JPH09111497A - 電解めっき方法及び電解めっき装置 - Google Patents

電解めっき方法及び電解めっき装置

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JPH09111497A
JPH09111497A JP26321395A JP26321395A JPH09111497A JP H09111497 A JPH09111497 A JP H09111497A JP 26321395 A JP26321395 A JP 26321395A JP 26321395 A JP26321395 A JP 26321395A JP H09111497 A JPH09111497 A JP H09111497A
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JP
Japan
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plated
plating
copper plate
cathode
electrolytic plating
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JP26321395A
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English (en)
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浩二 ▲高▼橋
Koji Takahashi
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一でムラのないめっき膜を確実に形成する
ことができる電解めっき方法を提供すること。 【解決手段】 電解めっき液中に一対のアノード5を設
ける。アノード5の中間地点に、板状の被めっき物であ
る銅板2を立てた状態で配置する。その銅板2と両アノ
ード5との距離をほぼ一定に保ちながら、銅板2を搬送
方向に沿って搬送する。その際、銅板2に対してカソー
ド5が接触する位置を変更しつつ通電を行う。その結
果、銅板2にめっきが均一に析出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板状の被めっき物
にめっき膜を形成するための電解めっき方法及びそのた
めの電解めっき装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板に搭載されたLSIチッ
プ等は、通電時に大きな熱を発生する。このような熱は
LSIチップの誤動作や破壊の原因となることから、何
らかの放熱対策を講じておくことがよいことは言うまで
もない。そのため、従来においては、プリント配線板に
ヒートスラグを取り付け、そのヒートスラグ上にLSI
チップを搭載するという構造が採られている。ここで、
一般的なヒートスラグとしては、例えば銅板の外表面全
体に電解ニッケルめっき膜を形成したものが知られてい
る。以下、このような場合に使用される従来の電解めっ
き装置を、図8(a)〜図8(c)に基づいて説明す
る。
【0003】図8(a)に示される第1の装置は、いわ
ゆるカゴめっき装置51である。この装置51では、複
数枚の銅板52を電解めっき液内に保持するための手段
として、金網製のカゴ53が使用される。カソードを兼
ねるこのカゴ53は、一対のアノード54間において揺
動可能に設けられる。そして、このカゴ53とアノード
54との間に直流電流を通電することにより、銅板52
にめっきが施されるようになっている。
【0004】図8(b)に示される第2の装置は、いわ
ゆるバレルめっき装置55である。この装置55では、
複数枚の銅板52を電解めっき液内に保持するための手
段として、バレル56が使用される。このバレル56
は、電解めっき液を内部に流通させるための多数の貫通
孔57を備えた中空六角柱状の金属製部材である。な
お、バレル56内には図示しないカソードが設けられて
いる。このバレル56は一対のアノード54間において
回転可能に設けられる。そして、このバレル56とアノ
ード54との間に直流電流を通電することにより、銅板
52にめっきが施されるようになっている。
【0005】図8(c)に示される第3の装置は、いわ
ゆる引っ掛けめっき装置58である。この装置58で
は、前二者とは異なり、複数枚の銅板52を電解めっき
液内に保持するための手段として、引っ掛けまたはラッ
クと呼ばれる金属製の治具59が使用される。この治具
59は、銅板52を挟持するための一対の固定用ピン6
0を多数個備えている。カソードを兼ねるこの治具59
は、一対のアノード54間に設けられる。そして、この
治具59とアノード54との間に直流電流を通電するこ
とにより、銅板52にめっきが施されるようになってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の電解めっき装置51,55,58には、次のような
いくつかの問題があった。
【0007】カゴ53の揺動を行う第1の装置51で
は、カゴ53の内壁面に銅板52が衝突したり、銅板5
2同士が衝突したりすることが避けられない。このた
め、特に銅板52の表裏面のめっき膜に傷が付いたり、
擦れによってめっき膜に部分的なてかり(光沢)が発生
しやすい。従って、均一なめっき膜を得ることができな
かった。なお、バレル56の回転を行う第2の装置55
についても同種の問題が起こっていた。
【0008】また、第1の装置51や第2の装置55で
は、カゴ53やバレル56自体が金属製であることか
ら、それらにめっきが付着してしまう場合がある。よっ
て、付着しためっき膜を定期的に剥離する必要があり、
器具の保守作業が面倒であった。そして、このことが生
産性を低下させる一つの原因となっていた。
【0009】さらに、第1の装置51や第2の装置55
では、アノード54とカソードとの間の距離が絶えず変
化するため、製品の品質にばらつきが生じやすかった。
第3の装置58では、固定用ピン60に銅板52を取り
付けたり、それを取り外したりする作業が極めて煩雑で
あった。しかも、従来においては前記作業を人手に頼っ
ていたため、生産性に劣っていた。
【0010】また、第3の装置58では、給電部である
固定用ピン60に対して常時接触している部分に、めっ
きムラ、焼け、めっき未着が発生しやすかった。さら
に、固定用ピン60は強度的に弱く、壊れやすかった。
加えて、このような固定用ピン60の構成の場合、銅板
52のサイズが変わると、銅板52の挟持が不可能にな
ったり、銅板52が落下しやすくなるという問題があっ
た。
【0011】本発明は上記の課題を解決するためなされ
たものであり、その第1の目的は、均一でムラのないめ
っき膜を確実に得ることができるとともに、生産性の向
上を図ることができる電解めっき方法及びそのための電
解めっき装置を提供することにある。本発明の第2の目
的は、器具の保守が容易な電解めっき装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、電解めっき液中に設け
られたアノードに被めっき物を対向配置するとともに、
前記被めっき物を搬送しながら、前記被めっき物にめっ
き膜を形成する電解めっき方法であって、前記被めっき
物の搬送時にカソードの接触位置の変更を行いながら通
電を行う電解めっき方法をその要旨とする。
【0013】請求項2に記載の発明は、電解めっき液が
満たされるめっき槽と、前記めっき槽内に配置されたア
ノードと、被めっき物における複数の箇所に対して接離
可能に設けられたカソードと、前記被めっき物を所定方
向に搬送する搬送手段とからなり、前記被めっき物を搬
送しつつ通電を行う電解めっき装置をその要旨とする。
【0014】請求項3に記載の発明では、請求項2にお
いて、前記カソードは複数個であり、それらのカソード
は被めっき物の搬送経路の上方に設けられた支持体に対
して揺動可能に設けられているものとした。
【0015】請求項4に記載の発明では、請求項2また
は3において、前記被めっき物を搬送時にガイドするガ
イド溝を前記搬送経路に沿って設けた。請求項5に記載
の発明では、請求項2または3において、前記被めっき
物を搬送時にガイドする2本の波状ガイド線を前記搬送
経路に沿って設けた。
【0016】請求項6に記載の発明では、請求項2乃至
5のいずれか1項において、前記搬送手段は前記被めっ
き物を水平方向に搬送するネットコンベアであるとし
た。以下、本発明の「作用」を説明する。
【0017】請求項1〜6に記載の発明によると、カソ
ードの接触位置の変更を行いながら通電が行われるた
め、被めっき物の特定部分に常時カソードが接触すると
いうことがない。このため、当該部分におけるめっきム
ラ、焼け、めっき未着が防止される。
【0018】請求項3に記載の発明によると、揺動する
複数個のカソードが被めっき物における異なる箇所に接
触し、その箇所から通電が行われる。請求項4,5に記
載の発明によると、ガイド溝または波状ガイド線によっ
て被めっき物がガイドされることによって、被めっき物
がスムーズに搬送され、かつ被めっき物を立設した状態
に保つことができる。
【0019】請求項6に記載の発明によると、コンベア
面に接触している部分に対しても確実にめっき液が行き
渡るため、その部分にも均一にめっきが形成される。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕以下、本発明を電解めっき方法及び
そのための電解めっき装置に具体化した一実施の形態を
図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0021】この電解めっき装置1は、例えばプリント
配線板用のヒートスラグとなる正方形状の銅板2に対し
て、電解ニッケルめっき膜を形成するため等に使用され
る。図1に示されるように、この電解めっき装置1は、
大まかにいって、めっき液回収槽3、めっき槽4、一対
のアノード5、複数のカソード6、板状の被めっき物で
ある銅板2を搬送する搬送手段としてのネットコンベア
7等によって構成されている。以下、それらの部分の構
成等について説明する。
【0022】図1に示されるめっき液回収槽3は、めっ
き槽4の上面4a、搬出側端面4b及び搬入側端面から
溢れ出る電解ニッケルめっき液を回収・循環するための
細長い容器である。従って、このめっき液回収槽3内
は、めっき槽4を包囲するように配設されている。めっ
き液回収槽3における搬出側の底面には、溢れ出た電解
ニッケルめっき液を回収するための回収口12が設けら
れている。この回収口12には配管13が接続されてい
る。この配管13の途上には、めっき液循環手段として
のポンプ14が設けられている。そして、このポンプ1
4によって電解ニッケルめっき液が再びめっき槽3内に
戻されることにより、電解ニッケルめっき液の再利用、
及びアノード5と銅板2の間に新しいめっき液が供給さ
れ、めっきの高速化が図られるようになっている。
【0023】めっき槽4は、電解ニッケルめっき液を満
たしておくための細長い容器である。本実施形態では、
前記めっき槽4の材質として、電解ニッケルめっき液に
不溶でかつめっき膜が付着しない耐熱塩化ビニルが選択
されている。なお、電解ニッケルめっき液としては一般
的な組成のもの、例えば無光沢ニッケルめっき浴、ワッ
ト浴、スルファミン酸浴、ウッドストライク浴、イマー
ジョンニッケル浴等が使用される。これらの浴は、通
常、ニッケルイオン源、アノード溶解剤、pH緩衝剤、
表面状態や内部応力に変化を与える添加剤等を含んでい
る。
【0024】このめっき槽4の上面4aには、その長手
方向に沿って延びる細長いスリット15が形成されてい
る。また、めっき槽4の搬出側端面4b及び搬入側端面
には、それぞれ逆T字状の開口部16が形成されてい
る。図1,図3に示されるように、めっき槽4の内壁面
には、長尺板状をした一対のアノード5が所定間隔を隔
てて対向配置されている。このようなアノード5として
は、例えば高純度の電解ニッケル板、S含有ニッケル
板、白金板、白金めっきが施されたチタニウム板等が使
用される。そして、これらのアノード5は、めっき槽4
の外部にある図示しない直流電源のプラス端子側に電気
的に接続されている。
【0025】前記めっき槽4内の底部には、銅板2をめ
っき槽4の長手方向に沿って水平にかつ直線的に搬送す
るネットコンベア7が搬送手段として設けられている。
このネットコンベア7の両端は、搬出側端面4b及び搬
入側端面の開口部16からそれぞれ突出している。
【0026】ネットコンベア7は、無端状のネット17
と、そのネット17が巻回される一対のロール18と、
図示しない駆動手段及び制御手段とによって構成されて
いる。前記ネット17は、電解ニッケルめっきが付着し
ない樹脂材料によって形成されている。このネット17
の外面側には、銅板2の一部に係合する樹脂製の滑り止
め突起19が一定間隔毎に設けられている。なお、この
滑り止め突起19の設置間隔は、被めっき物である銅板
2の一辺の長さよりもいくぶん長めに設定されている。
従って、個々の銅板2は、隣接する2つの滑り止め突起
19間に配置される。なお、各滑り止め突起19の高さ
は、銅板2の一辺の長さの数分の1程度に設定されてい
る。
【0027】ネット17が巻回されている一対の樹脂製
のロール18には、駆動手段からの駆動力が伝達され
る。ロール18がこの駆動力によって回転する結果、ネ
ット17の上面が搬入側から搬出側へと移動する。な
お、制御手段は、移動・停止を周期的に繰り返す、いわ
ゆるステップ送りを前記ネットコンベア7に行わせる。
【0028】ネット17の上面と下面との間の空間に
は、一定の間隔毎に樹脂製のめっき液噴射管20が挿通
されている。これらのめっき液噴射管20の上面には、
多数の噴射孔21が形成されている。また、各めっき液
噴射管20は前記配管13に接続されている。従って、
ポンプ14から圧送されてくる電解ニッケルめっき液
は、各噴出孔21を介してめっき槽4内に噴出する。な
お、電解ニッケルめっき液は、図3に示されるように上
方に向かって噴出する。なお、図1,図3の矢印A1
は、電解ニッケルめっき液の流れる方向を概略的に示し
ている。
【0029】図1,図2に示されるように、スリット1
5の部分には、銅板2をガイドするための2本の波状ガ
イド線22が平行にかつ長手方向に沿って延びるように
設けられている。従って、これらにガイドされた銅板2
は、両アノード5との距離をほぼ一定に保ちつつ移動す
ることができる。また、前記2本の波状ガイド線22
は、それぞれの山部と谷部とが互い違いになるように配
置されている。
【0030】両波状ガイド線22は、電解ニッケルめっ
きが付着しにくく、かつ電解ニッケルめっき膜よりも軟
質の材料によって形成されている。本実施形態では、こ
のような材料として耐熱塩化ビニル等に代表される樹脂
が採用されている。両波状ガイド線22間には、銅板2
の厚さと同程度のクリアランスが設けられている。従っ
て、そのクリアランス内には、複数枚の銅板2が1列に
収容されるようになっている。このとき、銅板2の表裏
面が波状ガイド線22に接触することにより、その銅板
2が波状ガイド線22によって挟持される。従って、搬
送経路上を銅板2が移動する場合、銅板2は両アノード
5のほぼ中間地点において立設状態を維持することにな
る。
【0031】図3に示されるように、めっき液回収槽3
の上部には、カソード6を支持するための支持体23が
何本か架設されている。搬送経路の上方に設けられたこ
れらの支持体23の中央部、即ちスリット15の直上の
位置には、複数のカソード6が上下動可能かつ水平動不
能に取り付けられている。これらのカソード6は、非金
属製(セラミックやスポンジ等)のバネ構造6aを中腹
部に備えている。また、前記各カソード6の下端部はそ
の下動時に銅板2の一部に接触し、上動時に銅板2の一
部から離れるようになっている。各カソード6は、めっ
き槽4の外部にある図示しない直流電源のマイナス端子
側に支持体23を介して電気的に接続されている。な
お、これらのカソード6は、上述したネットコンベア7
のステップ送りに同期して上下動する。
【0032】次に、このように構成された電解めっき装
置1の使用方法について説明する。まず、めっき槽4を
電解ニッケルめっき液で満たすとともに、ポンプ14を
駆動させることにより電解ニッケルめっき液を循環させ
る。そして、両アノード5及びカソード6への通電を開
始し、かつネットコンベア7を駆動状態にする。次い
で、めっき槽4の搬入端面側からスリット15内に銅板
2を連続的に投入する。すると、銅板2は一対の波状ガ
イド線22によって立設状態に保持される。この場合、
めっき槽4内への銅板2の投入は、人手によって行われ
てもよく、図示しない銅板把持搬送装置等によって機械
的にかつ自動的に行われてもよい。
【0033】ネット17上に置かれた銅板2は、滑り止
め突起19によって後方から押圧されることにより、搬
出側端面4bの方向に向かって前進する。なお、この場
合、滑り止め突起19が係合する面は、銅板2の対峙す
る二面(即ち、表面及び裏面)以外の面(即ち、4つあ
る側面のうちの1つの面)である。具体的にいうと、そ
の面は非進行方向側を向いている側面である。搬送され
る銅板2の一部(具体的には、上方を向いている側面)
には、カソード6の下端部が接触する。その結果、銅板
2への通電が始まり、銅板2の外表面全体にニッケルめ
っきが析出する。この後、銅板2は搬出側端面4bから
めっき槽4の外部に順次搬出される。
【0034】さて、本実施形態の電解めっき方法では、
銅板2の搬送時に各カソード6の接触位置の変更を行い
ながら通電が行われる。次に、この方法を図4に基づき
より詳細に説明する。図4(a)〜図4(d)には、3
枚の銅板2が連続的に搬送されているときの様子が示さ
れている。説明の便宜上、進行方向側から順に2A、2
B,2Cという番号を銅板に付す。また、搬送経路上に
は4つのカソード6A,6B,6C,6Dがそれぞれ配
設されている。なお、上側を向いている銅板2の一側面
において後にカソード6が接触する位置を、進行方向側
から順にP1 ,P2 ,P3 ,P4 と定義する。
【0035】上述したネットコンベア7のステップ送り
によって各銅板2A〜2Cが所定量だけ搬送された図4
(a)の状態では、銅板2Aの上方にカソード6Bが、
銅板2Bの上方にカソード6Cが、銅板2Cの上方にカ
ソード6Dがそれぞれ位置している。なお、6Aの下方
にはまだ銅板2A〜2Cが搬送されておらず、各カソー
ド6B〜6Dと各銅板2A〜2Cとは非接触状態にあ
る。
【0036】ここで、各カソード6A〜6Dが下動し、
6Aを除く3つのカソード6B〜6Dが各銅板2A〜2
Cに接触する。なお、この場合には、カソード6Bは銅
板2Aにおける位置P2 に、カソード6Cは銅板2Bに
おける位置P3 に、カソード6Dは銅板2Cにおける位
置P4 にそれぞれ接触する。その結果、各々の位置P2
〜P4 を介して銅板2A〜2Cへの通電が開始される。
【0037】所定時間通電が行われた後、各カソード6
A〜6Dが上動するとともに、各銅板2A〜2Cがステ
ップ送りによって次の通電位置まで搬送される(図4
(c) 参照)。このとき、銅板2Aの上方にカソード6A
が、銅板2Bの上方にカソード6Bが、銅板2Cの上方
にカソード6Cがそれぞれ位置するようになる。
【0038】ここで、各カソード6A〜6Dが再び下動
し、6Dを除くカソード6A〜6Cが各銅板2A〜2C
に接触する。なお、この場合には、カソード6Aは銅板
2Aにおける位置P1 に、カソード6Bは銅板2Bにお
ける位置P2 に、カソード6Cは銅板2Cにおける位置
P3 にそれぞれ接触する。すると、銅板2Aでは、今ま
で接触していた位置P2 とは異なる位置P1 から通電が
開始される。同様に、銅板2Bでは今まで接触していた
位置P3 とは異なる位置P2 から、銅板2Cにでは今ま
で接触していた位置P4 とは異なる位置P3 から通電が
開始される。カソード接触位置P1 〜P4 の変更は、以
上のようにして行われる。
【0039】さて、以下に本実施形態において示した電
解めっき方法及び電解めっき装置1の特徴を列挙する。 (イ)この方法及び装置1では、電解ニッケルめっき液
中に設けられた一対のアノード5の中間地点に銅板2を
立てた状態で配置するとともに、その銅板2と両アノー
ド5との距離をほぼ一定に保ちながら銅板2を搬送す
る。この場合、カソード6が銅板2に接触する位置の変
更を行いながら通電を行う。
【0040】このため、給電部分であるカソード6が、
銅板2の特定部分に常時接触した状態になることがな
い。従って、固定用ピンを備えた治具を用いる引っ掛け
めっき装置において問題とされていた、めっきムラ、焼
け、めっき未着発生が確実に回避される。よって、得ら
れるめっき膜も均一で外観に優れたものとなる。さら
に、固定用ピンを持たないこの電解めっき装置1の構成
であると、引っ掛けめっき装置に比べて壊れにくくなる
という利点が得られる。また、引っ掛けめっき装置の場
合に問題となっていた、銅板2の脱落も解消される。さ
らに、治具への取り付け・取り外し作業が不要になる分
だけ、確実に生産性の向上が図られる。
【0041】(ロ)また、この電解めっき装置1による
と、搬送手段であるネットコンベア7により銅板2が搬
送される際、その銅板2は一対の波状ガイド線22によ
って挟持される。そのため、両アノード5のほぼ中間地
点において銅板2が立設した状態に維持され、この状態
で搬送・通電が行われる。よって、銅板2の表裏面に形
成されるめっき膜の厚さが等しくなる。しかも、銅板2
毎の電極間距離は等しくなることから、めっき膜の厚さ
のばらつきが極めて少なくなる。よって、品質の安定し
たヒートスラグを製造することができる。なお、波状ガ
イド線22には軟質な材料が使用されているため、波状
ガイド線22が銅板2の表裏面に接触したとしても、め
っき膜を傷付けてしまうことがない。
【0042】(ハ)この電解めっき装置1では、めっき
槽4内に銅板2が1枚ずつ連続的に投入されるととも
に、それらの銅板2が一対の波状ガイド線22によって
挟持される。ゆえに、カゴの揺動を行うカゴめっき装置
やバレルの回転を行うバレルめっき装置とは異なり、め
っき時において銅板2同士が接触・衝突することがな
い。勿論、この構成であると、銅板2がカゴやバレルの
ような硬い容器の内壁面に接触・衝突するということも
ない。よって、銅板2の表裏面のめっき膜に傷が付いた
り、擦れによってめっき膜に部分的なてかりが発生する
ということが確実に防止される。なお、このような波状
ガイド線22を使用した場合、銅板2を連続的にかつス
ムーズに搬送することができる。また、サイズの異なる
銅板2に対してめっきを行うときでも充分それに対応で
きる。さらに、波状に形成されていることから銅板2と
カソード6との間を遮らず、このこともめっき膜の均一
化に貢献する。
【0043】(ニ)この電解めっき装置1では、各カソ
ード6が電解ニッケルめっき液の液面よりも上方に配置
されている。それに加えて、電解ニッケルめっき液に接
する部分においても、金属材料が殆ど使用されていな
い。即ち、この構成であると、そもそもめっきが付着し
うる部分が少ないため、めっき膜の剥離等といった面倒
な保守作業が殆ど不要になる。このため、器具の保守作
業が容易になる。
【0044】(ホ)この電解めっき装置1では、搬送手
段としてネットコンベア7が採用されている。従って、
銅板2の搬送時においては、銅板2の一側面がネット1
7の上面に常に接触した状態となる。しかし、ネット1
7には多数の孔があいていることから、ネット17に接
触している一側面にも他の面と同様に充分にめっき液が
行き渡る。よって、その側面にも確実にめっき膜が形成
され、めっき膜の均一化を図ることができる。
【0045】(ヘ)この電解めっき装置1では、ネット
17の外面側に、銅板2の一部に係合する樹脂製の滑り
止め突起19が一定間隔毎に設けられている。そのた
め、搬送時における銅板2の滑り止めが図られる。ま
た、滑り止め突起19は、このような滑り止めに効果的
であるばかりでなく、隣接する銅板2の側面同士の接触
防止にも貢献する。また、銅板2に対する接触部分の面
積も最小限に抑えられているため、めっきムラ等の発生
も確実に回避される。 〔第2の実施形態〕次に、第2の実施形態における電解
めっき装置31を図5に基づいて説明する。ここでは第
1の実施形態と相違する構成を中心に説明し、共通する
構成については第1の実施形態において使用した番号と
同じ番号を付すのみとする。
【0046】まず第1に、この電解めっき装置31で
は、第1の実施形態とは異なるタイプの搬送手段とし
て、屈曲ベルトコンベア32が使用されている。図5に
示されるように、めっき槽4の底面に設けられた摺動板
40の一方の側面近傍には、屈曲ベルトコンベア32を
構成する駆動プーリ34及び従動プーリ35が設けられ
ている。これらの駆動プーリ34及び従動プーリ35に
は、無端状のベルト33が波状に屈曲するように巻回さ
れている。駆動プーリ34には、図示しない駆動手段か
らの駆動力が伝達されるようになっている。なお、この
屈曲ベルトコンベア32も、ステップ送りを行うように
制御される。
【0047】前記ベルト33の側面には、一定間隔毎に
押圧バー36が突設されている。これらの押圧バー36
は略L字状を呈しており、その先端は摺動板40の上面
(または下面)に延びている。ベルト33を駆動させる
と、これらの押圧バー36はベルト33のうねりに追従
して上下動する。従って、前記押圧バー36は、非進行
方向側を向いている側面の絶えず異なる箇所を押圧す
る。なお、本実施形態では、上記各部材32,33,3
4,35,36,40は、いずれもめっきが付着しにく
くかつめっきに不溶の材料によって形成されている。特
に、摺動板40については、めっき金属よりも軟質な樹
脂材料が使用されている。
【0048】第2に、この電解めっき装置31では、銅
板2をガイドするための構造が第1の実施形態とは異な
っている。即ち、一対の波状ガイド溝22の代わりに、
中央部にガイド溝37を有する摺動板40がガイド構造
として採用されている。図5に示されるように、このガ
イド溝37は、搬送方向であるめっき槽4の長手方向に
沿って延びるように形成されている。ガイド溝37の幅
は銅板2の厚さよりもやや大きく、その深さは銅板2の
一辺の長さの10分の1以下になっている。そして、こ
のガイド溝37によって銅板2がガイドされることによ
り、銅板2がスムーズに搬送されかつ立設状態が保持さ
れるようになっている。
【0049】第3に、この電解めっき装置31では、カ
ソード37の支持構造が異なっている。ここでは、めっ
き槽4の長手方向に対して直交する方向に沿って、複数
本の支持体39が等ピッチに架設されている。搬送経路
の上方に位置する前記各支持体39には、それぞれ1本
ずつ揺動カソード38が揺動可能に支持されている。従
って、揺動カソード38の下方を銅板2が通過する際、
そのカソード38は銅板2の一側面に接触し、通過後に
同カソード38は銅板2の一側面から離れるようになっ
ている。なお、各カソード38は、ワークサイズよりも
小さいピッチで設置されている。このため、銅板2を連
続的に送り出した場合でも、必ずその銅板2にいずれか
のカソード38が接触し、そこから絶えず給電がなされ
るようになっている。つまり、この電解めっき装置31
では、ステップ送りばかりでなく、連続搬送も可能とな
っている。そして、上記のようなステップ送りまたは連
続送りを行う結果、銅板2における異なる箇所から通電
がなされ、もってめっきムラ、焼け、めっき未着が防止
されるようになっている。
【0050】以上のような第2の実施形態の構成であっ
ても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することは
いうまでもない。特に、この電解めっき装置31では、
ガイド構造がより簡単であるという有利な特徴がある。
【0051】なお、本発明は例えば次のように変更する
ことが可能である。 (1)図6に示される別の実施形態の電解めっき装置4
1のように、波状ガイド線22の代わりに、例えば樹脂
製の直線状ガイドレール42,43を上下に一対ずつ配
設することとしてもよい。この構成であっても、第1の
実施形態と同様の効果を奏する。
【0052】(2)第2の実施形態において、摺動板4
0に形成されたガイド溝37の複数の箇所に転動促進用
の窪み45を形成しておいてもよい。このような構成と
すると、搬送されてきた銅板2が、窪み45の部分を通
過する際に前方に転動する(図7参照)。その結果、今
まで上方を向いていた側面が進行方向側を向き、今まで
非進行方向側を向いていた側面が上方を向くようにな
る。従って、カソード6が接触する側面が今までとは別
のものになる。
【0053】(3)カソード6,38を水平方向にも駆
動するとともに、そのカソード6,38を用いて銅板2
等の被めっき物の搬送を行ってもよい。この構成である
と、めっき液中に搬送手段を設ける必要がなくなるとい
う利点がある。
【0054】ここで、特許請求の範囲に記載された技術
的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される
技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 請求項1において、前記被めっき物を転動させ
つつ搬送することによって、前記カソード接触位置の変
更を行うこと。この方法であっても、均一でムラのない
めっき膜を確実に得ることができ、かつ生産性の向上を
図ることができる。
【0055】(2) 請求項2〜5において、前記搬送
手段は、無端状のベルトと、そのベルトを波状に屈曲さ
せた状態で巻回するための複数のプーリと、前記ベルト
から突出するとともに前記被めっき物を押圧する押圧バ
ーとからなる屈曲ベルトコンベアであること。この構成
であると、より均一にかつムラなくめっき膜を形成でき
る。
【0056】なお、本明細書中において使用した技術用
語を次のように定義する。 「ステップ送り: 搬送手段の駆動・停止を周期的に行
いながら被めっき物を搬送することをいう。」
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、均一でムラのないめっき膜を確実に得る
ことができるとともに、生産性の向上を図ることができ
る電解めっき方法を提供することができる。請求項2〜
6に記載の発明によれば、均一でムラのないめっき膜を
確実に得ることができるとともに、生産性の向上を図る
ことができる電解めっき装置を提供することができる。
特に、請求項3に記載の発明によれば、器具の保守が容
易な電解めっき装置を提供することができる。請求項
4,5に記載の発明によれば、より確実に均一でムラの
ないめっき膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の電解めっき装置を示す部分破
断概略斜視図。
【図2】同電解めっき装置の要部拡大部分破断斜視図。
【図3】同電解めっき装置を搬出側からみた概略部分側
断面図。
【図4】(a)〜(d)は、同電解めっき装置による電
解めっき方法を説明するための概略図。
【図5】第2の実施形態の電解めっき装置を示す要部拡
大部分破断斜視図。
【図6】別の実施形態の電解めっき装置を示す概略部分
側断面図。
【図7】別の実施形態の電解めっき方法を示す概略図。
【図8】(a)〜(c)は、従来における電解めっき装
置の要部を示す概略斜視図。
【符号の説明】
1,31,41…電解めっき装置、2…被めっき物とし
ての銅板、4…めっき槽、5…アノード、6,38…カ
ソード、7…搬送手段としてのネットコンベア、22…
波状ガイド線、23,39…支持体、32…搬送手段と
しての屈曲ベルトコンベア、37…ガイド溝、P1 〜P
4 …カソードの接触位置。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解めっき液中に設けられたアノードに被
    めっき物を対向配置するとともに、前記被めっき物を搬
    送しながら、前記被めっき物にめっき膜を形成する電解
    めっき方法であって、前記被めっき物の搬送時にカソー
    ドの接触位置の変更を行いながら通電を行う電解めっき
    方法。
  2. 【請求項2】電解めっき液が満たされるめっき槽と、前
    記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき物にお
    ける複数の箇所に対して接離可能に設けられたカソード
    と、前記被めっき物を所定方向に搬送する搬送手段とか
    らなり、前記被めっき物を搬送しつつ通電を行う電解め
    っき装置。
  3. 【請求項3】前記カソードは複数個であり、それらのカ
    ソードは被めっき物の搬送経路の上方に設けられた支持
    体に対して揺動可能に設けられている請求項2に記載の
    電解めっき装置。
  4. 【請求項4】前記被めっき物を搬送時にガイドするガイ
    ド溝を前記搬送経路に沿って設けた請求項2または3に
    記載の電解めっき装置。
  5. 【請求項5】前記被めっき物を搬送時にガイドする2本
    の波状ガイド線を前記搬送経路に沿って設けた請求項2
    または3に記載の電解めっき装置。
  6. 【請求項6】前記搬送手段は前記被めっき物を水平方向
    に搬送するネットコンベアである請求項2乃至5のいず
    れか1項に記載の電解めっき装置。
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