JPH0910238A - 歯科用光照射器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光重合レジンを効率よく光重合可能な光源と
導光体とする。 【構成】 片側端面が凸状の２次曲面２である、特に、
光波長（４８０±５０μm）の光に対し、透明な導光体
１の２次曲面２に、発光する光６ａが２次曲面２に直角
となるように、複数の青色（４８０±５０μm）の発光
ダイオード６を取り付け、発光ダイオード６からの光６
ａを導光体１の点ｆに集光して、円筒状導光路５から光
重合レジン（図示せず）に向け照射する。また、導光体
１の２次曲面２側を円錐面３、円筒状導光路５の外周面
として反射膜を施し、光利用効率を高める。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、歯科用光照射器に関
し、より詳細には、義歯加工又は歯科治療において、例
えば、義歯形成や歯牙形成後の修復材として使用する光
重合レジンを硬化させるための歯科用光照射器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】光重合レジンは、歯牙の色調にマッチし
た色調が容易に得られ、充填作業が容易であることか
ら、義歯加工や歯牙形成後の修復材料として光重合レジ
ンが多く用いられる。光重合レジンを、例えば、歯牙の
修復材として使用する場合、歯牙の破損箇所へ接着した
後、光を照射して硬化させ、硬化後，切削，研磨等を行
って、元の歯牙と一体化させて破損前の歯牙を審美性を
持たせて修復する。

【０００３】図４は、従来の歯科用光照射器の一例を説
明するための概略構成図で、図中、２１は光源、２２は
楕円反射ミラー、２３はフィルタ、２４は導光体（光フ
ァイバ、石英、プラスチック等）、２５はリード線で、
周知のように、光源２１は楕円反射ミラー２２の焦点位
置にあり、該光源２１からの光を楕円反射ミラー２２で
反射する。この反射光は、前記楕円反射ミラーの焦点と
対をなす他方の焦点位置近傍にその受光端が配設された
導光体２４内に導入され、該導光体２４を通して伝送さ
れて、前述のようにして光重合レジンに照射される。な
お、フィルタ２３は、光源２１からの光のうち、光重合
に必要な光波長成分の光のみを透過させるもので、例え
ば、４７８nmの波長成分の光のみを通過させる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】光重合レジンは、光の
照射により硬化するものであり、所定波長の光照射によ
り、全体に均一な重合率をもつ重合体が得られ、所定の
硬さに硬化する。光重合レジンを所定硬度に硬化するた
めには、照射する光の照度および波長が安定しているこ
とが条件となる。また、照射光のエネルギー量は、硬化
時間と硬化の深さに影響を与えるので、歯科用の光照射
器では、照度，波長，エネルギー等が安定した光源が必
要である。

【０００５】図４に示した従来の歯科用光照射器は、光
源として、ハロゲンランプ等の白熱電球が用いられてい
るので、加熱フィラメントを有し、発光した光は、含ま
れる光波長の大きさの範囲が広いため、光重合レジンが
重合するに適した波長の光を照射するためにフィルタ２
３を必要とし、フィルタ２３で遮断された光は光重合の
無効分であり、このため光効率が悪く、更に、楕円反射
ミラー２２等により反射されるための光損失もあり、光
照射用の電源としては大電力となり、コードレス化する
ことが無理であり、操作上の制約を受けた。

【０００６】本発明は、電光変換効率が優れ光重合に有
効な青色光を発光する多数の発光ダイオード光源を用い
て光損失を極小にして集光し光重合レジンの光重合に最
適な波長の光を安定して照射可能にし操作性の優れた歯
科用光照射器を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、（１）導光体からの照射光によって光重
合レジンを光重合する歯科用光照射器において、片側端
面が発光面となる凸状の２次曲面で他端面が導光路から
の出射面である透明な導光体と、前記２次曲面の全面に
取り付けられ、該２次曲面の直角な方向に青色光を出射
する複数の発光ダイオードとからなり、該発光ダイオー
ドから出射する青色光を前記導光体内で集光し、前記導
光路を介して前記出射面から前記光重合レジンに向け照
射すること、更には、（２）前記（１）において、前記
発光ダイオードの発光波長が４８０±５０nmで、前記２
次曲面に取り付けられる前記発光ダイオードの数は、集
光照射する光のパワー密度が所定値以上となる数である
こと、更には、（３）前記（１）において、前記導光体
は、波長４８０±５０nmの青色光に対して透明な材料か
らなり、該導光体の外周面形状は、前記２次曲面側が円
錐面で、前記導光路側が円筒面であり、該円錐面および
円筒面は反射膜で覆われていること、更には、（４）前
記（３）において、前記導光体の前記円筒面の外側に、
前記出射面側が透光性の円柱部材である外套管を被せ、
該外套管の消毒，滅菌を可能にしたこと、更には、
（５）前記（１）乃至（４）の何れかにおいて、前記導
光体に前記発光ダイオードを組み込み、電池を内蔵し、
前記発光ダイオードをコードレスで駆動することを特徴
とする。

【０００８】

【作用】一方の端面が発光面となる凸状の２次曲面で、
他端面が導光路の出射面である透明な導光体の２次曲面
に、該２次曲面全面に対し、面と直角な方向に青色発光
し所定の光パワー密度が得られる数の複数の発光ダイオ
ードを取り付けて、導光体内の一点に集光し、集光した
光を導光路の出射面を介して光重合レジンに向け照射す
る。発光ダイオードを、光重合に適した４８０±５０μ
mの青色光を発光するものとすることによりフィルタを
不要として、効率のよい歯科用光照射器とする。

【０００９】

【実施例】

〔実施例１〕（請求項１,２に対応） 図１は、本発明による歯科用光照射器を説明するための
図で、図１（Ａ）は正面図、図１（Ｂ）は図１（Ａ）の
矢視Ｂ−Ｂ線断面図であり、図中、１は導光体、２は２
次曲面、３は円錐面、４は導光路４ａの円筒面、５は出
射面、６は発光ダイオードである。なお、煩雑を避ける
ため、図２以下の図面において、図１と同様の作用をす
る部分には、図１の場合と同じ参照番号を付してある。
導光体１は、一端の側面が円錐面３で囲まれた、球，楕
円，双曲面，放物面等の２次曲面２であり、他端の側面
が前記円錐面３と連続した導光路４ａの円筒面４で囲ま
れた出射面５となっており、透明なガラスまたは樹脂材
料により、一体に構成されている。

【００１０】導光体１の２次曲面２には、複数の発光ダ
イオード６が面均一に全面に亘り取り付けられている。
このときの発光ダイオード６の取り付け姿勢は、発光す
る青色光６ａが、２次曲面２の面に直角になるように定
められている。この結果、発光ダイオード６からの青色
光は、導光体１の中心軸Ｏ−Ｏ上のｆ点に集光し、導光
路４ａを介して出射面５から出射され、照射光のパワー
密度が光重合に必要な、例えば、１０００Ｗ／ｍ²以上
となるように発光ダイオード６の数が定められる。発光
ダイオード６の青色光は、光重合レジンの重合に最適な
波長４８０±５０nmの青色光を発光する青色発光ダイオ
ードが最適である。このときの導光体１は、波長４８０
±５０μmの青色光に対し、最も透過性のよい材料が適
用される。

【００１１】上述の図１に示した歯科用光照射器による
と、光電変換効率の優れた発光ダイオード６は、導光体
１の２次曲面２に取り付けられ、導光体１内のｆ点に集
光して導光路４ａを介して光重合レジンに向け照射され
るので、効率がよく、小電源駆動が可能となり、更に、
青色光の波長が４８０±５０ｎｍの発光ダイオードとす
ることにより、特別なフィルタなしに最も効率よく安定
した光重合が可能となる。

【００１２】〔実施例２〕（請求項３に対応） 図２は、図１に示した導光体の他の実施例を説明するた
めの外観図であり、図中、７は反射膜である。図２に示
す導光体１には、円錐面３と円筒面４の部分に、Ａｌ
（アルミニウム），Ａｇ（銀），Ａｕ（金）等の金属ま
たは誘電体からなる反射膜７を施して、発光ダイオード
６で発光した青色光が導光体１から円錐面３，円筒面４
を通って外部に出光するのを防ぎ、青色光の集光効率を
高めている。

【００１３】〔実施例３〕（請求項４，５に対応） 図３は、本発明による歯科用光照射器の、更に、他の実
施例であり、図中、１０は筐体、１１は外套管、１２は
円柱部材、１３は電池、１４はスイッチである。図３に
示した歯科用光照射器は、図２に示した反射膜７を施し
た導光体１の２次曲面２に、青色発光の発光ダイオード
６を取り付けた歯科用光照射器を、１次または２次電池
等の電池１３とともに外筐１０内に組み込んで、持ち運
び自由にしたもので、外筐１０は、導光体１を収納する
照射器収納部１０ａと、電池１３を組み込み、把持でき
る形状の把持部１０ｂとからなっており、把持部１０ｂ
には、スイッチ１４が設けられ、電池１３と発光ダイオ
ード６との間を把持しながら開閉できるようになって、
コードレスの歯科用光照射器を構成している。なお、照
射器収納部１０ａに組み込まれる光導体１は、図１に示
すように反射膜７が施されていない場合でも、照射器収
納部１０ａの内面に反射膜７に相当するメッキ膜等が施
されていると反射膜７が施されたと同様の効果が得られ
る。

【００１４】導光体１の出射面５は、外気と接し、空中
に浮遊する微粒子が付着し易すく、微粒子が付着すると
光効率が低下するので、これを保護する必要がある。こ
のため、導光体１の出射面５は、照射器収納部１０ａか
ら突出しており、突出した円筒面４の外側には、外套管
１１が被せてある。外套管１１の出射面５側の端面に
は、透光性のある円柱部材１２が設けてあり、着脱可能
となっており、外套管１１の消毒，滅菌（高温蒸気滅
菌）等を可能にして汚染を防いでいる。

【００１５】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、以下に示す効果がある。 請求項１に対応する効果：一端側が凸状の２次曲面であ
る透明な導光体に、２次曲面に直角な青色光を発光する
電光変換効率のよい発光ダイオードを取り付け、導光体
内の一点に集光して他端側から光重合レジンに向け照射
するようにしたので、効率よく光重合が可能となる。 請求項２に対応する効果：請求項１の効果に加えて、照
射光は、光重合レジンの重合に最適な光波長（４８０±
５０μm）で所定のパワー密度（例えば、１０００Ｗ／
ｍ²以上）であるから、特別のフィルタなしに、更に効
率よく光利用ができる。 請求項３に対応する効果：導光体の材料が波長４８０±
５０nmの青色光に対して、透明な材料で一端の２次曲面
側と他端の出射面の外形は、連続した円錐面と円筒面と
して反射膜を形成したので、複数の発光ダイオードを集
光する最小形状の導光路で、光損失が最小で最も効率よ
く光利用ができる。 請求項４に対応する効果：集光した青色光の導光路とな
る導光体の円筒面の外側に、出射面側が透明な円柱部材
を設けた外套管を着脱可能に被せたので、汚れ易い出射
面側は、常に清浄，清潔に保たれ、長期安定して使用す
ることができる。 請求項５に対応する効果：青色発光ダイオードを取り付
けた導光体と電池とを一つの筐体内に組み込み、コード
レスとしたので、作業効果が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による歯科用光照射器を説明するため
の図である。

【図２】 図１に示した導光体の他の実施例を説明する
ための外観図である。

【図３】 本発明による歯科用光照射器の更に他の実施
例である。

【図４】 従来の歯科用光照射器の一例を説明するため
の概略構成図である。

【符号の説明】

１…導光体、２…２次曲面、３…円錐面、４…円筒面、
５…出射面、６…発光ダイオード、７…反射膜、１０…
筐体、１１…外套管、１２…円柱部材、１３…電池、１
４…スイッチ、２１…光源、２２…楕円反射ミラー、２
３…フィルタ、２４…導光体（光ファイバ，石英，プラ
スチック等）、２５…リード線。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導光体からの照射光によって光重合レジ
   ンを光重合する歯科用光照射器において、片側端面が発
   光面となる凸状の２次曲面で他端面が導光路からの出射
   面である透明な導光体と、前記２次曲面の全面に取り付
   けられ、該２次曲面の直角な方向に青色光を出射する複
   数の発光ダイオードとからなり、該発光ダイオードから
   出射する青色光を前記導光体内で集光し、前記導光路を
   介して前記出射面から前記光重合レジンに向け照射する
   ことを特徴とする歯科用光照射器。
2. 【請求項２】 前記発光ダイオードの発光波長が４８０
   ±５０nmで、前記２次曲面に取り付けられる前記発光ダ
   イオードの数は、集光照射する光のパワー密度が所定値
   以上となる数であることを特徴とする請求項１に記載の
   歯科用光照射器。
3. 【請求項３】 前記導光体は、波長４８０±５０nmの青
   色光に対して透明な材料からなり、該導光体の外周面形
   状は、前記２次曲面側が円錐面で、前記導光路側が円筒
   面であり、該円錐面および円筒面は反射膜で覆われてい
   ることを特徴とする請求項１又は２に記載の歯科用光照
   射器。
4. 【請求項４】 前記導光体の前記円筒面の外側に、前記
   出射面側が透光性の円柱部材である外套管を被せ、該外
   套管の消毒，滅菌を可能にしたことを特徴とする請求項
   ３に記載の歯科用光照射器。
5. 【請求項５】 前記導光体に前記発光ダイオードを組み
   込み、電池を内蔵し、前記発光ダイオードをコードレス
   で駆動することを特徴とする請求項１乃至４項何れかに
   記載の歯科用光照射器。