JPH09123887A - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

車輌の制動力制御装置

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JPH09123887A
JPH09123887A JP30229195A JP30229195A JPH09123887A JP H09123887 A JPH09123887 A JP H09123887A JP 30229195 A JP30229195 A JP 30229195A JP 30229195 A JP30229195 A JP 30229195A JP H09123887 A JPH09123887 A JP H09123887A
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pressure
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wheel cylinder
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Shirou Kadosaki
司朗 門崎
Kosuke Komatsuzaki
康介 小松崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 挙動制御の終了時にホイールシリンダ内の残
圧がマスタシリンダへ逆流しても、マスタシリンダの耐
久性や信頼性が低下することを防止する。 【解決手段】 第一の加圧室(108)及び第二の加圧
室(110)を備えたマスタシリンダ(14)と、マス
タシリンダとホイールシリンダとを連通しアキュムレー
タ(46)とホイールシリンダとを遮断する通常状態
と、マスタシリンダとホイールシリンダとを遮断しアキ
ュムレータとホイールシリンダとを連通する制御状態と
に切換わる切換弁(44、50FR等)と、切換弁の状態
を切換える制御装置(70)とを有する。切換弁が制御
状態より通常状態に切換えられる際に第一の加圧室とホ
イールシリンダとの連通及び第二の加圧室とホイールシ
リンダとの連通の一方が他方に対し遅延される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
制動力制御装置に係り、特に旋回時に於けるスピンやド
リフトアウトの如き好ましからざる挙動を抑制し低減す
るのに適した制動力制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌の旋回時に於けるスピン
等の挙動を制御する制動力制御装置の一つとして、例え
ば特開平6−24304号公報に記載されている如く、
車輌の実ヨーレートが車輌の走行状態に基づいて演算さ
れる目標ヨーレートになるよう制動力を制御するヨーレ
ートフィードバック式の制動力制御装置が従来より知ら
れている。
【0003】かかる制動力制御装置によれば、実ヨーレ
ートが目標ヨーレートになるよう制動力が制御されるこ
とにより、旋回時にスピンやドリフトアウトが生じても
その不安定な挙動が低減されるので、かかる制動力制御
が行われない場合に比して車輌の旋回挙動を安定化させ
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】制動力制御装置による
挙動制御は、車輌の挙動が不安定になれば、運転者によ
る制動操作が行われている状況に於いても実行されなけ
ればならない。そのため挙動制御時にはアキュムレータ
を圧力源として挙動制御を行い、運転者による制動操作
時にはブレーキペダルに対する踏力に応じて変化するマ
スタシリンダ圧により制動を行うよう、ホイールシリン
ダへ供給される圧力の供給源を切換える油圧回路が考え
られる。
【0005】かかる油圧回路が設けられた制動力制御装
置に於いては、挙動制御が終了することにより圧力源が
アキュムレータよりマスタシリンダに切換えられる際に
於けるホイールシリンダ内の残圧が高いと、その残圧が
マスタシリンダへ逆流することがある。一般にマスタシ
リンダはフェールセーフの目的で前輪系統及び後輪系統
の2系統に構成され、フリーピストンにより区画された
前輪用及び後輪用の二つの加圧室を有し、フリーピスト
ンはブレーキペダルにより駆動されるメインピストンに
ロッド等の連結手段により連結されている。
【0006】そのため挙動制御の終了時にホイールシリ
ンダ内の残圧がマスタシリンダへ逆流すると、フリーピ
ストンに作用する圧力が急激に変化することにより連結
手段に大きい力が作用し、連結手段の耐久性が悪化す
る。またロッド等の連結手段が設けられていない構成の
場合にも、ホイールシリンダ内の残圧がマスタシリンダ
へ逆流すると、フリーピストンが急激に移動するため、
マスタシリンダの信頼性が悪影響を受ける。
【0007】本発明は、従来の制動力制御装置に於ける
上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の
主要な課題は、挙動制御の終了時にホイールシリンダ内
の残圧がマスタシリンダへ逆流する場合にも、フリーピ
ストンに作用する力が急激に変化することを防止するこ
とにより、連結手段の耐久性の悪化やマスタシリンダの
信頼性の低下を防止することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の主要な課題は、本
発明によれば、請求項1の構成、即ちフリーピストンに
より区画された第一及び第二の加圧室を備えたマスタシ
リンダと、前記マスタシリンダの前記加圧室と各輪のホ
イールシリンダとを連通接続する通路手段と、前記通路
手段に設けられた切換弁であって、前記マスタシリンダ
と前記ホイールシリンダとの連通を許し且つ所定の高圧
を発生する圧力源と前記ホイールシリンダとの連通を遮
断する第一の状態と、前記マスタシリンダと前記ホイー
ルシリンダとの連通を遮断し且つ前記圧力源と前記ホイ
ールシリンダとを連通接続する第二の状態とに切換わる
切換弁と、車輌の走行状態に応じて前記切換弁を前記第
一又は第二の状態に切換える制御手段とを有する車輌の
制動力制御装置に於いて、前記制御手段が前記切換弁を
前記第二の状態より前記第一の状態に切換える際に前記
第一の加圧室と前記ホイールシリンダとの連通及び前記
第二の加圧室と前記ホイールシリンダとの連通の一方を
他方に対し遅延させる手段を有していることを特徴とす
る車輌の制動力制御装置によって達成される。
【0009】この構成によれば、制御手段が切換弁を第
二の状態より第一の状態に切換える際には、第一の加圧
室とホイールシリンダとの連通及び第二の加圧室とホイ
ールシリンダとの連通の一方が他方に対し遅延され、従
って他方の加圧室がホイールシリンダと連通されるとき
には一方の加圧室とホイールシリンダとの連通が遮断さ
れた状態にあり、フリーピストンは一方の加圧室によっ
て液圧的にロックされた状態にあるので、ホイールシリ
ンダ内の残圧がマスタシリンダの他方の加圧室へ逆流し
ても、フリーピストンに連結された連結手段に大きい力
が作用したりフリーピストンが急激に移動したりするこ
とが確実に防止される。
【0010】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の課題解決手段
の一つの好ましい態様によれば、請求項1の構成に於
て、第一の加圧室は前輪用の制動圧力を発生すると共に
前輪のホイールシリンダと連通接続され、第二の加圧室
は後輪用の制動圧力を発生すると共に後輪のホイールシ
リンダと連通接続されるよう構成される。
【0011】また本発明の課題解決手段の他の一つの好
ましい対応によれば、上記好ましい態様の構成に於い
て、第二の加圧室と後輪のホイールシリンダとの連通が
第一の加圧室と前輪のホイールシリンダとの連通に対し
遅延されるよう構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を実施形態について詳細に説明する。
【0013】図1は本発明による制動力制御装置の一つ
の実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構
成図である。
【0014】図1に於て、制動装置10は運転者による
ブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキ
オイルを第一及び第二のポートより圧送するマスタシリ
ンダ14と、マスタシリンダ内のオイル圧力に対応する
圧力(レギュレータ圧)にブレーキオイルを増圧するハ
イドロブースタ16とを有している。マスタシリンダ1
4の第一のポートは前輪用のブレーキ油圧制御導管18
により左右前輪用のブレーキ油圧制御装置20及び22
に接続され、第二のポートは途中にプロポーショナルバ
ルブ24を有する後輪用のブレーキ油圧制御導管26に
より左右後輪用の3ポート2位置切換え型の電磁式の制
御弁28に接続されている。制御弁28は導管30によ
り左後輪用のブレーキ油圧制御装置32及び右後輪用の
ブレーキ油圧制御装置34に接続されている。
【0015】図10に詳細に示されている如く、マスタ
シリンダ14のシリンダハウジング100にはシリンダ
ボア102が設けられており、シリンダボア102には
第一の加圧ピストン104及び第二の加圧ピストン(フ
リーピストン)106が液密的に且つ図にて左右方向に
摺動可能に嵌合されている。各ピストン104及び10
6の前方(図10で見て左方)にはそれぞれ第一の加圧
室108及び第二の加圧室110が形成されている。第
一の加圧ピストン104は図10には示されていないロ
ッドやリアクション機構等を介してブレーキペダル12
に連結されており、ブレーキペダル12の踏込みに応じ
て第一の加圧室108及び第二の加圧室110に液圧が
発生するようになっている。
【0016】第一の加圧ピストン104及び第二の加圧
ピストン106はそれぞれ液密性を維持するためのカッ
プシール112及び114によりシールされており、第
一の圧縮コイルばね116及び第一の離間限度規制部材
118により両者の相対位置が規制されるようになって
いる。第一の圧縮コイルばね116は加圧ピストン10
4及び106を互いに離間させる方向に付勢している。
第一の離間限度規制部材118は軸部118Aと、該軸
部の一端に形成された大径のヘッド部118Bと、軸部
118Aの他端に形成された段付き形状の大径の弁保持
部118Cとよりなっている。
【0017】ヘッド部118Bは第二の加圧ピストン1
06に形成された有底の孔120内に移動可能に収容さ
れ、孔120の開放端と係合することによりその移動が
規制されるようになっている。一方弁保持部118Cは
第一の加圧ピストン104の有底の孔122内に移動可
能に収容され、蓋部材124と係合することによりその
移動が規制されるようになっている。従って第一の圧縮
コイルばね116の付勢力による第一の加圧ピストン1
04と第二の加圧ピストン106との間の離間距離は第
一の離間限度規制部材118により規制される。
【0018】第一の加圧ピストン104の孔122の底
部には第一の加圧室108と貫通孔126とを連通接続
する連通孔128が設けられており、第一の加圧室10
8は連通孔128、貫通孔126、シリンダ室130、
ポート132を介してリザーバ36に連通接続されてい
る。また第一の離間限度規制部材118の弁保持部11
8Cには連通孔128を開閉するゴム製の弁要素134
が固定されており、弁要素134は圧縮コイルばね13
6により連通孔128を塞ぐ方向に付勢されている。
【0019】同様に第二の加圧ピストン106はシリン
ダハウジング100の前端に固定されたブロック138
と第二の圧縮コイルばね140と第二の離間限度規制部
材142とによりシリンダハウジングの前端及びブロッ
ク138に対する相対位置が規制されるようになってい
る。第二の圧縮コイルばね140は加圧ピストン106
をブロック138より離間させる方向に付勢している。
第二の離間限度規制部材142は軸部142Aと、該軸
部の一端に形成された大径のヘッド部142Bと、軸部
142Aの他端に形成された段付き形状の大径の弁保持
部142Cとよりなっている。
【0020】ヘッド部142Bはブロック138に形成
された有底の孔144内に移動可能に収容され、孔14
4の開放端と係合することによりその移動が規制される
ようになっている。一方弁保持部142Cは第二の加圧
ピストン106の有底の孔146内に移動可能に収容さ
れ、蓋部材148と係合することによりその移動が規制
されるようになっている。従って第二の圧縮コイルばね
140の付勢力によるブロック138と第二の加圧ピス
トン106との間の離間距離は第二の離間限度規制部材
142により規制される。
【0021】第二の加圧ピストン106の孔146の底
部には第二の加圧室110と貫通孔150とを連通接続
する連通孔152が設けられており、第二の加圧室11
0は連通孔152、貫通孔150、ポート156を介し
てリザーバ36に連通接続されている。また第二の離間
限度規制部材142の弁保持部142Cには連通孔15
2を開閉するゴム製の弁要素158が固定されており、
弁要素158は圧縮コイルばね160により連通孔15
2を塞ぐ方向に付勢されている。
【0022】更に第一の加圧室108はシリンダハウジ
ング100に設けられたポート162を介して前輪用の
ブレーキ油圧制御導管18に連通接続されており、第二
の加圧室110は同じくシリンダハウジング100に設
けられたポート164を介して後輪用のブレーキ油圧制
御導管26に連通接続されている。
【0023】以上の如く構成されたマスタシリンダに於
いて、ブレーキペダル12が踏み込まれると、第一の加
圧ピストン104が図にて左方へ駆動され、第一の離間
限度規制部材118の弁要素134が連通孔128に接
近する。第一の加圧ピストン104が更に駆動される
と、弁要素134が連通孔128を閉ざし、第一の加圧
室108に液圧が発生する。
【0024】かくして第一の加圧室108に液圧が発生
すると、第二の加圧ピストン106も図にて左方へ駆動
され、第二の離間限度規制部材142の弁要素158が
連通孔152に接近する。第二の加圧ピストン106が
更に駆動されると、弁要素158が連通孔152を閉ざ
し、第二の加圧室110に液圧が発生する。第一の加圧
室108及び第二の加圧室110に発生した液圧はそれ
ぞれポート162及び164を介して前輪用のブレーキ
油圧制御導管18及び後輪用のブレーキ油圧制御導管2
6へ供給される。
【0025】これに対しブレーキペダル12の踏み込み
が解除されると、第一の加圧室108及び第二の加圧室
110内の液圧は速やかに低下する。即ち第一の加圧ピ
ストン104及び第二の加圧ピストン106がそれぞれ
圧縮コイルばね116及び140により初期位置へ戻さ
れ、連通孔128及び152が開かれ、第一の加圧室1
08及び第二の加圧室110内の液圧がそれぞれポート
132及び156を経てリザーバ36へ解放される。
【0026】また図1に於て、制動装置10はリザーバ
36に貯容されたブレーキオイルを汲み上げ高圧のオイ
ルとして高圧導管38へ供給するオイルポンプ40を有
している。高圧導管38はハイドロブースタ16に接続
されると共に切換弁44に接続されており、高圧導管3
8の途中にはオイルポンプ40より吐出される高圧のオ
イルをアキュムレータ圧として蓄圧するアキュムレータ
46が接続されている。図示の如く切換弁44も3ポー
ト2位置切換え型の電磁式の切換弁であり、四輪用のレ
ギュレータ圧供給導管47によりハイドロブースタ16
に接続されている。
【0027】左右前輪用のブレーキ油圧制御装置20及
び22はそれぞれ対応する車輪に対する制動力を制御す
るホイールシリンダ48FL及び48FRと、3ポート2位
置切換え型の電磁式の制御弁50FL及び50FRと、リザ
ーバ36に接続されたリターン通路としての低圧導管5
2と切換弁44との間に接続された左右前輪用のレギュ
レータ圧供給導管53の途中に設けられた常開型の電磁
式の開閉弁54FL及び54FR及び常閉型の電磁式の開閉
弁56FL及び56FRとを有している。それぞれ開閉弁5
4FL、54FRと開閉弁56FL、56FRとの間の左右前輪
用のレギュレータ圧供給導管53は接続導管58FL、5
8FRにより制御弁50FL、50FRに接続されている。
【0028】左右後輪用のブレーキ油圧制御装置32、
34は制御弁28と低圧導管52との間にて導管30の
途中に設けられた常開型の電磁式の開閉弁60RL、60
RR及び常閉型の電磁式の開閉弁62RL、62RRと、それ
ぞれ対応する車輪に対する制動力を制御するホイールシ
リンダ64RL、64RRとを有し、ホイールシリンダ64
RL、64RRはそれぞれ接続導管66RL、66RRにより開
閉弁60RL、60RRと開閉弁62RL、62RRとの間の導
管30に接続されている。
【0029】制御弁50FL及び50FRはそれぞれ前輪用
のブレーキ油圧制御導管18とホイールシリンダ48FL
及び48FRとを連通接続し且つホイールシリンダ48FL
及び48FRと接続導管58FL及び58FRとの連通を遮断
する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管18と
ホイールシリンダ48FL及び48FRとの連通を遮断し且
つホイールシリンダ48FL及び48FRと接続導管58FL
及び58FRとを連通接続する第二の位置とに切替わるよ
うになっている。
【0030】切換弁44と左右後輪用制御弁28との間
には左右後輪用のレギュレータ圧供給導管68が接続さ
れており、制御弁28はそれぞれ後輪用のブレーキ油圧
制御導管26と開閉弁60RL、60RRとを連通接続し且
つ開閉弁60RL、60RRとレギュレータ圧供給導管68
との連通を遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧
制御導管26と開閉弁60RL、60RRとの連通を遮断し
且つ開閉弁60RL、60RRとレギュレータ圧供給導管6
8とを連通接続する第二の位置とに切替わるようになっ
ている。
【0031】制御弁50FL、50FR、28はマスタシリ
ンダ圧遮断弁として機能し、これらの制御弁が図示の第
一の位置にあるときにはホイールシリンダ48FL、48
FR、64RL、64RRが導管18、26と連通接続され、
各ホイールシリンダへマスタシリンダ圧が供給されるこ
とにより、各輪の制動力が運転者によるブレーキペダル
12の踏み込み量に応じて制御され、制御弁50FL、5
0FR、28が第二の位置にあるときには各ホイールシリ
ンダはマスタシリンダ圧より遮断される。
【0032】また切換弁44はホイールシリンダ48F
L、48FR、64RL、64RRへ供給される油圧をアキュ
ムレータ圧とレギュレータ圧との間にて切換える機能を
果し、制御弁50FL、50FR、28が第二の位置に切換
えられ且つ開閉弁54FL、54FR、60RL、60RR及び
開閉弁56FL、56FR、62RL、62RRが図示の位置に
ある状態にて切換弁44が図示の第一の位置に維持され
るときには、ホイールシリンダ48FL、48FR、64R
L、64RRへレギュレータ圧が供給されることにより各
ホイールシリンダ内の圧力がレギュレータ圧にて制御さ
れ、これにより他の車輪の制動圧に拘わりなくその車輪
の制動圧がブレーキペダル12の踏み込み量に対応する
レギュレータ圧による増圧モードにて制御される。
【0033】尚各弁がレギュレータ圧による増圧モード
に切換え設定されても、ホイールシリンダ内の圧力がレ
ギュレータ圧よりも高いときには、ホイールシリンダ内
のオイルが逆流し、制御モードが増圧モードであるにも
拘らず実際の制動圧は低下する。
【0034】また制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられ且つ開閉弁54FL、54FR、60RL、
60RR及び開閉弁56FL、56FR、62RL、62RRが図
示の位置にある状態にて切換弁44が第二の位置に切換
えられると、ホイールシリンダ48FL、48FR、64R
L、64RRへアキュムレータ圧が供給されることにより
各ホイールシリンダ内の圧力がレギュレータ圧よりも高
いアキュムレータ圧にて制御され、これによりブレーキ
ペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制動圧に拘わり
なくその車輪の制動圧がアキュームレータ圧による増圧
モードにて制御される。
【0035】更に制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられた状態にて開閉弁54FL、54FR、6
0RL、60RRが第二の位置に切換えられ、開閉弁56F
L、56FR、62RL、62RRが図示の状態に制御される
と、切換弁44の位置に拘らず各ホイールシリンダ内の
圧力が保持され、制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられた状態にて開閉弁54FL、54FR、6
0RL、60RR及び開閉弁56FL、56FR、62RL、62
RRが第二の位置に切換えられると、切換弁44の位置に
拘らず各ホイールシリンダ内の圧力が減圧され、これに
よりブレーキペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制
動圧に拘わりなくその車輪の制動圧が減圧モードにて制
御される。
【0036】切換弁44、制御弁50FL、50FR、2
8、開閉弁54FL、54FR、60RL、60RR及び開閉弁
56FL、56FR、62RL、62RR、は後に詳細に説明す
る如く電気式制御装置70により制御される。電気式制
御装置70はマイクロコンピュータ72と駆動回路74
とよりなっており、マイクロコンピュータ72は図1に
は詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(C
PU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダム
アクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有
し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続さ
れた一般的な構成のものであってよい。
【0037】マイクロコンピュータ72の入出力ポート
装置には車速センサ76より車速Vを示す信号、実質的
に車体の重心に設けられた横加速度センサ78より車体
の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ80より
車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ82より
操舵角θを示す信号、実質的に車体の重心に設けられた
前後加速度センサ84より車体の前後加速度Gx を示す
信号、車輪速度センサ86FL〜86RRよりそれぞれ左右
前輪及び左右後輪の車輪速度(周速)Vwfl 、Vwfr 、
Vwrl 、Vwrr を示す信号、ブレーキスイッチ(SW)
88より該ブレーキスイッチがオン状態にあるか否かを
示す信号が入力されるようになっている。尚横加速度セ
ンサ78及びヨーレートセンサ80等は車輌の左旋回方
向を正として横加速度等を検出し、前後加速度センサ8
4は車輌の加速方向を正として前後加速度を検出するよ
うになっている。
【0038】マイクロコンピュータ72のROMは後述
の如く図2〜図6の制御フロー及び図7〜図9のマップ
を記憶しており、CPUは上述の種々のセンサにより検
出されたパラメータに基づき後述の如く種々の演算を行
い、車輌の旋回挙動を判定するためのスピン状態量SS
及びドリフトアウト状態量DSを求め、これらの状態量
に基づき車輌の旋回挙動を推定し、その推定結果に基づ
き各輪の制動力を制御して旋回挙動を制御するようにな
っている。
【0039】次に図2及び図3に示されたフローチャー
トを参照して車輌の挙動制御ルーチンについて説明す
る。尚図2及び図3に示されたフローチャートによる制
御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉
成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0040】まずステップ10に於いては車速センサ7
6により検出された車速Vを示す信号等の読込みが行わ
れ、ステップ20に於いては横加速度Gy と車速V及び
ヨーレートγの積V*γとの偏差Gy −V*γとして横
加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vydが演算さ
れ、ステップ30に於いては横すべり加速度Vydが積分
されることにより車体の横すべり速度Vy が演算され、
車体の前後速度Vx (=車速V)に対する車体の横すべ
り速度Vy の比Vy /Vx として車体のスリップ角βが
演算される。
【0041】ステップ40に於いてはK1 及びK2 をそ
れぞれ正の定数として車体のスリップ角β及び横すべり
加速度Vydの線形和K1 *β+K2 *Vydとしてスピン
量SVが演算され、ステップ50に於いてはヨーレート
γの符号に基づき車輌の旋回方向が判定され、スピン状
態量SSが車輌が左旋回のときにはSVとして、車輌が
右旋回のときには−SVとして演算され、演算結果が負
の値のときにはスピン状態量は0とされる。尚スピン量
SVは車体のスリップ角β及びその微分値βdの線形和
として演算されてもよい。
【0042】ステップ60に於いてはKh をスタビリテ
ィファクタとして下記の数1に従って目標ヨーレートγ
c が演算されると共に、Tを時定数としsをラプラス演
算子として下記の数2に従って基準ヨーレートγt が演
算される。尚目標ヨーレートγc は動的なヨーレートを
考慮すべく車輌の横加速度Gy を加味して演算されても
よい。
【0043】
【数1】γc =V*θ/(1+Kh *V2 )*H
【数2】γt =γc /(1+T*s)
【0044】ステップ70に於いては下記の数3に従っ
てドリフトアウト量DVが演算される。尚ドリフトアウ
ト量DVはHをホイールベースとして下記の数4に従っ
て演算されてもよい。
【0045】
【数3】DV=(γt −γ)
【数4】DV=H*(γt −γ)/V
【0046】ステップ80に於いてはヨーレートγの符
号に基づき車輌の旋回方向が判定され、ドリフトアウト
状態量DSが車輌が左旋回のときにはDVとして、車輌
が右旋回のときには−DVとして演算され、演算結果が
負の値のときにはドリフトアウト状態量は0とされる。
【0047】ステップ90に於いてはスピン状態量SS
に基づき図7に示されたグラフに対応するマップより旋
回外側前輪のスリップ率目標値Rssfoが演算され、ステ
ップ100に於いてはドリフトアウト状態量DSに基づ
き図8に示されたグラフに対応するマップより車輌全体
のスリップ率目標値Rsallが演算される。
【0048】ステップ110に於いてはKsri を旋回内
側後輪の分配率として下記の数5に従って旋回外側前
輪、旋回内側前輪、旋回外側後輪、旋回内側後輪の目標
スリップ率Rsfo 、Rsfi 、Rsro 、Rsri が演算され
る。
【数5】 Rsfo =Rssfo Rsfi =0 Rsro =(Rsall−Rssfo)*(100−Ksri )/1
00 Rsri =(Rsall−Rssfo)*Ksri /100
【0049】ステップ120に於いてはヨーレートγの
符号に基づき車輌の旋回方向が判定されることにより旋
回内外輪が特定され、その特定結果に基づき各輪の最終
目標スリップ率Rsi(i=fr、fl、rr、rl)が演算され
る。即ち最終目標スリップ率Rsiが車輌の左旋回の場合
及び右旋回の場合についてそれぞれ下記の数6及び数7
に従って求められる。
【0050】
【数6】 Rsfr =Rsfo Rsfl =Rsfi Rsrr =Rsro Rsrl =Rsri
【数7】 Rsfr =Rsfi Rsfl =Rsfo Rsrr =Rsri Rsrl =Rsro
【0051】ステップ130に於いては全ての最終目標
スリップ率Rsiが0であるか否かの判別、即ち挙動制御
が不要であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われ
たときにはステップ140に於いてフラグFが0にリセ
ットされた後ステップ10へ戻り、否定判別が行われた
ときにはステップ150に於いてフラグFが1にセット
される。
【0052】ステップ160に於いてはVb を基準車輪
速度(例えば旋回内側前輪の車輪速度)として下記の数
8に従って各輪の目標車輪速度Vwti が演算される。
【数8】Vwti =Vb *(100−Rsi)/100
【0053】ステップ170に於いてはVwid を各輪の
車輪加速度(Vwiの微分値)とし、Ks を正の一定の係
数として下記の数9に従って各輪の目標スリップ量SP
i が演算され、ステップ180に於いては図9に示され
たグラフに対応するマップより各輪のデューティ比Dri
が演算される。
【数9】 SPi =Vwi −Vwti +Ks *(Vwid −Gx )
【0054】更にステップ190に於いては切換弁44
が第二の位置に切換え設定されてアキュムレータ圧が導
入されると共に、最終目標スリップRsiが0でない車輪
に対応する各輪の制御弁28、50FR〜50RLに対し制
御信号が出力されることによってその制御弁が第二の位
置に切換え設定される。また各輪の開閉弁に対しデュー
ティ比Driに対応する制御信号が出力されることによ
り、ホイールシリンダ48FR〜48RLに対するアキュー
ムレータ圧の給排が制御され、これにより各輪の制動圧
が制御される。
【0055】この場合デューティ比Driが負の基準値と
正の基準値との間の値であるときには上流側の開閉弁が
第二の位置に切換え設定され且つ下流側の開閉弁が第一
の位置に保持されることにより、対応するホイールシリ
ンダ内の圧力が保持され、デューティ比が正の基準値以
上のときには上流側及び下流側の開閉弁が図1に示され
た位置に制御されることにより、対応するホイールシリ
ンダへアキュームレータ圧が供給されることによって該
ホイールシリンダ内の圧力が増圧され、デューティ比が
負の基準値以下であるときには上流側及び下流側の開閉
弁が第二の位置に切換え設定されることにより、対応す
るホイールシリンダ内のブレーキオイルが低圧導管52
へ排出され、これにより該ホイールシリンダ内の圧力が
減圧される。
【0056】尚ホイールシリンダ内の圧力が増圧される
ときには上流側の開閉弁がデューティ比に応じて開閉さ
れ、ホイールシリンダ内の圧力が減圧されるときには下
流側の開閉弁がデューティ比に応じて開閉される。これ
によりホイールシリンダ内の圧力の増減勾配はデューテ
ィ比の大きさが大きいほど大きい勾配となる。
【0057】次に図4及び図5に示されたフローチャー
トを参照して図示の実施形態によるフラグ設定ルーチ
ン、即ち挙動制御終了処理ルーチンについて説明する。
尚図4及び図5に示されたフローチャートによる制御は
所定時間毎の割り込みにより実行される。
【0058】まずステップ210に於いては右前輪の最
終目標スリップ率Rsfr が0であるか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはステップ280へ進
み、肯定判別が行われたときにはステップ220に於い
て最終目標スリップ率Rsfr が0になった時点よりT1
(正の定数)時間経過したか否かの判別が行われる。こ
のステップに於いて肯定判別が行われたときにはステッ
プ250へ進み、否定判別が行われたときにはステップ
230へ進む。
【0059】ステップ230に於いてはブレーキスイッ
チ88がオンであるか否かの判別により運転者による制
動操作が行われているか否かの判別が行われ、肯定判別
が行われたときにはステップ240に於いてデューティ
比Drfr が0%にセットされ、否定判別が行われたとき
にはステップ265へ進む。尚運転者による制動操作が
行われているか否かの判別はマスタシリンダ内の圧力を
検出するセンサが設けられている場合には、マスタシリ
ンダ内の圧力が所定値以上であるか否かの判別により行
われてもよい。
【0060】ステップ250に於いては最終目標スリッ
プ率Rsfr が0になった時点よりT2 (T1 よりも大き
い正の定数)時間経過したか否かの判別が行われる。こ
のステップに於いて肯定判別が行われたときにはステッ
プ300に於いてフラグF1が0にリセットされ、否定
判別が行われたときにはステップ260へ進む。ステッ
プ260に於いては運転者による制動操作が行われてい
るか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには
ステップ265に於いてデューティ比Drfr が100%
にセットされ、肯定判別が行われたときにはステップ2
70に於いてデューティ比Drfr が50%にセットさ
れ、しかる後ステップ280に於いてフラグF1 が1に
セットされる。
【0061】ステップ310〜400は右前輪が左前輪
に置き換えられ、フラグF1 がフラグF2 に置き換えら
れる点を除きそれぞれステップ210〜300と同様に
左前輪について実行される。
【0062】ステップ410〜500は右前輪が右後輪
に置き換えられ、フラグF1 がフラグF4 に置き換えら
れ、ステップ470に於いてデューティ比Drfr が5%
にセットされる点を除きそれぞれステップ210〜30
0と同様に右後輪について実行される。またステップ4
50に於いて肯定判別が行われたときにはステップ49
0に於いて最終目標スリップ率Rsrr が0になった時点
よりT3 (T2 よりも大きい正の定数)時間経過したか
否かの判別が行われ、このステップに於いて肯定判別が
行われたときにはステップ500へ進み、否定判別が行
われたときにはステップ465へ進む。
【0063】ステップ510〜600は右後輪が左後輪
に置き換えられ、フラグF4 がフラグF5 に置き換えら
れる点を除きそれぞれステップ410〜500と同様に
左後輪について実行される。ステップ610に於いては
フラグF4 及びF5 が0であるか否かの判別が行われ、
肯定判別が行われたときにはステップ620に於いてフ
ラグF3 が0にリセットされ、否定判別が行われたとき
にはステップ630に於いてフラグF3 が1にセットさ
れる。
【0064】以上の説明より解る如く、このフラグ設定
ルーチンに於いては、最終目標スリップ率Rsiが0にな
った時点より、即ち各輪の挙動制御が終了した時点より
所定の時間の間デューティ比Driが下記の表1に示され
た値(単位は%)に設定される。またフラグF1 、F2
、F3 はそれぞれ右前輪、左前輪、左右後輪の何れか
が挙動制御中であり(Rsiが0ではなく)且つ図4及び
図5に示されたフローチャートによる挙動制御終了処理
中であるときに1にセットされる。
【0065】
【表1】 経過時間=0〜T1 経過時間=T1 〜T2 経過時間=T2 〜T3 Dri 制動中 非制動中 制動中 非制動中 (制動判断せず) Drfr 0 100 50 100 −−− Drfl 0 100 50 100 −−− Drrr 0 100 5 100 100 Drrl 0 100 5 100 100
【0066】次に図6に示されたフローチャートを参照
してこの実施形態に於ける挙動制御終了時の弁制御ルー
チンについて説明する。尚このルーチンによる制御も所
定時間毎の割り込みにより実行される。
【0067】ステップ710に於いてはフラグFが1で
あるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときに
はステップ720に於いて切換弁44がオン位置(第二
の位置)に切換えられることによりアキュムレータ圧が
供給され、否定判別が行われたときにはステップ730
に於いて切換弁44がオフ位置(第一の位置)に切換え
られることによりレギュレータ圧が供給される。
【0068】ステップ740に於いてはフラグF1 が1
であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ750に於いて制御弁50FRがオン位置
(第二の位置)に切換えられることによりホイールシリ
ンダとマスタシリンダとの連通が遮断され、否定判別が
行われたときにはステップ760に於いて制御弁50FR
がオフ位置(第一の位置)に切換えられることによりホ
イールシリンダとマスタシリンダとが連通接続される。
【0069】ステップ770に於いてはフラグF2 が1
であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ780に於いて制御弁50FLがオン位置
(第二の位置)に切換えられ、否定判別が行われたとき
にはステップ790に於いて制御弁50FLがオフ位置
(第一の位置)に切換えられる。
【0070】ステップ800に於いてはフラグF3 が1
であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ810に於いて制御弁28がオン位置(第
二の位置)に切換えられ、否定判別が行われたときには
ステップ820に於いて制御弁28がオフ位置(第一の
位置)に切換えられる。
【0071】ステップ830に於いてはフラグF、F1
、F2 、F3 の全てが1であるか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはステップ840に於い
て各輪の開閉弁がそれぞれデューティ比Driに応じて駆
動され、肯定判別が行われたときには制動力の制御は不
要であるのでステップ850に於いて各輪の開閉弁がそ
れぞれ図1に示された第一の位置に制御される。
【0072】尚デューティ比Driに応じた開閉弁の駆動
制御は、例えば右前輪について説明するならば、Drfr
が正の値であるときには増圧制御であるので、開閉弁5
6FRが閉弁された状態にて開閉弁54FRがデューティ比
Drfr に応じて開閉される。またデューティ比Drfr が
負の値であるときには減圧制御であるので、開閉弁54
FRが閉弁された状態にて開閉弁56FRがデューティ比D
rfr に応じて開閉され、デューティ比Drfr が0である
ときには保持制御であるので、開閉弁54FR及び56FR
の両方が閉弁状態に維持される。
【0073】かくしてこの実施形態によれば、車輌の旋
回挙動が安定な状態にあるときには、ステップ130に
於いて肯定判別が行われることによりステップ140に
於いてフラグFが0にリセットされた後ステップ10へ
戻り、従ってこの場合にはステップ160〜190によ
る挙動制御は実行されず、これにより各車輪の制動圧は
運転者によるブレーキペダル12の踏込み量に応じて制
御される。
【0074】また車輌の旋回挙動が不安定な状態にある
ときには、ステップ130に於いて否定判別が行われる
ことによりステップ150に於いてフラグFが1にセッ
トされ、ステップ160に於いて各輪の目標車輪速度V
wti が演算され、ステップ170〜190に於いて各輪
の車輪速度が目標車輪速度Vwti になるようそれらの制
動力が制御され、これにより車輌の旋回挙動が安定化さ
れる。
【0075】換言すれば、車体のスリップ角β等に基づ
いてスピン状態量が演算され、また実ヨーレートγ等に
基づいてドリフトアウト状態量が演算され、スピン状態
量及びドリフトアウト状態量の両方に基づき各輪の制動
力が制御され、これによりスピン状態及びドリフトアウ
ト状態の何れの場合にもそれらの不安定な挙動が低減さ
れる。
【0076】また車輌の挙動が安定になり、全ての車輪
の最終目標スリップ率Rsiが0となって挙動制御が終了
する場合には、図4及び図5に示されたフローチャート
に従って挙動制御終了処理が行われる。この挙動制御終
了処理は前輪についてはT2時間行われるが、後輪につ
いてはT2 時間経過後もT3 時間が経過するまで継続さ
れる。
【0077】特に車輌がスピン状態のみである場合やス
ピン状態であり且つドリフトアウト状態でもある場合
(車輌が目標旋回軌跡より旋回外側の軌跡を走行してい
るが車体のスリップ角が大きい状態)には、旋回外側前
輪及び左右後輪の目標スリップ率SPi が或る値にな
り、車輌の挙動が安定になるとこれらの車輪の目標スリ
ップ率が0になる。従ってスピン状態を抑制する制御又
はスピン状態及びドリフトアウト状態の両方を抑制する
制御が終了する際には、T2 時間が経過した時点に於い
て前輪の挙動制御終了処理が終了して前輪のホイールシ
リンダ48FR及び48FLとマスタシリンダ14の第一の
加圧室108とが連通接続され、しかる後T3 時間が経
過した時点に於いて後輪の挙動制御終了処理が終了し、
左右後輪のホイールシリンダ64RR及び64RLとマスタ
シリンダ14の第二の加圧室110とが連通接続され
る。
【0078】従って左右前輪のホイールシリンダとマス
タシリンダの第一の加圧室とが連通接続される際には、
マスタシリンダの第二の加圧室110が左右後輪のホイ
ールシリンダとは遮断された状態にあり、液圧的にロッ
クされた状態にあるので、第一の離間限度規制部材11
8に過剰の応力が作用したり第二の加圧ピストン106
が急激に移動したりすることがなく、これによりマスタ
シリンダの信頼性が向上される。
【0079】その後T3 時間が経過することにより左右
後輪のホイールシリンダとマスタシリンダの第二の加圧
室110とが連通接続される際には、それまでの過程に
於いて挙動制御終了処理が十分長い時間に亘り実行され
左右後輪のホイールシリンダ内の残圧は十分に低下して
いるので、残圧が第二の加圧室に流入しても第二の離間
限度規制部材142に過大な応力が作用したり第二の加
圧ピストン106が急激に駆動されることはない。
【0080】更に車輌がドリフトアウト状態のみである
場合には、左右後輪の目標スリップ率SPfr及びSPrl
のみが0以外になり、挙動制御の終了ときに左右後輪の
ホイールシリンダ66RR及び66RLとマスタシリンダ1
4の第二の加圧室110とが連通接続されるが、この場
合にも左右後輪の挙動制御終了処理が十分長い時間に亘
り行われホイールシリンダ内の残圧が低くなっているの
で、第一の加圧室108が液圧的にロックされなくても
左右後輪のホイールシリンダ内の残圧が第一の加圧室1
08へ流入する際に第二の離間限度規制部材142に過
大な応力が作用したり第二の加圧ピストン106が急激
に移動されることはない。
【0081】この場合に於いても必要ならば左右後輪の
ホイールシリンダとマスタシリンダの第二の加圧室11
0とが連通接続される際に左右前輪の制御弁50FR及び
50FLが第二の位置に切換えられることにより、第一の
加圧室108が左右前輪のホイールシリンダと遮断さ
れ、これにより第一の加圧室が液圧的にロックされても
よい。
【0082】また図示の実施形態によれば、車輌の挙動
が安定になり、全ての車輪の最終目標スリップ率Rsiが
0となって挙動制御が終了する場合には、切換弁44が
図1に示された第一の位置に戻され、これにより各輪の
ホイールシリンダにはレギュレータ圧(マスタシリンダ
圧に対応する圧力)が導入される。従来の挙動制御装置
に於いては挙動制御の終了と同時に各輪のホイールシリ
ンダにレギュレータ圧又はマスタシリンダ圧が導入され
るので、運転者により制動操作が行われており且つブレ
ーキペダルに対する踏力が高くマスタシリンダ圧が高い
場合には、比較的高圧の油圧が急激にホイールシリンダ
に導入され、そのため圧力源の切換えと同時に高圧のマ
スタシリンダ圧がホイールシリンダへ急激に供給される
ので、制動力が急激に上昇することに起因して車輌の挙
動が乱れる虞れがある。そのため挙動制御の終了、車輌
の挙動が乱れ、挙動制御の再開、挙動制御の終了がこの
順に繰り返えす挙動制御のハンチングが発生することが
ある。
【0083】図示の実施形態によれば、挙動制御の終了
時には所定の時間の間運転者による制動操作が行われて
いるか否かの判別が行われ、制動操作中の場合には各輪
の上流側の開閉弁54FR等のデューティ比Driが低減さ
れ、これにより各輪の制動力が急変することが防止され
る。即ち上記表1に示されている如く、最終目標スリッ
プ率Rsiが0となったときには、非制動中の場合にはデ
ューティ比Driが100%に設定されることによりホイ
ールシリンダの残圧が迅速に解放されるが、制動中の場
合には経過時間(最終目標スリップ率Rsiが0になった
時点よりの経過時間)が0〜T1 であるときには0%
(保持)に設定され、経過時間がT1 〜T2 であるとき
には前輪50%、後輪5%に設定され、これにより各輪
のホイールシリンダ内の圧力が徐々にレギュレータ圧
(マスタシリンダ圧)に制御されることによって制動力
の急変が確実に防止される。
【0084】尚この場合後輪のデューティ比Drrr 及び
Drrl が前輪に比して小さい値に設定されるのは、制動
力の急変に起因する車輌の挙動の乱れに対する影響度合
が前輪よりも後輪の方が高いことによる。
【0085】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0086】例えば上述の実施形態に於いては、第二の
加圧室110と後輪のホイールシリンダとの連通が第一
の加圧室108と前輪のホイールシリンダとの連通に対
し遅延されるようになっているが、第一の加圧室108
と前輪のホイールシリンダとの連通が第二の加圧室11
0と後輪のホイールシリンダとの連通に対し遅延されて
もよい。
【0087】また上述の実施形態に於いては、各輪の制
動力は車輪速フィードバックにより制御されるようにな
っているが、各輪の制動力はホイールシリンダ内の圧力
についての圧力フィードバックにより制御されてもよ
い。
【0088】また上述の実施形態に於いては、ドリフト
アウト状態はヨーレート偏差に基づき演算されるドリフ
トアウト状態量に基づいて判定されるようになっている
が、ドリフトアウト状態の判定は実ヨーレート又は横加
速度等から基準となる操舵角を求め、この基準となる操
舵角と実際の操舵角との偏差に基づいて判定されてもよ
い。
【0089】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明によれば、制御手段が切換弁を第二の状態より第一の
状態に切換える際には、第一の加圧室とホイールシリン
ダとの連通及び第二の加圧室とホイールシリンダとの連
通の一方が他方に対し遅延され、従って他方の加圧室が
ホイールシリンダと連通されるときには一方の加圧室と
ホイールシリンダとの連通が遮断された状態にあり、フ
リーピストンは一方の加圧室によって液圧的にロックさ
れた状態にあるので、ホイールシリンダ内の残圧がマス
タシリンダの他方の加圧室へ逆流しても、フリーピスト
ンに連結された連結手段に大きい力が作用したりフリー
ピストンが急激に移動したりすることを確実に防止する
ことができ、これにより連結手段の耐久性の悪化やマス
タシリンダの信頼性の低下を確実に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制動力制御装置の一つの実施形態
の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図であ
る。
【図2】実施形態の挙動制御ルーチンの前半を示すフロ
ーチャートである。
【図3】実施形態の挙動制御ルーチンの後半を示すフロ
ーチャートである。
【図4】実施形態の挙動制御終了処理ルーチンの前半を
示すフローチャートである。
【図5】実施形態の挙動制御終了処理ルーチンの後半を
示すフローチャートである。
【図6】実施形態に於ける挙動制御終了時の弁制御ルー
チンを示すフローチャートである。
【図7】スピン状態量SSと旋回外側前輪のスリップ率
目標値Rssfoとの間の関係を示すグラフである。
【図8】ドリフトアウト状態量DSと車輌全体のスリッ
プ率目標値Rsallとの間の関係を示すグラフである。
【図9】各輪の目標スリップ量SPi とデューティ比D
riとの間の関係を示すグラフである。
【図10】図1に示されたマスタシリンダを示す拡大部
分断面図である。
【符号の説明】
10…制動装置 14…マスタシリンダ 16…ハイドロブースタ 20、22、32、34…ブレーキ油圧制御装置 28、50FL、50FR…制御弁 44…切換弁 44FL、44FR、64RL、64RR…ホイールシリンダ 70…電気式制御装置 104…第一の加圧ピストン 106…第二の加圧ピストン 108…第一の加圧室 110…第二の加圧室 118…第一の離間限度規制部材 142…第二の離間限度規制部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フリーピストンにより区画された第一及び
    第二の加圧室を備えたマスタシリンダと、前記マスタシ
    リンダの前記加圧室と各輪のホイールシリンダとを連通
    接続する通路手段と、前記通路手段に設けられた切換弁
    であって、前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダ
    との連通を許し且つ所定の高圧を発生する圧力源と前記
    ホイールシリンダとの連通を遮断する第一の状態と、前
    記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮
    断し且つ前記圧力源と前記ホイールシリンダとを連通接
    続する第二の状態とに切換わる切換弁と、車輌の走行状
    態に応じて前記切換弁を前記第一又は第二の状態に切換
    える制御手段とを有する車輌の制動力制御装置に於い
    て、前記制御手段が前記切換弁を前記第二の状態より前
    記第一の状態に切換える際に前記第一の加圧室と前記ホ
    イールシリンダとの連通及び前記第二の加圧室と前記ホ
    イールシリンダとの連通の一方を他方に対し遅延させる
    手段を有していることを特徴とする車輌の制動力制御装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6957870B2 (en) 1999-12-24 2005-10-25 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Braking pressure control apparatus capable of switching between two brake operating states using power-operated and manually operated pressure sources, respectively
CN105035058A (zh) * 2014-04-30 2015-11-11 曼卡车和巴士股份公司 电的驻车制动器

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