JPH09100880A - 歯付きベルト - Google Patents

歯付きベルト

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JPH09100880A
JPH09100880A JP27959295A JP27959295A JPH09100880A JP H09100880 A JPH09100880 A JP H09100880A JP 27959295 A JP27959295 A JP 27959295A JP 27959295 A JP27959295 A JP 27959295A JP H09100880 A JPH09100880 A JP H09100880A
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Shigehiro Itsushiki
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 噛合面に帆布5を貼着した歯付きベルト1に
おいて、前記帆布5における歯付きベルト1の長さ方向
に延びるたて糸9が、弾性糸よりなる芯糸16の周囲
に、高強度高耐熱性繊維糸よりなる中間糸17を巻回し
て巻回糸18を形成し、当該巻回糸18の周囲に通常の
合成繊維糸よりなる被覆糸19を巻回してなる複合糸条
15であって、前記帆布5が伸長されて歯付きベルト1
の噛合面に貼着された状態においても、前記被覆糸19
が前記巻回糸18の表面を完全に覆っている。 【効果】 歯付きベルト1におけるゴムは被覆糸19に
対して良好に接着し、且つその被覆糸19の内部で中間
糸17が自由度を有しており、屈曲などによる疲労が小
さい。従って帆布5の強度は中間糸17が負担するので
強度が大きく耐熱性にも優れており、歯付きベルト1と
して耐摩耗性に優れ、噛合面における帆布5の剥がれが
生じにくく、歯欠けが生じず耐久性の優れたものとな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動力伝達用の歯付きベ
ルトに関するものである。
【0002】一般に歯付きベルト1は、図1に示される
ように、ゴム製の本体部分2の片面に噛合歯3が形成さ
れており、本体部分2にはその長さ方向に抗張体4が埋
入されている。そして歯付きベルト1の噛合面には、歯
形の表面に沿って帆布5が貼付けられている。
【0003】歯付きベルト1を製造する際には、図2
(a)に示すように、表面に噛合歯3の雌型6を刻設し
た円筒状の金型7の外周に、RFLなどの接着処理を施
した筒状の帆布5を嵌合し、その外側に抗張体4を巻回
し、さらにその外側にゴム生地8を配置する。
【0004】そしてゴム生地8を加熱加圧することによ
り、図2(b)に示すように、ゴム生地8は抗張体4の
間隔を通して雌型6に押込まれて加硫され、噛合歯3を
成型する。このとき帆布5は、ゴム生地8と共に雌型6
に押込まれ、噛合歯3の表面に沿って貼着されて、歯付
きベルト1の噛合面を形成する。
【0005】而して帆布5は図1に示すように、歯付き
ベルト1の長さ方向に延びるたて糸9と、これに交差す
るよこ糸10とよりなっており、最初は歯付きベルト1
の周長にほぼ一致する長さを有しているが、噛合歯3の
成型時には歯付きベルト1の歯形に沿った長さを有する
ものとなる。そのためこの帆布5を構成するたて糸9
は、歯付きベルト1の長さ方向に向かって、容易に伸長
するものであることが必要とされる。
【0006】
【従来の技術】従来、歯付きベルトの噛合面に貼着した
帆布としては、例えば、実開昭62−204059号公
報に示されるように、歯付きベルト長さ方向に延びるた
て糸9としてナイロン繊維を捲縮加工したものが使用さ
れていた。
【0007】この種の歯付きベルトは、自動車エンジン
のカム駆動用などとして広く使用されているが、近年自
動車エンジンの高性能化に伴い、歯付きベルトの高負荷
化とエンジンルームの高温化のため、帆布の耐久性をよ
り向上させる必要があり、前記たて糸9として高強度高
耐熱性の芳香族ポリアミド繊維糸を使用することが検討
されている。
【0008】しかしながら、この芳香族ポリアミド繊維
糸は、捲縮加工が非常に困難であるため、前記従来の歯
付きベルトの構造において、帆布5のたて糸9としての
ナイロン繊維の捲縮加工糸を、そのまま芳香族ポリアミ
ド繊維の捲縮加工糸に置換えることが困難であった。
【0009】そのため実公昭63−15628号公報に
は、帆布の歯付きベルト長さ方向に延びるたて糸9とし
て、ポリウレタン弾性糸の周囲に芳香族ポリアミド繊維
糸を巻回した複合糸条を使用することが示されている。
【0010】しかしながらこの複合糸条においては、ポ
リウレタン弾性糸と芳香族ポリアミド繊維糸とが滑りや
すく、また芳香族ポリアミド繊維糸は剛直な糸であるた
め、この複合糸条をたて糸9とした帆布5においては、
ポリウレタン弾性糸が収縮した状態において、その周囲
に巻回された芳香族ポリアミド繊維糸が、周囲にループ
状に突出し、不均一な外観を有した厚いものとなる。ま
たループ状に突出した芳香族ポリアミド繊維糸が歯底部
においてプーリー歯と接触し、局部的な摩耗を受けるた
め歯付きベルトの耐久性が低下する。
【0011】そのため特開平5−118388号公報に
記載された発明では、帆布の歯付きベルト長さ方向に延
びるたて糸9として、ポリウレタン弾性糸の周囲にパラ
系芳香族ポリアミド繊維の紡績糸を巻回し、さらにその
上に合成繊維の捲縮糸を巻回した複合糸条を使用するこ
とが示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この複
合糸条をたて糸9とした帆布5は、歯付きベルト成型時
に伸長され、この複合糸条も伸長されるが、伸長された
複合糸条は、図3に示すように、最外層の合成繊維の捲
縮糸13の巻回している間隔が広がり、ポリウレタン弾
性糸11とパラ系芳香族ポリアミド繊維の紡績糸12と
が、複合糸条14の表面に露出する状態となり、これら
がゴム本体との接着面と歯付きベルト表面とに露出する
ことになる。
【0013】歯付きベルト表面にパラ系芳香族ポリアミ
ド繊維の紡績糸12が露出すると、プーリーの歯との接
触により、特に歯底において摩耗されるため、歯付きベ
ルトの耐久性が低下する。
【0014】またポリウレタン弾性糸はゴムとの接着性
が非常に悪いため、複合糸条14の表面にポリウレタン
弾性糸11が露出すると、帆布5とゴム本体8との接着
が著しく低いものとなる。
【0015】さらにポリウレタン弾性糸は耐熱性に劣る
ため、歯付きベルト使用時においてポリウレタン弾性糸
11が早期に熱劣化し分解してしまうため、帆布5とゴ
ム本体8との接着が著しく低下する。
【0016】歯付きベルトは、その噛合面がプーリーと
噛み込み離脱する時に、歯付きベルトの歯底部から歯元
部にかけて、その表面に貼着された帆布を剥がす力が加
わる。そのため帆布と本体ゴムとの接着が低いと歯付き
ベルト歯底部から歯元部にかけて帆布が剥離し、噛合歯
が補強されず亀裂が生じ歯欠けが生じ、歯付きベルトの
耐久性が著しく低下するのである。
【0017】本発明はかかる事情に鑑みなされたもので
あって、帆布5とゴム生地8との接着性に優れ、プーリ
ーとの噛合に伴う耐摩耗性に優れており且つ、優れた耐
熱性を有し、自動車のカム駆動用ベルトなどとして高い
耐久性を有する歯付きベルトを提供することを目的とす
るものである。
【0018】
【課題を解決する手段】而して本発明は、噛合面に帆布
を貼着した歯付きベルトにおいて、前記帆布における歯
付きベルトの長さ方向に延びるたて糸が、弾性糸よりな
る芯糸の周囲に、高強度高耐熱性繊維糸よりなる中間糸
を巻回して巻回糸を形成し、当該巻回糸の周囲に通常の
合成繊維糸よりなる被覆糸を巻回してなる複合糸条であ
って、前記帆布が伸長されて歯付きベルトの噛合面に貼
着された状態においても、前記通常の合成繊維糸が、少
なくとも前記巻回糸の表面を完全に覆っていることを特
徴とするものである。
【0019】本発明においては、前記中間糸に、当該中
間糸の芯糸に対する巻回方向とは逆方向の下撚りを加え
ることが好ましい。この場合、中間糸の下撚り回数をほ
ゞ次の数3式により算出した回数とするのが好ましい。
【0020】
【数3】 T = T1 ± 2900K/√D T :中間糸の下撚り回数 (回/m) T1:芯糸への中間糸の巻回数 (回/m) K :撚り係数 D :中間糸のデニール数 (d) また帆布を歯付きベルトの噛合面に貼着した状態におけ
る伸長率だけ複合繊維を伸長した状態において、当該帆
布のたて糸における前記被覆糸の巻回糸に対する巻回数
が、次の数4式より算出した回数以上であることが望ま
しい。
【0021】
【数4】 T2 = 1000√{1−(L/πD)2 }/L T2:伸長された巻回糸に対する被覆糸の巻回数 (回/m) L :巻回糸に巻回された状態における被覆糸の糸幅 (mm) D :前記伸長された巻回糸の直径 (mm) また本発明における前記中間糸は、通常の合成繊維糸よ
り大巾に強度が大きく且つ耐熱性に優れた高強度耐熱性
繊維糸よりなるものであって、かかる高強度高耐熱性繊
維糸としては、芳香族ポリアミド繊維糸が適当である。
【0022】またこの高強度高耐熱性繊維糸としては、
芳香族ポリアミド繊維糸の他、全芳香族ポリエステル繊
維、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維などの糸を使用す
ることもできる。またこれらの高強度高耐熱性繊維糸を
使用する中間糸としては、紡績糸又は嵩高加工糸を使用
するのが好ましい。
【0023】また前記被覆糸は、ナイロン繊維又はポリ
エステル繊維の嵩高加工糸であることが好ましく、特に
これらの繊維に捲縮加工を施して伸縮性を付与した捲縮
加工糸であることが好ましい。
【0024】また前記被覆糸を巻回糸に対して、中間糸
の芯糸に対する巻回方向とは逆方向に巻回することが好
ましい。
【0025】図4は本発明において使用する複合糸条1
5を示すものである。この複合糸条15において、16
は芯糸であって、ポリウレタン弾性糸などの弾性糸より
なっている。
【0026】17は高強度高耐熱性繊維糸としての芳香
族ポリアミド繊維の紡績糸よりなる中間糸であって、前
記芯糸16の周囲に螺旋状に巻回されている。中間糸1
7には、当該中間糸17の芯糸16に対する巻回方向と
は逆方向の下撚りを加えておくことが好ましい。
【0027】中間糸17は、その下撚りの方向とは逆方
向に芯糸16に対して巻回されるが、その巻回により中
間糸17に加えられた下撚りには撚り戻りが生じること
となる。そしてその芯糸16に巻回された状態で、中間
糸17には糸としての最適の撚りがかかった状態となる
ようにするべきである。
【0028】そのためには、中間糸17の芯糸16への
巻回により最適撚り数まで撚りが戻るように、中間糸1
7には予め、前記数3に示された数式に基いて算出した
回数の、巻回方向とは逆方向の下撚りをかけておくのが
好ましい。
【0029】前記数3にTで示される下撚りを加えた中
間糸17を、その下撚り方向とは逆方向に芯糸16に対
して巻回することにより、中間糸17にはその巻回数T
1に相当する撚り戻りが生じる。そのため中間糸17を
その巻回に基く螺旋方向に見たときには、左右いずれか
の方向に2900K/√Dに相当する、最適の撚りがか
かった状態となるのである。
【0030】19は通常の合成繊維糸としてのナイロン
繊維又はポリエステル繊維などの捲縮加工糸よりなる被
覆糸であって、前記芯糸16に中間糸17を巻回した巻
回糸18の周囲に、中間糸17の芯糸16に対する巻回
方向とは逆方向に、螺旋状に巻回されている。なお、被
覆糸19は、無撚状態のものがよい。
【0031】また本発明においては、歯付きベルト1を
成型する際に帆布5が伸長したときに芯糸16や中間糸
17が表面に露出することがないように、複合糸条15
が伸長した状態においても、中間糸17が被覆糸19で
ほぼ完全に覆われているべきであって、そのためには、
被覆糸19の巻回数を、前記数4に示される数式により
算出した密度で巻回するのが好ましい。
【0032】而してこの複合糸条15を、歯付きベルト
1の長さ方向に延びるたて糸9とし、任意の糸をよこ糸
10として、帆布5を織成する。このよこ糸10の材質
としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維など適宜の
繊維を使用することができ、芳香族ポリアミド繊維など
の高強度繊維を使用することもできる。
【0033】なおこの明細書においては、帆布5におけ
る歯付きベルト1の長さ方向に延びる糸を「たて糸」と
称し、これに交差する糸を「よこ糸」と称するが、この
「たて糸」と「よこ糸」との関係は、織物構造学におけ
る「経糸」及び「緯糸」とは必ずしも一致するものでは
なく、帆布5を織成する際の緯糸がたて糸9となり、経
糸がよこ糸10となることもあり得る。
【0034】なお本発明の歯付きベルト1は、図面に示
したような片面にのみ歯形を有するものに限らず、両面
に歯形を有する両歯ベルトについても、その両面の歯形
表面に帆布5を貼着することにより本発明を適用するこ
ともできる。
【0035】
【作用】而して本発明においては、高強度高耐熱性繊維
糸の中間糸17が芯糸16の周囲に螺旋状に巻回されて
いるので、芯糸16は引張りにより弾性的に伸長するこ
とができ、また中間糸17自体は伸縮性を有しないにも
拘らず、その螺旋が伸びることにより伸長可能であっ
て、複合糸条15は大きな伸縮性を有し、帆布5は歯付
きベルト1の長さ方向に向かって大きな伸長性を有し、
容易に歯付きベルト1を成型することができる。
【0036】そして芯糸16を構成する弾性糸の伸縮性
によって、伸長された複合糸条15に収縮力が作用し、
巻回糸18は伸縮性を有する。そして収縮した状態にお
いては巻回糸18における中間糸17は芯糸16に巻回
した状態であるが、それを伸長したときには、中間糸1
7はその螺旋状が解けることにより螺旋のピッチが大き
くなり、芯糸16と中間糸17とが撚り合わさった状態
となり、強度の大きい中間糸17が複合糸条15の強度
を主として負担する。
【0037】そしてその巻回糸18の周囲に被覆糸19
が巻回されており、当該被覆糸19は、前記帆布5が伸
長されて歯付きベルト1の噛合面に貼着された状態にお
いても前記巻回糸18の表面を完全に覆っている状態で
あるので、帆布5が歯付きベルト1の噛合面に貼着され
た状態でも芯糸16が表面に露出することがなく、芯糸
16の劣化や摩耗による切断が生じない。
【0038】また帆布5が歯付きベルト1の噛合面貼着
された状態においても、帆布5のたて糸9の表面は通常
の合成繊維の被覆糸19で覆われているので、そのたて
糸9とゴムとの接着性に優れており、帆布5がゴムと良
好に接着する。従って仮に芯糸16に多少の劣化や切断
が生じたとしても、帆布5とゴムとの接着性に影響はな
く、プーリーとの摩擦により剥離するようなことがな
い。
【0039】またたて糸9の複合糸条の表面が被覆糸1
9で覆われており、高強度高耐熱性繊維よりなる中間糸
17はその被覆糸19の内部に包み込まれた状態となっ
ているので、ゴムは被覆糸19で遮断されて内部に侵入
することがなく、中間糸17とゴムとが直接接着するこ
とがない。
【0040】従って中間糸17を構成する高強度高耐熱
性繊維はゴムにより拘束されることがなく、自由度が大
きいので、歯付きベルト1の屈曲や伸縮に追従して動く
ことができ、局部的に繰返し大きな力が作用して疲労す
ることがなく、歯付きベルト1の耐久性が大きいものと
なる。
【0041】
【発明の効果】従って本発明によれば、芯糸16が弾性
糸よりなるので複合糸条15が伸縮性を有しており、そ
れに伴って当該複合糸条15をたて糸9として使用した
帆布5は、歯付きベルト1の長さ方向の伸縮性を有し、
歯付きベルト1の成型時にその噛合面に沿って貼着され
ることができる。
【0042】またその帆布5が引伸ばされて歯付きベル
ト1の噛合面に貼着された状態においても、被覆糸19
が巻回糸18の表面を完全に覆っており、複合糸条15
の表面には被覆糸19のみが露出しているので、歯付き
ベルト1を構成するゴムと良好に接着し、高い接着力が
得られる。
【0043】また帆布5を歯付きベルト1の噛合面に貼
着した状態においては、強度の大きい中間糸17が帆布
5の長さ方向の強度を負担し、またその中間糸17は耐
熱性に優れているので、帆布5の強度が大きく、且つ加
熱雰囲気下においても高い強度を維持することができ
る。
【0044】しかも中間糸17は被覆糸19の内部で自
由度を有しているので、屈曲や伸縮などにより疲労する
ことがなく、耐久性に優れている。
【0045】また芯糸16を構成する弾性糸は複合糸条
の表面に露出することがないので、接着力の低下を来す
ことがなく、また歯付きベルト1の使用初期に多少の熱
劣化を生じたとしても、帆布5の強度や当該帆布5とゴ
ムとの接着力の著しい影響を与えることがない。
【0046】また本発明では、複合糸条15を伸長時し
た状態においても被覆糸19が表面を覆っているので、
高強度高耐熱性繊維糸よりなる中間糸17が複合糸条1
5から突出することなく、被覆糸19を構成する通常の
合成繊維糸とで保護される。それ故歯付きベルト1表
面、特に歯底において、プーリーの歯との接触により中
間糸17が摩耗を受けることがなく、長期間に亙って強
度を維持することができる。
【0047】従って本発明によれば、歯付きベルト1に
おけるゴムは複合糸条15の被覆糸19に対して良好に
接着し、且つその被覆糸19は歯付きベルト1使用初期
に熱劣化により分解することがない。また帆布5の強度
は高強度高耐熱性繊維糸よりなる中間糸17が負担し、
かつその中間糸17が自由度を有するので、帆布5は強
度が大きく且つ耐熱性にも優れており、歯付きベルト1
として耐摩耗性に優れ、噛合面における帆布5の剥がれ
が生じにくく、使用により歯が欠けたりすることがな
く、耐久性の優れたものとなるのである。
【0048】また請求項2、3の発明によれば、中間糸
17を芯糸16に巻回した状態において、中間糸17は
撚り糸としての最適の撚り数で撚られた状態となり、よ
り強度が大きいものとなる。
【0049】また請求項6の発明によれば、前記中間糸
17として、高強度高耐熱性繊維糸の紡績糸または嵩高
加工糸を使用するので、かかる糸条は柔軟であって剛性
が小さく、且つ被覆糸19を構成する合成繊維糸と絡み
易いため、中間糸17が複合糸条15の表面により露出
しにくくなる。
【0050】また請求項7の発明によれば、前記被覆糸
19として、通常の合成繊維糸の嵩高加工糸又は捲縮加
工糸を使用しているので、RFLなどの接着処理を施し
たときにその処理剤が被覆糸19の繊維間に浸透し易
く、処理剤の付着量を多くできるので、ゴムとの接着性
をさらに向上させることができ、歯付きベルト1の耐久
性がさらに向上する。
【0051】また被覆糸19として伸縮性を有する捲縮
加工糸を使用することにより、巻回糸18に対する巻回
が容易になり、巻回後に芯糸16が収縮しても過度の弛
みを生じることがない。
【0052】また請求項8の発明によれば、前記被覆糸
19を中間糸17の巻回方向とは逆方向に巻回している
ので、中間糸17を芯糸16に巻回した外側から被覆糸
19が締付けることとなり、芯糸16と被覆糸19とで
中間糸17を拘束し、中間糸17の露出をさらに防止で
きる。
【0053】
【実施例】以下の各実施例及び比較例の構成で、帆布5
を織成した。
【0054】[実施例] たて糸:複合糸条 芯糸 :ポリウレタン弾性糸 420d 中間糸:芳香族ポリアミド繊維糸 200d紡績糸 (400回/mZ撚り) 巻回方向:S方向、巻回数:650回/m 被覆糸:ナイロン66糸 200d捲縮加工糸 巻回方向:Z方向、巻回数:850回/m (芯糸を1.7倍に伸長した状態で、中間糸及び被覆糸を上記の通り巻 回し、巻回後はほゞ芯糸の原長にまで収縮させる) よこ糸:ナイロン66糸 210dフィラメント糸 織組織:2/2綾織り 糸密度:たて糸 70本/25mm よこ糸 82本/25mm
【0055】[比較例1] たて糸:複合糸条 芯糸 :ポリウレタン弾性糸 420d 被覆糸:芳香族ポリアミド繊維糸 200dフィラメント糸 (400回/mZ撚り) 巻回方向:S方向、巻回数:650回/m (巻回方法は、実施例における中間糸の巻回方法に同じ) よこ糸:ナイロン66糸 210Dフィラメント糸 織組織:2/2綾織り 糸密度:たて糸 70本/25mm よこ糸 82本/25mm
【0056】[比較例2] たて糸:複合糸条 芯糸 :ポリウレタン弾性糸 420d 中間糸:芳香族ポリアミド繊維糸 200d紡績糸 (400回/mZ撚り) 巻回方向:S方向、巻回数:650回/m 被覆糸:ナイロン66糸 100d捲縮加工糸 巻回方向:Z方向、巻回数:850回/m (巻回方法は、実施例における中間糸の巻回方法に同じ) よこ糸:ナイロン66糸 210Dフィラメント糸 織組織:2/2綾織り 糸密度:たて糸 70本/25mm よこ糸 82本/25mm
【0057】[歯付きベルトの製作]上記各実施例及び
比較例の帆布を使用して、当該帆布を歯形の噛合面に貼
着した歯付きベルトを成型した。当該歯付きベルトは、
ベルト幅19.1mm、歯数92、歯ピッチ9.525mm
である。
【0058】[帆布物性]上記各実施例及び比較例より
得られた歯付きベルトにおける、帆布の厚さ、強度及び
接着力は、表1に示す通りであった。
【0059】
【表1】
【0060】[駆動試験]前記各実施例及び比較例の歯
付きベルトを、図5に示す試験機20にかけて、駆動試
験を行った。
【0061】この試験機20は、原動プーリー21(歯
数20)と従動プーリー22(歯数40)とに歯付きベ
ルト1を掛渡し、アイドルプーリー23でベルトのテン
ションを調節し、これを加熱ボックス24内に収容する
ものであって、加熱ボックス24内を所定の温度条件に
設定した状態で、原動プーリー21で歯付きベルト1を
回転駆動し、その耐久性を測定するものである。
【0062】試験条件としては、加熱ボックス24内の
温度を120℃及び140℃とし、換気装置21の駆動
回転数を6000rpmに設定し、歯付きベルト1が損耗
するまでの時間を測定した。
【0063】また140℃で280時間駆動した後の、
帆布の接着力をも測定した。駆動試験の結果は次の表2
の通りであった。
【0064】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 歯付きベルトの一部の斜視図
【図2】 歯付きベルトを成型する状態を示す主要部の
断面図
【図3】 従来の歯付きベルトにおけるたて糸となる複
合繊維の正面図
【図4】 本発明の歯付きベルトにおけるたて糸となる
複合繊維の正面図
【図5】 駆動試験用の試験機の斜視図
【符号の説明】 1 歯付きベルト 5 帆布 9 たて糸 10 よこ糸 15 複合糸条 16 芯糸 17 中間糸 18 巻回糸 19 被覆糸
フロントページの続き (72)発明者 西岡 正雄 奈良県大和郡山市池沢町172番地 ユニッ タ株式会社内 (72)発明者 一色 重洋 奈良県大和郡山市池沢町172番地 ユニッ タ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 噛合面に帆布(5)を貼着した歯付きベ
    ルト(1)において、前記帆布(5)における歯付きベ
    ルト(1)の長さ方向に延びるたて糸(9)が、弾性糸
    よりなる芯糸(16)の周囲に、高強度高耐熱性繊維糸
    よりなる中間糸(17)を巻回して巻回糸(18)を形
    成し、当該巻回糸(18)の周囲に通常の合成繊維糸よ
    りなる被覆糸(19)を巻回してなる複合糸条(15)
    であって、前記帆布(5)が伸長されて歯付きベルト
    (1)の噛合面に貼着された状態においても、前記被覆
    糸(19)が、少なくとも前記巻回糸(18)の表面を
    完全に覆っていることを特徴とする、歯付きベルト
  2. 【請求項2】 前記中間糸(17)に、当該中間糸(1
    7)の芯糸(16)に対する巻回方向とは逆方向の下撚
    りを加えたことを特徴とする、請求項1に記載の歯付き
    ベルト
  3. 【請求項3】 前記中間糸(17)の下撚り回数がほゞ
    次の数1式により算出した回数であることを特徴とす
    る、請求項2に記載の歯付きベルト 【数1】 T = T1 ± 2900K/√D T :中間糸の下撚り回数 (回/m) T1:芯糸への中間糸の巻回数 (回/m) K :撚り係数 D :中間糸のデニール数 (d)
  4. 【請求項4】 帆布(5)を歯付きベルト(1)の噛合
    面に貼着した状態における伸長率だけ複合糸条(15)
    を伸長した状態において、当該帆布(5)のたて糸
    (9)における前記被覆糸(19)の巻回糸(18)に
    対する巻回数が、次の数2式より算出した回数以上であ
    ることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の歯付
    きベルト 【数2】 T2 = 1000√{1−(L/πD)2 }/L T2:伸長された巻回糸に対する被覆糸の巻回数 (回/m) L :巻回糸に巻回された状態における被覆糸の糸幅 (mm) D :前記伸長された巻回糸の直径 (mm)
  5. 【請求項5】 前記中間糸(17)が、芳香族ポリアミ
    ド繊維糸よりなることを特徴とする、請求項1、2、3
    又は4に記載の歯付きベルト
  6. 【請求項6】 前記中間糸(17)が、高強度高耐熱性
    繊維糸の紡績糸又は嵩高加工糸であることを特徴とす
    る、請求項1、2、3、4又は5に記載の歯付きベルト
  7. 【請求項7】 前記被覆糸(19)が、ナイロン繊維又
    はポリエステル繊維の嵩高加工糸又は捲縮加工糸である
    ことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6に
    記載の歯付きベルト
  8. 【請求項8】 前記被覆糸(19)を巻回糸(18)に
    対して、中間糸(17)の芯糸(16)に対する巻回方
    向とは逆方向に巻回したことを特徴とする、請求項1、
    2、3、4、5、6又は7に記載の歯付きベルト
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