JPH089503A - パンタグラフ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】一本の伸縮自在の円筒状の支柱の上部に集電舟
を支持する形態のパンタグラフにおいて、前記円筒状の
支柱を伸縮させる上段空気シリンダを外部から伸縮させ
る際に生じるシリンダの内圧変化を小さくして架線に対
して過大な接触力を与えることのないパンタグラフを得
る。 【構成】上下二つの円筒部材間の伸縮動作を与える空気
シリンダ３５に直列に空気シリンダ３５の少なくとも数
倍の容積を有する補助空気溜９を接続する。またこの補
助空気溜９は、前記パンタグラフを載せる台枠６の補強
部材を兼ねる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電気鉄道において電
気車に架線から集電するためのパンタグラフに関する。

【０００２】

【従来の技術】菱形の枠体よりなる従来の形態のパンタ
グラフは、その枠体を構成する多数の骨組が走行風にさ
らされるために空力音（風切り音）が生じ、特に高速走
行下では空力音が著しく大きくなり公害問題にまで発展
している。そこで多数の骨組よりなる枠体に代えて、一
本の伸縮自在の円筒状の支柱の上部に集電舟を支持する
構成として、空力音を小さくしたパンタグラフがある。

【０００３】図２はこのようなパンタグラフの平面図、
図３はその正面図である。図２および図３において、集
電舟５は伸縮自在の支持柱１によって昇降自在に支持さ
れている。支持柱１は集電舟５を昇降させるために三段
構成の円筒部材２、３、４よりなっている。下段円筒部
材４の下端にパンタグラフを載せる放射状の脚７を備え
た台枠６を設け、脚７の先端はそれぞれ電気車の屋根上
に設けられた絶縁碍子８の上端に取り付けられている。

【０００４】走行風による空気抵抗および重量軽減のた
めに細長い板で構成される放射状の脚７の剛性を保つた
めに、放射状の脚７のそれぞれ中間を繋ぐように補強部
材９が溶接されている。また集電舟５は空力音を小さく
するために走行風に対する断面は楕円形になっている。
図４は図３をＡ−Ａ線からみた断面図である。図４にお
いて、円筒状の支持柱１は三段構成の円筒部材２、３、
４よりなり、各円筒部材は相互に伸縮できるように上
段、中段、下段の円筒部材の順にそれらの直径が少しづ
づ小さくなっている。下段円筒部材４の下端は図２およ
び図３で説明したように台枠６および放射状の脚７を介
して電気車の屋根上に設けられた絶縁碍子８の上端に取
り付けられている。下段円筒部材４の内周面にはその上
端と中間との高さ位置に一対のリニアベアリング４１、
４２が固定され、これらのリニアベアリング４１、４２
に対して一本のガイド棒４３が挿通されており、このガ
イド棒４３の上端部は中段円筒部材３の上端面３１に固
定されている。下段円筒部材４の上端から少し下がった
高さ位置の内周面にリニアベアリング４４が固定され、
このリニアベアリング４４の上方でかつ中段円筒部材３
の上端面３１にはリニアベアリング３２が固定されてお
り、これらのリニアベアリング４４、３２に対して一本
のガイド棒３３が挿通されており、このガイド棒３３の
上端部は上段円筒部材２の上端面２１に固定されてい
る。下段円筒部材４には固定的に下段空気シリンダ４５
が設けられ、そのピストン軸４６は中段円筒部材３の上
端面３１に固定されている。この下段空気シリンダ４５
は後記の上段空気シリンダ３５を挟むようにして二組設
けられている。

【０００５】さらに中段円筒部材３の上端面３１の中心
部に固定的に上段空気シリンダ３５が設けられ、そのピ
ストン軸３６は前記上端面３１を貫通してその上端は上
段円筒部材２の上端面２１に固定されている。上段円筒
部材２の上端面２１と集電舟５とは、上段円筒部材２の
上端面２１に固定されたリニアベアリング２２と、これ
を挿通し集電舟５に固定されたガイド軸２３とによって
上下軸方向にガイドされ、かつばね２４によって弾性的
に支持れている。

【０００６】図４では上段空気シリンダ３５および下段
空気シリンダ４５はともにそのピストン軸４６、３６が
押し出された状態にあり、集電舟５は完全に上昇した状
態にある。この状態から上段空気シリンダ３５のピスト
ン軸３６が引き込まれると、上段空気シリンダのストロ
ーク分だけ集電舟５が下降する。さらに下段空気シリン
ダ４５のピストン軸４６が引き込まれると、下段空気シ
リンダのストローク分だけさらに集電舟５が下降し、集
電舟５は架線から離れてパンタグラフの高さは最も低い
状態になる。

【０００７】走行中の架線に対するパンタグラフの作用
高さは、下段空気シリンダ４５のピストン軸４６が一杯
に押し出された状態に固定され、上段空気シリンダ３５
のストローク範囲内で動作するように設定されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このような構造では、
架線に対する集電舟の接触力は上段空気シリンダ３５に
供給される圧縮空気によって得られているが、上段空気
シリンダ３５のピストン軸３６の動きは、走行中のパン
タグラフが架線から強制される周波数が高い場合は上段
円筒部材２の慣性質量のために集電舟５と上段円筒部材
２の上端板２１との間に設けられたばね２４で吸収され
て小さくなる。しかし周波数が低い（約５以下）場合に
は上段空気シリンダ３５のピストン軸３６が集電舟５の
動きとともに上下動する。即ち集電舟５が下降したとき
はピストン軸３６が下降して上段空気シリンダ３５を圧
縮してその内圧が上昇する。集電舟５の架線に対する接
触力は、この上段空気シリンダ３５の内圧によって与え
られているから内圧の変動は架線に対して過大な接触力
を与えることがある。架線に過大な接触力を与えられる
と、パンダグラフと架線双方とも磨耗が多きくなり、さ
らに架線側では押上量が増すことによって曲げ応力が増
え架線の寿命に悪影響を及ぼす。

【０００９】そこで、この発明の目的は上段空気シリン
ダのピストン移動によるシリンダの内圧変化を小さくし
て架線に対して過大な接触力を与えることのない、しか
もその構成の簡単なパンタグラフを提供することにあ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めにこの発明は、複数段の円筒部材からなり、上下各二
つの円筒部材間の軸方向の移動をガイドするガイド手段
と、このガイド手段に従って二つの円筒部材間の伸縮動
作を与える昇降手段とを備えて伸縮自在に構成された円
筒状の支持柱の上部に、集電舟を支持する形態のパンタ
グラフにおいて、上下二つの円筒部材間の伸縮動作を与
える昇降手段として上下二つの円筒部材間を空気シリン
ダで接続し、この空気シリンダと直列に空気シリンダの
少なくとも数倍の容積を有する補助空気溜を接続する。
またパンタグラフを載せる台枠の補強部材をパイプ状に
形成し、この内部を空気シリンダと連通する。

【００１１】

【作用】この発明の構成によると、二つの円筒部材間の
伸縮動作を与える上段空気シリンダの内容積は直列に接
続される補助空気溜によって数倍になる。従って、上段
空気シリンダのピストン移動によるシリンダの内圧変化
が小さくなり、架線に対して過大な接触力を与えること
がなくなる。さらに、元々パンタグラフを載せる台枠の
補強として存在する部材を円筒形に構成し、その内部を
空気シリンダに連通して補助空気溜として利用すること
によりその構成は著しく簡単である。

【００１２】

【実施例】図１は、本発明の実施を示すパンタグラフの
構成図である。図１において、中段円筒部材３の上端面
３１の中心部に固定的に上段空気シリンダ３５が設けら
れ、そのピストン軸３６は前記上端面３１を貫通してそ
の上端は上段円筒部材２の上端面２１に接続されてい
る。下段円筒部材４の下端にパンタグラフを載せる放射
状の脚７を備えた台枠６を設け、脚７の先端がそれぞれ
電気車の屋根上に設けられた絶縁碍子８の上端に取り付
けられている。

【００１３】また走行風による空気抵抗および重量軽減
のために細長い板で構成される放射状の脚７の剛性を保
つために、放射状の脚７のそれぞれ中間を繋ぐよううに
補強部材９を溶接している。以上のことは図２、図３お
よび図４で説明した従来例のものと同じである。また上
段円筒部材２と中段円筒部材３とのガイド手段、および
中段円筒分材３と下段円筒分材４とのガイド手段ならび
に伸縮手段は説明を判りやすくするために図１では図示
を省略しているが、図４で説明した従来例と同じであ
る。

【００１４】本発明においては、細長い板で構成される
放射状の脚７のそれぞれ中間を繋ぐように溶接している
補強部材９を円筒形とし、脚７とは気密溶接としてあ
る。上段空気シリンダ３５への圧縮空気は、絶縁碍子８
の内部から空気配管１０を経て円筒形の補強部材９の一
端９Ａに入り、その他端９Ｂから空気配管１１、さらに
撓み空気配管１２を経て供給されるようになっていて、
円筒形の補強部材９が補助空気溜の役目をしている。

【００１５】この円筒形の補強部材９の内容積は上段空
気シリンダ３５の内容積の数倍に設定されているから、
上段空気シリンダ３５のピストン軸３６の移動によるシ
リンダ内圧の変化は小さい。

【００１６】

【発明の効果】この発明によれば、上段空気シリンダの
内容積は等価的に円筒形の補強部材の内容積が加えられ
て数倍となるから、上段空気シリンダのピストン移動に
よるシリンダの内圧変化が小さくなり、架線に対して過
大な接触力を与えることのないパンタグラフが得られ
る。

【００１７】

【図面の簡単な説明】

【００１８】

【図１】本発明の実施例を示すパンタグラフの構成図

【００１９】

【図２】従来のパンタグラフの平面図

【００２０】

【図３】従来のパンタグラフの正面図

【００２１】

【図４】図３をＡ−Ａ線からみた断面図

【００２２】

【符号の説明】

２ 上段円筒部材 ３ 中段円筒部材 ４ 下段円筒部材 ６ 台枠 ７ 脚 ８ 絶縁碍子 ９ 補強部材 １０ 空気配管 １１ 空気配管 １２ たわみ空気配管 ２１ 上段円筒部材の上端面 ３１ 中段円筒部材の上端面 ３５ 上段空気シリンダ ３６ ピストン軸

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数段の円筒部材からなり、上下各二つの
   円筒部材間の軸方向の移動をガイドするガイド手段と、
   このガイド手段に従って二つの円筒部材間の伸縮動作を
   与える昇降手段とを備えて伸縮自在に構成された円筒状
   の支持柱の上部に、集電舟を支持する形態のパンタグラ
   フにおいて、上下二つの円筒部材間の伸縮動作を与える
   昇降手段として上下二つの円筒部材間を空気シリンダで
   接続し、この空気シリンダと直列に空気シリンダの少な
   くとも数倍の容積を有する補助空気溜を接続したことを
   特徴とするパンタグラフ。
2. 【請求項２】請求項１記載のものにおいて、パンタグラ
   フを載せる台枠の補強部材を円筒形に形成し、この内部
   を空気シリンダと連通しことを特徴とするパンタグラ
   フ。