JPH0894795A - 放射性金属廃棄物の除染装置 - Google Patents

放射性金属廃棄物の除染装置

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JPH0894795A
JPH0894795A JP23349594A JP23349594A JPH0894795A JP H0894795 A JPH0894795 A JP H0894795A JP 23349594 A JP23349594 A JP 23349594A JP 23349594 A JP23349594 A JP 23349594A JP H0894795 A JPH0894795 A JP H0894795A
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JP
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decontamination
metal waste
radioactive metal
tank
agent
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JP23349594A
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English (en)
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Tadashi Fukushima
正 福島
Jiro Sakurai
次郎 櫻井
Masami Toda
正見 遠田
Hitoshi Sakai
仁志 酒井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】放射性金属廃棄物を大型のままで除染を行うと
共に、金属廃棄物の空間に見合った形状の介挿物を挿入
して、除染剤量の削減と除染効果が増大する放射性金属
廃棄物の除染装置を提供する。 【構成】大型の放射性金属廃棄物である燃料ラック3を
収容して化学除染あるいは電解除染を行う除染装置で、
その形状が前記放射性金属廃棄物の外形とほぼ同様の除
染槽1および除染槽蓋8と、前記燃料ラック3の空間と
ほぼ同様の形状でその空間に挿入する介挿物10とからな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電プラント等
で使用された原子炉機器、配管、その周辺装置等の放射
能で汚染された金属廃棄物の除染に係り、特に大型で一
定形状の金属廃棄物の除染に有効な放射性金属廃棄物の
除染装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より放射能で汚染された大型の定型
金属機器や、配管および装置等の廃棄物から放射能を除
染するに際して、そのままの大きさで除染を実施する場
合は、除染対象物全体が入る大型で頑丈な除染槽に除染
対象物を収容し、内部の空間を全て満たすように大量の
化学除染剤を注入して化学除染を行っている。
【0003】また、大型の除染槽が調達できない場合に
は、大型の除染対象物を予め細かく切断した後に、小型
の除染槽を用いて数回に分けて除染作業をすることも多
く採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の除染作業におい
ては、以下のような課題を有していた。除染対象物を大
型のままで除染を行う場合には、 (1) 大型の除染槽を用いるため、内部に投入する除染剤
が大量に必要となり、その廃液処理による放射性廃棄物
が増大するため、経費の上昇や環境への影響が問題とな
る。
【0005】(2) 大型の頑丈な除染槽は、除染終了後に
はそれ自体が放射能汚染廃棄物となり、他のプラントへ
の移送や再使用が困難となり、大量の金属廃棄物が発生
することになる。 (3) 大型の除染対象物は、その形状および大きさに起因
する除染剤の流動の不均一や放熱による除染剤温度の低
下等で除染効果を十分に得ることが難しい。
【0006】除染対象物を細かく切断した後に除染を行
う場合には、 (4) 除染対象物の切断に際し、作業員の被曝防止を考慮
する必要がある。 (5) 細断時に周囲に汚染が拡大する恐れがあり、これを
防止するには切断コストが高く、作業性も悪くなって作
業時間も長く要する。 (6) 細かく切断した除染対象物を小型の除染槽により複
数回に分けて除染を行うため、作業に長時間を要して作
業量が増加する。
【0007】本発明の目的とするところは、放射性金属
廃棄物を大型のままで除染を行うと共に、金属廃棄物の
空間に見合った形状の介挿物を挿入して、除染剤量の削
減と除染効果が増大する放射性金属廃棄物の除染装置を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明に係る放射性金属廃棄物の除染装置
は、放射性金属廃棄物を収容して化学除染あるいは電解
除染を行う除染装置において、その形状が前記放射性金
属廃棄物の外形とほぼ同様の除染槽および除染槽蓋と、
前記放射性金属廃棄物における空間とほぼ同様の形状で
放射性金属廃棄物の空間に挿入する介挿物とからなるこ
とを特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明に係る放射性金属廃棄
物の除染装置は、前記放射性金属廃棄物を収容する除染
槽および除染槽蓋が、金属製の枠と板で形成すると共に
内側に除去可能の内張りを設けたことを特徴とする。請
求項3記載の発明に係る放射性金属廃棄物の除染装置
は、前記放射性金属廃棄物を収容する除染槽と除染槽蓋
および内張りの材質をビニリデンフルオライドとしたこ
とを特徴とする。
【0010】請求項4記載の発明に係る放射性金属廃棄
物の除染装置は、前記放射性金属廃棄物の空間に挿入す
る介挿物を除染槽蓋に取付けたことを特徴とする。請求
項5記載の発明に係る放射性金属廃棄物の除染装置は、
前記放射性金属廃棄物の空間に挿入する介挿物にヒータ
を内蔵したことを特徴とする。請求項6記載の発明に係
る放射性金属廃棄物の除染装置は、前記放射性金属廃棄
物の空間に挿入する介挿物に超音波振動子を内蔵したこ
とを特徴とする。
【0011】請求項7記載の発明に係る放射性金属廃棄
物の除染装置は、前記放射性金属廃棄物と、この放射性
金属廃棄物の空間に挿入する介挿物とに電解除染用電極
を設置したことを特徴とする。請求項8記載の発明に係
る放射性金属廃棄物の除染装置は、前記除染槽におい
て、少なくとも一つの内側部に内張り拡張手段を設けた
ことを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明は、大型の放射性金属廃棄
物を細断処理せずに除染槽に収容し、除染剤に満たされ
た放射性金属廃棄物の表面で除染槽および介挿物との間
隙は、いずれも狭いので除染剤量が少量で済み、温度管
理等も簡便に行えるほか、除染作業後に生ずる放射性廃
棄物量も少ない。
【0013】請求項2記載の発明は、除染槽および除染
槽蓋を金属製の枠と板で形成して、除去可能の内張りを
設けているので、除染作業により汚染された内張りを交
換することで、放射能廃棄物は内張りのみとなり、除染
槽および除染槽蓋は放射能廃棄物にならずに繰り返して
使用する。
【0014】請求項3記載の発明は、除染槽と除染槽蓋
に施す内張りをビニリデンフルオライドとしたことによ
り、温度と放射線および引張りにも強く、除染剤を貯溜
する内張りを形成する。請求項4記載の発明は、除染槽
内で除染剤中に浸漬した放射性金属廃棄物の空間への多
数の介挿物を挿入する作業が、除染槽に除染槽蓋を設置
することで一度で容易に実施できる。
【0015】請求項5記載の発明では、放射性金属廃棄
物と介挿物との狭い空間に満たされた除染剤は、介挿物
に内蔵したヒータを加熱して、除染効率の高い沸騰ある
いは沸騰に近い状態を容易に維持することができる。請
求項6記載の発明では、放射性金属廃棄物と介挿物との
狭い空間に満たされた除染剤を、介挿物に内蔵した超音
波振動子が発する超音波による加振作用により、放射性
金属廃棄物の表面に付着した放射性腐食生成物が剥離さ
れる。
【0016】請求項7記載の発明は、放射性金属廃棄物
を一方の電解除染用電極とし、これと狭く均等の間隙を
維持した介挿物に他方の電極を設置して、電圧を加える
と高効率で電解除染がされる。
【0017】請求項8記載の発明では、除染槽内に放射
性金属廃棄物を収納する時は、除染槽の内側部に設けた
内張り拡張手段を縮めて、大型放射性金属廃棄物の収納
を容易として内張りの損傷を防ぐ、また、収納後は内張
り拡張手段を拡張して放射性金属廃棄物と内張りとの間
隙を狭く設定してから除染剤を注入することで、少ない
除染剤量で除染ができる。
【0018】
【実施例】本発明の一実施例について図面を参照して説
明する。第1実施例は、図1(a)の透視斜視図および
図1(b)の要部拡大平面図に示すように、大型の金属
廃棄物をそのままの形状で保管する場合、あるいは小さ
く切断して放射性廃棄物として処理する前に、被曝低減
と汚染拡大防止を目的として簡易除染を行う場合につい
て例示する。
【0019】また、この除染作業における除染対象とな
る大型の金属廃棄物として、図9の斜視図に示す一定形
状構造の燃料ラック3を例にして説明する。この燃料ラ
ック3のように、大型で多数の凹凸や空間部が多く形成
されている複雑な形状で、表面積が広い金属構造物の全
表面に対する除染は困難度が大きい。除染槽1は、除染
対象物である多数の角管2を束ねた方形の燃料ラック3
を収容する立方形で、上部が開口して底部に整流器4が
設置されている。
【0020】この除染槽1は槽の強度を保つための金属
枠5と、薄いステンレス板6で組立てられ、内側を放射
線および除染剤に対して耐候性が高く、柔軟性に優れた
ビニリデンフルオライド(以下PVDFと呼称する)シ
ート7で着脱可能に内張りされていて、開口部は除染槽
蓋8で閉じられ、この除染槽蓋8には蒸発した除染剤を
回収する環流器9が設置されている。
【0021】除染槽1内は燃料ラック3を収容した後
に、燃料ラック3の角管2の内部に形成された空間に、
間隙をあけて介挿物10が挿入され、この除染槽1内に除
染剤11を注入することにより、除染槽1と燃料ラック
3、および燃料ラック3の角管2と介挿物10とで形成さ
れた空間は除染剤11で満たされる。
【0022】さらに、除染槽1には除染剤11を循環する
ための循環ラインとして、循環ポンプ12と調整タンク1
3、および加熱用ヒーター14等が接続されている。ま
た、角管2における空間に挿入した介挿物10には内蔵ヒ
ーター15が内蔵され、かつ介挿物10が角管2に密接しな
いよう、かつ、四方から均等の位置を維持するための絶
縁体でできたガイドピン16が突出さられて構成してい
る。
【0023】次に上記構成による作用について説明す
る。図2の縦断面模式図は、理解を容易にするために構
成を簡略化して示したもので、除染槽1に収容した金属
廃棄物である燃料ラック3で一つの角管2のみを示し、
この角管2の除染対象部の全表面に対して除染剤11を接
触させて化学除染を行う状態を表す。
【0024】しかしながら、この図2の状態において
は、角管2の内側の空間にはこの空間に合わせた内蔵ヒ
ーター15付きの介挿物10が挿入されており、この角管2
の内側で介挿物10との間隙と、角管2の外側で除染槽1
との間隙はすべて除染剤11で満たされいるが、その全量
は狭い間隙を満たしているために、極めて少量でしかも
角管2の内外全表面が除染剤11により十分に化学除染が
行われる。
【0025】なお、図3の除染特性図は有機酸の除染剤
を用いてステンレス鋼に対して化学除染をした場合の、
除染温度と材料の重量減量との関係を示したもので、こ
れによれば、除染温度が 100℃においては除染剤は沸騰
している状態であるが、99℃および95℃においては沸騰
状態ではない。
【0026】また、一般的に温度が上昇すると反応速度
は早くなるが、60℃〜95℃までの変化に比べて、沸騰状
態での重量減量が著しく増加していることが分かる。こ
の現象は、除染剤11の沸騰により発生した気泡等による
機械的作用と、高温による化学反応が活発となる作用と
の相乗効果により起こったものと考えられる。このデー
タより、除染対象部で沸騰状態またはこれに近い状態と
することにより除染が促進できると考えられる。
【0027】ここで本第1実施例においては、介挿物10
に内蔵している内蔵ヒーター15により介挿物10の表面を
加熱することにより、除染対象物である角管2に接して
いる除染剤11の温度を容易に沸騰状態に維持することが
可能であり、これにより、極めて少量の除染剤11で効果
的な化学除染が実施できる。
【0028】以上のように第1実施例においては、大型
の金属廃棄物である燃料ラック3は、本来の目的が燃料
を貯蔵するための機器であることから、全体の大きさが
大きいことと、燃料が貯蔵されるためのスペースとして
の角管2により細かく仕切られており、空隙率が高いこ
とが特徴である。
【0029】したがって、この燃料ラック3の汚染状況
は、燃料から剥離した放射性腐食生成物の付着が主を占
めており、燃料ラック3の外側より燃料と対面している
各角管2の内面の方が汚染率は高くなっている。
【0030】このような燃料ラック3を除染する際は、
通常、燃料を挿入する内面に介挿物10を挿入することに
より、この介挿物10が排除する分の除染液11を削減し
て、除染槽1に満たす除染剤11の量を大幅に低減するこ
とができる。また、除染剤11の温度調整は循環ラインの
加熱用ヒーター14で調整するのが通常であるが、当然除
染対象においては放熱のために、加熱用ヒーター14の出
口より温度が下がってしまう。
【0031】しかしながら、本第1実施例では図3で示
すように、有機酸による化学除染において、少量の除染
剤11を沸騰または沸騰に近い状態で母材の重量減量が急
激に増加する現象を利用するために、介挿物10の内蔵ヒ
ーター15により、効率良く燃料ラック3の角管2内面全
体で均一に沸騰状態を維持することができる。
【0032】なお、沸騰の度合いに関しては、激しい沸
騰のために、除染剤11の角管2内面への接触が維持でき
なくならないように、除染剤11の気泡発生を沸騰する最
低の温度で行うように温度調整をすると共に、角管2へ
の除染剤11の流れは、除染槽1の底部に設置されている
整流器4の調整により行うことができる。
【0033】なお、上記除染槽1では内張りとして、P
VDFシート7を着脱可能に設けた構成について説明し
たが、その形状を収納する除染対象物の外形に合わせた
凹凸形状に形成して、除染対象物との空間を少なくして
除染剤11の所要量を削減したり、その強度向上のために
厚さを増してPVDF容器としても、上記と同様の作用
と効果が得られる。
【0034】第2実施例は、図示しないが上記第1実施
例における介挿物10を、除染槽蓋8の下部に一体に取付
けた構成としたものである。この構成によれば、多数の
介挿物10が除染槽蓋8と一体構造になっていることか
ら、除染作業に際して除染槽1内に収容した燃料ラック
3の多数の角管2に対する介挿物10の挿入が、除染槽1
の開口部を除染槽蓋8により閉じることにより同時に実
施される。
【0035】これにより、介挿物10の位置決めが不要で
あり挿入が迅速に行えると共に、作業員の被曝が軽減で
きる利点がある。しかしその反面で、介挿物10の用途と
しての自由度は低くなり、除染対象物の形状が一定のも
のに制限されるが、前記燃料ラック3の処理には最適で
ある。
【0036】第3実施例は、図4の縦断面模式図に示す
ように、除染槽1に収容した金属廃棄物である角管2の
内側の空間に挿入する介挿物17が、内部で移動可能の超
音波振動子18を内蔵して構成したもので、その他の構成
は上記第1実施例の図1と同様である。
【0037】介挿物17に内蔵された超音波振動子18は、
ねじ支柱19に設置されたモーター20とギヤ21により上下
移動する機構になっていて、介挿物17の内部は超音波振
動子18と共に、水あるいはオイル22で充填されており、
超音波振動子18から発信された超音波を介挿物17の外部
に効率よく伝達できるようになっている。
【0038】また、高温中での長時間使用の場合は、内
部の水またはオイル22を循環して外部冷却系で冷却し、
超音波振動子18の温度上昇による高温から保護する。な
お、その他の部分は上記図1および図2と同様に構成さ
れている。
【0039】この構成による作用としては、除染槽1内
で除染対象である燃料ラック3の角管2と除染剤11に対
する超音波の加振作用により、除染剤11による化学除染
と併用するか、あるいは洗浄時に単独で超音波振動子18
を作動させることにより、除染剤11による化学除染を促
進すると共に、特に除染対象物のコーナー部や隙間部等
における除染効果、および洗浄効果を増大させるもので
ある。
【0040】なお化学除染との併用運転は、化学除染中
連続して行う方法でも良いが、超音波振動子18の保護お
よび併用の効果を考慮して、間欠的な短時間運転を実施
しても十分効果がある。
【0041】第4実施例は、大型の金属廃棄物である除
染対象を低い放射能レベルまで除染するには徹底除染を
行うが、この徹底除染のために実施する電解除染による
効果を増大させるものである。
【0042】図5の縦断面模式図に示すように、介挿物
23の表面に電解除染用の−側の電極端子24を取り付け、
除染対象物である燃料ラック3の角管2にも+側の電極
端子25を取付けている。
【0043】さらに、介挿物23と燃料ラック3の角管2
は、除染槽1の内張の絶縁体であるPVDFシート7
と、同じく絶縁体のガイドピン16により互いに電気的に
絶縁状態にされており、かつ、ガイドピン16により角管
2の各表面と等距離となるように構成されている。
【0044】上記構成による作用としては、除染槽1内
に満たした硫酸、燐酸、硝酸等による電解液26の中に、
除染対象物である燃料ラック3の角管2を浸漬して、介
挿物23を陰極に、角管2を陽極として電圧を加えること
により角管2の表面を電気分解する。
【0045】この電気分解は、陰極と陽極が全体的に等
距離に設置されていることから、燃料ラック3や角管2
の表面から均一に金属をイオンとして溶解し、これに伴
って除染対象物の表面付着している放射性腐食生成物を
除去することができる。
【0046】第5実施例は、図6(a)縦断面模式図と
(b),(c)の要部平面図に示すように、上記第1実
施例の図1と同様に除染槽1においては除染作業後に除
染槽1が放射能汚染物とならないように、薄いステンレ
ス板6の内側にPVDFシート7を除去可能に内張りし
てあるが、この他に除染槽1の内壁と除染対象物との空
間(距離)を内張り拡張手段により調節できる構造とし
たものである。
【0047】また、除染槽1の内面で4面のうちの1面
のみ、あるいは対面する両面でPVDFシート7の内側
に、側部を伸縮自在のじゃばら27構造にして、その内部
に伸縮自在で任意の位置に固定できる内張り拡張手段で
ある拡張内枠28を取付けて伸縮自在に構成している。
【0048】除染槽1の内壁と角管2の外側との空間
(距離)をできるだけ狭くすることは、その分だけ除染
剤11の量を削減できることになるが、除染槽1の大きさ
を最小限まで小さくすることは除染対象物を除染槽1内
に収容する作業が難しくなり、かつ、内張りしてあるV
PDFシート7に接触させて傷を付けたり、穴を開けて
しまう可能性も大きくなる。
【0049】これらの危険性を排除し、かつ除染剤11の
使用量を低減するために、内張のPVDFシート7の柔
軟性を利用して、除染槽1の容量を可変としたものであ
る。なお、除染槽1の強度を保つための金属枠5とPV
DFシート7を支えるため、および、万一PVDFシー
ト7が破損した場合の受け容器となる薄いステンレス板
6は、図1と同様の構成にしてある。
【0050】上記構成による作用としては、除染槽1内
に除染対象物の角管2(燃料ラック3)を収容する時
は、図6(b)に示すように拡張内枠28を閉じて、じゃ
ばら27を折り畳むことにより、除染槽1の内容積を大き
くして据置時におけるスペースを十分に確保する。
【0051】次に間隔に十分な余裕をもって燃料ラック
3の据置をした後に、図6(c)に示すように拡張内枠
28を広げることにより、じゃばら27が伸びてPVDFシ
ート7で形成する壁面と燃料ラック3との間隔を狭くし
て除染槽1の容積を減少させる。
【0052】この後に、除染槽1内に除染剤11を満たし
て除染を実施するが、これにより必要とする除染剤11の
使用量を低減することができる。なお、側面に伸縮自在
のじゃばら27を設けたPVDFシート7を設置した除染
槽1の内壁と密接した部分のPVDFシート7を削除し
ても、その機能に変わりなく、PVDFシート7の使用
量が低減される。
【0053】除染槽1の内側に除去可能に設けた内張り
7の材質については、フッ素樹脂の図7のγ線照射によ
る引張り強度特性図と、図8の伸び変化率の影響評価特
性図に示す試験結果で分かるように、PVDFは他の材
料のパーフルオロエチレンプロピレン(FEP)、パー
フルオロアルコキシ(PFA)、4フッ化エチレン(P
TFE)より、耐放射線性に優れていることがわかる。
【0054】したがって、PVDFを除染槽1の内張
り、あるいは内容器として用いることは、耐放射線性や
耐熱性の面から信頼性が高くなり、金属製の外容器(金
属枠5とステンレス板6)を汚染させることもなくな
る。また、使用済のPVDFシート7のみ交換すれば外
容器の金属枠5とステンレス板6はそのまま繰り返し使
用することができるので、放射性廃棄物もPVDFシー
7のみに削減することができる。
【0055】
【発明の効果】以上本発明によれば、次のような多くの
効果が得られる。 (a)大型で一定形状の金属廃棄物の化学除染を実施す
る際に、使用する除染剤の量が削減できることから、除
染後の放射性廃棄物が減少し、除染コストが低下する。
【0056】(b)金属廃棄物の化学除染をする際に、
除染対象金属の表面付近で容易に沸騰状態に維持するの
で、除染効果が向上する。 (c)金属廃棄物の化学除染および洗浄を実施する際
に、効果的に超音波洗浄を行うことにより、除染効果を
増大することができる。
【0057】(d)さらに上記(b),(c)の効果に
より、大型の金属廃棄物を切断等により小形化する前の
簡易除染が効率的に行われ、かつ切断時の作業員の被曝
が防止できる。また、切断時の汚染拡大の防止に有効
で、切断コストの低減と、金属廃棄物の取扱いと保管が
簡易化できる。
【0058】(e)大型の金属廃棄物の徹底除染を実施
する際に、汚染面に対して均一に電解除染を行うことが
できて除染効果が向上する。 (f)除染槽の内張り、または内容器の材質に、耐熱と
耐放射線性能に優れたPVDFを用いて、汚染状況によ
り交換することにより、ステンレス製の除染槽外枠、お
よび外容器を汚染させることなく再使用ができるため、
放射性廃棄物の低減や除染コストを低減することができ
る。
【0059】(g)除染槽内にてPVDFシートを内側
に拡張可能とすることにより、除染対象物の出し入れ時
の作業が容易となり、PVDFシートの損傷防止と除染
剤の使用量が削減されて、放射性廃棄物と除染コストが
低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の除染装置で、(a)
は斜視図、(b)は要部拡大平面図。
【図2】本発明に係る第1実施例の除染装置の縦断面模
式図。
【図3】除染特性図。
【図4】本発明に係る第3実施例の除染装置の縦断面模
式図。
【図5】本発明に係る第4実施例の除染装置の縦断面模
式図。
【図6】本発明に係る第5実施例の除染装置で、(a)
は縦断面模式図、(b)は短縮時の要部平面図、(c)
は拡張時の要部平面図。
【図7】フッ素樹脂のγ線照射による引張り強度特性
図。
【図8】フッ素樹脂のγ線照射による伸び変化率特性
図。
【図9】燃料ラックの斜視図。
【符号の説明】
1…除染槽、2…角管、3…燃料ラック、4…整流器、
5…金属枠、6…ステンレス板、7…PVDFシート、
8…除染槽蓋、9…環流器、10,17,23…介挿物、11…
除染剤、12…循環ポンプ、13…調整タンク、14…加熱用
ヒーター、15…内蔵ヒーター、16…ガイドピン、18…超
音波振動子、19…ねじ支柱、20…モーター、21…ギヤ、
22…オイル、24…電極端子(陰極)、25…電極端子(陽
極)、26…電解液、27…じゃばら、28…拡張内枠。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 仁志 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性金属廃棄物を収容して化学除染あ
    るいは電解除染を行う除染装置において、その形状が前
    記放射性金属廃棄物の外形とほぼ同様の除染槽および除
    染槽蓋と、前記放射性金属廃棄物における空間とほぼ同
    様の形状で放射性金属廃棄物の空間に挿入する介挿物と
    からなることを特徴とする放射性金属廃棄物の除染装
    置。
  2. 【請求項2】 前記放射性金属廃棄物を収容する除染槽
    および除染槽蓋が、金属製の枠と板で形成すると共に内
    側に除去可能の内張りを設けたことを特徴とする請求項
    1記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
  3. 【請求項3】 前記放射性金属廃棄物を収容する除染槽
    と除染槽蓋および内張りの材質をビニリデンフルオライ
    ドとしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の放射性金属廃棄物の除染装置。
  4. 【請求項4】 前記放射性金属廃棄物の空間に挿入する
    介挿物を除染槽蓋に取付けたことを特徴とする請求項1
    乃至請求項3記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
  5. 【請求項5】 前記放射性金属廃棄物の空間に挿入する
    介挿物にヒータを内蔵したことを特徴とする請求項1記
    載の放射性金属廃棄物の除染装置。
  6. 【請求項6】 前記放射性金属廃棄物の空間に挿入する
    介挿物に超音波振動子を内蔵したことを特徴とする請求
    項1記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
  7. 【請求項7】 前記放射性金属廃棄物とこの放射性金属
    廃棄物の空間に挿入する介挿物とに電解除染用電極を設
    置したことを特徴とする請求項1記載の放射性金属廃棄
    物の除染装置。
  8. 【請求項8】 前記除染槽において少なくとも一つの内
    側部に内張り拡張手段を設けたことを特徴とする請求項
    1記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000072328A1 (de) * 1999-05-21 2000-11-30 Framatome Anf Gmbh Vorrichtung zur reinigung und/oder dekontamination von brennelementen
RU2505872C2 (ru) * 2011-10-24 2014-01-27 Открытое акционерное общество "Атомэнергоремонт" (ОАО "Атомэнергоремонт") Способ дезактивации труб и трубных пучков - кислотно-абразивная дезактивация

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WO2000072328A1 (de) * 1999-05-21 2000-11-30 Framatome Anf Gmbh Vorrichtung zur reinigung und/oder dekontamination von brennelementen
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