JPH0899027A - ガス分離用セラミック構造体及びその製造方法 - Google Patents

ガス分離用セラミック構造体及びその製造方法

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JPH0899027A
JPH0899027A JP23651194A JP23651194A JPH0899027A JP H0899027 A JPH0899027 A JP H0899027A JP 23651194 A JP23651194 A JP 23651194A JP 23651194 A JP23651194 A JP 23651194A JP H0899027 A JPH0899027 A JP H0899027A
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gas
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Youji Seki
洋二 積
Hitohide Oshima
仁英 大嶋
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】膜厚が均一で剥離やクラック、ピンホールがな
く、かつ透過速度の速いガス分離用セラミック構造体及
びその作製法を提供する。 【構成】多孔質セラミックスを骨材とした多孔質支持体
1の骨材2中に、骨材2の細孔3よりも小さい細孔を有
するガス分離体4を形成し得る前駆体懸濁液を供給しな
がら、支持体1の特定面を乾燥しその乾燥面の骨材細孔
3内に前駆体ゲルを充填せしめた後、これを熱処理する
ことによりガス分離層5を形成せしめ、多孔質セラミッ
クスを骨材とした多孔質支持体1と、多孔質支持体1の
特定面の骨材細孔3内に骨材の細孔径よりも小さい細孔
径を有するガス分離体4を充填してなるガス分離層5を
具備してなるガス分離用セラミック構造体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体中の特定の成分を
効率的に分離するとともに、ピンホールなどの生成を抑
制し、均質なガス分離体を具備したガス分離用セラミッ
ク構造体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガス分離に使用されるセラミックフィル
タなどのセラミック構造体は、有機高分子フィルターに
比べ、機械的強度、耐熱衝撃性、耐熱性、耐摩耗性、耐
蝕性、耐薬品性において優れている。通常、ガス分離用
のセラミックフィルターは、多孔質支持体の少なくとも
一側面に、支持体の細孔より小さい細孔を有する多孔質
のガス分離用薄膜を担持させてなるものである。このよ
うな多孔質ガス分離用薄膜を有するセラミックフィルタ
ーは、一般には多孔質支持体をガス分離用薄膜を形成し
得る前駆体懸濁液中に浸漬して支持体表面に懸濁液を塗
布した後、これを乾燥し熱処理する工程を必要回数繰り
返すことにより支持体表面に所望の厚みのガス分離用薄
膜を形成担持させている。
【0003】このセラミックフィルターに要求される特
性としては、機械的強度、熱的及び化学的安定性の他
に、ガス分離用薄膜におけるピンホールやクラック等に
よるリークが無いこと、分離対象物とそれ以外の物質と
の分離係数が高いこと、分離対象物の透過速度が速いこ
とが挙げられる。
【0004】そのため、セラミックフィルターにおける
ガス分離用薄膜の平均細孔径を0.1〜100nmに制
御し、かつ透過速度を上げるためにその膜厚をできるだ
け薄くし、また機械的強度を保つためその薄膜をできる
だけ透過速度の速い支持体に担持する必要がある。
【0005】そこで、従来より各種の方法が提案されて
おり、例えば、平均細孔径が支持体のそれより小さくガ
ス分離用薄膜の細孔径とよりも大きい中間層を設ける
(特開平3−267129号)、ガス分離用薄膜が直接
接する多孔質支持体表面の平均結晶粒径を制御する(特
開平4−57373号)、懸濁液の塗布により担持する
多孔質薄膜の膜厚を制御する(特開平2−43928
号)、前駆体懸濁液への浸漬時間及び引上げ速度を制御
する(特開平2−31823号)、コ−ティング膜の乾
燥方法を制御する(特開平2−31822号)等が検討
されている。またハニカム構造体のセル内部表面に薄膜
を作製する方法等(特公平4−71566号)も提示さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】これらの方法は、い
ずれもゲル状物や微細粒子のスラリーを多孔質支持体の
表面から付着させて多孔質薄膜を形成するものである
が、このように多孔質支持体の表面から付着させる場
合、スラリーの塗布面が支持体の表面性状に大きく影響
を受ける。例えば塗布する多孔質支持体表面の細孔が不
均一であったり、その表面が平滑でないとスラリーの塗
布ムラが生じ、その結果、多孔質支持体と多孔質薄膜と
の密着性が不十分となり多孔質薄膜が剥離したり、また
多孔質薄膜を均一な厚みにできないために膜厚の異常な
部分からクラックやピンホールが発生するなどの問題が
あった。
【0007】また、膜中のピンホールは、膜厚を大きく
すればある程度は低減できるが、膜厚が大きくなるとガ
ス透過係数が低下してしまうという欠点があった。
【0008】本発明は、このような従来のセラミック構
造体の欠点を克服し、均一で膜剥離や、クラックやピン
ホールなどの発生がなく、分離効率の高いガス分離用セ
ラミック構造体及びその製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記問
題点に対して鋭意研究を重ねた結果、多孔質支持体に対
してガス分離体を形成し得る前駆体懸濁液を供給し、こ
れをガス分離層を形成する特定の表面から乾燥すること
により、前記懸濁液がその表面の細孔中に優先的に前駆
体ゲルが充填されるという現象が生じ、これを熱処理す
ることにより、特定面の表面の細孔内にガス分離体が充
填されたガス分離層を形成することができ、その結果、
支持体の表面性状に影響を受けることなく、ガス分離層
を形成できるために、ガス分離層の剥離や、ガス分離層
中でのピンホールやクラックの発生を抑制することがで
きることを知見し、本発明に至った。
【0010】即ち、本発明のガス分離用セラミック構造
体は、多孔質セラミックスを骨材とした多孔質支持体
と、該多孔質支持体の特定面の骨材細孔内に前記骨材の
細孔径よりも小さい細孔径を有する気体分離体を充填し
てなるガス分離層を具備してなることを特徴とするもの
である。
【0011】また、かかる構造体を製造する方法とし
て、多孔質セラミックスを骨材とした多孔質支持体の骨
材中に、前記骨材の細孔よりも小さい細孔を有するガス
分離体を形成し得る前駆体懸濁液を供給しながら、前記
支持体の特定面を乾燥し該乾燥面の骨材細孔内に前記前
駆体のゲルを充填せしめた後、これを熱処理することに
よりガス分離層を形成せしめることを特徴とするもので
ある。
【0012】本発明におけるガス分離用セラミック構造
体の基本的な構造の断面図を図1に示した。図1によれ
ば、多孔質支持体1は、多孔質セラミックスにより骨材
2が形成され、その骨材2間には複数の細孔3を有し、
これら細孔3は連続的に繋がった構造体から構成され
る。ガス分離用構造体としては、この支持体の表面にガ
ス分離体が形成されるが、本発明における大きな特徴
は、そのガス分離体4が支持体1の特定面における骨材
の細孔3内に表面から特定の深さまで充填されたガス分
離層5を有する点にある。
【0013】本発明におけるガス分離用セラミック構造
体の支持体1の骨材2を構成する多孔質セラミックスは
例えば平均細孔径が0.1〜5μmのできるだけ粒径の
揃ったアルミナ、ジルコニア、チタニア、ムライト、コ
ージェライト等からなるセラミックスからなることが望
ましい。これは、平均細孔径が0.1μmより小さいと
実質的にガスの透過性が低下するため分離膜の支持体と
して適切でないこと、また5μmより大きくなれば薄膜
の前駆体懸濁液のコーティング、乾燥、焼成により、ピ
ンホール及びクラックのない薄膜を作製することが難し
くなるからである。またピンホール及びクラックのない
薄膜を安定に作製することができるとともにコーティン
グ回数を少なくできる点で、特に0.1〜2μmが望ま
しい。
【0014】一方、ガス分離体4は、骨材2を構成する
多孔質セラミックスの細孔よりも小さい細孔を有するγ
−アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニアなどの多孔
質体により構成される。その平均細孔径は0.1〜5n
mが適当である。これは、平均細孔径が0.1nmより
小さいと実質的にガスの透過が不可能であり、5nmよ
り大きいとガス分離能が低下するためである。
【0015】なお、本発明におけるガス分離用セラミッ
ク構造体のより具体的な構造としては、後述する実施例
に示すように、多孔質支持体が複数のセルを有するハニ
カム構造体よりなり、そのセルの内壁面に所定の深さで
ガス分離層が形成されたもの、あるいは多孔質支持体が
中空円筒管よりなり、その中空円筒管の外壁面から特定
の深さでガス分離層が形成されたものなどが挙げられ
る。
【0016】また、本発明のガス分離用セラミック構造
体の製造方法によれば、多孔質セラミックスを骨材とし
た多孔質支持体1を準備し、その支持体1の骨材2中
に、骨材2の細孔よりも小さい細孔を有するガス分離体
を形成し得る前駆体懸濁液を供給する。そして、支持体
1の特定面を乾燥気体などと接触させることにより乾燥
すると、その乾燥面の骨材2の細孔内に前駆体のゲルが
乾燥面に優先的に生成され、前駆体ゲルが乾燥面から所
定の深さで充填される。その後、これを乾燥した後、前
駆体ゲルがガス分離体となる温度にて熱処理することに
より、ガス分離層5が形成されるのである。
【0017】ここで用いられる前駆体懸濁液は、主とし
て水を溶媒とするハイドロゾル液で、アルコキシド、キ
レート等の加水分解懸濁液、金属塩の加水分解懸濁液、
金属水酸化物または金属酸化物のコロイド懸濁液等、あ
るいはそれらの懸濁液に経時的安定化のためのpH調製
剤や消泡剤を添加したものが利用できる。懸濁液の濃度
はそれ自体の安定性や成膜条件によって異なるが、通常
0.1〜2mol%の濃度が好ましい。支持体1におけ
るガス分離層の適性な厚みは、支持体の細孔径分布や懸
濁液の種類、濃度、セラミックフィルターの用途等によ
って異なるが、0.1〜5μmに規定される。これは、
厚みが0.1μmより薄いとピンホールまたはクラック
を防ぐことは難しく、5μmより厚いと実質的にガスの
透過速度が下がりフィルター性能が落ちてしまうからで
ある。なお、ピンホールまたはクラックのない薄膜を安
定にかつ制御が容易である点で0.5〜2μmの厚みが
望ましい。
【0018】
【作用】ガス分離体の前駆体懸濁液を多孔質支持体内に
供給しながら、その特定面を乾燥気体と接触するか、ま
たは表面を所定の温度に加熱して乾燥すると、特定面の
表面近傍の前駆体懸濁液が濃縮され、ついにはゲル化に
至る。乾燥により失われた懸濁液は毛管現象などにより
連続的に特定面表面に供給されるのでゲル化は連続的に
起こる。たとえ、その乾燥手段や加熱温度などの不均一
さにより、その表面近傍で部分的なゲル化が生じてもそ
の部分の流動抵抗が増大するため、連続して供給される
前駆体懸濁液は、ゲル化が生じていない部分に優先的に
浸透しそこでゲル化するため、結果的に支持体の特定面
の表面近傍に均一な厚みでゲルが充填されることにな
る。そして、これを熱処理することにより支持体の特定
面に対して均一なガス分離体を骨材の細孔内に充填する
ことができる。
【0019】また、本発明によれば、ガス分離層をピン
ホールなどを生じることなく、その厚みも薄くできるた
めに従来法に比較してガス透過速度の高い分離体を作製
することができる。
【0020】また、かかる構造体および製造方法によれ
ば、従来のように支持体の表面に前駆体懸濁液を塗布し
乾燥、熱処理し、これを繰り返して支持体の表面にガス
分離体を堆積させて所望の厚みのガス分離用薄膜を形成
する方法では、支持体の表面性状、例えば、骨材の細孔
分布や表面平滑性などの不均一性によって、多孔質支持
体とガス分離用薄膜との密着性が不十分となりその薄膜
が剥離したり、また多孔質薄膜を均一な厚みにできない
ために膜厚の異常な部分からクラックやピンホールが発
生するなどの問題が生じる。
【0021】これに対して、本発明によれば、ガス分離
体が支持体の骨材の表面の細孔内に充填された構造から
なるために、支持体の表面性状の影響を受けることがな
く、また、その厚みも支持体内部に供給する前駆体懸濁
液量と乾燥方法により任意に調整することができるため
に、ガス分離体が支持体から脱落することがなく、均一
な厚みに制御でき、クラックやピンホールの発生のない
高信頼性のガス分離体を提供できる。しかも、かかる方
法では、比較的大きな細孔径を持つ多孔質支持体への均
一なガス分離層の形成も容易に行えるために、ガス透過
性の高いガス分離用セラミック構造体を作製することが
できる。
【0022】
【実施例】
実施例1(ハニカム状ガス分離用セラミック構造体) 図2は、本発明のガス分離用セラミック構造体をハニカ
ム構造体として利用したガス分離装置の概略図である。
図2においてハニカム構造体11は、円筒状のケーシン
グ12内部に支持部材13、13’により支持されてい
る。支持部材13、13’はケーシング12内部を3つ
の領域に分離する隔壁としての機能を有する。ハニカム
構造体11は円筒状ハニカム状構造体からなり、連続し
た隔壁14を介して互いに平行な多数個の混合ガス流路
となるセル15が形成されている。そして、ケーシング
12の一端には特定ガスを含む混合ガスを導入するため
の混合ガス導入口16、他端にはガス分離後の混合ガス
を排出するためのガス排出口17が形成され、ケーシン
グ12の側面には特定ガスを排出するための特定ガス排
出口18が形成されている。なお、ハニカム構造体の周
面のうち、混合ガスと接触する表面19、19’はガラ
スシールされている。また隔壁14の厚みは多孔質支持
体の材質や使用条件によって最適な値を選ぶべきである
が、通常は0.3〜2mmである。
【0023】図3は、この装置において設置されたハニ
カム構造体11の要部拡大図である。図3において、ハ
ニカム構造体11における隔壁14は、細孔を有する多
孔質セラミックスを骨材とするもので、そのセル15の
内壁面には、隔壁の要部拡大断面図である図4から明ら
かなように、隔壁14の表面部の細孔20内にガス分離
体21が充填されたガス分離層22が形成されている。
また、隔壁14の中心部は通常の多孔質体からなるガス
通過路23が形成されている。
【0024】かかるガス分離装置によれば、特定ガスを
含む混合ガスを図2の混合ガス導入口16よりケーシン
グ12内に導入する。混合ガスはハニカム構造体11の
セル15内を通過する際、混合ガス中の特定ガスは、セ
ル15の内壁に形成されたガス分離層に吸着され、隔壁
14内のガス通過路23に拡散しハニカム構造体11の
周面に放出され、特定ガスは特定ガス排出口より回収さ
れる。一方、特定ガスが分離された混合ガスはハニカム
構造体11の他端より排出され混合ガス排出口17より
回収される。
【0025】上記実施例において用いられるガス分離機
能を有するハニカム構造体を作製する方法の一例を図5
に示した。図5に示すように、多孔質セラミックスから
なるハニカム構造体24の周面からハニカム構造体を形
成している骨材の細孔よりも小さい細孔を有するガス分
離体を形成し得る前駆体懸濁液25を供給する。そし
て、ハニカム構造体のセル26内に乾燥気体を通過させ
る。セル26内の内壁面の乾燥が進行するに伴い、乾燥
面の骨材細孔内に前記前駆体のゲルが充填される。
【0026】その際、前駆体懸濁液の供給量が、ハニカ
ム構造体の位置によって不均一にならないようにする。
例えばハニカム構造体を水平に保ち、ガーゼ27等を用
いてハニカム構造体を覆い、上部より適当な速度で前駆
体懸濁液をビューレット28などを用いて一定速度で滴
下するのがよい。また乾燥速度及び前駆体懸濁液の供給
速度は、ハニカム構造体中のセルの隔壁の内壁表面に前
駆体懸濁液が滲み出してこない程度に調節すべきであ
る。前駆体懸濁液が滲み出すと、ガス分離層の膜厚が不
均一となり、しかもガス分離層の大部分がセル内の内壁
の表面上に堆積され、場合によってはこのガス分離層が
剥がれることもあるからである。
【0027】上記のようにしてセル内壁の骨格の細孔内
部に前駆体ゲルを充填した後、これを熱処理することに
よりガス分離層を形成せしめることができる。
【0028】次に具体的に以下の方法でガス分離用セラ
ミック構造体を作製した。 実験例1 十分乾燥したグローブボックス内で、100mlナスフ
ラスコに0.1モルのアルミニウム−sec−ブトキシ
ド(Al(sec−Bu)3 )を入れ、これに0.3モ
ルの2−メトキシエタノール (MeO−CH2 −CH
2 −OH)および0.01モルの無水酢酸((CH3
O)2 O)を加え十分混合した後グローブボックスから
取り出し、85℃に加熱した水180ml(10モル)
に激しく攪拌しながら添加した。30分後反応溶液に
0.007モルの硝酸を加え、溶液温度を95℃にして
さらに16時間還流し、ほとんど無色透明なベーマイト
ゾルを得た。
【0029】一方、直径8cm、長さ15cm、平均細
孔径1.02μm、骨材となる多孔質セラミックス自体
の気孔率が35%のα−アルミナからなる円筒状ハニカ
ム構造体の両端から1cmの外周表面をガラスシールし
た後、図5に示すようにその周面にガーゼを巻き、ハニ
カム構造体の一端に送風装置を接続した。その後、ビュ
ーレットに入れた前記ベーマイトゾルを滴下し、ガーゼ
及びハニカム構造体を周面を濡らしながらセル内に乾燥
気体を流し、セルの内壁面を乾燥した。約20gのベー
マイトゾルを滴下し終わった後、80℃で6時間乾燥
し、大気中600℃で1時間焼成した。ハニカム構造体
の断面をSEM観察したところ、セルの隔壁内面には、
表面から1.5μmの均一な膜厚で、γーアルミナガス
分離体が骨材の細孔中に充填されたガス分離層が形成さ
れていることが分かった。なお、そのガス分離層の表面
はクラック、ピンホールのない非常に均一な表面を有し
ていた。
【0030】実施例2(円筒状ガス分離用セラミック構
造体) 図6は、本発明のガス分離用セラミック構造体におい
て、多孔質支持体として円筒状構造体を用いて作製した
場合のガス分離装置の概略配置図を示したものである。
図6において、円筒状構造体31はケーシング32内に
収容されている。
【0031】ケーシング32には特定ガスを含む混合ガ
スを導入する混合ガス導入口33と、混合ガスを排出す
るための混合ガス排出口34が形成されている。一方、
円筒状構造体31の表面には、図7の円筒状支持体の部
分拡大図に示すように、その表面付近の細孔内にガス分
離体が充填されたガス分離層35が形成されている。そ
して、この円筒状構造体の一端は封止されており、ケー
シング内に導入された混合ガス中より特定ガスが円筒状
構造体中にガス分離層35を介して構造体31内に拡散
する。そして、構造体31内の特定ガスは、特定ガス排
出口36から回収される。
【0032】本発明において、かかる円筒状構造体31
の表面にガス分離層35を形成する方法として1つの例
を図8に示した。図8によれば円筒状支持体37の一端
から円筒状支持体を形成している多孔質セラミックスの
細孔よりも小さい細孔を有するガス分離体を形成し得る
前駆体懸濁液38を内部に断続的または連続的に供給す
る。それと同時に円筒状支持体の37の外表面を乾燥空
気に晒すか、あるいは加熱する。外表面の乾燥が進行す
るに伴い、乾燥面の骨材細孔内に前記前駆体のゲルが充
填される。また、乾燥速度及び前駆体懸濁液の供給速度
は、円筒状支持体の外表面に前駆体懸濁液が滲み出して
こない程度に調節すべきである。前駆体懸濁液が滲み出
すと、ガス分離層の膜厚が不均一となり、しかもガス分
離層の大部分が円筒状支持体の外壁の表面上に堆積さ
れ、場合によってはこのガス分離層が剥がれることもあ
るからである。上記のようにして円筒状構造体の外壁の
骨格の細孔内部に前駆体ゲルを充填した後、これを熱処
理することによりガス分離層を形成せしめることができ
る。
【0033】次に具体的に以下の方法でガス分離用セラ
ミック構造体を作製した。 実験例2 実験例1と同様な方法によりベーマイトゾルを調製し
た。一方、外径3mm、内径1.7mm、長さ250m
m、平均細孔径0.1μmのα−アルミナからなる多孔
質中空管を、図8に示すように内径10mmのT字型ガ
ラス管内に水平に固定し、その両端にシリコンゴムチュ
ーブを取り付けた。チューブの一端を調製したベーマイ
トゾルに入れ他端を減圧することで、α−アルミナ中空
管に空気が入らないようにベーマイトゾルを満たした。
チューブの他端を塞いだ後、ガラス管内に乾燥空気を導
入しα−アルミナ中空管表面を乾燥した。約5gのベー
マイトゾルが消費されたあと図8の装置からα−アルミ
ナ中空管を取り外し、80℃で1時間乾燥後、600℃
1時間焼成した。
【0034】得られた焼結体に対して、室温におけるN
2 とH2 のガス透過率を測定したところ、N2 で3.2
×10-8、H2 で8.2×10-83 ・m-2・Pa-1
sec-1であり、両者の比(選択率)は2.56となっ
た。これはクヌッセン拡散でガスが透過すると仮定した
時の値2.65とほぼ等しい値である。
【0035】またこのα−アルミナ中空管の断面をSE
M観察および表面観察したところ、表面からの1.3μ
mの深さでγ−Al2 3 が細孔内に充填されたピンホ
ール、クラックのないガス分離層が形成されていた。
【0036】実験例3 実験例2のα−アルミナ中空管を平均細孔径2μmのα
−アルミナ中空管に置き換えて同様な実験を行った。そ
の結果、室温におけるガス透過率は、N2 で6.9×1
-7、H2 で1.8×10-63 ・m-2・Pa-1・se
-1であり、両者の比(選択率)は2.61となった。
これはクヌッセン拡散でガスが透過すると仮定した時の
値2.65とほぼ等しい値である。またこのα−アルミ
ナ中空管の断面をSEM観察および表面観察したとこ
ろ、表面からの1.1μmの深さでγ−Al2 3 が細
孔内に充填されたピンホール、クラックのないガス分離
層が形成されていた。
【0037】実験例4 実験例1のアルミニウムセカンダリブトキシド(Al
(sec−Bu)3 )の代わりに、テトライソプロキシ
チタン(Ti(O−sec−Pr)4 )を用いて水酸化
チタンゾルを作製した。そのゾルを用いて実施例1と同
様にして、平均細孔径1μmのα−アルミナ中空管にコ
ーティングし、TiO2 膜を得た。その結果、室温にお
けるガス透過率は、N2 で3.2×10-7、H2 で8.
6×10-7m3 ・m-2・Pa-1・sec-1であり、両者
の比(選択率)は2.69となった。これはクヌッセン
拡散でガスが透過すると仮定した時の値2.65とほぼ
等しい値である。またこのα−アルミナ中空管の断面を
SEM観察および表面観察したところ、表面からの1.
1μmの深さでTiO2 が細孔内に充填されたピンホー
ル、クラックのないガス分離層が形成されていた。
【0038】比較例1 実施例2のα−アルミナ中空管の一端を封止した後、実
施例1において調製したベーマイトゾル中に中空管内に
ゾル液が直接進入しないようにして浸漬した後、これを
30℃で乾燥し900℃で1時間熱処理した。金属顕微
鏡でその表面を観察したところ、直径が数十μmのピン
ホールが多数観察されたため、上記浸漬−乾燥−焼成の
工程を5回繰り返し中空管の表面に2.5μmのγ−A
2 3からなるガス分離層を形成した。
【0039】このガス分離管に対して実施例2と同様に
室温におけるガス透過率を測定した結果、N2 で1.7
×10-8、H2 で4.4×10-83 ・m-2・Pa-1
sec-1となり、透過速度が大きく低下することが分か
った。しかも、ガス分離層の断面をSEM観察した結
果、α−アルミナ中空管表面の細孔に幾分かのγ−アル
ミナが進入していたが、ほとんどは中空管表面に積層さ
れた構造からなっていた。しかも、ガス分離層の表面を
観察した結果、直径数μmのピンホールが数カ所に検出
された。
【0040】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明によれば、多孔
質支持体表面の細孔内にガス分離体を充填してなるガス
分離層を形成するため、ガス分離層自体が支持体から剥
離することがなく、しかも従来品のようなピンホールや
クラックのない品質の優れたガス分離用セラミック構造
体を得ることができる。しかも、比較的大きな孔径を持
つハニカム構造多孔質支持体への成膜も容易に行えるた
め、ガス透過速度の速い優れたガス分離用構造体が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス分離用セラミック構造体の基本的
な構造の断面図である。
【図2】本発明のガス分離用セラミック構造体をハニカ
ム構造体として利用したガス分離装置の概略図である。
【図3】図2の装置において設置されたハニカム構造体
の要部拡大図である。
【図4】図2の装置のハニカム構造体における隔壁の要
部拡大断面図である。
【図5】図2におけるガス分離機能を有するハニカム構
造体を作製する方法の一例を説明するための図である。
【図6】本発明のガス分離用セラミック構造体におい
て、多孔質支持体を円筒状支持体とした場合のガス分離
装置の概略図である。
【図7】図6における円筒状構造体の部分拡大図であ
る。
【図8】図6におけるガス分離構造体の作製方法の一例
を説明するための図である。
【符号の説明】
1 多孔質支持体 2 骨材 3、20 細孔 4、21 ガス分離体 5、22、35 ガス分離層 11、24 ハニカム構造体 12、32 ケーシング 14 隔壁 15、26 セル 23 ガス通過路 25、38 前駆体懸濁液 31 円筒状構造体 37 円筒状支持体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質セラミックスを骨材とした多孔質支
    持体と、該多孔質支持体の特定面の骨材細孔内に前記骨
    材の細孔径よりも小さい細孔径を有する気体分離体を充
    填してなるガス分離層を具備してなるガス分離用セラミ
    ック構造体。
  2. 【請求項2】前記多孔質支持体が複数のセルを有するハ
    ニカム構造体よりなり、前記特定面が前記セルの内壁面
    である請求項1記載のガス分離用セラミック構造体。
  3. 【請求項3】前記多孔質支持体が中空円筒管よりなり、
    前記特定面が前記中空円筒管の外壁面である請求項1記
    載のガス分離用セラミック構造体。
  4. 【請求項4】多孔質セラミックスを骨材とした多孔質支
    持体の骨材中に、前記骨材の細孔よりも小さい細孔を有
    するガス分離体を形成し得る前駆体懸濁液を供給しなが
    ら、前記支持体の特定面を乾燥し該乾燥面の骨材細孔内
    に前記前駆体のゲルを充填せしめた後、これを熱処理す
    ることによりガス分離層を形成せしめることを特徴とす
    るガス分離用セラミック構造体の製造方法。
JP23651194A 1994-09-30 1994-09-30 ガス分離用セラミック構造体及びその製造方法 Pending JPH0899027A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008246304A (ja) * 2007-03-29 2008-10-16 Ngk Insulators Ltd セラミック多孔質膜、その製造方法及びセラミックフィルタの製造方法
JP2009226306A (ja) * 2008-03-21 2009-10-08 Ngk Insulators Ltd セラミックフィルタ及びナノ濾過膜の製造方法
JP2010506697A (ja) * 2006-10-18 2010-03-04 日本碍子株式会社 セラミック多孔質膜及びセラミックフィルタ
JP2010506699A (ja) * 2006-10-18 2010-03-04 日本碍子株式会社 セラミック多孔質膜の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法

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