JPH0911435A - 印刷機の運転方法および印刷機における湿し装置 - Google Patents

印刷機の運転方法および印刷機における湿し装置

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JPH0911435A
JPH0911435A JP6148766A JP14876694A JPH0911435A JP H0911435 A JPH0911435 A JP H0911435A JP 6148766 A JP6148766 A JP 6148766A JP 14876694 A JP14876694 A JP 14876694A JP H0911435 A JPH0911435 A JP H0911435A
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JP
Japan
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roller
watering
plate cylinder
bridge
peripheral speed
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Application number
JP6148766A
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English (en)
Inventor
Steve M Garner
スティーブ・エム・ガーナー
Max W Hess
マックス・ダブリュ・ヘス
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SAN GRAPHIC TECHNOL Inc
SUN GRAPHIC TECHNOL Inc
Original Assignee
SAN GRAPHIC TECHNOL Inc
SUN GRAPHIC TECHNOL Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 版胴とインキ装置と湿し装置とを備える印刷
機において、インキと水との混合バランスを良好にして
印刷品位を向上させる。 【構成】 湿し装置における水付けローラ21とインキ
装置におけるインキ付けローラの双方に接触してブリッ
ジローラ31が設けられる。ブリッジローラは、位相差
動歯車装置103(またはローラ駆動装置200)を介
して水付けローラとは異なる周速度で回転するように駆
動されるので、水付けローラとの間にすべり回転が与え
られ、これによってインキと水との混合バランスを適正
に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印刷機の運転方法および
印刷機における湿し装置に関し、より詳しくは印刷機に
おけるブリッジローラの駆動方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に平版印刷機では、インキと湿し水
とが平版面に供給される。印刷版は回転する版胴に被着
される。印刷版には親油性領域と親水性領域とが設けら
れる。親油性領域は、紙その他の印刷媒体に印刷すべき
所望の画像に応じて形成される。親油性領域には油性イ
ンキが付着する。印刷版に設けられる親水性領域は水性
の湿し水が付着し、インキと反発しあうので、非印刷領
域となる。
【0003】印刷品位を良好なものとするためには、印
刷版における湿し水とインキの供給量を適正バランスに
保持する必要がある。湿し水の供給量が過剰であると、
湿し水の一部が親油性領域すなわち印刷領域に侵入して
付着し、印刷領域がぼけて見える。反対に湿し水の供給
量が過小であると、非印刷領域にまでインキが付着して
しまう。
【0004】インキと湿し水とはそれぞれインキ付けロ
ーラと水付けローラとによって印刷版に供給される。よ
り詳しくは、インキはインキ壷に溜められたインキをイ
ンキ出しローラ、インキ移しローラ、インキ付けローラ
等を有するインキ装置を介して印刷版に供給され、湿し
水も同様に水舟から水出しローラ、水移しローラ、水付
けローラ等を有する湿し装置を介して印刷版に供給され
る。
【0005】インキ付けローラと水付けローラとは互い
に離隔して配置されることもあるが、多くのオフセット
印刷機においては、水付けローラと一つのインキ付けロ
ーラとの間をブリッジローラで橋架するように構成され
ている。ブリッジローラは水付けローラと協働して印刷
版面上におけるインキと水との混合バランスを安定化し
且つ良好に保持する。
【0006】ある種の従来技術においては、ブリッジロ
ーラは隣接する水付けローラとインキ付けローラとによ
って摩擦回転するものとして設けられている。従来のブ
リッジローラは、回転駆動されるインキ付けローラと水
付けローラの間に弾性的に圧接挟持され、これによりブ
リッジローラの周面に働く摩擦力で従属的に回転するよ
う構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】水付けローラの回転速
度は、一般に版胴と同一周速度となるように設定される
が、場合によっては、版面に生ずるヒッキーを除去する
ために、水付けローラを低速回転させることがある。前
記したように、ブリッジローラは回転駆動される水付け
ローラに対して従属的に摩擦回転するものであるため、
水付けローラの回転速度が変化すると、ブリッジローラ
の回転速度も変化し、インキと水との混合バランスに悪
影響を与える。水付けローラがスローダウンすると、イ
ンキと湿し水の乳化作用が過剰となり、これは印刷品位
を低減させる。
【0008】従来技術においては、従属的に摩擦回転す
るブリッジローラの回転速度を制御することは困難であ
る。ブリッジローラの一つの作用は、インキと湿し水と
を版面に供給する前にこれらを予備的に混合することに
ある。この予備的混合が良好になされるように制御する
ためには、ブリッジローラの回転速度を制御する必要が
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術にお
ける上記問題点に鑑み、印刷機においてインキ装置と湿
し装置との間に設けられるブリッジローラを回転駆動す
るための新規な方法および装置を提供し、特にブリッジ
ローラの回転速度を所望の速度に制御可能とすることを
目的とする。
【0010】この目的を達成するために創案された本発
明は、版胴と、水付けローラと、ブリッジローラとを有
し、該水付けローラは該版胴の版面に接触して配置さ
れ、該ブリッジローラは該水付けローラに接触して配置
されてなる印刷機において、版胴を第1の周速度で回転
し、水付けローラを第1の周速度と異なる第2の周速度
で回転し、水付けローラが第2の周速度で回転する間、
ブリッジローラを第2の周速度と異なる第3の周速度で
回転して、ブリッジローラと水付けローラとの間にすべ
りを生じさせることを特徴とする印刷機の運転方法であ
る。
【0011】この場合において、水付けローラの回転速
度を第2の周速度から第1の周速度と同一周速度に変え
ながらも、ブリッジローラの回転速度は第3の周速度に
維持することができる。
【0012】第3の周速度は第1の周速度と同一であっ
てもよい。
【0013】また、水付けローラを版胴の駆動装置から
位相差動歯車装置を介して回転駆動し、その回転速度を
可変とすることができる。
【0014】更に、本発明は、版胴と、版胴を第1の周
速度で回転させる版胴駆動手段と、水付けローラと、水
付けローラと接触して配置されるブリッジローラと、水
付けローラを第1の周速度に対して調整可能な周速度で
回転させる水付けローラ駆動手段と、ブリッジローラを
第1の周速度と同一周速度で回転させるブリッジローラ
駆動手段と、を有してなることを特徴とする印刷機にお
ける湿し装置を提供する。
【0015】ブリッジローラ駆動手段は、版胴駆動手段
に回転可能に連結される歯車装置として構成することが
できる。
【0016】水付けローラ駆動手段は、第1および第2
の入力と出力とを備える位相差動歯車装置を有するもの
とし、第1の入力は前記版胴駆動手段から与えられ、出
力は水付けローラに与えられ、第2の入力はトリムモー
タから与えられて第1の入力に応じて出力を制御するよ
うに構成することができる。
【0017】ブリッジローラ駆動手段は、印刷機に設け
られる回転部材に連結される第1のシーブと、ブリッジ
ローラに連結される第2のシーブと、これら第1および
第2のシーブ間に回転可能に架け渡されるベルトとを有
するものとして構成することができる。
【0018】ブリッジローラ駆動手段は、ブリッジロー
ラに回転可能に接続されるモータと、印刷機に設けられ
て版胴の回転速度を測定する速度センサと、速度センサ
からの入力を受けてモータに出力を与えるモータ速度制
御手段とを有するものとして構成することができる。モ
ータはブリッジローラの内部に設けてもよい。
【0019】
【作用】ブリッジローラは、独立して設けられる専用の
モータや、ギヤあるいはベルト等の動力伝達手段を介し
て、インキ装置におけるインキ付けローラおよび湿し装
置における水付けローラとは独立して回転される。
【0020】ブリッジローラの回転速度は、水付けロー
ラとは異なる速度で回転するように駆動される。すなわ
ち、ブリッジローラは水付けローラに対して接触しなが
らすべり回転する。
【0021】
【実施例】図1にはオフセット印刷機11が部分的かつ
概略的に示されている。印刷機11の版胴13の外周面
には印刷版15が被着されている。印刷版15に接触す
るようにインキ付けローラ17、17aが配置される。
インキ付けローラは複数、たとえば2つあるいは4つ設
けることができ、そのうちの1つのインキ付けローラ1
7aは他のインキ付けローラ17よりも版胴13の回転
方向において上流側に配置される。上流側および下流側
に配置される一対あるいは複数対のインキ付けローラ1
7、17aと接触するようにインキ移しローラ19が設
けられる。更にこれらのローラに加えて、インキを溜め
ておくインキ壷、インキ壷からインキ移しローラ19に
インキを供給するインキ出しローラ等を有するインキ装
置が用いられるが、かかる構成は公知であるので詳細な
説明および図示を省略する。
【0022】湿し装置として、印刷版15と接触して版
面に湿し水を供給する水付けローラ21が設けられる。
湿し水27は水舟23に収容され、水舟23内の湿し水
27に一部が入り込んだ状態で設けられる水出しローラ
25によって定量供給され、水移しローラ29を介して
水付けローラ21に供給される。
【0023】印刷版15はインキ受領領域すなわち印刷
領域と非インキ領域すなわち非印刷領域とを有する。イ
ンキ受領領域にはインキ付けローラ17、17aからイ
ンキが供給され、非インキ領域には水付けローラ21か
ら湿し水が供給される。
【0024】上流側インキ付けローラ17aと水付けロ
ーラ21との間にこれらと接触してブリッジローラ31
が設けられる。ブリッジローラ31は湿し装置とインキ
装置とを接続して、これらによって供給される湿し水と
インキとを印刷版15に到達する前にある程度予備的に
混合する作用を果たす。ブリッジローラ31には必要に
応じてさまざまな表面性状および硬度を与えることがで
きる。たとえば、ブリッジローラにゴムその他の弾性材
料、硬質プラスチック、ナイロン、銅メッキ等による被
覆層を設けて、インキを受容し得るようにすることがで
きる。あるいは、ブリッジローラにたとえばクロム研磨
層よりなる被覆層を設けて、湿し水を受容し得るように
することができる。
【0025】印刷機11は枚葉紙印刷機であっても巻取
紙印刷機であってもよい。また、複数のタワーを配し、
各タワーに1つの版胴とこれに関連するインキ装置およ
び湿し装置を設け、各タワーで1色を印刷することによ
り多色印刷を行うように構成してもよい。この場合、各
タワーごとに1つのブリッジローラと後述するブリッジ
ローラ駆動装置が備えられる。
【0026】各種のローラおよび胴はいずれも、印刷機
枠に回転可能に設けられる。以下図2を参照して、ロー
ラおよび胴の端部は印刷機枠における垂直側壁33に支
持される。モータ35の駆動軸がギヤ37、39、41
を介して版胴13の軸に接続され、モータ35によって
版胴13が回転駆動される。更にギヤ43、45を介し
てインキ移しローラ19がモータ35によって回転駆動
される。一方、インキ付けローラ17、17aは、回転
駆動されるインキ移しローラ19および版胴13と摩擦
接触することにより従動的に回転される。版胴13の外
周面には溝(図示せず)が設けられ、版胴の回転中にこ
の溝がインキ付けローラを越えたときに、インキ移しロ
ーラによってインキ付けローラが回転される。
【0027】一般に、湿し装置における水出しローラ2
5および水移しローラ29は別のモータ(図示せず)に
よって回転駆動される。このモータは、ギヤまたは駆動
ベルトを介して水出しローラおよび水移しローラに接続
される。水付けローラ21は専用のモータ(図示せず)
で回転駆動される。このモータはモータ35および水出
しローラ/水移しローラ駆動用モータとは別に設けられ
る。したがって、水付けローラ21は版胴13の回転速
度とは無関係に独立した回転速度を持ち得る。この水付
けローラ駆動用モータはギヤまたはベルトを介して水付
けローラと接続される。これらのローラを駆動するため
の駆動装置その他の印刷機における構成の詳細は、たと
えば米国特許第5158017号に示されている。
【0028】本発明の主題をなすブリッジローラ31の
駆動装置について以下に説明する。ブリッジローラ31
は専用の駆動装置によって回転され、したがって接触す
る上流側インキ付けローラ17aおよび水付けローラ2
1とは異なる独立した速度で回転され得る。図2に示す
実施例では、モータ35により回転駆動されるインキ移
しローラ19とベルト47で直接的に接続されることに
よってブリッジローラ31を回転するように構成されて
いる。ベルト47はこれらローラのシーブ49、51に
巻回される。ベルト47に設けられるバネ付勢されたプ
ーリ53は、ブリッジローラ31を上流側インキ付けロ
ーラ17aおよび水付けローラ21と接触させ、あるい
はこれらの間の接触状態を解放する。これにより、イン
キ付けローラおよび水付けローラを版胴から離してクリ
ーニングすることができる。シーブ49、51の外径
は、ブリッジローラ31の周速度が版胴13の周速度と
同一となるように定められる。
【0029】図2の駆動装置において、モータ35によ
り版胴13が回転すると、ギヤ43、45を介してイン
キ移しローラ19も回転する。同様に、インキ移しロー
ラ19の回転によりベルト47を介してブリッジローラ
31も回転する。換言すれば、ブリッジローラ31はイ
ンキ移しローラ19を介して版胴13によって駆動され
る。
【0030】版胴13にシーブを設けることによりブリ
ッジローラを版胴によって直接駆動することも可能であ
る。しかしながら、本発明の駆動装置は既存の印刷機に
簡単に組み込むことができ、印刷機部品のジオメトリを
考えると、版胴ではなくインキ移しローラにシーブを設
けてブリッジローラ駆動装置を構成することが有利であ
る。ベルト47に代えてギヤを用いてブリッジローラを
駆動することができる。この場合、好ましくはブリッジ
ローラ31はインキ移しローラ19にギヤ接続される。
【0031】本発明の別の実施例が図3に示されてい
る。この実施例によるブリッジローラ駆動装置は、主と
して、モータ61、センサ63およびコントローラ65
を有する。この実施例によれば、ブリッジローラ31は
他の印刷機ローラとは独立して回転される。一般に、ブ
リッジローラは版胴と同一周速度で回転するのが好適で
ある。しかしながら、ブリッジローラと版胴の周速度を
異なるものとすることが要求される特別な印刷条件にお
いては、後述するように、図3の駆動装置はこれを許容
し、ブリッジローラ31を版胴13とは異なる周速度で
回転させることが可能である。
【0032】モータ61は印刷機の側壁33に取り付け
られ、ギヤ67、69、71を介してブリッジローラ3
1の一端に回転可能に接続される。これらギヤの軸72
は側壁33に回転可能に支持される。ギヤ69は空転ギ
ヤである。これらギヤ装置に代えて、図2に示すような
ベルトおよびシーブによる動力伝達装置を用いてもよ
い。印刷機部品のジオメトリが許す限り、モータ61は
印刷機枠の内側または外側あるいはその他の任意箇所に
取り付けることができる。
【0033】センサ63は印刷機枠に取り付けられて、
版胴13の回転周速度を計測する。好ましくはセンサ6
3は直流回転計とされる。直流回転計は、最大回転数に
至るまで毎分1000回転ごとにある電圧(たとえば2
5ボルト)を発生する。回転計は、版胴の回転速度を版
胴から直接計測し、あるいは印刷機のモータ35やギヤ
37、39、41、43、45のいずれか、またはモー
タ35によって駆動されるインキ移しローラ19等によ
って駆動される部材の回転速度を計測することによって
版胴回転速度を間接的に計測する。後述するように、回
転計によって計測された速度は、ブリッジローラ駆動装
置を印刷機に組み込む際になされる較正中に、版胴13
の周速度と関連づけられる。
【0034】センサ63はシグナルアイソレータ64の
入力側75aに接続される。シグナルアイソレータ64
は、センサ63から入力される可変直流電圧信号の強さ
に比例した浮動直流電圧を発生する。シグナルアイソレ
ータ64の出力側75bは基準速度制御器79の入力側
および出力側に接続される。好ましい実施例において、
基準速度制御器79は電位差計(ポテンショメータ)と
される。電位差計のワイパに接続されるコンダクタ77
aがコントローラ65の基準速度入力側に接続される。
電位差計の出力側77bは、シグナルアイソレータ64
の出力側75bに接続されると共に、コントローラ65
内のアースに接続される。
【0035】コントローラ65の出力端73はモータ6
1の電機子に接続される。コントローラ65はモータ6
1を運転するために必要な電流を与える。コントローラ
65は、シグナルアイソレータ64からの入力値に応じ
た所定速度でモータ61を回転させる。入力値と出力値
との間の速度比は基準速度制御器79によって設定され
る。すなわちコントローラ65は、版胴速度に追随する
速度でモータ61を、したがってブリッジローラ31を
回転させる。好ましくは、コントローラ65は回生制動
を利用してモータ速度を制御する。
【0036】モータ61、センサ63、シグナルアイソ
レータ64およびコントローラ65はいずれも従来公知
のものであり一般に市販され入手可能な機器である。
【0037】図3に示される駆動装置は印刷機に組み込
まれるときに較正され、版胴13と同一周速度でブリッ
ジローラ31が回転するようにされる。シグナルアイソ
レータ64は、その出力電圧が基準速度制御器ないし電
位差計79の出力側77bからコントローラ65に入力
される基準電圧を越えないように調整される電位差トリ
マーを有する。このようにシグナルアイソレータ64か
らの出力電圧が調整されることにより、コントローラ6
5が作動範囲に維持される。基準速度制御器ないし電位
差計79は、版胴13と同一周速度でブリッジローラ3
1を回転させるように、換言すればコントローラの出入
力値が1対1となるように、調整される。
【0038】図3の駆動装置の作用について説明する。
版胴13の回転速度がセンサ63により測定され、この
測定結果を表す信号がシグナルアイソレータ64を経て
コントローラ65に送られる。コントローラ65におい
て、この測定された版胴回転速度を基準速度制御器ない
し電位差計79によって与えられる基準速度と比較す
る。版胴回転速度が速くなったとき、該版胴回転速度の
増加分と同量だけモータ61をスピードアップさせて版
胴に追随させる。反対に版胴回転速度が遅くなったとき
は、該版胴回転速度の減少分と同量だけモータ61をス
ローダルンさせて版胴に追随させる。版胴速度に変化が
ないときは、モータ61の回転速度をそのまま維持す
る。
【0039】版胴13と同一速度でブリッジローラ31
を回転させることは、インキと湿し水との混合を促進さ
せ、印刷品位を向上させるものと考えられる。版胴13
からヒッキーを除去するために、一般に水付けローラ2
1の回転速度は版胴13とは異なる速度に設定される。
したがって、本発明においては、ブリッジローラ31は
水付けローラ21に対して接触しながらすべり回転す
る。このすべり回転によって一方のローラが他方のロー
ラに対してワイピング作用をなし、インキと湿し水との
混合効果を向上させる。摩擦力で回転する上流側インキ
付けローラ17aを版胴13よりも低速で回転させる必
要がある場合には、該上流側インキ付けローラとブリッ
ジローラ31との間にも同様に相対的すべり回転が与え
られる。
【0040】図3の実施例によれば、ブリッジローラ3
1の回転速度制御にある程度の柔軟性を与えることがで
きる。ある種の湿し装置では水付けローラの回転速度を
変化させている。たとえば、版胴からヒッキーを除去す
るために水付けローラを版胴に対して異なる速度で所要
時間だけ回転させた後、版胴と同一速度で回転するよう
に、水付けローラの回転速度を変化させるものがある。
このように水付けローラの回転速度を版胴と同一速度あ
るいは異なる速度とするように変化させることは、常に
水付けローラを版胴と異なる速度で回転させる場合に比
べて、版胴面における摩耗を減少させる効果がある。こ
のような印刷機において図3のブリッジローラ駆動装置
が用いられる場合、水付けローラ21が版胴13と同一
周速度で回転するときは、ブリッジローラ31を版胴に
対して異なる周速度で回転するようにその回転速度を変
えることができる。これにより水付けローラとブリッジ
ローラとの間の相対的すべり回転が確保される。図3の
実施例によれば、このようなブリッジローラの速度変化
は、基準速度制御器79の設定を変えることによって容
易に実現可能である。
【0041】図4には本発明の別の実施例が示されてい
る。この実施例では、図3の実施例におけるセンサ6
3、シグナルアイソレータ64、コントローラ65およ
び基準速度制御器79が用いられる。モータ81はブリ
ッジローラ31の内部に配置される。したがって、この
実施例によるときは、印刷機内の省スペースが図られ
る。印刷機の設計によっては、スペースが足りないため
にモータを配置することが困難となる場合がある。図4
の実施例によれば、モータがブリッジローラの内部に配
置されるので、印刷機枠の内外にモータ配置のためのス
ペースを必要としない。
【0042】ブリッジローラ31は固定軸83によって
印刷機枠に支持され、固定軸に対する回転を許容するた
めにブリッジローラの両端87にはベアリング85が備
えられる。モータ81は、固定軸83とブリッジローラ
のシェル95との間に形成される環状空間89内に配置
される。モータ81の固定子91は固定軸83に固定さ
れ、回転子93はブリッジローラのシェル95に固定さ
れる。固定子91の巻線(図示せず)を励磁するための
電線(図示せず)は、固定軸83の内部を通って印刷機
枠に達するように配線される。
【0043】モータ81からの駆動を受けて、ブリッジ
ローラのシェル95が固定軸83のまわりを回転する。
シェル95はインキ付けローラ17a(図1)および水
付けローラ21に接触する。より詳しくは、コントロー
ラ65から電流が固定子巻線に与えられ、かくして励磁
された固定子91によって電磁界が形成され、回転子9
3を回転させる。形成される電磁界が強ければそれだけ
回転子93の回転速度も大きくなる。回転子93の巻線
はブリッジローラシェル95を固定軸83のまわりにお
いて印刷機枠33に対して相対的に回転させる。コント
ローラ65は固定子巻線に与えられる電流量を制御し、
もってブリッジローラシェル95の回転速度を制御す
る。ブリッジローラシェルをより高速回転させる場合に
は、より多くの電流が固定子巻線に与えられ、固定子巻
線によって形成される電磁界がより強大なものとされ
る。反対にブリッジローラシェルの回転をスローダウン
させる場合には、固定子巻線に対する電流供給量を減少
させる。
【0044】以上においてモータ61、81を電気モー
タとして説明したが、ブリッジローラ31を回転させる
ために用いられるモータはこれに限定されない。たとえ
ば空気圧モータを用いてブリッジローラ31を回転させ
てもよい。印刷機には空気圧を利用する駆動源が用いら
れる場合があり、この場合には既に印刷機に設けられて
いる圧縮空気供給源を用いて上記空気圧モータを作動す
ることができる。実際、ブリッジローラはその長手軸に
沿って振動するものであり、この振動をもたらすために
空気圧手段が一般に用いられる。また、各種ローラは空
気圧シリンダによって版胴に接触あるいは非接触となる
ように駆動される。あるいは、油圧モータによりブリッ
ジローラ31を回転させてもよい。ブリッジローラを回
転させるために空気圧または油圧あるいは他のタイプの
モータが用いられる場合、当該タイプのモータに適合す
るコントローラ65が用いられる。
【0045】図5および図6は本発明の更に別の実施例
によるブリッジローラ駆動装置101を示す。図面サイ
ズの都合上2つの図に分けて図示されているが、図5は
印刷機枠33の内側(図において左側)におけるブリッ
ジローラ駆動装置101の構成を示し、図6は印刷機枠
33の外側(図において右側)における構成を示してい
る。これらの図は、下方に示されている内側軸127、
外側軸133およびスリーブ137で相互に連結され得
る。
【0046】概略的に説明すると、この実施例によるブ
リッジローラ駆動装置101は、印刷機の駆動装置を用
いて、ブリッジローラ31を版胴と同一周速度で回転駆
動するように構成されている。更に、この駆動装置は、
水付けローラ21を可変速度で駆動することができる。
したがって、水付けローラ21は、版胴13と同一周速
度で回転可能であり、また版胴よりも遅い速度あるいは
速い速度で回転することもできる。水付けローラは位相
差動歯車装置103(図6)を介して印刷機駆動装置に
よって駆動される。位相差動歯車装置103に設けられ
たトリムモータ105が水付けローラの周速度を調整す
る。
【0047】図5および図6に示されるブリッジローラ
駆動装置101の構成について以下により詳細に説明す
る。
【0048】まず図5を参照して、ブリッジローラ31
および水付けローラ21はそれぞれハンガー107、1
09を介して印刷機枠に装着される。これらハンガー1
07、109は、ブリッジローラ31および水付けロー
ラ21が版胴に対して係着位置と退避位置との間をピボ
ット回転することを許容している。係着位置にあると
き、水付けローラ21は版面に接触し、ブリッジローラ
31は水付けローラ21と上流側のインキ付けローラ1
7aの間にあってこれらと接触している(図1)。退避
位置にあるとき、水付けローラ21(およびインキ付け
ローラ)は版面から離れて非接触とされる。これは主と
して洗浄目的に供される。ブリッジローラ31も同様に
版面から離れる方向にピボット回転移動され、水付けロ
ーラ21が版面から離れて退避位置に移動することを許
容する。ブリッジローラハンガー107は水付けローラ
ハンガー109を介して印刷機枠33に取り付けられて
いる。
【0049】ブリッジローラ31はその両端から突出す
る軸111を有する。軸111の両端はそれぞれ補助軸
113に連結されている。各補助軸113はベアリング
115に支持され、該ベアリングはスリーブ116に支
持されている。スリーブ116はブリッジローラハンガ
ー107に取り付けられいる。より詳細には後述する
が、ブリッジローラハンガー107は水付けローラハン
ガー109と連結されている。軸111の両端を補助軸
113に連結するに代えて、直接ハンガー107に連結
してもよい。
【0050】水付けローラ21もまたその両端から突出
する軸117を有する。軸117の両端は補助軸119
に連結されている。補助軸119はベアリング122を
介してスリーブ121に取り付けられている。スリーブ
121は水付けローラハンガー109に連結されてい
る。スリーブ121の端部123はブリッジローラハン
ガー109から印刷機枠33に向けて軸方向に延長して
いる。この円筒状の延長端部123はブリッジローラハ
ンガー107の一端に形成された円形開口内に収容され
貫通している。すなわち、ブリッジローラハンガー10
7は水付けローラスリーブ121にピボット結合されて
いる。水付けローラハンガー109とブリッジローラハ
ンガー107との間にはスペーサ125が配置される。
【0051】水付けローラ21とブリッジローラ31の
各端部がハンガー109、107を介して印刷機枠33
に取り付けられる。しかしながら、図5および図6に
は、これらローラ21、31の一方の端部のみが駆動装
置に結合されている構成が示されている。すなわち、2
つの水付けローラハンガー109のうちの1つが同心軸
装置126を介して印刷機枠33に取り付けられている
構成が示されている。水付けローラ21は同心軸装置1
26によって印刷機枠33にピボット結合されている
が、ピボット回転が許容されている。したがって、水付
けローラ21は既述した係着位置と退避位置との間をピ
ボット移動可能である。また、同心軸装置126によっ
て、ブリッジローラ31と水付けローラ21の双方が印
刷機の駆動装置(版胴13を回転駆動する駆動装置)に
よって駆動可能とされている。しかしながら、ブリッジ
ローラ31は水付けローラ21とは独立して駆動され
る。したがって水付けローラ21の回転速度をブリッジ
ローラ31とは独立的に変化させることができる。同様
に、ブリッジローラ31の回転速度を水付けローラ21
の回転速度に依存することなく独立して変化させること
ができる。
【0052】水付けローラハンガー109は、ベアリン
グ131によって内側軸127の内側端129に連結さ
れている。ここで「内側」あるいは「外側」とは印刷機
枠33に対する相対的位置関係を示し、「内側」は印刷
機枠の内部、「外側」は印刷機枠の外部にあることを示
す。内側軸127はベアリング135により外側軸13
3に対して回転可能に設けられている。ベアリング13
5は内側軸127の内側端129および外側端155
(図6)の各々に配置されている。外側軸133はベア
リング139を介してスリーブ137に対して回転可能
に設けられている。同様に、ベアリング139は外側軸
133の内側端175および外側端173(図6)の各
々に配置されている。スリーブ137はボルト169で
印刷機枠33に固定されている。ボルト169はスリー
ブ137に一体形成されたフランジ140の部分を貫通
する。スリーブ137は印刷機枠33に形成された開口
内を貫通するように設けられる。このようにして、水付
けローラハンガー109が内側軸127の内側端129
を中心としてピボット回転可能とされる。もちろん、内
側軸127は印刷機枠33から独立して回転する。外側
軸133は印刷機枠33および内側軸127に対してそ
れぞれ独立して回転する。
【0053】ブリッジローラ31のための駆動機構につ
いて説明する。図6を参照して、位相差動歯車装置10
3がブリッジローラ31および水付けローラ21の両方
のローラを回転させるために用いられる。この位相差動
歯車装置103は印刷機枠33の外側の地点に連結され
ている。位相差動歯車装置103は3つのスプライン軸
ないしリングギヤ、すなわち入力スプライン軸141、
中間スプライン軸143および出力スプライン軸145
を有している。
【0054】位相差動歯車装置103の入力スプライン
軸141には、入力ギヤ147がボルト止めされてい
る。入力ギヤ147は、中間スプライン軸143を被覆
するように延長しているが、中間スプライン軸143と
は独立して回転する。入力ギヤ147はアイドルギヤ1
49と噛合しており、アイドルギヤはギヤ41と噛合し
ている。このギヤ41は版胴13に接続されている。図
2に示されるように、版胴ギヤ41はモータ(印刷機駆
動装置)35によって回転される。アイドルギヤ149
は軸148およびベアリング150を介してプレート部
材146に対して回転自在に取り付けられている。プレ
ート部材146はボルトその他の手段によって印刷機枠
33に取り付けられる。
【0055】入力ギヤ147はいくつかのギヤおよび内
側軸127を介してブリッジローラ31に接続される。
すなわち、入力ギヤ147はもう一つのアイドルギヤ1
51と噛合し、該アイドルギヤは、前記アイドルギヤ1
49と同様にしてプレート部材146に対して回転自在
に取り付けられている。なお、各ギヤの回転軸はすべて
紙面と同一の面上に配置されているように図5および図
6には示されているが、印刷機の設計上多くの場合には
異なる面に回転軸を設けることが要求される。アイドル
ギヤ151は外側ギヤ153と噛合し、該外側ギヤは内
側軸127の外側端155に連結されている。図5に示
されるように、内側軸127の内側端129は内側ギヤ
157に連結されている。外側ギヤ153(図6)およ
び内側ギヤ157(図5)はそれぞれ公知のキー/溝連
結装置159を介して入力軸127の外側端および内側
端に相対回転不能に連結されている。内側ギヤ157は
アイドルギヤ161と噛合している。アイドルギヤ16
1は、ベアリング163を介して水付けローラスリーブ
121に装着されており、水付けローラスリーブ121
のまわりを自由に回転可能である。アイドルギヤ161
は、更に、ブリッジローラ補助軸113の一端にボルト
止めされている駆動ギヤ165と噛合している。
【0056】好適な実施例において、各ギヤの設計は、
ブリッジローラ31の周速度が版胴13の周速度と同一
となるようになされる。あるいはまた、ブリッジローラ
31を版胴13とは異なる周速度で回転させるように各
ギヤを設計することもできる。
【0057】このブリッジローラ31のための駆動機構
は以下に記すようにして作動する。印刷機駆動装置ない
しモータ35によって版胴ギヤ41が回転駆動される
(図2参照)と、該版胴ギヤと噛合しているアイドルギ
ヤ149(図6)も回転し、更に位相差動歯車装置10
3における入力ギヤ147を回転させる。ブリッジロー
ラ31に関しては、入力ギヤ147はアイドルギヤとし
て機能し、1:1の速度比で回転駆動力を伝達する。入
力ギヤ147の回転によって更にアイドルギヤ151、
外側ギヤ153、内側軸127、内側ギヤ157、アイ
ドルギヤ161、駆動ギヤ165および補助軸113が
順次回転し、ブリッジローラ31が回転駆動される。
【0058】次に水付けローラ21のための駆動機構に
ついて説明する。より詳細には後述するが、印刷機駆動
装置もしくはモータ35からの駆動力が位相差動歯車装
置103(図6)を介して水付けローラ21に伝達され
て該水付けローラを回転駆動する。位相差動歯車装置1
03は、水付けローラ21を版胴13(図2)とは独立
して異なる速度で回転させることを許容する。
【0059】図6を参照して、出力ギヤ167が位相差
動歯車装置103の出力スプライン軸145にボルト止
めされている。出力ギヤ167はアイドルギヤ170と
噛合し、該アイドルギヤはベアリングおよび軸を介して
プレート部材146に対して回転自在に取り付けられて
いる。アイドルギヤ170はまた外側ギヤ171と噛合
しており、該外側ギヤは外側軸133の外側端173に
連結されている。外側軸133の内側端175(図5)
には内側ギヤ177が装着されている。これら外側ギヤ
171および内側ギヤ177はそれぞれ公知のギヤ/溝
連結装置179を介して外側軸133の外側端および内
側端に相対回転不能に連結されている。内側ギヤ177
は駆動ギヤ181と噛合している。駆動ギヤ181は水
付けローラ補助軸119の一端にボルト止めされてい
る。
【0060】この水付けローラのための駆動機構の動作
は次の通りである。すなわち、図6を参照して、印刷機
駆動装置もしくはモータ35(図2)によって版胴ギヤ
41が回転すると、アイドルギヤ149が回転し、更に
位相差動歯車装置103における入力ギヤ147が回転
する。この入力ギヤ147の回転が後述する要領にて出
力ギヤ167に伝達され、該出力ギヤが回転する。出力
ギヤ167が回転すると、アイドルギヤ170、外側ギ
ヤ171、外側軸133、内側ギヤ177(図5)およ
び駆動ギヤ181の順に回転駆動が伝達され、これによ
って補助軸119および水付けローラ21が回転する。
水付けローラ21はブリッジローラ31とは反対方向に
回転する。
【0061】内側軸127と外側軸133とが同心状に
配列されてなる同心軸装置126は、位相差動歯車装置
103と協働して、水付けローラ21とブリッジローラ
31とを互いに独立して回転させることを許容してい
る。
【0062】水付けローラ21の回転速度は、位相差動
歯車装置103およびトリムモータ105を用いること
によって、版胴13の回転速度に対して相対的に変化さ
せることができる。用いられる位相差動歯車装置103
は公知であり一般に入手容易なものである。たとえば、
アメリカ合衆国マサチューセッツ州のハーモニック・ド
ライブ社、クインシー・テクノロジー部門によって供給
されているタイプの位相差動歯車装置を本発明に好適に
用いることができる。3つのスプライン軸141、14
3、145に加えて、位相差動歯車装置103の内部に
は第1および第2のウェーブジェネレータ183、18
5が内装されている。トリムモータ105の出力軸はこ
れら2つのウェーブジェネレータのいずれか一方に連結
される。好適な実施例では、トリムモータからの延長軸
189が第1のウェーブジェネレータ183に連結され
る。トリムモータ105は双方向回転可能である。
【0063】水付けローラ21を版胴13と同一周速度
で回転させる場合、トリムモータ105はオフとされ、
したがって第1のウェーブジェネレータはゼロ回転であ
る。入力ギヤ147によってトルクが、入力、中間およ
び出力スプライン軸141、143、145を介して出
力ギヤ167に伝達される。入力スプライン軸141は
2つのギヤ比を介して出力スプライン軸145を駆動す
る。第1のギヤ比は、入力スプライン軸141と中間ス
プライン軸143との間に非常にわずか増大するギヤ比
を与えるものである。第2のギヤ比は、中間スプライン
軸143と出力スプライン軸145との間に非常にわず
かに減少するギヤ比を与えるものである。ウェーブジェ
ネレータが静止状態であるとき、第1のギヤ比と第2の
ギヤ比とは互いに相殺し合うので、入力スプライン軸1
41と出力スプライン軸145は同一方向に同一速度で
回転する。すなわち、この場合の入力スプライン軸14
1と出力スプライン軸145との間の全体的なギヤ比は
1:1となる。
【0064】水付けローラ21を版胴13とは異なる速
度で回転させる場合、トリムモータ105を用いて第1
のウェーブジェネレータ183を回転させる。第1ウェ
ーブジェネレータ183の回転はトリムモータ105と
入力スプライン軸141との間に高い減速比を生じさせ
る。この高い比のトリム入力によって、出力スプライン
軸145の回転速度を入力スプライン軸141に対して
(トリム入力の回転方向に依存して)加速または減速さ
せることができる。すなわち、トリムモータ105を用
いることによって、水付けローラ21を版胴13よりも
速くあるいは遅く回転させることができる。
【0065】位相差動歯車装置103およびトリムモー
タ105の取付構成について説明する。位相差動歯車装
置は固定軸187およびトリムモータ延長軸189を介
して印刷機枠33に支持される。固定軸187はプレー
ト部材146にボルト止めされ、位相差動歯車装置10
3の内部に延長している。位相差動歯車装置103の内
部において、固定軸187は公知のキー/溝連結装置1
86を介して第2のウェーブジェネレータ185に対し
て相対回転不能に連結されている。したがって、第2の
ウェーブジェネレータ185は回転しない静止部材であ
る。第1のウェーブジェネレータ183は、同様に公知
のキー/溝連結装置188を介してトリムモータ延長軸
189と一体回転するように連結されている。トリムモ
ータ延長軸189はトリムモータ出力軸191のための
挿入口190を有しており、該挿入口に挿入された状態
でトリムモータ出力軸191がネジ192で固定され
る。延長軸189の両端はそれぞれベアリング193を
介してプレート部材146およびもう一つのプレート部
材195に対して回転可能に支持される。これら2つの
プレート部材146、195は互いに連結されて駆動装
置のための枠体を構成している。この枠体は印刷機枠3
3に取り付けられる。トリムモータ105はスリーブ1
97によりプレート部材195にボルト止めされてい
る。入力ギヤ147はスリーブ197によってプレート
部材195に取り付けられている。出力ギヤ167はベ
アリング194を介して固定軸187に外嵌されてい
る。
【0066】図7を参照して、図5および図6に示され
る駆動装置に用いられる制御回路について説明する。版
胴13がモータ35によって回転されると、ローラ駆動
装置200によってブリッジローラ31が回転される。
版胴13はまた、位相差動歯車装置103の入力ギヤ1
47を回転させる。位相差動歯車装置103の出力ギヤ
167が水付けローラ21を回転させる。トリムモータ
105が位相差動歯車装置103の内部に設けられる第
1のウェーブジェネレータ183を回転させる。
【0067】トリムモータ105は比較器201によっ
て制御される。比較器201には入力A、BおよびKが
入力される。第1の入力Aは版胴13の周速度を表す信
号であり、第1の速度センサ203から与えられる。第
2の入力Bは水付けローラ21の周速度を表す信号であ
り、第2の速度センサ205から与えられる。第3の入
力Kは電位差計を備えたすべり制御器207から与えら
れる。
【0068】図7に示される制御回路の作用について説
明する。印刷機の運転者は、すべり制御器207を用い
て水付けローラ21のためのすべり量を選択する。比較
器201からの出力信号がトリムモータ105に与えら
れる。水付けローラ21のすべり量がゼロであるとき、
すなわち水付けローラ21を版胴13と同一周速度で回
転すべき場合は、トリムモータ105への出力信号はゼ
ロとなる。版胴13からヒッキーを除去すべき場合、す
べり制御器207にあるすべり量が設定される。すなわ
ち、すべり量をプラスの値を持つように設定すると、ト
リムモータ105への出力信号が水付けローラ21をス
ローダウンさせるような極性と振幅を有するものとな
り、水付けローラ21が版胴13よりも遅い速度で回転
される。反対に、水付けローラ21を版胴13よりも速
く回転させるべき場合には、トリムモータへの出力信号
は水付けローラ21をスピードアップさせるような極性
と振幅とを有する。ローラ駆動装置200はブリッジロ
ーラ31の速度を維持するので、水付けローラ21との
間にすべりが生ずる。すなわち、水付けローラ21が版
胴13とは異なる速度で回転すると、水付けローラ21
とブリッジローラ31との間にすべりが生ずる。
【0069】比較器201は、測定された水付けローラ
21の回転速度変化に応じて出力信号を変える。水付け
ローラ21のすべりが設定されたとき、該水付けローラ
は版胴13に対してその設定すべり量に応じた異なる速
度で回転する。すなわち、水付けローラ21は、設定さ
れたすべり量だけ版胴13とは異なる速度で回転するよ
うに制御される。版胴13がスピードアップすれば、そ
の加速量だけ水付けローラ21もスピードアップする。
同様に、版胴13がスローダウンすれば、その減速量だ
け水付けローラ21もスローダウンして、設定されたす
べり量を維持する。
【0070】比較器201は入力値AとKの差を演算し
て、水付けローラ21の回転速度を決定する。入力値の
差(A−K)として決定された回転速度値が水付けロー
ラ21の測定速度Bよりも小さいとき、比較器201か
らトリムモータ105に与えられる出力信号は水付けロ
ーラ21をスピードアップするように変化する。反対
に、決定された回転速度値が水付けローラ21の測定速
度Bよりも大きいとき、比較器201からトリムモータ
105に与えられる出力信号は水付けローラ21をスロ
ーダウンするように変化する。決定された回転速度値が
測定速度Bと同一であるかあるいは一定の許容範囲内で
あるときには、出力信号は変化しない。
【0071】図7には併せて、水出しローラ25および
水移しローラ29を回転駆動するためのモータ211が
示されている。
【0072】ブリッジローラ31は、その回転軸に沿っ
て前進後退する振動型のものとすることができる。
【0073】図5および図6に示される実施例ではブリ
ッジローラ31がギヤによって駆動されているが、その
他任意の手段ないし構成によって駆動することが可能で
ある。たとえば、図2に示されるように版胴13とベル
ト接続されて駆動され、あるいは図3に示されるように
モータによって直接的に駆動され、あるいは図4に示さ
れるようにブリッジローラ自体の内部に設けれらたモー
タによって駆動されるものであってもよい。
【0074】図7ではローラ駆動装置200がブリッジ
ローラ31を駆動する。このローラ駆動装置200に
は、図2のベルト駆動装置、図3のモータ61、図4の
モータ81、図5および図6の位相差動歯車装置103
あるいはその他任意の駆動装置を用いることができる。
【0075】以上において、ブリッジローラ31は版胴
13と同一周速度で回転駆動するものとして記述した
が、これは本発明に必須の要件ではない。版胴13を第
1の速度で回転し、水付けローラ21を第1の速度とは
異なる第2の速度で回転し、ブリッジローラ31を第3
の速度で回転することができる。第3の速度は第1の速
度と同一とすることもできるし、異なるものとすること
もできる。
【0076】水付けローラ21は必ずしも常に第2の速
度で一定して回転することを要しない。特に、版胴13
が数回転する間、水付けローラ21を版胴とは異なる速
度で回転させることができる。このように版胴13と異
なる速度で水付けローラ21を回転させることにより、
版面に付着するヒッキーを除去することができる。ヒッ
キーを除去した後、版面における摩耗を最小限に止める
ため、水付けローラ21を版胴13と同一周速度で回転
するように復帰させることが好ましい。
【0077】水付けローラ21が版胴13とは異なる周
速度で回転されるとき、ブリッジローラ31も水付けロ
ーラ21とは異なる周速度で回転される。これにより水
付けローラ21とブリッジローラ31との間に相対的す
べり回転が生じ、インキと水の良好なバランスが維持さ
れる。
【0078】水付けローラ21が版胴13と同一周速度
で回転されるときも、ブリッジローラ31を版胴13と
異なる周速度で回転させることが好適である。この異な
る回転速度によってブリッジローラ31と水付けローラ
21との間に相対的すべり回転が生じ、インキと水の混
合を向上させることに寄与する。
【0079】以上の記述および添付図面における図示は
本発明を例示的に開示するものであり、本発明がこれら
に限定されるものと解釈してはならない。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、印刷機においてインキ
付けローラと水付けローラとに接触して設けられるブリ
ッジローラを回転駆動させることができ、インキと湿し
水との予備的混合を良好にすることができる。
【0081】本発明のブリッジローラ駆動装置によれ
ば、ブリッジローラが水付けローラとは独立して回転可
能であるので、ブリッジローラに所望の回転速度を与え
ることができる。特に、ブリッジローラを水付けローラ
に対して接触しながらすべり回転させることにより、イ
ンキと水との混合が良好になされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用され得るオフセット印刷機の概略
構成、特に版胴とそれに関連するインキ装置および湿し
装置における各種ローラの相対的位置関係を示す概略で
ある。
【図2】図1のオフセット印刷機に組み込まれる本発明
の好適な一実施例によるブリッジローラ駆動装置を示す
概略図である。
【図3】本発明の別の実施例によるブリッジローラ駆動
装置を示す概略図である。
【図4】本発明の更に別の実施例によるブリッジローラ
駆動装置を示す概略図である。
【図5】本発明の更に別の実施例によるブリッジローラ
駆動装置を水付けローラのための駆動機構と共に示し、
特にその印刷機枠の内側における構成を示す部分断面図
である。
【図6】図5の実施例によるブリッジローラ駆動装置の
印刷機枠の外側における構成を示す部分断面図である。
【図7】図5および図6に示される実施例のブリッジロ
ーラ駆動装置に関連して用いられる制御回路を示す図で
ある。
【符号の説明】
11 印刷機 13 版胴 17a (上流側)インキ付けローラ 19 インキ移しローラ 21 水付けローラ 31 ブリッジローラ 35 モータ 103 位相差動歯車装置 105 トリムモータ 147 入力ギヤ 167 出力ギヤ 183 ウェーブジェネレータ 201 比較器 203、205 速度センサ 207 すべり制御器
フロントページの続き (72)発明者 マックス・ダブリュ・ヘス アメリカ合衆国、テキサス州 76180、ノ ース・リッチランド・ヒルズ、カーディナ ル・レイン 8303

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 版胴と、水付けローラと、ブリッジロ
    ーラとを有し、該水付けローラは該版胴の版面に接触し
    て配置され、該ブリッジローラは該水付けローラに接触
    して配置されてなる印刷機において、 前記版胴を第1の周速度で回転し、 前記水付けローラを前記第1の周速度と異なる第2の周
    速度で回転し、 前記水付けローラが前記第2の周速度で回転する間、前
    記ブリッジローラを前記第2の周速度と異なる第3の周
    速度で回転して、前記ブリッジローラと前記水付けロー
    ラとの間にすべりを生じさせることを特徴とする印刷機
    の運転方法。
  2. 【請求項2】 前記水付けローラの回転速度を前記第
    2の周速度から前記第1の周速度と同一周速度に変えな
    がらも、前記ブリッジローラの回転速度は前記第3の周
    速度に維持することを特徴とする請求項1の印刷機の運
    転方法。
  3. 【請求項3】 前記第3の周速度が前記第1の周速度
    と同一であることを特徴とする請求項1または2の印刷
    機の運転方法。
  4. 【請求項4】 前記水付けローラを前記版胴の駆動装
    置から位相差動歯車装置を介して回転駆動し、その回転
    速度を可変としたことを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかの印刷機の運転方法。
  5. 【請求項5】 版胴と、 前記版胴を第1の周速度で回転させる版胴駆動手段と、 水付けローラと、 前記水付けローラと接触して配置されるブリッジローラ
    と、 前記水付けローラを前記第1の周速度に対して調整可能
    な周速度で回転させる水付けローラ駆動手段と、 前記ブリッジローラを前記第1の周速度と同一周速度で
    回転させるブリッジローラ駆動手段と、を有してなるこ
    とを特徴とする印刷機における湿し装置。
  6. 【請求項6】 前記ブリッジローラ駆動手段が、前記
    版胴駆動手段に回転可能に連結される歯車装置であるこ
    とを特徴とする請求項5の湿し装置。
  7. 【請求項7】 前記水付けローラ駆動手段が、第1お
    よび第2の入力と出力とを備える位相差動歯車装置を有
    してなり、前記第1の入力は前記版胴駆動手段から与え
    られ、前記出力は前記水付けローラに与えられ、前記第
    2の入力はトリムモータから与えられて前記第1の入力
    に応じて前記出力を制御することを特徴とする請求項5
    または6の湿し装置。
  8. 【請求項8】 前記ブリッジローラ駆動手段が、印刷
    機に設けられる回転部材に連結される第1のシーブと、
    前記ブリッジローラに連結される第2のシーブと、これ
    ら第1および第2のシーブ間に回転可能に架け渡される
    ベルトとを有してなることを特徴とする請求項5ないし
    7のいずれかの湿し装置。
  9. 【請求項9】 前記ブリッジローラ駆動手段が、前記
    ブリッジローラに回転可能に接続されるモータと、印刷
    機に設けられて前記版胴の回転速度を測定する速度セン
    サと、前記速度センサからの入力を受けて前記モータに
    出力を与えるモータ速度制御手段とを有してなることを
    特徴とする請求項5ないし7のいずれかの湿し装置。
  10. 【請求項10】 前記モータが前記ブリッジローラの内
    部に設けられることを特徴とする請求項9の湿し装置。
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