JPH09116480A - スペクトル拡散無線システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微弱電波を使用するスペクトル拡散を利用し
た無線システムは伝搬距離が短いので、伝搬距離を延長
するためにスペクトル拡散中継局装置を使用する必要が
あるが、中継局装置に固有のスペクトル拡散符号を設定
する必要があり、また、送信経路を考慮する必要がある
ので効率的な中継局装置の運用が行なえなかったので、
中継局装置に固有のスペクトル拡散符号を設定せず、ま
た、スペクトル拡散中継局装置の配置を容易にする。 【解決手段】 各スペクトル拡散端末に固有のＩＤコー
ドを設定すると共に、送信先のスペクトル拡散端末３を
指定するために各端末が全てのＩＤコードを持つように
し、スペクトル拡散中継局装置２は全ての端末のスペク
トル拡散符号を持ち、受信時には時分割でスペクトル拡
散符号Ｐ_１をサーチし、一致した場合は受信してスペク
トル逆拡散復調した後、送信先の端末３のスペクトル拡
散符号Ｐ_２でスペクトル拡散変調し、送信する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、１次の情報変調と
２次の拡散変調を行う二重変調方式のスペクトル拡散
（Ｓｐｒｅａｄ Ｓｐｅｃｔｒｕｍ）技術を適用したス
ペクトル拡散無線システムに関し、特に複数のスペクト
ル拡散端末の間に中継局装置を設置した無線システムに
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、スペクトル拡散通信方式は電波の
解放と共に民生分野への応用が活発化している。例えば
日本では、２．４ＧＨｚ帯におけるスペクトル拡散デー
タ伝送システムの運用が認可され、スペクトル拡散方式
による無線ＬＡＮシステムが実用化され始めている。更
に、微弱電波の広帯域変調波に対する電界強度測定法の
改正に伴う微弱電波によるスペクトル拡散通信システム
の応用も可能になり、安価な無線装置等、幅広い応用が
期待されている。

【０００３】スペクトル拡散通信方式とは、通信機を構
成するスペクトル拡散変調装置において、音声や情報等
の被変調信号に対して角度変調やＰＳＫ変調等の１次変
調を行った後、２次変調であるスペクトル拡散変調を施
してからアンテナを介して送信し、これを受信した通信
機のスペクトル逆拡散復調装置においては、受信スペク
トル拡散信号を逆拡散復調した後、１次復調を施して元
の被変調信号に戻す動作を行うことにより交信する通信
方式である。

【０００４】この様な背景の下、３２２ＭＨｚ以下の周
波数帯で実用が可能となる微弱電波によるスペクトル拡
散システムの電力は、平均的に０．０４５マイクロワッ
トという桁外れの弱い電力であり、２．４ＧＨｚ帯にお
けるスペクトル拡散データ伝送システムの送信最大電力
２６０ｍＷ（１ＭＨｚ当り１０ｍＷ）と比較して−６８
ｄＢである。従って、その到達距離は変調されている情
報速度にも関係するが、数メートルから１０数メートル
程度であり、この周波数帯でのスペクトル拡散システム
の応用形態はかなり限られたものとなってくる。しか
し、微弱電波によるスペクトル拡散システムは設計・仕
様において自由度があり、使用部品も比較的量産品が使
用できるのでシステムコストが安価になり、小型化にも
適しているので、民生応用として期待されている。

【０００５】微弱電波を使用したスペクトル拡散システ
ムは、実用化されている例が少なく、今後市場に出てく
るものとして、無線端末、無線モデム、オーディオ伝
送、ゲーム機のコードレスパッド、コードレスマイクロ
ホン等が考えられ、他にも種々の応用が検討されてい
る。

【０００６】図４は、２５０ＭＨｚ、６０ＭＨｚの通信
用電波の自由空間及び室内における伝搬損失を示す図で
あり、縦軸は伝搬損失を、横軸は対数にて距離を表して
いる。図４に示した通り、自由空間における伝搬特性に
比べて室内における伝搬特性は、伝搬距離が長くなるほ
ど減衰が激しく、伝搬距離も短くなることが分かる。ま
た、室内において、スペクトル拡散電波は室内の壁や天
井、床、その他の物体に反射して受信装置に伝搬され
る。この場合、直接波に複数の反射波が妨害して、いわ
ゆるマルチパス妨害を起こし、搬送波周波数の位相が逆
相関係になるとフラットフェーディングという現象の発
生に基づいて受信レベルが低下する（一般にデットポイ
ントと呼ばれる）。スペクトル拡散通信方式は広帯域の
周波数帯を使用するため、デットポイントが生じにくく
なっているが、室内における伝搬特性は図４に示した特
性に基づき、伝搬距離が長くなるほど減衰が激しくな
り、伝搬距離が短くなるという特性を持っている。特に
微弱電波の場合は伝搬距離が限界に近い受信場所におい
て、多少のデッドポイントでも受信電界強度限界以下と
なって受信不能に陥るケースがある。

【０００７】そこで、１台または、複数のスペクトル拡
散中継局装置を設けることによって伝搬距離を延長する
スペクトル拡散無線システムが特開平５−４８６１１号
に記載されている。このシステムでは、特定の端末に信
号を伝送する場合、所定の通信経路に従ってスペクトル
拡散中継局装置を設定する必要がある。そのため各中継
局装置に個別のスペクトル拡散符号を設定する必要があ
り、送信側の端末で信号をスペクトル拡散変調するとき
には所望の中継局装置に設定しているスペクトル拡散符
号を使用する。スペクトル拡散中継局装置側では、送信
側の端末からの信号を受信し、予め設定したスペクトル
拡散符号でスペクトル逆拡散復調している。このとき、
スペクトル拡散中継局装置と同じスペクトル拡散符号で
ない限り信号を受信しないので、個別にアドレス判別し
て識別する必要がない。

【０００８】従来のスペクトル拡散中継局装置を用いた
通信システムの構成としては、例えば図５に示すものが
ある。２１、２５、２６、２７はスペクトル拡散無線端
末であり、２２、２３、２４はスペクトル拡散中継局装
置である。スペクトル拡散端末２１からスペクトル拡散
中継局装置２２へ信号を伝送する場合はスペクトル拡散
符号Ｐ_１を、スペクトル拡散端末２１からスペクトル拡
散中継局装置２３へ信号を伝送する場合はスペクトル拡
散符号Ｐ_２を、スペクトル拡散端末２１からスペクトル
拡散中継局装置２４へ信号を伝送する場合はＰ_３をそれ
ぞれ使用する。

【０００９】スペクトル拡散中継局装置２２からスペク
トル拡散無線端末２５へ信号を伝送する場合はスペクト
ル拡散符号Ｐ_４を、スペクトル拡散中継局装置２２から
スペクトル拡散無線端末２６へ信号を伝送する場合はス
ペクトル拡散符号Ｐ_５を、スペクトル拡散中継局装置２
２からスペクトル拡散無線端末２７へ信号を伝送する場
合はスペクトル拡散符号Ｐ_６をそれぞれ使用する。

【００１０】例えば、スペクトル拡散端末２１からスペ
クトル拡散端末２５へ情報を伝送する場合、スペクトル
拡散端末２１でのスペクトル拡散変調はスペクトル拡散
中継局装置２２でスペクトル逆拡散復調が可能なスペク
トル拡散符号Ｐ_１で行う。スペクトル拡散中継局装置２
２ではスペクトル拡散端末２１から送信された信号を受
信し、スペクトル拡散符号Ｐ_１でスペクトル逆拡散復調
を行った後、スペクトル拡散端末２５でスペクトル逆拡
散が可能なスペクトル拡散符号Ｐ_４でスペクトル拡散変
調を行い送信する。スペクトル拡散端末２５ではスペク
トル拡散符号Ｐ_４でスペクトル逆拡散復調を行い元の情
報を得るように構成されたものである。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】前述の特開平５−４８
６１１号に記載のスペクトル拡散システムにスペクトル
拡散中継局装置を使用したシステムの場合、スペクトル
拡散中継局装置同士の混信を防止するため各スペクトル
拡散中継局装置は固有のスペクトル拡散符号を持つ必要
があり、スペクトル拡散中継局装置が複数台設置された
場合に複雑となる。また、ある端末に送信するときに
は、その端末に対応するスペクトル拡散中継局装置のス
ペクトル拡散符号で送信する必要があり、予め信号の送
信経路を考慮する等非効率的であった。本発明の課題
は、スペクトル拡散を利用した無線伝送装置においてス
ペクトル拡散中継局装置を用いて伝搬距離を延長すると
共に、スペクトル拡散中継局装置に固有のスペクトル拡
散符号を設定する必要がなく、また、送信経路を考慮す
る必要もない、効率的なスペクトル拡散中継局装置の運
用を行うスペクトル拡散通信システムを提供することで
ある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、異なるスペクトル拡散符号と異なるＩ
Ｄコードを持ち、また、送信先の端末のＩＤコードを持
ち、送信時には情報を送信側の端末のスペクトル拡散符
号でスペクトル拡散変調し、送信先の端末のＩＤコード
を付加した信号を送信する少なくとも２台の端末と、前
記各端末に使用するスペクトル拡散符号を持ち、受信モ
ードと送信モードとを切換え可能で、受信モードのとき
には前記各スペクトル拡散符号を時分割でサーチし、該
当するスペクトル拡散符号をサーチしたときには前記信
号を受信し、前記スペクトル拡散符号でスペクトル逆拡
散復調を行ない、次に、送信先の端末のＩＤコードに基
づいて送信先の端末のスペクトル拡散符号と同一のスペ
クトル拡散符号でスペクトル拡散変調を行ない、送信モ
ードに移行した後、送信を行なうスペクトル拡散中継局
装置とからなるスペクトル拡散無線システムを提供す
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を好ま
しい実施例によって説明する。図１は本発明の一実施例
に係るスペクトル拡散無線システムの構成を示すブロッ
ク図である。同図において１は第１のスペクトル拡散端
末、２はスペクトル拡散中継局装置、３は第２のスペク
トル拡散端末、４は第３のスペクトル拡散端末、５はｎ
番目のスペクトル拡散端末である。第１のスペクトル拡
散端末１ではＰ_１、第２のスペクトル拡散端末３ではＰ
_２、第３のスペクトル拡散端末４ではＰ_３、ｎ番目のス
ペクトル拡散端末５ではＰ_ｎのスペクトル拡散符号を使
用する。また、各スペクトル拡散端末はＩＤコードをｎ
個所有しており、ＩＤコードによって送信先を設定す
る。例えば、第１のスペクトル拡散端末１にはＡ、第２
のスペクトル拡散端末にはＢ、第３のスペクトル拡散端
末にはＣ、ｎ番目のスペクトル拡散端末にはＮをＩＤコ
ードとして設定する。また、スペクトル拡散中継局装置
２では複数個（本実施例ではｎ個）の拡散符号を図３に
示す通り時分割でサーチし、受信した信号と同期したス
ペクトル拡散符号でスペクトル逆拡散復調を行なうと共
に、ＩＤコードを検出して送信先のスペクトル拡散符号
を設定する。

【００１４】例えば第１のスペクトル拡散端末１から第
２のスペクトル拡散端末３に送信したい場合には、第１
のスペクトル拡散端末１の拡散符号Ｐ_１でスペクトル拡
散変調した信号に、第２のスペクトル拡散端末３に対応
したＩＤコードＢを付加して送信する。スペクトル拡散
中継局装置２では、図３に示す通り複数の拡散符号を時
分割でサーチしているので、この場合スペクトル拡散符
号がＰ_１の時点で受信し、同時に受信したＩＤコードＢ
に対応するスペクトル拡散符号Ｐ_２を設定する。受信し
た信号をスペクトル拡散符号Ｐ_１でスペクトル逆拡散復
調し、得られた情報を一旦メモリに蓄え、その後、スペ
クトル拡散符号Ｐ_２でスペクトル拡散変調し、ＩＤコー
ドＢを付加して送信する。第２のスペクトル拡散端末３
の拡散符号はＰ_２であるので、第２のスペクトル拡散端
末３はスペクトル拡散中継局装置２の送信信号を受信可
能する。

【００１５】次に本発明に係るスペクトル拡散無線シス
テムのスペクトル拡散中継局装置の一構成例について図
２を用いて説明する。６は送受信切換スイッチ、７はミ
キサー、８は情報復調部、９はメモリ、１０はスペクト
ル拡散サーチ同期部、１１はＣＰＵ、１２は拡散符号発
生部である。信号受信時にはスペクトル拡散サーチ同期
部１０にてｎ個のスペクトル拡散符号を時分割に配列し
てサーチ動作を行う。スペクトル拡散サーチ同期部１０
でスペクトル拡散符号Ｐ_１に同期したとき、第１のスペ
クトル拡散端末１より送信された、スペクトル拡散符号
Ｐ_１、ＩＤコードＢの信号をスペクトル拡散中継局装置
２が受信する。該信号を情報復調部８にてスペクトル拡
散符号Ｐ_１を使用してスペクトル逆拡散復調した後、信
号中のデータを一旦メモリ９に蓄積する。一方、拡散符
号発生部１２でＩＤコードＢに対応するスペクトル拡散
符号Ｐ_２を設定する。このとき、ＩＤコードがＡならば
拡散符号Ｐ_１、ＩＤコードがＢならば拡散符号Ｐ_２、Ｉ
ＤコードがＣならば拡散符号Ｐ_３を設定するようにして
おく。そして、スペクトル拡散中継局装置２が受信信号
の受信の終了を表すエンド情報を受信すると送受信切換
スイッチ６によってスペクトル拡散中継局装置２は送信
モードに切り換えられる。次に、メモリ９より読み出し
たデータをスペクトル拡散符号Ｐ_２にてスペクトル拡散
変調し、ＩＤコードを付加して送信する。なお、メモリ
９、スペクトル拡散サーチ同期部１０、拡散符号発生部
１２、送受信切換スイッチ６の管理はＣＰＵ１１にて行
われる。

【００１６】以上のように、送信側の端末から送信する
ときには、送信側の端末のスペクトル拡散符号でスペク
トル拡散変調し、受信側のＩＤコードを付加して送信
し、スペクトル拡散中継局装置で受信した信号を送信側
の端末と同じスペクトル拡散符号でスペクトル逆拡散復
調し、ＩＤコードに対応した受信側の端末と同じスペク
トル拡散符号でスペクトル拡散変調して送信するように
構成したので、スペクトル拡散中継局装置に固有のスペ
クトル拡散符号を設定する必要がないという効果があ
る。

【００１７】上述の説明ではスペクトル拡散中継局装置
が１台の場合を説明したが、スペクトル拡散中継局装置
を複数台使用することも勿論できる。このとき、スペク
トル拡散符号が書くスペクトル拡散端末によって異なる
こと、ＩＤコードも各スペクトル拡散端末によって異な
ること、送信側の端末から送信するときにはスペクトル
拡散符号が送信側の端末で使用されるもので、ＩＤコー
ドが受信側の端末のものであること、受信側の端末で受
信するｔｋいにはスペクトル拡散符号、ＩＤコードが共
に受信側の端末のものであることを利用して、スペクト
ル拡散中継局装置では、スペクトル拡散符号とＩＤコー
ドとに対応するスペクトル拡散端末が異なるときのみ受
信するようにすればよい。これにより、スペクトル拡散
中継局装置から送信された信号を他のスペクトル拡散中
継局装置が誤って受信することがなくなり、スペクトル
拡散中継局装置の配置や送信ルートを配慮する必要がな
くなる。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、スペクトル拡散中継局
装置を用いることで従来以上に伝搬距離を延長できると
共に、スペクトル拡散中継局装置がスペクトル拡散符号
を端末の数だけ有し、時分割にてサーチしているので、
スペクトル拡散中継局装置に固有のスペクトル拡散符号
を設定する必要がなく、また、送信側では送信側の端末
のスペクトル拡散符号でスペクトル拡散変調し、受信側
の端末に対応したＩＤコードを付加しており、受信側で
は受信側のスペクトル拡散符号、ＩＤコードのときに受
信するようにしているので、混信することがなく、送信
経路を考慮する必要もないので、効率的にスペクトル拡
散中継局装置を運用することができる。また、スペクト
ル拡散中継局装置を複数台使用した場合も、スペクトル
拡散中継局装置はスペクトル拡散符号の示す端末とＩＤ
コードの示す端末が異なるときのみ受信するようにして
いるので、スペクトル拡散中継局装置同士の混信を防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るスペクトル拡散無線シ
ステムの構成を示すブロック図である。

【図２】本発明の一実施例に係るスペクトル拡散無線シ
ステムに使用するスペクトル拡散中継局装置の構成を示
すブロック図である。

【図３】本発明の一実施例に係るスペクトル拡散中継局
装置が受信モードのときスペクトル拡散符号をサーチす
る状態を示す図である。

【図４】室内におけるスペクトル拡散電波の伝搬特性の
一例を示す図である

【図５】従来のスペクトル拡散無線システムの構成を示
すブロック図である。

【符号の説明】

１ 第１のスペクトル拡散端末 ２ スペクトル拡散中継局装置 ３ 第２のスペクトル拡散端末 ４ 第３のスペクトル拡散端末 ５ Ｎ番目のスペクトル拡散端末 ６ 送受信切換スイッチ ７ ミキサー ８ 情報復調部 ９ メモリ １０ スペクトル拡散サーチ同期部 １１ ＣＰＵ １２ 拡散符号発生部 ２１、２５、２６、２７ スペクトル拡散端末 ２２、２３、２４ スペクトル拡散中継局装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】異なるスペクトル拡散符号と異なるＩＤコ
   ードを持ち、また、送信先の端末のＩＤコードを持ち、
   送信時には情報を送信側の端末のスペクトル拡散符号で
   スペクトル拡散変調し、送信先の端末のＩＤコードを付
   加した信号を送信する少なくとも２台の端末と、前記各
   端末に使用するスペクトル拡散符号を持ち、受信モード
   と送信モードとを切換え可能で、受信モードのときには
   前記各スペクトル拡散符号を時分割でサーチし、該当す
   るスペクトル拡散符号をサーチしたときには前記信号を
   受信し、前記スペクトル拡散符号でスペクトル逆拡散復
   調を行ない、次に、送信先の端末のＩＤコードに基づい
   て送信先の端末のスペクトル拡散符号と同一のスペクト
   ル拡散符号でスペクトル拡散変調を行ない、送信モード
   に移行した後、送信を行なうスペクトル拡散中継局装置
   とからなるスペクトル拡散無線システム。