JPH0895276A - 電子写真用有機感光体 - Google Patents

電子写真用有機感光体

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JPH0895276A
JPH0895276A JP23261994A JP23261994A JPH0895276A JP H0895276 A JPH0895276 A JP H0895276A JP 23261994 A JP23261994 A JP 23261994A JP 23261994 A JP23261994 A JP 23261994A JP H0895276 A JPH0895276 A JP H0895276A
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layer
charge generation
aluminum
halogen atom
photoreceptor
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JP23261994A
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English (en)
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Koichi Aizawa
宏一 会沢
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】反転現像方式の電子写真装置において、初期の
良好な電気特性,画像特性が長期間の繰り返し使用後も
維持される積層型の電子写真用有機感光体を提供する。 【構成】アルミニウム系材料からなる導電性基体1に接
してハロゲン原子を含有する電荷発生層2aが設けら
れ、その上に電荷輸送層3が設けられてなる有機感光体
において、または、アルミニウム系材料からなる導電性
基体1に接してハロゲン原子を含有する下引き層4が設
けられ、その上に電荷発生層2b,電荷輸送層3が順次
設けられてなる有機感光体において、導電性基体1と電
荷発生層2aとの間に、または、導電性基体1と下引き
層4との間に、酸化アルミニウム層を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウムまたは
アルミニウム合金からなる導電性基体を支持体とする積
層型の電子写真用有機感光体に関し、特に、導電性基体
に接して設けられる層がハロゲン原子を含有し反転現像
方式を採る電子写真装置に好適な有機感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、特公昭55−42380号公報や
特公昭60−34099号公報に記載されているよう
に、導電性基体上に電荷発生層,電荷輸送層を積層して
なる積層型有機感光体が開発されている。これらの積層
型有機感光体は、基本的には、感光体の電極となる導電
性基体と、それを支持体としてその上に順次形成された
電荷発生層,電荷輸送層とから構成されている。導電性
基体としては、通常、軽量で加工性が良いという利点を
有するアルミニウムあるいはアルミニウム合金(以下、
合わせてアルミニウム系材料と称する)からなる円筒が
用いられる。電荷発生層は、電荷発生材をある種の樹脂
バインダー,有機溶剤とともに分散液とした塗液を塗
布,乾燥して形成され、電荷輸送層は、電荷輸送材をあ
る種の樹脂バインダー,種々の添加剤とともに有機溶剤
に溶解した塗液を塗布,乾燥して形成される。
【0003】ところが、このような感光体では、反転現
像方式の電子写真プロセスを採る電子写真装置,例えば
プリンターに用いた場合に、黒点などの印字欠陥の発
生,残留電位の上昇による印字濃度の低下などの不具合
が生じる。その対策として、導電性基体に接して設けら
れる電荷発生層の材料として、ハロゲン原子含有電荷発
生材,例えばハロゲン化金属フタロシアニンやハロゲン
原子含有樹脂を用い、基体と電荷発生層との間の電荷の
注入,ブロッキングを調整する技術が知られている。
【0004】また、基体と電荷発生層との間に下引き層
または中間層と呼ばれる樹脂層を設けることにより、基
体と電荷発生層との間の電荷の注入,ブロッキングを調
整する技術が知られている。例えば、アルコール可溶性
ポリアミド樹脂(特公昭58−45707号公報,特開
昭60−168157号公報)などを有機溶剤に溶解し
た塗液を塗布して樹脂層を形成する方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、アルミニウ
ム系材料からなる導電性基体に接して上述のハロゲン原
子を含有する電荷発生層を形成した感光体を反転現像方
式の電子写真プロセスを採る電子写真装置に用いた場
合、初期的には良好な電気特性,画像品質が得られる
が、繰り返し使用(例えばA4サイズの用紙で1000
0枚画像出しを行う)により電荷の蓄積が生じ、画像欠
陥,画像濃度低下などの問題が発生する。これは基体の
アルミニウムの原子またはイオン(以下、単にアルミニ
ウムと記す)と電荷発生層のハロゲンの原子またはイオ
ン(以下、単にハロゲンと記す)とが反応して導電性基
体表面が変質するためである。さらに、高温高湿下では
このハロゲンとアルミニウムとの反応が激しくなり発生
する水素ガスのために膜が剥離する現象が発生してく
る。
【0006】また、導電性基体と電荷発生層の間に下引
き層を設けた感光体においても、下引き層がハロゲン原
子を含有している場合には、繰り返し使用により、同様
に、画像欠陥,画像濃度低下が認められ、さらに膜の剥
離する現象も発生する。この発明は、上述の点に鑑みて
なされたものであって、アルミニウム系材料からなる導
電性基体に接してハロゲン原子を含有する電荷発生層,
あるいはハロゲン原子を含有する下引き層を設けた構成
の感光体で、反転現像方式の電子写真装置に用いて、初
期の電気特性,画像品質が良好で,繰り返し使用後も初
期の良好な電気特性,画像品質が維持され、さらに、高
温高湿下で膜の剥離が発生しない積層型の電子写真用有
機感光体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明
によれば、アルミニウム系材料からなる導電性基体に接
してハロゲン原子を含有する電荷発生層が設けられ、そ
の上に電荷輸送層が設けられてなる電子写真用有機感光
体において、前記導電性基体の表面に酸化アルミニウム
層が形成されており、その上に電荷発生層が形成されて
いる構成とすることによって解決される。
【0008】酸化アルミニウム層の膜厚は0.5μm以
上であると好適である。また、ハロゲン原子を含有する
電荷発生層は、ハロゲン原子を含有する電荷発生材,例
えばハロゲン化金属フタロシアニンと樹脂バインダーと
からなる層でもよく、あるいは電荷発生材とハロゲン原
子含有樹脂バインダーとからなる層でもよい。上記課題
は、また、アルミニウム系材料からなる導電性基体に接
してハロゲン原子を含有する下引き層が設けられ、その
上に電荷発生層,電荷輸送層が順次設けられてなる電子
写真用有機感光体において、前記導電性基体の表面に酸
化アルミニウム層が形成されており、その上にハロゲン
原子を含有する下引き層が形成されている構成とするこ
とによっても解決される。この場合も、酸化アルミニウ
ム層の膜厚は0.5μm以上が好適である。
【0009】この発明において、導電性基体の材料とし
てはアルミニウムや公知のJIS3003系,JIS
5000系,JIS 6000系などのアルミニウム合
金が用いられる。これらの材料を押し出し加工,引き抜
き加工,切削加工などにより加工して、所定の寸法の円
筒状の導電性基体とする。これらの基体の表面は、必要
に応じてダイヤモンドバイトによる切削加工などにより
適切な表面粗さに仕上げられる。
【0010】続いて、基体の加工に用いられた切削油な
どを除去し清浄化した後、陽極酸化,酸エッチング,ア
ルカリエッチングなどの処理を施して表面にこの発明に
係わる酸化アルミニウム層が形成される。次に、このよ
うにして酸化アルミニウム層により被覆された基体を洗
浄する。この洗浄には、従来はフロンなどの塩素系有機
溶剤が用いられていたが、近年はオゾン層保護,環境保
護などの目的で弱アルカリ性洗剤などの水系洗剤が用い
られている。
【0011】次に、この発明の第一の発明においては、
この基体に接して電荷発生層が形成される。電荷発生層
は電荷発生材,樹脂バインダー,さらに必要に応じて分
散安定材などを有機溶剤に混合した塗液を塗布し、乾
燥,硬化させて形成されるが、適切な電荷の注入性,ブ
ロッキング性を得るために電荷発生層にハロゲン原子が
含有させられる。そのためには、電荷発生材にハロゲン
原子を含有する材料を用いてもよく、また、樹脂バイン
ダーにハロゲン原子を含有する材料を用いてもよい。
【0012】ハロゲン原子を含有する電荷発生材として
は、半導体レーザービームプリンター用の感光体に適用
できるものとして塩素化アルミニウムフタロシアニン,
塩素化スズフタロシアニン,フッ素化無金属フタロシア
ニン,フッ素化チタニルフタロシアニン,などのハロゲ
ン化されたフタロシアニンやジブロムアンサンスロンな
どが知られている。
【0013】樹脂バインダーは、水系洗剤による洗浄後
の基体表面との密着性,塗工性がよいことが必要であ
る。このようなバインダーとしての性能に優れ、かつ、
ハロゲン原子を含有する樹脂としては、塩素,フッ素,
臭素,ヨウ素などをイオン,錯体,および分子として含
有した塩ビ,可溶性フッ化エチレン,臭素化フェノキ
シ,ヨウ素含有メラミン,その他のハロゲン化樹脂など
が知られている。
【0014】電荷発生層の塗布は浸漬法,スプレー法な
ど通常の方法で行われる。また、乾燥,硬化は、塗液の
樹脂バインダーのガラス転移温度,硬化剤を用いた場合
にはその硬化温度,有機溶剤の沸点,などにより適切な
温度,時間が定められる。場合により2段階の工程が必
要となる。電荷発生層の上に設けられる電荷輸送層は、
例えば、ポリビニルカルバゾール,オキサジアゾール,
イミダゾール,ピラゾリン,ヒドラゾン,スチルベン,
などの電荷輸送材の一種以上,樹脂バインダー,さらに
必要に応じて酸化防止剤や紫外線吸収剤などを,有機溶
剤に混合した塗液を塗布し、乾燥,硬化させて形成され
る。
【0015】この発明の第二の発明においては、上述の
ように処理された導電性基体に接してハロゲン原子を含
有する下引き層が設けられる。下引き層を形成する樹脂
としては、水系洗剤による洗浄後の基体表面との密着
性,塗工性に優れ、かつ、ハロゲン原子を含有する樹脂
が選択され,使用される。このような樹脂としは、塩
素,フッ素,臭素,ヨウ素などをイオン,錯体,および
分子として含有した塩ビ,可溶性フッ化エチレン,臭素
化フェノキシ,ヨウ素含有メラミン,その他のハロゲン
化樹脂などが知られている。
【0016】下引き層は、これらの樹脂を硬化剤や干渉
防止材,光吸収剤,導電性付与材などともに有機溶剤に
混合した塗液を塗布し乾燥,硬化させて形成される。塗
布は浸漬法,スプレー法など通常の方法で行われる。ま
た、乾燥,硬化は、用いる樹脂のガラス転移温度,硬化
剤を用いた場合にはその硬化温度,用いる有機溶剤の沸
点,などにより適切な温度,時間が定められる。場合に
より2段階の工程が必要となる。下引き層の膜厚は0.
5μm以上が好ましい。
【0017】なお、このようにして形成された下引き層
表面に184.9nmおよび253.7nmの波長を含
む紫外線照射処理が行われると、表面が改質され、下引
き層とその上に形成される電荷発生層との密着性が改善
され、また電荷の注入性,ブロッキング性が適切となる
のでより好適である。この下引き層上に形成される電荷
発生層は、使用される電荷発生材,樹脂バインダーなど
に特別な制約は受けない。電荷発生材は露光光に感度を
有するものであればよく、例えば、半導体レーザービー
ムプリンターに用いられる感光体の場合には、無金属フ
タロシアニン,各種金属フタロシアニンなど通常の材料
が適用できる。
【0018】第二の発明において、電荷発生層上に形成
される電荷輸送層は、第一の発明におけるものと同等の
層が適用される。
【0019】
【作用】酸化アルミニウムはハロゲンに対して化学的に
安定である。アルミニウム系材料からなる導電性基体の
表面を酸化アルミニウム層で被覆し、この層を介して、
第一の発明においてはハロゲン原子を含有する電荷発生
層、第二の発明においてはハロゲン原子を含有する下引
き層を形成することにより、基体のアルミニウムとハロ
ゲンの反応を防ぐことができ、繰り返し使用においても
初期の良好な電気特性,画質を維持することが可能とな
る。さらに、高温高湿下における膜の剥離も発生しなく
なる。基体表面に形成される酸化アルミニウム層の膜厚
は0.5μm以上が好ましい。0.5μm未満の膜厚で
はアルミニウムとハロゲンの反応を充分に抑止すること
ができない。しかし、膜厚はあまり厚くする必要はな
く、厚くするにはコストがかかるので、0.5μm以上
でなるべく薄くする方が望ましい。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する
が、この発明はこれらの実施例により何ら制限されるも
のではない。まず、第一発明の実施例について説明す
る。図1は、第一発明に係わる感光体の模式的断面図
で、アルミニウム系材料からなる導電性基体1上に、ハ
ロゲン原子を含有する電荷発生層2a,電荷輸送層3が
形成された構成である。
【0021】実施例1−1 下記表1に示す組成のアルミニウム合金を用いて外径3
0mm,長さ250mmの円筒状導電性基体を作製し
た。
【0022】
【表1】
【0023】この基体表面をダイヤモンドバイトによる
切削加工により最大表面粗さ0.3μmに仕上げた後、
一般的な硝酸エッチングにより膜厚1μmの酸化アルミ
ニウム層を形成した。続いて、この基体を液温50℃の
水系洗剤(ライオン(株)製;MF−10)5%溶液に
浸漬して3分間超音波洗浄を行った後、同一洗剤を用い
てのブラシ洗浄,市水すすぎ(超音波付加3分),純水
すすぎ(超音波付加3分),超純水すすぎ,温純水乾燥
(温度70℃)の工程で表面を清浄化した。
【0024】この清浄化した基体表面に、塩素化アルミ
ニウムフタロシアニン1重量部,ポリビニルブチラール
1重量部,テトラヒドロフラン98重量部からなる塗液
を浸漬塗布し、90℃で30分間乾燥して、膜厚0.1
μmの電荷発生層を形成した。この電荷発生層上に、ヒ
ドラゾン化合物(阿南香料産業(株)製;CTC19
1)10重量部,ポリカーボネート樹脂(帝人(株)
製;L−1225)10重量部,ジクロロメタン80重
量部からなる塗液を浸漬塗布し、温度100℃で2時間
乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成して感光体
とした。
【0025】このようにして得られた感光体を半導体レ
ーザービームプリンターに搭載して印字試験を行ったと
ころ、初期では、画像濃度はマクベス濃度計による測定
値で印字濃度1.40,白紙濃度0.07と良好であ
り、直径0.1mm以上の黒点数は感光体一周当たり4
個と少なく良好であった。また、ゴバン目試験(JIS
K 5400 8.5.1による)で密着性を評価した
ところ、電荷発生層の剥離は0/100と良好であっ
た。
【0026】また、A4用紙5万枚のランニング試験を
行ったところ、5万枚後の画像でも、印字濃度1.4
0,白紙濃度0.08,黒点数5個と初期の特性と差は
認められず、試験中に電荷発生層の剥離なども生じなか
った。さらに、この感光体を温度60℃,相対湿度90
%の高温高湿環境下に1500時間放置した後、前述と
同様の印字試験,ゴバン目試験,ランニング試験を行っ
たところ、放置前と同様良好な結果が得られた。
【0027】実施例1−2 実施例1−1において、導電性基体表面の酸化アルミニ
ウム層の形成方法を陽極酸化法に変えたこと以外は、実
施例1−1と同様にして感光体を作製した。このように
して得られた感光体を実施例1−1と同様にして評価し
た。印字試験では、初期は印字濃度1.41,白紙濃度
0.06、直径0.1mm以上の黒点数は感光体一周当
たり2個と良好であった。また、ゴバン目試験では、電
荷発生層の剥離は0/100と良好であった。
【0028】また、A4用紙5万枚のランニング試験で
は、5万枚後の画像で、印字濃度1.40,白紙濃度
0.06,黒点数3個と初期の特性と差は認められず、
試験中に電荷発生層の剥離なども生じなかった。さら
に、実施例1−1と同様に、この感光体を高温高湿環境
下に1500時間放置した後、同様の印字試験,ゴバン
目試験,ランニング試験を行ったところ、放置前と同様
良好な結果が得られた。
【0029】比較例1−1 実施例1−1において、導電性基体表面に酸化アルミニ
ウム層を形成しなかったこと以外は、実施例1−1と同
様にして感光体を作製した。このようにして得られた感
光体を実施例1−1と同様にして評価した。印字試験で
は、初期は印字濃度1.41,白紙濃度0.06、黒点
数は感光体一周当たり2個と良好であった。また、ゴバ
ン目試験では、電荷発生層の剥離は0/100と良好で
あった。
【0030】しかしながら、温度60℃,相対湿度90
%の高温高湿環境下に放置したところ、48時間後に膜
の剥離が発生した。その原因を調査したところ、基体と
電荷発生層との界面にヨウ素と結合したアルミニウムが
検出された。そのメカニズムは現在明確にされてはいな
いが、高湿中に存在する水分子とヨウ素およびアルミニ
ウムとが反応する際に発生するガスによる圧力で電荷発
生層の剥離が生じるものと考えられる。
【0031】実施例1−3 実施例1−2において、導電性基体表面に形成する酸化
アルミニウム層の膜厚を表2に示すように変化させたこ
と以外は実施例1−2と同様にして感光体を作製し、実
施例1−2と同様に評価した。その結果を表2に示す。
表2における記号の意味は、○印は実用上問題なし,△
印は実用上やや問題あり,×印は実用不可であることを
表す。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、酸化アルミニウ
ム層の膜厚が0.5μm未満の場合には高温高湿放置試
験で問題が生じ、電荷発生層の剥離が発生していること
が判る。これは比較例1−1でも述べたように、剥離が
ヨウ素とアルミニウムとの反応によるものであり、酸化
アルミニウム層が両者を分断する作用を有することを示
唆するものであり、両者を充分に分断し反応を阻止する
ためには0.5μm以上の膜厚が必要であることを示し
ている。
【0034】実施例1−4 実施例1−1において、電荷発生層用塗液の組成を表3
に示すように変えたこと以外は、実施例1−1と同様に
して実施例1−4−A,1−4−B,1−4−Cの各感
光体を作製した。
【0035】
【表3】
【0036】このようにして得られた各感光体について
実施例1−1と同様の評価を行ったところ、すべて同様
に良好な結果が得られた。 比較例1−2 実施例1−4において、導電性基体表面に酸化アルミニ
ウム層を形成しなかったこと以外は、実施例1−4と同
様にして比較例1−2−A,1−2−B,1−3−Cの
各感光体を作製した。
【0037】このようにして得られた各感光体について
実施例1−1と同様の評価を行ったところ、各感光体と
も高温高湿中での電荷発生層の剥離が発生し、実用には
適しないことが判った。この原因は、比較例1−1で述
べたようにアルミニウムとハロゲンとの反応によるもの
である。次に、この発明の第二発明の実施例について説
明する。図2は、第二発明に係わる感光体の模式的断面
図で、アルミニウム系材料からなる導電性基体1上に、
ハロゲン原子を含有する下引き層4が形成され、その上
に電荷発生層2b,電荷輸送層3が形成された構成であ
る。
【0038】実施例2−1 下記表4に示す組成のアルミニウム合金を用いて外径3
0mm,長さ250mmの円筒状の導電性基体を作製し
た。
【0039】
【表4】
【0040】この基体に、実施例1−1と同様の表面加
工,酸化アルミニウム層の形成,清浄化処理を施した。
このように処理された基体上に、メラミン樹脂(三井東
圧化学(株)製;ユーバン2020)50重量部,無水
トリメリット酸(和光純薬工業(株)製試薬)5重量
部,ヨウ素(和光純薬工業(株)製試薬)3重量部,疏
水性シリカ(日本エアロジール(株)製)50重量部,
メチルアルコール700重量部からなる塗液を浸漬塗布
し、温度100℃で20分間乾燥し、さらに温度140
℃で20分間熱硬化処理を行って、膜厚2μmの下引き
層を形成した。
【0041】さらに、この下引き層表面に、低圧水銀灯
紫外線照射装置(サンエンジニアリング(株)製;SU
V200NS)を用い、ランプと下引き層との距離20
mm,ランプ電圧200Vで20秒間紫外線を照射して
表面改質を行った。このように処理された下引き層上
に、X型無金属フタロシアニン1重量部,ポリビニルブ
チラール1重量部,テトラヒドロフラン98重量部から
なる塗液を浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.1μmの電
荷発生層を形成した。
【0042】この電荷発生層上に、実施例1−1と同様
に、ヒドラゾン化合物(阿南香料産業(株)製;CTC
191)10重量部,ポリカーボネート樹脂(帝人
(株)製;L−1225)10重量部,ジクロロメタン
80重量部からなる塗液を浸漬塗布し、温度100℃で
2時間乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層形成して感
光体とした。
【0043】以上のようにして作製した感光体を、実施
例1−1と同様にして評価した。その結果、初期は印字
濃度1.41、白紙濃度0.07、黒点数は感光体一周
当たり4個と良好であった。また、ゴバン目試験では、
下引き層の剥離は0/100と良好であった。また、A
4用紙5万枚のランニング試験では、5万枚後の画像
で、印字濃度1.40,白紙濃度0.08,黒点数3個
と初期の特性と差は認められず、試験中に下引き層の剥
離なども生じなかった。
【0044】さらに、実施例1−1と同様に、この感光
体を温度60℃,相対湿度90%の高温高湿環境下に1
500時間放置した後、同様の印字試験,ゴバン目試
験,ランニング試験を行ったところ、放置前と同様良好
な結果が得られた。さらに、実施例2−1では、下引き
層表面に紫外線照射処理が施されているので、その上に
塗布形成される電荷発生層の密着性が極めて良好である
という効果も得られる。
【0045】実施例2−2 実施例2−1において、導電性基体表面への酸化アルミ
ニウム層の形成法を陽極酸化法に変えたこと以外は、実
施例2−1と同様にして感光体を作製した。このように
して得られた感光体を実施例2−1と同様にして評価し
た。その結果、初期では、印字濃度1.41、白紙濃度
0.06、黒点数は感光体一周当たり2個と良好であっ
た。また、ゴバン目試験では、下引き層の剥離は0/1
00と良好であった。
【0046】また、A4用紙5万枚のランニング試験で
は、5万枚後の画像で、印字濃度1.40、白紙濃度
0.06,黒点数3個と初期の特性と差は認められず、
試験中に下引き層の剥離なども生じなかった。さらに、
高温高湿環境下での1500時間放置においても殆ど特
性変化は見られず、放置前と同様良好な結果が得られ
た。
【0047】比較例2−1 実施例2−1において、導電性基体表面に酸化アルミニ
ウム層を形成しなかったこと以外は、実施例2−1と同
様にして感光体を作製した。このようにして得られた感
光体を実施例2−1と同様にして評価した。その結果、
初期は、印字試験では印字濃度1.41、白紙濃度0.
06、黒点数は2個と良好であった。また、ゴバン目試
験では、下引き層の剥離は0/100と良好であった。
しかしながら、温度60℃,相対湿度90%の高温高湿
環境下に放置したところ、48時間後に下引き層の剥離
が発生した。その原因を調査したところ、比較例1−1
の感光体と同様に、基体と電荷発生層との界面にヨウ素
と結合したアルミニウムが検出され、同様に、高湿中に
存在する水分子とヨウ素およびアルミニウムとが反応す
る際に発生するガスによる圧力で剥離が生じるものと考
えられる。
【0048】実施例2−3 実施例2−2において、導電性基体表面に形成する酸化
アルミニウム層の膜厚を表5に示すように変化させたこ
と以外は実施例2−2と同様にして感光体を作製し、実
施例2−2と同様に評価した。その結果を表5に示す。
表5における記号の意味は、○印は実用上問題なし,△
印は実用上やや問題あり,×印は実用不可であることを
表す。
【0049】
【表5】
【0050】表5から明らかなように、酸化アルミニウ
ム層の膜厚が0.5μm未満の場合には下引き層の剥離
が生じている。これは比較例2−1でも述べたように、
剥離がヨウ素とアルミニウムとの反応によるものであ
り、酸化アルミニウム層が両者を分断する作用を有する
ことを示唆するものであり、両者を充分に分断し反応を
阻止するためには0.5μm以上の膜厚が必要であるこ
とを示している。
【0051】実施例2−4 実施例2−1において、下引き層用塗液の組成を表6に
示すように変化させたこと以外は、実施例2−1と同様
にして実施例2−4−A,2−4−B,2−4−Cの感
光体を作製した。
【0052】
【表6】
【0053】このようにして得られた各感光体について
実施例2−1と同様の評価を行ったところ、すべて実施
例2−1と同様に良好な結果が得られた。 比較例2−2 実施例2−4において、導電性基体表面に酸化アルミニ
ウム層を形成しなかったこと以外は、実施例2−4と同
様にして感光体を作製した。
【0054】このようにして得られた各感光体について
実施例2−4と同様の評価を行ったところ、各感光体と
も高温高湿中での下引き層の剥離が発生し、実用には適
しないことが判った。この原因は、比較例2−1と同様
にアルミニウムとハロゲンとの反応によるものと考えら
れる。
【0055】
【発明の効果】この発明の第一発明によれば、アルミニ
ウム系材料からなる導電性基体に接してハロゲン原子を
含有する電荷発生層が形成され、その上に電荷輸送層が
形成されてなる電子写真用有機感光体において、前記導
電性基体と電荷発生層との間に酸化アルミニウム層を介
在させる。このように酸化アルミニウム層を介在させる
ことにより、アルミニウムとハロゲンとの反応を抑止す
ることができ、ハロゲン原子を含有する電荷発生層の効
果が維持されるので、初期は勿論,長期間繰り返し使用
しても電気特性,画像品質が変化することなく,高温高
湿環境下に放置しても電荷発生層の剥離も発生しない良
好な有機感光体を得ることができる。
【0056】また、第二発明によれば、アルミニウム系
材料からなる導電性基体に接してハロゲン原子を含有す
る下引き層が形成され、その上に電荷発生層,電荷輸送
層が順次形成されてなる電子写真用有機感光体におい
て、前記導電性基体と下引き層との間に酸化アルミニウ
ム層を介在させる。このように酸化アルミニウム層を介
在させることにより、アルミニウムとハロゲンとの反応
を抑止することができ、ハロゲン原子含有下引き層の効
果が維持されるので、第一発明と同様に、初期は勿論,
長期間繰り返し使用しても電気特性,画像品質が変化す
ることなく,高温高湿環境下に放置しても下引き層の剥
離も発生しない良好な有機感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一発明に係わる感光体の模式的断
面図
【図2】この発明の第二発明に係わる感光体の模式的断
面図
【符号の説明】
1 導電性基体 2a,2b 電荷発生層 3 電荷輸送層 4 下引き層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムまたはアルミニウム合金から
    なる導電性基体に接してハロゲン原子を含有する電荷発
    生層が設けられ、その上に電荷輸送層が設けられてなる
    電子写真用有機感光体において、前記導電性基体の表面
    に酸化アルミニウム層が形成されていることを特徴とす
    る電子写真用有機感光体。
  2. 【請求項2】酸化アルミニウム層の膜厚が0.5μm以
    上であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用有
    機感光体。
  3. 【請求項3】ハロゲン原子を含有する電荷発生層が、ハ
    ロゲンを含有する電荷発生材と樹脂バインダーとからな
    ることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真用
    有機感光体。
  4. 【請求項4】ハロゲン原子を含有する電荷発生材が、ハ
    ロゲン化金属フタロシアニンであることを特徴とする請
    求項3記載の電子写真用有機感光体。
  5. 【請求項5】ハロゲン原子を含有する電荷発生層が、電
    荷発生材とハロゲン原子含有樹脂バインダーとからなる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の電子写真用有
    機感光体。
  6. 【請求項6】アルミニウムまたはアルミニウム合金から
    なる導電性基体に接してハロゲン原子を含有する下引き
    層が設けられ、その上に電荷発生層,電荷輸送層が順次
    設けられてなる電子写真用有機感光体において、前記導
    電性基体の表面に酸化アルミニウム層が形成されている
    ことを特徴とする電子写真用有機感光体。
  7. 【請求項7】酸化アルミニウム層の膜厚が0.5μm以
    上であることを特徴とする請求項6記載の電子写真用有
    機感光体。
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