JPH09103201A

JPH09103201A - 育苗材、及び育苗材による播種方法

Info

Publication number: JPH09103201A
Application number: JP7261326A
Authority: JP
Inventors: Toshimasa Moriya; 利正守屋; Masaki Orimoto; 正樹折本
Original assignee: Kubota Corp
Current assignee: Kubota Corp
Priority date: 1995-10-09
Filing date: 1995-10-09
Publication date: 1997-04-22

Abstract

(57)【要約】【課題】播種設備としての作動速度向上等の能率改善
が可能な育苗材と、それによる合理的な播種方法を得
る。【解決手段】連続状の育苗用床材１に、種子受入れ用
の播種用凹み２を前後左右に配列した状態で多数形成す
るとともに、これら播種用凹み２の前後及び左右に切込
み溝３を形成して、上窄まりの台形単位ポットを多数配
列してマット苗の基礎となる育苗材を構成する。切込み
溝３を塞ぐ溝閉塞部６と、播種用凹み２に対応する開口
７とが形成された播種カバー５を構成し、播種カバー５
が被せられた育苗用床材１に対して播種、覆土、及び灌
水を行い、出芽するまでしてから播種カバー５を取除く
ようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、田植機等の移植機
に適したマット苗（連続苗）を成育させるための育苗材
と、その育苗材を用いた播種方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種のものとしては、特開平６‐７８
６３５号公報に示されたもののように、パルプ材で成る
育苗ポットシートが知られており、多数の単位ポットど
うしの間隔は、移植機の植付爪による苗の掻取りに適す
る寸法に設定されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記育苗ポットシート
は、植付時の苗分離を行い易くするための、言わば仕切
りであり、基本的には土を充填することで育苗の機能を
出すものである。従って、育苗ポットシートを用いてマ
ット苗を成育させるには、床土を供給する工程、灌水工
程、種を各ポット毎に蒔く播種工程、及び覆土供給工程
等を備えた播種設備が必要である。そして、近年の効率
化に伴い、上記播種設備の作動速度を上げることも課題
であるが、基本的に必要な工程のみから成るものである
ため、現状の構造において設備の作動速度をより速める
のは困難である。そこで、本発明は育苗原理の見直しに
より、播種設備としての作動速度向上等の能率改善が可
能な育苗材と、それによる合理的な播種方法を得ること
を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

〔構成〕第１発明は、連続状の育苗用床材に、種子受入
れ用の播種用凹みを前後左右に配列した状態で多数形成
するとともに、これら播種用凹みの前後及び左右に切込
み溝を形成して育苗材を構成した点にある。

【０００５】第２発明は、第１発明における育苗用床材
における左及び右端の播種用凹みを、左右方向の中央側
に寄せて配置してある点にある。

【０００６】第３発明は、第１発明による育苗材と、第
１発明における育苗用床材に上から被せた状態におい
て、切込み溝を塞ぐ溝閉塞部と、播種用凹みに対応する
開口とが形成された播種カバーとを備え、この播種カバ
ーが被せられた育苗用床材に対して播種、覆土、及び灌
水を行い、その後に播種カバーを取除くようにすること
により、育苗材による播種方法とした点にある。

【０００７】〔作用〕請求項１の構成によれば、種を土
中で発芽・成育させるのではなく、育苗用床材中におい
て発芽・成育させるものとしたので、従来の床土供給工
程が不要となり、その分播種設備全体としての必要時間
が少なくて済み、能率が向上する。そして、種の入る播
種用凹みの前後左右に切込み溝を形成したので、発芽し
た種子の根が切込み溝を越えて隣の発芽領域に及ぶのが
規制されるようになるとともに、それら溝によってその
部分の育苗材の厚さが薄くなり、移植機での植付爪の掻
取りによる苗分離が促進される。

【０００８】請求項２の構成によれば、上記作用に加え
て次のような作用がある。すなわち、周知のように田植
機では苗載せ台を往復横送り、及び縦送りしながら苗を
植付て行くものであるが、その横送りのストロークエン
ドでの慣性によってマット状の苗全体が左右に位置ズレ
することがある。そうなると、マット状苗の最も横端部
に植付爪が掻取り作動するときに、上記左右のズレによ
って正規の幅よりも小さい掻取り幅しかなく、圃場に植
えられたときの株数が少なくなってその後の成育が悪い
とか、場合によっては枯れてしまう等の不都合に発展し
易い。

【０００９】そこで、育苗用床材における左及び右端の
播種用凹みを、左右方向の中央側に寄せて配置したか
ら、多少、植付爪のマット状苗に対する相対掻取り位置
が横方向にズレても、播種用凹み部分が掻取られる確率
を高めることができ、圃場において株数が少なくなって
しまうことを極力回避できるようになる。

【００１０】請求項３の播種方法による作用は次のよう
である。請求項１の構成による育苗材は、それ自身が床
土に代わるものであり、前述したように床土及びその供
給工程は不要であるが、播種後における覆土は必要にな
る。そこで、覆土を上方から播種用凹みに落下供給させ
るようにするのであるが、単に上方から連続供給させる
構造では、切込み溝にも覆土供給されてしまって都合が
悪い。何故なら、ペーパーポット苗では、ポットシート
が仕切りとなって根の側方への延伸が阻止されるので、
各ポット間に土が入っても差し支えないが、育苗用床材
には仕切り機能はないので、切込み溝に土が入ると根が
容易に隣のポット部に延伸してしまい、後の植付爪の掻
取りによる苗分離が悪くなるのである。

【００１１】そこで、切込み溝は塞ぎ、播種用凹みは開
放する播種カバーを育苗用床材に被せた状態で、播種、
覆土、及び灌水を行い、その後に播種カバーを取除くよ
うにするのである。この方法によれば、覆土が切込み溝
へ入らないようにできるとともに、種及び水を播種用凹
みに対して集中的に供給できるようになり、良好な育苗
状態と植付時における良好な苗分離とを実現できるよう
になる。

【００１２】〔効果〕請求項１及び２に記載の育苗材で
は、床土供給工程が省略できて播種設備での作動能率向
上が図れるものを、植付時の苗分離が良好に行われる状
態としながら提供することができた。

【００１３】請求項２に記載の育苗材では、上記効果に
加え、育苗用床材の左右端における播種用凹みを中央側
に寄せるだけの比較的簡単な工夫により、移植機の機構
上苗の左右端部で生じる掻取り量不足を補えることがで
き、圃場において株数が少ないとか成育が不良である等
の不都合を未然に回避できる利点がある。

【００１４】又、請求項３に記載の播種方法、すなわ
ち、播種カバー装着後に播種、覆土、及び灌水の各工程
を行い、その後に播種カバーを取外すことにより、作業
能率の向上する育苗材に適した播種が行えるようになっ
た。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図１に育苗材Ｓの平面図を、図
２にその断面図を夫々示す。この育苗材Ｓは、連続状の
育苗用床材であるマット１に、種子受入れ用の播種用凹
み２を前後左右に配列した状態で多数形成するととも
に、その多数の播種用凹み２の前後及び左右に切込み溝
３を形成して構成されている。

【００１６】マット１の材質は、樹脂又は天然有機物で
あり、いずれも含水率５０〜１００％のものから構成さ
れている。縦横の切込み溝３によって各播種用凹み２が
隔てられて単位ポット４が形成されており、その単位ポ
ット４が前後左右に多数、規則正しく配列された状態に
なっている。

【００１７】育苗材Ｓ、及び単位ポット４等の各部の寸
法（単位：mm）は下記の通りである。Ａ＝２８０（但し、公差：０から−５）Ｂ＝５７５〜１０００Ｃ＝２０〜３０ａ＝１５〜２３ｂ＝１４〜２３ｃ＝７〜１８ｄ＝７〜１５ｅ＝１５〜２０ここで、Ａはマット１の横幅、Ｂはマット１の縦幅、Ｃ
はマット１の厚み、ａは単位ポット４の横幅、ｂは単位
ポット４の縦幅、ｃは播種用凹み２の一辺の長さ、ｄは
播種用凹み２の深さ、ｅは切込み溝３の深さである。
尚、ａは田植機における苗載せ台１０の横送りピッチ
に、かつ、ｂは縦送りピッチに夫々合致させてある。

【００１８】図３には、播種カバー５が示されている。
この播種カバー５は、マット１に上から被せた状態にお
いて、切込み溝３を塞ぐ溝閉塞部６と、播種用凹み２に
対応する開口７とが形成されている。そして、図３に示
すように、育苗箱８において播種カバー５が被せられた
マット１に対して点播（播種）を行い、その次に図４に
示すように、播種カバー５が被せられたままで覆土を行
い、それからその状態で灌水を行うとともに、その後に
図５に示すように播種カバー５を取除くのである。

【００１９】実際には、播種カバー５を装着した状態で
発芽させるのであり、移植直前に播種カバー５を外し、
次いで育苗材Ｓで発芽してマット苗状態となったものを
育苗箱８から取出し、田植機等の移植機に装填するので
ある。

【００２０】〔別実施形態〕育苗用床材１における左及
び右端の播種用凹み２を、左右方向の中央側に寄せて配
置してある育苗材Ｓでも良い。すなわち、図６に示すよ
うに、単位ポット４上端の横幅ｙを、左端のものはその
左側の傾斜を緩くして、その分単位ポット４の横幅ｙ1
を左右中間のものよりも狭くしてある。又、図７に示す
ように、左右端の単位ポット４では、播種用凹み２の左
右方向での中心位置は変えずにその左右両側の傾斜を共
に緩くすることにより（例えば、左右端の播種用凹み２
の横幅を、左右中間のものの横幅の３分の２とする）、
相対的に左右中央側に寄るようにしたものでも良い。

【００２１】上記２例の構造によれば、田植機における
苗載せ台９の横送り移動の慣性によって、苗載せ台仕切
り壁１０との間に隙間が生じて苗が左右方向にズレて
も、植付爪によって播種用凹み２部分は確実に掻取れる
ようになるのである。

【００２２】そこで、図８に示すように、横送りのスト
ロークエンドであり、かつ、縦送りされる部分の左右端
における単位ポット４を上下に連結して上下に長い播種
用凹み２とすることにより、左右における掻取り量が減
少しても上下方向で種数を補うことによって株数が少な
くなるのを防止する手段も考えられる。又、図８に示す
ように、苗載せ台９の仕切り壁１０の下端の幅を１段絞
って細くしてあるものでも良い。尚、１１は植付爪であ
る。

【００２３】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】育苗材の平面図

【図２】育苗材の断面図

【図３】播種工程を示す育苗材の断面側面図

【図４】覆土工程を示す育苗材の断面側面図

【図５】発芽後での播種カバーの除去工程を示す育苗材
の断面側面図

【図６】育苗材の第１別形状を示す断面図

【図７】育苗材の第２別形状を示す断面図

【図８】育苗材の第３別形状、及び苗載せ台を示す平面
図

【符号の説明】

１育苗用床材２播種用凹み３切込み溝５播種カバー６溝閉塞部７開口

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】連続状の育苗用床材（１）に、種子受入
れ用の播種用凹み（２）を前後左右に配列した状態で多
数形成するとともに、これら播種用凹み（２）の前後及
び左右に切込み溝（３）を形成して成る育苗材。
【請求項２】前記育苗用床材（１）における左及び右
端の播種用凹み（２）を、左右方向の中央側に寄せて配
置してある請求項１に記載の育苗材。
【請求項３】前後左右に配列される多数の種子受入れ
用の播種用凹み（２）、及びこれら播種用凹み（２）の
前後及び左右に配置される切込み溝（３）の夫々を連続
状の育苗用床材（１）に形成して成る育苗材と、前記育苗用床材（１）に上から被せた状態において、前
記切込み溝（３）を塞ぐ溝閉塞部（６）と、前記播種用
凹み（２）に対応する開口（７）とが形成された播種カ
バー（５）とを備え、前記播種カバー（５）が被せられた前記育苗用床材
（１）に対して播種、覆土、及び灌水を行い、その後に
前記播種カバー（５）を取除くようにした育苗材による
播種方法。