とを含む添加剤濃縮物を提供し、少量の
上記正硫化アルキルフェネート又は適度に過塩基性化硫
化アルキルフェネート濃縮物と、主要量の潤滑性粘度の
油とを含む潤滑油組成物を提供する。
【0019】他の態様では、本発明の方法は、化学量論
的過剰量のカルシウム塩基を用い、硫化工程において硫
黄を本質的に完全に消耗した後に、硫化フェネートをポ
リオール助触媒と必要な場合の追加のカルシウム塩基と
の存在下で二酸化炭素によって処理する上記方法によっ
て製造される、主要量の高TBN過塩基性化硫化アルキ
ルフェネートカルシウム塩と、少量の適合性液体希釈剤
とを含み、実質的にポリオール助触媒を含まない添加剤
濃縮物、及び少量の前記高TBN過塩基性化硫化アルキ
ルフェネートカルシウム塩と主要量の潤滑性粘度の油と
を含む潤滑油組成物を提供する。
【0020】本発明の他の態様は下記説明から明らかに
なるであろう。本発明をさらに詳しく考察する前に、下
記用語を定義する:定義 本明細書で用いる下記用語は、特にそうでないと述べら
れないかぎり、下記意味を有する:
【0021】“第II族金属”又は“アルカリ土類金
属”なる用語は、カルシウム、バリウム、マグネシウム
及びストロンチウムを意味する。“カルシウム塩基”な
る用語は、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、カルシ
ウムアルコキシド等及びこれらの混合物を意味する。
“石灰(lime)”なる用語は、消石灰(slaked lime or hy
drated lime)としても知られる水酸化カルシウムを意味
する。
【0022】“総塩基数”又は“TBN”なる用語は、
サンプル1g中のKOHのmg数に相当する塩基量を意
味する。したがって、高いTBN数は高アルカリ性生成
物、それ故、大きいアルカリ度留保を表す。サンプルの
TBNはASTM試験No.D2896又は他の同等な
手法によって測定することができる。
【0023】“過塩基性化硫化アルキルフェネートカル
シウム塩組成物”なる用語は、少量の希釈剤(例えば、
潤滑油)と、カルシウム硫化アルキルフェネート複合体
とを含み、硫化アルキルフェノールのヒドロキシド部分
と反応するために必要な量に基づいて化学量論的過剰量
の酸化カルシウム、水酸化カルシウム又はC1 〜C6
ルコキシドによって追加のアルカリ度が与えられる組成
物を意味する。
【0024】“正硫化アルキルフェネートカルシウム
塩”なる用語は、ヒドロキシ置換基を中和するために必
要な、化学量論量のカルシウムを含む硫化アルキルフェ
ネートカルシウム塩を意味する。このようなフェネート
は実際に塩基性であり、典型的に約50〜150のTB
Nを含み、エンジン酸類を中和するために有用である。
“適度に(中)過塩基性化硫化アルキルフェネートカル
シウム塩”なる用語は約150〜225のTBNを有す
る過塩基性化硫化アルキルフェネートを意味する。
【0025】“高TBN過塩基性化硫化アルキルフェネ
ートカルシウム塩組成物”は約225〜350のTBN
を有する過塩基性化硫化アルキルフェネートカルシウム
塩組成物を意味する。一般に、炭酸カルシウムのコロイ
ド状分散液とフェネートとの複合体(complex) であると
考えられるものを生じる高TBN過塩基性化硫化アルキ
ルフェネートカルシウム塩組成物を得るためには、二酸
化炭素処理が必要である。
【0026】“低級アルカン酸”なる用語は、炭素数1
〜3を有するアルカン酸、すなわち、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸及びこれらの混合物を意味する。“油溶性(oil
solubility)”なる用語は、添加剤がベース(base)10
W40潤滑油中に20℃において少なくとも50g/k
g、好ましくは100g/kgの溶解度を有することを
意味する。
【0027】“アルキルフェノール”なる用語は、1個
以上のアルキル置換基を有し、少なくともその1つが得
られるフェネート添加剤に油溶性を与えるために充分な
数の炭素原子を有するフェノール基を意味する。“ポリ
オール助触媒”なる用語は、一般にソルビトール型であ
る、2個以上のヒドロキシ置換基を有する化合物、例え
ば、アルキレングリコールとその誘導体、及び例えばポ
リオールエーテルとヒドロキシカルボン酸のような官能
性同等物(functional equivalent) を意味する。
【0028】合成 本発明の方法は、反応条件下、好ましくは不活性の相容
性液体炭化水素希釈剤中で、低級アルカン酸及びカルシ
ウム塩基の存在下において所望のアルキルフェノールと
硫黄とを接触させることによって、便利に実施すること
ができる。この反応を不活性ガス(典型的には、窒素)
下で実施することが好ましい。理論では、中和を硫化の
前の別の工程として実施することができるが、実践的に
は、中和と硫化とを単一プロセス工程において一緒に実
施することが一般により便利である。また、低級アルカ
ン酸の代わりに、アルカン酸の塩又はアルカン酸と塩と
の混合物をも用いることができる。アルカン酸の塩又は
アルカン酸と塩との混合物を用いる場合には、塩はアル
カリ土類金属塩であることが好ましく、カルシウム塩で
あることが最も好ましい。しかし、一般に、酸が好まし
く、したがって、この方法を以下では低級アルカン酸の
使用に関して説明する;しかし、この教示が酸の全て又
は一部の代わりに塩又は塩の混合物を用いた場合にも適
用可能であることを理解すべきである。
【0029】中和と硫化との複合反応は、用いる特定の
アルカン酸に依存して、典型的に約115℃〜250
℃、好ましくは135℃〜230℃の温度において実施
される。ギ酸を用いる場合には、約150℃〜200℃
の範囲内の温度を用いることによって、一般に最も良い
結果が得られることを我々は発見した。酢酸又はプロピ
オン酸を用いる場合には、より高い反応温度を有利に用
いることができ、例えば約180℃〜250℃の範囲内
の温度、特に約200℃〜235℃の範囲内の温度のよ
うな、高温において酢酸を用いることによって優れた結
果を得ることができる。低級アルカン酸の2種類又は全
体で3種類の混合物も使用可能である。正塩(normal)生
成物又は適度に過塩基性化生成物が所望である場合に
は、約5〜25重量%のギ酸と約75〜95重量%の酢
酸とを含む混合物が特に有利である。アルキルフェノー
ル1モルを基準にして、典型的に約0.8〜3.5モ
ル、好ましくは1.2〜2モルの硫黄と約0.025〜
2モル、好ましくは0.1〜0.8モルの低級アルカン
酸とが用いられる。アルキルフェノール1モルにつき典
型的に約0.3〜1モル、好ましくは0.5〜0.8モ
ルのカルシウム塩基が用いられる。さらに、低級アルカ
ン酸を中和するために充分な量のカルシウム塩基も用い
られる。このように、総合的に、低級アルカン酸を中和
するために必要な塩基を含めて、典型的に約0.31〜
2モルのカルシウム塩基がアルキルフェノール1モルに
つき用いられる。必要な場合には、低級アルカン酸対ア
ルキルフェノール比とカルシウム塩基対アルキルフェノ
ール比が用いられ、総カルシウム塩基対アルキルフェノ
ール比範囲はアルキルフェノール1モルにつき約0.5
5〜1.2モルのカルシウム塩基になる。酸の代わりに
アルカン酸塩を用いる場合には、この追加のカルシウム
塩基は明らかに不要になる。反応は典型的にかつ好まし
くは相容性液体希釈剤中で、特に低粘度の鉱物油又は合
成油中で実施される。反応は好ましくは、硫黄の完全な
反応を保証するために充分な時間実施される。このこと
は、高TBN生成物が所望である場合に、このような生
成物の合成が一般にポリオール助触媒と共に二酸化炭素
の使用を必要とするので、特に重要である。したがっ
て、反応混合物中に残留する未反応硫黄が過塩基性化工
程中のポリオール助触媒の有害な酸化生成物の形成を触
媒することになる。
【0030】中和を別の工程として実施する場合には、
中和とその後の硫化との両方を上記と同じ条件下で実施
する。いずれの場合にも、アルキルフェノールの中和に
よって生じる水を除去することが好ましい。これは慣習
的であり、中和中の連続蒸留によって一般に達成され
る。便利には、炭素数8〜16の高分子量アルカノール
を中和−硫化工程及び/又は過塩基性化工程に溶媒とし
て加えて、次に留去することができる水−共沸混合物を
形成することによって水の除去を助けることができる。
【0031】米国特許第4,744,921号(この開
示はその全体において本明細書に援用される)に記載さ
れるような、場合により特殊化(specialized) 硫化触媒
を中和−硫化反応に低級アルカン酸と共に用いることが
できる。しかし、一般に、硫化触媒によって与えられる
利益(例えば、反応時間の短縮)は、特に、単に酢酸及
び/又はプロピオン酸の使用によって及び反応温度の上
昇によって良好な反応速度を得ることができるので、触
媒によって生じるコスト上昇及び/又はハロゲン化物触
媒又はアルカリ金属硫化物の場合の好ましくない残渣の
存在によって相殺される。
【0032】高TBN生成物が望ましい場合には、硫化
フェネートをカーボネーション(carbonation) によって
過塩基性化することができる。このようなカーボネーシ
ョンは、硫化フェネート反応生成物にポリオール助触
媒、典型的にはアルキレングリコール(例えば、エチレ
ングリコール)と二酸化炭素とを加えることによって便
利に行うことができる。この時点において追加のカルシ
ウム塩基を加えることができる、及び/又は中和工程に
おいて、過剰なカルシウム塩基を用いることができる。
好ましくは、アルケニルスクシンイミド又は中性若しく
は過塩基性化第II族金属ヒドロカルビルスルホネート
を中和−硫化反応混合物又は過塩基性化反応混合物に加
える。スクシンイミド又はスルホネートはアルキルフェ
ノールとフェネート反応生成物の両方の可溶化を助成す
るので、用いる場合には、初期反応混合物に加えること
が好ましい。過塩基性化は典型的に160℃から190
℃以上、好ましくは約170℃〜180℃以上の温度に
おいて、中TBN又は高TBNのいずれの生成物が望ま
しいかに依存して、約0.1〜4時間実施される。ガス
状二酸化炭素を反応混合物に通してバブルさせると言う
単純な手段によって、この反応を実施することが便利で
ある。過剰な希釈剤と、過塩基性化反応中に形成される
水とは反応中又は反応後の蒸留によって便利に除去する
ことができる。
【0033】過塩基性化生成物を形成するために、カル
シウム塩基と組合せて二酸化炭素を反応系に用い、二酸
化炭素を典型的にはアルキルフェノール1モルにつき約
1〜3モルの比で、好ましくはアルキルフェノール1モ
ルにつき約2〜約3モルの比で用いる。好ましくは、カ
ルシウム過塩基性化硫化フェネート中へのCO2 混入量
は、約0.65:1から約0.73:1までのCO2
カルシウム重量比を与える。過塩基性化のために用いら
れる過剰量を含めてカルシウム塩基の全てを中和に加え
ることができる、又は第II族金属塩基の一部をカーボ
ネーションの前に加えることができる。
【0034】中TBN生成物(約150〜225のTB
N)が望ましい場合には、化学量論量又はやや過剰量の
カルシウム塩基を中和工程に用いることができる;例え
ば、低級アルカン酸を中和するために必要な量の他にア
ルキルフェノール1モルにつき約0.5〜1.3モルの
塩基を用いることができる。約1〜2.5、好ましくは
約1.5〜2のカルシウム塩基対アルキルフェノールの
モル比;アルキルフェノール1モルにつき約0.2〜2
モル、好ましくは0.4〜1モルの二酸化炭素;及び約
0.2〜2モル、好ましくは0.4〜1.2モルのアル
キレングリコールを用いることによって、高TBN生成
物が典型的に製造される。低級アルカン酸を用いる場合
には再び、それらの塩とは対照的に、低級アルカン酸を
中和するために充分な、追加量のカルシウム塩を用いる
べきである。上述したように、高TBN生成物を製造す
るために必要な、過剰なカルシウム塩基の全てを中和−
硫化工程に加えることができる、又はアルキルフェノー
ルを中和するために必要な量を越える過剰量を過塩基性
化工程に、又は2工程に任意の割合で分割して加えるこ
とができる。非常に高いTBN生成物が望ましい場合に
は典型的に、カルシウム塩基の一部を過塩基性化工程に
おいて加える。中和反応混合物又は過塩基性化反応混合
物がアルキルフェノールの重量を基準にして約1〜20
重量%、好ましくは5〜15重量%の中性若しくは過塩
基性化スルホネート及び/又はアルケニルスクシンイミ
ドをも含むのが好ましい。(高TBNが望ましい場合に
は一般に、約250〜300の範囲内のTBNが好まし
い。)
【0035】典型的に、この方法は低圧(すなわち、約
25mmHg絶対〜850mmHg絶対の範囲内の圧
力)までの減圧下で実施され、好ましくは、発泡を減ず
るために大気圧まで(例えば、約40mmHg絶対〜7
60mmHg絶対)の減圧下で実施される。硫化フェネ
ートの一般的な製造に関する、この他の詳細はこの技術
分野における種々な刊行物及び特許(例えば、米国特許
第2,680,096号;第3,178,368号及び
第3,801,507号)を参照することによって得る
ことができると思われる。関連する開示及びこれらの特
許はそれらの全体において本明細書に援用される。
【0036】次に、本発明の方法に用いる反応物及び試
薬を詳細に検討すると、第一に、硫黄の全ての同素形を
用いることができる。硫黄は溶融硫黄として又は固体
(例えば、粉末又は粒状)硫黄として又は相容性炭化水
素液体中の固体懸濁液として用いることができる。好ま
しくは、用いるカルシウム塩基は、例えば酸化カルシウ
ムに対するその取り扱いの便利さのために、またそれが
与える優れた結果のために、水酸化カルシウムである。
他のカルシウム塩基(例えば、カルシウムアルコキシ
ド)も使用可能である。
【0037】本発明に使用可能である、適当なアルキル
フェノールは、アルキル置換基が生成するカルシウム過
塩基性化硫化アルキルフェネート組成物を油溶性にする
ために充分な炭素数を含むアルキルフェノールである。
単一長鎖アルキル置換基によって又はアルキル置換基の
組合せによって油溶性を与えることができる。典型的
に、本発明に用いるアルキルフェノールは種々なアルキ
ルフェノール、例えばC 20〜C24アルキルフェノールの
混合物である。275以下のTBNを有するフェネート
生成物が望ましい場合には、100%ポリプロペニル置
換フェノールを用いることが、その商業的入手可能性と
一般的に低いコストのために、経済的に有利である。こ
れより高いTBNのフェネート生成物が好ましい場合に
は、好ましくは約25〜100モル%のアルキルフェノ
ールが炭素数15〜35の直鎖アルキル置換基を有し、
約75モル%〜0モル%ではアルキル基が炭素数9〜1
8のポリプロペニルである。さらに好ましくは、約35
〜100モル%のアルキルフェノールでは、アルキル基
が炭素数約15〜35の直鎖アルキルであり、約65〜
0モル%のアルキルフェノールでは、アルキル基が炭素
数9〜18のポリプロペニルである。大部分が直鎖のア
ルキルフェノールの量が増大すると、低い粘度を一般的
に特徴とする高TBN生成物が生ずる。他方では、ポリ
プロペニルフェノールは大部分が直鎖のアルキルフェノ
ールよりも一般に経済的であるが、カルシウム過塩基性
化硫化アルキルフェネート組成物の製造に75モル%を
越えるポリプロペニルフェノールを用いると、好ましく
なく高い粘度の生成物が生ずる。しかし、75モル%以
下の炭素数9〜18のポリプロペニルフェノールと25
モル%以上の炭素数15〜35の大部分が直鎖のアルキ
ルフェノールとの混合物の使用は、許容できる粘度のよ
り経済的な生成物を可能にする。
【0038】好ましくは、アルキルフェノールはパラー
アルキルフェノール又はオルト−アルキルフェノールで
ある。過塩基性化生成物が望ましい場合に、p−アルキ
ルフェノールは高度に過塩基性化したカルシウム硫化ア
ルキルフェネートの製造を促進すると考えられるので、
アルキルフェノールは大部分がパラ−アルキルフェノー
ルであり、アルキルフェノールの約45モル%以下がオ
ルト−アルキルフェノールであることが好ましく;アル
キルフェノールの約35モル%以下がオルト−アルキル
フェノールであることがさらに好ましい。アルキル−ヒ
ドロキシトルエン又はキシレン及び、少なくとも1個の
長鎖アルキル置換基の他に1個以上のアルキル置換基を
有する、他のアルキルフェノールも使用可能である。
【0039】一般に、本発明の方法はアルキルフェノー
ルの選択に関して新しい要素又は基準を導入するのでは
なく、したがって、アルキルフェノールの選択は潤滑油
組成物に望ましい性質、特にTBN及び油溶性と、先行
技術の又は同様な、1種類以上の硫化過塩基性化方法に
用いられる基準とに基づくことができる。
【0040】例えば、実質的に直鎖のアルキル置換基を
有するアルキルフェノールの場合には、アルキルフェネ
ートの粘度はフェニル環に対するアルキル鎖上の結合位
置(例えば、末端結合対中央結合)によって影響される
ことができる。これと、適当なアルキルフェノールの選
択及び製造とに関する追加の情報は、例えば米国特許第
5,024,773号、第5,320,763号、第
5,318,710号及び第5,320,762号から
得ることができ、これらの特許の全てはそれらの全体に
おいて本明細書に援用される。
【0041】例えば米国特許第4,744,921号に
述べられているような、補助的な硫化触媒を用いる場合
には、この触媒は補助すべき反応系のアルキルフェノー
ルに対して典型的に約0.5〜10重量%で、好ましく
は約1〜2重量%で用いられる。好ましい実施態様で
は、硫化触媒を反応混合物に液体として加える。これは
硫化触媒を溶融硫黄中に又はアルキルフェノール中に反
応のためのプレミックスとして溶解することによって、
実施することができる。
【0042】本発明の高TBNカルシウム過塩基性化硫
化アルキルフェネート組成物を製造するための過塩基性
化操作は、過塩基性化工程にポリオール助触媒、典型的
にはC2 〜C4 アルキレングリコール(好ましくは、エ
チレングリコール)をも用いる。
【0043】中和−硫化及び過塩基性化に使用可能であ
る、適当な高分子量アルカノールは炭素数8〜16、好
ましくは炭素数9〜15のアルカノールである。アルカ
ノールは、用いる場合には、アルキルフェノール1モル
につき、典型的に約0.5〜5モル、好ましくは約0.
5〜4モル、より好ましくは約1〜2モルの高分子アル
カノールのモル供給量(molar charge)で用いる。適当な
アルカノールの例は1−オクタノール、1−デカノール
(デシルアルコール)、2−エチル−ヘキサノール等を
含む。高分子量アルコールは溶媒として作用し、水と共
沸混合物をも形成し、それ故、中和によって発生する水
若しくは系中の他の水を除去するための、反応後又は好
ましくは反応中の共沸蒸留による便利な方法を促進し、
提供するので、プロセスに高分子量アルコールを用いる
ことが有利である。高分子量アルコールは反応中の副生
成物の水の除去を促進し、したがって、反応を反応式の
右方向へ推し進めると言う意味で、化学反応機構にもあ
る程度の役割を果たすことが考えられる。
【0044】適当な第II族金属の中性又は過塩基性化
ヒドロカルビルスルホネートは、例えば、石油スルホネ
ート、合成アルキル化芳香族スルホネート、又は例えば
ポリイソブチレンから誘導されるような脂肪族スルホネ
ート等の天然又は合成ヒドロカルビルスルホネートを含
む。これらのスルホネートは当該技術分野において周知
である(フェネートとは異なり、“正(normal)”スルホ
ネートは中性であるので、中性スルホネートと呼ばれ
る)。ヒドロカルビル基はスルホネート分子を油溶性に
するために充分な数の炭素原子を有さなければならな
い。ヒドロカルビル部分は少なくとも20炭素原子を有
することが好ましく、芳香族でも脂肪族でもよいが、通
常はアルキル芳香族である。使用するために最も好まし
いのは、性質が芳香族であるカルシウムスルホネート、
マグネシウムスルホネート又はバリウムスルホネートで
ある。このようなスルホネートはカルシウム塩基を溶液
中に維持することによって、過塩基性化を促進するため
に慣習的に用いられる。
【0045】本発明の方法に用いるために適したスルホ
ネートは、芳香族基(通常は、モノアルキルベンゼン基
又はジアルキルベンゼン基)を有する石油留分をスルホ
ン化し、次にスルホン酸物質の金属塩を形成することに
よって、典型的に製造される。このスルホネートを、過
剰量の第II族金属の水酸化物又は酸化物と必要ならば
二酸化炭素とを加えることによって、必要ならば過塩基
性化して、約400以上までの総塩基数を有する生成物
を得ることができる。水酸化カルシウム又は酸化カルシ
ウムは塩基性の過塩基性化スルホネートを製造するため
に最も一般的に用いられる物質である。
【0046】第II族金属の中性又は過塩基性化ヒドロ
カルビルスルホネートは、用いる場合に、アルキルフェ
ノールを基準にして約1〜20重量%で、好ましくは約
1〜10重量%で用いられる。生成物が海洋クランク室
(marine crankcase)潤滑油製剤の添加剤として意図され
る場合には、スルホネートがカルシウム過塩基性化硫化
アルキルフェネートと共にこのような製剤に有利に用い
られるので、第II族金属の中性又は過塩基性化ヒドロ
カルビルスルホネートの使用は特に魅力的である。
【0047】或いは、第II族金属の中性若しくは過塩
基性化ヒドロカルビルの代わりに、又はこれらと組合せ
て、アルケニルスクシンイミドを用いることができる。
アルケニルスクシンイミドは当該技術分野において周知
である。アルケニルスクシンイミドはポリオレフィンポ
リマー置換コハク酸無水物とアミン(好ましくは、ポリ
アルキレンポリアミン)との反応生成物である。ポリオ
レフィンポリマー置換コハク酸無水物はポリオレフィン
ポリマー又はその誘導体と無水マレイン酸との反応によ
って得られる。このようにして得られたコハク酸無水物
をアミン化合物と反応させる。アルケニルスクシンイミ
ドの製造は先行技術においてしばしば述べられている。
例えば、米国特許第3,390,082号;第3,21
9,666号;及び第3,172,892号を参照のこ
と、これらの特許の開示は本明細書に援用される。アル
キルスクシンイミドは“アルケニルスクシンイミド”な
る用語の範囲内に含まれるように意図される。アルケニ
ルコハク酸無水物のアルケニル基はアルケン(好ましく
は、ポリイソブテン)から誘導され、アルケン(例え
ば、イソブテン)を重合して、その組成が広範囲に変化
しうるポリアルケンを形成することによって得られる。
ポリアルケンの平均炭素数、したがってコハク酸無水物
のアルケニル置換基の平均炭素数は30以下から250
以上までの範囲であることができ、生ずる数平均分子量
は約400以下から3,000以上までである。好まし
くは、ポリアルケン分子の平均炭素数は約50から約1
00までの範囲であり、ポリアルケンは約600〜約
1,500の数平均分子量を有する。さらに好ましく
は、ポリアルケン分子の平均炭素数は約60から約90
までの範囲であり、数平均分子量は約800〜1,30
0の範囲である。アルケニルスクシンイミドとコハク酸
無水物先駆体の製造に関するこれ以上の情報は、例え
ば、米国特許第4,744,921号とそれに記載され
る参考文献とを参照することによって得ることができ
る。
【0048】反応混合物及び生成物の混合と取り扱いと
を容易にするために、少量の不活性な炭化水素希釈剤を
用いることが一般に有利である。鉱物油は生成物を潤滑
油と組合せて用いることに明白な相容性を有するため
に、典型的に、鉱物油がこのために用いられる。使用可
能である、適当な潤滑油希釈剤は、例えば、溶剤精製1
00N(すなわち、Cit−Con 100N)、ヒド
ロトリーテッド(hydrotreated)100N(すなわち、R
LOP 100N)等を含む。不活性な炭化水素希釈剤
は好ましくは約1〜約20cSt(100℃)の粘度を
有する。
【0049】過塩基性化カルシウム硫化アルキルフェネ
ートの一般的製造では、過塩基性化カルシウム硫化アル
キルフェネートの加水分解安定性を強化するために解乳
化剤(抗乳化剤:demulsifiers) がしばしば加えられ、
本発明のプロセスにも必要に応じて同様に用いられる。
使用可能である適当な解乳化剤は、例えば、非イオン界
面活性剤(例えばRohmand Haas、ペンシル
バニア州、フィラデルフィアによって、商標Trito
n X−45及びTriton X−100で販売され
る非イオン界面活性剤)及びエトキシル化p−オクチル
フェノールを含む。他の適当な、商業的に入手可能な解
乳化剤はGAF Corporation(ニューヨー
ク州、ニューヨーク)から入手可能なIgepal C
O−610を含む。解乳化剤は、用いる場合に、一般に
0.1〜1重量%で、好ましくは0.1〜0.5重量%
でアルキルフェノールに加えられる。
【0050】潤滑油組成物 本発明の方法によって製造される油溶性カルシウム過塩
基性化硫化アルキルフェネートは、ポリオール酸化生成
物を加えることなく、潤滑油にアルカリ度留保を与える
他に、潤滑油に洗浄性及び分散性を与える有用な潤滑油
添加剤である。このようにして用いる場合に、油溶性カ
ルシウム過塩基性化硫化アルキルフェネート組成物の量
は総潤滑剤組成物の約0.5〜40重量%の範囲である
が、好ましくは総潤滑剤組成物の約1〜25重量%であ
る。このような潤滑油組成物はディーゼルエンジン、ガ
ソリンエンジン並びに船舶(marine)エンジンに有用であ
る。上述したように、船舶エンジン用の潤滑油製剤に用
いる場合に、このようなフェネートはしばしば、第II
族金属の過塩基性化天然又は合成ヒドロカルビルスルホ
ネートと組合せて用いられる。
【0051】このような潤滑油組成物は、単一等級でも
多重等級(multigrade)でもよい完成潤滑油を採用する。
多重等級潤滑油は、粘度指数(VI)向上剤を加えるこ
とによって製造される。典型的な粘度指数向上剤はポリ
アルキルメタクリレート、エチレン−プロピレンコポリ
マー,スチレンージエンコポリマー等である。分散性並
びにVI改良性を示す、いわゆる分散性VI向上剤もこ
のような製剤に用いることができる。
【0052】このような組成物に用いる潤滑油(すなわ
ち、基剤油(base oil))は、例えばガソリンエンジン及
び、船舶エンジンを含むディーゼルエンジンのような、
内燃エンジンのクランク室における使用に適した粘度の
鉱油又は合成油であることができる。クランク室潤滑油
は通常、約1300cSt(0゜F(−17.8℃))
から24cSt(210°F(99℃))までの粘度を
有する。潤滑油は合成ソース(source)又は天然ソースに
由来することができる。本発明に基剤油として用いるた
めの鉱油は、潤滑油組成物に通常用いられるパラフィン
油、ナフテン油、その他の油を含む。合成油は炭化水素
合成油と合成エステルの両方を含む。有用な合成炭化水
素油は適当な粘度を有するα−オレフィンの液体ポリマ
ーを含む。例えば1−デセントリマーのような、C6
12α−オレフィンの水素化液体オリゴマーが特に有用
である。同様に、例えばジドデシルベンゼンのような、
適当な粘度のアルキルベンゼンを用いることができる。
有用な合成エステルはモノカルボン酸とポリカルボン酸
の両方のエステル並びにモノヒドロキシアルカノール及
びポリオールを含む。典型的な例はジドデシルアジペー
ト、ペンタエリスリトールテトラカプロエート、ジ−2
−エチルヘキシルアジペート、ジラウリルセバケート等
である。モノカルボン酸及びジカルボン酸と、モノヒド
ロキシアルカノール及びジヒドロキシアルカノールとの
混合物から製造される複合エステルも使用可能である。
【0053】炭化水素油と合成油とのブレンドも有用で
ある。例えば、10〜25重量%の水素化1−デセント
リマーと75〜90重量%の150SUS(100゜F
(37.8℃))鉱油とのブレンドが優れた潤滑油基剤
を提供する。製剤中に存在しうる他の添加剤は、錆止め
剤(rust inhibitor)、発泡抑制剤、耐食剤、金属不活化
剤、流動点降下剤、酸化防止剤、及び他の多様な周知添
加剤を含む。下記の非限定的実施例から本発明をさらに
より良く理解することができるであろう。
【0054】
【実施例】
実施例1250TBN過塩基性化カルシウム硫化アルキルフェネ
ート この実施例は、酢酸触媒硫化反応を用いて標題組成物を
製造するための本発明による操作を説明する。
【0055】反応 この実施例では、オーバーヘッドスターラー(overhead
stirrer)と窒素流とを備えた反応器にプロピレンテトラ
マーアルキルフェノール 1220gと、100Neu
tral希釈剤油 400gと、氷酢酸 26gと、硫
黄粉末 200gと、水酸化カルシウム 198gとを
装入する。この混合物を撹拌しながら室温(約20〜2
5℃)から200℃に4時間かけて加熱し、200℃に
さらに1時間維持する。中和によって生じた水の一部を
反応中に連続的に留去する。次に、希釈剤 600gと
デシルアルコール 352g中の水酸化カルシウム 3
80gと中性スルホネート 122gとのスラリーを約
1分間にわたって加える。混合物の温度を175℃に上
げ、エチレングリコール 277gを20分間にわたっ
て加える。二酸化炭素 173gを混合物に通して2時
間にわたって、迅速に撹拌しながら、バブルさせる。中
和によって生じた水はデシルアルコールと共沸混合物を
形成し、この共沸混合物を下記操作によって留去させ
る:
【0056】蒸留 8psiaにおいて、温度を175℃から240℃に4
5分間かけて上げ、この温度を30分間維持する。留出
物 約600mlを回収する。濃縮物をケイソウ土に通
して濾過し、希釈剤油によって250TBNに希釈す
る。生成物 約3200kgが回収される。
【0057】実施例2250TBN過塩基性化カルシウム硫化アルキルフェネ
ート この実施例は、ギ酸触媒硫化反応を用いて標題組成物を
製造するための本発明による操作を説明する。
【0058】反応 この実施例では、オーバーヘッドスターラーと窒素流と
を備えた反応器にプロピレンテトラマーアルキルフェノ
ール 1220gと、100Neutral希釈剤油
400gと、ギ酸 21gと、硫黄粉末 200gと、
水酸化カルシウム 198gとを装入する。この混合物
を撹拌しながら室温から170℃に3.5時間かけて加
熱し、170℃にさらに2時間維持する。中和によって
生じた水の一部を反応中に連続的に留去する。次に、希
釈剤油 600gとデシルアルコール 352g中の水
酸化カルシウム 380gと中性スルホネート 122
gとのスラリーを約1分間にわたって加える。混合物の
温度を175℃に上げ、エチレングリコール 277g
を20分間にわたって加える。二酸化炭素 173gを
混合物に通して2時間にわたって、迅速に撹拌しなが
ら、バブルさせる。中和によって生じた水はデシルアル
コールと共沸混合物を形成し、この共沸混合物を下記操
作によって留去させることができる:
【0059】蒸留 8psiaにおいて、温度を175℃から240℃に4
5分間かけて上げ、この温度を30分間維持する。留出
物を回収する。濃縮物をケイソウ土に通して濾過し、希
釈剤油によって250TBNに希釈する。
【0060】実施例3125TBNカルシウム硫化アルキルフェネート この実施例は、硫化反応触媒として酢酸とギ酸との混合
物を用いて標題組成物を製造するための本発明による操
作を説明する。オーバーヘッドスターラーと窒素流とを
備えた2リットル反応器に、プロピレンテトラマーアル
キルフェノール773gと、100Neutral希釈
剤油 235gと、水酸化カルシウム125gと、硫黄
135gと、50重量%ギ酸−50重量%酢酸混合物
15gとを装入する。この反応混合物を200℃に4
時間かけて加熱し、400℃にさらに4時間維持する。
中和によって生じた水の一部を連続的に留去する。次
に、この混合物を1psia(約52mmHg絶対)の
減圧下で0.5時間蒸留する。留出物 約25gが回収
される。濃縮物を180℃に冷却し、ケイソウ土に通し
て濾過し、希釈剤油によって125TBNに希釈する。
【0061】実施例4125TBNカルシウム硫化アルキルフェネート この実施例は、硫化反応触媒として酢酸とギ酸との混合
物による硫化反応触媒を用いて、標題組成物を製造する
ための本発明による操作を説明する。オーバーヘッドス
ターラーと窒素流とを備えた2リットル反応器に、プロ
ピレンテトラマーアルキルフェノール 1391gと、
100Neutral希釈剤油 842gと、水酸化カ
ルシウム 219gと、硫黄 236gと、10重量%
ギ酸−90重量%酢酸混合物 63gとを装入する。こ
の反応混合物を200℃に4時間かけて加熱し、400
℃にさらに4時間維持する。中和によって生じた水の一
部を連続的に留去する。次に、この混合物を1psia
(約52mmHg絶対)の真空下で0.5時間蒸留す
る。濃縮物を180℃に冷却し、ケイソウ土に通して濾
過し、希釈剤油によって125TBNに希釈する。
【0062】実施例5オキサレート濃度の測定 実施例1と2のカルシウム過塩基性化硫化アルキルフェ
ネート生成物及び市販の高TBNカルシウム過塩基性化
硫化アルキルフェネート濃縮物(硫化反応にエチレング
リコールを用いて製造された、サンプルAと呼ばれるも
の)のオキサレート濃度を、以下の表1に記載する操作
によって測定した。
【0063】過塩基性化フェネート組成物中のオキサレ
ートの存在を1660cm-1における赤外ピークの存在
によって測定し、最初に過塩基性化フェネートを希釈剤
油によって50TBN生成物が得られるまで希釈するこ
とによって、ピーク強度によってオキサレート濃度を測
定する。生成する組成物の少量を0.2mm(公称厚
さ)赤外キャビティセル(cavity cell)(例えば、塩化
ナトリウムプレート)に入れる。希釈剤油のみを含む、
0.2mm(公称厚さ)塩化ナトリウム基準キャビティ
セルも用意した。
【0064】これらのセルをPerkin Elmer
モデル281赤外分光光度計上で、2個の塩化ナトリウ
ムセル、スリットN及びスキャン速度12分間を用いて
スキャンした。サンプルに関して2000〜1500c
-1の赤外スペクトルを測定する。IRスペクトルのX
軸はcm-1を表し、Y軸は吸光度単位で吸光度を表す。
1660cm-1におけるピークはオキサレート形成によ
るものである。オキサレートの吸光度値(absorbent num
ber)の実際の測定又は算出は、基準スペクトルからオキ
サレートのスペクトルを控除し、正味吸光度を、装置内
にインプットされた適当なセル光路長さ(cell path len
gth)を用いて標準0.2000mmセルに対して概算す
る(scale) 装置によって実施する。
【0065】実施例1と2及び比較用の市販サンプル
(サンプルA)のオキサレート濃度を以下の表1に報告
する。
【0066】 表1 実施例No TBN オキサレート吸光度値 1 250 0.17 2 250 0.21 サンプルA 250 0.4 本明細書に述べた本発明の多くの改良及び変更が、本発
明の要旨及び範囲から逸脱せずになされうることは明ら
かであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:02 30:04 30:06 30:10 60:10 70:00 (72)発明者 ジャン ルイ ドゥ コエン フランス国ル アブル,リュ ジェネラル ルエル,80

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオール助触媒(promotor)の酸化生成
    物を実質的に含まない、約50〜150のTBNを有す
    るカルシウム硫化アルキルフェネート組成物の製造方法
    であって、少なくとも1個の炭素数6〜36のアルキル
    置換基を有するアルキルフェノールを硫黄と接触させる
    際に、炭素数1〜3のアルカン酸、前記アルカン酸混合
    物、アルカン酸のアルカリ土類金属塩、及びこれらの混
    合物から成る群から選択される助触媒との存在下、及
    び、前記アルキルフェノールとカルボン酸とを中和させ
    るために充分な、少なくとも化学量論量のカルシウム塩
    基の存在下、約130℃〜250℃の範囲内の温度にお
    いて、ポリオール助触媒もC1 〜C5 一価アルカノール
    も存在しない反応条件下で、硫黄の実質的に全てを反応
    させるために充分な時間接触させて、それによって、元
    素状硫黄を実質的に含まないカルシウム硫化アルキルフ
    ェネート反応生成物混合物を得ることを含む前記方法。
  2. 【請求項2】 約0.8〜3.5モルの硫黄と、0.0
    25〜2モルの助触媒と、アルキルフェノール1モルに
    つき0.4〜2モルのカルシウム塩基と、カルボン酸1
    モルにつき約0.5モルのカルシウム塩基と、少量の不
    活性有機液体希釈剤とを用いて、プロセスが実施される
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 約25mmHg(絶対)〜850mmH
    g(絶対)の範囲内の圧力においてプロセスが実施され
    る請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記助触媒がカルボン酸であり、酢酸、
    プロピオン酸、酢酸とプロピオン酸との混合物、及びこ
    れらとギ酸との混合物から成る群から選択される請求項
    2記載の方法。
  5. 【請求項5】 プロセスが約170℃〜250℃の範囲
    内の温度において実施される請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記助触媒が酢酸、プロピオン酸、及び
    これらの混合物から成る群から選択され、プロセスが約
    190℃〜250℃の範囲内の温度において実施される
    請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 カルボン酸がギ酸と酢酸との混合物であ
    り、プロセスが約130℃〜250℃の範囲内の温度に
    おいて実施される請求項2記載の方法。
  8. 【請求項8】 カルボン酸が約5〜25重量%のギ酸と
    約75〜95重量%の酢酸とを含む混合物である請求項
    7記載の方法。
  9. 【請求項9】 助触媒がギ酸であり、プロセスが約13
    0℃〜175℃の範囲内の温度において実施される請求
    項2記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記助触媒がギ酸カルシウム、酢酸カ
    ルシウム、プロピオン酸カルシウム及びこれらの混合物
    から成る群から選択される請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 プロセスが炭素数6〜16のアルカノ
    ールと、中性(neutral) 若しくは過塩基性化(overbase
    d) 第II族金属有機スルホネート又はアルケニルスク
    シンイミドとの存在下で実施される請求項1記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 ポリオール助触媒の酸化生成物を実質
    的に含まない約200〜350のTBNを有するカルシ
    ウム過塩基性化硫化アルキルフェネート組成物の製造方
    法であって、 (a)少なくとも1個の炭素数6〜36アルキル置換基
    を有するアルキルフェノールを硫黄と接触させる際に、
    炭素数1〜3のアルカン酸、前記アルカン酸混合物、ア
    ルカン酸アルカリ土類金属塩、及びこれらの混合物から
    成る群から選択される酸助触媒の存在下、及び、前記ア
    ルキルフェノール及び前記助触媒を中和させるために充
    分な、少なくとも化学量論量のカルシウム塩基の存在
    下、約130℃〜250℃の範囲内の温度において、ポ
    リオール助触媒も炭素数1〜5の一価アルカノールも存
    在しない反応条件下で、硫黄の実質的に全てを反応させ
    るために充分な時間接触させて、それによって、元素状
    硫黄を実質的に含まないカルシウム硫化アルキルフェネ
    ート反応生成物混合物を得る工程と; (b)炭素数2〜6のアルキレングリコールの存在下で
    約200℃〜260℃の範囲内の温度の反応条件下で工
    程(a)の反応生成物を、二酸化炭素及び所望のTBN
    を与えるために必要な場合の追加のカルシウム塩基と接
    触させる工程とを含む前記方法。
  13. 【請求項13】 約0.8〜3.5モルの硫黄と、0.
    025〜2モルの助触媒と、アルキルフェノール1モル
    につき0.5〜2モルのカルシウム塩基と、アルカン酸
    1モルにつき0.5モルのカルシウム塩基と、少量の不
    活性有機液体希釈剤とを用いて、工程(a)が実施され
    る請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 工程(b)が工程(a)の反応生成物
    の混合物と、アルキルフェノールのモルあたり約1〜2
    モルのカルシウム塩基と、約0.2〜2モルの二酸化炭
    素と、0.2〜2モルのアルキレングリコールとを用い
    て、現場で(in situ) 実施され、前記アルキレングリコ
    ールがエチレングリコールである請求項13記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 工程(a)と(b)が約25mmHg
    (絶対)〜850mmHg(絶対)の範囲内の圧力にお
    いて実施される請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 助触媒がギ酸、酢酸及びこれらの混合
    物から成る群から選択される請求項14記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記助触媒がギ酸であり、工程(a)
    が約130℃〜175℃の温度において実施される請求
    項14記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記助触媒が酢酸、プロピオン酸、酢
    酸とプロピオン酸との混合物、及びこれらとギ酸との混
    合物から成る群から選択され、工程(a)が約170℃
    〜250℃の範囲内の温度において実施される請求項1
    4記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記助触媒が酢酸、プロピオン酸、及
    びこれらの混合物から成る群から選択され、工程(a)
    が約190℃〜250℃の範囲内の温度において実施さ
    れる請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 助触媒がギ酸カルシウム、酢酸カルシ
    ウム、プロピオン酸カルシウム及びこれらの混合物から
    成る群から選択される請求項12記載の方法。
  21. 【請求項21】 工程(a)が炭素数6〜16の高級ア
    ルカノールと、中性若しくは過塩基性化アルカリ土類金
    属有機スルホネート又はアルケニルスクシンイミドとの
    存在下で実施され、工程(b)が工程(a)の反応生成
    物の混合物によって現場で実施され、アルキルフェノー
    ルの中和によって形成される水が工程(b)の前に除去
    される請求項12記載の方法。
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