JPH0893534A - 2サイクルエンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

2サイクルエンジンの燃料噴射装置

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JPH0893534A
JPH0893534A JP23004194A JP23004194A JPH0893534A JP H0893534 A JPH0893534 A JP H0893534A JP 23004194 A JP23004194 A JP 23004194A JP 23004194 A JP23004194 A JP 23004194A JP H0893534 A JPH0893534 A JP H0893534A
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JP
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fuel injection
injector
fuel
region
combustion
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JP23004194A
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Takeo Yoshida
武雄 吉田
Takahiro Suzuki
隆広 鈴木
Ryoichi Hirai
良一 平井
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/02Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke
    • F02B2075/022Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle
    • F02B2075/025Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle two

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速・高負荷域においても必要十分な量の燃
料を供給してエンジン性能の向上を図る2サイクルエン
ジンの燃焼制御装置を提供すること。 【構成】 第1及び第2インジェクタ31,32を備
え、エンジン負荷とエンジン回転数によって燃焼域を第
1、第2及び第3領域に区画し、第1領域においては第
1インジェクタ31による燃料噴射によって成層燃焼を
行わせ、第2領域においては第1インジェクタ31によ
る燃料噴射によって予混合燃焼を行わせ、第3領域にお
いては第1及び第2インジェクタ31,32による燃料
噴射によって予混合燃焼を行わせる2サイクルエンジン
1の燃料噴射装置において、前記第1インジェクタ31
の第1領域における燃料噴射圧P11と第2及び第3領域
における燃料噴射圧P12,P13との間に、P11<P12
13なる関係を成立させる。本発明によれば、第2及び
第3領域においては、第1インジェクタ31の燃料噴射
圧P12,P13が高い分だけ所要量の燃料が短時間に噴射
されるため、前記効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2つのインジェクタを
備える2サイクルエンジンの燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、2サイクルエンジンは低速・低
負荷域において失火を生じ易いため、その領域において
は成層燃焼を行わせ、高負荷域においては予混合燃焼を
行わせることが排ガス対策、出力向上、燃費の改善等の
上から望ましい。
【0003】そこで、図21に示すように、第1インジ
ェクタ131と第2インジェクタ132をシリンダヘッ
ド108に取り付け、低・中負荷域においては第1イン
ジェクタ131から燃料をシリンダ102a内の点火プ
ラグ109を指向して噴射して混合気の成層燃焼を行わ
せ、高負荷域においては第1インジェクタ131と第2
インジェクタ132の双方からシリンダ102a内に燃
料を噴射して混合気の予混合燃焼を行わせる燃料噴射装
置が提案されている(特開平4−103855号公報参
照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の燃料噴射装置にあっては、第1、第2インジェクタ
131,132の燃料噴射圧はエンジン負荷とは無関係
に一定に保たれていたため、所要量の燃料を短時間に噴
射してこれを速やかに気化させることが困難となり、特
に多量の燃料を短時間に噴射する必要がある高速・高負
荷域では必要十分な量の燃料を噴射することができない
という問題がある。
【0005】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、高速・高負荷域においても必
要十分な量の燃料を供給してエンジン性能の向上を図る
ことができる2サイクルエンジンの燃料噴射装置を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、第1及び第2インジェクタ
を備え、エンジン負荷とエンジン回転数によって燃焼域
を第1、第2及び第3領域に区画し、第1領域において
は第1インジェクタによる燃料噴射によって成層燃焼を
行わせ、第2領域においては第1インジェクタによる燃
料噴射によって予混合燃焼を行わせ、第3領域において
は第1及び第2インジェクタによる燃料噴射によって予
混合燃焼を行わせる2サイクルエンジンの燃料噴射装置
において、前記第1インジェクタの前記第1領域におけ
る燃料噴射圧P11と前記第2及び第3領域における燃料
噴射圧P12,P13との間に、 P11<P12,P13 なる関係を成立させたことを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、同様の2サイクル
エンジンの燃料噴射装置において、第1インジェクタの
第2領域における燃料噴射圧P12と第3領域における燃
料噴射圧P13との間に、 P12<P13 なる関係を成立させたことを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、同様の2サイクル
エンジンの燃料噴射装置において、第3領域における第
1インジェクタの燃料噴射圧P13と第2インジェクタの
燃料噴射圧P23との間に、 P13<P23 なる関係を成立させたことを特徴とする。
【0009】請求項4記載の発明は、同様の2サイクル
エンジンの燃料噴射装置において、第1インジェクタの
第1、第2及び第3領域における燃料噴射圧P11
12,P13と第2インジェクタの第3領域における燃料
噴射圧P23との間に、 P11<P12≦P13≦P23 なる関係を成立させたことを特徴とする。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明によれば、第2及び第3領
域においては、第1インジェクタの燃料噴射圧P12,P
13が高い分だけ所要量の燃料が短時間に噴射されるた
め、高速・高負荷域においても必要十分な量の燃料が供
給されてエンジン性能の向上が図られる。又、第1イン
ジェクタから高圧の燃料が噴射されることによって、該
燃料の霧化が促進され、点火前に燃料の予混合が十分な
されて均一な混合気が形成され、正常で円滑な予混合燃
焼が効率良くなされる。
【0011】更に、請求項1記載の発明によれば、第1
領域においては、第1インジェクタの燃料噴射圧P11
低い分だけ燃料の霧滴の粒径が大きくなるため、点火プ
ラグ周り或は点火プラグ周りと燃焼室の主容積部との境
界に可燃域の濃混合気が確実に形成され。従って、その
濃混合気は点火によって確実に着火し、燃焼は点火プラ
グ周りから燃料の希薄な燃焼室の主容積部に向かって拡
がり、所謂成層燃焼が確実になされ、低速・低負荷域で
ある第1領域におけるエンジンの動作フィーリングの改
善、排ガス特性の改善が図られる。
【0012】請求項2記載の発明によれば、多量の燃料
を必要とするエンジン負荷の高い第3領域における第1
インジェクタの燃料噴射圧P31を高く設定するため、所
要量の燃料が短時間に噴射され、高速・高負荷域におい
ても必要十分な量の燃料が供給されてエンジン性能の向
上が図られる。又、第3領域において第1インジェクタ
から高圧の燃料が噴射されることによって、該燃料の霧
化が促進され、点火前に燃料の予混合が十分なされて均
一な混合気が形成され、正常で円滑な予混合燃焼がなさ
れて高いエンジン出力を得ることができる。
【0013】請求項3記載の発明によれば、第1及び第
2インジェクタから燃料が噴射されて予混合燃焼が行わ
れる第3領域において、掃気流に混合される燃料を噴射
する第2インジェクタの燃料噴射圧P23を高く設定して
いるため、所要量の燃料が短時間に噴射され、高速・高
負荷域においても必要十分な量の燃料が供給されてエン
ジン性能の向上が図られる。又、第2インジェクタから
多量の高圧燃料が噴射されることによって、該燃料の霧
化が促進されるとともに、掃気流によって燃料の気化も
促進され、燃料が掃気流に乗って燃焼室内の広い範囲を
循環して十分予混合されるために均一な混合気が形成さ
れ、正常で円滑な予混合燃焼がなされて高いエンジン出
力が得られる。
【0014】請求項4記載の発明によれば、請求項1乃
至3記載の発明による効果の2つ或は全てを同時に得る
ことができる。
【0015】
【実施例】以下に本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【0016】図1は本発明に係る燃料噴射装置を備える
2サイクルエンジンの構成を示すブロック図、図2は同
2サイクルエンジンの内部構造を示す縦断面図、図3は
同2サイクルエンジンのシリンダ部の模式的平断面図、
図4は図3のB−B線断面図、図5は図2のA−A線断
面図、図6は空気量調整装置の作用説明図である。
【0017】先ず、図2に基づいて2サイクルエンジン
1の基本構成を説明する。
【0018】本実施例に係る2サイクルエンジン1は、
低負荷域において成層燃焼を行い、中・高負荷域におい
て予混合燃焼を行うものであって、そのシリンダブロッ
ク2に形成されたシリンダ2a内にはピストン3が上下
摺動自在に嵌装されている。そして、ピストン3は、こ
れの下方に図2の紙面垂直方向に長く配されたクランク
軸4にコンロッド5を介して連結されている。尚、シリ
ンダブロック2に一体に形成されたアッパークランクケ
ース2bとこれの下面に結着されたロアークランクケー
ス6の内部にはクランク室7が形成されており、該クラ
ンク室7内に前記クランク軸4が回転自在に支承されて
収納されている。
【0019】又、上記シリンダブロック2の上面にはシ
リンダヘッド8が被着されており、該シリンダヘッド8
には燃焼凹部8aが形成され、該燃焼凹部8aと前記ピ
ストン3とで燃焼室Sが画成されている。更に、シリン
ダヘッド8の頂部には点火プラグ9が螺着されており、
該点火プラグ9の電極部9aは前記燃焼室Sに臨んでい
る。
【0020】ところで、前記シリンダヘッド8には、図
3及び図4に示すように、2つの主掃気ポート10,1
1と1つの補助掃気ポート12及び1つの排気ポート1
3がそれぞれ形成されている。尚、上記2つの主掃気ポ
ート10,11は相対向する位置に形成されており、補
助掃気ポート12は排気ポート13に対向する位置に形
成されている。そして、補助掃気ポート12は、その上
端開口部12aがシリンダ2aの上方に向かって開口し
ており、このため、該補助掃気ポート12からの掃気流
の排気ポート13への吹き抜けは殆ど生じない一方、前
記シリンダブロック2の下部には、クランク室7に開口
する空気導入口14が形成されており、該空気導入口1
4には、空気のクランク室7方向への流れのみを許容す
るリードバルブ15が設けられている。
【0021】又、上記空気導入口14には吸気管16が
接続されており、該吸気管16には空気量調整装置17
を介して吸気マニホールド18が接続されている。
【0022】上記空気量調整装置17は、図1に示すア
クセル装置19における不図示のアクセルペダルの操作
量(エンジン負荷)とエンジン回転数をパラメータとし
て、空気導入口14からリードバルブ15を経てクラン
ク室7に吸入される空気の吸入量を制御するものであ
り、これは上下に形成された吸気ポート20a,21a
をそれぞれ開閉するメインバルブ20とサブバルブ21
を有している。尚、メインバルブ20とサブバルブ21
は不図示の付勢手段によって常時閉じ側に付勢されてい
る。
【0023】而して、図5に示すように、メインバルブ
20、サブバルブ21の各駆動軸22,23には、これ
らのバルブ20,21の各開度を検出するためのポテン
ショメータ24,25がそれぞれ設けられており、サブ
バルブ21の駆動軸23にはモータ26が連結されてい
る。
【0024】又、図6に示すように、メインバルブ20
の駆動軸22の一端には第1揺動片27が、サブバルブ
21の駆動軸23の一端には第2揺動片28がそれぞれ
結着されている。そして、上記第1揺動片27の外周部
には溝27a(図5参照)と係止孔27b(図6参照)
が形成されており、溝27aには、その一端が前記アク
セル装置19に連結されたスロットルワイヤー29が巻
装され、該スロットルワイヤー29の他端は第1揺動片
27の前記係止孔27bに係止されている。これによ
り、アクセルペダルの操作量はメインバルブ20の開度
としてポテンショメータ24によって検出される。
【0025】更に、図6に示すように、第1揺動片27
と第2揺動片28の間には連結ロッド30が配設されて
おり、該連結ロッド30の一端30aは第1揺動片27
に回動自在に枢着され、他端30bは第2揺動片28に
形成された円弧状のガイド溝28aに摺動自在に係合さ
れている。
【0026】一方、図2に示すように、前記シリンダヘ
ッド8の側壁部分には、主に低負荷運転域において成層
燃焼を行わせるとともに、それ以外の運転領域において
も補助的に燃料を供給するための第1インジェクタ31
が装着されており、又、前記シリンダブロック2の側壁
の前記補助装置ポート12の直上であって、且つ、前記
排気ポート13の上端よりも下方位置には、中・高負荷
域において予混合燃焼を行わせるための第2インジェク
タ32が装着されている。
【0027】ここで、前記第1インジェクタ31の構成
の詳細を図7乃至図9に基づいて説明する。尚、図7は
図2のC部拡大断面図、図8は図7の矢視D方向の図、
図9は図8のE−E線断面図である。
【0028】第1インジェクタ31は、図7乃至図9に
示すように、比較的大径の1つの噴射口33と比較的小
径の3つの噴射口34,35,36を有し、噴射口35
は軸中心線上に開口し、この噴射口35の両側に噴射口
34,36が開口している。
【0029】そして、前記噴射口33は、図7に示すよ
うに、縦断面において軸線に対して角度θ1 を成す方向
に上向きに形成され、前記両側の噴射口34,36は、
図9に示すように、横断面において軸線に対してそれぞ
れ角度θ2 を成す方向に形成されている。
【0030】次に、前記第2インジェクタ32の構成の
詳細を図10に基づいて説明する。尚、図10は図2の
F部拡大詳細図である。
【0031】第2インジェクタ32は、所定角度θ3
成して開口する2つの噴射口37,38を有しており、
角度θ3 の中心線は点火プラグ9の設置位置を指向して
いる。従って、両噴射口37,38からの噴射燃料は互
いに衝突して霧化する。
【0032】ここで、本発明に係る燃料噴射装置の全体
構成を図1に基づいて説明する。尚、図1においては、
図2乃至図6に示したと同一要素には同一符号を付して
おり、以下、それらについての説明は省略する。
【0033】図1において、45は前記吸気マニホール
ド18の吸気口であり、図示矢印aは該吸気口45から
吸入された空気(新気)の流れを、矢印bは2サイクル
エンジン1から排出される排気ガスの流れをそれぞれ示
す。
【0034】ところで、2サイクルエンジン1のクラン
ク軸4の回転動力は、出力軸46、ギヤ47,48及び
入力軸49を経て外部負荷50に伝達されるが、クラン
ク軸4の端部には、エンジン回転数とクランク角を検出
するための計測用ギヤ51が結着されている。尚、上記
計測用ギヤ51には基準クランク角表示歯が形成されて
いる。
【0035】又、図1において、52は前記第1インジ
ェクタ31と第2インジェクタ32に一定圧の燃料を供
給するための燃料供給装置、53は前記点火プラグ9に
よる点火の時期を制御するための点火時期制御装置、5
4はクランク角センサを兼ねる回転数センサであり、該
回転数センサ54は前記計測用ギヤ51の近傍に配置さ
れている。尚、計測用ギヤ51においては、ピストン3
が下死点(B.D.C )にある時に対応して回転数センサ5
4と対向する歯のみの幅が小さく設定されており、これ
に基づき回転数センサ54は基準クランク角信号を後述
のエンジン制御装置(ECU:Engine Control Unit )
55に送るとともに、クランク軸4の基準クランク角位
置からの回転量を示すクランク角信号をエンジン制御装
置55に送る。尚、図1において、56はメモリ、57
は燃料タンク、58は調圧弁、59は減圧弁、60は吸
込管、61は燃料ギャラリ、62は燃料戻し管、63は
注入口、64はストレーナである。
【0036】而して、当該燃料噴射装置には、上記エン
ジン制御装置(ECU)55が設けられており、このエ
ンジン制御装置55は、前記回転数センサ54によって
検出されたエンジン回転数とクランク角、前記ポテンシ
ョメータ24によって検出されたメインバルブ20の開
度、つまり、エンジン負荷(アクセル装置19における
アクセル操作量))に基づいて空気量制御手段17(モ
ータ26(サブバルブ21の開度))と第1、第2イン
ジェクタ31,32(燃料噴射タイミングと燃料噴射
量)及び点火時期制御装置53(点火時期)を制御する
ことによって、エンジン負荷が小さな低負荷域において
は成層燃焼を行わしめ、中・高負荷域においては予混合
燃焼を行わしめるものである。
【0037】次に、2サイクルエンジン1の作用を説明
する。
【0038】図2に示すように、ピストン3が下死点
(B.D.C ) に位置するときには、主掃気ポート10,1
1と補助掃気ポート12及び排気ポート13は開口して
おり、このとき、前のサイクルでクランク室7に導入さ
れてピストン3で圧縮された新気は、主掃気ポート1
0,11と補助掃気ポート12を経てシリンダ2a内に
流入し、シリンダ2a内に残留する排気ガスを排気ポー
ト13からシリンダ2a外へ押し出す掃気作用を行う。
【0039】次に、ピストン3がシリンダ2a内を下死
点から上方へ移動すると、先ず主掃気ポート10,11
と補助掃気ポート12がピストン3によって閉じられ、
その後、排気ポート13が同じくピストン3によって閉
じられ、シリンダ2a内に導入された新気が圧縮される
圧縮行程に移行する。そして、第1インジェクタ31又
は第1及び第2インジェクタ31,32から燃料がシリ
ンダ2a内に、エンジン回転数及びメインバルブ20の
開度によって決められるタイミングで噴射される。
【0040】ここで、本発明に係る燃料噴射装置及び燃
焼制御方法を図6、図11乃至図18に基づいて説明す
る。尚、図11はメインスロットル弁開度(即ち、アク
セル操作量。以下同じ)とエンジン回転数によって区画
される燃焼領域(第1、第2及び第3領域)を示す図、
図12は吸気ポート開口面積のメインスロットル弁開度
とエンジン回転数による制御特性を示す図、図13は特
定のエンジン回転数(1500rpmと4000rp
m)におけるメインスロットル弁開度に対する吸気ポー
ト開口面積の制御特性を示す図、図14は燃料噴射量の
メインスロットル弁開度に対する制御特性図、図15及
び図16は燃料圧力のメインスロットル弁開度に対する
制御特性図、図17は特定のエンジン回転数(1500
rpm)における燃料噴射タイミングと点火タイミング
をメインスロットル弁開度をパラメータとして示すタイ
ミングチャート、図18は特定のエンジン回転数(40
00rpm)における燃料噴射タイミングと点火タイミ
ングをメインスロットル弁開度をパラメータとして示す
タイミングチャートである。
【0041】本実施例においては、図11に示すよう
に、メインバルブ20の開度(以下、スロットル弁開度
と称す)α(つまり、エンジン負荷)とエンジン回転数
Nに応じて曲線a1 ,a2 によって燃焼領域が第1、第
2及び第3に区画されており、極低負荷域である第1領
域においては、第1インジェクタ31のみから燃料が噴
射されて成層燃焼が行なわれ、低負荷域である第2領域
においては、同じく第1インジェクタ31のみから燃料
が噴射されて予混合燃焼が行なわれ、中・高負荷である
第3領域においては、第1及び第2インジェクタ31,
32の双方から燃料が噴射されて予混合燃焼が行なわれ
る。
【0042】尚、第1、第2及び第3領域を区画するメ
インバルブ20の開度a1 ,a2 はエンジン回転数Nに
よって変化し、第1領域と第2領域を区画するスロット
ル弁開度a1 はエンジン回転数N=1500rpm,4
000rpmにおいてそれぞれa1 =15°,18°と
なり、第2領域と第3領域を区画するスロットル弁開度
2 はエンジン回転数N=1500rpm,4000r
pmにおいてそれぞれa2 =25°,30°となる(図
11参照)。
【0043】而して、アクセル装置19におけるアクセ
ルペダルの踏み込み量が小さく、スロットルワイヤー2
9によって回動せしめられる第1揺動片27とメインバ
ルブ20の回動角が小さいために、ポテンショメータ2
4によって検出されるスロットル弁開度αがそのときの
エンジン回転数Nによって決まる設定値a1 よりも小さ
な第1領域(α<a1 )においては、エンジン制御装置
55は連結ロッド30によりサブバルブ21を駆動制御
するのではなく、モータ26を駆動制御してサブバルブ
21を図6に実線にて示すように矢印方向に回動せしめ
てこれを開くとともに、第1インジェクタ31と点火時
期制御装置53、調圧弁58及び減圧弁59を制御して
燃料室Sで混合気の成層燃焼を行わせる。
【0044】従って、成層燃焼が実行される極低負荷域
においては、アクセル装置19のアクセルペダルを徐々
に踏み込むと、メインバルブ20が徐々に開くととも
に、該メインバルブ20の動作により直接駆動されるこ
となく、エンジン制御装置55はメインバルブ20の動
作(エンジン負荷)をポテンショメータ24により読み
取り、この値に基づく所定の開度とするようポテンショ
メータ25によるフィードバックを掛けながらモータ2
6を制御する。そして、モータ26の駆動制御によって
サブバルブ21が開き、該サブバルブ21の吸気ポート
21aの開口面積はスロットル弁開度αとエンジン回転
数Nによって図12に示すように制御されるが、例え
ば、エンジン回転数N=1500rpm,4000rp
mにおいては、スロットル弁開度αの増加とともに図1
2に示す破線L、実線Mに沿ってそれぞれ増加する。
尚、図12においては、Idはアイドリング点を示す。
【0045】このように、成層燃焼が行われる第1領域
においては、サブバルブ21を通しても新気が供給され
るため、一時的に多量の新気がシリンダ2aでの掃気に
供され、掃気効率及び排ガス特性の改善が図られる。
【0046】又、第1領域においては、エンジン制御装
置55は第1インジェクタ31のみを所定のタイミング
で所定時間だけ開く。ここで、エンジン回転数N=15
00rpm,4000rpmにおける燃料噴射タイミン
グと点火タイミングがスロットル開度αをパラメータと
して図17、図18にそれぞれA(第1インジェクタ
開)、B(第1インジェクタ閉)にて示される。
【0047】ところで、燃料噴射量はスロットル弁開度
α(エンジン負荷)に対して図14に示すように制御さ
れるが、第1領域においては、第2インジェクタ32か
らの燃料噴射量は0に保たれ(図14の線f2a参照)、
第1インジェクタ31からの燃料噴射量は図14に線f
1aにて示すようにスロットル弁開度αに比例して増大さ
れる。
【0048】ここで、図15及び図16にスロットル弁
開度αに対する燃料噴射圧力の制御特性を示すが、図1
5に示す例においては、エンジン制御装置55は調圧弁
58及び減圧弁59を制御して第1領域において第1イ
ンジェクタ31の入口部圧力(以下、燃料噴射圧と称
す)P11をスロットル弁開度αに比例して増大するよう
制御する一方、第2インジェクタ32の入口部圧力(以
下、燃料噴射圧と称す)P21をスロットル弁開度α対し
て共に一定圧に保持している。又、図16に示す例にお
いては、第1領域における第1、第2インジェクタ3
1,32の燃料噴射圧P11,P21はスロットル弁開度α
に比例して増大するよう制御される。
【0049】而して、第1インジェクタ31からは所定
量の燃料が点火プラグ9の電極部9aに向かって局所的
に噴射される。即ち、第1インジェクタ31の前記噴射
口33(図7参照)からは燃料が図2に示すように点火
プラグ9を指向して噴射されて噴射燃料流q1 が形成さ
れ、前記3つの噴射口34〜36からは燃料が燃料室S
の点火プラグ9とピストン3間の中間領域を指向して噴
射されて噴射燃料流q2 が形成される。この結果、点火
プラグ9の電極部9aの周りに濃混合気が形成され、こ
の濃混合気が点火プラグ9によって所定のタイミング、
つまり、第1インジェクタ31から噴射された噴射燃料
流q1 ,q2 の先端部が点火プラグ9の電極部9a近辺
に到達した時点(例えば、エンジン回転数N=1500
rpm,4000rpmにおいては、それぞれ図17、
図18のEにて示すタイミング(第1インジェクタ31
による燃料噴射中)で点火されて着火し、成層燃焼が行
なわれる。
【0050】次に、アクセル操作量が増大してスロット
ル弁開度αが設定値a1 を超えると(α>a1 )、燃焼
領域は第2領域に移行し、このとき、エンジン制御装置
55はモータ26の駆動制御を解除するため、サブバル
ブ21は第2揺動片28に形成されたガイド溝28aの
端部が連結ロッド30の端部30bに当接するまで閉じ
方向に急速に回動する。この結果、図12及び図13に
示すように、サブバルブ21の吸気ポート21aの開口
面積は急激に減少し、それ以後、アクセルペダルの踏み
込みによってスロットル弁開度αが増加すると、第2揺
動片28は連結ロッド30により駆動されて第1揺動片
27の回動に連動する。これによって、サブバルブ21
はメインバルブ20と一体的に開き方向に回動し、両バ
ルブ20,21の吸気ポート20a,21aの開口面積
の和は図13の鎖線Kに沿って増加する。尚、図13に
おいて破線Jはメインバルブ20の吸気ポート20aの
開口面積を示し、斜線を付す領域は第1領域(成層燃焼
領域)を示す。
【0051】又、第2領域においては、エンジン制御装
置55は第1インジェクタ31のみを所定のタイミング
で所定時間だけ開く。ここで、エンジン回転数N=15
00rpm,4000rpmにおける燃料噴射タイミン
グと点火タイミングがスロットル弁開度αをパラメータ
として図17、図18にそれぞれA(第1インジェクタ
開)、B(第1インジェクタ閉)にて示される。
【0052】ところで、燃料噴射量はスロットル弁開度
α(エンジン負荷)に対して図14に示すように制御さ
れるが、第2領域においても、第2インジェクタ32か
らの燃料噴射量は0に保たれ(図14の線f2a参照)、
第1インジェクタ31からの燃料噴射量は図14に線f
1aにて示すようにスロットル弁開度αに比例して増大さ
れる。
【0053】尚、図14はエンジン回転数N=1500
rpmにおける燃料噴射量の制御特性を示すが、本実施
例においては、燃料噴射量はエンジン回転数Nによらず
スロットル弁開度αが一定であれば一定としている。但
し、エンジン回転数Nが変化すれば第2領域から第3領
域に移行するスロットル弁開度αの設定値a2 が変化す
る(例えば、エンジン回転数N=4000rpmにおい
ては設定値a2 =25°となる)ため、例えば、エンジ
ン回転数Nが1500rpm<N<4000rpmであ
るときの燃料噴射量は図14において線f1aを延長した
線f1cに沿って制御される。
【0054】ここで、図15及び図16にスロットル弁
開度αに対する燃料噴射圧力の制御特性を示すが、第2
領域における第1及び第2インジェクタ31,32の燃
料噴射圧P12,P22は第1領域におけると同様に制御さ
れる。
【0055】而して、第2領域においては第1インジェ
クタ31から所定量の燃料が点火プラグ9の電極部9a
に向かって局所的に噴射されるが、このとき、図17及
び図18においてEにて示すように、点火プラグ9によ
る混合気への点火は第1インジェクタ31が閉じて所定
時間が経過した後に行なわれるため、シリンダ2a内に
は燃料の十分な拡散によって均一な混合気が形成され、
この混合気が着火燃焼せしめられて予混合燃焼が行なわ
れる。
【0056】そして、アクセル操作量が更に増大してス
ロットル弁開度αが設定値a2 を超えると(α>a
2 )、燃焼領域は第3領域に移行し、この第3領域にお
いても、吸気ポート20a,20bの開口面積の和は、
スロットル弁開度αとエンジン回転数Nによって図12
に示すように、(図13に示す鎖線Kに沿って)制御さ
れる。
【0057】又、第3領域においては、エンジン制御装
置55は第1インジェクタ31と第2インジェクタ32
の双方を所定のタイミングで所定時間だけ開く。ここ
で、エンジン回転数N=1500rpm,4000rp
mにおける燃料噴射タイミングと点火タイミングがスロ
ットル弁開度αをパラメータとして図17、図18にそ
れぞれA(第1インジェクタ開)、B(第1インジェク
タ閉)、C(第2インジェクタ開)、D(第2インジェ
クタ閉)にて示される。
【0058】ところで、第1、第2インジェクタ31,
32からの燃料噴射量はスロットル弁開度α(エンジン
負荷)に対して図14に示すように制御されるが、第3
領域においては、第1、第2インジェクタ31,32か
らの燃料噴射量は、図14に線f1b,f2bにそれぞれ示
すように、スロットル弁開度αに比例して増大される。
尚、図14に斜線f1a’,f1b’,f2a’,f2b’にて
示すように、燃料噴射量を増量しても良い。全ての運転
状態において、第1及び第2インジェクタ31,32か
らの燃料噴射量の合計は、図13に示される吸気ポート
開口面積及びエンジン回転数により主に定まる吸入空気
量を略一定の可燃空燃比で除した値となる。即ち、図1
4において、線f1a,f1a’,f1b,f1b’,f1c,f
2b,f2b’は便宜上直線で示したものである。
【0059】ここで、図15及び図16にスロットル弁
開度αに対する燃料噴射圧力の制御特性を示すが、図1
5に示す例においては、エンジン制御装置55は調圧弁
58及び減圧弁59を制御して第3領域において第1及
び第2インジェクタ31,32の燃料噴射圧P13,P23
をスロットル弁開度αをスロットル弁開度αに比例して
増大させているが、第2インジェクタ32の燃料噴射圧
23の絶対値及び増加率は第1インジェクタ31の燃料
噴射圧P13のそれよりも大きく(P13<P23、dP13
dα<dP23/dα)設定されている。又、図16に示
す例においては、第3領域における第1インジェクタ3
1の燃料噴射圧P13をスロットル弁開度αに比例して連
続的に増大させる一方、第2インジェクタ31の燃料噴
射圧P23をスロットル弁開度αの増大と共に段階的に高
めているが、この場合も、燃料噴射圧P23の絶対値は第
1インジェクタ31の燃料噴射圧P13のそれよりも大き
く(P13<P23)設定されている。
【0060】而して、第1インジェクタ31からは所定
量の燃料が点火プラグ9の電極部9aに向かって局所的
に噴射されると同時に、第2インジェクタ32からも所
定量の燃料がシリンダ2a内に噴射される。
【0061】ここで、第2インジェクタ32から噴射さ
れる燃料の噴霧の挙動を第2乃至図4に従って説明す
る。
【0062】掃気行程においては、前述のように前のサ
イクルでクランク室7に導入されてピストン3で圧縮さ
れた新気が主掃気ポート10,11と補助掃気ポート1
2を経てシリンダ2a内に流入し、シリンダ2a内に残
留する排気ガスは新気によって排気ポート13からシリ
ンダ2a外へ押し出されて排出される。このとき、主掃
気ポート10,11からシリンダ2a内に流入する新気
は、図3に示すように、排気ポート13と同一高さの略
水平面内で排気ポート13に向かう掃気流q3となって
シリンダ2a内に残留する排気ガスを素早く排気ポート
13へと押し出す。
【0063】一方、排気ポート13に対向する補助掃気
ポート12からシリンダ2a内に流入する新気は、図2
に示すように、燃焼室Sを指向する上向きの対向掃気流
4となってシリンダ2a内を旋回するため、該新気が
排気ポート13へ排出されるまでの時間は主掃気ポート
11,12から流入する新気のそれに比して長くなる。
【0064】而して、本実施例では、前述のように第2
インジェクタ32から噴出される燃料の噴霧はシリンダ
2a内の上方を指向する前記対向掃気流q4 に乗ってシ
リンダ2a内を旋回し、長い距離を移動するため、燃料
は排気ポート13に吹き抜けにくく、シリンダ2内で十
分拡散される。そして、ピストン3が上死点近くに達す
ると、点火プラグ9の花火によって燃焼室S内の十分拡
散された可燃混合気が着火燃焼せしめられ(エンジン回
転数N=1500rpm,4000rpmにおける点火
タイミングは、それぞれ図17、図18においてEにて
示される)、所謂予混合燃焼が行なわれるが、前述のよ
うに燃料の排気ポート13への吹き抜けが抑えられるた
め、所定燃料量当りのエンジン出力の向上、即ち、燃費
の向上と排ガス特性の改善等が図られる。尚、図18に
示すように、スロットル弁開度α=70°、エンジン回
転数N=4000rpmにおいては、クランク角θ=3
44°(BTDC16°)において点火がなされる。
【0065】ところで、図17、図18において、Fは
第2インジェクタ32の噴射口37,38(図10参
照)がシリンダ2a内に露出するタイミングを、Gは第
2インジェクタ32の噴射口37,38がピストン3に
より覆われるタイミングをそれぞれ示す。又、図17、
図18は第1及び第2インジェクタ31,32の入口部
圧力P1 ,P2 は全ての領域で同一一定としたときの噴
射タイミングと点火時期を示しており、本実施例におけ
る圧力P1 ,P2 の各領域における対応値をP11<P12
≦P13≦P23の関係が成立するよう制御するものにおけ
る噴射開始タイミングA及びC、点火時期Eは圧力が1
MPaより大きくなる程図17、図18に示す値より遅
らせるようにする。
【0066】以上のように、スロットル弁開度αとエン
ジン回転数Nに応じて決定される第1領域での混合気の
成層燃焼或は第2又は第3領域での混合気の予混合燃焼
による爆発力によってピストン3が上死点を過ぎて下降
すると、クランク室7内に導入された新気はピストン3
によって圧縮され、圧縮された新気は次のサイクルにお
ける掃気及び混合気形成に供される。そして、ピストン
3が下死点近くまで下降すると、先ず、排気ポート13
が開き、混合気の燃焼によって生じた排気ガスが排気ポ
ート13から排出される。その後、続いて主掃気ポート
10,11と補助掃気ポート12が開くと、クランク室
7内で圧縮された新気は、主掃気ポート10,11と補
助掃気ポート12からシリンダ2a内に流入して前記掃
気作用を行なう。
【0067】以後、上述と同様の作動が繰り返されて2
サイクルエンジン1は連像的に運転される。
【0068】以上において、本実施例では、図15又は
図16に示すように、第1インジェクタ31の第1、第
2及び第3領域における燃料噴射圧P11,P12,P13
第2インジェクタ32の第3領域における燃料噴射圧P
23との間に、
【0069】
【数1】P11<P12≦P13≦P23 の関係が成立するよう調圧弁58と減圧弁59を制御し
ている。
【0070】特に、第1インジェクタ31の第3領域に
おける燃料噴射圧P12,P13を第1領域における燃料噴
射圧P11よりも高く設定した(P11<P12,P13)た
め、次のような効果が得られる。
【0071】即ち、第2及び第3領域においては、第1
インジェクタ31の燃料噴射圧P12,P13が高い分だけ
所要量の燃料が短時間に噴射される。このため、高速・
高負荷域においても必要十分な量の燃料が供給されてエ
ンジン性能の向上が図られる。
【0072】又、第1インジェクタ31から高圧の燃料
が噴射されることによって、該燃料の霧化が促進され、
点火前に燃料の予混合が十分なされて均一な混合気が形
成され、第2及び第3領域において正常で円滑な予混合
燃焼が効率良くなされる。
【0073】更に、第1領域においては、第1インジェ
クタ31の燃料噴射圧P11が低い分だけ燃料の霧滴の粒
径が大きくなるため、点火プラグ9周り或は点火プラグ
9周りと燃焼室Sの主容積部との境界に可燃域の濃混合
気が確実に形成され。従って、その濃混合気は点火によ
って確実に着火し、燃焼は点火プラグ9周りから燃料の
希薄な燃焼室Sの主容積部に向かって拡がり、所謂成層
燃焼が確実になされ、低速・低負荷域である第1領域に
おける2サイクルエンジン1の動作フィーリングの改
善、排ガス特性の改善が図られる。
【0074】又、本実施例では、第3領域における第2
インジェクタ32の燃料噴射圧P23を第1インジェクタ
31の燃料噴射圧P13よりも高く設定した(P13
23)ため、次のような効果が得られる。
【0075】即ち、多量の燃料を必要とするエンジン負
荷の高い第3領域における第1インジェクタ31の燃料
噴射圧P31を高く設定するため、所要量の燃料が短時間
に噴射され、高速・高負荷域においても必要十分な量の
燃料が供給されてエンジン性能の向上が図られる。又、
第3領域において第1インジェクタ31から高圧の燃料
が噴射されることによって、該燃料の霧化が促進され、
点火前に燃料の予混合が十分なされて均一な混合気が形
成され、正常で円滑な予混合燃焼がなされて高いエンジ
ン出力を得ることができる。
【0076】更に、本実施例では、第3領域における第
2インジェクタ32の燃料噴射圧P23を第1インジェク
タ31の燃料噴射圧P13よりも高く設定(P13<P23
したため、次のような効果が得られる。
【0077】即ち、第1及び第2インジェクタ31,3
2から燃料が噴射されて予混合燃焼が行われる第3領域
において、掃気流に混合される燃料を噴射する第2イン
ジェクタ32の燃料噴射圧P23を高く設定しているた
め、所要量の燃料が短時間に噴射され、高速・高負荷域
においても必要十分な量の燃料が供給されてエンジン性
能の向上が図られる。
【0078】又、第2インジェクタ32から多量の高圧
燃料が噴射されることによって、該燃料の霧化が促進さ
れるとともに、掃気流によって燃料の気化も促進され、
燃料が掃気流に乗って燃焼室S内の広い範囲を循環して
十分予混合されるために均一な混合気が形成され、正常
で円滑な予混合燃焼がなされて高いエンジン出力が得ら
れる。
【0079】ここで、第1及び第2インジェクタ31,
32の燃料噴射圧を制御する方法の別実施例を図19、
図20にそれぞれ示す。尚、図19及び図20は燃料供
給回路の構成図である。
【0080】図19に示す例においては、燃料タンク5
7から燃料ポンプ65を経て再び燃料タンク57に戻る
燃料供給回路の途中に第1インジェクタ31と第2イン
ジェクタ32及び調圧弁58a,58bをそれぞれ並列
に接続している。即ち、燃料ポンプ65の下流側から分
岐する2つの燃料管66,67のうち、一方の燃料管6
6に第1インジェクタ31と調圧弁58aを直列に接続
し、他方の燃料管67に第2インジェクタ32と調圧弁
58bをそれぞれ接続するとともに、燃料管66の第1
インジェクタ31の上流側に絞り68を接続している。
【0081】而して、燃料タンク57内の燃料は燃料ポ
ンプ65によって昇圧され、その一部は絞り68によっ
てその量が絞られるとともに減圧されて第1インジェク
タ31によって噴射され、他は第2インジェクタ32に
よって噴射される。このとき、第1インジェクタ31と
第2インジェクタ32の燃料噴射圧P11,P12,P13
びP21,P22,P23は、調圧弁58a,58bがエンジ
ン制御装置(ECU)55によってそれぞれ制御される
ことによって適当な値に設定され、これらの間には前記
(1)式にて示される関係が成立する。
【0082】又、図20に示す例においては、燃料タン
ク57、燃料ポンプ65、減圧弁59a、第2インジェ
クタ32、減圧弁59b及び第1インジェクタ31がこ
の順に直列に接続されている。
【0083】而して、燃料タンク57内の燃料は燃料ポ
ンプ65によって昇圧された後、減圧弁59aによって
減圧されてその一部が第2インジェクタ32によって噴
射され、他は減圧弁59によって更に減圧されて第1イ
ンジェクタ31によって噴射される。このとき、第1イ
ンジェクタ31と第2インジェクタ32の燃料噴射圧P
11,P12,P13及びP21,P22,P23は、減圧弁59
a,59bがエンジン制御装置(ECU)55によって
それぞれ制御されることによって適当な値に設定され、
これらの間には前記(1)式にて示される関係が成立す
る。
【0084】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
記載の本発明によれば、第2及び第3領域においては、
第1インジェクタの燃料噴射圧P12,P13が高い分だけ
所要量の燃料が短時間に噴射されるため、高速・高負荷
域においても必要十分な量の燃料が供給されてエンジン
性能の向上を図られる。又、第1インジェクタから高圧
の燃料が噴射されることによって、該燃料の霧化が促進
され、点火前に燃料の予混合が十分なされて均一な混合
気が形成され、正常で円滑な予混合燃焼が効率良くなさ
れるという効果が得られる。
【0085】更に、請求項1記載の本発明によれば、第
1領域においては、第1インジェクタの燃料噴射圧P11
が低い分だけ燃料の霧滴の粒径が大きくなるため、点火
プラグ周り或は点火プラグ周りと燃焼室の主容積部との
境界に可燃域の濃混合気が確実に形成され、その濃混合
気は点火によって確実に着火し、燃焼は点火プラグ周り
からの燃料の希薄な燃焼室の主容積部に向かって拡が
り、所謂成層燃焼が確実になされ、低速・低負荷域であ
る第1領域におけるエンジンの動作フィーリングの改
善、排ガス特性の改善が図られる。
【0086】請求項2記載の発明によれば、多量の燃料
を必要とするエンジン負荷の高い第3領域における第1
インジェクタの燃料噴射圧P31を高く設定するため、所
要量の燃料が短時間に噴射され、高速・高負荷域におい
ても必要十分な量の燃料が供給されてエンジン性能の向
上が図られる。又、第3領域において第1インジェクタ
から高圧の燃料が噴射されることによって、該燃料の霧
化が促進され、点火前に燃料の予混合が十分なされて均
一な混合気が形成され、正常で円滑な予混合燃焼がなさ
れて高いエンジン出力が得られる。
【0087】請求項3記載の発明によれば、第1及び第
2インジェクタの燃料が噴射されて予混合燃焼が行われ
る第3領域において、掃気流に混合される燃料を噴射す
る第2インジェクタの燃料噴射圧P23を高く設定してい
るため、所要量の燃料が短時間に噴射され、高速・高負
荷域においても必要十分な量の燃料が供給されてエンジ
ン性能の向上が図られる。又、第2インジェクタから多
量の高圧燃料が噴射されることによって、該燃料の霧化
が促進されるとともに、掃気流によって燃料の気化も促
進され、燃料が掃気流に乗って燃焼室内の広い範囲を循
環して十分予混合されるために均一な混合気が形成さ
れ、正常で円滑な予混合燃焼がなされて高いエンジン出
力が得られる。
【0088】請求項4記載の発明によれば、請求項1乃
至3記載の発明による効果の2つ或は全てを同時に得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料噴射装置を備える2サイクル
エンジンの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る燃料噴射装置を備える2サイクル
エンジンの内部構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る燃料噴射装置を備える2サイクル
エンジンのシリンダ部の模式的平断面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図2のA−A線断面図である。
【図6】空気量調整装置の作用説明図である。
【図7】図2のC部拡大断面図である。
【図8】図7の矢視D方向の図である。
【図9】図8のE−E線断面図である。
【図10】図2のF部拡大詳細図である。
【図11】スロットル弁開度とエンジン回転数によって
区画される燃焼領域(第1、第2及び第3領域)を示す
図である。
【図12】吸気ポート開口面積のスロットル弁開度とエ
ンジン回転数による制御特性を示す図である。
【図13】特定のエンジン回転数(1500rpmと4
000rpm)におけるスロットル弁開度に対する吸気
ポート開口面積の制御特性を示す図である。
【図14】燃料噴射量のスロットル弁開度に対する制御
特性図である。
【図15】燃料圧力のスロットル弁開度に対する制御特
性図である。
【図16】燃料圧力のスロットル弁開度に対する制御特
性図である。
【図17】特定のエンジン回転数(1500rpm)に
おける燃料噴射タイミングと点火タイミングをスロット
ル弁開度をパラメータとして示すタイミングチャートで
ある。
【図18】特定のエンジン回転数(4000rpm)に
おける燃料噴射タイミングと点火タイミングをスロット
ル弁開度をパラメータとして示すタイミングチャートで
ある。
【図19】第1及び第2インジェクタの燃料噴射圧制御
の別実施例を示す回路図である。
【図20】第1及び第2インジェクタの燃料噴射圧制御
の別実施例を示す回路図である。
【図21】従来の燃料噴射装置を備える2サイクルエン
ジンの部分断面図である。
【符号の説明】
1 2サイクルエンジン 9 点火プラグ 10,11 主掃気ポート 12 補助掃気ポート 31 第1インジェクタ 32 第2インジェクタ 55 エンジン制御装置(制御手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1及び第2インジェクタを備え、エン
    ジン負荷とエンジン回転数によって燃焼域を第1、第2
    及び第3領域に区画し、第1領域においては第1インジ
    ェクタによる燃料噴射によって成層燃焼を行わせ、第2
    領域においては第1インジェクタによる燃料噴射によっ
    て予混合燃焼を行わせ、第3領域においては第1及び第
    2インジェクタによる燃料噴射によって予混合燃焼を行
    わせる2サイクルエンジンの燃料噴射装置において、前
    記第1インジェクタの前記第1領域における燃料噴射圧
    11と前記第2及び第3領域における燃料噴射圧P12
    13との間に、 P11<P12,P13 なる関係を成立させたことを特徴とする2サイクルエン
    ジンの燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】 第1及び第2インジェクタを備え、エン
    ジン負荷とエンジン回転数によって燃焼域を第1、第2
    及び第3領域に区画し、第1領域においては第1インジ
    ェクタによる燃料噴射によって成層燃焼を行わせ、第2
    領域においては第1インジェクタによる燃料噴射によっ
    て予混合燃焼を行わせ、第3領域においては第1及び第
    2インジェクタによる燃料噴射によって予混合燃焼を行
    わせる2サイクルエンジンの燃料噴射装置において、前
    記第1インジェクタの前記第2領域における燃料噴射圧
    12と前記第3領域における燃料噴射圧P13との間に、 P12<P13 なる関係を成立させたことを特徴とする2サイクルエン
    ジンの燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】 第1及び第2インジェクタを備え、エン
    ジン負荷とエンジン回転数によって燃焼域を第1、第2
    及び第3領域に区画し、第1領域においては第1インジ
    ェクタによる燃料噴射によって成層燃焼を行わせ、第2
    領域においては第1インジェクタによる燃料噴射によっ
    て予混合燃焼を行わせ、第3領域においては第1及び第
    2インジェクタによる燃料噴射によって予混合燃焼を行
    わせる2サイクルエンジンの燃料噴射装置において、前
    記第3領域における前記第1インジェクタの燃料噴射圧
    13と前記第2インジェクタの燃料噴射圧P23との間
    に、 P13<P23 なる関係を成立させたことを特徴とする2サイクルエン
    ジンの燃料噴射装置。
  4. 【請求項4】 第1及び第2インジェクタを備え、エン
    ジン負荷とエンジン回転数によって燃焼域を第1、第2
    及び第3領域に区画し、第1領域においては第1インジ
    ェクタによる燃料噴射によって成層燃焼を行わせ、第2
    領域においては第1インジェクタによる燃料噴射によっ
    て予混合燃焼を行わせ、第3領域においては第1及び第
    2インジェクタによる燃料噴射によって予混合燃焼を行
    わせる2サイクルエンジンの燃料噴射装置において、前
    記第1インジェクタの前記第1、第2及び第3領域にお
    ける燃料噴射圧P11,P12,P13と前記第2インジェク
    タの第3領域における燃料噴射圧P23との間に、 P11<P12≦P13≦P23 なる関係を成立させたことを特徴とする2サイクルエン
    ジンの燃料噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010196506A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 Hitachi Automotive Systems Ltd 筒内噴射式内燃機関

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