JPH089317B2 - 車両用安全ベルト装置のベルト締付具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はベルトバックルが車両座
席に配置されそしてベルト締付具がベルトバックルと係
合する車両用安全ベルト装置のベルト締付具であって、
車両座席に運動可能に取付けられた車両敏感センサ質量
と、その車両敏感運動によって作動され得る駆動手段と
を有するものに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ベルト
締付具を車両座席に直接取付けるときは、車両敏感トリ
ガ機構をも同様に車両座席に配置し以て車両車体とそれ
に相対して変位され得る車両座席との間の複雑なケーブ
ル布線の必要性を回避することが望ましい。しかし、そ
の場合、車両敏感トリガ機構のセンサ質量は車両の減速
のみならず、座席調整において生じ得る減速にもさらさ
れる。不利な条件下において、例えば座席調整の実行間
における車両の突然の制動によって座席のその案内レー
ルに沿う前進運動がもどり止において突然阻止される場
合、車両敏感トリガ機構のトリガ閾値は超えられそして
ベルト締付具が作動され得る。座席開錠のためのグリッ
プが作動される間車両敏感トリガ機構のセンサ質量を阻
止することによってそのような場合にベルト締付具の作
動を防止する試みは、グリップが再び釈放された後に突
然の減速が車両座席において生じ得るから、必ずしも成
功するとは限らない。

【０００３】本発明は車両車体に相対する車両座席の減
速によるいかなる誤作動に対しても拘留されそして車両
の減速が予決定値を超えるときにのみ作動され得るベル
ト締付具を提供する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】これは、本発明に従っ
て、センサ質量の運動による駆動手段の作動が生じる第
２の車両減速値より低い第１の予決定車両減速値の生起
までセンサ質量が拘留され、そして第１の車両減速値が
超えられるときセンサ質量が釈放されることによって達
成される。センサ質量は車両の常規運転状態において拘
留されそして、車両車体に相対する車両座席のいかなる
可能な減速からも影響されることなく、車両減速が予決
定閾値を超えるまで釈放されないから、座席調整時にお
けるベルト締付具の誤動作は絶対に生じ得ない。センサ
質量を釈放するため、車両車体に取付けられる減速セン
サが使用されることが好ましくそしてセンサ質量はその
拘留位置に制御可能なロッキング手段によって停止され
る。減速センサは予決定された第１の車両減速値が超え
られるときロッキング手段を切り替えてサンサ質量を釈
放するようにロッキング装置と作動的に結合されてい
る。好ましくは車両車体に固定されるハウジングとその
内部に可動に取付けられたセンサ質量とを有する減速セ
ンサ即ち遅延センサは車両車体の減速に対してのみ応答
する。車両の常規運転状態において、ベルト締付具のセ
ンサ質量はロッキング手段によって拘留される。従っ
て、あらゆる座席調整において、センサ質量はたとえ極
度に高い減速値が座席において、従ってまた、ベルト締
付具のセンサ質量において生じても拘留された状態に止
どまる。好ましくは、ロッキング手段と減速センサのセ
ンサ質量との間の作動的結合は、長期間でも極めて高い
信頼度を以て機能し、頑丈でありそして生産コストを低
く維持する外装ケーブルを介して行われる。

【０００５】本発明の好ましい例のいくつかは従属請求
項において特定されている。

【０００６】以下において、本発明の好的実施例が添付
図面を参照して詳細に説明される。

【０００７】

【実施例】車両座席に固定されそして安全ベルト装置の
バックルと係合するベルト締付具は既知である。従っ
て、安全ベルト装置及びベルト締付具が配置される車両
部分は説明されない。

【０００８】図１には、いわゆる機械的ベルト締付具で
あってその駆動力が張力下に保たれた圧力ばねから得ら
れるものが図示される。しかし、本発明の基礎となる原
理は他のタイプのベルト締付具、特に火工式駆動手段を
有するもの、にも適用され得る。

【０００９】全体として１０によって示されるベルト締
付具は、車両座席（図示されず）に固定される取付板１
２上に組立てられる。張力をかけられた圧力ばね１４は
案内円筒１６内に収容される。圧力ばね１４は案内円筒
１６上に枢動可能に取付けられた２個の腕を有する釈放
レバー１８によってその張力をかけられた状態に維持さ
れる。前記釈放レバー１８はその第１の比較的短いレバ
ー腕１８ａの端部に阻止ノーズを担持し、該阻止ノーズ
は案内円筒１６の壁の穴を通って案内円筒１６内に突出
しそして案内円筒１６の内部において案内されそして前
記張力をかけられた圧力ばね１４の一端が当接するピス
トン２０の端面と係合し、前記圧力ばね１４の他端は案
内円筒１６の底に当接する。釈放レバー１８の第２の比
較的長いレバー腕１８ｂはその自由端において取付板１
２に固定的に結合された支持部材２４の係合面２２に当
接する。取付板１２に変位可能に取付けられた案内ブロ
ック２６は案内円筒１６に固定的に結合される。案内ブ
ロック２６はスロット２８を有し、スロット２８には案
内ピン３０が係合し、案内ピン３０は取付板１２に固定
的に結合されそして押圧係合された案内ローラを有す
る。

【００１０】ピストン２０に引留められた引張ケーブル
３２は、取付板１２上に回転可能に取付けられた偏向プ
ーリ３４によって１８０°以上偏向されそして安全ベル
ト装置のバックル（図示されない）が結合される部品３
６に結合される。

【００１１】案内円筒１６の自由端と取付板１２の隣接
端との間に引張ばね３８が取付けられる。案内円筒１６
はそれに取付けられた全部品及び特にその内部に収容さ
れた圧力ばね１４と共にベルト締付具１０の車両敏感セ
ンサ質量を形成する。前記センサ質量は取付板１２に相
対して直線方向に変位可能に取付けられる。その質量慣
性によるそして車両減速度に従う前記センサ質量の直線
変位の方向は、矢印Ｆによって図１に示される常規走行
方向と一致する。センサ質量の質量慣性によって惹起さ
れるこの直線運動は、ベルト締付具１０のトリガ閾値を
決定する引張ばね３８によって対抗される。前記閾値が
例えば４ｇと６ｇとの間の車両減速度において到達され
るとき、釈放レバー１８の第２のレバー腕１８ｂの自由
端は係合面２２の端縁を越えて運動し、従って開放モー
メント（ｏｐｅｎｉｎｇ ｍｏｍｅｎｔ）を有する圧力
ばね１４によって偏圧される釈放レバーは自由になりそ
してピストン２０と圧力ばね１４とを釈放する。圧力ば
ね１４は今や弛緩しそして引張ケーブル３２及び部品３
６に結合されたバックルを介して安全ベルト装置からベ
ルトの弛みを引張る。

【００１２】しかし、車両の常規運転状態においてはベ
ルト締付具１０のセンサ質量に属する案内ブロック２６
は、取付板１２に枢動可能に取付けられたロッキングレ
バー４０によって拘留される。前記ロッキングレバー４
０は２個の腕を有するアングル形レバーとして構成され
そしてその第１のレバー腕４０ａに停止面４２を有し、
該停止面は数ｍｍの間隔ｄを以て案内ブロック２６の隣
接端に在る止面４４と対向して位置する。図２から明ら
かなように、レバー腕４０ａはその自由端を以て案内ブ
ロック２６の側面に当接し、それによりロッキングレバ
ー４０の休止位置を画定する。この休止位置においてロ
ッキングレバー４０は圧力ばね４６によって荷重をかけ
られ、前記圧力ばね４６はその一端を以てロッキングレ
バー４０の第２のレバー腕４０ｂに当接しそしてその他
端を以て支持ブロック４８に当接する。支持ブロック４
８は取付板１２に固定的に結合されている。また、外装
ケーブルの外装５０が前記支持ブロック４８に当接す
る。外装ケーブル内の引張ケーブル５２は圧力ばね４６
によって包囲されそして第２のレバー腕４０と係合す
る。前記外装ケーブル５０、５２はロッキングレバー４
０によって構成されるロッキング手段と以下詳細に説明
される減速センサ６０との間に作動的結合を確立する。

【００１３】減速センサ６０は、本質的に、車両の車体
に取付けられるハウジング６２と、ハウジング６２内に
おいてピン６４に枢動可能に取付けられたセンサ質量６
６とから構成される。外装ケーブルの外装５０はハウジ
ング６２の孔内に支持される。前記外装ケーブルの引張
ケーブル５２はハウジング６２の内部に延びそしてセン
サ質量６６に実質的にその中心点において結合される。
ハウジング６２の内側とセンサ質量６６との間に支持さ
れる圧力ばね６８によって、引張ケーブル５２は張力を
かけられた状態に保たれそしてセンサ質量６６の休止位
置も従って画定される。従って外装ケーブル５０、５２
には遊びが存在せず、その結果として、外装ケーブルの
偏向によって生じる外装５０に相対する引張ケーブル５
２のいかなる短縮化も自動的に補正される。

【００１４】感知ピン７２がハウジング６２の軸方向孔
７０内に変位可能に配置される。前記感知ピン７２はそ
の自由端がハウジング６２が車両の車体の対向配置され
た取付面７６にねじ結合されないかぎりハウジング６２
から突出する方向に圧力ばね７４の作用を受けさせられ
る。感知ピン７２はその内端に停止突起７２ａを設けら
れ、該停止突起７２ａは感知ピン７２の自由端がハウジ
ング６２から突出するかぎりセンサ質量６６の凹所６６
ａ内に係合する。しかし、ハウジング６２が車両の車体
の対向配置された取付面７６に取付けられたときは、停
止突起７２ａは凹所６６ａから離脱しそしてセンサ質量
６６を釈放する。

【００１５】次ぎに、ベルト締付具の作動様式について
説明する。車両の常規運転状態において、ベルト締付具
はロッキングレバー４０によって拘留される。そのセン
サ質量、特にそれに結合された案内ブロック２６、はそ
の止面４４がロッキングレバー４０の第１のレバー腕４
０ａの対向配置された停止面４２と係合するまで運動し
得るに過ぎない。この状態において、釈放レバー１８の
第２のレバー腕１８ｂの自由端は依然として係合面２２
に当接する。従って、ベルト締付具の作動は可能でな
い。ベルト締付具は取付板１２を介して車両座席に拘留
されるから、そのセンサ質量はまた車両車体に相対する
座席の調整時に生じる減速にもさらされる。しかし、そ
のような減速はベルト締付具の作動を決して生じさせ得
ない。

【００１６】ベルト締付具の拘留の釈放は減速センサ６
０によってのみ可能である。減速センサ６０は車両車体
に取付けられるから、それは車両の減速にのみ応答す
る。減速センサ６０は例えば運転者の座席の下において
車両に据付けられ、従って常規走行方向（図１及び図２
における矢印Ｆ）は、センサ質量６６の枢動が引張ケー
ブル５２に張力をかける方向と一致する。引張による張
力は引張ケーブル５２を介してロッキングレバー４０の
第２のレバー腕４０ｂに伝達されそして前記ロッキング
レバー４０の逆時計回りの枢動を生じさせ、従ってその
第１のレバー腕４０ａは案内ブロック２６の自由端の止
面４４の通路から離脱させられる。ロッキングレバー４
０は今やベルト締付具１０のセンサ質量の運動をもはや
妨害せず、従ってベルト締付具はもはや拘留されない。

【００１７】しかしセンサ質量６６がハウジング６２内
で運動し得る一条件は、感知ピン７２がハウジング６２
内に完全に押込まれていること、即ちハウジング６２が
車両車体の取付面７６上に据付けられること、である。
もしそうでなければ、図３に概略的に示されるごとく、
センサ質量６６はハウジング６２の内部において停止突
起７２ａによって拘留される。従って、ベルト締付具１
０は車両車体への減速センサ６０の組立てが完了される
まで拘留される。かくして、ベルト締付具の二重の拘留
がロッキングレバー４０によって達成される：即ち、座
席調整時における作動に対する拘留と、車体本体上への
減速センサ６０の最終据付け前のベルト締付具の運搬、
取扱い及び組立て間における振動による作動に対する拘
留とが達成される。

【００１８】減速センサの他の一実施例においては、セ
ンサ質量は枢動可能に配列されず、直線方向変位可能に
配列される。図４に示される減速センサ８０は車両に取
付けられ得る細長いハウジング８２であってその内部に
センサ質量８４がそれに沿って摺動変位可能に取付けら
れるものを有する。圧力ばね８６がハウジング８２の内
側とセンサ質量８４の一端との間にセンサ質量８４に確
保された外装ケーブル９０の引張ケーブル８８が張力を
かけられるように支持される。引張ケーブル９０は図１
に基づくベルト締付具１０に達する。減速センサ８０は
また運搬及び組立体拘留手段を装備される。停止された
状態において、ハウジング８２の一端に拘留された板ば
ね９２はセンサ質量８４の他端の周縁における後退９４
のなかに係合する。感知ピン９６が荷重をかけられない
でハウジング８２から突出しそして、組立て後、溝９４
から板ばね９２を持上げ従ってセンサ質量８４はもはや
拘留されない。

【００１９】ベルト締付具の拘留解除が生じる車両減速
値はベルト締付具の作動が生じるべき減速値より相当小
さくされる。車両タイプに依存するが、ベルト締付具の
ためのトリガリング閾値は例えば約４ｇから６ｇであ
る；従って、ベルト締付具の拘留解除が生じる車両減速
値は約２ｇから３ｇであり得る。正確な値は重大でな
い；それは車両の最高制動減速度より大きい安全追加量
であることを要するに過ぎない。

【００２０】減速センサ６０によるベルト締付具の拘留
解除が生じる閾値は圧力ばね４６の寸法選択によって主
として決定される。しかしこれは相当より弱い寸法から
作られ得る圧力ばね６８によって対抗される。

【００２１】説明されたベルト締付具は極めて簡単な手
段によっていかなる種類の誤作動に対しても拘留され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】車両座席に取付けられるベルト締付具及び外装
ケーブルを介して前記ベルト締付具に結合されそして車
両車体に固定される減速センサの概略透視図。

【図２】ベルト締付具の一部分及び外装ケーブルを介し
てそれに結合された減速センサの概略断面図。

【図３】図１及び図２に示された減速センサの半径方向
断面図。

【図４】他の一実施例の減速サンサの断面図。

【符号の説明】 １０ ベルト締付具 １２ 取付板 １４ 圧力ばね １６ 案内円筒 １８ 釈放レバー ２０ ピストン ２６ 案内ブロック ４０ ロッキングレバー ４２ 停止面 ４４ 止面 ４６ 圧力ばね ４８ 支持ブロック ５０ 外装 ５２ 引張ケーブル ６０ 減速センサ ６２ ハウジング ６６ センサ質量 ６８ 圧力ばね ７２ 感知ピン ７２ａ 停止突起

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の座席に配置されたベルトバックル
   と係合するように構成された車両用安全ベルト装置のベ
   ルト締付具（１０）であって、 車両の座席に運動可能に取付けられた車両敏感センサ質
   量（１６，１４，１８，２０，２６）と 作動されるとベ
   ルトバックルを介してベルトを締め付けるように構成さ
   れた駆動手段（１４，２０）であって、車両敏感センサ
   質量（１６，１４，１８，２０，２６）の車両敏感運動
   によって作動され得るもの（１４，２０）とを有するも
   の（１０）において、 車両の車体の減速が第１の所定の車両減速値よりも小さ
   い場合、前記センサ質量（１６，１４，１８，２０，２
   ６）を、車両の座席に対して実質上移動しないように固
   定しておくロック手段（４０）と、 車両の車体が前記第１の所定の車両減速値よりも大きい
   第２の所定の車両減速値以上になると、前記センサ質量
   （１６，１４，１８，２０，２６）の移動に応じた前記
   駆動手段（１４，２０）の作動を許容する係止手段（１
   ８ａ，１８ｂ，２２）とを備えてなる 車両用安全ベルト
   装置のベルト締付具（１０）。
2. 【請求項２】 車両の車体の減速が第１の所定の車両減
   速値よりも小さいかどうかを感知し、該感知減速値が第
   １の所定車両減速値以上になると前記ロック手段（４
   ０）による前記センサ質量（１６，１４，１８，２０，
   ２６）の固定を解除させるべく車両の車体に設けられた
   減速センサ（６０；８０）に、前記ロック手段（４０）
   が、接続されている請求項１に記載のベルト締付具。
3. 【請求項３】 前記減速センサ（６０；８０）が、車両
   の車体（７６）に固定されるべきハウジング（６２；８
   ２）と、該ハウジング（６２；８２）内に可動に取付け
   られた別のセンサ質量（６６；８４）とからなる請求項
   ２に記載のベルト締付具。
4. 【請求項４】 減速センサ（６０；８０）のハウジング
   （６２；８２）が車両の車体（７６）に取付けられるま
   で、減速センサ（６０；８０）のセンサ質量（６６；８
   ４）をハウジング（６２；８２）に対して動かないよう
   に拘留してお く組立体拘留手段（７２ａ；９２）を前記
   減速センサ（６０；８０）が備えている請求項３に記載
   のベルト締付具。
5. 【請求項５】 前記組立体拘留手段（７２ａ；９２）
   は、ハウジング（６２；８２）に可動に取付けられた感
   知要素（７２；９６）であって、ハウジング（６２；８
   ２）を車両の車体（７６）に取付ける際車両の車体（７
   ６）に押し付けられて前記組立体拘留手段（７２ａ；９
   ２）による減速センサ（６０；８０）のセンサ質量（６
   ６；８４）の前記拘留を解除するように構成されたもの
   （７２；９６）を備えている請求項３に記載のベルト締
   付具。
6. 【請求項６】 減速センサ（６０；８０）のセンサ質量
   （６６；８４）が外装ケーブル（５０，５２；９０）を
   介してロック手段（４０）に接続されている請求項３か
   ら５までのいずれか一つの項に記載のベルト締付具。
7. 【請求項７】 前記ロック手段が、休止位置でベルト締
   付具（１０）のセンサ質量（１６，１４，１８，２０，
   ２６）を係止するように構成されたロックレバー（４
   ０）からなり、該ロックレバー（４０）は、車両の車体
   の減速が第１の所定の車両減速値に達するまではベルト
   締付具（１０）のセンサ質量（１６，１４，１８，２
   ０，２６）の対向被係止面（４４）から離れて位置する
   係止面（４２）を備えている請求項１から６までのいず
   れか一つの項に記載のベルト締付具。
8. 【請求項８】 前記ロックレバー（４０）は、前記第１
   の所定車両減速値を規定するばね（４６）によって前記
   休止位置に偏圧されている請求項７に記載のベルト締付
   具。
9. 【請求項９】 減速センサ（６０；８０）のセンサ質量
   （６６；８４）は、車両の車体の減速の際センサ質量
   （６６；８４）が動く方向（Ｆ）に、ばね（６８，８
   ６）によって偏圧されている請求項６から８までのいず
   れか一つの項に記載のベルト締付具。
10. 【請求項１０】 減速センサ（６０）のセンサ質量（６
    ６）がハウジング（６２）内で枢動可能に取付けられて
    いる請求項１から９までのいずれか一つの項に記載のベ
    ルト締付具。
11. 【請求項１１】 減速センサ（８０）のセンサ質量（８
    ４）がハウジング（ ８２）内で直線方向に変位可能に取
    付けられている請求項１から９までのいずれか一つの項
    に記載のベルト締付具。