JPH09123452A - インクジェット記録ヘッド用基体、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 需要が拡大した高密度記録に対応可能である
インクジェット記録ヘッド、該ヘッドに用いられるイン
クジェット記録用基体および前記ヘッドを用いたインク
ジェット記録装置を安定して供給・提供する。 【解決手段】 複数の発熱体は、それぞれ異なる複数の
インク色毎に分離されるとともに各分離単位毎に一体で
一列に配列されており、各発熱体に対応する前記シフト
レジスタおよび前記ドライバおよび前記ラッチ回路も各
色毎に分離されており、前記ドライバのオン／オフを制
御するデコーダは各色毎に分離された部分の間に配置さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用インクを熱エネルギーを利用して吐出口から吐出し
て、記録を行うインクジェット記録ヘッド、該インクジ
ェット記録ヘッドに用いられる基体および前記ヘッドを
用いたインクジェット記録装置に関する。

【０００２】ここで、インクジェット記録は、布、糸、
紙、シート材などの各種のインク供与を受けるインク支
持体すべてのインク供与を含むもので、各種情報処理装
置すべて或いは、その出力器としてのインクジェット記
録を含むもので、本発明は、これらへの用途が可能なも
のである。

【０００３】

【従来の技術】インクジェット記録法は、記録時に発生
する騒音を無視できる程度に小さくでき、高速記録も可
能であり、しかも特別な処理を必要とせずにいわゆる普
通紙に定着して記録できるなどの点においても最近関心
を集めている。

【０００４】その中で、例えば特開昭５４−５１８３７
号公報、ドイツ公開（ＤＯＬＳ）第２８４３０６４号公
報に記載されているインクジェット記録法は、熱エネル
ギを液体に作用させて、液滴吐出のための原動力を得る
という点において、他のインクジェット記録法とは、異
なる特徴を有している。

【０００５】すなわち、上記の公報に開示されている記
録法は、熱エネルギの作用を受けた液体が急峻な体積の
増大を伴う状態変化を起こし、該状態変化に基づく作用
力によって、インクジェット記録ヘッド部先端のオリフ
ィスから液体が吐出されて、飛翔的液滴が形成され、該
液体が被記録材に付着し記録が行われるという特徴があ
る。

【０００６】ことに、前出のＤＯＬＳ第２８４３０６４
号公報に開示されているインクジェット記録法は、いわ
ゆるｄｒｏｐ−ｏｎ ｄｅｍａｎｄ記録法に極めて有効
に適用されるばかりでなく、インクジェット記録ヘッド
をフルラインタイプで高密度マルチオリフィス化された
インクジェット記録ヘッドが容易に具現化できるので、
高解像度、高品質の画像を高速で得られるという特徴を
有している。

【０００７】上記の記録法に適用される装置のインクジ
ェット記録ヘッド部は、液体を吐出するために設けられ
たオリフィスと、このオリフィスに連通し、液滴を吐出
するための熱エネルギが液体に作用する部分である熱作
用部を構成の一部とする液流路とを有する液吐出部と、
熱エネルギを発生する手段としての電気熱変換体（発熱
体）とを具備しているプリントヘッド用基体を含むもの
である。

【０００８】近年、上記のようなプリントヘッド用基体
としては、一列に配列された複数の発熱体と、該発熱体
と１対１で対応して該発熱体を画像データに応じてそれ
ぞれ駆動させるドライバと、直列に入力される画像デー
タを前記各ドライバに並列に出力する前記発熱体と同一
ビット数のシフトレジスタと、該シフトレジスタから出
力されるデータを一時記憶するラッチ回路とを、同一基
板上に設けたものも開発されている。

【０００９】このようなプリントヘッド用基体の回路構
成を図５に示す。図５において１０１は一列に配列され
た発熱体であり、１０２はドライバとしてのパワートラ
ンジスタであり、１０３はラッチ回路であり、１０４は
シフトレジスタである。１０５はシフトレジスタ１０４
を動かすためのクロックであり、１０６は画像データ入
力部であり、１０７はパワートランジスタ１０２のオン
時間を外部からコントロールするためのヒートパルス幅
入力部であり、１０８はロジック電源、１０９はＧＮＤ
であり、１１０は発熱体駆動電源（ＶＨ）であり、１１
１はパワートランジスタ（Ｖｃｅ）である。

【００１０】このような構成のプリントヘッド用基体を
含むヘッドを有するプリント装置では、画像データが画
像データ入力部１０６からシフトレジスタ１０４に直列
に（シリアル）に入力される。その入力データはラッチ
回路１０３において一時記憶され、その間にデコーダで
制御された、ヒートパルス幅入力部１０７からパルスが
入力されると、パワートランジスタ１０２がオン状態と
なり、発熱体１０１が駆動され、駆動された発熱体１０
１の液流路中の液体（インク）が加熱され、吐出口から
吐出されてプリントが行われる。前記基体の回路構成を
図６に示し、そのデコーダの論理表を第１表に示す。

【００１１】ヒートパルス幅入力部１０６に入力される
信号はHeat ENB信号、Odd ENB信号、Even ENB信号およ
びBlock ENB信号である。発熱体１０１は１〜ｍ個設け
られており、Heat ENB信号は印加パルスの幅を示してい
る。Odd ENB信号、Even ENB信号は１〜ｍ個のうちの奇
数個目または偶数個目のいずれを発熱するかを示し、Bl
ock ENB信号は第１表に示すようにブロック分けされた
発熱体（ヒートノズル）のいずれのブロックを選択する
かを示す。Block ENB信号は３つの信号によるものであ
り、３入力８出力のデコーダ１２０９に入力され、デコ
ーダ１２０９は第１表に示すように各ブロックの選択を
行う。

【００１２】第１表に示す論理表に基づいて、パワート
ランジスタ１０２のオン／オフが制御される。

【００１３】

【表１】 図７は、特開平７−７６８０２号公報に開示される上記
のようなプリントヘッド用基体を構成するバイポーラ型
トランジスタの具体的な構成を示す図である。

【００１４】図７において、２０１はＰ型シリコン基板
であり、２０２はＮ型コレクタ埋込領域であり、２０３
は素子分離のためのＰ型アイソレーション埋込領域であ
り、２０４はＮ型エピタキシャル領域、２０５はＰ型ベ
ース領域であり、２０６は素子分離のためのＰ型アイソ
レーション埋込領域であり、２０７はＮ型コレクタ埋込
領域であり、２０８は高濃度Ｐ型ベース領域であり、２
０９は素子分離のための高濃度Ｐ型アイソレーション領
域であり、２１０はＮ型エミッタ領域であり、２１１は
高濃度Ｎ型コレクタ領域であり、２１２はコレクタ電極
であり、２１３はベース電極であり、２１４はエミッタ
電極である。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】最近では、このような
インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装
置の需要拡大のため、既存の設備を用いて、前記インク
ジェット記録ヘッド用基体を安定して供給する必要に迫
られている。そのためには、前記ヘッド用基体のサイズ
を縮小して、１枚のシリコンウェハーからできる限り多
くの前記ヘッド用基体を取れるようにする必要がある。

【００１６】本発明の目的は、需要が拡大した高密度記
録に対応可能であるインクジェット記録ヘッド、該ヘッ
ドに用いられるインクジェット記録用基体および前記ヘ
ッドを用いたインクジェット記録装置を安定して供給・
提供することにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録ヘッド用基体は、基板と、インクを吐出するエネル
ギーを発生するために前記基板上に一列に配列された複
数の発熱体と、各発熱体と１対１に対応して設けられ対
応する各発熱体を画像データに応じて各々駆動させるド
ライバと、直列に入力される画像データを前記各ドライ
バに並列に出力するシフトレジスタと、前記シフトレジ
スタから出力されるデータを一時記憶するラッチ回路
と、前記ドライバのオン／オフを制御するデコーダとを
有し、前記各発熱体の配列方向に沿って前記各ドライバ
が配列されるとともに、各ドライバの配列は前記発熱体
の配列方向に交差する方向に配され、前記複数の発熱体
は、それぞれ異なる複数のインク色毎に分離されるとと
もに各分離単位毎に一体で一列に配列されており、各発
熱体に対応する前記シフトレジスタおよび前記ドライバ
および前記ラッチ回路も各色毎に分離されており、前記
ドライバのオン／オフを制御するデコーダは各色毎に分
離された部分の間に配置されていることを特徴とする。

【００１８】この場合、各色毎に分離された前記発熱
体、前記ドライバおよび前記シフトレジスタの配列順序
が、各色毎に分離された各ドライバへヒートパルス信号
を入力するための電極パッドの配列順序と同じであると
してもよい。ことを特徴とするインクジェット記録ヘッ
ド用基体。

【００１９】本発明のインクジェット記録ヘッドは、上
記のように構成されたインクジェット記録ヘッド用基体
を用いたインクジェット記録ヘッドであって、インクジ
ェット記録ヘッド用基体の前記発熱体によりインクジェ
ット記録用インクを加熱して噴射し、インクジェット記
録を行うことを特徴とする。

【００２０】本発明の他の形態によるインクジェット記
録ヘッドは、上記のように構成されたインクジェット記
録ヘッド用基体を用いたインクジェット記録ヘッドであ
って、発熱体は、前記インクに膜沸騰を生じさせる熱エ
ネルギーを発生する電気熱変換体を有するものであるこ
とを特徴とする。

【００２１】本発明のインクジェット記録装置は上記の
ように構成されたインクジェット記録ヘッドを用いたイ
ンクジェット記録装置であって、インクジェット記録ヘ
ッドを着脱自在に搭載し、且つ、被記録材に対して相対
移動可能なキャリッジを有することを特徴とする。

【００２２】本発明では前記基体のサイズを縮小するた
めに、図６に示した回路ブロック図で説明すると、デコ
ーダ１２０９からパワートランジスタ１０２への配線レ
イアウトおよびインクジェット記録装置から前記基体内
に配置されているヒートパルス幅入力パッドから前記パ
ワートランジスタへの配線レイアウトを考慮して、無駄
なスペースを極力省いた配置構成を取ることを特徴とし
たものである。

【００２３】本発明は、前記発熱体および前記トランジ
スタおよび前記シフトレジスタおよび前記ラッチ回路
を、異なる色のインク毎に分離してできたスペースのう
ちの１ケ所に前記デコーダを配置するものである。この
ように構成すれば、該デコーダから前記トランジスタへ
の配線を、前記基体内において、横方向に引き回さず
に、前記分離スペースを縦方向へ直線的に結ぶことがで
きるので、従来横方向へ引き回していた配線の幅とピッ
チの和に必要な配線の数を乗じた総和分だけ、該基体の
サイズを縮小できる。

【００２４】さらに、本発明は、図６に示すヒートパル
ス幅入力部１０７から前記パワートランジスタ１０２へ
の配線が、交差したり、各色の配線が同じ方向へ向かな
いようにするために、各色毎に分離された前記発熱体お
よび前記ドライバおよび前記シフトレジスタの配列順序
と、各色のヒートパルス幅入力用の電極パッドの配列順
序を同じとしている。このような構成とすることによ
り、基板面積を有効に利用することができるので、１枚
のシリコンウェハーから取れる前記ヘッド用基体の数が
多くなる。

【００２５】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例を説明する。

【００２６】（実施例１）図１は本発明のインクジェッ
ト記録ヘッド用基体の一実施例の構成を示す平面図であ
って、その基体の一部の構成要素についてはその上部の
保護層を設ける前の状態で示されている。また、図２は
図１に示したインクジェット記録ヘッド用基体上の発熱
体の近傍の積層構造を示す模式的断面図である。まず、
図１において、７０１は電気絶縁性の基板である。基板
７０１の一辺に沿った縁部には、その縁部に沿って一列
に発熱体７０２が配列されている。各発熱体７０２は、
後述する液路毎に、且つその液路の端部の吐出口の近傍
に設けられている。

【００２７】また、上記基板７０１のほぼ中央部分に
は、上記発熱体７０２の配列方向に沿って、各発熱体７
０２の駆動トランジスタとしてのパワートランジスタ部
７０３が配列されている。本実施例では、パワートラン
ジスタ部７０３は、バイポーラトランジスタであり、且
つ、上記発熱体７０２の配列方向に直交する方向に１行
（段）、配列されている点に特徴がある。発熱体７０２
を駆動するためには、発熱体７０２に対して１対１に対
応した数のパワートランジスタ部７０３が必要である。
本実施例では、発熱体７０２を３６０ｄｐｉ、７１μｍ
ピッチで、６４ノズル、２４ノズル、２４ノズル、２４
ノズル分設けているが、これに対して、駆動トランジス
タも７１μｍピッチで１行の配列で対応し、６４ｂｉ
ｔ，２４ｂｉｔ，２４ｂｉｔ，２４ｂｉｔ分として、分
離されている。ここで、７０２ａは、黒（色）インク用
発熱体、７０２ｂは、シアン（色）インク用発熱体、７
０２ｃは、マゼンタ（色）インク用発熱体、７０２ｄ
は、イエロー（色）インク用発熱体として使用すると、
フルカラープリントが可能なインクジェット記録ヘッド
用基体となる。

【００２８】このような構成の発熱体７０２とパワート
ランジスタ部７０３とは、アルミニウムなどのヒータ配
線部７０４により電気的に接続されている。この発熱体
７０２などの近傍の基板上の構成および図２にしたがっ
て説明すると、基板７０１上に蓄熱層７０５、発熱体層
７０６、および上記ヒータ配線層７０４が順次積層され
ている。このヒータ配線層７０４の一部は、上述の発熱
体７０２となるべき部分についてエッチングなどの手段
により溝形状に除去されて、その溝の底部に上記発熱体
層７０６の一部が露出する。この露出した発熱体層７０
６およびヒータ配線層７０４の上にはこれらの層をイン
クの影響から保護する保護層７０７およびた耐キャビテ
ーション層としてのＴａ保護層７０８が順次積層されて
いる。これら２つの保護層も上記ヒータ配線層７０４の
溝形状に対応した溝部分を有しており、この溝部分にお
いてインクを例えば膜沸騰させることができる。

【００２９】次いで、図１に戻ってインクジェット記録
ヘッドの一実施例におけるインクジェット記録ヘッド用
基体の他の構成要素について説明する。上記パワートラ
ンジスタ部７０３の近傍であって上記発熱体７０２が配
列された側と反対側の基板７０１の縁部には、シフトレ
ジスタおよびラッチ部を含むＳ／Ｒ回路７０９が設けら
れ、その端縁にはＳ／Ｒ回路７０９用の入力信号パッド
７１０が複数個設けられている。また、７１１は上記発
熱体７０２に所定の電圧を印加するための＋ＶＨ共通配
線であり、７１２はＧＮＤである。パワートランジスタ
部７０３の配列方向の両端部にはそれぞれ温度調節用の
ヒータ７１３が設けられ、この一方のヒータ７１３の近
傍にはサブヒータ７１４が設けられ、上記発熱体７０２
の配列方向の延長線上にある基板７０１の角部には温度
センサ用のダイオード７１５が設けられている。パワー
トランジスタ部７０３の四隅にはそれぞれスルーホール
７１６が設けられ、上記ダイオード７１５の近傍にはそ
れぞれスルーホール７１７が設けられている。これらス
ルーホール７１６および７１７は、その下部において配
線された２層の配線層をコンタクトするためのものであ
る。そして、第２のパワートランジスタ部７０３の配列
方向の両端部には、アセンブリ時の位置検出に用いられ
るマーク７１８がそれぞれ形成されている。

【００３０】このような基体にあっては、発熱体と駆動
トランジスタとを一体に構成したので、ワイヤボンディ
ングの総数を減らすことが可能となり、低価格の基体を
提供することができる。

【００３１】また、上記基体では、パワートランジスタ
７０３から発熱体７０２までの配線長が同じなので、各
１３６ｂｉｔ毎の抵抗値を合わせるために、配線の中を
調整する必要がない。

【００３２】また、上記基体ではパワートランジスタ部
７０３をバイポラートランジスタで構成したが、例えば
ｎｍｏｓＦＥＴトランジスタに変更してもよい。

【００３３】次に、７２１は、パワートランジスタ７０
３のオン／オフを制御するデコーダである。このデコー
ダ７２１を黒インク用発熱体７０２ａとシアンインク用
発熱体７０２ｂの分離部分に配置し、この分離部分のス
ペースを使って、多結晶シリコンなどの配線部（不図
示）により、パワートランジスタ７０３と電気的に接続
されている。

【００３４】また、７１０は、ヒートパルス入力などの
入力信号用の電極パッドである。７１０ａは、黒インク
用のヒートパルス入力パッド、７１０ｂは、シアンイン
ク用のヒートパルス入力パッド、７１０ｃは、マゼンタ
インク用のヒートパルス入力パッド、７１０ｄは、イエ
ローインク用のヒートパルス入力パッドである。各入力
パッドと該入力パッドに対応するパワートランジスタと
は、多結晶シリコンなどの配線部（不図示）によって、
電気的に接続されている。

【００３５】このような構成のインクジェット記録ヘッ
ドにあっては、上記基体が３６０ｄｐｉの高密度発熱体
基板にパワートランジスタを一体に構成した低価格タイ
プであるので、安価な高密度インクジェット記録ヘッド
となる。

【００３６】次に、このようなインクジェット記録ヘッ
ドをインクジェット記録装置本体に装着し、その装置本
体からヘッドに信号を付与することにより、高速プリン
ト、高画質プリントを行うことのできるインクジェット
記録装置を得ることができる。

【００３７】図３は上記のようなインクジェット記録ヘ
ッド用基体を用いたインクジェット記録ヘッドの概略構
成を示す斜視図である。

【００３８】このヘッドは、エッチング・蒸着・スパッ
タリング等の半導体製造プロセス工程を経て、基板１８
０２上に成膜された電気熱変換体１８０３、電極１８０
４、液路壁１８０５、天板１８０６から構成されてい
る。

【００３９】プリント用液体１８１２は図示していない
液体貯蔵室から液体供給管１８０７を通してプリントヘ
ッド１８０１の共通液室１８０８内に供給される。

【００４０】共通液室１８０８内に供給されたプリント
用液体１８１２は毛管現象により液路１８１０内に供給
され、液路先端の吐出口面１８１１でメニスカスを形成
することにより安定に保持される。

【００４１】ここで電気熱変換体１８０３に通電するこ
とにより、電気熱変換体１８０３面上の液体が加熱さ
れ、発泡現象が発生し、その発泡のエネルギーにより吐
出口面１８１１から液滴が吐出する。ッドを製造する事
が可能となる。

【００４２】図４は、上記実施例に係るインクジェット
記録ヘッドを装着して適用することのできるインクジェ
ット記録装置の一例を示す概略斜視図である。図４にお
いては６０１は上記実施例に係るインクジェット記録ヘ
ッドである。このヘッド６０１は、駆動モータ６０２の
正逆回転に連動して駆動力伝達ギア６０３および６０４
を介して回転するリードスクリュ６０５の螺旋溝６０６
に対して係合するキャリッジ６０７上に搭載されてお
り、上記駆動モータ６０２の動力によってキャリッジ６
０７と共にガイド６０８に沿って矢印ａおよびｂ方向に
往復移動される。図示しない記録媒体供給装置によって
プラテン６０９上を搬送されるプリント用紙Ｐの紙押さ
え板６１０は、キャリッジ移動方向にわたってプリント
用紙Ｐをプラテン６０９に対して押圧する。

【００４３】上記リードスクリュ６０５の一端の近傍に
は、フォトカプラ６１１および６１２が配置されてい
る。これらはキャリッジ６０７のレバー６０７ａのこの
域での存在を確認して駆動モータ６０２の回転方向切換
えなどを行うためのホームポジション検知手段である。
図において６１３は上述のインクジェット記録ヘッド６
０１の吐出口５０４である前面を覆うキャップ部材６１
４を支持する支持部材である。また、６１５はキャップ
部材６１４の内部にヘッド６０１から空吐出などされて
溜ったインクを吸引するインク吸引手段である。この吸
引手段６１５によりキャップ内開口部６１６を介してヘ
ッド６０１の吸引回復が行われる。６１７はクリーニン
グブレードであり、６１８はブレード６１７を前後方向
（上記キャリッジ６０７の移動方向に直交する方向）に
移動可能にする移動部材であり、ブレード６１７および
移動部材６１８は本体支持板６１９に支持されている。
上記ブレード６１７はこの形態に限らず、他の周知のク
リーニングブレードであってもよい。６２０は吸引回復
操作に当たって、吸引を開始するためのレバーであり、
キャリッジ６０７と係合するカム６２１の移動に伴って
移動し、駆動モータ６０２から駆動力がクラッチ切換え
などの公知の伝達手段で移動制御される。上記ヘッド６
０１に設けられた発熱体３０２に信号を付与したり、前
述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット
記録制御部は装置本体側に設けられており、ここには図
示しない。

【００４４】上述の構成を有するインクジェット記録装
置６００は、図示しない被記録材給送装置によりプラテ
ン６０９上を搬送される被記録材Ｐに対し、ヘッド６０
１が用紙Ｐの全幅にわたって往復移動しながら記録を行
うものであり、ヘッド６０１は前述したように高密度プ
リントが可能であるため、高精度で高速のプリントが可
能である。

【００４５】以上の説明では、基体としてインクジェッ
ト記録方式のヘッドを採用したが、例えばサーマルヘッ
ド方式のヘッドを作用してもよい。

【００４６】また、インクの色としては４色とし、発熱
体、各発熱体に対応するシフトレジスタ、ドライバおよ
びラッチ回路をこれらに対応して設けるものとして説明
したが、色の種類はこれより多くても、また。少なくて
も本発明の構成は当然有効である。

【００４７】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でもキャノン（株）の提唱する、熱エネルギを利用し
てインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッド、
インクジェット記録装置において、優れた効果をもたら
すものである。

【００４８】なお、本発明は、特にインクジェット記録
方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用される
エネルギとして熱エネルギを発生する手段（例えば電気
熱変換体やレーザ光など）を備え、前記熱エネルギによ
りインクの状態変化を生起させる方式のインクジェット
記録ヘッド、インクジェット記録装置において優れた効
果をもたらすものである。かかる方式によればプリント
の高密度化、高精細化が達成できるからである。

【００４９】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、プリント情報に対応していて核沸騰
を越える急速な温度上昇を与える少なくとも１つの駆動
信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネル
ギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生
じさせて、結果的にこの駆動信号に１対１で対応した液
体（インク）内の気泡を形成できるので有効である。こ
の気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体（イ
ンク）を吐出させて、少なくとも１つの滴を形成する。
この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の
成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体（イ
ンク）の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形
状の駆動信号としては、米国特許第４４６３３５９号明
細書、同第４３４５２６２号明細書に記載されているよ
うなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇
率に関する発明の米国特許第４３１３１２４号明細書に
記載されている条件を採用すると、さらに優れたプリン
トを行うことができる。

【００５０】インクジェット記録ヘッドの構成として
は、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液
路、電気熱変換体の組み合わせ構成（直線状液流路また
は直角液流路）の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置
されている構成を開示する米国特許第４５５８３３３号
明細書、米国特許第４４５９６００号明細書を用いた構
成も本発明に含まれるものである。

【００５１】装置の形態としては、上例のようなシリア
ルタイプのものでも、装置本体に固定されたインクジェ
ット記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで
装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供
給が可能になる交換自在のチップタイプのインクジェッ
ト記録ヘッド、あるいはインクジェット記録ヘッド自体
に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイ
プのインクジェット記録ヘッドを用いた場合にも本発明
は有効である。

【００５２】また、本発明のインクジェット記録装置の
構成として、インクジェット記録ヘッドの吐出回復手
段、予備的な補助手段などを付加することは本発明の効
果を一層安定できるので好ましいものである。これらを
具体的に挙げれば、インクジェット記録ヘッドに対して
のキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸
引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子或い
はこれらの組合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、
プリントとは別の吐出を行う予備吐出手段を挙げること
ができる。

【００５３】また、搭載されるインクジェット記録ヘッ
ドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに
対応して１個のみが設けられたものの他、プリント色や
濃度を異にする複数のインクに対応して複数個設けられ
るものであってもよい。すなわち、例えばインクジェッ
ト記録装置のプリントモードとしては黒色などの主流色
のみのプリントモードだけではなく、インクジェット記
録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組合わせによる
かいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混
色によるフルカラーの各プリントモードの少なくとも一
つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。

【００５４】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化する
もの、もしくは液化するものを用いてもよく、或いはイ
ンクジェット方式ではインク自体を３０℃以上７０℃以
下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出
範囲にあるように温度制御するものが一般的であるか
ら、使用プリント信号付与時にインクが液状をなすもの
であればよい。加えて、熱エネルギーによる昇温を、イ
ンクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギー
として使用せしめることで積極的に防止するため、また
はインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱
によって液化するインクを用いてもよい。いずれにして
も熱エネルギーのプリント信号に応じた付与によってイ
ンクが液化し、液状インクが吐出されるものや、プリン
ト媒体に到達する時点では既に固化し始めるものなどの
ような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質
のインクを使用する場合も本発明では適用可能である。
本発明においては、上述した構成に対して最も有効なも
のは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。

【００５５】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータなどの情報処理機器
の画像出力端末として用いられるものの他、リーダなど
と組合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するフ
ァクシミリ装置の形態を採るものなどであってもよい。

【００５６】

【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載するような効果を奏する。

【００５７】以上説明したように、本発明によれば、同
一基板上にインクの各色毎に一体で一列に配列された複
数の発熱体を分離し、該発熱体に１対１で対応するドラ
イバ、シフトレジスタおよびラッチ回路も分離し、分離
部分の１ケ所に、ドライバのオン／オフを制御するデコ
ーダを配設し、さらに、４色毎に分離された発熱体およ
びパワートランジスタおよびシフトレジスタの配列順序
と、各色ヒートパルス幅入力パッドの配列順序を同じと
することにより、基体のサイズを小さくすることがで
き、１枚のシリコンウェハーから数多くの該基体を取る
ことができるため、該基体を低価格で、安定して供給す
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体の一
実施例を示す平面図である。

【図２】図１に示したインクジェット記録ヘッド用基体
上の発熱体近傍の積層構造を示す模式的断面図である。

【図３】図１に示されたインクジェット記録ヘッド用基
体を用いて構成されたインクジェット記録ヘッドの構成
を示す一部を切り欠いた概略斜視図である。

【図４】図３に示したインクジェット記録ヘッドの装着
が可能なものの一例を挙げられたインクジェット記録装
置の構成を示す上蓋を取り外した状態の概略斜視図であ
る。

【図５】従来のプリントヘッドの基体内の回路の構成を
示す模式図である。

【図６】本発明のプリントヘッド用基体の回路の構成を
示す模式図およびデコーダの倫理表である。

【図７】一般的なＮＰＮ型バイポーラパワートランジス
タの構造を示す模式的断面図である。

【符号の説明】

５０１ 液路壁部材 ５０２ 液路 ５０３ 天板 ５０４ 吐出口 ５０５ 共通液室 ５０６ インク供給口 ６００ プリント装置 ６０１ プリントヘッド ６０２ 駆動モータ ６０３ 駆動力伝達ギア ６０４ 駆動力伝達ギア ６０５ リードスクリュ ６０６ 螺旋溝 ６０７ キャリッジ ６０７ａ レバー ６０８ ガイド ６０９ プラテン ６１０ 紙押さえ板 ６１１ フォトカプラ ６１２ フォトカプラ ６１３ 支持部材 ６１４ キャップ部材 ６１５ インク吸引手段 ６１６ キャップ内開口部 ６１７ クリーニングブレード ６１８ 移動部材 ６１９ 本体支持板 ６２０ レバー ６２１ カム ７０１ 基板 ７０２ａ ブラックインク用発熱体 ７０２ｂ シアンインク用発熱体 ７０２ｃ マゼンタインク用発熱体 ７０２ｄ イエローインク用発熱体 ７０３ パワートランジスタ部 ７０４ ヒータ配線部 ７０９ Ｓ／Ｒ回路 ７１０ 入力信号パッド ７１１ ＋ＶＨ共通配線 ７１２ ＧＮＤ ７１３ ヒータ ７１４ サブヒータ ７１５ ダイオード ７１６ スルーホール ７１７ スルーホール ７１８ 位置検出用マーク ７１０ａ ブラックインク用ヒートパルス入力パッド ７１０ｂ シアンインク用ヒートパルス入力パッド ７１０ｃ マゼンタインク用ヒートパルス入力パッド ７１０ｄ イエローインク用ヒートパルス入力パッド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠本 雅己 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基板と、 インクを吐出するエネルギーを発生するために前記基板
   上に一列に配列された複数の発熱体と、 各発熱体と１対１に対応して設けられ対応する各発熱体
   を画像データに応じて各々駆動させるドライバと、 直列に入力される画像データを前記各ドライバに並列に
   出力するシフトレジスタと、 前記シフトレジスタから出力されるデータを一時記憶す
   るラッチ回路と、 前記ドライバのオン／オフを制御するデコーダとを有
   し、 前記各発熱体の配列方向に沿って前記各ドライバが配列
   されるとともに、各ドライバの配列は前記発熱体の配列
   方向に交差する方向に配され、 前記複数の発熱体は、それぞれ異なる複数のインク色毎
   に分離されるとともに各分離単位毎に一体で一列に配列
   されており、各発熱体に対応する前記シフトレジスタお
   よび前記ドライバおよび前記ラッチ回路も各色毎に分離
   されており、 前記ドライバのオン／オフを制御するデコーダは各色毎
   に分離された部分の間に配置されていることを特徴とす
   るインクジェット記録ヘッド用基体。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のインクジェット記録ヘ
   ッド用基体において、 各色毎に分離された前記発熱体、前記ドライバおよび前
   記シフトレジスタの配列順序が、各色毎に分離された各
   ドライバへヒートパルス信号を入力するための電極パッ
   ドの配列順序と同じであることを特徴とするインクジェ
   ット記録ヘッド用基体。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２に記載のインク
   ジェット記録ヘッド用基体を用いたインクジェット記録
   ヘッドであって、 インクジェット記録ヘッド用基体の前記発熱体によりイ
   ンクジェット記録用インクを加熱して噴射し、インクジ
   ェット記録を行うことを特徴とするインクジェット記録
   ヘッド。
4. 【請求項４】 請求項１または請求項２に記載のインク
   ジェット記録ヘッド用基体を用いたインクジェット記録
   ヘッドであって、 発熱体は、前記インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギ
   ーを発生する電気熱変換体を有するものであることを特
   徴とするインクジェット記録ヘッド。
5. 【請求項５】 請求項３または請求項４に記載のインク
   ジェット記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置で
   あって、 インクジェット記録ヘッドを着脱自在に搭載し、且つ、
   被記録材に対して相対移動可能なキャリッジを有するこ
   とを特徴とするインクジェット記録装置。