JPH09113774A - 架空分岐接続函および分岐光ケーブルの余長収納方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分岐光ケーブルの余長の収納量を任意に設定
でき、分岐光ケーブルを曲げすぎることなく容易に収納
できる架空分岐接続函を提供する。 【解決手段】 函下面１ａに余長収納部３およびテープ
４が取り付けられている。余長収納部３は、一対の上部
櫛形溝３ａ，下部櫛形溝３ｂが対向し、両者の中央部が
結合部３ｃにより結合されて一体化されたものである。
テープ４は、函下面１ａから垂れ下がり、左右のテープ
の中央部は、スナップボタン４ａにより留め外しできる
ようになっている。分岐光ケーブル１０の余長をループ
状にすると、余長収納部３の上部櫛形溝３ａと下部櫛形
溝３ｂの間に収納することができる。この余長ループに
テープ４を通すと余長ループが溝から抜け出ることを防
止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、架空分岐接続函お
よび分岐光ケーブルの余長収納方法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】架空光ケーブルを需要家へ分岐引き落と
しする際に、引き落とし点として分岐接続函を用いる場
合がある。この場合、分岐光ケーブルに余長をもたせる
ことが一般的に行なわれている。この余長は、分岐接続
に要する作業余長を確保するとともに、施工後の周囲環
境の変化に適応する張り替えに対応させるためのもので
ある。しかし、従来、この余長を処理するのに適当な方
法がなかった。

【０００３】図５は、分岐光ケーブルの余長処理方法の
第１の従来例の説明図である。図中、１は架空分岐接続
函、１ａは函下面、２は架空光ケーブル、１０は分岐光
ケーブル、３０は電柱、３１は引き留め具である。この
従来例は、引き留め部３１と架空分岐接続函１との間に
分岐光ケーブル１０をたるませておく方法である。

【０００４】架空分岐接続函１は、架空光ケーブル２の
途中に設置されている。架空光ケーブル２は、間欠的に
設けられた支持具により光ケーブルが吊り線に懸架され
たもの、あるいは、支持線部を有する自己支持型光ケー
ブルである。架空分岐接続函１の内部において、架空光
ケーブル２から光ファイバ心線を取り出し、これをコネ
クタによる機械的接続や融着接続により分岐光ケーブル
１０の光ファイバ心線に接続する。架空光ケーブル２に
収容された複数本の光ファイバ心線は、単心線やテープ
状光ファイバ心線のような複数心線である。分岐光ケー
ブル１０は、小心で細径の光ケーブルであり、一例とし
て単心の光屋外線であり、曲がりによる損失や伸び歪み
による機械的強度低下の問題に対処するため、鋼心等の
抗張力体を有する。

【０００５】架空光ケーブル２中の光ファイバ心線の中
で分岐接続されないものについては、そのまま架空分岐
接続函１を通り抜けるようにする場合と、一旦切断して
再び切断部を再接続する場合がある。架空分岐接続函１
の中には、心線ホルダを有する余長処理板が設けられ、
接続作業に必要となる光ファイバ心線の余長を収納す
る。分岐光ケーブル１０側の光ファイバ心線は、抗張力
体から分離されて架空分岐接続函１の中に引き込まれて
いる。

【０００６】電柱３０には、引き留め部３１が設けら
れ、架空光ケーブル１の函下面１ａから引き出された分
岐光ケーブル１０は、引き留め部３１で一旦引き留めら
れた後、加入者宅等の需要家に引き落とされる。このた
め、電柱３０と架空分岐接続函１との間に、たるみ量の
異なる分岐光ケーブルの垂れ下がりが数多く生じ、美観
上問題である上、電柱３０で行なわれる他の作業、例え
ば、電力線路やＣＡＴＶ線路に関わる工事において、分
岐光ケーブル１０を引っかけるなどして現用中の光通信
に障害を起こすことがある。

【０００７】図６は、分岐光ケーブルの余長処理方法の
第２の従来例の説明図である。図中、図５と同様な部分
には同じ符号を用いて説明を省略する。４０はリング、
４１はリング取付具である。この従来例は、函下部１ａ
に設けられたリング４０に分岐光ケーブル１０の余長分
を巻き付けるという方法である。

【０００８】この架空分岐接続函１は、銅ケーブル用の
接続端子函の函体をそのまま用いたもので、函下面１ａ
にリング４０が取り付けられている。このリング４０
は、棒状体が架空分岐接続函１の幅方向に伸び、棒状体
の左右が上に折れ、その先端がリング取付部材４１に取
り付けられたもので、架空分岐接続函１の長手方向の両
端近傍および中央に合計３個設けられている。

【０００９】分岐光ケーブル１０を銅ケーブルと同様に
複数のリング４０に巻き付けることにより余長を処理す
ることができる。しかし、作業者が分岐光ケーブル１０
を巻き付ける際に曲げすぎると、分岐光ケーブル１０の
曲率半径が小さくなりすぎて伝送損失上の問題を生じる
場合がある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、分岐光ケーブルの余長を収
納する際に、収納量を任意に設定でき、かつ、分岐光ケ
ーブルを曲げすぎることなく容易に収納できる架空分岐
接続函および分岐光ケーブルの余長収容方法を提供する
ことを目的とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明に
おいては、架空光ケーブルを分岐光ケーブルに分岐接続
する架空分岐接続函において、前記分岐光ケーブルの余
長収納部を函下部分に有し、前記余長収納部は櫛形溝を
有する一対の部材が対向したものであることを特徴とす
るものである。

【００１２】請求項２に記載の発明においては、請求項
１に記載の架空分岐接続函において、前記余長収納部に
収納された分岐光ケーブルが前記櫛形溝の溝方向に抜け
出るのを防止する部材を有することを特徴とするもので
ある。

【００１３】請求項３に記載の発明においては、分岐光
ケーブルの余長処理方法において、架空光ケーブルから
分岐接続された分岐光ケーブルの余長をループ状にし、
架空分岐接続函の函下に設けられた一対の凹部の間に押
し込み、自体の剛性に基づく広がり力により前記凹部の
間に保持することを特徴とするものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の実施の形態の斜
視図である。図中、図５と同様な部分には同じ符号を用
いて説明を省略する。３は余長収納部、３ａは上部櫛形
溝、３ｂは下部櫛形溝、３ｃは結合部、４はテープ、４
ａはスナップボタンである。函下面１ａには、余長収納
部３およびテープ４が取り付けられている。函下面１ａ
には、分岐光ケーブル１０を引き込む穴が開けられてい
るが図示を省略する。

【００１５】余長収納部３は、一対の上部櫛形溝３ａ，
下部櫛形溝３ｂが対向し、両者の中央部が結合部３ｃに
より結合されて一体化されたものであり、上部櫛形溝３
ａを有する部分が溝を下向にして、函下面１ａの中央部
に固定されている。溝の長手方向は、架空分岐接続函１
の長手方向に一致し、複数本の溝が架空分岐接続函１の
幅方向に平行に並んで櫛歯型の溝が形成されている。結
合部３ｃは平板状であり、溝と平行である。溝の一具体
例を示すと、１つの溝は、幅が４ｍｍ、深さが１０ｍｍ
で、これが並列して複数設けられたものである。上部櫛
形溝３ａと下部櫛形溝３ｂの溝間隔は７０ｍｍである。
この寸法の場合、分岐光ケーブルの形状にもよるが、１
つの溝に分岐光ケーブルが２〜３本入る程度である。

【００１６】一方、テープ４は、函下面１ａの長手方向
の端部寄りに設けられ、函下面１ａの幅方向の左右それ
ぞれの端部近傍から垂れ下がり、左右のテープの中間部
は、スナップボタン４ａにより留め外しできるようにな
っている。このテープ４の垂れ下がりは、余長収納部３
の上部櫛形溝３ａと下部櫛形溝３ｂの中間の高さ程度で
ある。

【００１７】小心数で細径の分岐光ケーブル１０の作業
余長をループ状にすると、余長収納部３の上部櫛形溝３
ａと下部櫛形溝３ｂの間に収納することができる。さら
に、この余長ループを横切るようにテープ４を通すと余
長ループが溝から抜け出ることを防止できる。この収納
方法を図２，図３を用いて説明する。

【００１８】図２は、分岐光ケーブルをループ状にする
方法の説明図であり、図２（Ａ）から図２（Ｄ）は、そ
の手順を説明する説明図である。１０は図５で説明した
分岐光ケーブルであり、説明を省略する。図２（Ａ）に
おいて、まず、分岐光ケーブル１０の余長をたぐり寄
せ、その下方を鉛直方向を軸として半回転分捻ると１重
のループができる。さらに捻った部分を上方に折り畳む
と図２（Ｂ）の２重ループの状態となる。次に、上下方
向から押さえつけるか、左右方向を拡げると、図２
（Ｃ）の横長の２重ループ状態となる。さらに、中央部
分を上下方向から押さえつけ、この中央部分を図１に示
された余長収納部３の側面から上部櫛形溝３ａと下部櫛
形溝３ｂの間へ押し込む。

【００１９】分岐光ケーブル１０の余長が短いときに
は、余長ループの左右の幅を狭めるように調節するか、
１重ループのまま余長収納部３に押し込む。あるいは、
図２（Ａ）において、右側の上部を左側の上部側に移動
させ、半周のループとして余長収納部３に押し込むこと
も可能である。ただし、ループの回数が大きいほど保持
が確実になる。分岐光ケーブル１０の余長が長いときに
は、余長ループの左右の幅を拡げるように調節するか、
ループの回数を増やし３重ループ以上にすることで余長
を処理できる。このような方法により、余長ループを任
意に調整して、余長量を連続的に設定することができ
る。

【００２０】図３は、分岐光ケーブルの余長が収納され
た状態の説明図である。図中、図５，図１と同様な部分
には同じ符号を用いて説明を省略する。分岐光ケーブル
１０は、鋼心等の抗張力体を有するため曲げ剛性が大き
く、分岐光ケーブル１０自体の剛性で広がる力が働くた
め、余長収納部３の上部櫛形溝３ａと下部櫛形溝３ｂの
溝間に保持される。余長ループの曲げの直径は、余長収
納部３の上下の溝間隔によって決まり、分岐光ケーブル
１０の広がり力によりこの上下の溝間隔未満の直径で保
持されることはない。

【００２１】余長収納部３には複数対の溝があるが、１
本の分岐光ケーブル１０を上下一対の溝に収納する。図
１の余長収納部３の場合には、８対の溝があるため、８
本の余長ループを独立して収納することができる。した
がって、余長ループが１本づつ収納され、別の余長ルー
プと重なったりもつれたりしない状態で余長を処理でき
る。

【００２２】既に複数本の分岐光ケーブル１０が収納さ
れていて、その中から任意の１本を取り出す必要がある
場合には、溝の方向に沿ってその分岐光ケーブル１０の
余長ループを引き出せばよい。引き出された余長ループ
を再び収納する場合には、溝に沿って押し込むか、収納
された余長ループを順次奥の方の溝に移し替え、一番外
側の溝を空けて、この溝に引き出されたものを押し込め
ばよい。

【００２３】余長収納部３の溝は一対だけでもよく、こ
の場合にも、１本の分岐光ケーブル１０を収納できる。
逆に、溝が複数対ある場合には、分岐光ケーブル１０の
ループ回数が多くなったときに、ループの重なりを離す
ために、ループの１周ごとに別の溝に移すようにしても
よい。

【００２４】また、図１に示す余長収納部１では、鉛直
方向の上下に一対の溝が配置されていたが、水平方向に
一対の溝を配置することも可能である。すなわち、溝の
長手方向は、同じく架空分岐接続函１の長手方向に一致
するが、一対の溝を架空分岐接続函１の幅方向の両端部
近傍に設け、複数対を用意する場合には、鉛直方向に櫛
歯型の溝を並べればよい。

【００２５】一方、収容されたループ状の分岐光ケーブ
ル１０は、振動などで溝の方向にずれるおそれがある。
余長ループがずれて抜け出るのを防ぐため、余長ループ
内に移動を制限するための機構を設けてもよい。テープ
４は、その一例である。

【００２６】テープ４のスナップボタン４ａを外し、余
長ループを横切るように掛け渡し、再びスナップボタン
４ａを留める。このようにして、函下面１ａとテープ４
とで余長ループを取り囲み、函下面１ａに引き留めるこ
とができる。なお、テープ４を図示右側の長手方向の端
部寄りにも設け、両側で余長ループを引き留めてもよ
い。

【００２７】図４は、余長ループを引き留める別の例の
説明図である。図中、図１と同様な部分には同じ符号を
用いて説明を省略する。２０はピンである。この例で
は、余長収納部３の結合部３ｃの中央部付近に、ねじ切
りされたピン挿入穴３ｄが設けられ、ピン２０が取り付
けられる。

【００２８】余長ループを収納した後、このピン挿入穴
３ｄにＬ字型のピン２０の水平部分をねじ込むことによ
り、ピン２０の折れ曲がり部分を上部櫛形溝３ａまたは
下部櫛形溝３ｂの一方の側面に当接させて固定する。こ
の結果、余長収納部３とＬ字型のピン２０とが余長ルー
プを横切ることによって余長ループを取り囲むから、余
長ループを引き留めることができ、余長ループがずれて
抜け出るのを防止することができる。図示の例では、ピ
ン２０およびピン挿入穴３ｄが結合部３ｃの左右の側そ
れぞれに対し個別に設けられている。なお、ネジで固定
する代わりに、嵌め込みにより固定してもよく、この場
合には、左右のピン２０を一体化することもできる。

【００２９】ピン２０の折れ曲がり部分は、上部櫛形溝
３ａまたは下部櫛形溝３ｂの一方に必ずしも当接させる
必要はなく、間隔が開いていても、あるいは、折れ曲が
り部分がなくてもよい。この場合でも、ピン２０が余長
ループを横切っていれば、余長ループが溝方向にずれて
抜け出るのを防止することができる。余長ループを収納
する以前の最初からピン２０が取り付けられていてもよ
い。

【００３０】図６を参照して説明した第２の従来例で説
明したリング４０とリング取付具４１をテープ４の代わ
りに用いることもできる。リング４０がリング取付具４
１に取り外し可能に取り付けられたものとする。最初、
リング４０を取り外しておき、余長ループを収納後、こ
のリング４０を余長ループを横切るように差し込んでか
らリング取付具４１に固定すればよい。

【００３１】上述した説明では、余長ループの中央を余
長収納部１の一対の溝に押し込んだが、架空分岐接続函
１の長手方向に沿った長さを短くした余長収納部を２個
用い、所定間隔をあけて配置し、余長ループを各余長収
納部の一対の溝に押し込み、２つの余長収納部の間に余
長ループの中央が位置するようにしてもよい。また、必
ずしもで一定幅で一定深さの溝である必要はなく、余長
ループ自体の剛性に基づく広がり力によって、余長ルー
プが保持されることができる一対の凹部があればよい。

【００３２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
１に記載の発明によれば、分岐光ケーブルの余長収納部
を函下部分に有し、余長収納部は櫛形溝を有する一対の
部材が対向したものであるから、分岐光ケーブルの曲げ
直径は余長収納部の一対の溝の間隔未満にならないこと
が保証され信頼性が高いという効果がある。また、余長
ループの長さを任意に調整して余長量を連続的に容易に
設定でき、１本の分岐光ケーブルあたり一対の溝を用い
ることもできるため、重なったりもつれたりしない状態
で余長処理できる効果がある。このため、光加入者系の
引き落とし接続函の余長収納等に用いると有用である。

【００３３】請求項２に記載の発明によれば、余長収納
部に収納された分岐光ケーブルが櫛形溝の溝方向に抜け
出るのを防止する部材を有するから、溝方向に動きやす
い分岐光ケーブルが振動などで抜け出るのを防止できる
効果がある。

【００３４】請求項３に記載の発明によれば、架空光ケ
ーブルから分岐接続された分岐光ケーブルの余長をルー
プ状にし、架空分岐接続函の函下に設けられた一対の凹
部の間に押し込み、自体の剛性に基づく広がり力により
前記凹部の間に保持するから、分岐光ケーブルの曲げ直
径は一対の凹部の間隔未満にならないことが保証され信
頼性が高いという効果がある。また、余長ループの長さ
は任意に調整できるため、余長量を連続的に設定して余
長処理できる効果がある。このため、光加入者系の引き
落とし接続函の余長収納等に用いると有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の斜視図である。

【図２】分岐光ケーブルをループ状にする方法の説明図
であり、図２（Ａ）から図２（Ｄ）は、その手順を説明
する説明図である。

【図３】分岐光ケーブルの余長が収納された状態の説明
図である。

【図４】余長ループを引き留める別の例の説明図であ
る。

【図５】分岐光ケーブルの余長処理方法の第１の従来例
の説明図である。

【図６】分岐光ケーブルの余長処理方法の第２の従来例
の説明図である。

【符号の説明】 １…架空分岐接続函、２…架空光ケーブル、３…余長収
納部、４…テープ、１０…分岐光ケーブル、２０…ピ
ン、３０…電柱、３１…引き留め具、４０…リング、４
１…リング取付具。

フロントページの続き (72)発明者 田中 茂 神奈川県横浜市栄区田谷町１番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 富永 誠 愛知県小牧市大字北外山入鹿新田1300番地 日本通信電材株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 架空光ケーブルを分岐光ケーブルに分岐
   接続する架空分岐接続函において、前記分岐光ケーブル
   の余長収納部を函下部分に有し、前記余長収納部は櫛形
   溝を有する一対の部材が対向したものであることを特徴
   とする架空分岐接続函。
2. 【請求項２】前記余長収納部に収納された分岐光ケーブ
   ルが前記櫛形溝の溝方向に抜け出るのを防止する部材を
   有することを特徴とする請求項１に記載の架空分岐接続
   函。
3. 【請求項３】架空光ケーブルから分岐接続された分岐光
   ケーブルの余長をループ状にし、架空分岐接続函の函下
   に設けられた一対の凹部の間に押し込み、自体の剛性に
   基づく広がり力により前記凹部の間に保持することを特
   徴とする分岐光ケーブルの余長処理方法。