JPH0912523A - ヘプタン酸誘導体およびその医薬用途 - Google Patents

ヘプタン酸誘導体およびその医薬用途

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JPH0912523A
JPH0912523A JP7159257A JP15925795A JPH0912523A JP H0912523 A JPH0912523 A JP H0912523A JP 7159257 A JP7159257 A JP 7159257A JP 15925795 A JP15925795 A JP 15925795A JP H0912523 A JPH0912523 A JP H0912523A
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amino acid
acid
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JP7159257A
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English (en)
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Tetsuya Aono
哲也 青野
Fumio Ito
文雄 伊藤
Seiichi Tanida
清一 谷田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】免疫増強剤および血小板減少症予防・治療剤と
して有用な化合物を提供する。 【構成】一般式 【化1】 〔式中、R1及びR2はアシル;R3,R4,R6及びR7
水素又はアルキル;R5は水素,アルキル又は保護され
ていてもよい水酸基又はアミノ基;又はR4及びR5は一
緒になって結合手;Xはカルボニル又はスルホニル;Y
はスルホン酸アミド結合を介していてもよいアミノ酸配
列〕で表わされる化合物またはその塩。 【効果】本発明の化合物又はその塩は、免疫増強作用及
び血小板減少回復作用を有し、白血球減少症の予防・治
療剤、免疫増強剤及び血小板減少症の予防・治療剤とし
て用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規ヘプタン酸誘導体に
関する。本発明のヘプタン酸誘導体は、免疫増強作用お
よび血小板増加作用を示し、例えば種々の原因によって
引き起こされる白血球減少症、白血球の減少に起因する
疾患、治療上骨髄細胞や白血球の増加を必要とする疾
患、血小板減少症、血小板の減少に起因する疾患、治療
上巨核球や血小板の増加を必要とする疾患等の予防・治
療剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】特開平4−46194号公報には、下式
で示される白血球増加活性を有する4−チアヘプタン酸
誘導体(WS−1279A)が記載されている。
【化2】 またWS−1279Aの合成に関しては、津田ら〔ケミ
カル・ファルマシウチカル・ビュレチン(Chem. Pharm.
Bull.),39巻,607〜611頁(1991年)〕お
よび阿知波ら〔特開平4−99796号公報,ケミカル
・ファルマシウチカル・ビュレチン(Chem. Pharm. Bul
l.),39巻,2590〜2596頁(1991年),
ペプチド・ケミストリー(Peptide Chemistry),361
〜366頁(1991年)〕により報告されている。その
他、EP641776には、4位がS(O)n(nは0〜
2)であるヘプタン酸誘導体が、特開平4−46194
および7−126243号公報には、4位がSであるヘ
プタン酸誘導体が、EP377,139にはS(O)m(m
は0〜2)であるヘプタン酸誘導体が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】癌に対する化学治療法
や放射線療法を実施すると、患者に重篤な白血球減少症
あるいは血小板減少症が引き起こされる。白血球減少症
によって、感染やその他の諸疾患に対する抵抗力が衰
え、また血小板減少により止血機能の不全を来し、十分
な治療効果が得られなくなることが癌治療上の大きな問
題となっている。このため、白血球数あるいは血小板数
の回復を促進する薬剤が切望されている。また、骨髄移
植による治療、骨髄異形成症候群等の治療に於いても白
血球を速やかに回復させる事のできる薬剤が求められて
いる。さらに、骨髄移植後の血小板減少症や血小板減少
を伴う自己免疫疾患、例えば再生不良性貧血症、突発性
血小板減少性紫斑点症等の分野などでもこの種の薬剤が
求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、種々の化合物をデザイン・合成し、それらの
白血球および血小板の減少回復活性を調べた。その結
果、4位が炭素原子であるところに特徴を有するヘプタ
ン酸誘導体: 一般式〔I〕
【化3】 〔式中、R1およびR2はそれぞれアシル基;R3、R4
6およびR7はそれぞれ水素または置換基を有していて
もよいアルキル基;R5は水素、置換基を有していても
よいアルキル基、保護されていてもよい水酸基または保
護されていてもよいアミノ基;R4およびR5は一緒にな
って結合手を形成していてもよく;Xはカルボニル基ま
たはスルホニル基;Yはスルホン酸アミド結合を介して
いてもよいアミノ酸配列を示す。〕で表される化合物ま
たはその塩を初めて合成するとともに、この化合物が、
マウスの骨髄細胞の増加を促進し、末梢血の白血球数を
増加させ、免疫を増強させることおよびマウスの骨髄細
胞を刺激して、巨核球の増殖分化を促進させることを見
出し、これらの知見に基づき、更に研究を重ねた結果、
本発明を完成した。すなわち本発明は、(1)一般式
〔I〕またはその塩、(2)アシル基が炭素数8ないし
26の脂肪族アシル基である前記(1)記載の化合物、
【0005】(3)アミノ酸配列が1ないし7個の保護
されていてもよいアミノ酸からなる前記(1)記載の化合
物、(4)R1およびR2がそれぞれ炭素数8ないし26
の脂肪族アシル基;R3、R4、R6およびR7がそれぞれ
水素または炭素数1ないし6のアルキル基;R5が水
素、炭素数1ないし6のアルキル基または保護されてい
てもよいアミノ基;Xがカルボニル基;およびYが保護
されていてもよい1ないし5個のアミノ酸からなり、ス
ルホン酸アミド結合を介していてもよいアミノ酸配列で
ある前記(1)記載の化合物、(5)R1およびR2がそれ
ぞれC3-8シクロアルキルおよびC6-14アリールから選
ばれた1ないし3個の置換基で置換されていてもよい炭
素数10ないし20の脂肪族アシル基である前記(4)記
載の化合物、(6)R3、R4、R5、R6およびR7が水
素である前記(4)記載の化合物、(7)アミノ酸配列が
2ないし5個の保護されていてもよいアミノ酸からな
り、その末端が酸性アミノ酸である前記(4)記載の化合
物、(8)アミノ酸配列が天然型アミノ酸からなる前記
(7)記載の化合物、(9)アミノ酸配列が−NR8−W−
CO−(R8は水素または低級アルキル基、Wは置換基
を有していてもよい炭化水素基を示す)で始まる前記
(7)記載の化合物、(10)酸性アミノ酸が保護されて
いてもよいL−グルタミン酸である前記(7)記載の化合
物、(11)アミノ酸配列が2または3個のアミノ酸か
らなる前記(7)記載の化合物、(12)前記(1)記載の化
合物を含有する医薬組成物、(13)免疫増強剤である
前記(12)記載の組成物、(14)血小板減少症の治療剤
である前記(12)記載の組成物、(15)白血球数あるい
は血小板数回復のための前記(1)記載の化合物の使用
法、(16)前記(1)記載の化合物の有効量を哺乳動物
に投与することからなる白血球数あるいは血小板数回復
のための方法などに関する。
【0006】一般式〔I〕において、R1およびR2で表
わされるアシル基としては、例えば置換カルバモイル
基,脂肪族アシル基等が挙げられる。該「置換カルバモ
イル基」における置換基は、例えば直鎖状もしくは分枝
状または飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。該
「炭化水素基」としては、例えば炭素数6〜24の脂肪
族炭化水素基(例、ヘキシル,ヘプチル,オクチル,ノ
ニル,デシル,ウンデシル,ドデシル,トリデシル,テ
トラデシル,ペンタデシル,ヘキサデシル,ヘプタデシ
ル,オクタデシル,ノナデシル,エイコシル等の直鎖ア
ルキル基,3,7,11−トリメチルドデシル,3,7,1
1,15−テトラメチルヘキサデシル,12−シクロヘ
キシルドデシル等の分枝状アルキル基;ゲラニル,ファ
ルネシル,ゲラニルゲラニル,4,8,12−トリメチル
−3,7,11−トリデカトリエニル等のアルケニル基
等)などが用いられる。これらの置換基は、カルバモイ
ル基に1または2個置換していていもよい。該「炭化水
素基」の好ましいものとしては、例えば炭素数8〜22
の脂肪族炭化水素基(例、オクチル,ノニル,デシル,
ウンデシル,ドデシル,トリデシル,テトラデシル,ペ
ンタデシル,ヘキサデシル,ヘプタデシル,オクタデシ
ル,ノナデシル,エイコシル等の直鎖アルキル基,3,
7,11−トリメチルドデシル,3,7,11,15−テト
ラメチルヘキサデシル,12−シクロヘキシルドデシル
等の分枝状アルキル基,ゲラニル,ファルネシル,ゲラ
ニルゲラニル,4,8,12−トリメチル−3,7,11−
トリデカトリエニル等のアルケニル基等)などが挙げら
れ、特に好ましいものとして、例えば炭素数10〜20
の脂肪族炭化水素基(例、デシル,ウンデシル,ドデシ
ル,トリデシル,テトラデシル,ペンタデシル,ヘキサ
デシル,ヘプタデシル,オクタデシル,ノナデシル,エ
イコシル等の直鎖アルキル基;3,7,11−トリメチル
ドデシル,3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシ
ル,12−シクロヘキシルドデシル等の分枝状アルキル
基;ゲラニル,ファルネシル,ゲラニルゲラニル,4,
8,12−トリメチル−3,7,11−トリデカトリエニ
ル等のアルケニル基等)などが挙げられる。
【0007】該「脂肪族アシル基」は、例えば飽和また
は不飽和の脂肪族アシル基などである。該「脂肪族アシ
ル基」としては、例えば炭素数8〜26の脂肪族アシル
基(例、オクタノイル,ドデカノイル,トリデカノイ
ル,テトラデカノイル,ペンタデカノイル,ヘキサデカ
ノイル,ヘプタデカノイル,オクタデカノイル,ノナデ
カノイル,ノコサノイル,テトラコサノイル,ミリスト
レオイル,オレオイル,パルミトレオイル,エテイドイ
ル,シス,シス−9,12−オクタデカジエノイル,9,
12,15−オクタデカトリエノイル,9,11,13−
オクタデカトリエノイル,5,8,11,14−イコサテ
トラエノイル,シス−15−テトラコサエノイル基等)
などが用いられる。該「脂肪族アシル基」の好ましいも
のとしては、例えば8〜24の脂肪族アシル基(例、オ
クタノイル,ドデカノイル,トリデカノイル,テトラデ
カノイル,ペンタデカノイル,ヘキサデカノイル,ヘプ
タデカノイル,オクタデカノイル,ノナデカノイル,ノ
コサノイル,テトラコサノイル,ミリストレオイル,オ
レオイル,パルミトレオイル,エテイドイル,シス,シ
ス−9,12−オクタデカジエノイル,9,12,15−
オクタデカトリエノイル,9,11,13−オクタデカト
リエノイル,5,8,11,14−イコサテトラエノイ
ル,シス−15−テトラコサエノイル基等)などが挙げ
られ、特に好ましいものとして、例えば炭素数10〜2
0の脂肪族アシル基(例、ドデカノイル,トリデカノイ
ル,テトラデカノイル,ペンタデカノイル,ヘキサデカ
ノイル,ヘプタデカノイル,オクタデカノイル,ノナデ
カノイル,ノコサノイル,ミリストレオイル,オレオイ
ル,パルミトレオイル,エテイドイル,シス,シス−
9,12−オクタデカジエノイル,9,12,15−オク
タデカトリエノイル,9,11,13−オクタデカトリエ
ノイル,5,8,11,14−イコサテトラエノイル,シ
ス−15−テトラコサエノイル基等)などが挙げられ
る。
【0008】上記した「置換カルバモイル基」および
「脂肪族アシル基」は、さらに置換基を1ないし3個有
していてもよい。このような置換基としては、例えばハ
ロゲン原子(例、フッ素,塩素など)、炭素数3〜8の
シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチ
ル,シクロペンチル,シクロヘキシル等)、炭素数6〜
14のアリール基(例、フェニル,トリル,キシリル,
ビフェニル,1−または2−ナフチル等)などが挙げら
れ、特に例えば炭素数3〜8のシクロアルキル基(例、
シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シク
ロヘキシル等)、炭素数6〜14のアリール基(例、フ
ェニル,トリル,キシリル,ビフェニル,1−または2
−ナフチル等)などが好ましい。また、アリール基は、
さらに炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル,エ
チル,プロピル,イソプロピル等)、ハロゲン原子
(例、フッ素,塩素等)などを1ないし3個有していて
もよい。一般式〔I〕において、R1およびR2は、それ
ぞれ脂肪族アシル基のときが好ましい。特に好ましいも
のとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキル基
(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチ
ル,シクロヘキシル等)および炭素数6〜14のアリー
ル基(例、フェニル,トリル,キシリル,ビフェニル,
1−または2−ナフチル等)から選ばれる1ないし3個
の置換基を有していてもよい炭素数10〜20の脂肪族
アシル基である。
【0009】一般式〔I〕において、R3,R4,R5
6またはR7で表わされる「置換基を有していてもよい
アルキル基」の「アルキル基」としては、例えば炭素数
1〜6のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピ
ル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチ
ル,ペンチル,イソペンチル,1−エチルプロピル,ヘ
キシル,イソヘキシル等)などが挙げられ、炭素数1〜
4のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,
イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル等)
が汎用される。該「アルキル基」は、メチルまたはエチ
ルが特に好ましい。前記した「アルキル基」は、例えば
(1)ヒドロキシ、(2)アミノ、(3)カルボキシ
ル、(4)ニトロ、(5)モノ−またはジ−C1-6アル
キルアミノ(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロ
ピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、
(6)C1-6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、
プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、(7)C1-6アルキ
ルカルボニルオキシ(例えばアセトキシ、エチルカルボ
ニルオキシ等)および(8)ハロゲン(例えばフッ素、
塩素、臭素、ヨウ素等)から選ばれる1ないし4個の置
換基を有していてもよい。
【0010】一般式〔I〕において、Rで表わされる
保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいア
ミノ基における保護基としては、(1)ハロゲン原子
(例えば塩素、臭素、フッ素等)、炭素数6〜10のア
リール基(例えばフェニル、ナフチル等)、炭素数7〜
12のアラルキル基(例えばベンジル、フェニルエチル
等)ニトロ基およびビニル基等から選ばれる1ないし4
個の置換基を有していていもよい炭素数2〜7のアルコ
キシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキ
シカルボニル、プロポキシカルボニル,tert−ブトキシ
カルボニル等)、(2)ホルミル基、(3)ハロゲン原
子(例えば塩素、臭素、フッ素等)、保護されていても
よいアミノ基(保護基としては、後述のアミノ基の保護
基と同様のものが用いられる)、炭素数6〜10のアリ
ール基(例えばフェニル、ナフチル等)およびニトロ基
等から選ばれる1ないし3個の置換基を有していていも
よい炭素数2〜7のアルカノイル基(例えばアセチル、
プロピオニル等)、(4)ハロゲン原子(例えば塩素、
臭素、フッ素等)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば
メチル、エチル、プロピル,イソプロピル等)、炭素数
6〜10のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)
およびニトロ基等から選ばれる1ないし4個の置換基を
有していていもよいの炭素数7〜11のアリールオキシ
カルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル、ナフ
チルオキシカルボニル等)、
【0011】(5)ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、
フッ素等)、炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチ
ル、エチル、プロピル,イソプロピル等)、炭素数6〜
10のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)およ
びニトロ基等から選ばれる1ないし4個の置換基を有し
ていていもよい炭素数7〜11のアリールカルボニル基
(例えばベンゾイル、ナフチルカルボニル等)、(6)
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素等)、炭素数
1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピ
ル,イソプロピル等)、炭素数6〜10のアリール基
(例えばフェニル、ナフチル等)およびニトロ基等から
選ばれる1ないし4個の置換基を有していていもよい炭
素数8〜13のアラルキルカルボニル基(例えばベンジ
ルカルボニル、フェネチルカルボニル等)が挙げられ
る。
【0012】その他、アミノ基の保護基として、後述の
ペプチド合成時に用いられる保護基なども用いられる。
また、水酸基の保護基として、前記のものの他に、例え
ばハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素等)、炭素
数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピ
ル,イソプロピル等)、炭素数6〜10のアリール基
(例えばフェニル、ナフチル等)、炭素数7〜12のア
ラルキル基(例えばベンジル、フェニルエチル等)およ
びニトロ基等から選ばれる1ないし4個の置換基を有し
ていていもよいのトリ−C1-4アルキルシリル基(例え
ばピラニルまたはフラニルや、例えばトリメチルシリ
ル、トリエチルシリル等)等が用いられる。一般式
〔I〕において、R3、R4、R6およびR7はそれぞれ水
素または炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特に水
素の場合が汎用される。一般式〔I〕において、R5
水素、炭素数1〜6のアルキル基または保護されていて
もよいアミノ基が好ましく、特に水素原子の場合が汎用
される。一般式〔I〕において、R4およびR5は一緒に
なって結合手を形成していてもよい。一般式〔I〕にお
いて、Xはカルボニル基またはスルホニル基を示し、特
にカルボニル基である場合が汎用される。
【0013】一般式〔I〕において、Yで表されるアミ
ノ酸配列中のアミノ酸は非天然型または天然型のアミノ
酸のいずれであってもよい。天然型アミノ酸としては、
蛋白質を構成するアミノ酸または微生物代謝産物あるい
は動植物成分として天然界から得られるアミノ酸などが
挙げられる。蛋白質を構成するアミノ酸としては、例え
ば脂肪族モノアミノカルボン酸(例えばグリシン,アラ
ニン,バリン,ロイシン,イソロイシン等)、脂肪族オ
キシアミノ酸(例えばセリン,スレオニン等)、酸性ア
ミノ酸(例えばアスパラギン酸,グルタミン酸等)、酸
性アミノ酸アミド(例えばアスパラギン,グルタミン
等)、芳香族アミノ酸(例えばフェニルアラニン,チロ
シン,トリプトファン等)、イミノカルボン酸(例えば
プロリン,ヒドロキシプロリン等)、塩基性アミノ酸
(例えばアルギニン,リジン,ヒスチジン等)、含硫ア
ミノ酸(例えばメチオニン,シスチン,システイン等)
等が挙げられる。
【0014】微生物代謝産物あるいは動植物成分として
天然界から得られるアミノ酸としては、例えば脂肪族モ
ノアミノカルボン酸(例えばL−α−アミノ酪酸,γ−
アミノ酪酸,β−アミノイソ酪酸,β−アラニン,ホモ
セリン,α−メチル−D−セリン,O−カルバミル−D
−セリン,δ−ハイドロキシ−γ−オキソ−ノルバリン
等)、モノアミノジカルボン酸(例えばL−α−アミノ
アジピン酸,L−テアニン,L−γ−メチレングルタミ
ン酸,L−γ−メチルグルタミン酸等),ジアミノモノ
カルボン酸(例えばL−オルニチン,β−リジン,α,
β−ジアミノプロピオン酸,L−α,γ−ジアミノ酪酸
等)、ジアミノジカルボン酸(例えばジアミノピメリン
酸等)、含スルホン酸アミノ酸(例えばシステイン酸
等)、芳香族アミノ酸(例えばキヌレニン,3,4−ジ
オキシフェニル−L−アラニン等)、複素環アミノ酸
(例えば2,3−ジカルボキシアジリヂン,〔S〕−2
−アミノ−3−(イソキサゾリン−5−オン−4−イ
ル)−プロピオン酸,アンチカプシン等)、塩基性アミ
ノ酸(例えばL−4−オキサリジン,L−4−オキソリ
ジン,〔3R,5R〕−3,6−ジアミノ−5−ハイド
ロキシヘキサン酸等)、含硫アミノ酸(例えばランチオ
ニン,S−メチル−L−システイン等)、環状アミノ酸
(例えばピペコリン酸,アゼチジン−2−カルボン酸,
〔1R,2S〕−2−アミノシクロペンタン−1−カル
ボン酸等)、特殊官能基置換アミノ酸(例えばシトルリ
ン,アラノシン,L−アザセリン等)、スルホン酸型ア
ミノ酸(例えばタウリン,スルファニル酸等)等が挙げ
られる。
【0015】非天然型アミノ酸としては、例えば一般式 NHR8−W−COOH 〔V〕 〔式中、R8は水素または低級アルキル基;Wは置換基
を有していてもよい2価の炭化水素基を示す〕で表わさ
れる脂肪族または芳香族アミノ酸を示す。R8で表わさ
れる「低級アルキル基」としては、例えば炭素数1〜6
のアルキル基(例えばメチル,エチル,プロピル等)等
が挙げられる。Wで表わされる「2価の炭化水素基」と
しては、例えば2価の脂肪族炭化水素基,2価の芳香族
炭化水素基等が挙げられる。該「脂肪族炭化水素基」と
「芳香族炭化水素基」とが組合わさって2価の基を形成
していてもよい。該「2価の脂肪族炭化水素基」として
は、−Cm2m−(1≦m≦15,mは整数)で表わさ
れる直鎖または分枝状の飽和炭化水素基(例えばメチレ
ン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレン,ペンタ
メチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,オクタメ
チレン,ノナメチレン,デカメチレン,ウンデカメチレ
ン,ドデカメチレン,トリデカメチレン,テトラデカメ
チレン,ペンタデカメチレン,エチルエチレン,プロピ
レン等),−Cp2(p-q)−(2≦p≦15,p>q,
pおよびqは整数)で表わされる直鎖または分枝状の不
飽和炭化水素基(例えばプロペニレン,ビニレン等),
−Cr2(r-1)−(r≧3,rは整数)で表わされる脂
肪族環状炭化水素基(例えばシクロヘキシレン,シクロ
ペンチレン等)などが挙げられる。該「2価の脂肪族炭
化水素基」は、−Cm2m−(1≦m≦15,mは整
数)で表わされる直鎖または分枝状の飽和炭化水素基が
汎用される。
【0016】該「2価の芳香族炭化水素基」としては、
例えばベンゼン,ピリジン,フラン,チアゾール,チオ
フェン,ビフェニル等に対応するフェニレン,ピリジレ
ン,フリレン,チアゾリレン,チエニレン,ビフェニレ
ン等が挙げられ、特にフェニレンが好ましい。該「芳香
族炭化水素基」は、環内にアミドまたはイミド結合を有
する複素環と縮合していてもよい。この際、結合手は芳
香族炭化水素基および複素環上のいずれにあってもよ
い。前記複素環としては、例えば2−ピロリドン、1−
ピロリン−2−オン、スクシンイミド等の5員環、2−
(5H,6H)ピリジノン,2−(3H,4H)ピリジノン,
2−ピペリジノン,グルタルイミド等の6員環が挙げら
れる。複素環は、例えば2−ピロリドン、1−ピロリン
−2−オン、スクシンイミド等の5員環が好ましい。縮
合環の好ましい例としては、例えばインドリン−2−オ
ン,イソインドリン−1−オン,フタルイミド,2−キ
ノロン,1−イソキノロン,2−(3H,4H)キノリノ
ン,1−(3H,4H)イソキノリノン,4H−イソキノ
リノン−1,3−ジオン等が挙げられる。縮合環の、さ
らに好ましい例としては、例えばインドリン−2−オ
ン,イソインドリン−1−オン,フタルイミド等であ
る。2価の縮合環基とは、例えば式
【化4】
【化5】 で表される基である。2価の芳香族炭化水素基は、炭素
数6〜12の芳香族炭化水素基(例えばフェニレン,ビ
フェニレン等)が好ましい。
【0017】脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが
組合わさって2価の基を形成する場合、該「脂肪族炭化
水素基」は、−Cm2m−(1≦m≦15,mは整数)
で表わされる直鎖または分枝状の飽和炭化水素基(例え
ばメチレン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレ
ン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレ
ン,オクタメチレン,ノナメチレン,デカメチレン,ウ
ンデカメチレン,ドデカメチレン,トリデカメチレン,
テトラデカメチレン,ペンタデカメチレン,エチルエチ
レン,プロピレン等)が好ましい。脂肪族炭化水素基
は、メチレンまたはエチレンが好ましい。芳香族炭化水
素基は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基(例えばベ
ンゼン,ビフェニル等に対応するフェニレン,ビフェニ
レン等)が好ましい。
【0018】Wで表わされる「2価の炭化水素基」は、
置換基として、例えばカルボキシル基,アミノ基,スル
ホ基,ハロゲン原子(例えば塩素,フッ素等)等から選
ばれる基を1ないし3個有していてもよく、カルボキシ
ル基またはハロゲン原子(例えば塩素,フッ素等)が汎
用される。一般式〔I〕において、Yで表されるアミノ
酸配列は、1〜7個、特に1〜5個のアミノ酸からなる
場合が好ましい。一般式〔I〕において、Yで表される
アミノ酸配列中、アミノ酸が有していてもよい保護基と
は、例えばペプチド合成においてアミノ基,カルボキシ
ル基またはヒドロキシル基の保護のため公知のもので、
例えば加水分解、加水素分解、還元、アミノリシスまた
はヒドラジノレシスなどによって脱離される保護基など
を示す。「アミノ基」の保護基としては、ウレタン型保
護基(例えばカルボベンゾキシ,t−ブチルオキシカル
ボニル,アリルオキシカルボニル,t−アミルオキシカ
ルボニル,イソボルニルオキシカルボニル,4−メトキ
シベンジルオキシカルボニル,2−クロルベンジルオキ
シカルボニル,アダマンチルオキシカルボニル,9−フ
ルオレニルメチルオキシカルボニル,2,2,2−トリク
ロロエチルオキシカルボニル等)、アシル型保護基(例
えばホルミル,トリフルオロアセチル,クロロアセチ
ル,フタリル,トシル,2−ニトロスルフェニル,4−
メトキシ−2−ニトロスルフェニル,ベンゾイル等)、
アルキル型保護基(例えばトリチル,ベンジル等)等が
挙げられ、特にウレタン型保護基が好ましい。
【0019】「カルボキシル基」は、例えばアミド基、
ヒドラジド基またはエステルに変換することによって保
護される。アミド基またはヒドラジド基は置換されてい
るものが好ましい。アミド基は例えばアルコキシ基で置
換されていてもよいC7-19アラルキル基(例えば3,4
−ジメトキシベンジル基又はビス−(p−メトキシフェ
ニル)−メチル基等)で置換されているものが好まし
い。ヒドラジド基は例えばハロゲン原子(例えばフッ
素,塩素,臭素等)、C6-12アリール基(例えばフェニ
ル,p−ビフェニリル等)で置換されていてもよいC
1-6アルキルオキシカルボニル基(例えばベンジルオキ
シカルボニル基,トリクロロエチルオキシカルボニル
基,tert−ブチルオキシカルボニル基,2−(p−ビフ
ェニリル)−イソプロピルオキシカルボニル基等)、ハ
ロゲン化C2-6アルカノイル基(例えばトリフルオロア
セチル基等)、C7-19アラルキル基(例えばトリチル基
等)等で置換されているものが好ましい。「カルボキシ
ル基」は、さらに例えば置換されていてもよい低級アル
コール(例えばメタノール,エタノール,シアノメチル
アルコール,ベンゾイルメチルアルコール,tert−ブタ
ノール等)、アルアルカノール〔例えば低級アルキル
基,低級アルコキシ基もしくはハロゲン原子によって置
換されていてもよいベンジルアルコールまたはベンズヒ
ドロール類(例えばベンズヒドロール,p−ニトロベン
ジルアルコール,p−メトキシベンジルアルコール,
2,4,6−トリメチルベンジルアルコール等)等〕、電
子吸引性置換基で置換されていてもよいフェノールおよ
びチオフェノール(例えばチオフェノール,チオクレゾ
ール,p−ニトロチオフェノール,2,4,5−および
2,4,6−トリクロロフェノール,p−シアノフェノー
ル,p−メタンスルホニルフェノール等、さらにN−ヒ
ドロキシイミド(例えばN−ヒドロキシスクシンイミ
ド,N−ヒドロキシフタルイミド等)、N−ヒドロキシ
ピペリジン、8−ヒドロキシキノリン等によりエステル
化されている場合が好ましい。
【0020】中性条件下で脱離しうるカルボキシル基の
特別の保護基はドイツ連邦共和国特許出願公開第270
6490号公報に記載されているヒドロカルビル−シリ
ル−エチル基(例えば2−(トリメチルシリル)−エチ
ル基等)である。「ヒドロキシル基」の保護は、例えば
アシル化またはエーテル化によって保護することができ
る。アシル化する場合のアシル基としては、ホルミル
基、アセチル基、ベンゾイル基等の他に、特に炭酸から
誘導される基(例えばベンジルオキシカルボニル基また
はエチルオキシカルボニル基等)等が適当である。エー
テル化に適当な基は、トリメチルシリル基、t−ブチル
メチルシリル基等の他に、例えばベンジル基、テトラヒ
ドロピラニル基またはtert−ブチル基等である。更に、
ヒドロキシ基の保護にはケミシェ・ベリヒテ(Chem. Be
r.)、100巻(1967年)、3838〜3849頁
に記載されている2,2,2−トリフルオロ−1−tert−
ブチルオキシカルボニルアミノエチル基または2,2,2
−トリフルオロ−1−ベンジルオキシカルボニルアミノ
エチル基等が適当である。一般式〔I〕において、Yで
表されるアミノ酸配列中、スルホン酸アミド結合を含ん
でいてもよく、好ましくは式 −SO2NH− 〔VI〕 で表わされる。前記したYで表されるアミノ酸配列中、
アミノ酸がスルホン酸型アミノ酸である場合、該アミノ
酸配列は、スルホン酸アミド結合を有する.
【0021】Yで表されるアミノ酸配列の好ましいもの
として、例えば以下の場合が挙げられる。 (1)アミノ酸配列が2ないし5個のアミノ酸からな
り、その末端が酸性アミノ酸である場合。 (2)アミノ酸配列が(1)の条件で、かつ天然型アミノ
酸のみからなる場合。 (3)アミノ酸配列が(1)の条件で、かつ非天然型アミ
ノ酸である−NR8−W−CO−(式中の記号は前記と
同意義)で始まる場合。 (4)アミノ酸配列が(1)の条件で、かつその末端がL
−グルタミン酸である場合。 (5)アミノ酸配列が2または3個のアミノ酸からな
り、その末端が酸性アミノ酸である場合。 (6)アミノ酸配列が(5)の条件で、かつ非天然型アミ
ノ酸である−NR8−W−CO−(式中の記号は前記と
同意義)で始まる場合。 (7)アミノ酸配列が(5)の条件で、かつその末端がL
−グルタミン酸である場合。
【0022】化合物〔I〕またはその塩は、例えば一般
【化6】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化
合物またはその塩をアシル化またはカルバモイル化反応
に付し、ついで所望により脱保護基反応に付すことによ
って製造される。R1またはR2が脂肪族アシル基である
場合、アシル化反応は、例えば一般式 R−Z 〔VII〕 〔式中、Rは前記R1またはR2で示される脂肪族アシル
基と同意義、Zはハロゲン原子(例えば塩素、臭素等)
または水酸基を示す〕で表される化合物を用いることに
より行われる。反応は、通常、反応を阻害しない溶媒中
で行われる。反応を阻害しない溶媒としては、例えばハ
ロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム,ジクロロメ
タン等)、芳香族炭化水素類(例えばべンゼン,トルエ
ン,キシレン等)、アミド類(例えばジメチルホルムア
ミド,ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドン
等)、スルホキシド類(例えばジメチルスルホキシド
等)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン,ジオキ
サン等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル等)、ピ
リジン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種または2
種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。反応の
際、反応速度促進の目的で塩基(例えばトリエチルアミ
ン,N,N−ジメチルアニリン,4−ジメチルアミノピ
リジン,ピリジン等)を存在させることが好ましい。
【0023】Zが水酸基である場合、反応は縮合剤の存
在下で行う。このような縮合剤としては、例えばジシク
ロヘキシルカルボジイミド、1,1'−カルボニールイミ
ダゾール、N−ハイドロキシコハク酸イミド等が挙げら
れる。化合物〔VII〕の使用量は、化合物〔II〕または
その塩1モルに対して、通常約2〜10倍モル、好まし
くは約2〜5倍モルである。反応温度は、通常約0℃〜
100℃である。反応時間は、反応条件によって異なる
が通常約1〜48時間程度である。R1またはR2が、置
換カルバモイル基である場合、アシル化反応は、R1
たはR2で表される置換カルバモイル基に対応するイソ
シアネートを用いることにより行われる。反応は、通
常、反応を阻害しない溶媒中で行われる。反応を阻害し
ない溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素類(例え
ばクロロホルム,ジクロロメタン等)、芳香族炭化水素
類(例えばべンゼン,トルエン,キシレン等)、アミド
類(例えばジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミ
ド,N−メチルピロリドン等)、スルホキシド類(例え
ばジメチルスルホキシド等)、エーテル類(例えばテト
ラヒドロフラン,ジオキサン等)、ニトリル類(例えば
アセトニトリル等)、ピリジン等が挙げられる。これら
の溶媒は、1種または2種以上を適宜の割合で混合して
用いてもよい。反応の際、反応速度を促進させる目的で
塩基またはルイス酸(例えばトリエチルアミン,N,N
−ジメチルアニリン,4−ジメチルアミノピリジン,ピ
リジン,二塩化ジ−n−ブチルスズ等)を存在させるこ
とが好ましい。前記したイソシアネートの使用量は、化
合物〔IV〕またはその塩1モルに対して、通常約1〜1
0倍モル、好ましくは約1〜5倍モルである。反応温度
は、通常約0℃〜150℃である。反応時間は、反応条
件によって異なるが通常約1〜24時間程度である。
【0024】また、R1またはR2が、置換カルバモイル
基である場合、アシル化反応は、化合物〔II〕またはそ
の塩を炭酸エステル化反応に付して得られる炭酸エステ
ルを、R1またはR2で表される置換カルバモイル基に対
応するアミンと反応させることにより行われる。炭酸エ
ステル化反応は、通常、反応を阻害しない溶媒中で炭酸
エステル化剤を用いて行われる。反応を阻害しない溶媒
としては、例えばハロゲン化炭化水素類(例えばクロロ
ホルム,ジクロロメタン等)、芳香族炭化水素類(例え
ばべンゼン,トルエン,キシレン等)、アミド類(例え
ばジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,N−
メチルピロリドン等)、スルホキシド類(例えばジメチ
ルスルホキシド等)、エーテル類(例えばテトラヒドロ
フラン,ジオキサン等)、ニトリル類(例えばアセトニ
トリル等)、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒
は、1種または2種以上を適宜の割合で混合して用いて
もよい。炭酸エステル化剤としては、例えばハロゲン化
炭酸エステル(例えばクロロ炭酸メチル,クロロ炭酸エ
チル,クロロ炭酸フェニル,クロロ炭酸p−ニトロフェ
ニル等)または1,1−カルボニールジイミダゾール等
が挙げられる。炭酸エステル化剤の使用量は、化合物
〔IV〕またはその塩1モルに対して、通常約2〜10倍
モル、好ましくは約2〜5倍モルである。反応の際、反
応速度促進の目的で塩基(例えばトリエチルアミン,
N,N−ジメチルアニリン,4−ジメチルアミノピリジ
ン,ピリジン等)を存在させることが好ましい。
【0025】反応温度は、通常約0℃〜150℃であ
る。反応時間は、反応条件によって異なるが通常約1〜
24時間程度である。前記した炭酸エステルとしては、
例えばメチル,エチル,フェニル,p−ニトロフェニル
等の炭酸エステルまたはジオール部分をカルボニル基で
結んだ環状炭酸エステル等が挙げられる。炭酸エステル
とアミンとの反応は、通常、反応を阻害しない溶媒中で
行われる。反応を阻害しない溶媒としては、例えばハロ
ゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム,ジクロロメタ
ン等)、芳香族炭化水素類(例えばべンゼン,トルエ
ン,キシレン等)、アミド類(例えばジメチルホルムア
ミド,ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドン
等)、スルホキシド類(例えばジメチルスルホキシド
等)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン,ジオキ
サン等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル等)、ピ
リジン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種または2
種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。反応の
際、反応速度促進の目的で塩基(例えばトリエチルアミ
ン,N,N−ジメチルアニリン,4−ジメチルアミノピ
リジン,ピリジン等)を存在させることが好ましい。前
記したアミンの使用量は、炭酸エステル1モルに対し
て、通常約1〜30倍モル、好ましくは約1〜5倍モル
である。反応温度は、通常約0℃〜150℃である。反
応時間は、反応条件によって異なるが通常約1〜48時
間程度である。
【0026】R1とR2とが異なる基である場合、前記し
た反応を2回に分けて行えばよい。このようなアシル化
反応についで、所望により脱保護基反応を行う。また、
Xがスルホニル基の場合は、前記の方法およびEP−6
41776に記載される方法を用いて製造することがで
きる。脱保護基反応は、自体公知の方法、例えばペプチ
ド化学において常用の方法により行う。例えばウレタン
型保護基で保護されたアミノ基の脱保護基反応は、無溶
媒もしくは反応に悪影響を与えない溶媒中で、酸と接触
することにより行われる。該溶媒としては、ハロゲン化
炭化水素類(例えばジクロロメタン,クロロホルム,
1,2−ジクロロエタン等)、アルコール類(例えばメ
タノール,エタノール等)、水等、もしくはこれらの適
宜の割合の混合物が用いられる。酸としては、例えばハ
ロ酢酸(例えばトリフルオロ酢酸等)、ハロゲン化水素
酸(例えば塩化水素酸,臭化水素酸等)等が用いられ
る。
【0027】N−ベンジルオキシカルボニル基,N−4
−メトキシベンジルオキシカルボニル基は、例えばパラ
ジウム触媒、パラジウム/硫酸バリウム、パラジウム黒
またはロジウム触媒を用いて接触水素添加によって除去
するのが有利である。その際文献から公知の溶剤、例え
ば環状エーテル(例えばテトラヒドロフラン等)を場合
により他の不活性溶剤〔例えば低級脂肪族酸アミド(例
えばジメチルホルムアミド等)等〕と混合して使用す
る。N−9−フルオリレニルオキシカルボニル基は、例
えばジエチルアミン,ピペリジン,モルホリン,4−ジ
メチルアミノピリジン,ジシクロヘキシルアミン等の有
機アミン類を用いて除去するのが有利である。反応は、
反応に悪影響を与えない溶媒中で行われる。該溶媒とし
ては、例えばアミド類(例えばジメチルホルムアミド,
アセトアミド等)、アルコール類(例えばメタノール,
エタノール等)等、もしくはこれらの適宜の割合の混合
物が用いられる。
【0028】N−2,2,2−トリクロロエチルオキシカ
ルボニル基は、有機カルボン酸(例えば酢酸,プロピオ
ン酸等)と共に、金属(例えば亜鉛等)を用いて除去す
るのが有利である。反応は、反応に悪影響を与えない溶
媒中で行われる。該溶媒としては、前記有機カルボン
酸、アルコール類(例えばメタノール,エタノール
等)、水等、もしくはこれらの適宜の割合の混合物が用
いられる。アシル化ヒドロキシ基の脱保護基反応(脱ア
シル化反応)は、反応に悪影響を与えない溶媒中で、酸
と接触することにより行われる。該溶媒としては、ハロ
ゲン化炭化水素類(例えばジクロロメタン,クロロホル
ム,1,2−ジクロロエタン等)、アルコール類(例え
ばメタノール,エタノール等)、水等もしくはこれらの
適宜の割合の混合物が用いられる。酸としては、例えば
ハロ酢酸(例えばトリフルオロ酢酸等)、ハロゲン化水
素酸(例えば塩化水素酸,臭化水素酸等)等が用いられ
る。
【0029】O−ベンジル基は、例えばパラジウム触
媒、パラジウム/硫酸バリウム、パラジウム黒またはロ
ジウム触媒を用いて接触水素添加によって除去するのが
有利である。その際文献から公知の溶剤、例えばアルコ
ール類(例えばエタノール等)、環状エーテル(例えば
テトラヒドロフラン等)等を場合により他の不活性溶剤
〔例えば低級脂肪族酸アミド(例えばジメチルホルムア
ミド等)等〕と混合して使用する。O−テトラヒドロピ
ラニル基またはO−tert−ブチル基は、前記脱アシルと
同様に、酸による加水分解により行うことができる。カ
ルボキシル保護基の脱離は、前記と同様に、酸による加
水分解により行うことができる。また、例えばベンジル
エステルは、前記のO−ベンジル基脱離の場合と同様に
接触水素添加によって脱離することができる。2−(ト
リメチルシリル)−エチル基は中性条件下に、例えば弗
化水素酸の塩、例えば特に第四級窒素塩基と弗化水素酸
の塩(例えばテトラエチルアンモニウムフルオリド等)
を適当な溶剤中で作用させることによって脱離させるこ
とができる。
【0030】化合物〔I〕またはその塩の製造法を例示
したが、例えばYで表されるアミノ酸配列の導入時期は
前記したものに限定されるものではなく、必要に応じて
導入時期を変えてもよい。また、Yで表されるアミノ酸
配列を構成するアミノ酸の保護基等は、必要に応じて保
護基の導入、保護基の脱離を行なえばよい。かくして得
られた化合物〔I〕またはその塩は、通常の分離、精製
手段(例、抽出,分配,再沈殿,クロマトグラフィー,
再結晶等)により単離することができる。なお、化合物
〔I〕にジアステレオマーが存在する場合、所望により
前記分離手段、精製手段により、それぞれを単離するこ
とができる。勿論、いずれの異性体も本発明の化合物に
含まれる。化合物〔I〕がラセミ体として得られた場
合、光学分割によりそれらをd体、l体に分離する事が
できる。化合物〔I〕は、自体公知の方法により、塩基
との塩、とりわけ薬学的に許容される塩基との塩とする
ことができる。該塩基としては、アルカリ金属(例えば
ナトリウム,カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば
カルシウム,マグネシウム等)、有機塩基(例えばトリ
エチルアミン,ピペリジン等)等が挙げられる。化合物
〔I〕は、さらに、酸付加塩、とりわけ薬理学的に許容
される酸付加塩としても得ることができる。該酸として
は、例えば無機塩(例えば塩酸,硫酸,リン酸等)ある
いは有機酸(例えば酢酸,プロピオン酸,クエン酸,酒
石酸,リンゴ酸,蓚酸等)等が挙げられる。前記化合物
〔II〕の塩も化合物〔I〕と同様のものが用いられる。
【0031】一般式〔II〕で表される化合物またはその
塩は、例えば次の反応式で示される方法によって製造す
ることができる。
【化7】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕 また、Xがスルホニル基の場合は、前記の方法およびE
P−641776に記載される方法を用いて製造するこ
とができる。
【0032】アミド化反応は、通常、反応を阻害しない
溶媒中で行われる。該溶媒は、ペプチド縮合反応に使用
し得ることが知られているものから適宜選択される。こ
のような溶媒としては、例えばアミド類(例えば無水ま
たは含水のホルムアミド,ジメチルホルムアミド,N−
メチルピロリドン等)、スルホキシド類(例えばジメチ
ルスルホキシド等)、芳香族アミン類(例えばピリジン
等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム,ジ
クロロメタン等)、エーテル類(例えばテトラヒドロフ
ラン,ジオキサン等)、ニトリル類(例えばアセトニト
リル等)、エステル類(例えば酢酸エチル、ギ酸エチル
等)等が挙げられる。これらの溶媒は、1種または2種
以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。反応温度
は、ペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られ
ている範囲から適宜選択される。具体的には、例えば通
常約−20℃〜40℃の範囲から適宜選択される。反応
時間は、ペプチド結合形成反応に要することが知られて
いる範囲から適宜選択される。具体的には、数分〜48
時間程度の範囲から適宜選択される。化合物〔III〕ま
たはその塩の使用量は、化合物〔IV〕またはその塩1モ
ルに対して、通常約1〜5倍モル、好ましくは約1〜2
倍モルである。
【0033】ジオール化反応は通常反応を阻害しない溶
媒中、酸化剤の存在下に行われる。反応を阻害しない溶
媒としては、例えば水、エーテル類(例えばテトラヒド
ロフラン,ジオキサン等)、アミド類(例えばジメチル
ホルムアミド,ジメチルアセトアミド,N−メチルピロ
リドン等)、アルコール類(例えばt−ブチルアルコー
ル等)、有機酸(例えば酢酸等)、ジメチルスルホキシ
ド、芳香族炭化水素(例えばベンゼン,トルエン等)、
ケトン類(例えばアセトン等)、ピリジン等が挙げられ
る。これらの溶媒は、1種または2種以上を適宜の割合
で混合して用いてもよい。前記酸化剤としては、有機過
酸類(例えば過ギ酸,過酢酸,過トリフルオロ酢酸,オ
ルトスルホ過安息香酸,ペルオキシコハク酸,ジスクシ
ニルペルオキシド等)、有機酸化物触媒(例えば五酸化
バナジウム,二酸化セレン,タングステン酸等)と過酸
化水素、過マンガン酸カリウム、四酸化オスミウム等が
挙げられる。四酸化オスミウムを用いる場合は共酸化剤
として例えば過酸化水素,過塩素酸ナトリウム,t−ブ
チルヒドロペルオキシド,N−メチルモルホリンN−オ
キシド等を用いるのが望ましい。反応温度は、通常約−
20℃〜100℃である。反応時間は、反応条件によっ
て異なるが通常約1〜48時間程度である。前記した原
料化合物〔IV〕は、自体公知の方法(例えば市販試薬を
用いる方法,参考例に記載の方法等)により得られる。
これらの化合物を塩として用いる場合、前記した化合物
〔I〕の塩と同様のものが用いられる。Xがスルホニル
基の場合も同様にして製造できる。
【0034】一般式〔III〕で表される化合物またはそ
の塩は、Yで表わされるアミノ酸配列中のペプチド結合
の任意の位置で2分される2種のフラグメントの一方に
相当する反応性カルボキシル基を有する原料と、他方の
フラグメントに相当する反応性アミノ基を有する原料と
をペプチド合成の常套手段を用いて縮合させることによ
り製造し得る。ペプチド合成の常套手段としては、例え
ば液相合成法、固相合成法のいずれによってもよい。そ
のようなペプチド合成の手段は、任意の公知の方法に従
えばよく、たとえば、エム・ボンドスキイ(M. Bondask
y)およびエム・オンデッテイ(M. Ondetti)著、ペプ
チド・シンセシス(Peptide Synthesis)、インターサ
イエンス、ニューヨーク、1966年;エフ・エム・フ
ィン(F. M. Finn)およびケイ・ホフマン(K. Hofman
n)著、ザ・プロテインズ(The Proteins)、第2巻、
エイチ・ネンラス(H. Nenrath)およびアール・エル・
ヒル(R. L. Hill)編集、アカデミックプレスインク、
ニューヨーク、1976年:泉屋伸夫他著、「ペプチド
合成の基礎と実験」丸善(株)1985年;矢島治明、
榊原俊平他著、生化学実験講座1、日本生化学会編、東
京化学同人 1977年;木村俊他著、続生化学実験講
座2、日本生化学会編、東京化学同人 1987年;ジ
ェイ・エム・スチワート(J. M. Stewart)およびジェ
イ・デイ・ヤング(J. D. Young)著、ソリッド・フェ
イズ・ペプチド・シンセシス(Solid Phase Peptide Sy
nthesis)、ピアスケミカルカンパニー、イリノイ、1
984年などに記載された方法またはそれに準じた方法
により製造される。該方法の具体例として、例えば、ア
ジド法、クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、
DCC法、活性エステル法、ウッドワード試薬Kを用い
る方法、カルボニルイミダゾール法、酸化還元法、DC
C/HONB法、DIC/HONB法、DCC/HON
B法、BOP試薬を用いる方法などが挙げられる。
【0035】本明細書において、アミノ酸,ペプチドに
関し、略号で表示する場合、IUPAC−IUBコミッ
ション・オン・バイオケミカル・ノーメンクラチャー
(Commision on Biochemical Nomenclature)による略
号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものとす
る。また、本明細書中の化合物の基本骨格となる化合物
は次式で表される、6,7−ジヒドロキシヘプタン酸で
ある。
【化8】
【0036】本発明の化合物〔I〕またはその塩(以
下、本発明化合物と略称する)は、骨髄細胞増殖促進作
用や白血球増加作用等に基づく免疫増強作用、および血
小板減少回復作用を有する。本発明化合物は、例えば哺
乳動物(例えばマウス,イヌ,ブタ,ウシ,ウマ,サ
ル,ヒト等)の癌の放射線療法や化学療法などによって
生じる白血球減少症の予防・治療剤として、また、骨髄
移植による治療,骨髄異形成症候群や再生不良性貧血症
の治療時における免疫増強剤として、さらには、血小板
減少症の予防・治療剤として用いられる。本発明化合物
は、被験者の免疫活性レべルを測定するための診断試験
においても用いられる。本発明の免疫増強剤は、細菌性
疾患(例えば百日咳,ジフテリア,破傷風等),ウィル
ス性疾患(例えば麻疹,流行性耳下腺炎,風疹,ポリ
オ,ヘルペス等),真菌感染症(例えばカンジダ症,ア
スペルギルス症等),リケッチア症(例えば発疹チフス
等)等の感染症、腫瘍等の予防・治療剤として用いられ
る。本発明化合物は、免疫アジュバント(抗原と混合し
た場合に、抗原性を高め、優れた免疫応答を与える物
質)としても用いられる。また本発明化合物はサイトカ
イン(例えばG−CSF,M−CSF,CSF,IL−
1,IL−2,IL−6,IL−12等)を誘導する作
用も有する。
【0037】本発明化合物は、毒性も低く安全に用いら
れる。本発明化合物を例えばヒトに投与する場合は、そ
れ自体あるいは適宜の薬理学的に許容される担体、賦形
剤、希釈剤と混合し、医薬組成物として経口的または非
経口的に安全に投与することができる。前記医薬組成物
としては、経口剤(例えば散剤、顆粒剤、カプセル剤、
錠剤等)、非経口剤〔注射剤、点滴剤、外用剤(例えば
経鼻投与製剤、経皮製剤等)、坐剤(例えば直腸坐剤、
膣坐剤等)等〕が挙げられる。これらの製剤は、製剤工
程において通常一般に用いられる自体公知の方法により
製造することができる。
【0038】経口剤は、本発明化合物に、例えば賦形剤
(例えば乳糖、白糖、デンプン等)、崩壊剤(例えばデ
ンプン、炭酸カルシウム等)、結合剤(例えばデンプ
ン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリ
ビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース
等)または滑沢剤(例えばタルク、ステアリン酸マグネ
シウム、ポリエチレングリコール6000等)等を添加
して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、
腸溶性あるいは持続性の目的のためのコーティングを行
うことにより製造することができる。コーティングは、
自体公知の方法で行えばよい。この際、使用するコーテ
ィング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチ
レングリコール、ツイーン80,ブルロニックF68,
セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロ
ースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム
社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)お
よびベンガラ等の色素が挙げられる。
【0039】注射剤は、例えば本発明化合物を、例えば
分散剤(例えばツイーン(Tween)80(アトラスパウダ
ー社製、米国),HCO 60(日光ケミカルズ製),
ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロー
ス、アルギン酸ナトリウム等)、保存剤(例えばメチル
パラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール
等)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム、マンニトー
ル、ソルビトール、ブドウ糖等)等と共に水性注射剤と
して、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油
等の植物油、プロピレングリコール等に溶解、懸濁ある
いは乳化して油性注射剤として成形することにより製造
することができる。
【0040】外用剤は、本発明化合物を固状、半固状ま
たは液状の組成物とすることにより製造される。例え
ば、前記固状の組成物は、本発明化合物をそのまま、あ
るいは賦形剤(例えばグリコール、マンニトール、デン
プン、微結晶セルロース等)、増粘剤(例えば天然ガム
類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体等)等を添
加、混合して粉状とすることにより製造される。前記液
状の組成物は、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あ
るいは水性懸濁剤とすることにより製造される。半固状
の組成物は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟骨状
のものがよい。また、これらの組成物は、いずれもpH
調節剤(例えば炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化
ナトリウム等)、防腐剤(例えばパラオキシ安息香酸エ
ステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム
等)等を含んでいてもよい。坐剤は、本発明化合物を油
性または水性の固状、半固状あるいは液状の組成物とす
ることにより製造される。該組成物に用いる油性基剤と
しては、例えば高級脂肪酸のグリセリド〔例えばカカオ
脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製)
等〕、中級脂肪酸〔例えばミグリオール類(ダイナマイ
トノーベル社製)等〕、あるいは植物油(例えばゴマ
油、大豆油、綿実油等)等が挙げられる。水性基剤とし
ては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレング
リコール等が挙げられる。また、水性ゲル基剤として
は、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重
合体、アクリル酸重合体等が挙げられる。
【0041】本発明化合物をヒトに用いる場合の投与量
は、対象の疾患、投与経路、投与する患者個々の年齢及
び疾病の程度によって変動し得るが、一般に通常の成人
患者(体重50kg)に対し、有効成分1日約0.1〜3
00mgが1〜4回に分けて用いられる。本発明化合物を
例えば注射剤として用いる場合、成人患者(体重50k
g)に対し、有効成分1日約0.1〜100mg,好まし
くは約0.2〜50mgが用いられる。
【0042】
【実施例】以下に参考例および実施例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明する。%は特記しない限り重量%を
示す。混合溶媒において、混合比を示した数値は各溶媒
の容量混合比である。また、参考例および実施例中の略
号は次の意味を有する。 s:シングレット,d:ダブレット,t:トリプレッ
ト,q:クワルテット,dd:ダブルダブレット,d
t:ダブルトリプレット,m:マルチプレット,br:
幅広い,J:カップリング定数,DEPC:シアノリン
酸ジエチル,Z:ベンジルオキシカルボニル基,Bo
c:t−ブトキシカルボニル基
【0043】参考例1 4−(6−ヘプテノイルアミノ)ベンゾイル−L−グル
タミン酸ジ−t−ブチルエステル 6−ヘプテン酸(373mg)、4−アミノベンゾイル−
L−グルタミン酸ジ−t−ブチルエステル(1.0g)
のピリジン(15ml)溶液に三塩化リン(300mg)を
加え室温で30分間撹拌した。溶媒を濃縮し得られた残
渣をシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=2
50:1)にて精製して、無色油状物の表題化合物
(1.29g)を得た。1 H−NMR(CDCl3)δ:1.42(9H,s), 1.49(9H,s),
1.30-1.60(2H,m), 1.65-1.85(2H,m), 1.95-2.50(8H,
m), 4.65(1H,m), 4.90-5.10(2H,m), 5.80(1H,m), 7.01
(1H,d,J=7.6Hz), 7.49(1H,brs), 7.60(2H,d,J=8.6Hz),
7.79(2H,d,J=8.6Hz).
【0044】参考例2 4−(6,7−ジヒドロキシヘプタノイルアミノ)ベン
ゾイル−L−グルタミン酸ジ−t−ブチルエステル 参考例1で得られた4−(6−ヘプテノイルアミノ)ベ
ンゾイル−L−グルタミン酸ジ−t−ブチルエステル
(1.20g)とN−メチルモルホリンN−オキシド
(432mg)のアセトン(15ml)テトラヒドロフラン
(4ml)水(0.2ml)溶液に四酸化オスニウム(10m
g)を加え室温で10時間撹拌した。溶媒を濃縮し得ら
れた残渣をシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノー
ル=20:1)にて精製して、無色油状物の表題化合物
(1.16g)を得た。 IR(Neat)ν:3320(br), 1725, 1635, 1590, 1525,
1505, 1365, 1150cm-1.1 H−NMR(CDCl3)δ:1.41(9H,s), 1.47(9H,s),
1.30-1.70(4H,m), 1.95-2.50(8H,m), 3.30-3.90(5H,
m), 4.63(1H,m), 7.32(1H,d,J=7.4Hz), 7.63(2H,d,J=8.
8Hz), 7.75(2H,d,J=8.8Hz), 8.86(1H,brs).
【0045】実施例1 4−〔6,7−ビス(パルミトイルオキシ)ヘプタノイ
ルアミノ〕ベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−t−ブチ
ルエステル 参考例2で得られた4−(6,7−ジヒドロキシヘプタ
ノイルアミノ)ベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−t−
ブチルエステル(1.10g)、ジメチルアミノピリジ
ン(645mg)のジクロロメタン(20ml)溶液に塩化
パルミトイル(1.216g)を加え室温で1時間撹拌
した。溶媒を濃縮し得られたシリカゲルカラム(ヘキサ
ン/酢酸エチル=3:1)にて精製して、無色アモルフ
ァス状固体の表題化合物(1.84g)を得た。 IR(KBr)ν:2920, 2850, 1730, 1635, 1520, 136
0, 1250, 1150cm-1.1 H−NMR(CDCl3)δ:0.88(6H,t,J=6.6Hz), 1.2
5(48H,s), 1.42(9H,s),1.49(9H,s), 1.30-1.85(10H,m),
1.95-2.50(10H,m), 4.04(1H,dd,J=12.0,6.6Hz), 4.23
(1H,dd,J=12.0,3.6Hz), 4.65(1H,m),5.10(1H,m), 7.01
(1H,d,J=7.4Hz), 7.54(1H,brs), 7.61(2H,d,J=8.6Hz),
7.80(2H,d,J=8.6Hz).
【0046】実施例2 4−〔6,7−ビス(パルミトイルオキシ)ヘプタノイ
ルアミノ〕ベンゾイル−L−グルタミン酸 実施例1で得られた4−(6,7−−ビス(パルミトイ
ルオキシ)ヘプタノイルアミノ〕ベンゾイル−L−グル
タミン酸ジ−t−ブチルエステル(1.70g)のジク
ロロメタン(4ml)溶液にトリフルオロ酢酸(10ml)
を加え室温で1時間撹拌後、溶媒を減圧留去してメタノ
ール−水から結晶化させて無色粉末の表題化合物(1.
232g)を得た。 IR(KBr)ν:2920, 2850, 1730, 1670, 1630, 151
0, 1240, 1175cm-1.1 H−NMR(CDCl3)δ:0.88(6H,t,J=6.6Hz), 1.2
5(48H,s), 1.15-1.80(10H,m), 2.00-2.55(10H,m), 4.10
(1H,m), 4.21(1H,m), 4.65(1H,m), 5.08(1H,m),7.47(2
H,dJ=8.2Hz), 7.64(2H,d,J=8.2Hz), 7.71(1H,m), 8.58
(1H,brs).
【0047】上記実施例で得られた本発明の化合物
〔I〕またはその塩の構造を以下の〔表1〕にまとめて
示す。
【表1】
【0048】試験例1 本発明の化合物のマウス骨髄細胞の増殖促進作用を〔表
2〕に示す。BALB/c マウス骨髄細胞2×106/
ml,2mM L−グルタミン、20μg/ゲンタミシン
(フロー・ラボラトリーズ社製、スコットランド),1
0%牛胎児血清〔バイオ・ウイッタカー社製、米国〕を
含むRPMI 1640培地〔バイオ・ウイッタカー社
製、米国〕に試験化合物を適宜の濃度加え、37℃,5
%炭酸ガスで3日間培養した後、MTT還元法〔多田
ら、ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソーズ(Jo
urnal of Immunologival Methods)第93巻、157
頁、1986年〕で骨髄細胞の増殖を測定した。
【表2】 マウス骨髄細胞増殖促進作用 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 供試化合物 最小有効濃度(MEC,ng/ml)*1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 2の化合物 0.156 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *1 化合物無添加区の増殖を1とし、1.3倍以上の増殖を示した濃度で表 示
【0049】製剤例1 実施例2の化合物を用いて、下記に示す処方の全成分を
混和し、ゼラチンカプセルに充填し、カプセル1個当た
り、30mgの該化合物を含有するカプセル剤を製造し
た。 実施例2の化合物 30mg 乳 糖 100mg コーンスターチ 40mg ステアリン酸マグネシウム 10mg 合 計 180mg
【0050】製剤例2 実施例2の化合物とステアリン酸マグネシウムを可溶性
デンプンの水溶液で顆粒化し、乾燥後、乳糖およびコー
ンスターチと混合した。混合物を圧縮成型し、下記に示
す処方の錠剤を製造した。 実施例2の化合物 30mg 乳 糖 65mg コーンスターチ 30mg 可溶性デンプン 35mg ステアリン酸マグネシウム 20mg 合 計 180mg
【0051】製剤例3 実施例2の化合物を30%(W/V)ポリエチレングリ
コール400を含む生理食塩水に溶解して該化合物の
0.05%溶液を調整し、滅菌瀘過して、バイアルに3
0mlずつ分注した。バイアル1個当たり、15mgの化合
物を含有する静注剤を製造した。
【0052】
【発明の効果】本発明の化合物〔I〕またはその塩は、
免疫増強作用および血小板減少回復作用を有し、癌の化
学治療や放射線治療時に引き起こされる白血球減少症の
予防・治療剤として、また、骨髄移植による治療,骨髄
異形成症候群や再生不良性貧血症等の治療時における免
疫増強剤として、さらには、血小板減少症の予防・治療
剤として用いられる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 〔式中、R1およびR2はそれぞれアシル基;R3、R4
    6およびR7はそれぞれ水素または置換基を有していて
    もよいアルキル基;R5は水素、置換基を有していても
    よいアルキル基、保護されていてもよい水酸基または保
    護されていてもよいアミノ基;R4およびR5は一緒にな
    って結合手を形成していてもよく;Xはカルボニル基ま
    たはスルホニル基;Yはスルホン酸アミド結合を介して
    いてもよいアミノ酸配列を示す。〕で表される化合物ま
    たはその塩。
  2. 【請求項2】アシル基が炭素数8ないし26の脂肪族ア
    シル基である請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】アミノ酸配列が1ないし7個の保護されて
    いてもよいアミノ酸からなる請求項1記載の化合物。
  4. 【請求項4】R1およびR2がそれぞれ炭素数8ないし2
    6の脂肪族アシル基;R3、R4、R6およびR7がそれぞ
    れ水素または炭素数1ないし6のアルキル基;R5が水
    素、炭素数1ないし6のアルキル基または保護されてい
    てもよいアミノ基;Xがカルボニル基;およびYが保護
    されていてもよい1ないし5個のアミノ酸からなり、ス
    ルホン酸アミド結合を介していてもよいアミノ酸配列で
    ある請求項1記載の化合物。
  5. 【請求項5】R1およびR2がそれぞれC3-8シクロアル
    キルおよびC6-14アリールから選ばれた1ないし3個の
    置換基で置換されていてもよい炭素数10ないし20の
    脂肪族アシル基である請求項4記載の化合物。
  6. 【請求項6】R3、R4、R5、R6およびR7が水素であ
    る請求項4記載の化合物。
  7. 【請求項7】アミノ酸配列が2ないし5個の保護されて
    いてもよいアミノ酸からなり、その末端が酸性アミノ酸
    である請求項4記載の化合物。
  8. 【請求項8】アミノ酸配列が天然型アミノ酸からなる請
    求項7記載の化合物。
  9. 【請求項9】アミノ酸配列が−NR8−W−CO−(R8
    は水素または低級アルキル基、Wは置換基を有していて
    もよい炭化水素基を示す)で始まる請求項7記載の化合
    物。
  10. 【請求項10】酸性アミノ酸が保護されていてもよいL
    −グルタミン酸である請求項7記載の化合物。
  11. 【請求項11】アミノ酸配列が2または3個のアミノ酸
    からなる請求項7記載の化合物。
  12. 【請求項12】請求項1記載の化合物を含有する医薬組
    成物。
  13. 【請求項13】免疫増強剤である請求項12記載の組成
    物。
  14. 【請求項14】血小板減少症の治療剤である請求項12
    記載の組成物。
  15. 【請求項15】白血球数あるいは血小板数回復のための
    請求項1記載の化合物の使用法。
  16. 【請求項16】請求項1記載の化合物の有効量を哺乳動
    物に投与することからなる白血球数あるいは血小板数回
    復のための方法。
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