JPH09110405A - 窒化アルミニウムおよび半導体製造用装置 - Google Patents

窒化アルミニウムおよび半導体製造用装置

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JPH09110405A
JPH09110405A JP8207556A JP20755696A JPH09110405A JP H09110405 A JPH09110405 A JP H09110405A JP 8207556 A JP8207556 A JP 8207556A JP 20755696 A JP20755696 A JP 20755696A JP H09110405 A JPH09110405 A JP H09110405A
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aluminum
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Abstract

(57)【要約】 【課題】窒化アルミニウムに焼結助剤や黒色化剤のよう
な金属化合物、特に重金属化合物を添加することなく、
窒化アルミニウムの明度を小さくし、その色を黒色に近
づけることである。 【解決手段】窒化アルミニウムの電子スピン共鳴法によ
るスペクトルにおいて不対電子のg値が2.0010以
上である。好ましくは、g値が2.0040以上であ
り、窒化アルミニウムの主結晶相中にアルミニウム−ア
ルミニウム結合が形成されており、主結晶相と、ALO
Nからなる副結晶相とを備えている。または、窒化アル
ミニウムの電子スピン共鳴法によるスペクトルにおい
て、アルミニウムの単位mg当たりのスピン量が5×1
1 2 spin/mg以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、窒化アルミニウム、およ
び窒化アルミニウムを基材として利用した半導体製造用
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エッチング装置、化学的気相成長装置等
の半導体装置においては、いわゆるステンレスヒーター
や、間接加熱方式のヒーターが一般的であった。しか
し、これらの熱源を用いると、ハロゲン系腐食性ガスの
作用によってパーティクルが発生することがあり、また
熱効率が悪かった。こうした問題を解決するため、本出
願人は、緻密質セラミックス基材の内部に、高融点金属
からなるワイヤーを埋設したセラミックスヒーターを開
示した(特開平3−261131号公報)。このワイヤ
ーは、円盤状基材の内部で螺旋状に巻回されており、か
つこのワイヤーの両端に端子を接続する。こうしたセラ
ミックスヒーターは、特に半導体製造用として優れた特
性を有していることが判った。
【0003】セラミックスヒーターの基体を構成するセ
ラミックスとしては、窒化珪素、窒化アルミニウム、サ
イアロン等の窒化物系セラミックスが好ましいと考えら
れている。また、セラミックスヒーター上にサセプター
を設置し、このサセプターの上に半導体ウエハーを設置
して、半導体ウエハーを加熱する場合がある。本出願人
は、こうしたセラミックスヒーターやサセプターの基材
として、窒化アルミニウムが好ましいことを開示した
(特開平5−101871号公報)。特に半導体製造装
置においては、エッチングガスやクリーニングガスとし
て、ClF3 等のハロゲン系腐食性ガスを多用するが、
これらのハロゲン系腐食性ガスに対する耐蝕性の点で、
窒化アルミニウムがきわめて高度の耐食性を有している
ことが確認されたからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】窒化アルミニウム焼結
体自体は、一般的に白色又は灰白色を呈するという特徴
がある。しかし、前記のようなヒーター、サセプターと
して使用される基材は、黒色であることが望まれる。黒
色の基材の方が、白色の基材よりも輻射熱量が多く、加
熱特性が優れているからである。また、こうした種類の
製品においては、白色や灰色の基材を使用すると、製品
の表面に色ムラが出やすいという欠点があり、改善が要
求されていた。更に、顧客の嗜好という点で、白色や灰
色の基材よりも、黒色、黒褐色、黒灰色等の黒色度の高
い、明度の小さな基材が望まれている。しかも、白色や
灰色の基材は、輻射特性が劣っている。
【0005】窒化アルミニウム焼結体を黒色にするため
には、原料粉末中に適切な金属元素(黒色化剤)を添加
し、これを焼成して、黒色の窒化アルミニウム焼結体を
製造することが知られている(特公平5−64697号
公報)。この添加物としては、タングステン、酸化チタ
ン、ニッケル、パラジウム等が知られている。
【0006】しかし、このように、金属元素を黒色化剤
として窒化アルミニウム焼結体中に添加すると、この添
加物の影響により、当然、窒化アルミニウム焼結体中の
金属不純物の含有量が大きくなる。特に、半導体製造プ
ロセスにおいては、窒化アルミニウム焼結体中に、Ia
族元素、IIa族元素、遷移金属元素が存在している
と、たとえその存在量が微量であっても、半導体ウエハ
ーや装置自体に対して、重大な悪影響を与えうる(例え
ば、半導体の欠陥等の原因となりうる)。このため、上
記のような黒色化剤を添加することなく、窒化アルミニ
ウム焼結体の明度を小さくすることが求められている。
【0007】本発明の課題は、窒化アルミニウムに焼結
助剤や黒色化剤のような金属化合物、特に重金属化合物
を添加することなく、窒化アルミニウムの明度を小さく
し、その色を黒色に近づけることである。また、本発明
の課題は、半導体製造装置において、こうした黒色の度
合いの高い基材を使用することによって、輻射効率の大
きい、商品価値の高い半導体製造用装置を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る窒化アルミ
ニウムは、窒化アルミニウムの電子スピン共鳴法による
スペクトルにおいて不対電子のg値が2.0010以上
であることを特徴とする。
【0009】また、本発明に係る窒化アルミニウムは、
窒化アルミニウムの電子スピン共鳴法によるスペクトル
において、アルミニウムの単位mg当たりのスピン量が
5×101 2 spin/mg以下であることを特徴とす
る。
【0010】また、本発明は、半導体製造用装置におい
て、上記の窒化アルミニウムを基材として使用すること
を特徴とする。
【0011】本発明者は、窒化アルミニウム焼結体を研
究する過程で、アルミニウム以外には、黒色化剤等の金
属元素をほとんど含有しておらず、しかも、JIS Z
8721に規定する明度がN4以下の黒色を呈する、
きわめて明度の低い黒灰色ないし黒褐色の窒化アルミニ
ウム焼結体を製造することに成功した。
【0012】こうした窒化アルミニウムによれば、JI
S Z 8721に規定する明度がN4以下の黒色を呈
しているので、輻射熱量が大きく、加熱特性が優れてい
る。従って、セラミックスヒーター、サセプター等の発
熱材を構成する基材として、好適である。しかも、アル
ミニウムを除く金属元素の含有量を非常に少なくするこ
とができるので、半導体汚染等を起こすおそれがない。
特に、半導体製造プロセスにおいて、半導体ウエハーや
装置自体に対して悪影響を与えるおそれがない。しか
も、本発明の窒化アルミニウムの表面では、色ムラがほ
とんど目立つことはなく、窒化アルミニウム焼結体の外
観がきわめて良好となるし、しかも黒色度が高いことか
ら、著しく商品価値が向上した。
【0013】ここで、明度(lightness )について説明
する。物体の表面色は、色知覚の3属性である色相、明
度および彩度によって表示されている。このうち明度と
は、物体表面の反射率が大きいか、小さいかを判定する
視覚の属性を示す尺度である。これらの3属性の尺度の
表示方法は、「JIS Z 8721」に規定されてい
る。明度Vは、無彩色を基準としており、理想的な黒の
明度を0とし、理想的な白の明度を10とする。理想的
な黒と理想的な白との間で、その色の明るさの知覚が等
歩度となるように各色を10分割し、N0〜N10の記
号で表示する。実際の窒化アルミニウムの明度を測定す
る際には、N0〜N10に対応する各標準色票と、窒化
アルミニウムの表面色とを比較し、窒化アルミニウムの
明度を決定する。この際、原則として小数点一位まで明
度を決定し、かつ小数点一位の値は0または5とする。
【0014】本発明者は、後述するようにして得られた
窒化アルミニウムについて、その黒色化が高く、明度が
低くなっている理由について研究した。この結果、後述
する特定の条件を有する窒化アルミニウムであれば明度
が低くなり、黒色化が進行することを突き止め、本発明
を完成するに至った。
【0015】まず、明度が4以下の黒褐色または黒灰色
となっている窒化アルミニウムをX線回折分析したとこ
ろ、その主結晶相はAlNであるが、副結晶相としてA
LONが生成していた。こうした窒化アルミニウム試料
においては、典型的には、粒径1〜3μmのAlN結晶
粒子中に、粒径0.1μmオーダーのALON粒子が生
成していた。例えば、後述する条件下において、99.
9重量%以上の純度を有する窒化アルミニウム粉末を1
750℃〜1900℃で焼結させて製造した窒化アルミ
ニウム試料については、N3〜4の明度を有する黒褐色
または黒灰色の試料が得られた。一方、99.9重量%
以上の純度を有する窒化アルミニウム粉末を1950℃
で焼結させた製造した窒化アルミニウムについては、黄
白色の試料が得られた。
【0016】1950℃で焼結させて得た試料の結晶組
織を分析すると、AlN主結晶相の他に、いわゆる27
R相(Al2 3 −7(AlN)相)が生成していた。
このAlN結晶相の粒径は2〜4μm程度であり、この
粒界に前記の27R相が析出していた。公知のAl2
3 −AlN状態図によれば、焼結後に生成する結晶相は
1920℃を境界として変化する。このため、上記した
結晶相の相違は、この焼結温度の相違によるものと考え
られる。
【0017】上記した明度の低い試料を、窒素雰囲気下
で1900℃で熱処理すると、もとの黒褐色または黒灰
色の部分は消滅し、灰色部分と黄白色の部分とが生成し
た。この灰色部分には、球状のALON結晶相とAl2
OC−AlN相とが生成していた。この黄白色部分で
は、27R相はほとんどなく、球状のALON相が主で
あった。また、どの色調の窒化アルミニウムにおいて
も、AlNの格子定数には相違は見られなかった。つま
り、AlN結晶相以外の結晶相の種類と色調または明度
との間には、特に相関は見られなかった。従って、窒化
アルミニウムの色調の変化は、結晶相の種類によるもの
ではなく、AlN結晶相内部の欠陥構造および粒界の欠
陥構造によるものと考えられる。
【0018】本発明者は、こうしたAlN結晶相内部や
粒界の欠陥構造の構成を知るために、上記の各試料につ
いて電子スピン共鳴法(Electron spin resonance :E
SR)によるスペクトルをとった。この原理を簡単に説
明する。不対電子は磁場下ではゼーマン効果によってエ
ネルギー準位が分裂する。このエネルギー準位には、電
子の軌道運動、近傍の原子の核磁気能率との相互作用が
敏感に反応する。ESR法では、この分裂したエネルギ
ー準位を測定することによって、不対電子を有する原子
の近傍の原子および化学結合等に関する情報を知ること
ができる。
【0019】前記した明度4以下の黒色品、これを熱処
理して得た灰色部分および黄白色部分について、ESR
スペクトルをとった。窒化アルミニウムにおいては、ア
ルミニウムの不対電子のスピン量が、不対電子の存在し
ている結晶場によって変化する。このスピン量は、理論
的には自由電子では2.0000であり、相対論的補正
でg=2.002316の値をとる。AlN結晶相中の
Al原子、N原子は、4配位のウルツァイト構造を有し
ており、アルミニウム原子と3つの窒素原子とによって
sp3 混成軌道を形成している。各試料のスピン量の値
から、格子欠陥中の不対電子が、どのような結晶配位に
存在しているのか、どのような元素が不対電子の周辺に
存在しているのかを、知ることができる。
【0020】図1は、前記した黒褐色の窒化アルミニウ
ムのESRスペクトルであり、図2は、灰色部分のES
Rスペクトルであり、図3は、黄白色部分のESRスペ
クトルである。これらのデータから、黒褐色の窒化アル
ミニウムのスピン量g値は2.0053±0.0001
であり、そのピーク強度は大きく、ピークはシャープで
あった。このアルミニウムの単位mg当たりのスピン量
は7.9×1011spin/mgであった。灰色部分に
おいては、g値は2.0018±0.0001であり、
ピーク強度は小さかった。このアルミニウムの単位mg
当たりのスピン量は、2.1×101 2 spin/mg
であった。また、黄白色部分においては、g値は1.9
978±0.0001であり、ピーク強度は大きく、ピ
ーク形状はブロードであった。このアルミニウムの単位
mg当たりのスピン量は、1.5×101 3 spin/
mgであった。
【0021】不対電子を有するAl原子に対して結合す
る原子の種類が変化すると、不対電子のスピン量(g
値)は大きく変化する。上記のような大幅なg値の変化
は、こうしたアルミニウムと結合する原子の種類の変化
に帰するべきものである。即ち、この結合原子の種類
が、窒素原子から、炭素原子またはアルミニウム原子に
変わると、g値が大きく変化する。4配位構造のSi原
子において、これと類似したスピン量の変化が生じてい
ることが報告されている(「素材のESR評価法」アイ
ピーシー出版第57頁参照)。今回の測定で得られたg
値の顕著な変化も、アルミニウム原子に4配位している
原子の種類の変化に起因しているものと考えられ、即
ち、アルミニウム原子に対してアルミニウム原子が結合
している。
【0022】即ち、図4に示すように、アルミニウムに
対して窒素原子が3個配位している状態に対しては、ア
ルミニウムに配位している窒素原子がアルミニウムによ
って置換されると、このg値は大きくなり、半値幅は小
さくなる(ピークの幅が小さくなって、ピークがシャー
プになってくる)。
【0023】アルミニウムに配位している窒素原子の数
が変化すると、g値が変化することは理解できる。ここ
で、AlN結晶相中には炭素原子や酸素原子も存在して
いるので、窒素原子の位置に炭素原子または酸素原子が
置換することも想定できる。炭素原子や酸素原子が窒素
原子の位置に置換すると、g値は減少するので、これら
の原子による置換割合はきわめて小さいはずである。
【0024】黄白色部分においては、前記したようにピ
ークのg値が2.00未満であり、かつピークがブロー
ドであって、半値幅が大きい。このような試料において
は、AlN結晶中に酸素が固溶し、即ちAlN結晶中の
3 + 部位(サイト)にO2 - が置換し、Al3 + が欠
損したものと考えられる。この格子欠陥にトラップされ
た不対電子によって、色中心が形成され、可視光の短波
長側の光を顕著に吸収し、黄白色の色彩を発現させる。
または、N3 - に変わって2つの酸素イオンが置換し、
2 - からなる色中心が形成されているものと推定され
る。
【0025】これとは反対に、黒褐色品においては、ピ
ークのg値が大きく、かつピークがシャープである。黒
灰色品においても、これとほぼ同様の結果が得られてお
り、この明度4以下のレベルにおける僅かな色調の相違
は、本質的ではない。このように明度の低い窒化アルミ
ニウムにおいては、アルミニウム−アルミニウム結合が
生成しているが、こうした結合は、広い範囲の連続的な
波長の可視光を吸収する、金属結合的な性質を備えてい
るものと推定され、これによって窒化アルミニウムの明
度の低下が発現している。
【0026】また、黒褐色の試料と黒灰色の試料の電気
抵抗は、黄白色部分の電気抵抗よりも、約2桁のオーダ
ー高いことが判明している。各試料のESRスペクトル
における吸収ピーク自体を比較すると、黄白色の試料
が、最も大きな吸収強度を有しており、半値幅も広い。
これは、最も数多くの伝導電子が、色中心である上記の
格子欠陥中にトラップないし捕捉されており、こうした
トラップされた伝導電子が電気抵抗の減少に寄与してい
るものと考えられる。
【0027】他の各種の試料についても、上記と同様に
してESRスペクトルを測定した結果、黒褐色や黒灰色
の試料(明度4以下の試料)を得るためには、そのg値
を2.0040以上とする必要があることを確認した。
こうした明度の低い試料を一層安定して得るためには、
このg値は2.0050以上とすることが、一層好まし
い。
【0028】また、上記の各試料のうち、黒褐色の試料
の熱処理によって生成した灰色部分においては、図2に
示すESRスペクトルが得られ、そのg値は2.001
8±0.0001であった。これは、黒褐色の試料等に
比較すると、若干低いg値を有しているが、通常の白色
や乳白色の窒化アルミニウムと比較すると、また上記し
た黄白色の窒化アルミニウムと比較すると、相対的に高
いg値を有しており、相対的に明度の低下は微視的には
確認できた。
【0029】しかし、この試料中には、同時に(Al
N)x (Al2 OC)1-x相が若干生成していることが
判明した。この結晶相の周辺では、AlN結晶相との間
に微小な隙間ないしボイド(微小な空隙)が生成してお
り、このボイドで光が散乱し、この散乱光が明度の上昇
の原因となっていることが判明した。従って、こうした
マトリックスにおいても本発明の効果を確認することが
できるが、このような(AlN)x (Al2 OC)1-x
相が生成しないようにすることで、窒化アルミニウムの
明度を4以下、更には3.5以下へと一層低下させるこ
とができるので、一層好ましい。
【0030】また、上記した黒褐色の窒化アルミニウム
の微構造を、図5に示す。図5に示すように、AlN結
晶粒内に微小なALON結晶が存在しており、また各結
晶が接触する粒界部は、結晶粒界がない緻密で隙間のな
い状態になっている。図6は、黒褐色の窒化アルミニウ
ム試料について、AlNからなる結晶の粒界部分を拡大
して示す電子顕微鏡写真である。AlN結晶粒界には、
異相は見られない。
【0031】また、窒化アルミニウムの電子スピン共鳴
法によるスペクトルにおいて、アルミニウムの単位mg
当たりのスピン量を5×101 2 spin/mg以下と
することによって、本発明の黒色の緻密な窒化アルミニ
ウム焼結体が得られた。この観点から、アルミニウムの
単位mg当たりのスピン量を1×101 2spin/m
g以下とすることが一層好ましく、これはg値では2.
0040にほぼ対応していた。また、アルミニウムの単
位mg当たりのスピン量は、実際上は1.0×1010
pin/mg以上とすることが好ましく、1.0×10
11spin/mg以上とすることが一層好ましい。
【0032】アルミニウムの単位mg当たりのスピン量
の測定方法は、「電子スピン共鳴」大矢 博昭、山内
淳著(講談社刊)に記載された方法に従った。即ち、E
SRスペクトルの吸収強度は、窒化アルミニウム結晶粒
子中における不対電子の割合に比例している。g値の定
量は、g値が既知の標準試料と比較して行う必要があ
る。即ち、g値が既知の試料と、本発明の窒化アルミニ
ウム焼結体の試料とを、同じ条件下で測定し、得られた
吸収曲線を積分曲線に直し、次に各積分曲線の各面積を
比較する必要がある。
【0033】本発明者は、スピン量が既知のTEMPO
L(4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチルピ
ペリジン−1−オキシル)溶液を使用して、Mn2 +
MgOの一本の超微細線を定量しておき、これを通して
スピン量を比較し、ピークの面積比よりスピン量を算出
した。
【0034】次に、上記した本発明に係る明度の小さな
窒化アルミニウムを製造する好適な方法について述べ
る。まず、窒化アルミニウム粉末からなる原料として
は、還元窒化法によって得られた粉末を使用することが
好ましい。窒化アルミニウム粉末からなる原料中には、
アルミニウム以外の金属元素の添加を避けるべきであ
り、好ましくは100ppm以下とする。ここで「アル
ミニウム以外の金属元素」とは、周期律表のIa〜VI
Ia、VIII、Ib、IIbに属する金属元素および
IIIb、IVbに属する元素の一部(Si、Ga、G
e等)をいう。
【0035】好ましくは上記したように、高純度の窒化
アルミニウム粉末を還元窒化法によって準備し、この窒
化アルミニウム粉末を、一軸加圧成形法やコールドアイ
ソスタティックプレス法によって成形して成形体を製造
し、この成形体を、カーボンからなる被膜の中に包含ま
たは封入して大気に対して接触しない条件下で焼成す
る。この焼成方法自体は、ホットプレス法やホットアイ
ソスタティックプレス法を採用できる。
【0036】成形体を、カーボンからなる皮膜の中に包
含するためには、図8に示すような形態とすることがで
きる。即ち、上パンチ1Aと下パンチ1Bとの間に成形
体6を設置する際に、成形体6の上側面と下側面とにグ
ラファイト製のフォイル5Aと5Bとをそれぞれ設置す
る。成形体6および一対のフォイル5A、5Bを各スペ
ーサー4Aと4Bとの間に設置する。これと共に、成形
体6の両側面を覆うようにグラファイト製のフォイル7
を設置し、グラファイト製のフォイル5A、5B、7に
よって成形体6を密封する。カーボン製のダイス9の中
に、カーボン製のスリーブ8を介在した状態で、フォイ
ル7および成形体6を設置する。加圧成形機を駆動し、
上パンチ1Aと下パンチ1Bとによって、図8において
上下方向に圧力を加え、かつ加熱する。
【0037】このように、炭素原子の化合物または炭素
原子の含有量が高い物質からなる皮膜の中に成形体を密
封し、前記の加熱および加圧条件下で処理し、雰囲気を
後述のように制御すると、前記したようなアルミニウム
−アルミニウム結合を有する、可視光領域に連続的な光
吸収特性を有する焼結体を製造することができた。
【0038】焼成温度は、1750℃〜1900℃とす
ることができる。また、焼成時の圧力は100kg/c
2 以上とし、150kg/cm2 以上とすることが好
ましく、200kg/cm2 以上とすることが一層好ま
しい。ただし、この圧力は、実際の装置の能力から見る
と、0.5ton/cm2 以下とすることが好ましい。
【0039】本発明者は、このプロセスについて、更に
詳細に検討を重ね、次のような結論に到達した。窒化ア
ルミニウム粉末の製造方法としては、還元窒化法と直接
窒化法とが知られている。各方法で採用する化学式を列
挙する。 還元窒化法:Al2 3 +3C+N2 →2AlN+3CO 直接窒化法:Al(C2 5 3 +NH3 →AlN+3C2 6 (気相法) 2Al+N2 →2AlN
【0040】このように、還元窒化法による窒化アルミ
ニウム結晶は、γ−Al2 3 相をカーボンによって還
元窒化することによって、製造される。還元触媒として
使用したカーボンは、窒化アルミニウム結晶の表面に残
留し、また還元窒化されなかった酸素は、窒化アルミニ
ウム内部に残留していると考えられている。窒化アルミ
ニウムは大気中において熱力学的に不安定であり、特に
表面活性な焼結用微粉末は、室温下でも大気中の水分、
酸素と容易に反応し、酸素量が増大する。そのため、酸
化物、水酸化物による表面酸化層の被覆が行われ、水分
や酸素に対して活性な窒化アルミニウム結晶を安定化さ
せている。また、この酸化処理は、還元処理後に粒子の
表面に残留する炭素原子を除去し、純度を向上させるた
めにも、使用されている。
【0041】このため、窒化アルミニウム結晶の品質で
重要な点は、粒子の表面に存在している酸化皮膜と、還
元窒化の段階で窒化アルミニウム結晶の内部に固溶して
いる酸素量である。
【0042】上記のように、こうした還元窒化法による
粒子をカーボン皮膜中に密封し、大気等の酸化性雰囲気
に接触しないような条件下で、加圧下に加熱する場合に
は、この皮膜の内部における雰囲気の状態が重要にな
る。窒化アルミニウム粒子の表面にはアルミナ皮膜が存
在している。例えば、グラファイトフォイルからなる皮
膜の内部の雰囲気を還元性雰囲気(窒素ガス雰囲気)と
し、圧力250kg/cm2 、温度1850〜1950
℃で焼結させたものとする。酸素分圧は、ppmのオー
ダーである。焼成時には、窒化アルミニウム粒子の表面
の近傍では、表面に残留しているAl2 3 とC(カー
ボン)との反応によってCOガスが発生する。この反応
における気相(ガス)種は、Al、AlO、Al2 O、
Al2 2 、AlC、AlC2 、Al2 2 、AlN、
NO、COである。 3Al2 3 (固体)+AlN(固体)+2C(固体)
+7NO(気体)→ 2CO(気体)+7AlN(気
体)
【0043】焼結体内のCOの分圧を一定とし、各気相
種の平衡分圧を計算すると、図9に示すグラフが得られ
る。このグラフからわかるように、AlN、Al、Al
2 Oの順番で分圧が低くなっている。カーボンによって
Al2 3 の還元反応が進行し、AlNが生成してく
る。また、AlおよびAl2 Oの分圧からわかるよう
に、結晶格子内でAl−Al結合や酸素を含んだALO
N(AlN+Al2 O)相が生成するものと推定され
る。Al2 OC層はTEMによる観察から、結晶粒界に
存在していることが判明した。従って、このAl2 OC
層は、窒化アルミニウム粒子の表面に残留していたカー
ボンと、気相種中のAl2 Oとの結合によって生成した
(C+Al2 O)であると考えられる。
【0044】なお、1950℃以下ではAl種の方がA
2 O種よりも分圧が大きいが、1950℃を越えると
両者の分圧の大小が逆転する。即ち、焼成温度が高い場
合ほど、Al2 O相の形成が進行し、1950℃以下で
はAl−Al結合が生成するものと考えられる。
【0045】AlN結晶の色調においては、結晶内部の
欠陥構造が重要であるが、この欠陥構造は、前述したよ
うに、原料粉末中の酸素含有量、焼結時の雰囲気、焼結
過程で生成する気相種の影響を主として受ける。特に、
前述したように、酸素と窒化アルミニウム粒子の表面に
残留している炭素原子との影響、またグラファイトフォ
イルから雰囲気中へと供給される炭素との役割が大きい
ものと考えられる。そして、前述したようにカーボンに
よる酸化物の還元が生じ、AlN相、Al相、AlO2
相が生成し、ALON相およびAl−Al結合の生成を
もたらすものと考えられる。
【0046】明度の低い窒化アルミニウム焼結体を安定
して製造するためには、上記において、150kg/c
2 以上の圧力を採用することが好ましく、200kg
/cm2 以上の圧力を採用することが一層好ましい。
【0047】なお、窒化アルミニウムの相対密度とは、
〔相対密度=嵩密度/理論密度〕の式によって定義され
る値であり、その単位は「%」である。
【0048】本発明の窒化アルミニウムは、輻射熱量が
大きく、加熱特性が優れている。また、表面の色ムラが
ほとんど目立たず、黒褐色や黒灰色をしているので、商
品価値が高い。このため、各種の加熱用装置に対して特
に好適に利用できる。また、本窒化アルミニウムは、ア
ルミニウムを除く金属元素の供給源となる焼結助材や黒
色化材を使用せず、アルミニウム以外の金属原子の含有
量を、いずれも100ppm以下にできるので、汚染を
起こすおそれがない。従って、高純度プロセス用の材料
として最適である。特に、半導体製造プロセスにおい
て、半導体ウエハーや装置自体に対して、重大な悪影響
を与えるおそれがない。
【0049】本発明の窒化アルミニウムを基材として使
用する半導体製造用装置としては、窒化アルミニウム基
材中に抵抗発熱体を埋設したセラミックスヒーター、基
材中に静電チャック用電極を埋設したセラミック静電チ
ャック、基材中に抵抗発熱体と静電チャック用電極を埋
設した静電チャック付きヒーター、基材中にプラズマ発
生用電極を埋設した高周波発生用電極装置のような能動
型装置を例示することができる。
【0050】更に、半導体ウエハーを設置するためのサ
セプター、ダミーウエハー、シャドーリング、高周波プ
ラズマを発生させるためのチューブ、高周波プラズマを
発生させるためのドーム、高周波透過窓、赤外線透過
窓、半導体ウエハーを支持するためのリフトピン、シャ
ワー板等の各半導体製造用装置を例示することができ
る。
【0051】窒化アルミニウムの熱伝導率は、特に、セ
ラミックスヒーター、静電チャック付きヒーター、半導
体ウエハー保持用サセプター等の加熱用部材の基材とし
ての用途においては、90W/m・K以上とすることが
好ましい。
【0052】
【実施例】(実験A) 以下のようにして、実際に窒化アルミニウム焼結体を製
造した。窒化アルミニウム原料としては、還元窒化法ま
たは直接窒化法によって製造した高純度粉末を使用し
た。各粉末において、Si、Fe、Ca、Mg、K、N
a、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、W、B、Yの含有
量は、それぞれ100ppm以下であり、アルミニウム
以外の金属は、これら以外は検出されなかった。
【0053】各原料粉末を一軸加圧成形することによっ
て、円盤形状の予備成形体を製造した。図8に示すよう
に成形体6を型内に設置し、前述したようにして成形体
6をカーボンフォイル内に密封し、1900℃で2時
間、200kg/cm2 の圧力を加えながら、ホットプ
レス法によって焼成し、実験A1の窒化アルミニウム試
料を製造した。
【0054】また、この試料A1を1900℃で2時間
窒素雰囲気下で熱処理し、試料A2を製造した。この試
料A2の外周部分は黄白色部になり、この内部に灰色部
分が生成していた。試料A1、および試料A2の黄白色
部分および灰色部分について、それぞれESRスペクト
ルを測定した。図1は、試料A1のESRスペクトルで
あり、図2は、試料A2の灰色部分のESRスペクトル
であり、図3は、試料A2の黄白色部分のESRスペク
トルである。試料A1のスピン量g値は2.0053±
0.0001であり、そのピーク強度は大きく、ピーク
はシャープであった。このアルミニウムの単位mg当た
りのスピン量は7.9×1011spin/mgであっ
た。灰色部分においては、g値は2.0018±0.0
001であり、ピーク強度は小さかった。このアルミニ
ウムの単位mg当たりのスピン量は、2.1×101 2
spin/mgであった。黄白色部分においては、g値
は1.9978±0.0001であり、ピーク強度は大
きく、ピーク形状はブロードであった。このアルミニウ
ムの単位mg当たりのスピン量は、1.5×1013sp
in/mgであった。
【0055】また、試料A1の明度はN3.5であり、
試料A2の黄白色部分の明度はN8であり、試料A2の
灰色部分の明度はN5であった。また、各試料につい
て、その主結晶相とその他の結晶相とをX線回折分析に
よって測定したところ、前述したような結果を得た。
【0056】このうち、試料A1のセラミックス組織の
電子顕微鏡写真を図5に示し、試料A1において、窒化
アルミニウム粒子の粒界の近傍のセラミックス組織の電
子顕微鏡写真を図6に示す。また、灰色部分のセラミッ
クス組織を図7に示す。この組織中においては、マトリ
ックス部分のX線回折分析結果、および可視光の吸収ス
ペクトルの分析結果は、試料A1の試料と同様であっ
た。しかし、このマトリックス中に、黒く見える(Al
N)x (Al2 OC)1-x 相が存在しており、この結晶
粒子とAlN結晶相との間に僅かな空隙が存在し、この
空隙において光が散乱され、白く光っている。この焼結
体のマトリックスの組織は、基本的には、本願発明の窒
化アルミニウムのものであり、黒色化は相対的に見て進
行している。しかし、前記の散乱光によって焼結体の明
度がN5まで上昇している。
【0057】(実験B)実験Aと同様にして、実際に、
表1および表2の実験B1〜B9の各窒化アルミニウム
焼結体を製造した。窒化アルミニウム原料としては、還
元窒化法または直接窒化法によって製造した高純度粉末
を使用した。各粉末において、Si、Fe、Ca、M
g、K、Na、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、W、
B、Yの含有量は、それぞれ100ppm以下であり、
アルミニウム以外の金属は、これら以外は検出されなか
った。
【0058】各実験例において、焼成段階における焼成
温度および圧力を、表1、表2に示すように変更した。
焼成段階における保持時間は2時間にした。各例の窒化
アルミニウム焼結体について、焼結体の主結晶相、その
他の結晶相をX線回折分析によって測定した。また、焼
結体の相対密度、色調、明度を測定した。ただし、焼結
体の相対密度は、嵩密度/理論密度から算出し、この嵩
密度をアルキメデス法によって測定した。焼結体の理論
密度は、密度が大きな焼結助材を含有していないことか
ら、3.26g/ccである。また、焼結体の色調は、
目視によって測定し、焼結体の明度は、前述した方法に
よって測定した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】以上の結果からわかるように、本発明に従
って、ESRスペクトルのg値が焼結体の色調および明
度と顕著な相関を示していることが判る。実験B1、B
2、B4、B5、B6、B7、B9は、本発明の範囲内
であり、実験B3、B8は、本発明の範囲外である。
【0062】(ウエハーの加熱実験)本発明の試料A1
の窒化アルミニウム焼結体によって、直径210mm、
厚さ10mmのプレートを用意し、このプレートを、赤
外線ランプによる加熱機構を備えた真空チャンバー内に
設置した。このプレートの上に直径8インチのシリコン
ウエハーを乗せ、プレートとシリコンウエハーとの各温
度を同時に測定するための熱電対を取り付けた。この赤
外線ランプとしては、500Wの波長1μm前後に赤外
線のピークを有するものを、アルミニウム製の反射板に
20本取り付け、この反射板および各ランプを真空チャ
ンバーの外側に設置した。
【0063】各赤外線ランプより放射される赤外線は、
直接に、または反射板によって反射された後に、真空チ
ャンバーに設けられた円形の石英窓(直径250mm、
厚さ5mm)を通過し、窒化アルミニウムプレートに到
達し、このプレートを加熱する。
【0064】この加熱装置において、各赤外線ランプを
発熱させ、室温から700℃まで11分間でプレートの
温度を上昇させ、700℃で1時間保持し、この後に赤
外線ランプを停止し、プレートを徐々に冷却させた。こ
の結果、赤外線ランプの消費電力は、最大8700Wで
あり、安定した温度コントロールが可能であった。ま
た、シリコンウエハーの温度を測定したところ、プレー
トの温度を700℃に保持しているときには、シリコン
ウエハーの温度は609℃であった。
【0065】(比較例による加熱実験)次に、還元窒化
法によって得た、カーボン含有量が200ppmの窒化
アルミニウム粉末を使用し、この粉末をコールドアイソ
スタティックプレス法によって3トン/cm2 の圧力下
で加圧して円盤形状の成形体を製造し、この成形体を1
950℃で2時間焼成し、密度が99.4%の白色窒化
アルミニウム焼結体を製造した。この焼結体を使用し、
上記と同様にしてシリコンウエハーの加熱実験を行っ
た。
【0066】この結果、消費電力は最大10kWとな
り、温度上昇時間にも2分間程度の遅れが見られた。ま
た、上記のようにして、室温と700℃との間での温度
上昇および下降の熱サイクルを繰り返したところ、赤外
線ランプの断線が生じやすかった。 また、シリコンウ
エハーの温度を測定したところ、プレートの温度を70
0℃に保持しているときには、シリコンウエハーの温度
は593℃であり、上記の本発明例と比較すると、シリ
コンウエハーの温度も低下していることが判明した。
【0067】(電極および抵抗発熱体の埋設実験)本発
明の試料A1と同様に、上記した窒化アルミニウム粉末
を使用し、この粉末の中に、モリブデン製の直径0.5
mmのワイヤーからなるコイル(抵抗発熱線)を埋設
し、かつこのコイルに、直径5mm、厚さ10mmの円
板形状のモリブデン製の電極を接続し、埋設した。この
埋設体を一軸加圧成形し、円盤形状の成形体を得た。こ
の際、成形体中に埋設されたコイルの平面的形状を渦巻
き形状とした。
【0068】円盤形状の成形体を、図8に示すようにし
て、前述した方法で型内にセットし、ホットプレス法に
よって、1800℃で2時間、200kg/cm2 の圧
力下で保持することによって、窒化アルミニウム焼結体
を得た。この窒化アルミニウム焼結体中には、前記の抵
抗発熱体とモリブデン電極とが埋設されている。このモ
リブデン電極は、静電チャック電極として使用でき、ま
た高周波用電極として使用できる。
【0069】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、窒
化アルミニウムに焼結助剤や黒色化材のような金属化合
物、特に重金属化合物を添加することなく、窒化アルミ
ニウムの明度を小さくし、その色を黒色に近づけること
ができる。また、半導体製造装置において、こうした黒
色の度合いの高い基材を使用することによって、輻射効
率の大きい、商品価値の高い半導体製造用装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る黒褐色の窒化アルミニウ
ム焼結体のESRスペクトルである。
【図2】上記した黒褐色の窒化アルミニウム試料を窒素
雰囲気下で熱処理することによって得られた灰色部分の
ESRスペクトルである。
【図3】上記した黒褐色の窒化アルミニウム試料を窒素
雰囲気下で熱処理することによって得られた黄白色部分
のESRスペクトルである。
【図4】アルミニウムと他の原子との結合状態と、ES
Rスペクトルのg値との関係を説明するための概念図で
ある。
【図5】本発明の実施例に係る窒化アルミニウム焼結体
のセラミックス組織を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例に係る窒化アルミニウム焼結体
において、AlN結晶相の粒子の粒界の周辺のセラミッ
クス組織を示す電子顕微鏡写真である。
【図7】AlN結晶相の粒子からなるマトリックス間に
(AlN)x (Al2 OC)1-x 相の粒子が生成してい
る状態のセラミックス組織を示す電子顕微鏡写真であ
る。
【図8】本発明の窒化アルミニウム焼結体を製造するの
に好適なホットプレス法を説明するための、模式的断面
図である。
【図9】ホットプレス時における、窒化アルミニウム粒
子の表面の近傍における、各気相種の分圧を計算した結
果を示すグラフである。
【符号の説明】
1A,1B パンチ、 4A,4B スペーサー、 5
A,5B,7 グラファイトフォイル、 8 スリーブ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウムの電子スピン共鳴法によ
    るスペクトルにおいて不対電子のg値が2.0010以
    上であることを特徴とする、窒化アルミニウム。
  2. 【請求項2】前記g値が2.0040以上であることを
    特徴とする、請求項1記載の窒化アルミニウム。
  3. 【請求項3】前記主結晶相と、ALONからなる副結晶
    相とを備えていることを特徴とする、請求項1または2
    記載の窒化アルミニウム。
  4. 【請求項4】(AlN)x (Al2 OC)1-x 相を実質
    的に含有せず、JISZ 8721に規定する明度がN
    4以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれ
    か一つの請求項に記載の窒化アルミニウム。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記
    載の窒化アルミニウムを基材として使用していることを
    特徴とする、半導体製造用装置。
  6. 【請求項6】窒化アルミニウムの電子スピン共鳴法によ
    るスペクトルにおいて、アルミニウムの単位mg当たり
    のスピン量が5×101 2 spin/mg以下であるこ
    とを特徴とする、窒化アルミニウム。
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