JPH09116314A - Tm2重モード誘電体共振器及び高周波帯域通過フィルタ装置 - Google Patents

Tm2重モード誘電体共振器及び高周波帯域通過フィルタ装置

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JPH09116314A
JPH09116314A JP26976095A JP26976095A JPH09116314A JP H09116314 A JPH09116314 A JP H09116314A JP 26976095 A JP26976095 A JP 26976095A JP 26976095 A JP26976095 A JP 26976095A JP H09116314 A JPH09116314 A JP H09116314A
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dielectric resonator
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青路 日高
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智之 伊勢
Noribumi Matsui
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来例に比較して小型化、薄型化ができ、か
つ無負荷Qの高いTM2重モード誘電体共振器を提供す
る。 【解決手段】 対向する2つの端面を有する柱形状を有
する第1と第2の誘電体と、第1の誘電体の一方の端面
に形成された第1の電極と、第2の誘電体の一方の端面
に第1の電極に対向して形成された第2の電極と、第1
と第2の電極の外周縁端部の形成された第1と第2の凹
部と、第1と第2の凹部に形成され互いに接続された第
3と第4の電極と、第1の導体板の縁端部が第1の誘電
体の他方の面の外周から離れるようにかつ第1の導体板
の一部が第1の誘電体の他方の面の全面に接するように
形成された第1の導体板と、第2の導体板の縁端部が第
2の誘電体の他方の面の外周から離れるようにかつ第2
の導体板の一部が第2の誘電体の他方の面の全面に接す
るように形成された第2の導体板とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波で使用
されるTM2重モード誘電体共振器及び高周波帯域通過
フィルタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】移動体通信に使用される各機器は、近年
通信方式のデジタル化やマイクロセル化等、システムの
発展とともに小型化、高性能化が求められている。無線
基地局に使用されるマイクロ波フィルタやアンテナ共用
器についても、ますます小型化、薄型化、低損失化が求
められている。
【0003】本発明者らは、以前に、外表面がメタライ
ズされた正方筒形状の誘電体の中央部に上記誘電体と一
体に形成された十字形状の誘電体が設けられて構成され
たTM2重モード誘電体共振器を特願昭62−1500
21号公報において提案した。そして、上記従来例のT
M2重モード誘電体共振器を用いて構成された従来例の
TM2重モード誘電体フィルタは、無線基地局の高電力
に耐え、小型低損失性を実現できる技術のひとつとして
本発明者らによって、すでに実用化の段階にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来例のTM
2重モード誘電体共振器は、共振周波数に応じて共振器
の寸法が一意的に決定され、これによって、無負荷Qが
一意的に決定されるために、無負荷Qを上記決定される
無負荷Qより高く設定することができないという問題点
があった。また、共振周波数に応じて共振器の寸法が一
意的に決定されるために、共振器の厚さを、上記決定さ
れる厚さより薄く設定することができず、薄型化が困難
であるという問題点があった。
【0005】本発明の第1の目的は、従来例に比較して
小型化、薄型化ができ、かつ比較的無負荷Qを高くでき
るTM2重モード誘電体共振器を提供することにある。
【0006】本発明の第2の目的は、従来例に比較して
小型化、薄型化ができ、かつ通過帯域における損失が小
さく阻止帯域における減衰量が大きい高周波帯域通過フ
ィルタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載のTM2重モード誘電体共振器、互いに平行に対向す
る2つの端面を有する所定の柱形状をそれぞれ有する第
1と第2の誘電体と、上記第1の誘電体の一方の端面に
形成された第1の電極と、上記第2の誘電体の一方の端
面に上記第1の電極と対向するように形成された第2の
電極と、第1の導体板の縁端部が上記第1の誘電体の他
方の端面の外周から所定の距離だけ離れるようにかつ第
1の導体板の一部が上記第1の誘電体の他方の端面の全
面に接するように形成された第1の導体板と、第2の導
体板の縁端部が上記第2の誘電体の他方の端面の外周か
ら所定の距離だけ離れるようにかつ第2の導体板の一部
が上記第2の誘電体の他方の端面の全面に接するように
形成された第2の導体板とを備えたことを特徴とする。
【0008】また、請求項2記載のTM2重モード誘電
体共振器は、請求項1記載のTM2重モード誘電体共振
器において、上記第1と第2の誘電体は、円柱形状を有
することを特徴とする。
【0009】さらに、請求項3記載のTM2重モード誘
電体共振器は、請求項1又は2記載のTM2重モード誘
電体共振器においてさらに、上記第1の誘電体の一方の
端面に上記第1の電極の外周縁端部に形成された第1の
凹部と、上記第1の凹部に上記第1の電極と一体的に形
成された第3の電極と、上記第2の誘電体の一方の端面
に上記第2の電極の外周縁端部に上記第1の凹部と対向
するように形成された第2の凹部と、上記第2の凹部に
上記第2の電極と一体的に形成された第4の電極とを備
えたことを特徴とする。
【0010】さらにまた、請求項4記載のTM2重モー
ド誘電体共振器は、互いに平行に対向する2つの端面を
有する所定の柱形状をそれぞれ有する第1と第2の誘電
体と、上記第1の誘電体の一方の端面に形成され、底部
と内周部とを有する第1の凹部と、上記第1の凹部の底
部に形成された第1の電極と、上記第2の誘電体の一方
の端面に上記第1の凹部と対向するように形成され、底
部と内周部とを有する第2の凹部と、上記第2の凹部の
底部に形成された第2の電極と、上記第1の凹部の外周
部分に上記第1の電極と一体的に形成された第3の電極
と、上記第2の凹部の外周部分に上記第2の電極と一体
的に形成された第4の電極と、第1の導体板の縁端部が
上記第1の誘電体の他方の端面の外周から所定の距離だ
け離れるようにかつ第1の導体板の一部が上記第1の誘
電体の他方の面の全面に接するように形成された第1の
導体板と、第2の導体板の縁端部が上記第2の誘電体の
他方の端面の外周から所定の距離だけ離れるようにかつ
第2の導体板の一部が上記第2の誘電体の他方の面の全
面に接するように形成された第2の導体板とを備えたこ
とを特徴とする。
【0011】また、請求項5記載のTM2重モード誘電
体共振器は、請求項1、2、3又は4記載のTM2重モ
ード誘電体共振器において、上記第1と第2の誘電体の
外周の一部分の誘電率を上記一部分以外の部分の誘電率
と異ならせることにより、上記TM2重モード誘電体共
振器における2重に縮退したモードを互いに異なる共振
周波数を有する2つのモードに分離するための縮退分離
手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】さらに、請求項6記載のTM2重モード誘
電体共振器は、請求項5記載のTM2重モード誘電体共
振器において、上記縮退分離手段は、上記第1と第2の
誘電体の外周の一部に形成された切り欠きであることを
特徴とする。
【0013】さらにまた、請求項7記載のTM2重モー
ド誘電体共振器は、請求項1、2、3、4、5又は6記
載のTM2重モード誘電体共振器において、上記TM2
重モード誘電体共振器を励振したときに上記第3の電極
と上記第4の電極とに流れる電流を減少させるように、
上記第1の誘電体の他方の端面から所定の長さまでの部
分の径を上記第1の誘電体の他の部分の径に比べて小さ
くなるように形成し、かつ上記第2の誘電体の他方の端
面から所定の長さまでの部分の径を上記第2の誘電体の
他の部分の径に比べて小さくなるように形成したことを
特徴とする。
【0014】また、請求項8記載のTM2重モード誘電
体共振器は、請求項1、2、3、4、5又は6記載のT
M2重モード誘電体共振器において、上記第1の誘電体
の外周面と上記第2の誘電体の外周面とにそれぞれ、上
記TM2重モード誘電体共振器を励振したときに上記第
3の電極と上記第4の電極に流れる電流を減少させるよ
うに所定の形状の溝を設けたことを特徴とする。
【0015】また、請求項9記載のTM2重モード誘電
体共振器は、請求項1乃至8のうちの1つに記載のTM
2重モード誘電体共振器において、上記第1乃至第4の
電極のうち少なくとも1つは、薄膜導体と薄膜誘電体と
を交互に積層することによって構成された高周波電磁界
結合型薄膜積層電極であることを特徴とする。
【0016】また、請求項10記載のTM2重モード誘
電体共振器は、請求項1乃至9のうちの1つに記載のT
M2重モード誘電体共振器において、上記第1の導体板
と上記第2の導体板とを含んで構成され、上記TM2重
モード誘電体共振器の電磁界をキャビティ内に閉じ込め
るためのキャビティーをさらに備えたことを特徴とす
る。
【0017】本発明に係る請求項11記載の高周波帯域
通過フィルタ装置は、上記請求項1乃至10のうちの1
つに記載のTM2重モード誘電体共振器と、上記TM2
重モード誘電体共振器に高周波信号を入力する入力端子
と、上記TM2重モード誘電体共振器から出力される高
周波信号を出力する出力端子とを備えたことを特徴とす
る。
【0018】また、請求項12記載の高周波帯域通過フ
ィルタ装置は、上記請求項1乃至10記載の少なくとも
2つのTM2重モード誘電体共振器と、互いに隣接する
上記各2つのTM2重モード誘電体共振器を互いに結合
させるための結合手段と、上記TM2重モード誘電体共
振器に高周波信号を入力する入力端子と、上記TM2重
モード誘電体共振器から出力される高周波信号を出力す
る出力端子とを備えたことを特徴とする。
【0019】さらに、請求項13記載の高周波帯域通過
フィルタ装置は、請求項12記載の高周波帯域通過フィ
ルタ装置において、上記結合手段のうちの少なくとも1
つは、誘導結合による結合手段であることを特徴とす
る。
【0020】さらにまた、請求項14記載の高周波帯域
通過フィルタ装置は、請求項12記載の高周波帯域通過
フィルタ装置において、上記結合手段のうちの少なくと
も1つは、容量結合による結合手段であることを特徴と
する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明によ
る実施形態について説明する。なお、添付図面において
同一のものについては同一の参照符号を付す。
【0022】<第1の実施形態>図1は、本発明に係る
第1の実施形態のTM2重モード誘電体共振器の一部破
断斜視図である。図2は、図1のA−A’線における図
1のTM2重モード誘電体共振器の断面図である。
【0023】この第1の実施形態のTM2重モード誘電
体共振器は、誘電体1と誘電体2と平板電極3とトーラ
ス電極4とケース8とを備え、誘電体1と誘電体2とに
よって挟設された平板電極3は、誘電体1の下面に形成
された電極3aと誘電体2の上面に形成された電極3b
とが接合されてなり、平板電極3の外周に連結されたト
ーラス電極4は、電極3aと一体的に形成された電極4
aと電極3bと一体的に形成された電極4bとが接合さ
れてなることを特徴とする。ここで、電極4aは凹部5
aに形成され、電極4bは凹部5bに形成される。
【0024】以下、第1の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器の構成を、図1と図2を参照して詳細に説明
する。第1の実施形態のTM2重モード誘電体共振器に
おいて、図1及び図2に示すように、直径dと軸方向の
長さhを有する円柱形状の誘電体1の上端面の全面に端
面電極6が形成される。また、誘電体1の下端面には直
径dより小さい外径を有する円環形状の凹部5aが、誘
電体1と同心になるようにかつ縦断面形状が半円形状に
なるように形成される。そして、凹部5aの内周円の内
側の誘電体1の下端面に円形の電極3aが誘電体1と同
心になるように形成され、凹部5aには電極3aと一体
的に電極4aが形成される。ここで、凹部5aは凹部5
aの縦断面形状が電極3aの膜厚より大きい直径の半円
形状になるように形成される。また、誘電体1と同一の
直径dと同一の軸方向の長さhを有する円柱形状の誘電
体2の下端面の全面に端面電極7が形成される。また、
誘電体2の上端面には凹部5aと同一の外径と内径とを
有する円環形状の凹部5bが、凹部5aと対向するよう
に形成される。ここで、凹部5bは誘電体2と同心にな
るように形成される。そして、凹部5bの内周円の内側
の誘電体2の上端面に円形の電極3bが誘電体2と同心
になるように形成され、凹部5bには電極3bと一体的
に電極4bが形成される。
【0025】そして、誘電体1と誘電体2とが互いに同
軸になるようにかつ電極4aと電極4bとが互いに対向
するように、電極3aと電極3bとが接合される。これ
によって、電極3aと電極3bとからなる平板電極3
と、電極4aと電極4bとからなり縦断面形状が円環状
のトーラス電極4が構成される。この場合、電極3aと
電極3b及び電極4aと電極4bとは半田付け等によっ
て電気的に導通するように接合する。しかしながら本発
明では、接着剤等を用いて、電極3aと電極3b及び電
極4aと電極4bとは電気的に導通しないように接合し
てもよい。また、電極4aと電極4bは電気的に導通す
るようにしてもよいし、電気的に絶縁されるようにして
もよい。ここで、電極3a,3b,4a,4bは銀、
金、銅、アルミニウム等からなり、例えばスパッタリン
グ法、真空蒸着法又は無電解メッキ法を用いて形成され
る。さらに、互いに対向する導体板9aと導体板9bと
を備え、所定の内径Dと軸方向の所定の長さKの円柱形
状の内部空洞であるキャビティー8aを有する導体ケー
ス8が、導体板9aの下面が誘電体1に形成された端面
電極6に接して電気的に導通するようにかつ導体板9b
の上面が誘電体2に形成された端面電極7に接して電気
的に導通するように設けられる。ここで、キャビティー
8aと誘電体1,2とは同軸になるように設けられ、か
つキャビティー8aの外周面と誘電体1,2の外周面と
の距離は所定の一定値になるように設定される。以上の
ようにして第1の実施形態のTM2重モード誘電体共振
器は構成される。
【0026】以上のように構成されたTM2重モード誘
電体共振器において、キャビティー8aは、電磁界エネ
ルギーが減衰して電磁波の伝搬しない減衰領域として働
き、所定の周波数を有する高周波信号の電磁界は、誘電
体1,2の内部とその近傍に分布する。これによって、
TM2重モード誘電体共振器を高周波信号で励振したと
きに、TM2重モード誘電体共振器は、それぞれ固有の
共振周波数を有する種々のTMモードで共振する。この
とき誘電体1,2の側面は、近似的に開放条件を満足す
る磁気的壁として動作する。
【0027】次に、以上のように構成されたTM2重モ
ード誘電体共振器の共振モードについて説明する。TM
2重モード誘電体共振器の電磁界分布は、平衡型円板共
振器の電磁界分布と基本的には同様であるが、平板電極
3の径方向の外側は、誘電体1,2の誘電率より低い誘
電率を有する自由空間であるために、当該TM2重モー
ド誘電体共振器では、誘電体1,2の内部に電磁界エネ
ルギーが集中する。ここで、平衡型円板共振器とは、互
いに同じ径と同じ厚さを有する2つの円形の誘電体基板
によって、誘電体基板より小さい径の円形の電極を同軸
で挟設し、各誘電体基板の電極と接する面と反対側の各
面に接地導体を形成して構成される円板共振器のことで
ある。
【0028】以下の図面を用いた説明においては、必要
に応じて平板電極3の軸上の中心点Oを原点とし、平板
電極3の軸方向z軸とする直交座標を用いて説明する。
本明細書において、x軸について対称な電磁界を有する
共振器をx軸共振器と呼び、その固有モードをxモード
と呼ぶ。また、y軸について対称な電磁界の分布を有す
る共振器をy軸共振器と呼び、その固有モードをyモー
ドと呼ぶ。図3は、TM2重モード誘電体共振器が、T
110モードで共振したときの平板電極3の上面におけ
るx軸共振器の電流分布を示す平面図である。図3に示
すように平板電極3の上面において、電流Iは、平板電
極3の外周がx軸と交わる一方の点である縁端部31か
ら平板電極3の外周がx軸と交わる他方の点である縁端
部32に向かって流れる。また、中心点Oを流れる電流
以外の電流は外側に湾曲して流れる。
【0029】また、図4は、TM2重モード誘電体共振
器がTM110モードで共振したときのTM2重モード誘
電体共振器のx軸に沿った縦断面におけるx軸共振器の
電界分布を示す断面図である。図4に示すように、当該
断面において、xが負の誘電体1の領域では、平板電極
3の上面から端面電極6に向かうz軸方向に電界Eが分
布し、xが負の誘電体2の領域では、平板電極3の下面
から端面電極7に向かうz軸方向に電界Eが分布する。
また、xが正の誘電体1の領域では、端面電極6から平
板電極3の上面に向かうz軸方向に電界Eが分布し、x
が正の誘電体2の領域では、端面電極7から平板電極3
の下面に向かうz軸方向に電界Eが分布する。ここで、
図4において電界Eを示す矢印の長さは、電界Eの強度
を表し、電界Eの強度は、誘電体1,2の外周に近いほ
ど強くなる。
【0030】図5は、TM2重モード誘電体共振器がT
110モードで共振したときのTM2重モード誘電体共
振器のy軸に沿った縦断面におけるx軸共振器の磁界分
布を示す断面図である。図5に示すように、磁界Hは、
当該断面において、誘電体1の中ではyの負から正に向
かい、また、誘電体2の中ではyの正から負に向かって
トーラス電極4が連結された平板電極3を取り囲むよう
に分布する。ここで、磁界Hは、平板電極3にほぼ平行
になるように分布する。
【0031】また、y軸共振器も同様の電磁界の分布を
有し、そして、xモードとyモードは、互いに同じ共振
周波数を有して縮退している。
【0032】図5に示すように、xモードの磁界はx軸の
周りを一周し、特にy軸上の平板電極3の縁端部で磁界
強度が大きくなる。すなわち電流Iが当該縁端部に集中
する縁端効果が生じるので、当該縁端部において導体損
失が大きくなる。また、同様にyモードの磁界はy軸の
周りを一周し、特にx軸上の平板電極3の縁端部で磁界
強度が大きくなる。すなわち電流Iが当該縁端部に集中
する縁端効果が生じるので、当該縁端部において導体損
失が大きくなる。そこで第1の実施形態のTM2重モー
ド共振器では、TM110モードの縁端効果による損失を
低減するために平板電極3の外周にトーラス電極4を設
け、トーラス電極4の縦断面の外周部に電流を分散させ
て電流集中を緩和している。これによって、平板電極3
の縁端部で生じる導体損失を低減している。
【0033】以上詳述した第1の実施形態のTM2重モ
ード誘電体共振器によれば、誘電体1の下端面に形成さ
れた電極3aと誘電体2の上端面に形成された電極3b
とを接合することにより平板電極3を構成しているの
で、1枚の導体板を用いて平板電極3を形成した場合に
比較して平板電極3を薄くすることができる。これによ
って、第1の実施形態のTM2重モード誘電体共振器は
薄くすることができる。
【0034】また、第1の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器によれば、電極3aと電極4aとを一体的に
形成し、電極3bと電極4bを一体的に形成しているの
で、平板電極3とトーラス電極4とを別々に作成した後
に接続する場合に比較して、接続部分で発生する抵抗が
なく損失を小さくできる。また、接続部分で発生する抵
抗の値が変化して共振周波数が変動したり無負荷Qが変
動することがないようにできる。
【0035】さらに、第1の実施形態のTM2重モード
誘電体共振器によれば、電極3aと電極4aとを一体的
に形成し、電極3bと電極4bを一体的に形成している
ので、平板電極3とトーラス電極4とを別々に作成した
後に接続する場合に比較して、製作が容易であり安価に
できる。
【0036】<第2の実施形態>図6は第2の実施形態
のTM2重モード誘電体共振器の横断面図であり、図7
は、図6におけるB−B’線についての縦断面図であ
る。第2の実施形態のTM2重モード誘電体共振器は、
第1の実施形態のTM2重モード誘電体共振器におい
て、誘電体1,2の外周に切り欠き11,12,13,
14を設けたことを特徴とする。
【0037】第2の実施形態のTM2重モード誘電体共
振器において、図6に示すように、誘電体2の軸を中心
としてx軸と45度だけ隔てた誘電体2の外周の互いに
対向する位置に、それぞれ誘電体2の上端面から下端面
まで半円形の溝状に誘電体を除去して形成した切り欠き
13と切り欠き14を設ける。また、図7に示すよう
に、誘電体1の外周の互いに対向する位置に、それぞれ
誘電体1の上端面から下端面まで半円形の溝状に誘電体
を除去して形成した切り欠き11と切り欠き12を、そ
れぞれ切り欠き13,14と同軸になるように設ける。
これによって、第2の実施形態のTM2重モード誘電体
共振器を、x軸,y軸に対してそれぞれ非対称になるよう
に構成している。
【0038】以上のように構成した第2の実施形態のT
M2重モード誘電体共振器において、第1の実施形態の
説明において詳述したx軸共振器とy軸共振器とは、誘
電体1に設けられた切り欠き11,12と誘電体2に設
けられた切り欠き13,14によって互いに結合して、
互いに共振周波数が異なる2つの独立したモードである
偶モードと奇モードを発生する。すなわち、切り欠き1
1,12,13,14は、2重に縮退したxモードとy
モードの縮退を分離して互いに共振周波数が異なる2つ
の独立したモードである偶モードと奇モードを発生する
縮退分離手段を構成する。
【0039】また、図8(a)に、奇モードの平板電極
3の上面における電流分布を示す。奇モードの平板電極
3の上面における電流は、切り欠き12,14に近接す
る平板電極3の外周上の縁端部34から切り欠き11,
13に近接する平板電極3の外周上の縁端部33に向か
う方向に分布する。図8(b)に、偶モードの平板電極
3の上面における電流分布を示す。偶モードの平板電極
3の上面における電流は、縁端部33,34から互いに
平板電極3の中心を中心として互いに90度だけ隔てた
外周上の対向する2つの縁端部のうちの1つである縁端
部35から他方の縁端部36に向かう方向に分布する。
【0040】図9は、第2の実施形態のTM2重モード
誘電体共振器の等価回路を示す回路図である。図9の等
価回路は、分布定数線路LN1乃至LN8をリング状に
直列接続して構成される回転対称のリング分布定数線路
を備える。ここで、分布定数線路LN1乃至LN8は、
それぞれ共振周波数における1/4波長の長さに設定さ
れる。従って、リング分布定数線路は2πの電気長を有
する。分布定数線路LN1と分布定数線路LN2との接
続点が内部結合キャパシタC3を介して接地され、分布
定数線路LN5と分布定数線路LN6との接続点が内部
結合キャパシタC4を介して接地されて構成される。こ
こで、内部結合キャパシタC3,C4は、x軸共振器と
y軸共振器を結合させる為のキャパシタであって、縮退
分離手段に対応する。
【0041】図9の等価回路において、x軸上に位置す
る入出力端子T1,T3は、それぞれx軸共振器の励振
点と一致し、それぞれx軸共振器の入出力端子であり、
y軸上に位置する入出力端子T2,T4は、それぞれy
軸共振器の励振点と一致し、それぞれy軸共振器の入出
力端子である。すなわち、x軸共振器は、分布定数線路
LN1乃至LN4を直列に接続してなりかつ電気長がπ
の分布定数線路と、分布定数線路LN4乃至LN8を直
列に接続してなりかつ電気長がπの分布定数線路とを並
列接続した半波長共振器として構成される。また、y軸
共振器は、分布定数線路LN3,LN4,LN5,LN
6を直列に接続してなりかつ電気長がπの分布定数線路
と分布定数線路LN7,LN8,LN1,LN2を直列
に接続してなりかつ電気長がπの分布定数線路とを並列
接続した半波長共振器として構成される。
【0042】ここで、図9の等価回路の内部結合キャパ
シタC3,C4の静電容量は、互いに等しい負の静電容
量を有し、次に示す数1で与えられる静電容量ΔCを用
いて、−ΔCで与えられる。ここで、数1中のω0は、
2重モード誘電体共振器の共振周波数f0に対応する角
周波数であって、数2で与えられる。また、各分布定数
線路LN1乃至LN8の電気長θは、以下に示す数3で
与えられる。さらに、数1,数3におけるkは、所定の
通過帯域特性と所帯の阻止帯域特性を有する高周波帯域
通過フィルタを設計するときに与えられる結合係数であ
って、次の数4で与えられる。数2,数4中のfoddとf
evenはそれぞれ、奇モードと偶モードの共振周波数であ
る。
【0043】
【数1】ΔC=(2Ya/ω0)・tan{πk/(2−k)}
【数2】ω0=2πf0=π(feven+fodd)
【数3】θ=(π/4)・(1 + k/2)
【数4】k=2(feven−fodd)/(feven+fodd)=1.4
18(2ΔC/C0)
【0044】ここで、数4におけるC0は、TM2重モ
ード誘電体共振器において、端面電極6と平板電極3と
によって挟設された誘電体1の静電容量である。また、
誘電体2は、誘電体1と同じ形状に形成されているの
で、端面電極7と平板電極3とによって挟設された誘電
体2の静電容量もC0である。当該TM2重モード誘電
体共振器では誘電体1,2を有することを考慮すると次
の数5で与えられる。数5におけるε0は、真空中の誘
電率であり、aは誘電体1,2の半径であり、a=d/
2である。
【0045】
【数5】C0=(2 ε0εr・πa2)/h
【0046】以上のように構成した第2の実施形態のT
M2重モード誘電体共振器は、誘電体1,2の側面に切
り欠き11,12,13,14を形成しているので、x
軸共振器とy軸共振器を結合させることができ、2つの
独立したモードである偶モードと奇モードを発生するこ
とができる。
【0047】<第3の実施形態>第3の実施形態のTM
2重モード誘電体共振器において、第1の実施形態のT
M2重モード誘電体共振器に比べて異なる所は、図1の
誘電体1,2に代えて、図12に示す誘電体101を2
つ用いて構成した点である。第3の実施形態に用いた誘
電体101は、互いに同軸になるように連結された直径
d1の円柱形の第1の部分と直径d2の円柱形の第2の
部分からなり、下端面から所定の長さの第2の部分の直
径d2は、上端面から所定の長さの第1の部分の直径d
1より大きくなるように設定される。そして、誘電体1
01の下端面には、第1の実施形態と同様に凹部5aと
電極3aと電極4aを形成している。ここで、凹部5a
の内周の直径は、誘電体101の第1の部分の直径d1
と略等しくなるように設定され、凹部5aの外周の直径
は直径d1より大きくかつ直径d2より小さくなるよう
に設定される。以上のように構成された2つの図12の
誘電体101を用い、2つの誘電体101が互いに同軸
になるように、一方の誘電体101の電極3aと他方の
誘電体101の電極3aとが互いに対向するようにかつ
一方の誘電体101の電極4aと他方の誘電体101の
電極4aが互いに対向するように、2つの誘電体104
が接合されて第3の実施形態のTM2重モード誘電体共
振器は構成される。ここで、一方の誘電体101の電極
3aと他方の誘電体101の電極3aとは互いに電気的
に導通するようにしてもよいし、電気的に導通しないよ
うにしてもよい。また、一方の誘電体101の電極4a
と他方の誘電体101の電極4aとは、互いに電気的に
導通するようにしてもよいし、電気的に絶縁されるよう
にしてもよい。
【0048】以上のように構成された第3の実施形態の
TM2重モード誘電体共振器において、電界エネルギー
は誘電体101のうちの電極3aと電極6とによって挟
設された共振領域に集中して分布する。すなわち、直径
がd2である第2の部分のうちの共振領域の外側に位置
する内径がd1で外径がd2である円環状の部分におけ
る電界エネルギーを、共振領域に比較して小さくでき
る。言い換えると、2つの電極4aが接続されて形成さ
れるトーラス電極を、電界エネルギーが集中して分布す
る共振領域の外側に位置するように形成している。これ
によって、第3の実施形態では第1の実施形態に比較し
て電極4aの回りの電界エネルギーを小さくできるの
で、電極4aを流れる電流を小さくでき、電極4aで失
われるエネルギーを小さくできる。従って、電極4aに
流れる電流による導体損失を小さくできるので、第3の
実施形態のTM2重モード誘電体共振器の無負荷Qは、
第1の実施形態のTM2重モード誘電体共振器の無負荷
Qに比較して大きくできる。
【0049】以上の第3の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器では、直径d1の第1の部分と直径d2の第
2の部分とからなる誘電体101を用いたが、本発明は
これに限らず、直径d2の第2の部分の縦断面の外形
が、図13に示すように、凹部5aにそって円弧を描く
ように形成された誘電体102を用いてもよい。以上の
ように構成しても、第3の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器と同様に動作し同様の効果を有する。
【0050】<第4の実施形態>第4の実施形態のTM
2重モード誘電体共振器において、第1の実施形態のT
M2重モード誘電体共振器に比べて異なる所は、図1の
誘電体1,2に代えて、図14(a)に示す誘電体10
4を2つ用いて構成した点である。第4の実施形態に用
いた誘電体104は、図1の誘電体1の外周面に縦断面
形状が矩形形状の溝74が円環状に形成されて構成され
る。ここで、溝74は誘電体1の軸方向の略中央部に形
成される。そして、誘電体104の上端面には電極6が
形成され、誘電体104の下端面には、第1の実施形態
と同様に凹部5aと電極3aと電極4aが形成される。
誘電体1の外周面から誘電体1の軸に向かう方向の溝7
4の最も深い部分における誘電体103の直径は、凹部
5aの内径と略等しくなるように形成される。以上のよ
うに構成された2つの図14(a)の誘電体104が互
いに同軸になるように、一方の誘電体104の電極3a
と他方の誘電体104の電極3aとが互いに対向するよ
うに接合されかつ一方の誘電体104の電極4aと他方
の誘電体103の電極4aとが互いに対向するように接
続されて第4の実施形態のTM2重モード誘電体共振器
は構成される。
【0051】以上のように構成された第4の実施形態の
TM2重モード誘電体共振器の動作について説明する。
以下の動作の説明において、誘電体104を図14
(a)に示すように共振領域R104と円環領域A10
4と円環領域B104の3つの領域にわけて呼ぶ。ここ
で、共振領域R104は誘電体104の中央部分であっ
て、誘電体1の軸を中心として直径d3の円柱形状の領
域であり、円環領域A104は溝74の上に位置する内
径d3で外径d4の円環状の領域であり、円環領域B1
04は溝74の下に位置する内径d3で外径d4の円環
形状の領域である。また、円環領域A104と溝74と
円環領域B104とからなる領域を減衰領域114と呼
ぶ。
【0052】第4の実施形態のTM2重モード誘電体共
振器において、共振時の電界は第1の実施形態で説明し
たように誘電体104の軸方向に向いているので、減衰
領域114においても電界は軸方向に向いている。従っ
て、減衰領域114は、平行平板コンデンサと同様に考
えることができる。また、上述のように減衰領域114
は円環領域A104と溝74と円環領域B104とが軸
方向に積層されてなるので、減衰領域114の平行平板
コンデンサは図14(b)に示すように円環領域A10
4に対応するコンデンサCA104と溝74に対応する
コンデンサC74と円環領域B104に対応するコンデ
ンサCB104との直列接続で表すことができる。ここ
で、円環領域A104と円環領域B104の誘電率
εr、すなわち誘電体104の誘電率εrは、真空中の誘
電率ε0に比較して十分大きく設定されるので、減衰領
域114の平行平板コンデンサの静電容量値は溝74に
対応するコンデンサC74の静電容量値に略等しくな
る。従って、減衰領域114の誘電率は真空中の誘電率
ε0と略等しくなる。これによって、減衰領域114は
電磁界エネルギーが減衰して電磁波の伝搬しない領域と
して働き、所定の周波数を有する高周波信号の電磁界エ
ネルギーは、共振領域R104の内部に集中して分布す
る。このとき共振領域R104の円周面100は、近似
的に開放条件を満足する磁気的壁として動作する。
【0053】また、電極4aは減衰領域114の下端面
に形成されているので、第4の実施形態では第1の実施
形態に比較して電極4aの回りの電磁界エネルギーを小
さくできる。これによって、電極4aを流れる電流を小
さくでき、電極4aで失われるエネルギーを小さくでき
る。従って、第4の実施形態のTM2重モード誘電体共
振器の無負荷Qは、第1の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器の無負荷Qに比較して大きくできる。言い換
えれば、第4の実施形態では、電極4aを共振領域R1
04の外側に形成しているので、電極4aを流れる電流
を小さくでき、TM2重モード誘電体共振器の無負荷Q
を大きくできる。
【0054】以上の第4の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器では、外周面に矩形形状の溝74が形成され
た誘電体104を用いたが、本発明はこれに限らず、図
15に示すように外周面に断面がV字型である溝73が
形成された誘電体103を用いて構成してもよいし、図
16に示すように縦断面形状が略矩形であって、溝75
の底面の両端部における縦断面形状が円弧形状になるよ
うに形成された溝75を備えた誘電体105を用いても
よい。ここで、溝73は、内側の2つの面のうちの溝5
aと対向する面が、誘電体1の下端面と略平行になるよ
うに形成され、かつ溝73の最も深い部分における誘電
体103の直径は、凹部5aの内径と略等しくなるよう
に形成され、溝75の最も深い部分における誘電体10
3の直径は、凹部5aの内径と略等しくなるように形成
される。また、図17に示すように、外周面に2つの矩
形形状の溝76,77が形成された誘電体106を用い
て構成してもよい。以上のように構成しても、第4の実
施形態のTM2重モード誘電体共振器と同様に動作し同
様の効果を有する。
【0055】<第5の実施形態>第5の実施形態のTM
2重モード誘電体共振器において、第1の実施形態のT
M2重モード誘電体共振器に比べて異なる所は、電極3
aと電極4aとを備えた誘電体1と電極3bと電極4b
とを備えた誘電体2とに代えて、図18に示す高周波電
磁界結合型薄膜積層電極3amと高周波電磁界結合型薄
膜積層電極4amを備えた誘電体1を2つ用いて構成し
た点である。第5の実施の形態において、誘電体1の下
端面には電極3aに代えて高周波電磁界結合型薄膜積層
電極3amが形成され、電極4aに代えて高周波電磁界
結合型薄膜積層電極4amが形成される。そして、第5
の実施形態において、2つの誘電体1が互いに同軸にな
るように、一方の誘電体1の高周波電磁界結合型薄膜積
層電極3amと他方の誘電体1の高周波電磁界結合型薄
膜積層電極3amとが互いに対向するように接合され、
かつ一方の誘電体1の高周波電磁界結合型薄膜積層電極
4amと他方の誘電体1の高周波電磁界結合型薄膜積層
電極4amとが互いに対向するように接続される。
【0056】ここで、高周波電磁界結合型薄膜積層電極
3amと高周波電磁界結合型薄膜積層電極4amは、薄
膜導体M1乃至M5と薄膜誘電体D1乃至D4とが交互
に積層されて構成される。そして、高周波電磁界結合型
薄膜積層電極3am,4amにおいて、TM2重モード
誘電体共振器を共振周波数で励振したときに誘電体1に
生じる電磁界と各薄膜誘電体D1乃至D4に生じる電磁
界とが互いに実質的に同相になるように、各薄膜誘電体
D1乃至D4のそれぞれの誘電体膜厚と、誘電体1の誘
電率及び薄膜誘電体D1乃至D4の誘電率とを設定す
る。また、各薄膜導体M2乃至M5のそれぞれの導体膜
厚を、TM2重モード誘電体共振器の共振周波数の表皮
深さδ0よりも薄く、かつ下層ほど厚くなるように所定
の膜厚に設定することによって、互いに隣接する誘電体
1と薄膜誘電体D4、薄膜誘電体D4と薄膜誘電体D
3、薄膜誘電体D3と薄膜誘電体D2及び薄膜誘電体D
2と薄膜誘電体D1との間で各電磁界を互いに結合させ
る。これにより、共振時における誘電体1の共振エネル
ギーの一部を薄膜誘電体D4,D3,D2,D1に移行
させ、各薄膜導体M1乃至M5においてそれぞれに高周
波電流が流れるように構成し、高周波による表皮効果を
大幅に抑圧する。
【0057】また、薄膜導体M1の膜厚は、薄膜導体M
1の導体損失と放射損失の合計の損失が最小になるよう
にTM2重モード誘電体共振器の共振周波数における表
皮深さδ0のπ/2倍になるように設定される。
【0058】以上のように構成された第5の実施形態の
TM2重モード誘電体共振器は、高周波における表皮効
果が大幅に抑圧された高周波電磁界結合型薄膜積層電極
3am,4amを用いて構成されているので、第1の実
施形態のTM2重モード誘電体共振器に比較して無負荷
Qを高くすることができる。
【0059】以上の第5の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器では、薄膜導体M1乃至M5の膜厚を下層ほ
ど厚くなるように設定したが、本発明はこれに限らず、
薄膜導体M1乃至M5の膜厚を、TM2重モード誘電体
共振器の共振周波数の表皮深さδ0よりも薄い同一の膜
厚に設定してもよいし、上層程厚くなるように設定して
もよい。以上のように構成しても、共振時における誘電
体1の共振エネルギーの一部を薄膜誘電体D4,D3,
D2,D1に移行させることができ、各薄膜導体M1乃
至M5においてそれぞれに高周波電流が流れるようにで
きるので、高周波による表皮効果を抑圧することができ
る。
【0060】以上の第5の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器では、薄膜導体M1の膜厚は、薄膜導体M1
の導体損失と放射損失の合計の損失が最小になるように
TM2重モード誘電体共振器の共振周波数における表皮
深さδ0のπ/2倍になるように設定した。しかしなが
ら、本発明はこれに限らず、少なくとも表皮深さδ0
り厚くなるように設定すればよい。以上のように構成す
ることにより、薄膜導体M1の放射損失を小さくできる
ので、高周波電磁界結合型薄膜積層電極3am,4am
の導体損失を、第1の実施形態の電極3a,4aに比較
して小さくできる。
【0061】<第6の実施形態>図19は、第6の実施
形態のTM2重モード誘電体共振器の縦断面図である。
第6の実施形態のTM2重モード誘電体共振器は、上端
面に端面電極である高周波電磁界結合型薄膜積層電極6
0aが形成され下端面に高周波電磁界結合型薄膜積層電
極30aと電極40aが形成された誘電体104aと、
上端面に高周波電磁界結合型薄膜積層電極30bと電極
40bとが形成され下端面に端面電極である高周波電磁
界結合型薄膜積層電極60bが形成された誘電体104
bとを備えたことを特徴とする。ここで、誘電体104
a,104bは互いに同一形状であって、それぞれ溝7
4a,74bを備え第4の実施形態の誘電体104と同
様に形成される。また、第4の実施形態の場合と同様
に、誘電体104aのうちの中央部の円柱形状の部分を
それぞれ共振領域R104a,R104bと称する。す
なわち、共振領域R104a,R104bは、誘電体1
04a,104bのうちの溝74aの上下に位置する円
環状の部分を除いた円柱形状の部分である。
【0062】第6の実施形態のTM2重モード誘電体共
振器において、誘電体104aの共振領域R104aの
上端面に、共振領域R104aの上端面と同一の直径を
有する高周波電磁界結合型薄膜積層電極60aが共振領
域R104aと同軸になるように形成される。ここで、
高周波電磁界結合型薄膜積層電極60aは、共振領域R
104aの上端面の直径と同一の直径を有する薄膜導体
M61a,M62a,M63aと薄膜誘電体D61a,
D62aとが、互いに同心で交互に積層されて構成され
る。そして、高周波電磁界結合型薄膜積層電極60aの
表面には、当該表面を覆うように保護膜64aが形成さ
れる。誘電体104aの下端面に、第1の実施形態の凹
部5aと同様に、円環形状の凹部50aが、誘電体10
4と同心になるようにかつ縦断面形状が半円形になるよ
うに形成される。ここで、凹部50aの内径は、共振領
域R104aの直径と同一に設定され、共振領域R10
4aの下端面の外周に沿って形成される。
【0063】また、共振領域R104aの下端面には、
共振領域R104aの下端面と同一の直径を有する高周
波電磁界結合型薄膜積層電極30aが共振領域R104
aと同軸になるように形成される。ここで、高周波電磁
界結合型薄膜積層電極30aは、共振領域R104aの
下端面と同一の直径を有する薄膜導体M31a,M32
a,M33aと薄膜誘電体D31a,D32aとが互い
に同心で交互に積層されてなる。そして、高周波電磁界
結合型薄膜積層電極30aの表面には当該表面を覆うよ
うに保護膜34aが形成される。また、凹部50aに
は、電極40aが縦断面形状が半円形になるように形成
される。ここで、電極40aは、共振領域R104aの
下端面に接して形成された薄膜導体M33aと一体的に
形成され、薄膜導体M31a,M32aとは導通しない
ように形成される。
【0064】同様にして、溝74bと凹部50bとを備
えた誘電体104bの上端面には、薄膜導体M31b,
M32b,M33bと薄膜誘電体D31b,D32bと
が交互に積層されてなる高周波電磁界結合型薄膜積層電
極30bが形成され、高周波電磁界結合型薄膜積層電極
30bの表面には保護膜34bが形成される。また、凹
部50bには、電極40bが薄膜導体M33bと一体的
に形成される。さらに、誘電体104bの下端面には、
薄膜電極M61b,M62b,M63bと薄膜誘電体D
61b,D62bとが交互に積層されてなる高周波電磁
界結合型薄膜積層電極60bが形成され、高周波電磁界
結合型薄膜積層電極60bの表面には保護膜64bが形
成される。
【0065】そして、以上のように構成された誘電体1
04aと誘電体104bとが互いに同軸になるように誘
電体104aの保護膜34aと誘電体104bの保護膜
34bとが接着剤等を用いて接着されて、第1の実施形
態と同様に導体板9a,9bとを備えた導体ケース8の
内部に設けられる。
【0066】ここで、第6の実施形態のTM2重モード
誘電体共振器では、高周波電磁界結合型薄膜積層電極3
0aにおいて、TM2重モード誘電体共振器を共振周波
数で共振したときに誘電体104aで生じる電磁界と各
薄膜誘電体D31a,32aに生じる電磁界とが互いに
実質的に同相になるように、各薄膜誘電体D31a,D
32aのそれぞれの誘電体膜厚と、誘電体104aの誘
電率及び薄膜誘電体D31a,D32aの誘電率とを設
定する。また、各薄膜導体M31a,M32aのそれぞ
れの導体膜厚を、TM2重モード誘電体共振器の共振周
波数の表皮深さδ0よりも薄く設定することによって、
互いに隣接する誘電体104aと薄膜誘電体D32a、
薄膜誘電体D32aと薄膜誘電体D31aとの間で各電
磁界を互いに結合させる。これにより、共振時における
誘電体104aの共振エネルギーの一部を薄膜誘電体D
31a,D32aに移行させ、各薄膜導体M31a乃至
M33aにおいてそれぞれに高周波電流が流れるように
構成し、高周波による表皮効果を大幅に抑圧する。ま
た、高周波電磁界結合型薄膜積層電極30b,60a,
60bにおいても、薄膜誘電体の誘電率及び各薄膜導体
と薄膜誘電体の膜厚は高周波電磁界結合型薄膜積層電極
30bと同様に設定し、表皮効果を大幅に抑圧する。
【0067】以上のように構成された第6の実施形態の
TM2重モード誘電体共振器は、高周波における表皮効
果が大幅に抑圧された高周波電磁界結合型薄膜積層電極
30a,30b,60a,60bを用いて構成されてい
るので、第1の実施形態のTM2重モード誘電体共振器
に比較して無負荷Qを高くすることができる。
【0068】また、以上のように構成された第6の実施
形態のTM2重モード誘電体共振器において、所定の共
振周波数で共振したときの電磁界エネルギーは、第4の
実施形態と同様に共振領域R104a,R104bの内
部に集中して分布する。従って、共振領域R104a,
R104bの円周面100a,100bは近似的に開放
条件を満足する磁気的壁として動作する。また、高周波
電磁界結合型薄膜積層電極30a,30bと共振領域R
104a,R104bは同一の直径を有しかつ互いに同
軸になるように積層されているので、開放条件を満足す
る円周面100a,100bと高周波電磁界結合型薄膜
積層電極30a,30bの円周面は同一円周面上に位置
する。これによって、薄膜導体M33a,M33bの外
周縁端部の近傍において、薄膜導体M33a,M33b
の円形状の中心から外側に向けての放射方向の電流成分
を実質的に0にすることができるので、薄膜導体M33
aと電極40aとの接続部分及び薄膜導体M33bと電
極40bとの接続部分を横切る電流を実質的に0にする
ことができる。従って、高周波電磁界結合型薄膜積層電
極30a,30bによって構成されるすべての副線路と
主線路が、円周面100a,100bと高周波電磁界結
合型薄膜積層電極30a,30bの円周面において境界
条件として同一の開放条件を満たすので、高周波電磁界
結合型薄膜積層電極30a,30bの低損失動作をより
確実にできる。ここで、副線路とは薄膜誘電体を挟設す
る1対の薄膜導体によって構成される各線路のことであ
り、主線路とは誘電体104aを挟設する1対の薄膜導
体M63a,M33aによって構成される線路及び誘電
体104bを挟設する1対の薄膜導体M63b,M33
bによって構成される線路のことである。また、電極4
0a,40bに比べて導体損失の小さい高周波電磁界結
合型薄膜積層電極30a,30bの部分に電流を集中さ
せることができ、TM2重モード誘電体共振器の無負荷
Qを溝74aを形成しない場合に比較して高くできる。
【0069】以上の第6の実施形態では、高周波電磁界
結合型薄膜積層電極30a,30b,60a,60bの
表面にそれぞれ、保護膜34a,34b,64a,64
bを形成したが、本発明はこれに限らず、保護膜34
a,34b,64a,64bを形成しないで構成しても
よい。この場合、高周波電磁界結合型薄膜積層電極30
aの薄膜導体M31aと高周波電磁界結合型薄膜積層電
極30bの薄膜導体M31bとは電気的に導通するよう
に例えば半田付け等で接合してもよいし、電気的に導通
しないように例えば接着剤等を用いて接合してもよい。
また、高周波電磁界結合型薄膜積層電極60aの薄膜導
体M61aと上導体板9a及び高周波電磁界結合型薄膜
積層電極60bの薄膜導体M61bとは電気的に導通す
るように例えば半田付け等で接合してもよいし、電気的
に導通しないように例えば接着剤等を用いて接合しても
よい。以上のように構成しても第6の実施形態と同様の
動作をして同様の効果を有する。
【0070】<第7の実施形態>図20は本発明に係る
第7の実施形態の高周波帯域通過フィルタ装置の一部破
断斜視図である。また、図21は、第7の実施形態の高
周波帯域通過フィルタ装置の図20におけるC−C’線
での縦断面図である。図22は、第7の実施形態の高周
波帯域通過フィルタ装置の図21におけるD−D’線で
の横断面図である。第7の実施形態の高周波帯域通過フ
ィルタ装置は、第2の実施形態のTM2重モード誘電体
共振器と同様に構成された3つのTM2重モード誘電体
共振器R1,R2,R3と、TM2重モード誘電体共振
器R1とTM2重モード誘電体共振器R2とを誘導結合
させる結合ループインダクタ21と、TM2重モード誘
電体共振器R2とTM2重モード誘電体共振器R3とを
容量結合させる結合キャパシタ23,24とを備えたこ
とを特徴とする。
【0071】以下、図20、図21及び図22を参照し
て第7の実施形態の高周波帯域通過フィルタ装置の構成
を詳細に説明する。第7の実施形態の高周波帯域通過フ
ィルタ装置において、図21と図22に示すように、T
M2重モード誘電体共振器R1は、円柱形状の誘電体1
aと、円柱形状の誘電体2aと、平板電極3−1と、ト
ーラス電極4−1と、導体ケース80に形成されたキャ
ビティー80aとを備えて、第2の実施形態のTM2重
モード誘電体共振器と同様に構成される。従って、平板
電極3−1は電極3aと電極3bとが接合されてなり、
トーラス電極4−1は電極4aと電極4bとが接続され
てなる。また、誘電体1aは、上端面に形成された端面
電極6aと、外周の互いに対向する位置に形成された切
り欠き11a,12aを備え、誘電体2aは、下端面に
形成された端面電極7aと、外周の互いに対向する位置
に形成された切り欠き13a,14aを備える。図22
において、切り欠き13a,14aの符号は、それぞれ
切り欠き11a,12aの符号の上又は下の括弧内に示
している。
【0072】TM2重モード誘電体共振器R2は、同様
に、誘電体1bと、誘電体2bと、平板電極3−2と、
トーラス電極4−2と、導体ケース80に形成されたキ
ャビティー80bとを備えて構成され、TM2重モード
誘電体共振器R3は、同様に、誘電体1cと、誘電体2
cと、平板電極3−3と、トーラス電極4−3と、導体
ケース80に形成されたキャビティー80cとを備えて
構成される。また、誘電体1bは、上端面に形成された
端面電極6bと、外周の互いに対向する位置に形成され
た切り欠き11b,12bを備え、誘電体2bは、下端
面に形成された端面電極7bと、外周の互いに対向する
位置に形成された切り欠き13b,14bを備える。図
22において、切り欠き13b,14bの符号は、それ
ぞれ切り欠き11b,12bの符号の上又は下の括弧内
に示している。誘電体1cは、上端面に形成された端面
電極6cと、外周の互いに対向する位置に形成された切
り欠き11c,12cを備え、誘電体2cは、下端面に
形成された端面電極7cと、外周の互いに対向する位置
に形成された切り欠き13c,14cを備える。図22
において、切り欠き13c,14cの符号は、それぞれ
切り欠き11c,12cの符号の上又は下の括弧内に示
している。ここで、キャビティー80a,80b,80
cは、導体ケース80に所定の間隔だけ隔てて並置して
形成される。従って、TM2重モード誘電体共振器R
1,R2,R3は、導体ケース80の両端面の間に、所
定の間隔だけ隔てて並置して設けられる。
【0073】導体ケース80の長手方向の一方の端面の
中央部には、高周波帯域通過フィルタ装置を外部回路と
接続するための入力コネクタ41が設けられる。入力コ
ネクタ41の中心導体は、端面と電気的に絶縁されて端
面を貫通して入力キャパシタ22の一方の電極に接続さ
れる。また、入力キャパシタ22の他方の電極は、切り
欠き11aから45度隔てたトーラス電極4−1のx軸
上の外周(外側の面)に接続される。以上のように接続
されて、入力コネクタ41は、入力キャパシタ22を介
してTM2重モード誘電体共振器R1のx軸共振器と容
量結合する。ここで、入力キャパシタ22は、円柱形状
のセラミック誘電体の両端面に電極が形成されて構成さ
れる。
【0074】また、結合ループインダクタ21は、5つ
の導体線211,212,213,214,215から
なり、導体線211,212,213,214が略四角
形のループを形成するように直列に接続され、導体線2
15の両端がそれぞれ導体線212と導体線214の略
中央点に接続されて構成される。そして、結合ループイ
ンダクタ21は、平板電極3−1,3−2と略同一平面
上に位置するようにかつ導体線211と導体線213と
導体線215とがキャビティー80aとキャビティー8
0bとを隔てる導体ケース80の導体壁の中央部を長手
方向に貫通するように設けられる。ここで、導体線21
1,213は、導体壁を導体ケース80の長手方向に貫
通するように設けられた貫通孔(図示せず。)によって
導体壁と電気的に絶縁されて貫通する。また、導体線2
15は、導体壁と電気的に導通するように導体壁を貫通
し、これによって、導体線215はその中央部で接地さ
れる。以上のように構成することにより、TM2重モー
ド誘電体共振器R1のy軸共振器の磁界の一部は、導体
線212を廻って結合ループインダクタ21のループ内
部を横切り、TM2重モード誘電体共振器R2のy軸共
振器の磁界の一部は、導体線214を廻って結合ループ
インダクタ21のループ内部を横切る。これによって、
結合ループインダクタ21を介して、TM2重モード誘
電体共振器R1のy軸共振器とTM2重モード誘電体共
振器R2のy軸共振器とは誘導結合する。
【0075】さらに、結合ループインダクタ21の反対
側に位置するx軸上のトーラス電極4−2の外周表面に
結合キャパシタ23が接続される。ここで、結合キャパ
シタ23は、円柱形状の誘電体の両端面に電極が形成さ
れて構成され、一端面に形成された電極とトーラス電極
4−2が接続される。また、結合キャパシタ23と対向
するx軸上のトーラス電極4−3の外周表面に結合キャ
パシタ24が接続される。ここで、結合キャパシタ24
は、結合キャパシタ23と同様に、円柱形状の誘電体の
両端面に電極が形成されて構成され、一端面に形成され
た電極とトーラス電極4−3が接続される。また、結合
キャパシタ23の他方の端面に形成された電極と結合キ
ャパシタ24の他方の端面に形成された電極は互いに導
体線234によって接続される。そして、導体線234
は、キャビティー80bとキャビティー80cを隔てる
導体壁を当該導体壁に設けられた貫通孔(図示せず。)
を介して電気的に絶縁されて当該導体壁を貫通する。以
上のように構成された結合キャパシタ23,24と導体
線234とによって、TM2重モード誘電体共振器R2
のx軸共振器とTM2重モード誘電体共振器R3のx軸
共振器とは容量結合する。
【0076】導体ケース80の幅方向の一方の側面に
は、中心導体と接地導体とを有する出力コネクタ42
が、中心導体がTM2重モード誘電体共振器R3のy軸
と一致するように設けられる。そして、出力コネクタ4
2の中心導体は、電気的に絶縁されて導体ケース80の
側面を貫通して出力キャパシタ25の一方の電極に接続
される。また、出力キャパシタ25の他方の電極は、出
力コネクタ42と対向するy軸上のトーラス電極4−3
の外周上に接続される。以上のように接続されて、出力
コネクタ42は、出力キャパシタ25を介してTM2重
モード誘電体共振器R3のy軸共振器と容量結合する。
【0077】TM2重モード誘電体共振器R1のx軸と
45度だけ隔てかつ切り欠き13aに近接して、TM2
重モード誘電体共振器R1のx軸共振器とy軸共振器と
の結合量を徴調整するための結合調整ねじ26aが導体
ケース80の下底面に設けられる。結合調整ねじ26a
は、切り欠き13aの形成方向と平行になるように設け
られ、結合調整ねじ26aのキャビティー81a内の突
出長が変化するとTM2重モード誘電体共振器R1のx
軸共振器とy軸共振器との結合量が変化するので、結合
調整ねじ26aの突出長を変化させることによって結合
量を調整することができる。また、同様にTM2重モー
ド誘電体共振器R2のx軸と45度だけ隔てかつ切り欠
き14bに近接して、TM2重モード誘電体共振器R2
のx軸共振器とy軸共振器との結合量を徴調整するため
の結合調整ねじ26bが切り欠き14bの形成方向と平
行になるように下底面に設けられ、TM2重モード誘電
体共振器R3のx軸と45度だけ隔てかつ切り欠き14
cに近接して、TM2重モード誘電体共振器R3のx軸
共振器とy軸共振器との結合量を徴調整するための結合
調整ねじ26cが切り欠き14cの形成方向と平行にな
るように下底面に設けられる。
【0078】また、導体ケース80の幅方向の他方の側
面には、それぞれTM2重モード誘電体共振器R1,R
2,R3の各x軸共振器の共振周波数を徴調整するため
の周波数調整ねじ51,52,53が、それぞれのねじ
の軸がTM2重モード誘電体共振器R1,R2,R3の
各y軸に一致するように設けられる。周波数調整ねじ5
1,52,53のキャビティー81a,81b,81c
内の突出長が変化するとTM2重モード誘電体共振器R
1,R2,R3の各x軸共振器の共振周波数が変化する
ので、周波数調整ねじ51,52,53の突出長を変え
ることによって各x軸共振器の共振周波数を調整するこ
とができる。さらに、導体ケース80の他方の端面に
は、TM2重モード誘電体共振器R3のy軸共振器の共
振周波数を徴調整するための周波数調整ねじ54が、周
波数調整ねじ54の軸がTM2重モード誘電体共振器R
3のx軸に一致するように設けられる。周波数調整ねじ
54のキャビティー81c内の突出長が変化するとTM
2重モード誘電体共振器R3のy軸共振器の共振周波数
が変化するので、周波数調整ねじ54の突出長を変える
ことによって当該共振周波数を調整することができる。
【0079】以上のように、第7の実施形態の高周波帯
域通過フィルタ装置は、3つのTM2重モード誘電体共
振器R1,R2,R3を備えている。そして、当該高周
波帯域通過フィルタ装置において、入力コネクタ41
は、入力キャパシタ22によって、TM2重モード誘電
体共振器R1のx軸共振器と容量結合する。そして、T
M2重モード誘電体共振器R1のx軸共振器は、誘電体
1aに設けられた切り欠き11a,12aと誘電体2a
に設けられた切り欠き13a,14aとによって、TM
2重モード誘電体共振器R1のy軸共振器と電磁的に結
合する。また、TM2重モード誘電体共振器R1のy軸
共振器は、結合ループインダクタ21によって、TM2
重モード誘電体共振器R2のy軸共振器と誘導結合す
る。TM2重モード誘電体共振器R2のy軸共振器は、
誘電体1bに設けられた切り欠き11b,12bと誘電
体2bに設けられた切り欠き13b,14bとによっ
て、TM2重モード誘電体共振器R2のx軸共振器と電
磁的に結合する。さらに、TM2重モード誘電体共振器
R2のx軸共振器は、結合キャパシタ23,24によっ
て、TM2重モード誘電体共振器R3のx軸共振器と容
量結合する。TM2重モード誘電体共振器R3のx軸共
振器は、誘電体1cに設けられた切り欠き11c,12
cと誘電体2cに設けられた切り欠き13c,14cと
によって、TM2重モード誘電体共振器R3のy軸共振
器と電磁的に結合する。またさらに、TM2重モード誘
電体共振器R3のy軸共振器は、出力キャパシタ25に
よって、出力コネクタ42と容量結合する。以上のよう
に構成することにより、入力コネクタ41と出力コネク
タ42との間に、TM2重モード誘電体共振器R1,R
2,R3を備えた6段の高周波帯域通過フィルタ装置が
構成される。
【0080】次に以上のように構成された高周波帯域通
過フィルタ装置の動作を等価回路を用いて説明する。
【0081】図23は高周波帯域通過フィルタ装置の等
価回路を示す回路図である。当該等価回路において、各
TM2重モード誘電体共振器R1,R2,R3は、図9
の第2の実施形態のTM2重モード誘電体共振器の等価
回路と同様に表わすことができる。すなわち各TM2重
モード誘電体共振器R1,R2,R3の等価回路は、そ
れぞれx軸共振器とy軸共振器が結合した2重モードの
等価回路であって、それぞれ各共振周波数における1/
4波長の長さを有する分布定数線路LN1a乃至LN8
a,分布定数線路LN1b乃至LN8b,分布定数線路
LN1c乃至LN8cが直列に接続された2πの電気長
を有する回転対称の各リング分布定数線路を備える。そ
して、TM2重モード誘電体共振器R1の等価回路にお
いては、分布定数線路LN1aと分布定数線路LN2a
との接続点が内部結合キャパシタC3aを介して接地さ
れ、分布定数線路LN5aと分布定数線路LN6aとの
接続点が内部結合キャパシタC4aを介して接地され
る。
【0082】また、TM2重モード誘電体共振器R2の
等価回路においては、分布定数線路LN1bと分布定数
線路LN2bとの接続点が内部結合キャパシタC3bを
介して接地され、分布定数線路LN5bと分布定数線路
LN6bとの接続点が内部結合キャパシタC4bを介し
て接地される。さらに、TM2重モード誘電体共振器R
3の等価回路においては、分布定数線路LN1cと分布
定数線路LN2cとの接続点が内部結合キャパシタC3
cを介して接地され、分布定数線路LN5cと分布定数
線路LN6cとの接続点が内部結合キャパシタC4cを
介して接地される。以上のようにして各TM2重モード
誘電体共振器R1,R2,R3の等価回路は、構成され
る。
【0083】また、TM2重モード誘電体共振器R1の
x軸上に位置する分布定数線路LN1aと分布定数線路
LN8aの接続点は、一端が入力端子T11である入力
キャパシタ22の他端に接続されるとともに、キャパシ
タC2aを介して接地される。ここで、キャパシタC2
aは、入力キャパシタ22がTM2重モード誘電体共振
器R1のx軸共振器と結合することにより変化する当該
x軸共振器の共振周波数を補正するための静電容量であ
って、負の静電容量値を有する。分布定数線路LN2a
と分布定数線路LN3aの接続点と、分布定数線路LN
6aと分布定数線路LN7aの接続点は、それぞれキャ
パシタC5a,C6aを介して接地される。ここで、キ
ャパシタC5a,C6aは、後述するように結合ループ
インダクタ21がTM2重モード誘電体共振器R1のy
軸共振器と結合することにより変化する当該y軸共振器
の共振周波数を補正するための静電容量であって、それ
ぞれ負の静電容量値を有する。
【0084】さらに、TM2重モード誘電体共振器R1
の分布定数線路LN4aと分布定数線路LN5aとの間
にはインダクタL1が接続され、インダクタL1はイン
ダクタL11と誘導結合する。インダクタL1は、TM
2重モード誘電体共振器R1のy軸共振器によって発生
する磁界のうちの結合ループインダクタ21に誘導結合
する磁界を発生するための等価的なインダクタを表わ
す。また、インダクタL11とインダクタL12とイン
ダクタL13は、並列に接続されて、結合ループインダ
クタ21を構成し、結合ループインダクタ21の一端は
接地される。そして、インダクタL13は、TM2重モ
ード誘電体共振器R2の分布定数線路LN1bと分布定
数線路LN8bとの間に接続されたインダクタL2と誘
導結合する。ここで、インダクタL2は、TM2重モー
ド誘電体共振器R2のy軸共振器によって発生する磁界
のうちの結合ループインダクタ21に誘導結合する磁界
を発生するための等価的なインダクタを表わす。これに
よって、TM2重モード誘電体共振器R1のy軸共振器
とTM2重モード誘電体共振器R2のy軸共振器は誘導
結合する。
【0085】TM2重モード誘電体共振器R2の分布定
数線路LN2bと分布定数線路LN3bの接続点と、分
布定数線路LN6bと分布定数線路LN7bの接続点
は、それぞれキャパシタ5b,6bを介して接地され
る。ここで、キャパシタ5b,6bは、結合ループイン
ダクタ21がTM2重モード誘電体共振器R2のy軸共
振器と結合することにより変化する当該y軸共振器の共
振周波数を補正するための静電容量であって、それぞれ
負の静電容量値を有する。
【0086】TM2重モード誘電体共振器R2の分布結
合線路LN4bと分布定数結合線路LN5bの接続点
は、キャパシタC7bを介して接地されるとともに、結
合キャパシタC8の一端に接続される。ここで、結合キ
ャパシタC8は、図22の結合キャパシタ23,24と
が直列に接続されて構成されるキャパシタに対応する。
また、結合キャパシタC8の他端は、キャパシタ7cを
介して接地されるとともに、TM2重モード誘電体共振
器R3の分布定数線路LN1cと分布定数線路LN8c
との接続点に接続される。これによって、TM2重モー
ド誘電体共振器R2のx軸共振器とTM2重モード誘電
体共振器R3のx軸共振器とは容量結合する。ここで、
キャパシタC7bは、結合キャパシタC8がTM2重モ
ード誘電体共振器R2のx軸共振器と結合することによ
って変化する当該x軸共振器の共振周波数を補正するた
めの静電容量であって、負の静電容量値を有する。ま
た、同様にキャパシタC7cは、結合キャパシタC8が
TM2重モード誘電体共振器R3のx軸共振器と結合す
ることによって変化する当該x軸共振器の共振周波数を
補正するための静電容量であって、負の静電容量値を有
する。
【0087】TM2重モード誘電体共振器R3の分布結
合線路LN6cと分布定数結合線路LN7cの接続点
は、キャパシタC2cを介して接地されるとともに、一
端が出力端子T12である出力キャパシタ25の他端に
接続される。これによって、TM2重モード誘電体共振
器R3のy軸共振器を外部回路と容量結合させる。
【0088】以上のようにして第7の実施形態の高周波
帯域通過フィルタ装置の等価回路は構成される。すなわ
ち、第7の実施形態の高周波帯域通過フィルタ装置にお
いて、入力端子T11に、入力された所定の周波数を有
する高周波信号は、入力キャパシタ22を介して2重モ
ード誘電体共振器R1のx軸共振器に入力され、高周波
信号は、内部結合キャパシタC3a,C4aによって2
重モード誘電体共振器R1のy軸共振器に伝送される。
2重モード誘電体共振器R1のy軸共振器に伝送された
高周波信号は、結合ループインダクタ21を介して2重
モード誘電体共振器R2のy軸共振器に伝送され、さら
に内部結合キャパシタC3b,C4bによって2重モー
ド誘電体共振器R2のx軸共振器に伝送される。2重モ
ード誘電体共振器R2のx軸共振器に伝送された高周波
信号は、結合キャパシタC8を介して2重モード誘電体
共振器R3のx軸共振器に伝送され、さらに内部結合キ
ャパシタC3c,C4cによって2重モード誘電体共振
器R3のy軸共振器に伝送される。そして、2重モード
誘電体共振器R3のy軸共振器に伝送された高周波信号
は、出力キャパシタ25を介して出力端子T12から出
力される。以上のようにして、第7の実施形態の高周波
帯域通過フィルタ装置は、入力された所定の周波数を有
する信号を通過させて出力する。
【0089】次に、図23の等価回路における各回路定
数の設定方法を示す。
【0090】第7の実施形態の高周波帯域通過フィルタ
装置において、各TM2重モード誘電体共振器R1,R
2,R3におけるx軸共振器とy軸共振器の内部結合
と、TM2重モード誘電体共振器R1,R2,R3の間
における結合は、それぞれKインバータおよびJインバ
ータを用いたフィルタ設計手法と同様の回路によって表
わすことができる。従って、図23に示した等価回路の
各回路定数はチェビシェフ設計の外部Qeおよび結合係
数kを用いて求められる。ここで、図23の等価回路で
は、KインバータおよびJインバータはそれぞれ集中定
数回路表現を変形したうえで用いている。
【0091】これによると、まず、入力キャパシタ22
の静電容量C01と出力キャパシタ25の静電容量C
67は、次の数6で表わすことができ、キャパシタC2a
の静電容量C11とキャパシタC2cの静電容量C66は、
次の数7で表わすことができる。ここで、Jは入出力部
のアドミタンス・インバータ・パラメータであり次の数
8で表され、ZLは入出力インピーダンスであり、ここ
では、入力インピーダンスと出力インピーダンスとはと
もにZL=50Ωに設定した。
【0092】
【数6】 C01=C67=(J/ω0)・{1/√(1−J2L 2)}
【数7】C11=C66=(J/ω0)・√(1−J2L 2)
【数8】J=√{(πYa)/(ZLe)}
【0093】また、内部結合キャパシタC3a,C4a
の静電容量C12と、内部結合キャパシタC3b,C4b
の静電容量C34と、内部結合キャパシタC3c,C4c
の静電容量C56は、次の数9で表される。ここで、数9
と数10において添え字の(i,j)は、それぞれ静電
容量C12,C34,C56の添え字(1,2),(3,
4),(5,6)に対応させている。また、k12
34,k56は、それぞれTM2重モード誘電体共振器R
1,R2,R3におけるx軸共振器とy軸共振器との結
合係数である。
【0094】
【数9】Cij=(−2Ya/ω0)・tan{(πkij)/(2−
kij)},(i,j)=(1,2),(3,4),(5,6)
【0095】さらに、TM2重モード誘電体共振器R1
の各分布定数線路LN1a乃至LN8aの電気長θ
12と、TM2重モード誘電体共振器R2の各分布定数線
路LN1b乃至LN8bの電気長θ34と、TM2重モー
ド誘電体共振器R3の各分布定数線路LN1c乃至LN
8cの電気長θ56は、次の数10で表される。
【0096】
【数10】θij=(π/4)・(1+kij/2),(i,j)=(1,
2),(3,4),(5,6)
【0097】またさらに、結合ループインダクタ21の
インダクタンスL23と、結合キャパシタC8の静電容量
45は、それぞれ次の数11,数12で表される。ま
た、キャパシタ5a,5b,6a,6bの静電容量C
230は、次の数13で表される静電容量C23を用いて数
14で表される。ここで、数11乃至数13におけるk
23とk45は、それぞれTM2重モード誘電体共振器R1
のy軸共振器とTM2重モード誘電体共振器R2のy軸
共振器との結合係数と、TM2重モード誘電体共振器R
2のx軸共振器とTM2重モード誘電体共振器R3のx
軸共振器との結合係数である。また、Zaは、全て等し
く設定された分布定数伝送線路LN1a乃至LN8a、
分布定数伝送線路LN1b乃至LN8b、分布定数伝送
線路LN1c乃至LN8cの特性インピーダンスであ
る。
【0098】
【数11】L23=(k23πZa)/ω0
【数12】C45=(k45πYa)/ω0
【数13】C23=(k23πYa)/ω0
【数14】C230=−C23/2
【0099】以上のようにして図23の等価回路の各回
路定数は設定される。
【0100】以上詳述した第7の実施形態の高周波帯域
通過フィルタ装置の動作を図24を参照して説明する。
図24において、R1x,R2x,R3xはそれぞれT
M2重モード誘電体共振器R1のx軸共振器、TM2重
モード誘電体共振器R2のx軸共振器、TM2重モード
誘電体共振器R3のx軸共振器を表し、R1y,R2
y,R3yはそれぞれTM2重モード誘電体共振器R1
のy軸共振器、TM2重モード誘電体共振器R2のy軸
共振器、TM2重モード誘電体共振器R3のy軸共振器
を表す。また、図24において、C結合は容量結合のこ
とをいい、L結合は誘導結合のことをいう。以下の説明
において、TM2重モード誘電体共振器R1のx軸共振
器、TM2重モード誘電体共振器R2のx軸共振器、T
M2重モード誘電体共振器R3のx軸共振器はそれぞ
れ、共振器R1x,共振器R2x,共振器R3xと称
し、TM2重モード誘電体共振器R1のy軸共振器、T
M2重モード誘電体共振器R2のy軸共振器、TM2重
モード誘電体共振器R3のy軸共振器はそれぞれ、共振
器R1y,共振器R2y,共振器R3yと称する。
【0101】図24において、入力コネクタ41は共振
器R1xに容量結合し、共振器R1xは共振器R1yに
電磁的に結合する。次に共振器R1yは共振器R2yに
誘導結合する。共振器R2yは共振器R2xに電磁的に
結合して、共振器R2xは共振器R3xに容量結合す
る。そして、共振器R3xは共振器R3yに電磁的に結
合して、共振器R3yは出力コネクタ42に容量結合す
る。以上のように入力コネクタ41と出力コネクタ42
の間に各共振器を結合させたとき、TM2重モード誘電
体共振器R1,R2,R3は、図22にしめすように導
体ケース80の長手方向に並置されて設けられ、入力コ
ネクタ41は、TM2重モード誘電体共振器R1に隣接
する導体ケース80の端面に設けられ、出力コネクタ4
2は、TM2重モード誘電体共振器R3のy軸上の導体
ケース80の側面に設けられる。
【0102】また、図24において、第7の実施形態と
はとって代わり、入力コネクタ41を共振器R1xに誘
導結合させるとともに、出力コネクタ42を共振器R3
yに誘導結合させてもよい。以上のように入力コネクタ
41と出力コネクタ42の間に各共振器を結合させたと
き、TM2重モード誘電体共振器R1,R2,R3は、
導体ケース80の長手方向に並置されて設けられ、入力
コネクタ41は、TM2重モード誘電体共振器R1のy
軸上の導体ケース80の側面に設けられ、出力コネクタ
42は、TM2重モード誘電体共振器R3に隣接する導
体ケース80の端面に設けられる。
【0103】<変形例>以上の第1乃至第7の実施形態
においては、誘電体1,1a,1b,1c,2,2a,
2b,2c,101乃至106を円柱形状に形成した
が、本発明はこれに限らず、端面の断面形状が正方形、
楕円形又は辺の数が偶数の正多角形である柱形状に形成
してもよい。以上のように構成しても第1乃至第7の実
施形態と同様な動作をし同様な効果を有する。
【0104】以上の第1乃至第7の実施形態は、導体ケ
ース8,80によって形成されるキャビティー8a,8
0a,80b,80cを用いて構成したが、本発明はこ
れに限らず、誘電体1,1a,1b,1cの上端面に接
する導体板と、誘電体2,2a,2b,2cの下端面に
接する導体板とを用いて、各導体板の縁端部が誘電体
1,2,1a,2a,1b,2b,1c,2cの外周か
ら所定の距離だけ離れるように形成することにより構成
してもよい。以上のように構成することにより、2つの
導体板の間の自由空間は、電磁界エネルギーが減衰して
電磁波が伝搬しない減衰領域として作用するので、第1
乃至第7の実施形態と同様な動作をし同様な効果を有す
る。
【0105】以上の第1乃至第7の実施形態において
は、誘電体1,1a,1b,1c,2,2a,2b,2
cの側面に切り欠きを形成することにより縮退を分離し
たが、本発明はこれに限らず、誘電体1,1a,1b,
1c,2,2a,2b,2cの側面に誘電率の異なる部
分を設けても縮退を分離してもよいし、また切り欠きに
代えて誘電体1,1a,1b,1c,2,2a,2b,
2cの側面に凸部を設けてもよい。以上のように構成し
ても第1乃至第7の実施形態と同様な動作をし同様な効
果を有する。
【0106】以上の第1乃至第7の実施形態において、
TM2重モード誘電体共振器の共振モードは、基本モー
ドでありかつ2重に縮退したTM110モードを用いるこ
とが好ましいが、本発明はこれに限らず、TM210モー
ドやTM310モード等の他の2重縮退モードを用いても
よい。以上のように構成しても第1乃至第7の実施形態
と同様な動作をし同様な効果を有する。
【0107】以上の第7の実施形態の高周波帯域通過フ
ィルタ装置では、3つのTM2重モード誘電体共振器R
1,R2,R3を用いて構成したが、本発明はこれに限
らず、少なくとも1つのTM2重モード誘電体共振器を
用いて構成してもよい。以上のように構成しても第7の
実施形態と同様な動作をし同様な効果を有する。この場
合においても、入力コネクタ41とTM2重モード誘電
体共振器の結合及び出力コネクタ42とTM2重モード
誘電体共振器の結合とを、容量結合と誘導結合とを各種
組み合わせて構成することにより、入力コネクタ41と
出力コネクタ42を設ける側面を自由に選ぶことができ
る。
【0108】以上の第1乃至第7の実施形態のTM2重
モード誘電体共振器及び高周波帯域通過フィルタ装置
は、平板電極3,3−1,3−2,3−3とトーラス電
極4,4−1,4−2,4−3とを用いて構成したが、
本発明はこれに限らず、平板電極3,3−1,3−2,
3−3のみを用いて構成してもよい。以上のように構成
することにより、第1乃至第7の実施形態のTM2重モ
ード誘電体共振器及び高周波帯域通過フィルタ装置に比
較して、構造が簡単で安価なTM2重モード誘電体共振
器又は高周波帯域通過フィルタ装置を提供することがで
きる。
【0109】以上の第1乃至第7の実施形態のTM2重
モード誘電体共振器及び高周波帯域通過フィルタ装置で
は、縦断面形状が半円形の凹部5a,5bを用いたが、
本発明はこれに限らず、図10に示すような凹部5cを
用いてもよい。凹部5cの断面形状は、凹部5cの外周
から凹部5cの最も深い部分までが円形であって、凹部
5cの最も深い部分から凹部5cの内周までを直線で結
んだ形状である。以上のように構成された2つの図10
の誘電体1が互いに同軸になるように、電極3aと電極
3aとを接合しかつ電極4aと電極4aとを接続して構
成しても第1の実施形態と同様の動作をし同様な効果を
有する。
【0110】以上の第1乃至第7の実施形態のTM2重
モード誘電体共振器及び高周波帯域通過フィルタ装置で
は、縦断面形状が円形の凹部5a,5bを用いて構成し
たが、本発明はこれに限らず、縦断面形状が8角形状に
形成された凹部を用いて構成してもよいし、縦断面形状
が8角形状以外の多角形に形成された凹部を用いて構成
してもよい。以上のように構成しても、当該凹部に形成
された電極の外周部に電流を分散させることができるの
で、第1乃至第7の実施形態と同様な動作をし同様な効
果を有する。
【0111】また、以上の第1乃至第7の実施形態のT
M2重モード誘電体共振器及び高周波帯域通過フィルタ
装置では、円環形状の凹部5a,5bを用いたが、本発
明はこれに限らず、図11に示すように、円形の凹部5
dを用いて構成してもよい。凹部5dは、円形の底部5
1と断面形状が1/4の円である周部分5d2とを有
し、電極3dは凹部5dの底部5d1に形成され、電極
4dは凹部5dの周部分5d2に形成される。以上のよ
うに構成された2つの図11の誘電体1を互いに同軸に
なるように凹部5dが形成された端面を貼りあわせて構
成しても第1の実施形態と同様の動作をし同様な効果を
有する。
【0112】以上の第5の実施形態のTM2重モード誘
電体共振器では、電極3a,4aに代えて高周波電磁界
結合型薄膜積層電極3am,4amを用いて構成した
が、本発明はこれに限らず、電極3a,4aのうちいず
れか一方の電極に高周波電磁界結合型薄膜積層電極を用
いて構成してもよいし、電極3a,4a及び端面電極6
の総てを高周波電磁界結合型薄膜積層電極で構成しても
よい。以上のように構成しても第5の実施形態と同様な
効果を有する。
【0113】以上の第7の実施形態の高周波帯域通過フ
ィルタ装置では、TM2重モード誘電体共振器R1,R
2,R3を導体ケース80の長手方向に並置して設けた
が、本発明はこれに限らず、TM2重モード誘電体共振
器R1,R2,R3を縦方向に所定の間隔を隔てて設け
て構成してもよいし、縦方向に積層して設けてもよい。
この場合において、結合ループインダクタ21は、TM
2重モード誘電体共振器R1,R2の側面に近接してT
M2重モード誘電体共振器R1,R2の軸と平行になる
ように設けられる。これによって、TM2重モード誘電
体共振器R1とTM2重モード誘電体共振器R2とは互
いに誘導結合する。また、TM2重モード誘電体共振器
R2のトーラス電極4−2の外周表面には結合キャパシ
タ23が接続され、TM2重モード誘電体共振器R3の
トーラス電極4−3の外周表面には結合キャパシタ24
が接続され、結合キャパシタ23と結合キャパシタ24
とは互いに導体線234によって接続される。これによ
って、TM2重モード誘電体共振器R1とTM2重モー
ド誘電体共振器R2とは互いに容量結合する。従って、
以上のように構成しても第7の実施形態と同様の動作を
し同様な効果を有する。
【0114】
【発明の効果】本発明に係る請求項1記載のTM2重モ
ード誘電体共振器は、上記第1と第2の誘電体と、上記
第1の誘電体の一方の端面に形成された第1の電極と、
上記第2の誘電体の一方の端面に形成された第2の電極
と、上記第1の誘電体の端面に形成された上記第1の導
体板と、上記第2の誘電体の端面に形成された上記第2
の導体板とを備えているので、比較的高い無負荷Qを有
し、従来例に比較して小型でかつ薄型にできる。
【0115】また、請求項2記載のTM2重モード誘電
体共振器は、第1と第2の誘電体は円柱形状を有するの
で、他の形状を有する誘電体を用いた場合に比較して、
容易に構成できる。
【0116】さらに、請求項3記載のTM2重モード誘
電体共振器は、上記第1の誘電体の一方の端面に形成さ
れた第1の凹部と、上記第1の凹部に上記第1の電極と
一体的に形成された第3の電極と、上記第2の誘電体の
一方の端面に上記第1の凹部と対向するように形成され
た第2の凹部と、上記第2の凹部に上記第2の電極と一
体的に形成された第4の電極とを備えている。これによ
って、上記第1と第2の電極の縁端部で失われるエネル
ギーを減少させることができ、上記第3と第4の電極を
備えない場合に比較して無負荷Qを高くすることができ
る。また、第1の電極と第3の電極とを一体的に形成
し、第2の電極と第4の電極とを一体的に形成している
ので、第1の電極と第3の電極とを別々に作成した後に
接続し、かつ第1の電極と第3の電極とを別々に作成し
た後に接続した場合に比較して、接続による抵抗の発生
がなく損失を小さくでき、かつ製作が容易であり安価に
できる。
【0117】またさらに、請求項4記載のTM2重モー
ド誘電体共振器は、上記第1の凹部の底部に形成された
第1の電極と、上記第1の凹部の外周部分に上記第1の
電極と一体的に形成された第3の電極と、上記第2の凹
部の底部に形成された第2の電極と、上記第2の凹部の
外周部分に上記第2の電極と一体的に形成された第4の
電極とを備える。これによって、上記第1と第2の電極
の縁端部で失われるエネルギーを減少させることがで
き、上記第3と第4の電極を備えない場合に比較して無
負荷Qを高くすることができる。また、第1の電極と第
3の電極とを一体的に形成し、第2の電極と第4の電極
とを一体的に形成しているので、第1の電極と第3の電
極とを別々に作成した後に接続し、かつ第2の電極と第
4の電極とを別々に作成した後に接続した場合に比較し
て、接続による抵抗の発生がなく損失を小さくでき、か
つ製作が容易であり安価にできる。
【0118】また、請求項5記載のTM2重モード誘電
体共振器は、縮退分離手段を備えているので、2重に縮
退したモードを互いに異なる共振周波数を有する2つの
モードに分離することができる。
【0119】また、請求項6記載のTM2重モード誘電
体共振器は、上記第1と第2の誘電体の外周の一部に切
り欠きを形成しているので、上記TM2重モード誘電体
共振器における2重に縮退したモードを互いに異なる共
振周波数を有する2つのモードに分離することができ
る。
【0120】さらに、請求項7記載のTM2重モード誘
電体共振器は、上記第1の誘電体の他方の端面から所定
の長さまでの部分の径を上記第1の誘電体の他の部分の
径に比べて小さくなるように形成し、かつ上記第2の誘
電体の他方の端面から所定の長さまでの部分の径を上記
第2の誘電体の他の部分の径に比べて小さくなるように
形成している。これによって、上記TM2重モード誘電
体共振器を励振したときに上記第3の電極と上記第4の
電極とに流れる電流を減少させることができ上記第3の
電極と上記第4の電極とで失われるエネルギーを少なく
できるので、当該TM2重モード誘電体共振器の無負荷
Qを高くすることができる。
【0121】またさらに、請求項8記載のTM2重モー
ド誘電体共振器は、上記第1の誘電体の外周面と上記第
2の誘電体の外周面とにそれぞれ、所定の形状の溝を設
けている。これによって、上記TM2重モード誘電体共
振器を励振したときに上記第3の電極と上記第4の電極
に流れる電流を減少させることができ、上記第3の電極
と上記第4の電極とで失われるエネルギーを少なくでき
るので、当該TM2重モード誘電体共振器の無負荷Qを
高くすることができる。
【0122】また、請求項9記載のTM2重モード誘電
体共振器において、上記第1乃至第4の電極のうち少な
くとも1つは、高周波における表皮効果が大幅に抑圧さ
れた高周波電磁界結合型薄膜積層電極である。これによ
って、導体損失を小さくできるので、当該TM2重モー
ド誘電体共振器の無負荷Qを高くすることができる。
【0123】また、請求項10記載のTM2重モード誘
電体共振器は、上記キャビティーを備えているので、キ
ャビティーを備えない場合に比較して、無負荷Qを高く
することができるとともに、共振周波数の変動を少なく
できる。
【0124】本発明に係る請求項11記載の高周波帯域
通過フィルタ装置は、上記請求項1乃至10のうちの1
つに記載のTM2重モード誘電体共振器を備えているの
で、小型でかつ薄型にできる。
【0125】また、請求項12記載の高周波帯域通過フ
ィルタ装置は、上記請求項1乃至10記載の少なくとも
2つのTM2重モード誘電体共振器と上記結合手段とを
備えているので、小型でかつ薄型にできるとともに、阻
止帯域における減衰量を比較的大きくかつ通過帯域にお
ける挿入損失を比較的小さくできる。
【0126】さらに、請求項13記載の高周波帯域通過
フィルタ装置は、誘導結合させる結合手段を備えている
ので、互いに隣接する上記各2つのTM2重モード誘電
体共振器を容易に結合させることができる。
【0127】またさらに、請求項14記載の高周波帯域
通過フィルタ装置は、容量結合させる上記結合手段を備
えているので、互いに隣接する上記各2つのTM2重モ
ード誘電体共振器を容易に結合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態のTM2重モー
ド誘電体共振器の一部破断斜視図である。
【図2】 図1のTM2重モード誘電体共振器のA−
A’における縦断面図である。
【図3】 図1のTM2重モード誘電体共振器の平板電
極3の上面における電流分布を示す平面図である。
【図4】 図1のTM2重モード誘電体共振器の図3に
示すx軸に沿った縦断面における電界分布を示す断面図
である。
【図5】 図1のTM2重モード誘電体共振器の図3に
示すy軸に沿った縦断面における磁界分布を示す断面図
である。
【図6】 本発明に係る第2の実施形態のTM2重モー
ド誘電体共振器の横断面図である。
【図7】 図6のB−B’線についての第2の実施形態
のTM2重モード誘電体共振器の縦断面図である。
【図8】 (a)は、図6のTM2重モード誘電体共振
器の平板電極3の表面における奇モードの電流分布を示
す平面図であり、(b)は、図6のTM2重モード誘電
体共振器の平板電極3の表面における偶モードの電流分
布を示す平面図である。
【図9】 図6のTM2重モード誘電体共振器の等価回
路を示す回路図である。
【図10】 本発明に係る変形例のTM2重モード誘電
体共振器の誘電体1の縦断面図である。
【図11】 本発明に係る別の変形例のTM2重モード
誘電体共振器の誘電体1の縦断面図である。
【図12】 本発明に係る第3の実施形態のTM2重モ
ード誘電体共振器における誘電体101の縦断面図であ
る。
【図13】 図12のTM2重モード誘電体共振器の変
形例の誘電体102の縦断面図である。
【図14】 (a)は本発明に係る第4の実施形態のT
M2重モード誘電体共振器における誘電体104の縦断
面図であり、(b)は(a)の誘電体104の溝形成部
114の等価回路である。
【図15】 図14(a)のTM2重モード誘電体共振
器の変形例における誘電体103の縦断面図である。
【図16】 図14(a)のTM2重モード誘電体共振
器の図15とは異なる変形例における誘電体105の縦
断面図である。
【図17】 図14(a)のTM2重モード誘電体共振
器の図15,16とは異なる変形例における誘電体10
6の縦断面図である。
【図18】 本発明に係る第5の実施形態のTM2重モ
ード誘電体共振器における誘電体1と高周波電磁界結合
型薄膜積層電極3amの縦断面図である。
【図19】 本発明に係る第6の実施形態のTM2重モ
ード誘電体共振器の縦断面図である。
【図20】 本発明に係る第7の実施形態の高周波帯域
通過フィルタ装置の一部破断斜視図である。
【図21】 図20の高周波帯域通過フィルタ装置のC
−C’における縦断面図である。
【図22】 図21のD−D’における図20の高周波
帯域通過フィルタ装置の横断面図である。
【図23】 図20の高周波帯域通過フィルタ装置の等
価回路を示す回路図である。
【図24】 図20の高周波帯域通過フィルタ装置の動
作説明図である。
【符号の説明】
R1,R2,R3…TM2重モード誘電体共振器、 1,1a,1b,1c,2,2a,2b,2c,101
乃至106,104a,104b…誘電体、 M1乃至M5,M31a,M32a,M33a,M31
b,M32b,M33b,M61a,M62a,M63
a,M61b,M62b,M63b…薄膜導体、 D1乃至D4,D31a,D32a,D31b,D32
b,D61a,D62a,D61b,D62b…薄膜誘
電体、 3,3−1,3−2,3−3…平板電極、 3a,3b,3d,4a,4b,4c,4d,40a,
40b…電極、 3am,4am,30a,30b,60a,60b…高
周波電磁界結合型薄膜積層電極、 4,4−1,4−2,4−3…トーラス電極、 5a,5d,50a,50b…凹部、 5d1…底部、 5d2…周部分、 6,6a,6b,6c,7,7a,7b,7c…端面電
極、 8,80…導体ケース、 8a,80a,80b,80c…キャビティー、 9a,9b…導体板、 11,11a,11b,11c,12,12a,12
b,12c,13,13a,13b,13c,14,1
4a,14b,14c…切り欠き、 21…結合ループインダクタ、 22…入力キャパシタ、 23,24…結合キャパシタ、 25…出力キャパシタ、 26a,26b,26c…結合調整ねじ、 34a,34b,64a,64b…保護膜、 41…入力コネクタ、 42…出力コネクタ、 51,52,53,54…周波数調整ねじ、 73,74,74a,74b,75,76,77…溝、 211,212,213,214,215,234…導
体線。
フロントページの続き (72)発明者 松井 則文 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に対向する2つの端面を有す
    る所定の柱形状をそれぞれ有する第1と第2の誘電体
    と、 上記第1の誘電体の一方の端面に形成された第1の電極
    と、 上記第2の誘電体の一方の端面に上記第1の電極と対向
    するように形成された第2の電極と、 第1の導体板の縁端部が上記第1の誘電体の他方の端面
    の外周から所定の距離だけ離れるようにかつ第1の導体
    板の一部が上記第1の誘電体の他方の端面の全面に接す
    るように形成された第1の導体板と、 第2の導体板の縁端部が上記第2の誘電体の他方の端面
    の外周から所定の距離だけ離れるようにかつ第2の導体
    板の一部が上記第2の誘電体の他方の端面の全面に接す
    るように形成された第2の導体板とを備えたことを特徴
    とするTM2重モード誘電体共振器。
  2. 【請求項2】 上記第1と第2の誘電体は、円柱形状を
    有することを特徴とする請求項1記載のTM2重モード
    誘電体共振器。
  3. 【請求項3】 上記TM2重モード誘電体共振器はさら
    に、 上記第1の誘電体の一方の端面に上記第1の電極の外周
    縁端部に形成された第1の凹部と、 上記第1の凹部に上記第1の電極と一体的に形成された
    第3の電極と、 上記第2の誘電体の一方の端面に上記第2の電極の外周
    縁端部に上記第1の凹部と対向するように形成された第
    2の凹部と、 上記第2の凹部に上記第2の電極と一体的に形成された
    第4の電極とを備えたことを特徴とする請求項1又は2
    記載のTM2重モード誘電体共振器。
  4. 【請求項4】 互いに平行に対向する2つの端面を有す
    る所定の柱形状をそれぞれ有する第1と第2の誘電体
    と、 上記第1の誘電体の一方の端面に形成され、底部と内周
    部とを有する第1の凹部と、 上記第1の凹部の底部に形成された第1の電極と、 上記第2の誘電体の一方の端面に上記第1の凹部と対向
    するように形成され、底部と内周部とを有する第2の凹
    部と、 上記第2の凹部の底部に形成された第2の電極と、 上記第1の凹部の外周部分に上記第1の電極と一体的に
    形成された第3の電極と、 上記第2の凹部の外周部分に上記第2の電極と一体的に
    形成された第4の電極と、 第1の導体板の縁端部が上記第1の誘電体の他方の端面
    の外周から所定の距離だけ離れるようにかつ第1の導体
    板の一部が上記第1の誘電体の他方の面の全面に接する
    ように形成された第1の導体板と、 第2の導体板の縁端部が上記第2の誘電体の他方の端面
    の外周から所定の距離だけ離れるようにかつ第2の導体
    板の一部が上記第2の誘電体の他方の面の全面に接する
    ように形成された第2の導体板とを備えたことを特徴と
    するTM2重モード誘電体共振器。
  5. 【請求項5】 上記第1と第2の誘電体の外周の一部分
    の誘電率を上記一部分以外の部分の誘電率と異ならせる
    ことにより、上記TM2重モード誘電体共振器における
    2重に縮退したモードを互いに異なる共振周波数を有す
    る2つのモードに分離するための縮退分離手段をさらに
    備えたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の
    TM2重モード誘電体共振器。
  6. 【請求項6】 上記縮退分離手段は、上記第1と第2の
    誘電体の外周の一部に形成された切り欠きであることを
    特徴とする請求項5記載のTM2重モード誘電体共振
    器。
  7. 【請求項7】 上記TM2重モード誘電体共振器を励振
    したときに上記第3の電極と上記第4の電極とに流れる
    電流を減少させるように、上記第1の誘電体の他方の端
    面から所定の長さまでの部分の径を上記第1の誘電体の
    他の部分の径に比べて小さくなるように形成し、かつ上
    記第2の誘電体の他方の端面から所定の長さまでの部分
    の径を上記第2の誘電体の他の部分の径に比べて小さく
    なるように形成したことを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5又は6記載のTM2重モード誘電体共振器。
  8. 【請求項8】 上記第1の誘電体の外周面と上記第2の
    誘電体の外周面とにそれぞれ、上記TM2重モード誘電
    体共振器を励振したときに上記第3の電極と上記第4の
    電極に流れる電流を減少させるように所定の形状の溝を
    設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は
    6記載のTM2重モード誘電体共振器。
  9. 【請求項9】 上記第1乃至第4の電極のうち少なくと
    も1つは、薄膜導体と薄膜誘電体とを交互に積層するこ
    とによって構成された高周波電磁界結合型薄膜積層電極
    であることを特徴とする請求項1乃至8のうちの1つに
    記載のTM2重モード誘電体共振器。
  10. 【請求項10】 上記第1の導体板と上記第2の導体板
    とを含んで構成され、上記TM2重モード誘電体共振器
    の電磁界をキャビティ内に閉じ込めるためのキャビティ
    ーをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至9のう
    ちの1つに記載のTM2重モード誘電体共振器。
  11. 【請求項11】 上記請求項1乃至10のうちの1つに
    記載のTM2重モード誘電体共振器と、 上記TM2重モード誘電体共振器に高周波信号を入力す
    る入力端子と、 上記TM2重モード誘電体共振器から出力される高周波
    信号を出力する出力端子とを備えたことを特徴とする高
    周波帯域通過フィルタ装置。
  12. 【請求項12】 上記請求項1乃至10記載の少なくと
    も2つのTM2重モード誘電体共振器と、 互いに隣接する上記各2つのTM2重モード誘電体共振
    器を互いに結合させるための結合手段と、 上記TM2重モード誘電体共振器に高周波信号を入力す
    る入力端子と、 上記TM2重モード誘電体共振器から出力される高周波
    信号を出力する出力端子とを備えたことを特徴とする高
    周波帯域通過フィルタ装置。
  13. 【請求項13】 上記結合手段のうちの少なくとも1つ
    は、誘導結合による結合手段であることを特徴とする請
    求項12記載の高周波帯域通過フィルタ装置。
  14. 【請求項14】 上記結合手段のうちの少なくとも1つ
    は、容量結合による結合手段であることを特徴とする請
    求項12記載の高周波帯域通過フィルタ装置。
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