JPH089606B2 - 無水マレイン酸の製造法 - Google Patents

無水マレイン酸の製造法

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JPH089606B2
JPH089606B2 JP63170227A JP17022788A JPH089606B2 JP H089606 B2 JPH089606 B2 JP H089606B2 JP 63170227 A JP63170227 A JP 63170227A JP 17022788 A JP17022788 A JP 17022788A JP H089606 B2 JPH089606 B2 JP H089606B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は無水マレイン酸の製造法に関する。詳しくは
本発明は、炭素数4以上の脂肪族炭化水素、例えばブタ
ン、ブテン類、ブタジエン等を原料として、その気相酸
化により無水マレイン酸を製造する方法の改良に関す
る。
〔従来の技術〕
無水マレイン酸は通常、ベンゼンの気相酸化又はブタ
ン、ブテン類、ブタジエン等の炭素数4以上の脂肪族炭
化水素の気相酸化により製造される。また無水マレイン
酸はオルトキシレンやナフタレンの気相酸化による無水
フタル酸製造工程における副生物としても回収されてい
る。工業的に有利な製造法としては炭素数4の脂肪族炭
化水素を原料として無水マレイン酸を製造する方法があ
り、そのための触媒やプロセスの開発に多くの努力が払
われてきた。
〔発明が解決しようとする課題〕
炭化水素の気相酸化によって無水マレイン酸を製造す
る反応の留意点として生成物である無水マレイン酸の反
応性が高いことが挙げられる。即ち、高温の空気等の酸
素含有ガス雰囲気下では無水マレイン酸が無触媒酸化を
受け易く、収率面及び安全面での配慮が必要となる。ま
た原料にブタン又はブタンを含有する炭素数4の炭化水
素類混合物を使用する場合、触媒層を出た反応生成ガス
中には未反応ブタンが実質的濃度で含有されている。こ
の場合、やはりブタンが空気等の酸素含有ガス雰囲気下
で高温で無触媒酸化を受け易いので、安全面での配慮が
必要となってくる。
工業プロセスでは従来、主として熱交換器型の多管反
応器に直径数mmの触媒粒子を充填した固定床式触媒層で
上記酸化が実施されてきた。この場合、反応生成ガスは
触媒層を出てから冷却用交換器に入るまでの数秒ないし
数十秒の時間、反応温度に近い高温に維持されることに
なるが、器壁の影響は小さく、無触媒酸化を受け易いの
は主として触媒層から反応器出口までの空間であり、数
秒間にわたり反応生成ガスがこの空間で高温に維持され
ているのが実情である。そのため、反応生成ガスの組成
によっては無触媒酸化によって誘発される自然発火及び
爆発の危険性が高まり、またそれほどではなくとも、生
成物の損失、副生物の増加等の可能性が高かった。この
対策としては反応器内で触媒層から出たガスに非水性冷
却ガスを混合したり、また冷却流体と間接熱交換したり
して温度を下げる方法が提案されている(特開昭53−2
8,113号、米国特許第4,044,027号)。
一方、最近注目されてきている流動床触媒を用いる気
相酸化プロセスでは、気体の上昇流によって大量の酸化
触媒が流動状態におかれている濃厚流動層中で炭化水素
の気相酸化を行なう。より具体的には気体状の炭化水素
原料を予め空気等の酸素含有ガスと混合して濃厚流動層
に導入するか又は空気等の酸素含有ガスで流動状態にあ
る濃厚流動層に気体状の炭化水素原料を導入して接触反
応を行なう。
ここで使用される酸化触媒は、バナジウム及びリンを
主要構成元素とする複合酸化物(以下「バナジウム−リ
ン系複合酸化物」という)を活性成分とするものであ
り、従来公知の種々の方法で製造することができる。そ
れ等の例としては例えば米国特許第4,525,471号、同第
4,374,043号、同第4,455,434号、同第4,317,778号、同
第4,510,258号、同第4,511,670号、欧州特許第225,062
号、米国特許第4,374,756号、同第4,520,127号、同第4,
472,527号等を挙げることができる。
これらの流動床方式反応の場合、触媒は反応生成ガス
に同伴されて濃厚流動層より上方に触媒粒子の運動エネ
ルギーに応じて運搬される。到達する高さは一般に輸送
出口高さ(TDH)と呼ばれている(例えば国井大蔵著
「流動化法」(昭和37年10月25日初版、日刊工業新聞社
発行)等参照)。ガスに同伴された触媒はこの触媒全体
の平均粒子径のTDHよりは高い位置で通常サイクロンに
より捕集され、ディップレッグを経由して濃厚流動層に
循環されて再使用される。従って流動床反応器では触媒
の大部分が存在する濃厚流動層の上方にその容積の数倍
にも達する触媒密度の低い希薄流動層が存在する。この
領域は触媒密度が低いために原料炭化水素や生成物の無
触媒酸化が進行する危険性が固定床反応に比較してはる
かに大きい。
一般に無触媒酸化を抑制するためには反応生成ガスの
温度を可及的に下げるのが良いことは知られている。例
えば前記特開昭53−28,113号には、固定床式反応器にお
いて触媒層を出たガス675°F(357℃)以下、好ましく
は625°F(329℃)以下、より好ましくは580°F(304
℃)以下に冷却することが記載されている。しかしなが
ら、このように反応生成ガスの温度を単に可及的に低下
させるという手法をそのまま流動床式反応器に適用した
としても、流動床反応を円滑に進めることは事実上不可
能であり、実際的でない。何故なら過度の冷却はサイク
ロンで捕集されて濃厚流動層に循環される触媒粒子の温
度を過度に低下させ、かえって反応停止、触媒劣化等の
危険性が増大するほか、希薄流動層部分に設置される過
大な除熱用熱交換器チューブにより相当径が過度に低下
し、ガス線速が増大してTDHの値そのものにも影響する
からである。また、流動床式の気相酸化反応器で異常反
応時に希薄流動層に水蒸気、空気、窒素等のガスを吹き
込んで冷却するようにした構造のものも提案されている
が、この場合もサイクロンでの触媒捕集のための負荷が
過度に増大し、流動床触媒の損失となる場合が多い。ま
た無水マレイン酸を製造する反応では通常、バナジウム
−リン系複合酸化物を含む触媒を使用するため、水蒸気
吹込みの場合には触媒の吸湿固化、流動性悪化等の危険
性も高い。
上記のように、流動床反応方式でブタン等の炭素数4
以上の脂肪族炭化水素の気相酸化により無水マレイン酸
を製造するための従来の技術では、濃厚流動層での反応
を安定に実施しつつ反応器上部の希薄流動層での無触媒
酸化によるブタン等の未反応炭化水素や生成物である無
水マレイン酸の損失を防止し、かつ安全を確保するのが
困難であり、あるいは希薄流動層での異常反応時に希薄
流動層に冷却用ガスを大量に導入することによる触媒の
損失を招くなどの問題点があった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは流動床式反応器内における触媒粒子の挙
動及び流動床式反応器の特性に関する知見をもとに希薄
流動層での無触媒酸化を抑制して安全性を確保し、かつ
生成物の損失を可及的に低減するための方法につき鋭意
検討を重ねた結果、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、バナジウム−リン系複合酸化
物を活性成分とする酸化触媒を収容した流動床反応器
に、底部のガス分散板の下方から酸素含有ガスを供給
し、該触媒を流動化させてガス分散板の上方に該触媒の
濃厚流動層を形成させ、該濃厚流動層中に炭素数4以上
の脂肪族炭化水素を供給して気相酸化反応により無水マ
レイン酸を生成させ、該触媒の少量を随伴しつつ該濃厚
流動層から流出して該濃厚流動層の上方に該触媒の希薄
流動層を形成しつつ上昇する反応生成ガスを頂部のサイ
クロンを経て流動床反応器から抜き出し、次いで抜き出
された反応生成がスから無水マレイン酸を回収すること
を含む方法において、 上記炭化水素の供給を上記濃厚流動層の下部領域であ
って上記ガス分散板から上方に離れた位置で行なうこ
と、 上記サイクロンで回収された上記触媒の実質的部分を
上記濃厚流動層の下部領域に戻すこと、並びに、 上記反応生成ガスの上記サイクロン入口での温度が33
0〜450℃の範囲となるように、上記希薄流動層内に設置
された間接熱交換装置によって該ガスを冷却すること、 を特徴とする無水マレイン酸の製造法、に存する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明方法では流動状態の酸化触媒を収容した流動床
反応器中で原料炭化水素と酸素含有ガスとを接触させて
気相酸化反応により無水マレイン酸を生成させる。
触媒としてはバナジウム−リン系複合酸化物を活性成
分とする酸化触媒を使用する。該触媒は前記のような公
知の種々の方法で製造することができる。
原料炭化水素としては炭素数4以上の脂肪族炭化水素
が使用される。好適な原料炭化水素はブタン(n−ブタ
ン)、ブテン類(1−ブテン、2−ブテン)、ブタジエ
ン(1,3−ブタジエン)等の炭素数4の脂肪族炭化水素
であり、より好適にはブタンである。
酸素含有ガスとしては通常、空気が使用されるが、不
活性ガスで希釈された空気、酸素を加えて富化された空
気等を使用することもできる。
本発明方法に使用される流動床反応器は、底部に触媒
流動層の下端を画するガス分散板を、また頂部に反応生
成ガスから飛散触媒を回収して触媒流動層に戻すための
サイクロンを備えた通常のものでよいが、濃厚流動層の
下部領域であってガス分散板から上方に離れた位置に原
料炭化水素の供給口を備え、濃厚流動層の下部領域、例
えばガス分散板と上記炭化水素供給口との間またはその
近辺の位置、にサイクロンで回収された触媒の実質的部
分を触媒流動層に戻すためのディップレッグの下端を備
え、また希薄流動層が形成されるべき位置に反応生成ガ
スの除熱のための間接熱交換装置、例えば除熱コイル、
を備えている必要がある。
第1図は本発明方法に使用される流動床反応器の内部
構成の一例を示す模式図である。流動床反応器1は底部
にガス分散板2を備えている。酸素含有ガスは供給管3
を経て供給され、ガス分散板2の下方の供給口4から反
応器中に吹き込まれる。ガス分散板上の酸化触媒は酸素
含有ガスによって流動化させられ、ガス分散板の上方に
濃厚流動層5を形成する。6は反応温度を制御するため
に濃厚流動層中に設置された除熱コイルである。原料炭
化水素は供給管7を経て供給され、濃厚流動層の下部領
域であるがガス分散板から上方に離れた位置に開口した
供給口8から濃厚流動層内に吹き込まれる。供給口8は
原料炭化水素と酸素含有ガスとの混合を促進するために
下向きに開口しているが、十分な混合が保証されるなら
ば他の方向に開口していてもよい。濃厚流動層内におい
ては原料炭化水素の気相酸化反応により無水マレイン酸
が生成する。
目的生成物の無水マレイン酸のほかに未反応の酸素及
び原料炭化水素、並びに副生する二酸化炭素、水及び一
酸化炭素等を様々な濃度で含有する反応生成ガスは触媒
の比較的少量を随伴しつつ濃厚流動層の上面9から流出
してその上方に触媒の希薄流動層10を形成する。前記の
ように希薄流動層の容積は通常、濃厚流動層のそれの数
倍にも及ぶものである。11は希薄流動層中に設置された
除熱コイルであり、後述のように制御された程度におい
て反応生成ガスを除熱するものである。反応生成ガスは
次いで反応器頂部に設置されたサイクロン12、13に導入
され、そこで飛散触媒と分離されて、抜出し管14から抜
き出される。抜き出された反応生成ガスから目的生成物
である無水マレイン酸が回収される。この無水マレイン
酸回収の方法は周知であり、多様な方法が知られている
が、主として水性媒体又は有機媒体による吸収、吸収液
の濃縮、及び蒸留精製から成っている。
第1図の流動床反応器1においてサイクロンは第1段
サイクロン12及び第2サイクロン13の2段式となってい
るが、必要により3段式又はより多段の構成とすること
もできる。第1段サイクロン12のディップレッグ15の下
端16はガス分散板2と原料炭化水素供給口8との間の領
域に開口していて、サイクロンで回収される触媒の実質
的部分が該領域に戻されるように構成されている。な
お、後述のようにディップレッグの下端16を供給口8よ
りもやや上方の位置に設けることも可能である。第2段
サイクロン13のディップレッグ17の下端18は濃厚流動層
内のより高い位置に開口していて、上記触媒の残りの部
分を濃厚流動層に戻すようにされている。
上記のような構成の流動床反応器中で原料炭化水素の
気相酸化反応を行なう場合、反応器内は反応と物質の
(一部循環を含む)流れとを含む極めて複雑な系とな
り、反応器内の各帯域が相互に影響を及ぼし合うことに
なるので、各帯域の条件設定に当ってはこの相互依存関
係を考慮に入れる必要がある。
例えば濃厚流動層を流出して希薄流動層中を上昇する
反応生成ガス中には残留する未反応原料炭化水素、例え
ばブタン及び反応生成物である無水マレイン酸、さらに
は反応で副生する一酸化炭素が可燃性物質として含まれ
ている。また空気等の酸素含有ガスとして反応器に供給
した酸素の中の少なくとも一部は未反応で反応生成ガス
中に残留する。従って反応生成ガスの組成は場合によっ
ては爆発範囲に入ることになるので、工業プロセスでは
可燃性物質の濃度及び組成、酸素濃度等を監視してこれ
が爆発範囲に入らないように、反応器に供給する原料炭
化水素の濃厚流動層中での濃度を決定し、かつ温度、圧
力に対して爆発範囲が少なからぬ依存性を有するので、
これを考慮に入れて濃厚流動層の反応条件を決定する必
要がある。
しかし、反応温度に関して言えば、これは触媒の性能
や特性及び接触時間等に依存するところが大きい。従っ
て濃厚流動層の反応温度は主としてこの観点から決めら
れる。特にバナジウムーリン系複合酸化物を活性成分と
する触媒ではあまりに反応温度が低いと触媒の再酸化速
度が低いために強く還元され、反応性の変化や失活の懸
念が生じる。このため濃厚流動層での反応は通常380〜5
00℃、好ましくは400〜460℃程度の温度範囲で実施され
る。
しかしながら濃厚流動層での反応温度が上記のような
温度範囲、特にそのうちでも高めの温度領域にある場合
には、濃厚流動層を流出する反応生成ガスの温度が高い
ので、希薄流動層中で反応生成ガスの無触媒酸化が有意
の速度で進行することとなる。
本発明方法においては上記の無触媒酸化を抑制するた
めに、希薄流動層内に設置された間接熱交換装置によっ
て反応生成ガスを冷却する。
この場合、希薄流動層中での無触媒酸化(自動酸化と
もいう)を可及的に抑制する一方でサイクロンを経由し
て濃厚流動層に還流される触媒粒子の温度を濃厚流動層
での触媒反応に影響を与えない範囲に保持するためには
上記冷却の温度範囲の設定に注意を要する。即ち無触媒
酸化の速度を充分低下させるために例えば100℃以下に
まで温度を下げることはできない。それはサイクロンで
捕集されて濃厚流動層に循環される触媒粒子の温度が低
すぎる結果として濃厚流動層において正常な触媒反応を
進めるための温度が保持できず、系を不安定化させるこ
とになるからである。特に触媒粒子の温度が低いと過剰
還元、炭素質付着物の沈着等により活性の低下、流動性
の悪化等を誘発する恐れがあるのである。
従って本発明においては反応生成ガスのサイクロン入
口での温度が330〜450℃の範囲となるように上記の希薄
流動層内での冷却を行なう。該温度範囲は好ましくは33
0〜400℃であり、より好ましくは350〜400℃である。
本発明に従う流動床反応においては、供給する空気そ
の他の酸素含有ガスに対する原料炭化水素の濃度(モル
濃度)を、反応器出口ガスの組成がそこでの温度と圧力
の条件において爆発範囲となることを回避するように設
定すべきである。原料炭化水素がブタンの場合、触媒の
性能にもよるが、該濃度は通常、2.4%以下または3.5%
以上である。上記濃度が3.5%以上の場合でも過度に濃
度が高いと酸素不足となって一回通過での有効変換率が
低下して有利でない。通常、炭化水素濃度の上限は20
%、好適には8%以下であり、より好適には経済性も考
慮して3.8〜6%程度の濃度範囲が選択される。なお、
原料炭化水素がブテン類、ブタジエンその他の炭素数4
の脂肪族炭化水素の場合もこれらの選択すべき濃度範囲
はほぼ同様である。
また本発明方法においては上記原料炭化水素の供給を
濃厚流動層の下部領域であってガス分散板から上方に離
れた位置で行なう。この場合、濃厚流動層の下部には原
料炭化水素が供給されず実質的に空気等の酸素含有ガス
のみで触媒が処理される領域が生じる。この領域におい
ては炭化水素の酸化反応に使用されて還元側に移行した
触媒の酸化が行なわれる。そこでこの領域を再酸化帯と
呼ぶことにする。再酸化帯の高さ、即ちガス分散板と炭
化水素供給位置との間の距離は触媒の性質、特に再酸化
速度、酸素濃度等を考慮して適当なものとすべきである
が、通常0.3〜3m、好ましくは0.4〜1.5m程度である。
本発明方法においては、上記のように濃厚流動層の下
部領域に再酸化帯を設けると共にサイクロンで回収され
た触媒の実質的部分をこの再酸化帯に戻すことによって
還元された触媒の再酸化を促進する。なお、回収触媒の
実質的部分を再酸化帯に戻すための最も確実な方法はサ
イクロンのディップレッグの下端を再酸化帯の中に開口
させることであるが、ディップレッグの下端が再酸化帯
のやや上方に開口している場合でも回収触媒の大部分は
再酸化帯内に落ち込むので同様の結果を得ることができ
る。
上記のようにサイクロン回収触媒を濃厚流動層の下部
領域に戻すことは流動床による気相酸化においてかなり
一般的な方法であるが、問題は無水マレイン酸の生成に
有効なバナジウムーリン系複合酸化物触媒の再酸化速度
が一般にやや低いということであり、充分な再酸化をす
すめるにはある程度以上の温度である必要がある。濃厚
流動層内の触媒の対流循環があるので、サイクロンで捕
集された還元側に移行した触媒の再酸化帯への循環をす
る場合には濃厚流動層の反応温度より低温側であっても
ある程度対応できるが、それにも限度があり、循環触媒
の温度が余りに低温側であると前記のような不都合が生
ずる。本発明方法においては前記のように希薄流動層中
において制御された程度の冷却を行なうので、循環触媒
の温度を適当な範囲内に維持することができる。
〔作用〕
本発明方法においては、濃厚流動層の下部領域に再酸
化帯を形成させ、そこにサイクロンからの回収触媒の実
質的部分を戻すことによって、特に還元度の高い回収触
媒の再酸化を促進している。また希薄流動層中で制御さ
れた程度の除熱を行なうことによって、反応生成ガスの
無触媒酸化を有効に抑制すると共にサイクロンから濃厚
流動層に戻される回収触媒が低温であることによって生
じる不都合を回避している。
以下に参考例によって希薄流動層での冷却が反応生成
ガス及び触媒に及ぼす影響について示す。
参考例−1(反応生成ガスへの影響) 特開昭59−95933の実施例2の方法でバナジウムーリ
ン系複合酸化物を含有する流動床触媒を製造した。流動
床触媒を充填した内径3インチの垂直管型反応器を用
い、400〜460℃で炭化水素を気相酸化し、触媒フィルタ
ーで出口ガス中の触媒を分離して、系外に抜出し、随時
容積1の予熱した爆発容器に導入した(反応器を出た
ガスの温度は250〜350℃であった)。この爆発容器では
15KV交流スパーク(0.01秒)で点火し、容器内の圧力上
昇により爆発の有無を判定した。出口ガスの組成及び条
件は反応、温度、原料及び入口酸素の濃度(空気及び窒
素を混合して調整)、接触時間、圧力等の変更により変
更した。
上記構成の装置によりブタン(99%純度)の気相酸化
を実施し反応生成ガスの爆発に関する限界酸素濃度(二
爆発の起る酸素濃度の下限値)を測定した。反応時のブ
タン濃度は約4%、ブタン変換率は80〜98%、無水マレ
イン酸収率は48〜56%であった。爆発容器の温度350〜4
50℃の範囲で限界酸素濃度の値は次の表−1に示す通り
であった。
一般に反応系で生起する爆発は無触媒下での気相の可
燃性物質の酸化によるものであり、本装置での強制着火
による爆発テストとの直接の相関はないが、該テストに
より無触媒下での酸化により着火して起こる爆発現象に
対して限界的な評価ができる。上記の結果により、濃厚
流動層での反応温度400〜460℃に対し、反応生成ガスの
温度を400℃以下の温度に下げることが、気相部での無
触媒酸化や、それによって誘発される爆発に関し有利と
なることが明らかである。
参考例−2(触媒への影響) 濃厚流動層からの触媒溢流を内径1インチの外部配管
を用いて反応器底部に戻す構造の直径1.5インチの触媒
強制循環型小型流動床反応器を用いて、濃厚流動層底部
に戻す温度を種々に変更しつつブタンの気相酸化反応を
行なった。循環用配管内には3l/hrの流量の窒素を流し
た。参考例−1と同じ触媒1.5kgを充填し、反応温度420
℃、常圧、LV10cm/sで4%ブタン/空気混合ガスを用い
た。再酸化帯は35cmとし、ブタンはこの位置から下向き
に供給して濃厚流動層内にて空気と混合した。
再酸化帯の温度を420℃、360℃、300℃と変えた時の
反応成績は初期は大差なかったが、250時間経過後で
は、次の表−2のように温度の低下と共に活性低下の傾
向を示した。
〔発明の効果〕 本発明方法に従って流動床反応を行なうことにより、
希薄流動層での無触媒酸化を有効に抑制しつつ濃厚流動
層内の好適な反応条件を維持することができるので安全
かつ経済的に無水マレイン酸を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法に使用される流動床反応器の内部構
成の一例を示す模式図である。 1:流動床反応器 2:ガス分散板 3:酸素含有ガス供給管 5:濃厚流動層 6:濃厚流動層除熱コイル 7:原料炭化水素供給管 10:希薄流動層 11:希薄流動層除熱コイル 12、13:サイクロン 14:反応生成ガス抜出し管 15、17:ディップレッグ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バナジウム−リン系複合酸化物を活性成分
    とする酸化触媒を収容した流動床反応器に、底部のガス
    分散板の下方から酸素含有ガスを供給し、該触媒を流動
    化させてガス分散板の上方に該触媒の濃厚流動層を形成
    させ、該濃厚流動層中に炭素数4以上の脂肪族炭化水素
    を供給して気相酸化反応により無水マレイン酸を生成さ
    せ、該触媒の少量を随伴しつつ該濃厚流動層から流出し
    て該濃厚流動層の上方に該触媒の希薄流動層を形成しつ
    つ上昇する反応生成ガスを頂部のサイクロンを経て流動
    床反応器から抜き出し、次いで抜き出された反応生成ガ
    スから無水マレイン酸を回収することを含む方法におい
    て、 上記炭化水素の供給を上記濃厚流動層の下部領域であっ
    て上記ガス分散板から上方に離れた位置で行なうこと、 上記サイクロンで回収された上記触媒の実質的部分を上
    記濃厚流動層の下部領域に戻すこと、並びに、 上記反応生成ガスの上記サイクロン入口での温度が330
    〜450℃の範囲となるように、上記希薄流動層内に設置
    された間接熱交換装置によって該ガスを冷却すること、 を特徴とする無水マレイン酸の製造法。
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