JPH09125185A - 高硬度高靭性超硬合金および衝撃式打撃子 - Google Patents

高硬度高靭性超硬合金および衝撃式打撃子

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JPH09125185A
JPH09125185A JP31366895A JP31366895A JPH09125185A JP H09125185 A JPH09125185 A JP H09125185A JP 31366895 A JP31366895 A JP 31366895A JP 31366895 A JP31366895 A JP 31366895A JP H09125185 A JPH09125185 A JP H09125185A
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cemented carbide
hardness
impact
powder
particle size
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JP31366895A
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English (en)
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Hitoshi Hatano
等 畑野
Masaya Tokuhira
雅也 得平
Fukusaburo Yamamoto
福三郎 山本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な加工条件下でも欠けや割れが生じない
耐衝撃特性を有し、耐摩耗性に優れる超硬合金および衝
撃式衝撃子を提供する。 【解決手段】 WCを主成分とし、Co、NiまたはC
oとNiを主成分とする結合金属を有する超硬合金にお
いて、WCの平均粒径(dWC)が2から8μmの範囲に
あり、WCの粒度分布の標準偏差σが0.05×dWC 3
以下である均一なWC粒を有し、さらに硬度H(HR
A)が、80≦H≦90であることを特徴とする高硬度
高靭性超硬合金である。好ましくは破壊靭性値KIC(k
gf/mm3/2 )と硬度H(HRA)との関係が、KIC
≧370ー3.6×Hを満足することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金型、工具、チッ
プ、耐衝撃部材等に用いられる高硬度高靭性超硬合金お
よび衝撃式打撃子、特に耐衝撃特性に優れた超硬合金お
よび衝撃式打撃子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超硬合金は高硬度で高強度であるため、
これらの特性が要求される金型、工具、チップ等の素材
として用いられている。特に、生産性の向上、難加工材
の増加等の要求が高くなり、従来の工具鋼では耐摩耗性
が満足できない分野での需要が増加している。超硬合金
の弱点とされている、耐衝撃性、耐チッピング性等の靭
性が改善され、金型としては、靭性が要求される塑性加
工用パンチ、スタンピング用金型等、切削工具ではドリ
ル、エンドミル、断続切削用チップ等に使用されてきて
いる。特に、工具の耐摩耗性が要求される高硬度の被加
工材に対して、従来の工具鋼に較べて、工具寿命が著し
く向上した。
【0003】耐衝撃特性を要求される耐摩耗部材への超
硬合金の用途拡大が進められている。衝撃式破砕機用衝
撃子に使用されている硬質金属材料では耐摩耗性が十分
ではないとの見地から、打撃子に超硬合金を使用するこ
とが試みられてきた(特開平2ー86850公報参
照)。前記衝撃式破砕機の打撃子は一般に高クロム鋳
鉄、又は高マンガン鋳鋼やクロムモリブデン鋳鋼のよう
な硬質金属材料が用いられている。このような硬質金属
材料製の打撃子では、破砕対象となる供給原石側にも同
じく硬質の鉱物等が含まれており、摩耗が著しかった。
この打撃子に超硬合金を採用することにより、打撃子の
耐摩耗性が改善され、打撃子の寿命が飛躍的に向上し
た。前記金型や切削工具と同様に超硬合金の耐摩耗性が
耐摩耗部材の寿命向上に寄与している。
【0004】
【発明を解決しようとする課題】しかしながら、被加工
材がさらに硬くなったり、加工工程の削減等による過酷
な加工条件となり、特に耐衝撃性が要求される場合に
は、超硬合金に欠けや割れが生じたり、欠けや割れにい
たらなくても摩耗が非常に速くなり、高価な超硬材料を
使用するメリットがなくなり、このような過酷な条件下
では超硬合金を使用できないという問題があった。
【0005】一方、衝撃式破砕機用衝撃子において、原
石の砂利が硬すぎたり、粒径が大きいなど過酷な粉砕条
件では、打撃部の超硬材料に欠けや割れが生じ、欠けや
割れにいたらなくても摩耗が非常に速くなり、衝撃子に
超硬合金を使用するメリットがない場合も生じた。
【0006】本発明は従来の技術が有するこのような問
題点を鑑みてなされたものであり、本発明は、上記のよ
うな過酷な条件下でも欠けや割れが生じない耐衝撃特性
を有し、耐摩耗性に優れる超硬合金および衝撃式衝撃子
を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記問題点を
解決するために鋭意研究をおこなった。(イ)まず金
型、工具、チップ、耐衝撃部材等に用いられる超硬合金
に要求される耐衝撃性および耐摩耗性について検討を行
った。これら金型、工具、チップ、耐衝撃部材等が超硬
合金に要求する耐衝撃性と耐摩耗性はこれら金型、工
具、チップ、耐衝撃部材等の間で共通するところが多
い。このため、代表例として、衝撃式破砕機の衝撃子に
用いられる超硬合金に要求される耐衝撃性および耐摩耗
性を推定した。(ロ)次に、これら特性を得るために必
要な超硬合金の形態を解明し、(ハ)さらに、この形態
を有する超硬合金の製造方法を検討した。
【0008】以上の研究結果から、上記問題点を解決す
る手段として、 (A)本発明の高硬度高靭性超硬合金はWCを主成分と
し、Co、NiまたはCoとNiを主成分とする結合金
属を有する超硬合金において、WCの平均粒径が2から
8μmの範囲にあり、WCの粒度分布の標準偏差σが
0.05×dWC 3 以下である均一なWC粒を有し、さら
に硬度H(HRA)が、 80≦H≦90 であることを特徴とする。好ましくは破壊靭性値K
IC(kgf/mm3/2 )と硬度H(HRA)との関係
が、KIC≧370ー3.6×Hを満足することを特徴と
するものである。 (B)回転する打撃子により、原料を跳ね飛ばし、反発
板に衝突させて破砕する衝撃式破砕機用に用いられる打
撃子であって、この打撃子の先端に本発明の高硬度高靭
性超硬合金をを取り付けることを特徴とするものであ
る。
【0009】次に上記問題点を解決する手段に至った研
究結果を説明する。まず、(イ)の衝撃式破砕機の打撃
子に用いられる超硬合金に要求される耐衝撃性および耐
摩耗性の推定した研究過程を説明する。
【0010】衝撃式破砕機の打撃子の寿命に至った状況
を検討、解析をおこなった。打撃子の寿命は、摩耗によ
る場合と欠け・割れによる場合の2つに分けられた。ま
た摩耗の形態にもアブレッシブ摩耗とマイクロチッピン
グ摩耗との2種類あり、これらは前記金型、工具、チッ
プ、耐衝撃部材等と共通の摩耗現象である。アブレッシ
ブ摩耗は硬度、マイクロチッピング摩耗は破壊靭性値
(以下、KICと称する)と密接な関係があることが判明
した。すなわち、硬度が高ければアブレッシブ摩耗は少
なく、KICが大きければマイクロチッピング摩耗は少な
くなるということである。
【0011】すなわち、硬度が高くてもKICが低けれ
ば、欠け・割れが発生しやすい。一方KICが高くても、
硬度が低ければ摩耗部分が破壊の起点となって欠け・割
れが発生する。この結果、欠け・割れの発生のしやすさ
は、硬度とKICのバランスで決まるのであり、欠け・割
れの発生は硬度とKICの両方と密接な関係がある。
【0012】従来、衝撃式破砕機へ投入する原石が小さ
く破砕条件が過酷ではなかったため、硬度とKICとのバ
ランスを考慮する必要はなかった。しかし、投入される
原石の粒径が大きくなり、原石の硬さが高くなるなどの
過酷な条件では、超硬合金が使用に耐えうることができ
なかった。過酷な粉砕条件では、硬度をある程度もち、
しかも破壊靭性値KICが大きい超硬合金が要求される。
【0013】以上の結果から、衝撃式破砕機用打撃子に
用いる超硬合金は硬度が高ければ摩耗が少ないため摩耗
亀裂は小さく、KICがそれほど大きい必要がなく、硬度
が低い場合は摩耗の進行が速くなるので摩耗亀裂が大き
くなり、それに耐えるために大きなKICが必要となるこ
とを解明した。硬度をある程度もち、しかも破壊靭性値
ICが大きい超硬合金は、前記金型、工具、チップ、耐
衝撃部材等に要求される超硬合金の特性と同じである。
【0014】衝撃式破砕機用打撃子について、種々の実
験を行った。これら実験結果から、図1に示すように、
破壊靭性値KIC(kgf/mm3/2 )と硬度H(HR
A)との関係が KIC≧370ー3.6×H 硬度H(HRA)が、80≦H≦90である特徴を持っ
た超硬合金であれば、上記のような過酷な条件でも長時
間の連続使用に耐えうることを結論づけた。
【0015】すなわち、耐摩耗性に優れた高硬度の超硬
合金は硬度の低い超硬合金の較べて、破壊靭性値KIC
低くて済むことが判明した。このことにより、硬度とバ
ランスをとったKICを有する超硬合金であれば、前記金
型、工具、チップ、耐衝撃部材等の工具寿命を高めるこ
とを示唆するものである。耐摩耗性と耐衝撃性の両方が
要求される場合、KICが(370ー3.6×H)以下で
は硬度とKICとのバランスがくずれ、衝撃式破砕機用打
撃子の超硬合金は早期に破壊が起こってしまうのであ
る。なお、破壊靭性値KICとは、SEPB法(セラッミ
ックス協会:JIS−R1607による)よって測定さ
れたものである。
【0016】次に、(ロ)上記特性を得るために必要な
超硬合金の形態を解明を行った。現状では、上記条件を
満たす超硬合金を作製することはできなかった。一般に
超硬合金において、硬度とKICは負の比例関係にある。
すなわち、超硬合金の硬度を高くすればKICは低くな
り、超硬合金のKICを高くすれば硬度が低くなるという
ことである。
【0017】これまで、超硬合金の硬度と靭性を決める
因子は、超硬合金中のWCの体積率と結合金属相の厚み
(一般には平均自由工程と呼ばれている)のみと考えら
れてきた。硬度を上げるために、このWCの体積率をあ
げ、結合金属相の厚みを小さくすればよいが、一方、超
硬合金の靭性は低下させた。このため、従来の技術で
は、超硬合金の硬度と靭性を両立させることはできなか
ったのである。なお、結合金属相の厚みを小さくするた
めに、超硬合金中のWCの微粒化が実施されている。
【0018】しかし、本発明者らが鋭意研究した結果、
以下のようなことを見いだすことができた。超硬合金の
硬度を決定する因子には超硬合金中のWC−WC粒子間
の接着率であり、また破壊靭性値KICを決定する因子に
は超硬合金中のWC粒形状であることを見いだした。
【0019】WCと結合金属とから構成されている超硬
合金中のWC−結合金属境界より、WC−WC境界の方
が硬いという特徴がある。超硬合金中WC−WC粒子間
の接着率を大きくすることにより、超硬合金の靭性を下
げずに硬度を上げることが可能となる。WC−WC粒子
間の接着率を大きくするには、超硬合金中のWC粒径の
分布を均一にすることにより、WC−WC粒子間の接着
率を大きくできることを見出した。種々の実験結果を鋭
意検討した結果、超硬合金の硬度を高めるに必要な超硬
合金中のWCの粒度分布の標準偏差σは0.05×dWC
3 以下であることが必要と結論づけた。
【0020】超硬合金の破壊靭性値KICは超硬合金中の
WC粒径に依存する。超硬合金中に発生した亀裂はWC
粒内よりもWC−結合金属界面を優先的に進展する。超
硬合金中を進展している亀裂は、大きなWC粒に達した
ところで、亀裂は方向を大きく変えられる。WC粒径を
大きくすることにより、超硬合金中を進展している亀裂
は方向を大きく変えられることにより、KICが向上する
ことが知られている。
【0021】超硬合金中のWC粒径を均一にし分布を小
さくすることにより、破壊の亀裂の進展に防止の効果が
あるWC粒も多くなり、KICも向上する。これは、同一
のWC粒径では粒度分布を狭くすることにより、超硬合
金中の亀裂の進展に影響をおよぼさない微粉を減少さ
せ、亀裂の進展に防止の効果があるWC粒を増加させる
ものである。
【0022】WC粒径を均一にすることにより、超硬合
金の相反する特性である硬度と破壊靭性値KICの両方と
も向上させることが可能となった。超硬合金のKICを向
上させるには、超硬合金中のWC粒径は2μm以上ある
ことが好ましい。一方、WC粒径が8μm以上になると
WC粒に応力が集中し靭性が低下する。また、超硬合金
の硬度がHRA80以下では金型、工具、チップ、耐衝
撃部材等に要求される耐摩耗性が得られず、硬度がHR
A90以上では必要な靭性が得られない。
【0023】以上の結果より、本発明の高硬度高靭性超
硬合金はWCを主成分とし、Co、NiまたはCoとN
iを主成分とする結合金属を有する超硬合金において、
WCの平均粒径が2から8μmの範囲にあり、WCの粒
度分布の標準偏差σが0.05×dWC 3 以下である均一
なWC粒を有し、さらに硬度H(HRA)が、80≦H
≦90であれば、金型、工具、チップ、耐衝撃部材等に
要求される耐摩耗性及び耐衝撃性が得られることを結論
づけた。
【0024】さらに破壊靭性値KIC(kgf/m
3/2 )と硬度H(HRA)との関係が、 KIC≧370ー3.6×H を満足すれば、前記金型、工具、チップ、耐衝撃部材等
の内でも、さらに耐衝撃性性を要求する用途で、優れた
工具性能を発揮する。例えば、回転する打撃子により、
原料を跳ね飛ばし、反発板に衝突させて破砕する衝撃式
破砕機用の打撃子に用いることは好ましい。
【0025】さらに、(ハ)の上記形態を有する超硬合
金の製造方法を検討した。従来、超硬合金の製造におい
て、原料粉末の混合時に混合性と粉砕性を重視するため
に、強粉砕が行われてきた。このため、超硬合金中のW
C粒径の分布が大きくなってしまう傾向にあった。そこ
で発明者らは、上記形態を有する超硬合金の製造するた
めに種々の研究を行った。この結果、WC原料粉末の粒
度分布の標準偏差σが0.2×d’WC以下である均一な
WC粒と結合金属粉を使用し、均一混合は行うがWC粒
の粉砕があまり生じない低粉砕式で実施すれば、超硬合
金中のWC粒径を均一にできる製造方法を完成した。こ
こで、d’WCはWC原料粉末の平均粒子径である。
【0026】この方法は以下のとおりである。原料粉の
調整および混合工程において、(1)WC粉の粒度分布
の標準偏差σが0.2×d’WC以下(但し、d’WCはW
C原料粉末の平均粒子径)である均一なWC粒と、結合
金属粉にCo、Ni粉を1種または2種を原料粉を調整
し、(2)前記WC粉と前記結合金属粉をボ−ル式混合
機を用いて、原料粉量W(g)、溶剤量L(リットル)、混
合に用いるボ−ルの量B(g)及びボ−ルの密度ρ(g
/mm3 )との関係が、 200≦W/L≦1000と 7.5≦(Wxρ)/B≦45 を満足するように混合することにより、破壊靭性値KIC
(kgf/mm3/2 )と硬度H(HRA)との関係が、 KIC≧370ー3.6×H を満足する高硬度高靭性超硬合金を製造できる。
【0027】従来の混合工程についてさらに説明する。
従来の混合法はボ−ルミル、アトライター等のボ−ル式
混合機を用いている。これらはWC粉末、Co、Ni粉
を1種または2種以上の結合金属粉末とVC、TaC 、TaC
、Cr3C2 、HfC 、NbC あるいはMo2C等の微量添加物を
均一に混合する。同時に、WC粉末を粉砕することを目
的としている。このためスラリー濃度(原料粉量/溶剤
量)を濃くして、多量のボールを用いて混合することに
より、WC粉末の粉砕を行っていた。しかし、この方法
では、WC粒径は広い粒度分布を生じ、本発明のような
高硬度高靭性超硬合金を製造することはできなかった。
【0028】本発明者らは、この問題を解決するため
に、種々の研究を行い、均一混合が可能でWC粒の粉砕
があまり生じない低粉砕式混合方法を開発した。この方
法は、均一な粒径を有するWC粉を原料に用い、均一混
合が可能な条件まで、スラリー濃度を薄くし、さらに原
料粉とボール量の比率をを少なくし、ボ−ルミル、アト
ライター等のボ−ル式混合機で混合する低粉砕式混合方
法である。
【0029】本発明の高硬度高靭性超硬合金内のWCの
粒度分布の標準偏差σを0.05×dWC 3 以下するため
には、出発原料であるWC粉の粒度分布の標準偏差σが
0.2×d’WC以下にする必要がある。これ以上になる
と、本発明の超硬合金内のWCの粒度分布の標準偏差σ
を0.05×dWC 3 を達成できない。ここで、dWCは超
硬合金中のWCの平均粒径、d’WCははWC原料粉末の
平均粒子径である。
【0030】原料粉量W(g)と溶剤量L(リットル)との
関係において、スラリー濃度(原料粉量W/溶剤量L)
が200未満であれば、原料中のWC粉や結合金属粉が
よく混合できず、焼結後の超硬合金に、WC粒の凝集あ
るいは空孔が生じ、超硬合金の靭性を著しく低下させ
る。スラリー濃度(原料粉量W/溶剤量L)が1000
をこえると、出発原料であるWC粉の粒度分布の標準偏
差σを0.2×d’WC以下にしても、超硬合金内のWC
の粒度分布の標準偏差σを0.05×dWC 3 以下するこ
とができない。このため、本発明の均一なWC粒を有す
る高硬度高靭性超硬合金を得るためには、原料粉量W
(g)と溶剤量L(リットル)との関係が、 200≦W/L≦1000 を満足する必要がある。なお、原料粉を混合するための
溶剤として、メタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル
類、アセトン、キシレン、ヘキサン等の有機溶剤が使用
される。
【0031】原料粉量W(g)と混合に用いるボ−ル量
B(g)及びボ−ルの密度ρ(g/mm3 )との関係にお
いて、(原料粉量Wxボ−ルの密度ρ)/ボ−ル量Bの
比が45以下でないと、本発明の高硬度高靭性超硬合金
内のWCの粒度分布の標準偏差σを0.05×dWC 3
下することができない。(原料粉量Wxボ−ルの密度
ρ)/ボ−ル量Bの比を7.5より下げると、原料中の
WC粉や結合金属粉がよく混合できず、前述したよう
に、超硬合金の靭性を著しく低下させる。このため、本
発明の均一なWC粒を有する高硬度高靭性超硬合金を得
るためには、原料粉量W(g)と混合に用いるボ−ルの
量B(g)及びボ−ルの密度ρ(g/mm3 )との関係
が、 7.5≦(Wxρ)/B≦45 を満足する必要がある。混合用のボ−ルには超硬合金、
工具鋼等が使用されていおり、これらボ−ルの密度が異
なる。ボ−ルの密度が異なると、ボ−ルミル、アトライ
ター等のボ−ル式混合機での混合や粉砕の効果が異なっ
てくる。ボ−ルの密度の密度が大きいほど、ボ−ル式混
合機での混合や粉砕の効率がよくなる。このため、混合
や粉砕の効果も考慮する必要があるために、ボ−ルの密
度をも規定した。なお、超硬合金の原料粉の混合には、
工具鋼の約2倍の密度を有する超硬合金製ボ−ルが一般
に使用されている。さらに、同じ超硬合金製ボ−ルであ
れば、ボ−ルの摩耗が、超硬合金の原料粉に混入しても
超硬合金の性能への影響が少ないことも理由である。
【0032】この低粉砕式混合方法を用い、均一なWC
粒径の原料を使用することにより、超硬合金中のWC粒
径が均一となり、破壊靭性値KIC(kgf/mm3/2
と硬度H(HRA)との関係において、KICが(370
ー3.6×H)から(390ー3.6×H)の範囲の高
硬度高靭性超硬合金を製造することが可能となった。
【0033】低粉砕式混合方法で得られた均一なWC粒
径を有する高硬度高靭性超硬合金は金型、工具、チッ
プ、耐衝撃部材等に用いられ、特に耐衝撃特性を要求さ
れる用途に用いられる。破壊靭性値KICが前記(370
ー3.6×硬度H)から(390ー3.6×硬度H)の
範囲にあれば、耐衝撃特性を要求される金型、工具、チ
ップ、耐衝撃部材等に用いて、十分な工具性能を示す。
【0034】WC粉と結合金属粉に、VC、TiC 、TaC 、
Cr3C2 、HfC 、NbC あるいはMo2CのようなCと親和力の
強い炭化物を1若しくは2種以上を合計で0〜5%の割
合で添加し、耐摩耗性を向上させることも好ましい。
【0035】結合金属粉として、Co粉以外にNi粉あ
るいはCoとNi粉の両方を用いて、他の性能を向上さ
せることも好ましい。従来、CoとNiは周期律表で鉄
族に属し、どちらも超硬合金の結合金属として用いられ
ている。これらCoやNiは超硬合金中でWCを結合さ
せるという同じ働きをすることが知られている。結合金
属粉としてCo粉以外にNi粉あるいはCoとNi粉の
両方を用いた超硬合金中のWC粒径を均一にすることに
より、これら超硬合金の硬度と破壊靭性値KICの両方と
も向上できる。Ni粉を添加することにより、耐熱性・
耐食性が向上する。結合金属としてNi粉を用いること
により、非磁性超硬合金を製造できることが知られてい
る。
【0036】
【実施例1】本発明の実施例及び比較例を表1に示す。
表1に供試材の製造条件、得られた超硬合金中のWC粒
径及び粒度分布、硬度、破壊靭性値KIC示す。表1に示
すように、硬度とKICが異なるように、適当な粒径およ
び粒度分布のWC粉末と結合金属粉を、目標組成になる
ように配合した。なお、本発明材はスラリ−濃度500
g/リットルになるように溶剤としてヘキサンを加え、原料
粉1kgあたり超硬合金ボ−ル1kg使用して、アトラ
イタ−で低粉砕式の混合をした。ただし、比較材は従来
のスラリ−濃度で、従来の超硬合金ボ−ル量により、ア
トライタ−で混合を行った。この混合物を乾燥した後
に、チップ形状に成形し、この成形体を真空炉において
表1に示す温度で1時間焼結した。
【0037】
【表1】
【0038】図1に超硬合金の硬度と破壊靭性値KIC
の関係を示す。図1にプロットされたデ−タは全般的に
右下がりの傾向がある。すなわち、硬度が増加すると、
ICが低下する傾向である。しかしながら本発明材のデ
−タは比較材のデ−タに較べて、いずれも上方の位置に
ある。これは同一硬度において、高いKICを持つことを
示しているものである。これは本発明材において、硬度
が高くなっても、高いKICを有することを示している。
これは超硬合金中のWC粒径を均一にしたことにより、
このような高硬度高靭性超硬合金が得られたものであ
る。
【0039】原料のWC粉の粒径が同じで結合金属粉の
Co量がほぼ同じ、本発明材(No.2)と比較材(No.15) と
を比べる。比較材(No.15) は混合方法が強粉砕であった
ため本発明材(No.2)より、超硬合金中のWC粒径が小さ
くなり、粒度分布が広がっている。結合金属粉のCo量
の硬度への寄与を考慮しても、超硬合金中のWC粒径か
ら推定すると、比較材(No.15) の硬度が本発明材(No.2)
の硬度より高くなってもよいに関わらず、両者はほぼ同
じ硬度である。ここで、結合金属粉のCo量の硬度への
寄与はWC粒径に較べて寄与が低い。本発明材(No.2)の
WC粒径を均一なため、超硬合金中のWC−WC粒子間
の接着率が大きくなり、硬度上昇に寄与したものであ
る。
【0040】一方、本発明材(No.2)と比較材(No.15) の
破壊靭性値KICを比較すると、本発明材(No.2)のKIC
向上は著しい。このように、超硬合金中のWCの粒度分
布を均一にすることにより、超硬合金中WC−WC粒子
間の接着率を大きくなり、超硬合金のKICと硬度を上げ
ることができた。
【0041】また、結合金属粉として、Co粉にCo粉
とNi粉の両方を用いた超硬合金も、超硬合金中のWC
の粒度分布を均一にすることにより硬度とKICが高い合
金が得られた。超硬合金の結合金属として、CoにNi
を加えても、硬度とKICが高い合金が得られた。本発明
においても、CoやNiは超硬合金中でWCを結合させ
るという同じ働きをすることが確認できた。結合金属粉
として、Ni粉のみの超硬合金も同様に硬度とKICが高
い合金が得られる。
【0042】
【実施例2】次に、本発明の超硬合金を衝撃式破砕機の
打撃子に用いた実施例を説明する。この衝撃式破砕機の
概略図を図2に示す。衝撃式破砕機1の側部上方に設置
された原料供給口2より破砕室3内に投入された原石
は、主軸4のまわりに回転する回転ロータ5の外周に固
設された打撃子6によって衝撃破砕される。この回転ロ
ータ5に当たって跳ね飛ばされた原石は、破砕室3の上
部に設けられた第1反発板7に取り付けられたライナ7
aに衝突して破砕され、跳ね返ってくる原石は、更に回
転してくる次の打撃子6によって打撃破砕される。そし
て、跳ね飛ばされた原石は、破砕室3の上部に設けられ
た第2反発板8に取り付けられたライナ8aによって一
層細かく破砕される。
【0043】本発明の超硬合金チップ10は、衝撃式破
砕機1の衝撃子6の接合台9にCuでろう付けし、前記
打撃子6を作製した。この打撃子6を衝撃式破砕機に取
り付け、粒径が120mm以下の山砕の破砕を行なっ
た。この試験結果を表2に示す。この衝撃式破砕機の結
果から、図1に示すように、破壊靭性値KIC(kgf/
mm3/2 )と硬度H(HRA)との関係が KIC≧370ー3.6×H である本発明超硬合金を用いた打撃子の方が、上記条件
を満たさない比較材に比べ、大幅に寿命が長いことを確
認した。本発明の超硬合金チップの破壊靭性値KICは、
図2のに示されているKIC=370ー3.6×Hの上方
で0〜20kgf/mm3/2 の範囲にある。この範囲に
超硬合金のKICあれば、耐衝撃特性を要求される衝撃式
破砕機の衝撃子として、十分な工具性能を示した。
【0044】
【表2】
【0045】破壊靭性値KIC(kgf/mm3/2 )と硬
度H(HRA)との関係が KIC≧370ー3.6×H あれば、本実施例の衝撃式破砕機用衝撃子だけでなく、
前記金型、工具、チップ、耐衝撃部材等の内でも、さら
に耐衝撃性を要求する用途においても、優れた工具性能
を発揮するものと考えられる。
【0046】
【実施例3】本発明材(No.2)と比較材(No.15) をボルト
成形用の冷間鍛造用ダイスに用い、硬度がHV 200の
低合金鋼(JIS:SCM430)をボルトに成形し
た。本発明材(No.2)は約400万個成形し、チッピング
により、寿命に至った。一方、比較材(No.15) は約10
0万個で破損し、寿命に至った。本発明材(No.2)は優れ
た工具寿命を得た。このように、硬度とバランスをとっ
た破壊靭性値KICを有する超硬合金が金型、工具、チッ
プ、耐衝撃部材等の工具寿命を高めることを示したもの
である。なお、本発明材(No.2)のダイスの破壊靭性値K
ICは、図2のに示されているKIC=370ー3.6×H
の上方で0〜20kgf/mm3/2 の範囲にある。
【0047】
【発明の効果】以上の説明したように、本発明のうち請
求項1記載の発明の高硬度高靭性超硬合金は耐摩耗性と
耐衝撃性に優れ、金型、工具、チップ、耐衝撃部材等使
用することにより、従来よりも大幅に長寿命化がはかれ
るといった効果がある。請求項2記載の発明の高硬度高
靭性超硬合金は硬度と破壊靭性値KICとの間でバランス
が取れているため、衝撃式破砕機用打撃子に適用した場
合に、衝撃式破砕機の過酷な使用条件下でも欠け・割れ
が発生せず、優れた工具寿命を示し、衝撃式破砕機の打
撃子として長時間の使用が可能となった。さらに、従来
よりも高靭性の超硬合金であるので、これまで靭性不足
で超硬合金を採用することができなかった金型、工具、
チップ、耐衝撃部材等にも適用でき、製品の信頼性を高
めるとともに低コスト化もはかれるといった効果もあ
る。請求項3記載の発明は、衝撃式破砕機用の打撃子に
高硬度高靭性超硬合金を使用することにより、打撃子の
長寿命化が可能となり、従来、打撃子の交換頻度が、1
〜2カ月に1回と極めて頻繁で、100kg前後もの打
撃子を取り替える過酷な作業が軽減され、作業能率が向
上した。このため破砕機の破砕効率が高く、さらに品質
のよい砂利が得られるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる打撃子を取り付けた
状態での衝撃式破機の側断面である。
【図2】超硬合金の硬度と破壊靭性値KICとの関係を示
した図である。
【符号の説明】
1 衝撃式破砕機 2 原料供給口 3 破砕室 4 主軸 5 回転ロータ 6 打撃子 7 第1反発板 7a ライナ− 8 第2反発板 8a ライナ− 9 接合台 10 超硬合金チップ(超硬合金材料片)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 WCを主成分とし、Co、NiまたはC
    oとNiを主成分とする結合金属を有する超硬合金にお
    いて、WCの平均粒径(dWC)が2から8μmの範囲に
    あり、WCの粒度分布の標準偏差σが0.05×dWC 3
    以下である均一なWC粒を有し、さらに硬度H(HR
    A)が、 80≦H≦90 であることを特徴とする耐衝撃工具用高硬度高靭性超硬
    合金。
  2. 【請求項2】 破壊靭性値KIC(kgf/mm3/2 )と
    硬度H(HRA)との関係が、 KIC≧370ー3.6×H を満足することを特徴とする請求項1記載の高硬度高靭
    性超硬合金。
  3. 【請求項3】 回転する打撃子により、原料を跳ね飛ば
    し、反発板に衝突させて破砕する衝撃式破砕機用に用い
    られる打撃子であって、この打撃子の先端に請求項1又
    は2記載の高硬度高靭性超硬合金を取り付けることを特
    徴とする衝撃式打撃子。
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