JPH0910668A - 静電式壁面被覆方法 - Google Patents

静電式壁面被覆方法

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JPH0910668A
JPH0910668A JP7161724A JP16172495A JPH0910668A JP H0910668 A JPH0910668 A JP H0910668A JP 7161724 A JP7161724 A JP 7161724A JP 16172495 A JP16172495 A JP 16172495A JP H0910668 A JPH0910668 A JP H0910668A
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信由 難波
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信夫 柵瀬
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みのり 白川
Fumiyoshi Hayashi
文 慶 林
Toshihiko Kurisawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】被覆材を壁面へ確実に固定する静電式壁面被覆
方法を提供する。 【構成】壁面1に接着剤層2を密着形成する。大地Eか
ら間隔8をおいた一端開口の荷電容器5に軽い被覆材細
片3を入れ、荷電容器5と大地Eとの間隔8より狭い間
隙6を介して荷電容器5の開口4を壁面1の接着剤層2
に対向させ、壁面1を大地Eへ電気的に接続し、荷電す
るに充分な大きさの直流電圧Vを大地Eと荷電容器5と
の間に印加して被覆材細片3を荷電する。被覆材細片3
を充分軽量にして直流電圧Vによる前記荷電後には間隙
6の電界により被覆材細片3が壁面1の接着剤層2へ飛
翔可能となるようにし、その飛翔によって被覆材細片3
を接着剤層2へ衝突させて固定する。壁面1の単なる被
覆だけでなく、被覆材細片3の材料を適宜選択して壁面
1の加工・補修に利用し、被覆材細片3に植物性細片を
混入して壁面1の緑化に利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電式壁面被覆方法に
関し、特に建築物等の構造物の表面及び壁面(以下、
「壁面」という。)をいわゆる静電植毛に利用可能な各
種材料により簡単な操作で確実に被覆するか又は緑化す
る静電式壁面被覆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】壁面の加工・補修は、一定の形に成形加
工した石材、木材、金属部材等の被覆材料を現場で職人
が張付けや塗付けする手作業により行なうのが普通であ
る。また、特願平7-044186号はコケ・シダ類の胞子や切
片を栄養分含浸後の担体と共に壁面へ固着させて着生・
増殖させることにより緑化する壁面緑化方法を提案して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の手作業
による壁面の加工・補修には、現場における被覆材料そ
の他の関連材料の成形、加工のために複雑で多様な作業
を必要とし、高度の熟練が求められたり、仕上りの出来
・不出来が作業員や職人の技量に左右されたりする問題
点がある。さらに前記壁面緑化方法では、コケ・シダ類
の胞子や切片が壁面に一旦固着しても着生・増殖する前
に脱落する問題点もある。
【0004】よって本発明の目的は、簡単な操作により
被覆材を壁面へ整然としかも確実に固定する静電式壁面
被覆方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】壁面への被覆材固定に関
する従来技術の上記問題点を解決するため、本発明者
は、電界中におかれた繊維状誘電体が電界の方向に配列
する特徴を生かし、対象物体の表面に予め設けた接着剤
層へ静電力を用いて短繊維を植付ける静電植毛技術に着
目した。本発明者は、短繊維だけでなく充分軽量な細片
であれば、その細片を、荷電容器によって荷電し且つ電
界で荷電細片に働く力を用い対象物表面の接着剤層へ飛
翔させて整然と固定できることを実験により確認した。
例えば、粒径0.850mm以下の海岸の砂、粒径0.125mm以下
の海底土、粒径0.125mm以下の地の粉、海水処理した粒
径2.000mm以下の山砂を、いわゆる静電植毛に利用でき
ることを確認した。本発明はこの知見に基づき完成され
たものである。
【0006】図1を参照するに、本発明の静電式壁面被
覆方法は、壁面1に接着剤層2を密着形成し、大地Eか
ら間隔8をおいた一端開口の荷電容器5に被覆材細片3
を入れ、荷電容器5と大地Eとの間隔8より狭い間隙6
を介して荷電容器5の開口4を壁面1の接着剤層2に対
向させ、壁面1を大地Eへ電気的に接続し、直流電圧V
を大地Eと荷電容器5との間に印加して被覆材細片3を
荷電し、被覆材細片3の重さを前記荷電後の被覆材細片
3が間隙6に加わる前記直流電圧Vにより壁面1の接着
剤層2へ飛翔できる程度とし、その飛翔によって被覆材
細片3を接着剤層2へ衝突させ固定してなるものであ
る。
【0007】この静電式壁面被覆方法は、壁面1の単な
る被覆だけでなく、被覆材細片3の材料を適宜選択して
壁面1の仕上等の加工に利用することができる。さら
に、同様な被覆材細片3の材料の選択により、経時的な
老化又はなんらかの損傷が生じた壁面1の補修にこの静
電式壁面被覆方法を利用することも可能である。
【0008】図4に示す本発明の実施例においては、壁
面1に固定可能な板状体16の表面に接着剤層2を密着形
成し、大地Eから間隔8をおいた一端開口の荷電容器5
に被覆材細片3を入れ、荷電容器5と大地Eとの間隔8
より狭い間隙6を介して荷電容器5の開口4を板状体16
表面の接着剤層2に対向させ、板状体16を大地Eへ電気
的に接続し、直流電圧Vを大地Eと荷電容器5との間に
印加して被覆材細片3を荷電し、被覆材細片3の重さを
前記荷電後の被覆材細片3が間隙6に加わる前記直流電
圧Vにより板状体16の接着剤層2へ飛翔できる程度と
し、その飛翔によって被覆材細片3を接着剤層2へ衝突
させ固定して被覆基盤15を形成し、被覆基盤15を固定部
材17又は固着剤19により壁面1に固定する。好ましくは
板状体16の材料を、コンクリート、木、金属、合成樹
脂、石、セラミック、紙、若しくは布又はそれらの組合
わせとし、その形状を被覆材細片3の固定処理及び壁面
1への取付け工事に便利なものとする。
【0009】被覆材細片3の例は、粒径1mm以下の砂礫
粒子、土粒子、乾燥泥粒子、プラスチック粒子、金属粒
子、セラミック粒子、若しくはそれら粒子の混合物及び
/又は長さ10mm以下の繊維細片、おがくず細片、ピート
モス細片、乾燥コケ・シダ類細片、若しくはそれら細片
の混合物である。
【0010】壁面1がコンクリート壁面である場合に
は、接着剤層2をエポキシ系接着剤層とし、被覆材細片
3を荷電するための直流電圧Vを例えば荷電容器側で+
50ボルトないし−50ボルトの間の電圧とすることができ
る。
【0011】
【作用】
[実験例]縦横10cmの方形コンクリート平板の片面を図
1の壁面1とし、その上にエポキシ系接着剤を塗布して
接着剤層2を形成した。接着剤の塗布には、噴霧器によ
る吹付けを用いた。粒径0.125mm以下の乾燥海底土粒子
からなる被覆材細片3を図1の荷電容器5に装填し、単
に大地Eと荷電容器5との間に電圧を印加するのみで、
被覆材細片3を荷電し且つ接着剤層2へ飛翔させること
により接着剤層2へ衝突させて固定した。海底土の被覆
材細片3を飛翔させ固定させる過程において、方形コン
クリート平板の壁面1に対し荷電容器5を移動させ、方
形コンクリート平板の壁面1の被覆を均質に行なうよう
にした。荷電容器5の開口4と接着剤層2との間隙6を
約10cmとし、荷電及び飛翔用の電圧Vを荷電容器5側で
+50又は−50ボルトとした。この表面被覆の前後にコン
クリート平板表面上の5点の色彩を色彩計で測定し、JI
S Z 8729の物体色表示方法によってL*a*b*表色系で数値
化した結果を第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】第1表のL*a*b*値は、コンクリート平板の
表面の色が海底土の被覆によってはあまり変化しないこ
とを示す。しかし、海底土は粒径0.125mm以下と細かい
粒子からなるので、その被覆によってコンクリート平板
の表面が平滑に仕上がる。即ち、上記海底土の静電式被
覆により、コンクリート生地の色彩を維持しつつ表面を
平滑化する表面加工を行なうことができる。しかも、こ
の静電式壁面被覆方法は、大地Eと荷電容器5との間へ
単に直流電圧Vを印加するのみで、被覆材細片3を荷電
し且つ壁面1上の接着剤層2へ飛翔させることができ
る。その飛翔は、直流電圧Vの一様な電界により被覆材
細片3を一様に分散させて整然と壁面1上に固定させ
る。従って、操作が極めて簡単であり格別の熟練を要さ
ずに均質な表面被覆処理をすることが可能になる。こう
して被覆した被覆材細片3は接着剤層2に固定されるの
で、壁面1へ確実に固定される。
【0014】こうして、本発明の目的である「簡単な操
作により被覆材を壁面へ整然としかも確実に固定する静
電式壁面被覆方法」の提供が達成される。
【0015】
【実施例】本発明の静電式壁面被覆方法に利用できる被
覆材細片3の種々の材料の特性を実験により検討した。
その結果、鉄等の金属を含有する無機材料、例えば石、
砂礫、土、乾燥泥、レンガその他のセラミック材料は、
帯電している場合が多いので、前処理なしで荷電容器5
と壁面1との間の電界による本発明の静電式被覆に利用
できることを見出した。また、石、砂礫、土、乾燥泥、
レンガその他のセラミック材料の無機材料については、
多くの金属イオンが含まれる海水又は他の溶液に浸漬し
た後乾燥させる前処理が、それらの無機材料からなる被
覆材細片3に対する荷電容器5による荷電の強化に有効
であることも見出した。これらの無機材料の粒径1mm以
下の粒子、例えば砂礫粒子、土粒子、乾燥泥粒子、セラ
ミック粒子、若しくはそれら粒子の混合物により、被覆
材細片3を形成することができる。実験によれば、上記
無機材料の粒子と同様な大きさのプラスチック粒子や金
属粒子も被覆材細片3として使用することができる。本
発明における被覆材細片3としては、さらに有機材料の
長さ10mm以下の細片、例えば、繊維細片、おがくず細
片、ピートモス細片、乾燥コケ・シダ類細片、若しくは
それら細片の混合物を単独で又は前記無機材料の粒子と
混合して使うことができる。
【0016】本発明を構造物の表面の被覆に利用する場
合には、被覆材細片3の固定に用いる接着剤層2が構造
物表面を覆うので、構造物内部からその構成物質が溶出
するのを防止しその劣化を防止できることを次の実験に
より確認した。
【0017】実験1:図2(A)に示す試験容器10を10個
用意し、それぞれの底部に約90gのコンクリートを硬化
させた。そのうち、5個の容器10の各々におけるコンク
リート頂面全体約24cm2を図2(B)に示すようにエポキ
シ系接着剤1.7gからなる接着剤層2で覆った。10個の
容器10の各々に蒸留水100ミリリットル(水素濃度pHの
平均値6.9)を入れ、1週間に亘りそのpHを毎日1回測
定し、pH測定後に毎日水換えを行なった。その測定結果
を図3に示す。
【0018】接着剤層2がない容器10では、水酸化カル
シウム等の溶出によりpHが平均11以上に上昇したが、接
着剤層2を設けた容器10では、水酸化カルシウム等の溶
出が抑制されpHは平均7.7〜9.0に留った。これにより、
接着剤層2がコンクリート成分の溶出を抑制することを
実証できた。
【0019】本発明の方法により被覆する壁面1は、コ
ンクリート構造物の表面だけでなく、タイル、木材、金
属、合成樹脂、石材、又はセラミックからなる壁面とす
ることができる。
【0020】図4を参照するに、本発明の静電式壁面被
覆方法は、構造物の表面又は壁面を直接に被覆するだけ
でなく、先ず多数の被覆基盤15を作成し、次いでそれら
を固定用ボルト等の固定部材17又は固着剤19により構造
物9の壁面1に固定することにより壁面被覆を行なうこ
とができる。被覆基盤15の基板としては、コンクリー
ト、木、金属、合成樹脂、石、セラミック、紙、又は布
製の板状体16を使うことができる。板状体16の表面にお
ける接着剤層2の密着形成、及びその接着剤層2への被
覆材細片3の固着は、図1の場合と同様な手法により行
なうことができる。被覆基盤15によれば、任意の形状の
壁面1の被覆が可能であり、図4に垂直、水平、及び傾
斜壁面の例を示す。
【0021】本発明によれば、図1の被覆材細片3に替
えて図5の植物性細片20と保水材細片21との混合物を用
いることにより壁面1を緑化する方法を提供することが
できる。即ち、壁面1に接着剤層2を密着形成し、大地
Eから間隔8をおいた一端開口の荷電容器5に植物性細
片20及び栄養分含浸後の保水材細片21を入れ、荷電容器
5と大地Eとの間隔8より狭い間隙6を介して荷電容器
5の開口4を壁面1の接着剤層2に対向させ、壁面1を
大地Eへ電気的に接続し、直流電圧Vを大地Eと荷電容
器5との間に印加して植物性細片20及び保水材細片21を
荷電し、植物性細片20及び保水材細片21の重さを前記荷
電後の植物性細片20及び保水材細片21が間隙6に加わる
直流電圧Vの電界により壁面1の接着剤層2へ飛翔でき
る程度とし、その飛翔により植物性細片20及び保水材細
片21を接着剤層2へ衝突させて固定し、その固定後の植
物性細片20を固定後の保水材細片21の栄養分で着生・増
殖させる。
【0022】植物性細片20としては、コケ・シダ類の胞
子若しくは切片又は草本植物の種とすることができ、例
えば図6に示すコケを図7に示すように切断した切片と
することができる。草本植物の種として例えば芝の種子
を使ってもよい。保水材細片21に含浸すべき栄養分とし
ては、例えば第2表のMC培地を使うことができる。
【0023】
【表2】
【0024】保水材細片21としては、図1の静電式壁面
被覆方法で被覆材としての有効性が実証された被覆材細
片3を使うことが可能である。即ち、保水材細片21を例
えば長さ10mm以下のおがくず細片、ピートモス細片、繊
維細片、若しくはそれら細片の混合物、及び/又は粒径
1mm以下の砂礫粒子、土粒子、乾燥泥粒子、プラスチッ
ク粒子、金属粒子、セラミック粒子、若しくはそれら粒
子の混合物とすることができる。
【0025】図5の本発明による静電式壁面緑化方法に
よれば、植物性細片20及び保水材細片21を壁面1に確実
に固定し、植物性細片20を壁面1に固着した保水材細片
21の栄養分で着生・増殖させ得ることを次の実験により
確認した。
【0026】実験2:図8に示した縦横13.5×12.0cmの
コンクリート平板25の片面を図5の壁面1とし、その上
にエポキシ系接着剤を塗布して接着剤層2を形成した。
乾燥させた後数mmに切断したコケ切片(図7)0.4gを
植物性細片20とすると共に大きさ0.85mm以下のおがくず
3gを保水材細片21として図5の荷電容器5に装填し
た。大地E及びコンクリート平板25と荷電容器5との間
に電圧Vを印加するのみで、植物性細片20及び保水材細
片21を荷電し、接着剤層2へ飛翔させ且つ接着剤層2に
固定した。この飛翔及び固定の過程において、コンクリ
ート平板25の壁面1に対し荷電容器5を移動させ、壁面
1における植物性細片20及び保水材細片21の分布の一様
化を図った。実験例の場合と同様に、荷電容器5の開口
4と接着剤層2との間隙6を約10cmとし、荷電及び飛翔
用の電圧Vを荷電容器5側で+50又は−50ボルトとし
た。このコンクリート平板25を図8の水槽26内に垂直に
立て、コンクリート平板25の下部約5mmを水につけて、
おがくずの吸水によりその表面1を湿潤状態に保った。
この水槽26を、平均室温17.9゜Cで昼間の最高照度が平均
9000ルックスの室内に20日間放置し、コンクリート平板
25上で植物性細片20としてのコケを培養し、コケ切片の
生長を写真と色の変化で測定した。
【0027】色の変化については、色彩計で表面被覆の
前後にコンクリート平板25表面上の9点の色彩を測定
し、JIS Z 8729の物体色表示方法によるL*a*b*表色系で
数値化した。その結果を第3表に示す。ここに、a*は緑
と赤との間の色の変化を表わす指標で、+は赤方向、−
は緑方向、0は無彩色を示す。
【0028】
【表3】
【0029】図9及び図10は、コンクリート平板25へ
植物性細片20と保水材細片21との固定直後及びその後20
日間の前記培養後のコンクリート平板25の外観の写真に
おける色彩を模式化して示す。図9、図10及び第3表
から、コケ切片がコンクリート平板25の表面即ち壁面1
から脱落することなく生長し、その色彩もおがくずの色
である赤方向(a*の平均値が正の2.73)から、生長した
コケの色である緑方向(a*の平均値が負の1.21)へ変化
したことが認められる。従って、壁面1の緑化が確認さ
れたこととなる。
【0030】しかも、この静電式壁面緑化方法は、植物
性細片20と保水材細片21とを、大地Eと荷電容器5との
間への単なる電圧印加のみで荷電し且つ壁面1上の接着
剤層2へ飛翔させて固定できるので、植物性細片20が壁
面1から落下するのを防止し、簡単な操作で確実な表面
緑化処理をすることが可能になる。さらに直流電圧Vに
よる一様な電界に応じて植物性細片20が整然と接着剤層
2に固定されるので、壁面1への植物性細片20の均一な
固着により均質な緑化を行なうことができる。
【0031】また、電界による植物性細片20の飛翔と固
着は、図5に示すように緑化用植物の胞子、切片、又は
種の一端のみを接着剤層2と接触させるので、接着剤に
よる植物性細片20の枯死を防ぐことができる。天然及び
合成の繊維材料、木、砂礫、土等からなる保水材細片21
は、植物の生育に必須の水を保持し且つ供給する能力を
もつ。例えば、大きさ0.85〜2.00mmのおがくずでは、乾
燥重量1g当り約7gの水を蓄えることができる。
【0032】図11は、先ず複数の緑化基盤30を製作
し、次にこれを構造物9等の壁面1へ固定ボルト等の固
定部材17又は固着剤19で固定することによって壁面1を
緑化する方法を示す。緑化基盤30を形成するには、コン
クリート、木、金属、合成樹脂、石、セラミック、紙、
又は布製の板状体16の表面に、図5に示すような壁面1
の直接緑化の場合と同様な手法で、植物性細片20及び保
水材細片21を固定する。緑化基盤30によれば、任意の形
状の壁面1の緑化が可能であり、図11に垂直、水平、
及び傾斜壁面の例を示す。
【0033】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明の静電
式壁面被覆方法は、いわゆる静電植毛の手法により軽量
の被覆材細片又は植物性細片等を荷電して壁面上の接着
剤層へ飛翔させて固定するので、次の顕著な効果を奏す
る。
【0034】(イ)被覆材細片を直接に飛翔させ壁面に
固定するので、従来技術における被覆材料の成形等の前
処理が不要になり、作業が簡単になる。 (ロ)現場作業が接着剤層の塗布、荷電容器への被覆材
細片の装填、及び荷電容器への直流電圧の印加等と比較
的単純な操作のみとなり、しかも工数が減少するので、
現場作業期間を短縮できる。 (ハ)荷電容器への直流電圧の印加で生ずる一様な電界
が被覆材細片を飛翔させその結果接着剤層へ固定させる
ので、被覆材細片が壁面へ均質に固定され仕上りの出来
・不出来が作業員の技量に左右されない。 (ニ)種々の素材を被覆材細片として利用できるので、
既存構造物壁面の形状・色彩・模様に見合った補修が容
易である。 (ホ)鉄等の金属を含有する無機材料、例えば石、砂
礫、土、乾燥泥、レンガその他のセラミック等を前処理
無しで簡単に荷電し飛翔させることができる。 (ヘ)海水等の含金属イオン溶液へ浸漬した後乾燥させ
ることにより、被覆材細片の荷電の強化を容易に行なえ
る。 (ト)海底土等の粒系が揃った微小粒子を被覆材細片と
することにより、緻密で平滑な表面仕上を壁面被覆手法
により簡単に行なうことができる。 (チ)接着剤層により構造物の組成物質の溶出を防止
し、構造物の劣化を防ぐことができる。 (リ)植物性細片を接着剤層へ固定し、壁面から落下す
るのを防止して、確実な表面緑化を達成することができ
る。 (ヌ)一様な電界に応じて植物性細片を整然と接着剤層
に固定するので、均質な壁面緑化を行なうことができ
る。 (ヲ)電界による植物性細片の飛翔と固定は、緑化用植
物の胞子、切片、及び種の一端のみを接着剤層と接触さ
せるので、接着剤による植物性細片の枯死を防ぐことが
できる。 (ワ)高い保水能力のある保水材細片を用い、植物性細
片を確実に生育させることができる。 (カ)適当な形状の保水材細片の選択により緑化表面に
凹凸を形成しコケ・シダ類の根を張り易くしその流出を
防止できる。 (ヨ)緑化表面に凹凸を形成した場合には、強い日射時
にその凹凸で小さな日陰を作り、涼感のある色調を創出
し、併せて水分の蒸発を抑制してコケ・シダ類を保護す
ることができる。 (タ)おがくずの黄色、ピートモスの茶色、コケ・シダ
類の緑色の適当な混合により、薄い黄色から濃い茶色ま
での異なるベースの上に各種色調の緑色からなる色彩の
変化を演出することができる。 (レ)廃材となった木製型枠からおがくずを作って利用
することにより資源の再利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明による静電式壁面被覆方法の説明図
である。
【図2】は、コンクリートの構成物質の溶出防止実験の
説明図である。
【図3】は、上記実験の結果を示すグラフである。
【図4】は、被覆基盤を用いる静電式壁面被覆方法の説
明図である。
【図5】は、本発明の静電式壁面緑化方法の説明図であ
る。
【図6】は、乾燥したコケの生態を示す写真の複写図で
ある。
【図7】は、前記乾燥したコケの切片の生態を示す写真
の複写図である。
【図8】は、本発明方法で固定した植物性細片の生長実
験の説明図である。
【図9】は、植物性細片を固定した直後の試料の外観の
模式図である。
【図10】は、20日間培養後の前記試料の外観の模式
図である。
【図11】は、緑化基盤を用いる静電式壁面緑化方法の
説明図である。
【符号の説明】
1 壁面 2 接着剤層 3 被覆材細片 4 開口 5 荷電容器 6 間隙 7 電源 8 間隔 9 構造物 10 試験容器 11 コンクリート試験体 12 蒸留水 15 被覆基盤 16 板状体 17 固定部材 19 固着剤 20 植物性細片 21 保水材細片 25 コンクリート平板 26 水槽 27 水 30 緑化基盤。
フロントページの続き (72)発明者 林 文 慶 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 栗沢 敏彦 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】壁面に接着剤層を密着形成し、大地から間
    隔をおいた一端開口の荷電容器に被覆材細片を入れ、前
    記荷電容器と大地との間隔より狭い間隙を介して前記荷
    電容器の開口を前記壁面の接着剤層に対向させ、前記壁
    面を大地へ電気的に接続し、直流電圧を大地と前記荷電
    容器との間に印加して前記被覆材細片を荷電し、前記被
    覆材細片の重さを前記荷電後の被覆材細片が前記間隙に
    加わる前記直流電圧の電界により前記壁面の接着剤層へ
    飛翔できる程度とし、前記飛翔により前記被覆材細片を
    前記接着剤層へ衝突させ固定してなる静電式壁面被覆方
    法。
  2. 【請求項2】壁面に固定可能な板状体の表面に接着剤層
    を密着形成し;大地から間隔をおいた一端開口の荷電容
    器に被覆材細片を入れ;前記荷電容器と大地との間隔よ
    り狭い間隙を介して前記荷電容器の開口を前記板状体表
    面の接着剤層に対向させ;前記板状体を大地へ電気的に
    接続し;直流電圧を大地と前記荷電容器との間に印加し
    て前記被覆材細片を荷電し;前記被覆材細片の重さを前
    記荷電後の被覆材細片が前記間隙に加わる前記直流電圧
    の電界により前記板状体表面の接着剤層へ飛翔できる程
    度とし、前記飛翔により前記被覆材細片を前記板状体表
    面の接着剤層へ衝突させ固定して被覆基盤を形成し;前
    記被覆基盤を固定部材又は固着剤により壁面に固定して
    なる静電式壁面被覆方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の壁面被覆方法において、
    前記被覆材細片を粒径1mm以下の砂礫粒子、土粒子、乾
    燥泥粒子、プラスチック粒子、金属粒子、セラミック粒
    子、若しくはそれら粒子の混合物及び/又は長さ10mm以
    下の繊維細片、おがくず細片、ピートモス細片、乾燥コ
    ケ・シダ類細片、若しくはそれら細片の混合物としてな
    る静電式壁面被覆方法。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3の壁面被覆方法におい
    て、前記壁面をコンクリート壁面とし、前記接着剤層を
    エポキシ系接着剤層とし、前記直流電圧を前記荷電容器
    側で+50ボルトないし−50ボルトの間の電圧としてなる
    静電式壁面被覆方法。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3、又は4の壁面被覆方法
    において、前記壁面を、コンクリート、タイル、木材、
    金属、合成樹脂、石材、又はセラミックからなる構造物
    の壁面としてなる静電式壁面被覆方法。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4又は5の壁面被覆方
    法において、前記壁面を既設構造物の壁面としてなる静
    電式壁面補修方法。
  7. 【請求項7】壁面に接着剤層を密着形成し、大地から間
    隔をおいた一端開口の荷電容器に植物性細片及び栄養分
    含浸後の保水材細片を入れ、前記荷電容器と大地との間
    隔より狭い間隙を介して前記荷電容器の開口を前記壁面
    の接着剤層に対向させ、前記壁面を大地へ電気的に接続
    し、直流電圧を大地と前記荷電容器との間に印加して前
    記植物性細片及び保水材細片を荷電し、前記植物性細片
    の重さ及び保水材細片の重さを前記荷電後の植物性細片
    及び保水材細片が前記間隙に加わる前記直流電圧の電界
    により前記壁面の接着剤層へ飛翔できる程度とし、前記
    飛翔により前記植物性細片及び保水材細片を前記接着剤
    層へ衝突させて固定し、前記固定後の植物性細片を前記
    固定後の保水材細片の栄養分で着生・増殖させてなる静
    電式壁面緑化方法。
  8. 【請求項8】壁面に固定可能な板状体の表面に接着剤層
    を密着形成し;大地から間隔をおいた一端開口の荷電容
    器に植物性細片及び栄養分含浸後の保水材細片を入れ;
    前記荷電容器と大地との間隔より狭い間隙を介して前記
    荷電容器の開口を前記板状体表面の接着剤層に対向さ
    せ;前記板状体を大地へ電気的に接続し;直流電圧を大
    地と前記荷電容器との間に印加して前記植物性細片及び
    保水材細片を荷電し;前記植物性細片の重さ及び保水材
    細片の重さを前記荷電後の植物性細片及び保水材細片が
    前記間隙に加わる前記直流電圧の電界により前記板状体
    表面の接着剤層へ飛翔できる程度とし、前記飛翔により
    前記植物性細片及び保水材細片を前記板状体表面の接着
    剤層へ衝突させて固定し、前記固定後の植物性細片を前
    記固定後の保水材細片の栄養分で着生・増殖させて緑化
    基盤を形成し;前記緑化基盤を固定部材又は固着剤によ
    り壁面に固定してなる静電式壁面緑化方法。
  9. 【請求項9】請求項7又は8の壁面緑化方法において、
    前記植物性細片をコケ・シダ類の胞子若しくは切片又は
    草本植物の種としてなる静電式壁面緑化方法。
  10. 【請求項10】請求項9の壁面緑化方法において、前記
    草本植物を芝としてなる静電式壁面緑化方法。
  11. 【請求項11】請求項7、8、9又は10の壁面緑化方
    法において、前記保水材細片を長さ10mm以下のおがくず
    細片、ピートモス細片、繊維細片、若しくはそれら細片
    の混合物、及び/又は粒径1mm以下の砂礫粒子、土粒
    子、乾燥泥粒子、プラスチック粒子、金属粒子、セラミ
    ック粒子、若しくはそれら粒子の混合物としてなる静電
    式壁面緑化方法。
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