JPH089548B2 - プロドラツグ化合物、その製造法およびそれを含有する持続性製剤 - Google Patents

プロドラツグ化合物、その製造法およびそれを含有する持続性製剤

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JPH089548B2
JPH089548B2 JP62057157A JP5715787A JPH089548B2 JP H089548 B2 JPH089548 B2 JP H089548B2 JP 62057157 A JP62057157 A JP 62057157A JP 5715787 A JP5715787 A JP 5715787A JP H089548 B2 JPH089548 B2 JP H089548B2
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藤沢薬品工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は医薬品の新規なプロドラッグ化合物、その
製造法およびそれを含有する持続性製剤に関するもので
ある。
[従来の技術] 生体内における薬物の徐放化を目的として種々の分子
内修飾を行なったいわゆるプロドラッグが検討されてお
り、例えば抗腫瘍剤である5−フルオロウラシル と、コレステロールとをスペーサー [−CONH(CH25CO−] を介して結合したプロドラッグ が合成され、これをリポソームに取り込ませることによ
り、緩衝液中で親化合物である5−フルオロウラシルに
徐々に変換できることが知られている(日本薬学会第10
5年会講演要旨集(1985年)、演題No.5W1−24、題名:
コレステロールをキャリアーとする5−FUプロドラッグ
の合成とその脂質分散系製剤への応用)。
また、抗腫瘍剤であるマイトマシンC についても上記と同様にスペーサー[−CO−]を介して
コレステロールと結合したマイトマイシンC誘導体であ
るコレステリルオキシカルボニルマイトマイシンC の合成が試みられている[ケミカル・アンド・ファーマ
シューティカル・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.)31(1
1)4083−4090(1983)]。
[発明が解決しようとする問題点] 上記のマイトマイシンCの誘導体では、化学的および
酸素的加水分解に対するマイトマイシンCとコレステロ
ールの結合の安定性のために親化合物であるマイトマイ
シンCにほとんど変換できないという問題点があった。
[問題点を解決するための手段] この発明の発明者らは上記のような問題点を克服する
目的で鋭意研究した結果、マイトマイシンCをステロイ
ド化合物と種々の新規なスペーサーを介して結合させた
誘導体を合成することにより、このプロドラッグを生体
に投与した場合に血中で親化合物であるマイトマイシン
Cに徐々に変換され、さらにこのプロドラッグをリポソ
ームに取り込ませたリポソーム製剤とすることにより、
リポソーム中へのその誘導体の取り込みがマイトマイシ
ンCへの変換速度を減少し、その結果、マイトマイシン
Cの血中濃度を長時間に亘って持続できる上、親化合物
自体を投与した場合に比べて毒性も軽減できることを見
出した。
さらに、本発明者らは、この技術を式: で示される4−ホルミル−6,9−ジヒドロキシ−14−オ
キサ−1,11−ジアザテトラシクロ−[7.4.1.02,7.0
10,12]テトラデカ−2,4,6−トリエン−8−イルメチル
カルバメート(以下、FR900482物質という)、および
式: で示されるビス(2−クロロエチル)アミン(以下、ナ
イトロジェンマスタードという)等に適用しても同様の
効果が得られることを見出し、さらに式 で示される1−β−D−アラビノフラノシルシトシン
(以下、シタラビンという)に適用した結果、上記した
効果に加えて、抗腫瘍効果が著しく向上することを見出
してこの発明を完成した。
この発明のプロドラッグ化合物は新規であり、一般式 A−CO(CH2(NHCO)−R [I] (式中、Aは分子中に基NHまたは−NH2を有する医薬
化合物の残基、Rはステロイド化合物の残基、mは1〜
5の整数、nは0または1をそれぞれ意味する) で示される。
プロドラッグ化合物[I]において、Aで表わされる
「分子中に基NHを有する医薬化合物の残基」における
医薬化合物としては、例えばマイトマイシンC、ナイト
ロジェンマスタード、FR900482物質等の抗腫瘍剤が挙げ
られる。また「分子中に基−NH2を有する医薬化合物の
残基」における医薬化合物としては、例えばシタラビ
ン、アミノプテリン、アザシチジン、ドキソルビシン、
タウノルビシン等が挙げられる。これらの医薬化合物の
残基とは、医薬品化合物の分子中の基NHまたは−NH2
から水素原子を除いた残基を意味する。
また、ステロイド化合物の残基としては、コレステロ
ール、コレスタノール、ラノステロール、エルゴステロ
ール、リトコール酸等のステロイド化合物の3位のヒド
ロキシ基から水素原子を除いた基が挙げられる。
この発明のプロドラッグ化合物[I]およびその塩類
は下記の方法により製造することができる。
(式中、A、R、mおよびnはそれぞれ前記と同じ意
味) すなわち、プロドラッグ化合物[I]およびその塩類
は化合物[II]もしくはそのカルボキシ基における反応
性誘導体またはそれらの塩類に化合物[III]またはそ
の塩類を作用させることによって製造することができ
る。
化合物[I]、[II]および[III]の好適な塩とし
ては、例えば酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタン
スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホ
ン酸塩等の有機酸塩または塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸
塩、燐酸塩等の無機酸塩のような酸付加塩;ナトリウム
塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金
属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチ
レンアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等の有機アミ
ン塩等が挙げられる。
化合物[II]のカルボキシ基における好適な反応性誘
導体としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化アミ
ド、活性化エステル等が挙げられる。その好適な例とし
ては、酸塩化物、酸アジド、ジアルキル燐酸、フェニル
燐酸、ハロゲン化燐酸等の置換された燐酸、ピバリン
酸、ペンタン酸、等の脂肪族カルボン酸、または安息香
酸等の芳香族カルボン酸のような酸との混合酸無水物;
対称酸無水物;イミダゾール、4−置換イミダゾール、
ジメチルピラゾール、トリアゾールまたはテトラゾール
との活性化アミド;シアノメチルエステル、メトキシメ
チルエステル等の活性化エステル、N,N−ジメチルヒド
ロキシアミン、1−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリド
ン、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフ
タルイミド、1−ヒドロキシ−6−クロロ−1H−ベンゾ
トリアゾール等のN−ヒドロキシ化合物とのエステル等
が挙げられる。これらの反応性誘導体は使用すべき化合
物[II]の種類に応じてそれらの中から任意に選択する
ことができる。
反応は通常、水、メタノール、エタノール、アセト
ン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化
メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エ
チル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンのような
慣用の溶媒中で行なわれるが、反応に悪影響を及ぼさな
い溶媒であれば、その他のいかなる溶媒中でも行なうこ
とができる。これらの慣用の溶媒は水と混合して使用し
てもよい。
化合物[II]を遊離酸の形または塩の形で反応に使用
する場合、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N
−シクロヘシシル−N′−モルホリエチルカルボジイミ
ド;N−シクロヘキシル−N′−(4−ジエチルアミノシ
クロヘキシル)カルボジイミド;N,N′−ジエチルカルボ
ジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド;N−
エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミド;1−エチル−3−(3−ジメチル)カルボジイ
ミド塩酸塩、N,N−カルボニルビス(2−メチルイミダ
ゾール);亜燐酸トリアルキル;ポリ燐酸エチル;オキ
シ塩化燐(塩化ホスホリル);塩化チオニル、塩化オキ
ザリル;2−エチル−7−ヒドロキシベンズイソオキサゾ
リウム塩;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)
−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール;ジメチルホル
ムアミドと塩化チオニル、ホスゲン、オキシ塩化燐等と
の反応によって生成するいわゆるビルスマイヤー試薬等
のような慣用の縮合剤の存在下に反応を行なうのが好ま
しい。
この反応はまた、アルカリ金属炭酸水素塩、トリ(低
級)アルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリ
エチルアミン等)、ピリジン、N−(低級)アルキルモ
ルホリン、N,N−ジ(低級)アルキルベンジルアミン等
のような無機塩基または有機塩基の存在下に行なっても
よい。反応温度は特に限定されず、通常は冷却下または
常温で反応が行なわれる。
目的化合物[I]ならびに原料化合物[II]および
[III]に分子内の不斉炭素原子、二重結合等に基づく
1個以上の光学異性体や幾可異性体のような立体異性体
が含まれる場合、化合物[I]、[II]および[III]
のそのような異性体ならびにそれらの混合物はすべてこ
の発明の範囲内に包含されるものとする。
この発明のプロドラッグ化合物[I]およびその塩類
は、血液中でマイトマイシンC、FR900482物質、ナイト
ロジェンマスタードあるいはシタラビン等の親化合物に
それぞれ変換され、これらの親化合物はいずれも抗腫瘍
作用を有し、各種の癌(例えば、胃癌、肺癌、肺腺癌、
肝癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、子宮癌等)、白血病(例
えばリンパ性白血病、骨髄性白血病等)等の治療に有用
である。
この発明のプロドラッグ化合物[I]は常法により、
可溶化製剤、エマルジョン製剤、リポソーム製剤等とし
た後、例えば注射投与(例えば静脈注射、筋肉内注射、
腫瘍内注射等)、経口投与、直腸投与等により生体内に
投与される。そして、血液中で徐々に親化合物(例えば
マイトマイシンC、FR900482物質、ナイトロジェンマス
タードあるいはシタラビン等)に変換され、親化合物自
体を投与した場合に比べて、長時間親化合物の血中濃度
を持続し、その上抗腫瘍効果を向上し、毒性をも軽減す
ることができる。なお、上記の各種製剤の中でもリポソ
ーム製剤とした場合に最も血中濃度を持続させることが
できる。
リポソーム製剤を製造する場合に膜材として使用され
るリン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホ
スファチジルセリン、スフィンゴミエリン等の卵黄、大
豆その他動物組織に由来するもの、これらの混合物であ
る卵黄レシチンまたは大豆レシチンまたはジパルミトイ
ルレシチン、ジステロアロイルレシチン等の合成レシチ
ンが挙げられる。これらのリン脂質には通常の添加物、
例えばコレステロール類、ジセチルホスフェートあるい
はα−トコフェロールなどを適宜添加してもよい。
リポソーム製剤は公知の方法により製造することがで
きる。すなわち、プロドラッグ化合物[I]またはその
塩類とリン脂質をクロロホルム、メタノール、エタノー
ル等の適当な溶媒に溶解し、これを適当な容器に入れ溶
媒を減圧下に留去し、次に界面活性剤(例えばコール酸
ナトリウム等)および水溶液(例えばリン酸緩衝生理食
塩水等)を添加し、振盪、可溶化した後、界面活性剤除
去装置を用いてこの溶液から界面活性剤を除去して製造
することができる。
また、リン脂質をクロロホルム、エタノール等有機溶
媒に溶解し、これを適当な容器に入れ、溶媒を減圧下に
留去し、リン脂質の薄膜を容器内面に形成させた後に、
プロドラッグ化合物[I]またはその塩類の水溶液を入
れ、振盪するかあるいは超音波処理して製造することも
できる。
さらにエーテル注入法などの慣用の方法によっても製
造することができ、リポソーム製剤の製造法は特に限定
されない。
この発明のプロドラッグ化合物[I]およびその塩類
は通常1mg〜1000mgの単位投与量で1日1〜4回投与さ
れるが、投与量は親化合物の種類、患者の年齢、体重、
症状、投与方法、他の抗腫瘍剤との併用等により適宜増
減される。また、注射投与の場合には、上記投与量の例
えば週1〜2回あるいは1〜3週間以上の間隔で投与し
てもよいい。
[発明の効果] 以下、本発明の効果を試験例により説明する。
親化合物への変換試験1 卵黄レシチン84μ mole、卵黄スフィンゴミエリン36
μ moleおよび後記の実施例1あるいは実施例2で得ら
れたマイトマイシンCプロドラッグをそれぞれ6μ mol
e含有するクロロホルム溶液を丸底フラスコに分取し、
クロロホルムを留去した。これにコール酸ナトリウム25
8mgおよびpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(以下PBSとい
う)4.8mlを添加後振盪し紫色の澄明な液を得た。次い
でリポプレップ(界面活性剤除去装置、商標、ダイアノ
ーム社製)を用いて、この液からコール酸ナトリウムを
除去して、マイトマイシンCプロドラッグを含有するリ
ポソーム懸濁液を得た。
一方卵黄レシチン70μ mole、卵黄スフィンゴミエリ
ン30μ moleおよびFR900482物質のプロドラッグ(実施
例6)5μ moleを含有するクロロホルム溶液を丸底フ
ラスコに分取し、以下上記の方法と同様にして、FR9004
82物質のプロドラッグ含有リポソーム懸濁液を得た。
上記2種類のマイトマイシンCプロドラッグ含有リポ
ゾーム懸濁液はPBSでそれぞれ2.5倍に希釈した。またFR
900482物質プロドラッグ含有リポソーム懸濁液は、FR90
0482物質プロドラッグ濃度が0.5μ moleとなるようにPB
Sで希釈し、millex−GV(商標、ミリポアー社製)、フ
ィルター(0.22μ)で濾過した。
マウス、ラットおよびヒトの各血清(4.5ml、37℃)
に上記のリポソーム懸濁液および各プロドラッグのエタ
ノール溶液0.5mlを添加後、経時的にサンプリングし、
サンプル中のプロドラッグ濃度を高速液体クロマトグラ
フィーにより定量した。
種々の血清中におけるそれぞれのプロドラッグから親
化合物への変換半減期(t 1/2)を各時点のそれぞれの
プロドラッグの残存量より算出した。
試験結果 表1に種々の血清中におけるそれぞれのプロドラッグ
から親化合物への変換半減期(t 1/2)を示す。
上記の試験結果から、この発明のプロドラッグがin v
itro血液中で親化合物に変換されること、およびリポソ
ーム中への各々のプロドラッグの取り込みがその変換半
減期を長くしていることがわかる。
親化合物への変換試験2 卵黄レシチン10μ mole、卵黄スフィンゴミエリン30
μ moleおよび後記の実施例8で得られたシタラビンプ
ロドラッグ(実施例8)30μ moleを含有するクロロホ
ルム−メタノール混液(8:2v/v)を丸底フラスコに分取
し、溶媒を留去した。これにコール酸ナトリウム53.8mg
およびPBS5.0mlを添加後振とうした無色の澄明な液を得
た。次いでリポプレップを用いて、コール酸ナトリウム
を除去しシタラビンプロドラッグを含有するリポソーム
懸濁液を得た。リポソーム懸濁液は、薬物濃度が5μ m
ole/mlとなるようにPBSで希釈し、0.2、0.1および0.08
μのポリカーボネートメンブラン(ニュークリポア社
製)で順次濾過し、続いてmillex−GVフィルター(0.22
μ)で濾過した。
ラットの血清(4.0ml、37℃)に上記のリポソーム懸濁
液およびシタラビンプロドラッグのエタノール溶液0.08
mlを添加後、経時的にサンプリングし、サンプル中のシ
タラビンプロドラッグ濃度を高速液体クロマトグラフィ
ーにより定量した。
親化合物への変換の半減期(t 1/2)を各時点のシタ
ラビンプロドラッグの残存量より算出した。
試験結果 表2にプロドラッグから親化合物への変換半減期(t
1/2)を示す。
上記の試験結果から、この発明のプロドラッグがin v
itroの血液中で親化合物に変換されること、およびリポ
ソーム中へのプロドラッグの取り込みがその変換半減期
を長くしていることがわかる。
吸排試験1 卵黄レシチン126μ mole、卵黄スフィンゴミエリン54
μ moleおよびマイトマイシンCプロドラッグ(実施例
1)24μ moleを含有するクロロホルム溶液14.3mlを丸
底フラスコに分取し、1時間クロロホルムを留去した。
これにコール酸ナトリウム194mgおよびPBS6mlを添加後
振盪し、以下上記と同様の方法により、マイトマイシン
Cプロドラッグ含有リポソーム懸濁液を得た。
得られたリポソーム懸濁液をマイトマイシンCプロド
ラッグ濃度が3.0μ mole/mlとなるようにPBSで希釈し、
ポリカーボネートメンブラン(0.1μ)により濾過し
た。SD系雄性ラット(7週齢、体重約300g、1群4匹)
にマイトマイシンCのPBS溶液および上記の方法で調製
したマイトマイシンCプロドラッグ含有リポソーム懸濁
液1.0ml(両者ともマイトマイシンCとして3.0μ mole
含有)をそれぞれ静脈注射し、経時的に鎖骨下静脈より
採血した。血中のマイトマイシンCの濃度は、遠心分離
した血漿を除タンパク後、高速液体クロマトグラフィー
により測定した。また、血中マイトマイシンCプロドラ
ッグの濃度は、血液を凍結乾燥後エタノールで抽出し、
高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
試験結果 表3にマイトマイシンCおよびマイトマイシンCプロ
ドラッグ(実施例1)の血中濃度のラット4匹の平均値
±標準偏差として示す。
上記の試験結果からプロドラッグを含有するリポソー
ム懸濁液は親化合物(マイトマイシンC)の血中濃度を
長時間持続することがわかる。
吸排試験2 上記の吸排試験1で調製したマイトマイシンCプロド
ラッグ(実施例1)含有リポソーム懸濁液をマイトマイ
シンCプロドラッグ濃度が2.5μ mole/mlとなるようにP
BSで希釈し、ポリカーボネートメンブラン(0.1μ)に
より濾過した。次にICR系雌性マウス(8週齢、体重約2
5g、1群3匹)にマイトマイシンCのPBS溶液およびマ
イトマイシンCプロドラッグ含有リポソーム懸濁液0.2m
lをそれぞれ静脈注射し、一定時間経過後、エーテル麻
酔下に心臓より採血した。血中のマイトマイシンCの濃
度およびマイトマイシンCプロドラッグの濃度を吸排試
験1の場合と同様にして測定した。
試験結果 表4にマイトマイシンCおよびマイトマイシンCプロ
ドラッグ(実施例1)の血中濃度をマウス3匹の平均値
±標準偏差として示す。
上記の試験結果からプロドラッグを含有するリポソー
ム懸濁液は親化合物(マイトマイシンC)の血中濃度を
長時間持続することがわかる 吸排試験3 マイトマイシンCプロドラッグ(実施例1)4μ mol
e、パナセート800(商標、日本油脂株式会社製)40mg、
卵黄レシチン14mgおよびHCO−60(商標、日光ケミカル
ズ株式会社製)8mgをそれぞれ含有するクロロホルム溶
液を丸底フラスコに合し、クロロホルムを留去した。こ
れにPBS1mlを添加し、ソニケーターによりマイトマイシ
ンCプロドラッグエのエマルジョン製剤を得た。一方マ
イトマイシンCプロドラッグ(実施例1)4μ moleお
よびHCO−60 24mg含有のそれぞれクロロホルム溶液を丸
底フラスコに合し、クロロホルムを留去した。残渣をPB
S1mlに分散し、激しく撹拌して澄明な溶液を得た。
このようにして得た2種類の製剤をそれぞれ0.2ml
(薬物をそれぞれ4μ mole/ml含有)吸排試験2の場合
と同様にしてマウスに静脈注射し、血中のマイトマイシ
ンCの濃度およびマイトマイシンCプロドラッグの濃度
を測定した。
試験結果 表5に2種類のマイトマイシンCプロドラッグ(実施
例1)含有製剤をマウスに静脈注射した時のマイトマイ
シンCおよびマイトマイシンCプロドラッグの血中濃度
をマウス3匹の平均値±標準偏差として示す。
上記の試験結果から、プロドラッグをエマルジョン製
剤あるいは可溶化製剤にしたものは親化合物(マイトマ
イシンC)の血中濃度を長時間持続することがわかる。
吸排試験4 卵黄レシチン147μ mole、卵黄スフィンゴミエリン63
μ moleおよびシタアラビンプロドラッグ(実施例8)4
2μ moleを含有するクロロホルム−メタノール混液(8:
2v/v、12ml)を丸底フラスコに分取し、37℃で10分間溶
媒を留去した。
これにコール酸ナトリウム262.5μ moleおよびPBS7ml
を添加後振盪し、以下前記親化合物への変換試験2に記
載した方法と同様にして、シタラビンプロドラッグの含
量が5μ mole/mlであるリポソーム懸濁液を得た。
SD系雄性ラット(7週齢、体重約250g、1群4匹)に
シタラビンの水溶液および上記の方法で調製したシタラ
ビンプロドラッグ含有リポソーム懸濁液1.0ml(両者と
も5μ mole/ml含有)をそれぞれ静脈注射し、経時的に
頚部静脈より採血した。
血中のシタラビンおよびシラタビンプロドラッグの濃
度はそれぞれ高速液体クロマトグラフィーにより測定し
た。
試験結果 表6にシタラビンおよびシタラビンプロドラッグ(実
施例8)の血中濃度をラット4匹の平均値±標準偏差と
して示す。
上記の試験結果からプロドラッグを含有するリポソー
ム懸濁液は親化合物(シタラビン)の血中濃度を長時間
持続することがわかる。
毒性試験 卵黄レシチン126μ mole、卵黄スフィンゴミエリン54
μ moleおよびマイトマイシンCプロドラッグ(実施例
1)をそれぞれ3.75、24、37.5μ mole含有するクロロ
ホルム溶液を丸底フラスコに合し、クロロホルムを留去
し、以下上記の方法と同様にしてマイトマイシンCプロ
ドラッグ含有リポソーム懸濁液を得た。このリポソーム
懸濁液をマイトマイシンCプロドラッグの濃度がそれぞ
れ0.15、0.96、0.50mgマイトマイシンC相当/mlとなる
ようにPBSで希釈し、ポリカーボネート・メンブラン
(0.1μ)により濾過した。
ICR系雄性マウス(6週齢)に、マイトマイシンC PBS
溶液(投与量:1.0および6.4mg/kg/日)および上記のマ
イトマイシンCプロドラッグ含有リポソーム懸濁液(投
与量:マイトマイシンCとして1.0、6.4、10mg/kg/日)
をそれぞれマウスに1日目、3日目および5日目の計3
回静脈注射により投与し、投与1日目から15日目までの
体重を測定した。
試験結果 表7にそれぞれの製剤を静脈注射投与したときのマウ
スの体重変化を5匹の平均値±標準偏差として示す。
プロドラッグを含有するリポソーム懸濁液は親化合物
の水溶液と比べ毒性の低いことがわかる。
抗腫瘍性試験1 卵黄レシチン245μ mole、卵黄スフィンゴミエリン15
0μ moleおよびシタラビンプロドラッグ(実施例8)を
それぞれ87.5、262.5μ moleを含有するクロロホルム−
メタノール溶液(8:2v/v)を丸底フラスコにとり、以下
上記と同様の方法によりシタラビンプロドラッグ濃度が
10および20μ moleであるリポソーム懸濁液を得た。
マウス白血病細胞L1210(105個)をBDF1系雌性マウス
(7週令)に腹腔内移植した。移植後24時間目に、シタ
ラビン水溶液(投与量:1000および3000μ mole/kg)、
上記のシタラビンプロドラッグ含有リポソーム懸濁液
(投与量:100および300μ mole/kg)、および下記の構
造式で表わされる公知のシタラビンプロドラッグ化合物
であるN4−ビヘノイル−1−β−アラビノフラノシルシ
トシン(以下BHACという)水溶液(投与量:100および30
0μ mole/kg)をそれぞれマウス体重20gあたり0.2mlお
よび0.3ml(シタラビンプロドラッグ300μ mole/kg投与
の場合)の割合で静脈注射投与した。投与後のマウスの
生死を調べた。
BHAC 試験結果 表8にそれぞれの製剤を投与したときのマウスの平均
生存日数、およびT/C(%) を示す。
この発明のプロドラッグを含有するリポソーム懸濁液
は、その親化合物の水溶液およびBHAC水溶液と比べ抗腫
瘍効果の優れていることがわかる。
抗腫瘍性試験2 卵黄レシチン245μ mole、卵黄スフィンゴミエリン10
5μ moleおよびシタラビンプロドラッグ(実施例8)を
それぞれ87.5および157.5μ moleを含有するクロロホル
ム−メタノール溶液(3:1v/v)を丸底フラスコにとり、
以下前記抗腫瘍性試験1の場合と同様にしてシタラビン
プロドラッグ濃度が10および18μ mole/mlであるリポソ
ーム懸濁液を得た。
ヒト肺腺癌A549の切片をBDF1系雌性マウス(8週令)
に腎被膜下移植した。
移植後1、5および9日目に、シタラビン水溶液(投
与量1000μ mole/kg)および上記のシタラビンプロドラ
ッグ含有リポソーム懸濁液(投与量:100および180μ mo
le/kg)をマウス体重20gあたり0.2ml静脈注射投与し
た。
投与後14日目における腫瘍体積を測定し、成長抑制率
を求めた。(この試験において各製剤の抗腫瘍効果を明
確にみるために、17−アリル−1,14−ジヒドロキシ−12
−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシ
ル)−1−メチルビニル]−23,25−ジメトキシ−13,1
9,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−アザト
リシクロ[23.3.1.04,9]オクタコス−18−エン−2,3,1
0,16−テトラオンを免疫抑制物質として、移植後1、
2、5、7、9および12日目に各32mg/kgを皮下投与し
た。) 試験結果 表9にそれぞれの製剤を静脈注射投与した時の移植後
14日目における腫瘍体積および腫瘍の成長抑制率を示
す。
この発明のプロドラッグを含有するリポソーム懸濁液
は、その親化合物の水溶液と比べ抗腫瘍効果の優れてい
ることがわかる。
[実施例] 以下、製造例および実施例により、この発明をさらに
詳細に説明する。
製造例1 グリシン(1.50g)の水(100ml)懸濁液中にトリエチ
ルアミン(4.04g)を加える。得られる透明な溶液にジ
オキサン(200ml)およびクロロ義酸コレステロール
(8.98g)を0℃で加え、その混合物を3時間撹拌す
る。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣に1N遠心(23m
l)およびクロロホルム(100ml)を加える。有機層を分
離し、水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を
留去し粗結晶を得、次いでエタノールで洗浄したのち濾
取して白色結晶のN−(コレスト−5−エン−3β−オ
キシカルボニル)グリシン(6.64g)を得る。
融点:175−177℃(分解) IR(ヌジョール):3320,1750,1665,1570cm-1 製造例2 N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニ
ル)グリシン(2.92g)をジオキサン(40ml)とクロロ
ホルム(6ml)の混合液に溶解した液にN−ヒドロキシ
スクシンイミド(0.69g)とジシクロヘキシルカルボジ
イミド(1.236g)を0℃で連続的に加え、反応混合物を
16時間冷蔵庫中に放置する。
得られる沈殿都を濾取し、濾液を減圧下で濃縮してN
−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニル)グ
リシンのスクシンイミドエステル(3.23g)を得る。
融点:159−164℃ IR(クロロホルム):3440,1820,1785,1740,1720cm-1 製造例3 β−アラニン(56mg)および炭酸水素ナトリウム(84
mg)の水(10ml)溶液にテトラヒドロフラン(20ml)お
よびクロロ義酸コレステロール(449mg)を0℃で加え
混合物を1時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮
し、残渣に0.1N塩酸(10ml)およびクロロホルム(40m
l)を加える。有機層を分離し、水で洗浄し、硫酸マグ
ネシウムで乾燥する。溶媒を留去して粗精製物を得、こ
れをクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(40g)に付す。クロロホルムおよびメタノ
ールの混合液で溶出して白色粉末のN−(コレスト−5
−エン−3β−オキシカルボニル−β−アラニン(187m
g)を得る。
融点:127−130℃ IR(クロロホルム):3450,1705cm-1 製造例4 6−アミノ−n−カプロン酸(131mg)および炭酸水
素ナトリウム(84mg)のテトラヒドロフラン(10ml)と
水(10ml)の混液にテトラヒドロフラン(10mg)とクロ
ロ義酸コレステロール(449mg)を0℃で加え、以下製
造例3と同様にして、白色粉末のN−(コレスト−5−
エン−3β−オキシカルボニル)−6−アミノ−n−カ
プロン酸(126mg)を得る。
IR(クロロホルム):3440,1700cm-1 実施例1 マイトマイシンC(1.00g)のN,N−ジメチルホルムア
ミド(20ml)溶液にトリエチルアミン(0.33g)および
N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニル)
グリシンのスクシンイミドエステル(1.75g)を室温で
加え、反応混合物を4時間室温で撹拌する。溶媒を留去
し、残渣にクロロホルムおよび水を加える。有機層を分
離し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒
を留去し粗生成物を得、これをクロロホルムに溶解しシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(50g)に付す。ク
ロロホルムで溶出して暗紫色粉末の[1aS−(1aα,8β,
8aα,8bα)]−6−アミノ−8−カルバモイルオキシ
メチル−N′−[N−(コレスト−5−エン−3β−オ
キシカルボニル)グリシル]−1,1a,2,8,8a,8b−ヘキサ
ヒドロ−8a−メトキシ−5−メチルアジリジノ[2′,
3′:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−4,7−ジオン
(1.74g)を得る。
融点:250℃以上 Mass:804(M+) 実施例2 コレスト−5−エン−3β−オキシ酢酸[オーストラ
リアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Aust.J.Che
m)24,143−151(1971)に従って製造](667mg)のク
ロロホルム(15ml)溶液にN−ヒドロキシスクシンイミ
ド(172mg)およびN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(324mg)を0℃で加え、混合物を室温で一晩撹拌
する。沈殿物を濾去し、濾液を減圧下で濃縮し、コレス
ト−5−エン−3β−オキシ酢酸のスクシンイミドエス
テルを得る。マイトマイシンC(502mg)のN,N−ジチル
ホルムアミド(10ml)溶液に、上記の活性エステル、ト
リエチルアミン(152mg)および4−ジメチルアミノピ
リジン(20mg)を加える。反応混合物を60℃で一晩撹拌
し、減圧下で濃縮する。残渣にクロロホルムおよび水を
加える。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥す
る。溶媒を留去し粗生成物を得、これを少量のクロロホ
ルムに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
付す。クロロホルムで溶出して暗紫色粉末の[1aS−(1
aα,8β,8aα,8bα)]−6−アミノ−8−カルバモイ
ルオキシメチル−N−(コレスト−5−エン−3β−オ
キシアセチル)−1,1a,2,8,8a,8b−ヘキサヒドロ−8a−
メトキシ−5−メチルアジリジノ[2′,3′:3,4]ピロ
ロ[1,2−a]インドール−4,7−ジオン(695mg)を得
る。
融点:145−150℃(分解)。
IR(ヌジョール):3430,3320,3200,1710,1650,1600,155
0cm-1 実施例3 実施例2と同様にして実施例2のコレステロールの3
位のα異性体である[1aS−(1aα,8β,8aα,8bα)]
−6−アミノ−8−カルバモイルオキシメチル−N−
(コレスト−5−エン−3α−オキシアセチル)−1,1
a,2,8,8a,8b−ヘキサヒドロ−8a−メトキシ−5−メチ
ルアジリジノ[2′,3′:3,4]ピロロ[1,2−a]イン
ドール−4,7−ジオンを得る。
融点:118−120℃ IR(ヌジョール):3420,3320,3200,1700,1600,1550cm-1 実施例4 N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニ
ル)−β−アラニン(56mg)のエトラヒドロフラン(15
ml)およびクロロホルム(5ml)混合液にマイトマイシ
ンC(37mg)、トリエチルアミン(13mg)および1−エ
チル−3−(3−ジメチル)−カルボジイミド塩酸塩
(24mg)を加える。反応混合物を室温で一晩撹拌し、減
圧下で濃縮する。残渣にクロロホルムおよび水を加え
る。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥する。溶
媒を留去し粗生成物を得、これを少量のクロロホルムに
溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付す。
クロロホルムおよびメタノールの混液で溶出して暗紫色
粉末の[1aS−(1aα,8β,8aα,8bα)]−6−アミノ
−8−カルバモイルオキシメチル−N′−[N−(コレ
スト−5−エン−3β−オキシカルボニル)−β−アラ
ニル]−1,1a,2,8,8a,8b−ヘキサヒドロ−8a−メトキシ
−5−メチルアジリジノ[2′,3′:3,4]ピロロ[1,2
−a]インドール−4,7−ジオン(22mg)を得る。
IR(クロロホルム):3500,3440,3380,1695,1600,1565cm
-1 実施例5 N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニ
ル)−6−アミノ−n−カプリン酸(63mg)のテトラヒ
ドロフラン(20ml)およびクロロホルム(5ml)混合液
にマイトマイシンC(37mg)、トリエチルアミン(13m
g)および1−エチル−3−(3−ジメチル)−カルボ
ジイミド塩酸塩(24mg)を加え、以下実施例4と同様に
して、暗紫色粉末の[1aS−(1aα,8β,8aα,8bα)]
−6−アミノ−8−カルバモイルオキシメチル−N′−
[N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニ
ル)−6−アミノ−n−カプロイル]−1,1a,2,8,8a,8b
−ヘキサヒドロ−8a−メトキシ−5−メチルアジリジノ
[2′,3′:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−4,7−
ジオン(31mg)を得る。
IR(クロロホルム):3500,3440,3370,1700,1600,1560cm
-1 実施例6 4−ホルミル−6,9−ジヒドロキシ−14−オキサ−1,1
1−ジアザテトラシクロ[7.4.1.02,7.010,12]テトラデ
カ−2,4,6−トリエン−8−イルメチルカルバメート(3
2mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)に溶解す
る。この溶液によりトリエチルアミン(14μ)および
N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニル)
グリシンのスクシンイミドエステル(60mg)を加える。
混合物を常温で6時間撹拌し、減圧下で溶媒を留去す
る。残渣を薄層クロマトグラフィーに付し、クロロホル
ムとメタノールの混液で溶出して、11−[N−(コレス
ト−5−エン−3β−オキシカルボニル)グリシル]−
4−ホルミル−6,9−ジヒドロキシ−14−オキサ−1,11
−ジアザテトラシクロ[7.4.1.02,7.010,12]テトラデ
カ−2,4,6−トリエン−8−イルメチルカルバメートの
C−9位の2つの異性体(9−α−OH異性体31mgおよび
9−β−OH異性体15mg)を得る。
融点:168−170℃(分解)。(9−α−OH異性体と9−
β−OH異性体の混合物) 9−α−OH異性体 IR(クロロホルム):3340,2950,1695,1586,1355cm-1 SIMS:791[M+H]+,813[M+Na] 9−β−OH異性体 IR(クロロホルム):3340,2945,1695,1583,1350cm-1 SIMS:791[M+H]+,829[M+K] 実施例7 ビス(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(1.347g)の
25%水酸化ナトリウム水溶液(100ml)にジクロルメタ
ン(100ml)を加えて振盪する。有機層を分取して炭酸
カリウムで乾燥し、濾過する。減圧下にジクロルメタン
を留去し、油状物質としてビス(2−クロロエチル)ア
ミン(0.52g)を得る。N−(コレスト−5−エン−3
β−オキシカルボニル)グリシン(160.8mg)の乾燥テ
トラヒドロフラン(50ml)溶液に0℃で窒素ガスを吹き
こみながら上記で得たビス(2−クロロエチル)アミン
(85.2mg)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(6
1.9mg)を加え、6時間撹拌する。冷蔵庫中で一夜(17
時間)放置した後、濾過し、減圧下に溶媒を留去する。
残渣をクロロホルム−メタノール(50:1)混液に溶解
し、調製層クロマトグラフィー(PLC)に付す。クロロ
ホルム−メタノール(50:1)の混液で展開して、目的と
する部分をかきとり、クロロホルム−メタノール(4:
1)の混液で抽出し、濾過した後減圧下に溶媒を留去し
てN−[N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカル
ボニル)グリシル]−ビス(2−クロロエチル)アミン
(110mg)を得る。
融点:98−100℃ 実施例8 N−(コレスト−5−エン)−3β−オキシカルボニ
ル)グリシン(2.74g)およびトリエチルアミン(0.78m
l)のエトラヒドロフラン(40ml)溶液にクロロ義酸エ
チル(0.61g)を−15℃で滴下し、その反応混合物を−1
5℃で20分間撹拌する。
その反応混合物に1−β−D−アラビノフラノシルシ
トシン(1.37g)のジメチホルムアミド(30ml)溶液を
−15℃から−10℃で滴下する。滴下後、混合物を5℃で
1時間次いで室温で30分間撹拌する。反応混合物を減圧
下に濃縮する。
残渣をメタノールで洗浄し、乾燥して粗生成物を得、
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製してN4
−[N−(コレスト−5−エン−3β−オキシカルボニ
ル)グリシル]−1−β−D−アラビノフラノシルシト
シン(1.8g)を白色粉末として得る。
融点:159−161℃(分解) IR(ヌジョール):3330,2850,1690,1640,1570cm-1 SIMS(m/z):713[M+H]+,751[M+K]

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 A−CO(CH2(NHCO)−R (式中、Aは分子中に基NHまたは−NH2を有する医薬
    化合物の残基、Rはステロイド化合物の残基、mは1〜
    5の整数、nは0または1をそれぞれ意味する) で示されるプロドラッグ化合物およびその塩類。
  2. 【請求項2】ステロイド化合物がコレステロールである
    特許請求の範囲第1項に記載のプロドラッグ化合物およ
    びその塩類。
  3. 【請求項3】Aが分子中に基NHを有する医薬化合物の
    残基である特許請求の範囲第1項または第2項に記載の
    プロドラッグ化合物およびその塩類。
  4. 【請求項4】医薬化合物がマイトマイシンCである特許
    請求の範囲第3項に記載のプロドラッグ化合物およびそ
    の塩類。
  5. 【請求項5】医薬化合物がナイトロジェンマスタードで
    ある特許請求の範囲第3項に記載のプロドラッグ化合物
    およびその塩類。
  6. 【請求項6】医薬化合物がFR900482物質である特許請求
    の範囲第3項に記載のプロドラッグ化合物およびその塩
    類。
  7. 【請求項7】Aが分子中に基−NH2を有する医薬化合物
    の残基である特許請求の範囲第1項または第2項に記載
    のプロドラッグ化合物およびその塩類。
  8. 【請求項8】医薬化合物がシタラビンである特許請求の
    範囲第7項に記載のプロドラッグ化合物およびその塩
    類。
  9. 【請求項9】一般式 A−CO(CH2(NHCO)−R (式中、Aは分子中に基NHまたは−NH2を有する医薬
    化合物の残基、Rはステロイド化合物の残基、mは1〜
    5の整数、nは0または1をそれぞれ意味する) で示されるプロドラッグ化合物またはその塩類を含有す
    る持続性製剤。
  10. 【請求項10】剤型がリポソームである特許請求の範囲
    第9項に記載の持続性製剤。
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