JPH09108998A - 生産システムにおける設備履歴管理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 設備状態を共通コードで大まかに表示すると
ともに、個々の現象を個別コードとして表すことによ
り、伝送するデータ量の増大を招くことなく、かつ必要
な情報の全てを集中管理する。 【解決手段】 ホストシーケンサは、設備シーケンサＰ
ＬＣ１〜３０から出力された共通コードを定期的に監視
し、共通コードが変化した時に当該共通コードに係累す
る個別コードを設備履歴データに含めて格納し、ライン
ホストコンピュータＬＨＣ１〜２は、ホストシーケンサ
ＨＰＬＣ１〜３が格納している設備履歴データ量を定期
的に監視し、データ量が変化した時点で設備履歴データ
の増加分をホストシーケンサから読み出す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、生産設備における
設備改善や生産管理等のデータ収集の自動化を目的とし
た個別設備の異常等の発生履歴を蓄積するとともに、各
設備毎に稼働状態別に累積時間を積算し、稼働率を算出
するシステムに係り、生産システムにおける設備履歴管
理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的な生産設備においては、メインの
生産ラインを構成する複数の作業ステーション間にわた
ってワークを移動させるとともに、サブの生産ラインの
作業ステーションで加工した部品等をメインの生産ライ
ンの適当な作業ステーションに供給し、メインの生産ラ
イン上を移動するワークに順次に部品の装着や加工を施
すことにより製品を完成させて行く。

【０００３】このような生産設備においてはシステム構
成が階層構造となっている。つまり、各作業ステーショ
ンにおける種々の作業単位毎に、各作業を担う機器を制
御する設備シーケンサを配置しており、関連する複数の
作業単位の集まり毎にホストシーケンサを配し、ホスト
シーケンサと各設備シーケンサとを接続して下位層のネ
ットワークを形成している。さらに、各生産ライン毎に
設けたラインホストコンピュータと各ホストシーケンサ
とを接続して中位層のネットワークを形成し、各ライン
ホストコンピュータと工場全体の生産管理を行う生産管
理用コンピュータとを接続して上位層のネットワークを
形成している。

【０００４】各設備シーケンサは設備の状態を管理する
ための設備情報を持っており、この設備情報は以下の３
つの形態で管理していた。 １．全ての設備情報を入出力信号としてラインホストコ
ンピュータに送信し、ラインホストコンピュータにおい
て集中管理する。 ２．設備情報をコード化してラインホストコンピュータ
に送信し、ラインホストコンピュータにおいて集中管理
する。 ３．設備情報を設備シーケンサにおいて個々に個別管理
する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、１項に記載す
る形態においては、入力信号の一つ一つに対して設備状
態の個々の現象を割り付けて全ての現象を送信するの
で、管理は簡単であるが、伝送するデータ量が多くな
り、伝送路が大きくなる問題があった。２項に記載する
形態においては、設備状態をコード化して表すので、伝
送するデータ量は少なくなるが、１つのコードでは１つ
の現象しか表現できないので、同時に複数の現象が発生
した場合に対応しきれず、これに対応するために複数の
コードを伝送しようとすると、結局において伝送するデ
ータ量が多くなる問題があった。３項に記載する形態に
おいては、個別の設備シーケンサが各々に設備情報を履
歴として蓄積するプログラムが必要となり、設備シーケ
ンサの容量を大きくする必要があった。

【０００６】本発明は上記した課題を解決するものであ
り、設備状態を共通コードで大まかに表示するととも
に、個々の現象を個別コードとして表すことにより、伝
送するデータ量の増大を招くことなく、かつ必要な情報
の全てを集中管理することができる生産システムにおけ
る設備履歴管理方法を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明の生産システムにおける設備履歴管理方
法は、生産ライン毎に配したラインホストコンピュータ
と当該生産ラインにおける作業区分毎に配したホストシ
ーケンサとを接続して上位層のネットワークを形成し、
各ホストシーケンサと当該作業区分において単位作業を
担う設備シーケンサとを接続して下位層のネットワーク
を形成してなる多階層構造の生産システムにおいて、各
設備シーケンサの配下における各設備の諸現象の状態を
設備状態コード体系として表すに際し、設備の現在の稼
働状態を表す稼働状態コードを設定し、稼働状態コード
を、各設備に共通で設備の稼働状態を大まかにコードデ
ータで表す共通コードと、各設備に固有で設備の個々の
構成要素の現況をオン・オフの二値化した値としてビッ
ト列で表す個別コードとで構成し、設備シーケンサは、
随時に現在の稼働状態に対応する稼働状態コードを生成
して出力し、ホストシーケンサは、各設備シーケンサか
ら出力された共通コードを配下の全設備シーケンサに関
して定期的に監視し、各設備シーケンサの共通コードの
継続する時間を積算し、共通コードが変化した時点で当
該共通コードに対応する稼働状態が終了したとして、当
該共通コードに係累する情報を共通コードのコードデー
タとともに設備履歴データとして拡張ファイルメモリに
格納し、共通コードが異常値を示す場合に、当該共通コ
ードに係る個別コードの中からオン状態のビットのアド
レスを検索して当該情報を前記設備履歴データに含めて
格納し、ラインホストコンピュータは、ホストシーケン
サが格納している設備履歴データ量を定期的に監視し、
前記データ量が変化した時点で設備履歴データの増加分
をホストシーケンサから読み出す構成とする。

【０００８】また、設備状態コード体系として、稼働状
態コードとともに、将来に予測される事態を表すメッセ
ージコードを設定し、設備シーケンサは、稼働状態コー
ドとメッセージコードおよび現在の加工対象の製品コー
ドを下位層のネットワークに出力し、ホストシーケンサ
は、各設備シーケンサから出力された各コードデータを
配下の全設備シーケンサに関して読み取り、共通コード
一覧表、メッセージコード一覧表、製品コード一覧表を
形成するとともに、各コードが継続する時間を積算し、
共通コードが変化した時点で、当該共通コードに係累す
る情報としてメッセージコードおよび製品コードのコー
ドデータを前記設備履歴データに含めて格納する構成と
する。

【０００９】上記した構成により、設備状態を共通コー
ドのコードデータと個別コードのビット情報の両方で表
し、常時はコードデータだけをホストシーケンサで監視
することにより監視するデータ量を削減し、異常時に個
別コードを読み取ることにより、複数種の状態に関する
情報を、伝送するデータ量の増大を招くことなく、随時
に全て集中管理することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図１は、鋳物の製造設備における多
階層構造の生産システムを示すブロック図である。鋳物
の生産工程は大別して複数の作業区分からなり、この作
業区分は各作業ステーションにおいて行う種々の単位作
業の関連するものの集まりで、中子の製造を行う作業区
分と、鋳型に溶湯を注湯して鋳造を行う作業区分と、鋳
造後の処理を行う作業区分等がある。

【００１１】各作業区分においては、各単位作業を担う
機器毎に、それらの機器を制御するための設備シーケン
サＰＬＣ１〜３０を配置し、各作業区分毎にホストシー
ケンサＨＰＬＣ１〜３を配しており、各ホストシーケン
サＨＰＬＣ１〜３と各々の配下の設備シーケンサＰＬＣ
１〜３０とを接続して、中子シーケンサネットワークや
鋳造シーケンサネットワークや処理シーケンサネットワ
ーク等の下位層のネットワークＮＥＴ１〜３を形成して
いる。

【００１２】さらに、各生産ライン毎に設けた正副のラ
インホストコンピュータＬＨＣ１〜２と、当該生産ライ
ンにおける作業区分毎に配した各ホストシーケンサＨＰ
ＬＣ１〜３とを接続して上位層のネットワークＮＥＴ４
を形成している。

【００１３】上記した構成においては、各設備シーケン
サＰＬＣ１〜３０の配下における各設備の状態を、ネッ
トワークＮＥＴ１〜４を通して近隣の設備や上位のシス
テムに知らせるために、各設備において生起する諸現象
の状態を設備状態コード体系として表す。

【００１４】設備状態コード体系は、稼働状態コードお
よびメッセージコード（１６ビット：１ワードのコード
データ）で構成し、さらに稼働状態コードを共通コード
（１６ビット：１ワードのコードデータ）と個別コード
（１０２４ビット：６４ワードのビット列）で構成して
いる。稼働状態コードは設備の現在の稼働状態を表すも
のであり、メッセージコードは将来に予測される事態を
表すものである。共通コードは各設備に共通で設備の稼
働状態を大まかに表すものであり、個別コードは各設備
に固有で設備の個々の構成要素、例えば設備毎に異なる
動作やアクチュエータやセンサの現況をオン・オフの二
値化した値として表すものである。

【００１５】共通コードは、図２に示すように、０ビッ
トから６ビットまでのビットを使って設備の諸状態を表
すものであり、図３に示すように、各位のビットに順次
に、計画停止中や非常停止中等の諸状態を割り当て、各
ビットのオン・オフにより各状態の存在の有無を表現
し、諸状態をコード的に表すものである。

【００１６】個別コードは異常内容の特定に使用するも
のである。設備の異常な状態は設備シーケンサＰＬＣ１
〜３０における入出力の数に相応する程度に存在する。
このため、図４に示すように、設備シーケンサＰＬＣ１
〜３０の入出力に対応したビット列を個別コードとして
利用し、設備シーケンサＰＬＣ１〜３０におけるコード
化プログラムを節約する。ところで、入出力のビット列
には異常な状態であるか否には関与しないビットが存在
するので、異常な状態を表す指標として検出したいビッ
トだけを「１」としたマスクビット列を形成し、入出力
ビット列とマスクビット列の間で論理積を取ることによ
り、個別コードのビット列を生成する。

【００１７】メッセージコードは、オペレータの作業を
促すためのコードであり、設備の現在の状態に拘らず
に、材料切れが近いとか、機種の変更が近い等の予測さ
れる将来の事態を示す。メッセージコードは、図５に示
すように、０ビットから４ビットまでのビットを使って
設備の諸事態を表すものであり、図６に示すように、各
位のビットに順次に、工具交換が近いや材料供給が近い
等の事態を割り当て、各ビットのオン・オフにより各事
態の存在の有無を表現するものである。

【００１８】以下に上記した構成における作用を説明す
る。 １．設備シーケンサＰＬＣ１〜３０は稼働状態コード、
メッセージコードを作成し、共通コードを指定のリンク
レジスタに格納し、個別コードを指定のデータレジスタ
に格納し、メッセージコードを指定のリンクレジスタに
格納する。また、現在の加工対象の製品コードも指定の
リンクレジスタに格納する。

【００１９】２．ホストシーケンサＨＰＬＣ１〜３は、
１秒間隔で各設備シーケンサＰＬＣ１〜３０から出力さ
れた共通コード、メッセージコード、製品コードを配下
の全設備シーケンサに関して読み取る。

【００２０】３．ホストシーケンサＨＰＬＣ１〜３は、
読み取った共通コード、メッセージコード、製品コード
を元に、全設備の係る共通コード一覧表、メッセージコ
ード一覧表、製品コード一覧表を作成し、各共通コード
の継続する時間を積算して積算時間のデータの更新を行
う。

【００２１】４．ホストシーケンサＨＰＬＣ１〜３は、
各共通コードが１秒前の前回のコードデータに等しいか
否かを監視し、変化した時点で当該共通コードに対応す
る稼働状態が終了したとして、図７に示す設備履歴デー
タの終了時刻エリアに終了時刻を書き込み、当該共通コ
ードに係累する情報を共通コードのコードデータととも
に設備履歴データとして拡張ファイルメモリに格納す
る。

【００２２】５．ホストシーケンサＨＰＬＣ１〜３は、
設備履歴データの各項目を初期状態にセットして後に、
新たな共通コードに係累するデータを書き込む。このと
き、共通コードが異常停止を示す場合に、その設備にお
ける当該共通コードに係る個別コードを読み込み、個別
コードの中からオン状態のビットのアドレスを検索し、
当該情報を設備履歴データの個別コードエリアに書き込
む。

【００２３】６．ラインホストコンピュータＬＨＣ１〜
２は、ホストシーケンサＨＰＬＣ１〜３が格納している
設備履歴データ量を定期的に監視し、前記データ量が変
化した時点で設備履歴データの増加分をホストシーケン
サＨＰＬＣ１〜３から読み出す。

【００２４】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、設備
状態を共通コードのコードデータと個別コードのビット
情報の両方で表し、常時はコードデータだけをホストシ
ーケンサで監視することにより監視するデータ量を削減
し、異常時に個別コードを読み取ることにより、複数種
の状態に関する情報を、伝送するデータ量の増大を招く
ことなく、随時に全て集中管理することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態におけるシステム構成を示す
ブロック図である。

【図２】同実施形態における共通コードのビット列を示
す模式図である。

【図３】同実施形態における共通コードの内容の説明図
である。

【図４】同実施形態における個別コードのビット列を示
す模式図である。

【図５】同実施形態におけるメッセージコードのビット
列を示す模式図である。

【図６】同実施形態におけるメッセージコードの内容の
説明図である。

【図７】同実施形態における設備履歴データの内容の説
明図である。

【符号の説明】

ＬＨＣ ラインホストコンピュータ ＨＰＬＣ ホストシーケンサ ＮＥＴ ネットワーク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 幸男 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目２番47号 株式会社クボタ内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 生産ライン毎に配したラインホストコン
   ピュータと当該生産ラインにおける作業区分毎に配した
   ホストシーケンサとを接続して上位層のネットワークを
   形成し、各ホストシーケンサと当該作業区分において単
   位作業を担う設備シーケンサとを接続して下位層のネッ
   トワークを形成してなる多階層構造の生産システムにお
   いて、 各設備シーケンサの配下における各設備の諸現象の状態
   を設備状態コード体系として表すに際し、設備の現在の
   稼働状態を表す稼働状態コードを設定し、稼働状態コー
   ドを、各設備に共通で設備の稼働状態を大まかにコード
   データで表す共通コードと、各設備に固有で設備の個々
   の構成要素の現況をオン・オフの二値化した値としてビ
   ット列で表す個別コードとで構成し、 設備シーケンサは、随時に現在の稼働状態に対応する稼
   働状態コードを生成して出力し、ホストシーケンサは、
   各設備シーケンサから出力された共通コードを配下の全
   設備シーケンサに関して定期的に監視し、各設備シーケ
   ンサの共通コードの継続する時間を積算し、共通コード
   が変化した時点で当該共通コードに対応する稼働状態が
   終了したとして、当該共通コードに係累する情報を共通
   コードのコードデータとともに設備履歴データとして拡
   張ファイルメモリに格納し、共通コードが異常値を示す
   場合に、当該共通コードに係る個別コードの中からオン
   状態のビットのアドレスを検出して当該情報を前記設備
   履歴データに含めて格納し、ラインホストコンピュータ
   は、ホストシーケンサが格納している設備履歴データ量
   を定期的に監視し、前記データ量が変化した時点で設備
   履歴データの増加分をホストシーケンサから読み出すこ
   とを特徴とする生産システムにおける設備履歴管理方
   法。
2. 【請求項２】 設備状態コード体系として、稼働状態コ
   ードとともに、将来に予測される事態を表すメッセージ
   コードを設定し、設備シーケンサは、稼働状態コードと
   メッセージコードおよび現在の加工対象の製品コードを
   下位層のネットワークに出力し、ホストシーケンサは、
   各設備シーケンサから出力された各コードデータを配下
   の全設備シーケンサに関して読み取り、共通コード一覧
   表、メッセージコード一覧表、製品コード一覧表を形成
   するとともに、各コードが継続する時間を積算し、共通
   コードが変化した時点で、当該共通コードに係累する情
   報としてメッセージコードおよび製品コードのコードデ
   ータを前記設備履歴データに含めて格納することを特徴
   とする請求項１記載の生産システムにおける設備履歴管
   理方法。