JPH09112325A - ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置

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JPH09112325A
JPH09112325A JP8141477A JP14147796A JPH09112325A JP H09112325 A JPH09112325 A JP H09112325A JP 8141477 A JP8141477 A JP 8141477A JP 14147796 A JP14147796 A JP 14147796A JP H09112325 A JPH09112325 A JP H09112325A
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engine
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Abstract

(57)【要約】 【課題】NOX 及びスモークを同時に且つ大幅に低減さ
せると共に、安定した運転を図る。 【解決手段】燃焼室6の外周側に斜め下向きに相対向す
るように2本のサイドインジェクタ9A、9Bを配設
し、燃料噴射時期を、吸気行程の開始直後から圧縮行程
の範囲内で設定する。また、負荷の増加に伴って燃料噴
射時期を早めることで燃料量が多い場合にも均一希薄混
合気を形成する。また、エンジンのノッキングを検出す
るノックセンサを設け、ノック強度が所定値より大きい
場合には、燃料噴射時期を進角させ、ノック強度が所定
値より小さい場合には、燃料噴射時期を遅角させるよう
に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンの燃料噴射制御装置に係わり、NOX 及びスモークを
同時に且つ大幅に低減させるための技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】直接噴射式ディーゼルエンジンにおい
て、高圧噴射、小噴孔径ノズル、浅皿燃焼室および低ス
ワールを組合せる方式が知られている。これを図12に
より説明すると、1はピストン、2はシリンダ、3はシ
リンダヘッド、4はキャビティ、5は複数の噴孔を有す
るインジェクタ、6は燃焼室を示している。ピストン1
が上昇し上死点(TDC)付近に達したとき、インジェ
クタ5から噴射された燃料噴霧Fは、壁面7近傍で一気
に着火した後、火炎は燃焼室6の中心に向かって膨張す
るが、噴射の終了まで燃焼室6の中心部は不燃域として
残る。すなわち、噴霧Fは壁面7に到達するまで燃焼室
6の中心に近い不燃域側で十分に新気を巻き込みながら
進行し、壁面7側では既燃ガスを導入しながら壁面7に
衝突する二段の燃焼経路をたどる。高圧噴射の場合、噴
射時期を大幅に遅らせても火がつくため、噴射時期遅延
との組み合わせで、低圧噴射と比較すればスモーク及び
NOXの同時低減を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の高圧噴射では、噴霧内部における燃料の濃度分布が
非常に不均一であり、かつ、燃料が噴射されてから燃え
始めるまでの着火遅れ時間が短いため、燃料と空気の混
合が進まない状態で燃え始めてしまい、燃料の高濃度の
部分が燃えてスモークが生成され、希薄な部分は空気が
多いリーンな状態で燃えるが、高濃度の部分と希薄な部
分の中間に燃料と空気とが等量で燃える量論比の領域が
存在し、ここで高濃度のNOX が生成されてしまう。
【0004】この問題を解決するために、シリンダ内に
噴射された燃料の分散を促進し、量論比よりも希薄な予
混合気を形成し、これを燃焼させることが考えられ、燃
料の分散を促進する方法として噴射時期を早めて着火遅
れを長くし、この間に燃料と空気を混合させることが考
えられる。
【0005】しかしながら、上記従来の高圧噴射で燃料
の微粒化を維持しながら前記早期噴射を行うと、シリン
ダ内の圧力が低く噴霧の貫通力が強いため、噴霧がシリ
ンダ壁まで達して壁面に付着するため、燃焼効率が低下
し、また、HC(未燃炭化水素)の排出量が増大する等
の問題が発生する。むろん、NOX とスモークを同時に
且つ大幅に低減させることはできない。
【0006】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
であって、その第1の目的は、燃料を早期に筒内に直接
噴射することにより、噴霧の貫通力を弱めて壁面への付
着を防止すると共に、十分な混合時間を与えて希薄予混
合気を形成し、これを圧縮自己着火させることにより、
NOX 及びスモークを同時に且つ大幅に低減させること
ができるディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置を提供
することであり、また、本発明の第2の目的は、燃料噴
射時期を変化させた場合に生じる失火やノッキングを防
止することができるディーゼルエンジンの燃料噴射制御
装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明の請求項1記載のディーゼルエンジン
の燃料噴射制御装置は、燃焼室の外周側に斜め下向きに
相対向するように2本のサイドインジェクタを配設し、
燃料噴射時期を、吸気行程の開始直後から圧縮行程の範
囲内で設定することを特徴とし、また、請求項2記載の
発明は、エンジン負荷が大きくなる即ち燃料噴射量が増
大するに伴って着火までの混合気形成時間を多くするた
めに燃料噴射時期を早めることを特徴とするものであ
り、また、上記第2の目的を達成するために請求項3記
載の発明は、請求項1記載の発明において、エンジンの
ノッキングを検出するノックセンサを設け、ノック強度
が所定値より大きい場合には、燃料噴射時期を進角さ
せ、ノック強度が所定値より小さい場合には、燃料噴射
時期を遅角させるように設定することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図1〜図8は、本発明のディー
ゼルエンジンの燃料噴射制御装置の1実施形態を説明す
るための図である。
【0009】図1は、本発明において使用するディーゼ
ルエンジンの例を示し、図1(A)は平面図、図1
(B)は断面図である。シリンダ2内にはピストン1が
摺動自在に嵌合され、シリンダ2の上部にはシリンダヘ
ッド3が固定されている。ピストン1の頂部には窪み状
のキャビティ4が形成され、シリンダ2、シリンダヘッ
ド3及びキャビティ4で囲まれる空間に燃焼室6が形成
されている。シリンダヘッド3には、燃焼室6の外周側
に斜め下向きに相対向するように2本のサイドインジェ
クタ9A、9Bが配設されている。
【0010】サイドインジェクタ9A、9Bは、図示し
ない給排気弁との干渉しない範囲で垂直線から外側に傾
斜(例えば31゜)し、噴霧がシリンダ2の中心部の位
置Pに向かうように配設している。サイドインジェクタ
9A、9Bの噴孔はサイドインジェクタ9A、9Bの軸
を対称として2本とし、平面視での2本の噴霧Fの中心
角度をα=30゜、垂直面視での水平線からの噴霧Fの
中心角度をβ=30゜としている。なお、噴孔の数及び
α、βの値はこれに限定されるものではない。
【0011】次に、本発明における燃料噴射制御につい
て説明する。図2は制御系の例を示す構成図である。エ
ンジン負荷を検出する負荷センサ11、エンジン回転数
を検出する回転数センサ12、ピストン1の上死点に対
する位置を検出するクランク角度検出センサ13の信号
は制御装置14に入力される。制御装置14において
は、燃料噴射量設定手段15で負荷及びエンジン回転数
に基づいて燃料噴射量が設定される。同時に、燃料噴射
時期設定手段16において、負荷及びエンジン回転数に
基づいて燃料噴射時期が設定される。燃料噴射量及び燃
料噴射時期とも負荷及びエンジン回転数に基づいた設定
値がマップとして制御装置14のメモリに記憶されてお
り、これに基づいて設定される。次に、信号出力手段1
7において、設定された燃料噴射時期にクランク角度検
出信号が一致すると、サイドインジェクタ9A、9B用
のソレノイド18、19に信号が出力され、設定された
燃料噴射量に対応する噴射期間の間、燃料が燃焼室6内
に噴射される。
【0012】図3は前記制御装置のメモリに記憶される
制御用データの例を示し、エンジン回転数及びエンジン
負荷に基づいて燃料噴射時期を設定するに際し、負荷及
びエンジン回転数が大きくなるに従い噴射時期を早める
ように設定する。なお、燃料噴射量については周知のデ
ータを使用する。
【0013】上記構成からなるディーゼルエンジン及び
制御装置を用い、従来よりかなり早い時期に燃料を噴射
する希薄予混合ディーゼル燃焼(Premixed Lean Diesel
Combustion ,以下、PREDICという)についての試験結
果について説明する。従来例と本発明のPREDICのエンジ
ン仕様や試験条件を表1に示す。従来例は、上死点近傍
で燃焼室内に燃料を噴射する通常の方法であるのに対し
て、PREDICではかなり早い時期に2本のサイドインジェ
クタ9A、9Bからシリンダ2の中心部に燃料を噴射す
る方法をとっている。
【0014】
【表1】
【0015】エンジン試験を実施する前に、従来例とPR
EDICの噴霧液滴の分散状況をシミュレーション計算で予
測した。図4及び図5は計算結果を示し、それぞれ図
(A)は断面図、図(B)は平面図である。
【0016】図4の従来例は、3゜ATDCで燃料を噴射し
8゜ATDCでの噴霧液滴の分散状況を示し、噴射開始から
着火までの時間が短いため燃料の分散が悪く、不均一な
分布である。図5のPREDICは、−78゜ATDCで燃料を噴
射し−64゜ATDCでの噴霧液滴の分散状況を示し、2本
のサイドインジェクタから噴射された燃料噴霧がシリン
ダ内に広く分散し、従来例と比較して均一性が高く希薄
化した予混合気が形成されることが判る。
【0017】図6及び図7は、従来例とPREDICの試験結
果の一例を示し、図6は、エンジン回転数1000rp
mにおけるエンジン性能(燃費率I.S.F.C. g/kWh)と各
種排出物の特性を示している。図中、●印は空気過剰率
λ=2.7での従来例を示し、□印、△印、▽印、◇印
は、PREDICにおいて空気過剰率λ=2.5、2.7、
3.1、3.7と変化させた場合を示している。なお、
空気過剰率λは、 λ=K×(吸入空気重量/燃料噴射量) で定義され、ここで、Kは、ある燃料が完全燃焼するた
めに必要な燃料と空気の比率を示している。ディーゼル
エンジンではエンジン回転数が一定であれば吸入空気重
量は一定であるから、燃料噴射量(エンジン回転数及び
負荷で決まる)に対して空気過剰率λは一義的に定まる
ことになる(通常のディーゼルではλ>1.3)。
【0018】従来例の場合は、上死点近傍で燃焼噴射時
期を遅延すると、NOX 濃度が低下するが限界があり、
さらに遅延すると増加する。これに対してPREDICでは、
例えばλ=2.7の運転条件で上死点前80゜付近で燃
料を噴射すると、希薄予混合気の圧縮自己着火によって
エンジンを運転することができ、この時のNOX 濃度は
約20ppm と従来例の最低値の1/10以下と大幅に低
減させることができる。燃料噴射時期をこれよりも早く
すると、燃料が分散しすぎて薄くなり着火しにくく失火
するため正常な運転ができず、燃料噴射時期を遅くする
と(θ=−64゜ATDC)、NOX 濃度は増加し従来例の
1/2程度のレベルまで増加し、ここまで遅角するとノ
ッキングが激しくなりこれ以上噴射時期を遅くすること
はできなかった。燃料噴射量を減少しても(λ=3.
1、3.7)、NOX 濃度は同様の傾向を示し、大幅な
低減が可能になる。噴射量を増加した場合(λ=2.
5)は、失火とノッキング発生の噴射時期が近づき狭い
範囲でしか運転できないが、NOX 濃度は同様に大幅な
低減が可能となる。
【0019】このように大幅なNOX 濃度の低減が得ら
れる場合に、PREDICにおけるスモーク(BSU)は従来
例のレベルとほぼ同等であり、また、燃費率(I.S.F.
C.)もほぼ同等、もしくは最大で15%程度の増加にす
ぎない。一方、トータルハイドロカーボン(THC)及
びCO濃度は大幅に増加して2000〜5000ppm 程
度となるが、このレベルはガソリンエンジンと同等であ
り、通常の酸化触媒で低減させれば問題にはならない。
【0020】図6の中で↓印を付けた、従来例とλ=
2.7で噴射時期の異なる2つのPREDICについて、イン
ジェクタのニードルリフト、熱発生率(R.O.H.R. kJ/de
g)、平均ガス温度、シリンダ内圧力を図7に示す。従
来例の熱発生率は、初期燃焼とその後の拡散燃焼からな
り、通常のディーゼル燃焼のパターンを示している。
【0021】図7で太線に示す噴射時期の早いPREDIC
(θ=−78゜ATDC)の方が着火は遅く、上死点の直後
で燃焼を開始する。この場合の熱発生率の立ち上がりは
比較的ゆるやかで、左右対称に近い一山形状となり、平
均ガス温度は従来例とほぼ同等であるが、NOX 濃度は
約20ppm と大幅に低下している。これに対して点線で
示す噴射時期の遅いPREDIC(θ=−64゜ATDC)は着火
が早く、上死点の直前で燃焼を開始する。この場合の熱
発生率の立ち上がりは急で燃焼時間は短く、平均ガス温
度は高くなっている。しかし、NOX 濃度はそれほど高
くなく従来型の約40%減となっている。
【0022】図6の試験結果から、空気過剰率λに対し
て、NOX を大幅に低減させることができる燃料噴射時
期を設定することができ、少なくとも、空気過剰率λ>
2.5、燃料噴射時期θinj をクランク角度−125゜
〜−20゜ATDCの範囲で設定すれば、NOX 及びスモー
クを同時に且つ大幅に低減させることができる。図8
は、一例としてエンジン回転数1,000rpmで、N
X 濃度を約20ppmにするための空気過剰率と燃料
噴射時期との関係を示す図であり、空気過剰率λに応じ
た燃料噴射時期θinj がピストンの上死点後のクランク
角度で示され、空気過剰率が小さくなる(負荷が大きく
なる)に従い燃料噴射時期を早めることを示している。
【0023】図6及び図8は、エンジン回転数1000
rpmでの試験結果を示し、高負荷運転(燃料量の多い
運転条件)では燃料噴射時期を早める必要がある。しか
し、図8から分かるように高負荷では急速に進角度を増
加させなければならず、このため下死点(上死点前18
0゜)をさらに越えて、吸気行程の上死点(上死点前3
60゜)近くまで噴射時期を早める必要が出てくる。
【0024】また、エンジン回転数を大きくすると、噴
射された燃料が空気と混合するのに相対的に長いクラン
ク角度が必要になり(燃料噴霧が空気と混合するのにか
かる実時間は低速でも高速でもあまり変わらないた
め)、それだけ早い時期に噴射を行う必要があり、下死
点(上死点前180゜)をさらに越えて、吸気行程の上
死点(上死点前360゜)近くまで噴射時期を早める必
要が出てくる。
【0025】早く噴射すればするほど燃焼条件(温度、
圧力)が整う燃焼上死点(いわゆる上死点)に至るまで
の時間が長く、それだけ噴射された燃料が空気と混合し
て均一な混合気を作るのに有利になる。ただし、上死点
前360゜を越えて大きくすることはエンジンのサイク
ル上無理である。従って、燃料噴射時期を、吸気行程の
開始直後(例えば上死点前350゜)から圧縮行程の範
囲内で、エンジン回転数及び負荷に応じて、NOX 濃度
を低減させるための燃料噴射時期を設定し(例えば図
3)、その設定値をマップとして制御装置14のメモリ
に記憶することになる。
【0026】本発明においては、2本のサイドインジェ
クタからの噴霧を、シリンダ中心部で相互に衝突させる
場合と、ピストンに衝突させる場合がある。いずれの場
合も、温度の低いシリンダ壁への噴霧の付着を防止する
ものであるが、比較的温度の高いピストンへの衝突はあ
る程度許容している。すなわち、燃料噴射時期を吸気行
程の開始直後にした場合には、ピストンが上死点近くに
あって噴霧はピストンに衝突するが、その後、吸気行
程、圧縮行程の長い時間を経て燃焼に至るので、ピスト
ンに一旦衝突しても蒸発、混合が進むことになる。ま
た、圧縮行程後期の噴射でも、ピストンが上死点に近づ
き噴霧はピストンに衝突するが、この噴射タイミングと
なる場合(燃料噴射時期が遅い条件)は低負荷で燃料噴
射量が少ない条件下のため、シリンダ内の高温、高圧条
件によって噴霧がピストンに衝突しても蒸発は比較的良
好に行われることになる。
【0027】以上の試験結果からPREDICの混合気形成や
燃焼特性を考えると、燃料噴射時期が遅い場合にはノッ
キングが発生することから、局所的に量論比に近い燃料
濃度の領域が残っており、この部分で高い濃度のNOX
が生成されていると推定される。これに対して噴射時期
を早めることにより混合が促進され、希薄化して量論比
の領域が殆どなくなり、NOX が生成される領域も少な
くなるために、大幅なNOX 低減が得られたと推定でき
る。さらに噴射時期を早めると、希薄化しすぎて自己着
火しなくなり失火してエンジンの運転ができなくなるも
のと考えられる。
【0028】図9〜図11は、本発明のディーゼルエン
ジンの燃料噴射制御装置の他の実施形態を説明するため
の図であり、図9は燃料噴射タイミングとノック強度及
びNOX 濃度の関係を示す図、図10は制御装置の構成
図、図11は制御における処理の流れを示す図である。
なお、図10において図2と同一の構成については同一
番号を付けて説明を省略する。
【0029】前述したように、PREDICにおいては、負荷
(燃料噴射量)に対する燃料噴射タイミングが重要で、
ある負荷のときに適切な噴射期間内にあれば低NOX
燃焼の安定性が両立するが、噴射時期を進ませ過ぎると
混合気が希薄になりすぎて失火を起こし、逆に遅らせ過
ぎると濃混合気が多く存在するため、ノッキングが発生
し同時にNOX が増加する(図9参照)。なお、図9の
Hは、許容されるノック強度の上限値であり、ILは、
許容されるノック強度の下限値を示している。
【0030】そこで、本実施形態においては、図10に
示すように、エンジンブロックにノックセンサ20を装
着し、ノッキングによるエンジンの振動を検出し、ノッ
クセンサ20により検出したノッキングの強度(以下、
ノック強度Inという)に基づいて燃料噴射時期を設定
するようにする。すなわち、図11に示すように、ノッ
ク強度Inを検出し、ノック強度Inが所定値IH(許容
されるノック強度の上限値)より大きい場合には、燃料
噴射タイミングを進角させ、ノック強度Inが所定値IL
(許容されるノック強度の下限値)より小さい場合に
は、燃料噴射タイミングを遅角させるように設定し、燃
料噴射時期をノッキングが発生し始めるタイミングにコ
ントロールするものである。これによって燃料噴射タイ
ミングは図9中の制御範囲内に制御される。
【0031】図9に示すように、ノッキングが発生し始
める噴射タイミングは、NOX はまだ低レベルにあり、
ノッキングが大きくなるに従いNOX のレベルは高くな
るので、NOX が十分に低いノック強度がまだ相対的に
小さい時期をねらう。従って、確実に着火できるタイミ
ングに噴射時期を制御するので、安定した運転状況と比
較的低レベルのNOX 特性を両立させることができる。
この領域は、失火域に対して余裕のある領域であり、出
力低下の問題はない。また、噴射時期固定の場合には、
低温時等で円滑な運転ができないが、本方式によれば、
油温、水温が低い未暖機状態でも円滑な運転と低NOX
が可能である。また、燃料性状が変化して着火性が変わ
った場合等にも正常な運転が可能となる。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の1実施形態によれば、燃焼室の外周側に斜め下向きに
相対向するように2本のサイドインジェクタを配設し、
従来よりかなり早い時期に燃料を噴射することにより、
噴霧の貫通力を弱めて壁面への付着を防止すると共に、
十分な混合時間を与えて希薄予混合気を形成し、これを
圧縮自己着火させることにより、NOX 及びスモークを
同時に且つ大幅に低減させることができる。
【0033】また、本発明の他の実施形態によれば、噴
射時期を進ませ過ぎる場合に生じる失火や、遅らせ過ぎ
る場合に生じるノッキングを防止し安定した運転を行う
ことができると共に、NOX の増加を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用するディーゼルエンジンの
例を示し、図1(A)は平面図、図1(B)は断面図で
ある。
【図2】本発明の1実施形態を示す燃料噴射制御装置の
構成図である。
【図3】本発明の制御装置のメモリに記憶される制御用
データの例を示す図である。
【図4】従来例の噴霧液滴の分散状況をシミュレーショ
ン計算で予測した結果を示し、図(A)は断面図、図
(B)は平面図である。
【図5】本発明の噴霧液滴の分散状況をシミュレーショ
ン計算で予測した結果を示し、図(A)は断面図、図
(B)は平面図である。
【図6】従来例と本発明の試験結果を示し、エンジン性
能と各種排出物の特性を示す図である。
【図7】従来例と本発明について、熱発生率、平均ガス
温度、シリンダ内圧力を説明するための図である。
【図8】空気過剰率と燃料噴射時期との関係を示す図で
ある。
【図9】燃料噴射タイミングとノック強度及びNOX
度の関係を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態を示す燃料噴射制御装
置の構成図である。
【図11】図10の制御装置における処理の流れを示す
図である。
【図12】従来の高圧噴射方式のディーゼルエンジンを
説明するための図であり、図12(A)は平面図、図1
2(B)は断面図である。
【符号の説明】
1…ピストン、2…ピストン、3…シリンダヘッド、6
…燃焼室 9A、9B…サイドインジェクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 41/04 385 F02D 41/04 385J F02M 61/14 310 F02M 61/14 310U 310A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃焼室の外周側に斜め下向きに相対向する
    ように2本のサイドインジェクタを配設し、燃料噴射時
    期を、吸気行程の開始直後から圧縮行程の範囲内で設定
    することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射制
    御装置。
  2. 【請求項2】負荷が大きくなるに従い燃料噴射時期を早
    めることを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジ
    ンの燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】エンジンのノッキングを検出するノックセ
    ンサを設け、ノック強度が所定値より大きい場合には、
    燃料噴射時期を進角させ、ノック強度が所定値より小さ
    い場合には、燃料噴射時期を遅角させるように設定する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のディーゼ
    ルエンジンの燃料噴射制御装置。
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