JPH09124496A - 感染防御剤 - Google Patents
感染防御剤Info
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- JPH09124496A JPH09124496A JP7308359A JP30835995A JPH09124496A JP H09124496 A JPH09124496 A JP H09124496A JP 7308359 A JP7308359 A JP 7308359A JP 30835995 A JP30835995 A JP 30835995A JP H09124496 A JPH09124496 A JP H09124496A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】エンテロコッカス属に属する微生物の菌体又は
その処理物を有効成分として含有することを特徴とする
ウイルス感染防御剤。 【効果】ウイルス感染症、特にヘルペスウイルスに対し
て感染予防又は治療効果を有する。
その処理物を有効成分として含有することを特徴とする
ウイルス感染防御剤。 【効果】ウイルス感染症、特にヘルペスウイルスに対し
て感染予防又は治療効果を有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンテロコッカス(En
terococcus)属に属する微生物の菌体又はその処理物を
含有することを特徴とするウイルス性感染症の感染防御
剤に関するものである。
terococcus)属に属する微生物の菌体又はその処理物を
含有することを特徴とするウイルス性感染症の感染防御
剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】伝染性を示す病気の原因菌の一つとし
て、ウイルスが存在する。ウイルス疾患は、インフルエ
ンザ、風疹、日本脳炎を始めとして多種類存在する。ウ
イルスの特徴として、DNA又はRNAのどちらか一方
の核酸を遺伝物質としていること、エネルギー代謝系も
タンパク合成系も持たないので、生きた細胞に寄生しな
いと増殖できないこと、抗生物質及び抗真菌剤が効かな
いことなどが挙げられる。
て、ウイルスが存在する。ウイルス疾患は、インフルエ
ンザ、風疹、日本脳炎を始めとして多種類存在する。ウ
イルスの特徴として、DNA又はRNAのどちらか一方
の核酸を遺伝物質としていること、エネルギー代謝系も
タンパク合成系も持たないので、生きた細胞に寄生しな
いと増殖できないこと、抗生物質及び抗真菌剤が効かな
いことなどが挙げられる。
【0003】ウイルス感染による疾患が発症するには、
ウイルスの病原性の強さもさることながら、羅患した人
間の抵抗力の強弱によっても影響される。特に、病原性
の弱いウイルスの場合、健常人であれば、感染しても不
顕化して症状を示さないことが多いが、抗癌剤、免疫抑
制剤、ステロイド剤等の使用による、白血球を含む免疫
能の著しい低下を示す免疫不全状態のヒトが感染する
と、重篤な病状を示す例が多い。
ウイルスの病原性の強さもさることながら、羅患した人
間の抵抗力の強弱によっても影響される。特に、病原性
の弱いウイルスの場合、健常人であれば、感染しても不
顕化して症状を示さないことが多いが、抗癌剤、免疫抑
制剤、ステロイド剤等の使用による、白血球を含む免疫
能の著しい低下を示す免疫不全状態のヒトが感染する
と、重篤な病状を示す例が多い。
【0004】ヘルペスウイルスは、ヒトを本来の宿主と
するウイルスで、健常人のキャリアも多い。初感染は、
不顕性の場合が多いが、三叉神経節に潜伏し、発熱、月
経、紫外線、及び過労などが誘発要因となって、回帰発
症を起こす。病原性の表現は、宿主の状態によって支配
されることが多く、感染像は多彩である。初感染及び回
帰発症で示される感染箇所は外胚葉系組織が主で、アフ
タ性口内炎、歯肉口内炎等の口腔粘膜、ヘルペス性角膜
炎、虹彩毛様体炎等の眼部、及び口唇ヘルペス等の皮膚
等の病状が見られる。しかし、通常の感染では、体内の
臓器が冒されることは稀である。ヘルペスウイルスは体
表が主な感染部位であるため、接触感染などによるウイ
ルスの伝搬が起こりやすい。
するウイルスで、健常人のキャリアも多い。初感染は、
不顕性の場合が多いが、三叉神経節に潜伏し、発熱、月
経、紫外線、及び過労などが誘発要因となって、回帰発
症を起こす。病原性の表現は、宿主の状態によって支配
されることが多く、感染像は多彩である。初感染及び回
帰発症で示される感染箇所は外胚葉系組織が主で、アフ
タ性口内炎、歯肉口内炎等の口腔粘膜、ヘルペス性角膜
炎、虹彩毛様体炎等の眼部、及び口唇ヘルペス等の皮膚
等の病状が見られる。しかし、通常の感染では、体内の
臓器が冒されることは稀である。ヘルペスウイルスは体
表が主な感染部位であるため、接触感染などによるウイ
ルスの伝搬が起こりやすい。
【0005】ヘルペスウイルスは、宿主となるヒトの健
康状態によって、感染像が変化するため、各種疾患、薬
剤による副作用等で感染防御の免疫力が低下したヒトが
羅患すると重症化し、全身感染や脳炎を起こし、時には
致死的となる。また、医療機関での感染や母子間などの
垂直感染、水平感染も問題となっている。
康状態によって、感染像が変化するため、各種疾患、薬
剤による副作用等で感染防御の免疫力が低下したヒトが
羅患すると重症化し、全身感染や脳炎を起こし、時には
致死的となる。また、医療機関での感染や母子間などの
垂直感染、水平感染も問題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ウイルス性感染症の治
療には、抗ウイルス剤が用いられている。抗ウイルス剤
の主流はヌクレオシド誘導体で、ビダラビン(Vidarabi
ne:Ara-A)、アシクロビル(Aciclovir:ACV)、イドク
スウリジン(Idoxuridine:ID)をはじめとして、何種類
かの薬剤が使用されている。これらの薬剤は、体内で代
謝され、その代謝物がウイルスのDNAに取り込まれる
ことによって、ウイルスDNAの合成を阻害したり、A
DPからd−ADPの変換を阻害する作用を有する。薬
剤の種類やDNA合成の阻害場所によっては、宿主の細
胞にも障害作用を示す。薬剤によっては、元々抗癌剤と
して開発されたが、抗ウイルス剤として効果が見出さ
れ、転用されているため、抗癌剤と類似の副作用が出現
し、重症感染時の全身投与に不向きなものもある。抗ウ
イルス剤共通のものとして、ショック症状、赤血球・白
血球減少、振戦、及び肝機能数値異常等の副作用が知ら
れている。薬剤によっては、他の種類の薬剤と併用する
ことによって、重篤な副作用を生じるものもある。ま
た、抗ウイルス剤の薬効が強力になるにつれて、薬剤耐
性ウイルスも増えてきている。ウイルスの中でも抗ウイ
ルス剤に良く反応し、効果があるといわれるヘルペスウ
イルスにも、ID耐性株やACV耐性株であるチミジン
キナーゼ欠損株等、徐々に薬剤耐性ウイルスが出現して
いる。したがって、感染防御作用が強く、且つ、薬剤耐
性菌の出現や副作用がない予防又は治療剤が求められて
いる。
療には、抗ウイルス剤が用いられている。抗ウイルス剤
の主流はヌクレオシド誘導体で、ビダラビン(Vidarabi
ne:Ara-A)、アシクロビル(Aciclovir:ACV)、イドク
スウリジン(Idoxuridine:ID)をはじめとして、何種類
かの薬剤が使用されている。これらの薬剤は、体内で代
謝され、その代謝物がウイルスのDNAに取り込まれる
ことによって、ウイルスDNAの合成を阻害したり、A
DPからd−ADPの変換を阻害する作用を有する。薬
剤の種類やDNA合成の阻害場所によっては、宿主の細
胞にも障害作用を示す。薬剤によっては、元々抗癌剤と
して開発されたが、抗ウイルス剤として効果が見出さ
れ、転用されているため、抗癌剤と類似の副作用が出現
し、重症感染時の全身投与に不向きなものもある。抗ウ
イルス剤共通のものとして、ショック症状、赤血球・白
血球減少、振戦、及び肝機能数値異常等の副作用が知ら
れている。薬剤によっては、他の種類の薬剤と併用する
ことによって、重篤な副作用を生じるものもある。ま
た、抗ウイルス剤の薬効が強力になるにつれて、薬剤耐
性ウイルスも増えてきている。ウイルスの中でも抗ウイ
ルス剤に良く反応し、効果があるといわれるヘルペスウ
イルスにも、ID耐性株やACV耐性株であるチミジン
キナーゼ欠損株等、徐々に薬剤耐性ウイルスが出現して
いる。したがって、感染防御作用が強く、且つ、薬剤耐
性菌の出現や副作用がない予防又は治療剤が求められて
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】ウイルスの侵入を受けた
生体は、ウイルスを異物とみなし、免疫系を主体とする
生体の防御機構によりウイルスの排除、消滅を行う。マ
クロファージのウイルス細胞取り込みやインターフェロ
ン(interferon:IFN)に代表される非特異的防御反応、
B細胞による抗体産生やT細胞で感染細胞を攻撃する特
異的防御反応の二種類の反応で発病を防いでいる。
生体は、ウイルスを異物とみなし、免疫系を主体とする
生体の防御機構によりウイルスの排除、消滅を行う。マ
クロファージのウイルス細胞取り込みやインターフェロ
ン(interferon:IFN)に代表される非特異的防御反応、
B細胞による抗体産生やT細胞で感染細胞を攻撃する特
異的防御反応の二種類の反応で発病を防いでいる。
【0008】本発明者らはエンテロコッカス属に属する
微生物、特にエンテロコッカス・フェカリスの菌体又
は、その処理物が、ウイルス増殖の干渉因子であるIF
N産生誘導能を示すことに着目し、種々の研究を重ねた
結果、感染防御効果を示すことをみいだし、本発明を完
成させた。又、本発明剤に使用される菌種は、健常者の
腸内から分離された乳酸菌の一種であるので、副作用の
無い安全な菌種である。
微生物、特にエンテロコッカス・フェカリスの菌体又
は、その処理物が、ウイルス増殖の干渉因子であるIF
N産生誘導能を示すことに着目し、種々の研究を重ねた
結果、感染防御効果を示すことをみいだし、本発明を完
成させた。又、本発明剤に使用される菌種は、健常者の
腸内から分離された乳酸菌の一種であるので、副作用の
無い安全な菌種である。
【0009】エンテロコッカス・フェカリス菌は、レン
サ球菌に属し、腸内に存在する常在菌の一種である(Be
rgey's Manual of Systematic Bacteriology. 2(198
6))。本発明においてはこの菌種に属する種々の菌株を
用いることができるが、特に感染防御効果が高い点にお
いて、NF−1011菌株を用いることが好ましい。該
菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第
12564号として寄託されている。
サ球菌に属し、腸内に存在する常在菌の一種である(Be
rgey's Manual of Systematic Bacteriology. 2(198
6))。本発明においてはこの菌種に属する種々の菌株を
用いることができるが、特に感染防御効果が高い点にお
いて、NF−1011菌株を用いることが好ましい。該
菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第
12564号として寄託されている。
【0010】以下にエンテロコッカス・フェカリスNF
−1011の分離手段及び同菌株の菌学的及び生理学的
性質を示す。
−1011の分離手段及び同菌株の菌学的及び生理学的
性質を示す。
【0011】(1)分離手段 健常者の糞便の加熱滅菌水による10倍希釈物を適切な
選択培地(KMN寒天平板及びSF寒天平板)に塗抹
し、好気条件下37℃で、48〜72時間培養し、菌集
落を出現させた。この菌集落を別の同種平板培地に画線
塗布し、同様に培養して菌集落を再び出現させた。同様
の操作を数回繰り返し、単一の菌種だけからなる単一集
落を分離した。この新分離菌株について、菌学的(形態
的、生化学的及び血清学的)性状を調べ、エンテロコッ
カス・フェカリス(Enterococcusfaecalis)に属すると
分類同定した。
選択培地(KMN寒天平板及びSF寒天平板)に塗抹
し、好気条件下37℃で、48〜72時間培養し、菌集
落を出現させた。この菌集落を別の同種平板培地に画線
塗布し、同様に培養して菌集落を再び出現させた。同様
の操作を数回繰り返し、単一の菌種だけからなる単一集
落を分離した。この新分離菌株について、菌学的(形態
的、生化学的及び血清学的)性状を調べ、エンテロコッ
カス・フェカリス(Enterococcusfaecalis)に属すると
分類同定した。
【0012】 (2)菌学的及び生理学的性質 ──────────────────────────── 性状 判定 ──────────────────────────── グラム染色性 + 菌形態 球形 カタラーゼ − 溶血性 α 血清群 D 増殖性 10℃ + 45℃ + 50℃ + 熱耐性 60℃ 30分 + 胆汁エスクリン添加培地での生育 + pH9.6培地での生育 + 6.5%食塩添加培地での生育 + メチレンブルー染色性 + ゼラチン液化 − 0.01%TTC添加培地での生育 + テルライト添加培地での生育 + 酸生成の有無 グリセロール + L−アラビノース − D−リボース + D−キシロース − D−グルコース + D−ガラクトース + D−フラクトース + D−マンノース + マルトース + マンニトール + シュクロース + L−ソルボース − D−ソルビトール + L−ラムノース + ラクトース + アミグダリン + エスクリン + セロビオース + メリビオース − イヌリン − メレジトース + ──────────────────────────── +;陽性、−;陰性 TTC;2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド
【0013】本発明に使用するエンテロコッカス・フェ
カリス菌は死菌体又は生菌体、或いは菌体を磨砕、水抽
出などの処理をしたものを用いることができる。これら
を製剤するにはデンプン、乳糖、大豆蛋白等の担体、賦
形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯具剤等
の添加物を用いて周知の方法で錠剤や顆粒剤に製剤され
る。
カリス菌は死菌体又は生菌体、或いは菌体を磨砕、水抽
出などの処理をしたものを用いることができる。これら
を製剤するにはデンプン、乳糖、大豆蛋白等の担体、賦
形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯具剤等
の添加物を用いて周知の方法で錠剤や顆粒剤に製剤され
る。
【0014】使用量は、症状、年齢等により異なるが、
有効成分として1日0.002〜0.1g/kg体重を通常成人に対
して1日1回又は数回に分けて投与することができる。
有効成分として1日0.002〜0.1g/kg体重を通常成人に対
して1日1回又は数回に分けて投与することができる。
【0015】実施例2に示したように本菌によって、I
FN−β及びIFN−γの産生が高まることが示されて
いる。このことによって、正常細胞の抗ウイルス状態へ
の誘導及びヘルパーT細胞依存性の免疫活性能を高めて
いることが示唆される。
FN−β及びIFN−γの産生が高まることが示されて
いる。このことによって、正常細胞の抗ウイルス状態へ
の誘導及びヘルパーT細胞依存性の免疫活性能を高めて
いることが示唆される。
【0016】
【実施例】以下実施例を示すが、本発明はこれらの実施
例の記載によって何ら制限されるものではない。
例の記載によって何ら制限されるものではない。
【0017】実施例1.(エンテロコッカスの培養) エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecali
s)NF−1011を、代表的培地として以下に示す組
成のロゴサ液体培地に接種し、(菌数:106個/ml)、
37℃で10〜16時間培養し、生菌数約109個/mlの
培養液を得た。得られた培養液を12,000rpmで20分間
遠心分離して集菌し、蒸留水で2回洗浄して菌体を得
た。この菌体を蒸留水で懸濁し、110℃で10分間加
熱して死菌体懸濁液を得た。次に、熱風乾燥法あるいは
凍結乾燥法等適当な方法で乾燥処理し、乾燥死菌体(以
下菌体標品)を得た。
s)NF−1011を、代表的培地として以下に示す組
成のロゴサ液体培地に接種し、(菌数:106個/ml)、
37℃で10〜16時間培養し、生菌数約109個/mlの
培養液を得た。得られた培養液を12,000rpmで20分間
遠心分離して集菌し、蒸留水で2回洗浄して菌体を得
た。この菌体を蒸留水で懸濁し、110℃で10分間加
熱して死菌体懸濁液を得た。次に、熱風乾燥法あるいは
凍結乾燥法等適当な方法で乾燥処理し、乾燥死菌体(以
下菌体標品)を得た。
【0018】ロゴサ液体培地の組成を示す。 トリプチケース 10g 酵母エキス 5g トリプトース 3g リン酸一カリウム 3g リン酸二カリウム 3g クエン酸三アンモニウム 2g ツイーン80(界面活性剤) 1g グルコース 20g システイン塩酸塩 0.2g 塩類溶液(1のとおり) 5ml 蒸留水 1000ml (pH7.0に調整、121℃で15分間加熱滅菌) (1)塩類溶液:MgSO4・7H2O 11.5g FeSO4・7H2O 0.68g MnSO4・2H2O 2.4g 蒸留水 100ml
【0019】実施例2.IFN活性の測定 (1)マウス脾細胞の調製 C3H/He N系のマウス(雌性6〜12週齢)の脾臓を無菌
的に取り出し、5%FCS−RPMI 1640培地(以下培養液)の
入った培養皿に移し、はさみで細片にした後、ナイロン
メッシュを通して遠心管へ移した。この細胞懸濁液を遠
心分離(1,200rpm)し、沈殿した細胞を赤血球除去用ト
リス緩衝液に懸濁、再び遠心分離を行い、沈殿した細胞
を培養液に懸濁した。この細胞懸濁液の、脾細胞数が5
×106〜1×107個/mlになるように調整した。
的に取り出し、5%FCS−RPMI 1640培地(以下培養液)の
入った培養皿に移し、はさみで細片にした後、ナイロン
メッシュを通して遠心管へ移した。この細胞懸濁液を遠
心分離(1,200rpm)し、沈殿した細胞を赤血球除去用ト
リス緩衝液に懸濁、再び遠心分離を行い、沈殿した細胞
を培養液に懸濁した。この細胞懸濁液の、脾細胞数が5
×106〜1×107個/mlになるように調整した。
【0020】(2)IFN液の調製 2群のC3H/He N系のマウス(雌性8週齢)の各々にシク
ロホスファミド(Cyclophosphamide:エンドキサン:シオ
ノギ製薬)200mg/kg体重を腹腔内に投与し、一方の群に
は翌日から3日間連続して実施例1で得た菌体標品を経
口投与の場合で2.4mg/g体重、腹腔内投与の場合で4.0μ
g/g体重になるように各々投与した。他方の対照群マウ
スには生理的食塩水を同様に投与した。次に(1)の方
法でマウス脾細胞懸濁液を調製し、これにIFNインデ
ューサーとしてのLPSを1μg/ml、又は、PHA−P
を10μg/mlになるように添加し、CO2インキュベータ
ー内で20時間培養して、得られた遠心上清をIFN液
として実験に使用した。
ロホスファミド(Cyclophosphamide:エンドキサン:シオ
ノギ製薬)200mg/kg体重を腹腔内に投与し、一方の群に
は翌日から3日間連続して実施例1で得た菌体標品を経
口投与の場合で2.4mg/g体重、腹腔内投与の場合で4.0μ
g/g体重になるように各々投与した。他方の対照群マウ
スには生理的食塩水を同様に投与した。次に(1)の方
法でマウス脾細胞懸濁液を調製し、これにIFNインデ
ューサーとしてのLPSを1μg/ml、又は、PHA−P
を10μg/mlになるように添加し、CO2インキュベータ
ー内で20時間培養して、得られた遠心上清をIFN液
として実験に使用した。
【0021】(3)CPE(細胞変性効果)阻止法によ
るIFNの力価測定 96ウエル平底プレートに、あらかじめ5×105個/m
lに調製したL929細胞を添加し、CO2インキュベータ
ー内で6時間培養して、プレートに細胞を付着させた。
これに(2)で調製したIFN液を添加して、CO2イ
ンキュベーター内で16時間培養した後上清を捨て、ve
sicular stomatitis virus(VSV)を2,500PFU/ウエ
ル添加し、さらに48時間培養した。培養終了後上清を
捨て、VSVによって変性剥離した細胞を除去した後、
IFNの抗ウイルス効果により、VSVで変性させられ
ることなく付着したまま残った細胞をクリスタルバイオ
レットで染色し、620nmでの吸光度を測定した。結果を
表1に示す。実施例1で得た菌体標品を経口投与、又
は、腹腔内投与することによって、IFN産生が著しく
増強された。
るIFNの力価測定 96ウエル平底プレートに、あらかじめ5×105個/m
lに調製したL929細胞を添加し、CO2インキュベータ
ー内で6時間培養して、プレートに細胞を付着させた。
これに(2)で調製したIFN液を添加して、CO2イ
ンキュベーター内で16時間培養した後上清を捨て、ve
sicular stomatitis virus(VSV)を2,500PFU/ウエ
ル添加し、さらに48時間培養した。培養終了後上清を
捨て、VSVによって変性剥離した細胞を除去した後、
IFNの抗ウイルス効果により、VSVで変性させられ
ることなく付着したまま残った細胞をクリスタルバイオ
レットで染色し、620nmでの吸光度を測定した。結果を
表1に示す。実施例1で得た菌体標品を経口投与、又
は、腹腔内投与することによって、IFN産生が著しく
増強された。
【0022】
【表1】 ────────────────────────────── IFNの力価(IU/ml) LPS PHA−P ────────────────────────────── 生理的食塩水 253.0± 58.4 65.1±52.7 (対照) ────────────────────────────── NF-1011菌体標品 419.9± 98.7* 153.4±79.9* 経口投与 ────────────────────────────── NF-1011菌体標品 281.5±143.2 251.3±91.7* 腹腔内投与 ────────────────────────────── *:p<0.05(対照値に対して有意差あり)
【0023】(4)IFNのクラス測定 96ウエル平底プレートに、あらかじめ5×105個/m
lに調製したL929細胞を添加し、CO2インキュベータ
ー内で6時間培養して、プレートに細胞を付着させた。
これに(2)で調製したIFN液および抗IFN−α抗
体、抗IFN−β抗体(共にヤマサ醤油)、抗IFN−
γ抗体(Genzyme社)を添加して、CO2インキュベータ
ー内で16時間培養した後上清を捨て、VSVを2,500P
FU/ウエル添加し、さらに48時間培養した。培養終了
後上清を捨て、VSVによって変性剥離した細胞を除去
した後、付着したまま残った細胞をクリスタルバイオレ
ットで染色し、620nmでの吸光度を測定した。
lに調製したL929細胞を添加し、CO2インキュベータ
ー内で6時間培養して、プレートに細胞を付着させた。
これに(2)で調製したIFN液および抗IFN−α抗
体、抗IFN−β抗体(共にヤマサ醤油)、抗IFN−
γ抗体(Genzyme社)を添加して、CO2インキュベータ
ー内で16時間培養した後上清を捨て、VSVを2,500P
FU/ウエル添加し、さらに48時間培養した。培養終了
後上清を捨て、VSVによって変性剥離した細胞を除去
した後、付着したまま残った細胞をクリスタルバイオレ
ットで染色し、620nmでの吸光度を測定した。
【0024】LPS刺激時に産生されたIFN約300IU/
mlは、抗IFN−βによって、検出レベル以下になっ
た。PHA刺激によって産生されたIFN約100IU/ml
は、抗IFN−βによって、約40IU/mlに、抗IFN−
γによって、約60IU/mlに低下した。このことより、P
HAの刺激時はIFN−βが、LPSの刺激時はIFN
−β及びIFN−γの産生の増強がおきることが明らか
となった。
mlは、抗IFN−βによって、検出レベル以下になっ
た。PHA刺激によって産生されたIFN約100IU/ml
は、抗IFN−βによって、約40IU/mlに、抗IFN−
γによって、約60IU/mlに低下した。このことより、P
HAの刺激時はIFN−βが、LPSの刺激時はIFN
−β及びIFN−γの産生の増強がおきることが明らか
となった。
【0025】実施例3.(易感染モデルマウスにおける
単純ヘルペスウイルス感染に対する防御) C3H/He Nマウス(日本SLC)8週齢、雌性を1群9匹
(菌体腹腔内投与群のみ6匹)で使用した。マウスの感
染防御力を低下させるために、シクロホスファミド200m
g/kg体重を腹腔内に投与した。翌日から3日間、実施例
1で調製した菌体標品20mg相当量をマウスに胃ゾンデに
よる経口投与並びに腹腔内に投与した。対照群には生理
的食塩水を経口投与した。
単純ヘルペスウイルス感染に対する防御) C3H/He Nマウス(日本SLC)8週齢、雌性を1群9匹
(菌体腹腔内投与群のみ6匹)で使用した。マウスの感
染防御力を低下させるために、シクロホスファミド200m
g/kg体重を腹腔内に投与した。翌日から3日間、実施例
1で調製した菌体標品20mg相当量をマウスに胃ゾンデに
よる経口投与並びに腹腔内に投与した。対照群には生理
的食塩水を経口投与した。
【0026】シクロホスファミド投与から4日後、Herp
es simplex virus-1 Miyama株(HSV−1:チミジン
キナーゼ発現型(CG+))1.5×104PFU/マウスを、尾静脈
内に接種した。以後20日間にわたって、マウスの生死
を対照動物群と比較した。結果を表2に示す。菌体経口
投与群および菌体腹腔内投与群は、HSV−1接種後2
0日の時点で対照群と比較して、有意(p<0.05)に高い
生存率を示した。
es simplex virus-1 Miyama株(HSV−1:チミジン
キナーゼ発現型(CG+))1.5×104PFU/マウスを、尾静脈
内に接種した。以後20日間にわたって、マウスの生死
を対照動物群と比較した。結果を表2に示す。菌体経口
投与群および菌体腹腔内投与群は、HSV−1接種後2
0日の時点で対照群と比較して、有意(p<0.05)に高い
生存率を示した。
【0027】
【表2】 ──────────────────────────────────── HSV−1接種後の日数 ───────────────────────── 0 6 7 8 9 10 11 20 ──────────────────────────────────── 対照群 9/9a) 4/9 1/9 1/9 0/9 0/9 0/9 0/9 菌体腹腔内投与群 6/6 4/6 4/6 3/6 3/6 3/6 3/6 3/6* 菌体経口投与群群 9/9 6/9 6/9 6/9 6/9 5/9 4/9 4/9* ──────────────────────────────────── a);生存率(生存匹数/1群匹数) *:p<0.05(対照値に対して有意差あり)
【0028】実施例4.(製剤例) (1)実施例1で得た死菌体菌末150mgを精製でん
ぷん末150mg及び乳糖700mgと混合して錠剤又
は顆粒剤にする。
ぷん末150mg及び乳糖700mgと混合して錠剤又
は顆粒剤にする。
【0029】(2)実施例1で得た死菌体菌末300m
gを大豆タンパク300mg及び乳糖400mgと混合
して錠剤又は顆粒剤にする。
gを大豆タンパク300mg及び乳糖400mgと混合
して錠剤又は顆粒剤にする。
【0030】
【発明の効果】ヘルペスウイルスに代表されるウイルス
感染症、とりわけ薬剤投与などによる免疫不全による感
染防御能の低下に対して予防又は治療効果を有する。
感染症、とりわけ薬剤投与などによる免疫不全による感
染防御能の低下に対して予防又は治療効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 英世 神奈川県川崎市多摩区栗谷2丁目15番5号
Claims (3)
- 【請求項1】エンテロコッカス属に属する菌体を有効成
分とするウイルス性感染症の感染防御剤 - 【請求項2】ウイルスが単純ヘルペスウイルス(herpes
simplex virus)である請求項1記載の感染防御剤 - 【請求項3】エンテロコッカス属に属する菌体がエンテ
ロコッカス・フェカリスNF−1011である請求項1
記載の感染防御剤
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7308359A JPH09124496A (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 感染防御剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7308359A JPH09124496A (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 感染防御剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09124496A true JPH09124496A (ja) | 1997-05-13 |
Family
ID=17980122
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7308359A Pending JPH09124496A (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 感染防御剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09124496A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1995
- 1995-10-31 JP JP7308359A patent/JPH09124496A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
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