JPH0896550A - テープカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テープの磁性面に付着したゴミ等が駆動ベル
トに転移することを防止しつつ、テープにテンションを
生じさせ、記録再生の信頼性を向上する。 【構成】 一対の供給リール３と巻取りリール４にテー
プ５の非磁性面を外側にして巻回すると共に、Ｔ字状に
配置した３個のベルトローラ１５〜１７の内のＴ字の上
辺に配置された一対のベルトローラ１５，１６の一方で
あるベルトローラ１５をキャプスタン軸３６が当接され
るピンチローラを兼ねたベルト駆動ローラとした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はテープカートリッジに関
し、特に駆動ベルトを用いてテープを走行させる方式の
テープカートリッジに関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばコンピュータのバックアップ用補
助記憶装置として、ＱＩＣ（ＱuaterＩnch Ｃassette）
方式の規格に適合したデータカートリッジであるテープ
カートリッジが用いられる。

【０００３】この種のテープカートリッジとしては、図
７に示すように金属製のベース板１０１にテープ１０２
を巻回する一対の供給リール１０３と巻取りリール１０
４と、テープ１０２を案内するテープガイドローラ１０
５，１０６とを設けると共に、３個のベルト駆動ローラ
１０７及びベルトローラ１０８，１０９をＴ字状に配置
して、ベルト駆動ローラ１０７をテープガイドローラ１
０５，１０６との間のテープ１０２裏面側に位置させ、
これらのベルト駆動ローラ１０７，ベルトローラ１０
８，１０９間に供給リール１０３及び巻取りリール１０
４に巻回されるテープ１０２の外周面に接してこのテー
プ１０２を走行させる無端の駆動ベルト１１０を張装し
たものがある（特公昭５２−１４９７６号公報参照）。

【０００４】そして、このテープカートリッジにおいて
は、キャプスタンモータ等とアイドラを同一のキャプス
タンベースに固定し、このキャプスタンベースを揺動可
能あるいは直線移動可能に配設して、このキャプスタン
ベースと固定部との間にスプリング等を介してアイドラ
がベルト駆動ローラに圧接する方向にキャプスタンベー
スにテンションを付与することによって、アイドラをベ
ルト駆動ローラ１０７に圧接させて回転させ、駆動ベル
ト１１０を移動させることによって、この駆動ベルト１
１０が供給リール１０３及び巻取りリール１０４に巻回
されるテープ１０２の外周面に接触しているので、供給
リール１０３及び巻取りリール１０４が矢示方向に回転
してテープ１０２が走行する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来のテープ
カートリッジにあっては、Ｔ字状配置の３個のベルトロ
ーラの内のＴ字の下端に位置するベルトローラをベルト
駆動ローラ１０７とし、テープ１１０の磁性面を外側に
して供給リール１０３及び巻取りリール１０４に巻回し
ているので、ベルト駆動ローラ１０７を同図の矢示方向
に回転させたときに、駆動ベルト１１０はベルト駆動ロ
ーラ１０７とベルトローラ１０９間が緊張し、ベルト駆
動ローラ１０７とベルトローラ１０８との間がたるむた
めに、巻取りリール１０４が供給リール１０３よりも高
い接線速力で回転する傾向が生じて、テープ１０２にテ
ンションがかかり、ヘッドにテープ１０２を正しく接触
させることができる。

【０００６】しかしながら、ヘッドを接触させるための
カートリッジ開口部から侵入したゴミ等がテープ磁性面
に付着した場合、テープが供給リール及び巻取りリール
に磁性面が外側になるように巻回され、駆動ベルトがテ
ープ磁性面に接触しながらテープを走行させるので、テ
ープ磁性面に付着したゴミ等が駆動ベルトに転移付着
し、更に駆動ベルトに付着したゴミ等がテープにより強
く付着するという悪循環が生じて、記録再生の信頼性が
低下する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め請求項１の発明は、テープの非磁性面を外側にして供
給リール及び巻取りリールに巻回すると共に、少なくと
も３個のベルトローラのうちＴ字の上辺に配置された一
対のベルトローラの一方をキャプスタンが当接されるピ
ンチローラを兼ねたベルト駆動ローラとした。

【０００８】請求項２の発明は、上記請求項１のテープ
カートリッジにおいて、ベルト駆動ローラは、上下端に
キャプスタンが当接されるゴム材を被覆し、中央部に前
記駆動ベルトを案内するベルト案内部を形成した。

【０００９】

【作用】請求項１のテープカートリッジは、テープの非
磁性面を外側にしてリールに巻回しているので、テープ
の非磁性面が駆動ベルトに接触して走行され、テープの
磁性面に付着したゴミ等が駆動ベルトに転移することを
防止することができると共に、少なくとも３個のベルト
ローラのうちＴ字の上辺に配置された一対のベルトロー
ラの一方をキャプスタンが当接されるピンチローラを兼
ねたベルト駆動ローラとしているので、巻取りリールを
供給リールよりも相対的に速く回転させることができて
テープにテンションを生じさせることができる。

【００１０】そして、請求項２のテープカートリッジの
ようにベルト駆動ローラの上下端にキャプスタンが当接
されるゴム材を被覆し、中央部に駆動ベルトを案内する
ベルト案内部を形成することによって、駆動ベルトを確
実に駆動することができる。

【００１１】

【実施例】以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。図１は本発明に係るテープカートリッジの概
略斜視図、図２は図１の平面図、図３は図２の正断面
図、図４はベルト駆動ローラの正半断面図、図５は図１
のテープカートリッジを駆動する駆動装置の概略平面
図、図６は作用説明に供する説明図である。

【００１２】テープカートリッジ１は、金属製の四角状
ベース板２上に一対の供給リール３及び巻取りリール４
を回転自在に配置して、これらの供給リール３及び巻取
りリール４にテープ５を巻回すると共に、供給リール３
から繰り出されるテープ５をベース板２の一方の長辺及
び短辺に沿って巻取りリール４まで案内するためのテー
プガイドローラ６〜８を回転自在に配置している。供給
リール３及び巻取りリール４へのテープ５の巻回方向及
びテープガイドローラ６〜８の配置位置は、テープ５が
供給リール３及び巻取りリール４に巻回された状態でテ
ープ５の非磁性面が外側になるようにしている。

【００１３】ここで、供給リール３及び巻取りリール４
は、それぞれ下端部をベース板２に固定し上端部をカバ
ー９にて支持したシャフト１０にベアリング１１を介し
て回転自在に装着し、テープガイドローラ６〜８は、そ
れぞれ下端部をベース板２に固定し上端部をカバー９に
て支持したシャフト１２にベアリング１３を介して回転
自在に装着している。また、テープガイドローラ６〜８
は、四角状ベース板２の略三角に配置し、ベース板２上
にはサイドカバー１４を一体的に設け、このサイドカバ
ー１４のテープガイドローラ７，８側の一辺はヘッドＨ
（図５参照）等を挿入可能とするために切り欠き部１４
ａを形成している。

【００１４】また、ベース板２上には他方の長辺両側に
ベルトローラでもあるベルト駆動ローラ１５及びこのベ
ルト駆動ローラ１５と対をなすベルトローラ１６を回転
自在に配置すると共に、一方の長辺側の略中央部にベル
トローラ１７を配置して、これら３個のベルト駆動ロー
ラ１６及びベルトローラ１７，１８を略Ｔ字状に配置し
ている。更に、ベルト駆動ローラ１５及びベルトローラ
１６に掛けた無端の可撓性を有する駆動ベルト１８を、
供給リール３と巻取りリール１４との間を通してベルト
ローラ１７に掛け回すことにより、駆動ベルト１８を供
給リール３及び巻取りリール４に巻回されたテープ５の
外周面に強いテンションで接触させている。このよう
に、ここでは略Ｔ字状に配置された３個のベルトローラ
の内、Ｔ字の上辺をなす一対のベルトローラの一方、す
なわちヘッドが挿入されるサイドカバー１４の切欠き部
１４ａ側に位置するベルトローラをベルト駆動ローラ１
５としている。

【００１５】ここで、ベルト駆動ローラ１５及びベルト
ローラ１６，１７は、それぞれ下端部をベース板２に固
定し上端部をカバー９にて支持したシャフト２０にベア
リング２１を介して回転自在に装着している。また、ベ
ルト駆動ローラ１５は、図４に示すように、オイルを含
浸させた円筒２２を内部に圧入した金属筒２３の上下端
外周部をネオプレンゴム等からなるゴム材２４で被膜す
ると共に、金属筒２３の上下方向中央部を断面太鼓状に
形成してベルト案内部２５としている。オイルを含浸さ
せた円筒２２を圧入することによってシャフト２０との
低摩擦を確保することができる。さらに、他のベルトロ
ーラ１７，１８も同様に中央部が膨らんだ太鼓状に形成
しているが、ゴム材を被覆する必要がないので、材質を
樹脂にしてシャフト２０との摺動性を確保している。

【００１６】一方、テープカートリッジ１を駆動する駆
動装置３１は、ベース板３２上にキャプスタンベース３
３を支軸３４で揺動可能に軸支し、このキャプスタンベ
ース３３上にキャプスタンモータ３５を取付けて、キャ
プスタンモータ３５のキャプスタン軸３６をベルト駆動
ローラ１５に当接可能に設けると共に、ベース板３２と
キャプスタンベース３３との間にキャプスタン軸３６を
ベルト駆動ローラ１５に所要のテンションで当接させる
スプリング３７を介設している。また、この駆動装置３
１は、テープカートリッジ１が挿入セットされたときに
テープカートリッジ１を固定する図示しない固定機構を
も備えている。

【００１７】なお、テープカートリッジ１のベース板２
は、ベルト駆動ローラ１５及びベルトローラ１６，１７
とシャフト１２の回転摩擦による発熱を放出可能で、且
つ駆動ベルト１８のテンションによる曲げに耐える厚み
を有している。また、ベース板２にはテープ５に接触す
るヘッドＨを挿入する部分及びベルト駆動ローラ１５に
圧接されるキャプスタン軸３６を挿入する部分に切欠き
部２ａ，２ｂを形成している。

【００１８】以上のように構成したテープカートリッジ
１においては、図５に示すように駆動装置３１に挿入セ
ットすることによってキャプスタン軸３６がベルト駆動
ローラ１５の上下端外周面のゴム材２４に圧接され、キ
ャプスタン軸３６が回転駆動されることでベルト駆動ロ
ーラ１５が回転し、このベルト駆動ローラ１５及びベル
トローラ１６，１７に張装された駆動ベルト１８が駆動
される。この駆動ベルト１８は供給リール３及び巻取り
リール４に巻回されたテープ５の外周面に強いテンショ
ンで接触しているので、駆動ベルト１８が駆動されるこ
とでテープ５が供給リール３から繰り出されて巻取りリ
ール４に巻取られるように走行する。

【００１９】この場合、テープ５の非磁性面を外側にし
て供給リール３及び巻取りリール４に巻回するようにし
ているので、テープ５の非磁性面が駆動ベルト１８に接
触してテープ５が走行され、テープ５の磁性面に付着し
たゴミ等が駆動ベルト１８に転移付着することが防止さ
れる。

【００２０】ここで、キャプスタンモータ３５によって
回転されるベルト駆動ローラ１５がベルト１８を駆動し
てテープ５を走行させるときのテープテンションの発生
について図６を参照して説明する。上記のようにテープ
を一方のリールから他方のリールへテンションを得なが
ら移行させるために、薄い可撓性の無端ベルトを利用す
るテープカートリッジの基本原理は、２個のローラとフ
ラットなエンドレスベルトによって駆動を行うことにあ
るが、この場合、エンドレスベルトにたるみ側と緊張側
が発生し、弾性材料はテンション下に伸長するので、エ
ンドレスベルトの緊張側はたるみ側よりも薄くなる。ま
た、この場合、無端閉成ループシステムとなるので、質
量運動の連続性が存在する。つまり、ベルト駆動装置の
どの地点においてもベルトの質量が等しくなる。したが
って、ベルト駆動装置の緊張側におけるベルト速度はた
るみ側におけるベルト速度よりも厚さの違いに比例する
量だけ速くなる。

【００２１】例えば、図６に示すように２個のローラ
Ａ，Ｂ間にエンドレスベルトＣをスリップが生じないよ
うに充分なテンションを掛けて張装し、ローラＢにこれ
を矢示方向に回転させる駆動装置Ｄが設けられる場合、
ローラＡに摩擦負荷があるとすれば、ベルトＣはローラ
Ａとの接触点ａからローラＢとの接触点ｂを経てローラ
ＢとＤとの間の接触点ｃに至る間が緊張側（ａｂｃ）と
なり、ローラＢとＤとの間の接触点ｃからローラＡとの
接触点ｄを経て接触点ａに至る間がたるみ側（ｃｄａ）
となる。このとき、ベルトＣの緊張側（ａｂｃ）はたる
み側（ｃｄａ）よりも大きな直線速力が移動し、したが
ってローラＢはローラＡよりも高い接線遠力で回転す
る。

【００２２】これを上記実施例のテープカートリッジ１
に当てはめると、図１でベルト駆動ローラ１５をキャプ
スタンによって回転させてベルト１８を矢示方向に駆動
したとすると、ベルト１８はベルト駆動ローラ１５とベ
ルトローラ１７との間で最も緊張し、次いでベルトロー
ラ１７，１６間、ベルトローラ１６とベルト駆動ローラ
１５との間で最もたるむことになる。したがって、ベル
ト駆動ローラ１５とベルトローラ１７との間のベルト１
８に接触する巻取りリール４はベルトローラ１７，１６
間のベルト１８に接触する供給リール３よりも高い接線
速力で回転する傾向が生じて、正常な動作状態では、２
個のリール３，４を連結するテープ５は供給リール３か
ら繰り出されるよりも早く巻取りリール４に巻取ること
ができる。それによって、リール３，４間のテープ経路
に沿ってテンションが生じ、このテンションによって押
圧機構を必要とすることなく、ヘッドＨをテープ５に正
しく接触させることができる。

【００２３】このように、少なくとも３個のベルトロー
ラのうちＴ字の上辺に配置された一対のベルトローラの
一方をキャプスタンが当接されるピンチローラを兼ねた
ベルト駆動ローラ１５とすることによって、テープ５の
磁性面を内側（非磁性面を外側）にして供給リール３及
び巻取りリール４に巻回した場合でも、巻取りリール４
を供給リール３よりも相対的に速く回転させることがで
きてテープ５にテンションを生じさせることができる。

【００２４】なお、この場合、上記実施例のＴ字の上辺
の他方のベルトローラ１６をベルト駆動ローラとした場
合には、ベルト１８はベルトローラ１６とベルトローラ
１５との間で最も緊張し、次いでベルトローラ１５，１
７間、ベルトローラ１７とベルトローラ１６との間で最
もたるむことになる。したがって、ベルトローラ１５と
ベルトローラ１７との間のベルト１８に接触する巻取り
リール４はベルトローラ１７，１６間のベルト１８に接
触する供給リール３よりも高い接線速力で回転する傾向
が生じるので、上記と同様の作用効果が得られる。

【００２５】また、ベルト駆動ローラ１５をその上下端
外周部をネオプレンゴム等からなるゴム材２４で被膜す
ると共に、上下方向中央部を断面太鼓状に形成してベル
ト案内部２５としているので、キャプスタン軸３６の回
転を確実にベルト駆動ローラ１５に伝達して駆動ベルト
１８を確実に駆動してテープ５を走行させることができ
る。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、テ
ープの非磁性面を外側にしてリールに巻回し、且つ少な
くとも３個のベルトローラのうちＴ字の上辺に配置され
た一対のベルトローラの一方をキャプスタンが当接され
るピンチローラを兼ねたベルト駆動ローラとしたので、
テープの磁性面に付着したゴミ等が駆動ベルトに転移す
ることを防止しつつ、巻取りリールを供給リールよりも
相対的に速く回転させてテープにテンションを生じさせ
ることができ、記録再生の信頼性が向上する。

【００２７】そして、ベルト駆動ローラの上下端にキャ
プスタンが当接されるゴム材を被覆し、中央部に駆動ベ
ルトを案内するベルト案内部を形成することによって、
キャプスタンの回転を確実にベルト駆動ローラに伝達し
て駆動ベルトを駆動することができ、より信頼性が向上
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るテープカートリッジの概略斜視図

【図２】図１の平面図

【図３】図２の正断面図

【図４】ベルト駆動ローラの正半断面図

【図５】図１のテープカートリッジを駆動する駆動装置
の概略平面図

【図６】作用説明に供する説明図

【図７】従来のテープカートリッジの概略平面図

【符号の説明】

１…テープカートリッジ、２…ベース板、３…供給リー
ル、４…巻取りリール、５…テープ、６〜８…テープガ
イドローラ、１５…ベルト駆動ローラ（ベルトロー
ラ）、１６，１７…ベルトローラ、３６…キャプスタン
軸、Ｈ…ヘッド。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 テープが巻回される一対の供給リールと
   巻取りリールと、前記テープを案内するテープガイド
   と、前記供給リール及び巻取りリールに巻回される前記
   テープの外周面に接してこのテープを走行させる無端の
   駆動ベルトと、この駆動ベルトを張装するＴ字状に配置
   された少なくとも３個のベルトローラとを備えたテープ
   カートリッジにおいて、前記テープの非磁性面を外側に
   して前記供給リール及び巻取りリールに巻回すると共
   に、前記少なくとも３個のベルトローラのうちＴ字の上
   辺に配置された一対のベルトローラの一方をキャプスタ
   ンが当接されるピンチローラを兼ねたベルト駆動ローラ
   としたことを特徴とするテープカートリッジ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のテープカートリッジに
   おいて、ベルト駆動ローラは、上下端にキャプスタンが
   当接されるゴム材を被覆し、中央部に前記駆動ベルトを
   案内するベルト案内部を形成したことを特徴とするテー
   プカートリッジ。