JPH0892935A - 没水型杭による海域制御方法 - Google Patents

没水型杭による海域制御方法

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JPH0892935A
JPH0892935A JP6227737A JP22773794A JPH0892935A JP H0892935 A JPH0892935 A JP H0892935A JP 6227737 A JP6227737 A JP 6227737A JP 22773794 A JP22773794 A JP 22773794A JP H0892935 A JPH0892935 A JP H0892935A
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piles
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Masumi Watanabe
増美 渡辺
Koji Kawashima
宏治 河島
Hiroaki Okuda
宏明 奥田
Masayoshi Okamoto
正由 岡本
Takamichi Niwa
孝道 丹羽
Noriyoshi Kaneko
典由 金子
Noriyuki Utagawa
紀之 歌川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ほぼ永久的に波浪制御構造物としての機能を保
持できる海域制御構造物とする。 【構成】海上に突出させることなく海水面下に没した状
態で、杭を列設して設ける。また、各杭1、1…の間に
は、杭頭天端高さ以下の砂止め用部材2、2…を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、波浪による海岸の侵食
を防止するための没水型杭による海域制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、海岸の侵食を防止するための
海岸保全構造物(波浪制御構造物)として、海岸堤防、
海岸突堤、海岸護岸等が築造されている。しかしなが
ら、これらの海岸構造物は、いずれも海面よりも突出し
て設けられるものであるため、景観性を損なうという問
題がある。特に、国定公園区域や海浜公園等では景観性
が重要な計画上のファクターとなるため、これらの海岸
構造物を安易に選定することはできない。
【0003】そこで、近年、波浪制御構造物として、景
観を損なうことがなく、また波の越波による海水交換に
より水質が清浄に保たれる、といった利点を有する没水
型海域制御構造物が注目されている。没水型海域制御構
造物としては、従来、海底に築造された断面台形状の潜
堤や、海底に積み重なって置かれた立体ブロック、たと
えばテトラポッド(商標名)などによる潜堤がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記没
水型海域制御構造物の場合には、構造物自体の自重によ
り沈下し砂中に埋没するとともに、徐々に堆積する砂に
埋まり、数年〜数十年後にはほとんど波浪制御構造物と
して用をなさないものとなるなどの問題が発生してい
る。また、これらの構造物の場合には、岸沖方向にある
程度の長い幅を持たせなければ消波効果を期待できず、
その結果施工対象面積の増大とともに、その施工費も膨
大なものとなるなどの問題を有している。もちろん、そ
の施工期間も長期に及ぶものとなっている。
【0005】他方、これらの没水型海域制御構造物の天
端高は固定であり、潮の干満による高低差が1m近くあ
ることを考えると、潮位差による波浪制御効果が時間毎
に異なり、時間帯によってはほとんど波浪制御効果が望
めないといった問題もある。
【0006】そこで、本発明の主たる課題は、ほぼ永久
的に波浪制御構造物としての機能を保持できること、工
費が廉価であること、さらには時間帯に拘わらず常に一
定の波浪および海浜変形制御効果が望める没水型杭によ
る海域制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、海上に突出させることなく海水面下に没
した状態で、杭を列設することを特徴とするものであ
る。
【0008】また、この場合、各杭の間に間隙を設け、
杭と杭との間に杭頭天端高さ以下の砂止め用の板状部材
を設けることもできるし、また前記砂止め用の板状部材
に代えて、杭から側方に突出して設けられた杭同士の継
手部材を砂止め用部材とすることもできる。さらには、
前記砂止め用の板状部材および杭同士の継手部材を杭の
長手方向の上部および下部のみに設け、中間部を開口さ
せることでもよい。
【0009】また、杭配列を単列とした場合には、杭芯
間隔をS、水深をh、杭間隔当りの開口部面積をAとし
て、開口面積率ε(ε=A/(S×h))を0.1〜
0.2とすることが望ましい。また、杭配列は沿岸方向
に複列とすることもできる。この場合に、各列の配置間
隔を、対象とする現地波の観測に基づく波長−頻度特性
から求めた卓越波長の1/4〜3/4とするのが望まし
い。また、隣接する岸側杭と沖側杭とを前記砂止め用板
状部材により相互に連結することもできる。
【0010】他方、杭の杭頭天端高さに変化を持たせた
り、列設された杭の杭頭部分に、二重管状に前記杭をガ
イド部材として杭の長手方向に移動自在の移動管を設
け、かつこの移動管を海面上に浮かぶ浮体から吊持した
りすることもできる。これにより、潮位差があっても、
開口面積率をある程度の範囲内に保持し、またはほぼ一
定値に保持することができる。
【0011】
【作用】本発明においては、海上に突出させることなく
海水面下に没した状態で、杭を列設する。したがって、
景観性を損なうことがないとともに、杭を越流する波に
より適度の海水交換が行われ海水を清浄に保つことがで
きる。また、杭の列設による構造体であるため、砂中に
埋没することがなく、ほぼ永久的に波浪制御構造物とし
ての機能を保持できる。また、工費が廉価であり、施工
期間も短かくて済むものとなる。また、砂止め用部材を
設けることにより、その背後の岸沖方向への砂の流出を
防止でき、海浜変形制御効果も期待できるものとなる。
【0012】この場合、杭をほとんど隙間なく並べるこ
ともできるが、杭と杭との間に間隙を設け、この間に砂
止め用板やこれに代わり継手部材を砂止め部材とするこ
とにより、工費的にも安く、砂の移動を防ぐものとする
ことができる。さらに前記砂止め用部材を杭の長手方向
の上部および下部のみに設け、中間部を開口させること
により、材料費の節減ができるとともに、魚介類の行き
来を容易とし、生態系を破壊することもない。
【0013】また、前記杭列が沿岸方向に複列とするこ
ともでき、この場合、隣接する岸側杭と沖側杭とを砂止
め用板状部材により相互に連結することにより、岸沖方
向以外の波に対しても消波効果を有するものとなる。
【0014】他方、列設した杭の杭頭天端高さに変化を
持たせたり、前記移動管を設けることにより、潮位差が
あっても、開口面積率をある程度の範囲内に保持し、ま
たはほぼ一定値に保持することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る波浪制御構造物の単列配置の場合の
斜視図である。本発明に係る杭による波浪制御構造物
は、たとえば、波浪の大きい砂質海岸において、その波
高とその流れを静穏にして、海水浴に適した海域とした
り、あるいは魚介類の養殖に適した海域としたりするた
めに、さらには高波浪地域や台風による高潮被害の虞の
ある沿岸に、好ましくは押し寄せる波の方向に対し法線
方向に杭1、1…を並べて配置する。杭1、1…は、景
観性を考慮するとともに、水質の清浄化のために海水交
換を行うべく、海上に突出させることなく杭頭が海水面
下に没水した状態で設けられる。杭の打設は、通常、杭
打船により海底に打ち込むことにより行われる。したが
って、杭種としては打込みが可能で安価な鋼管杭が最も
好ましい。しかし、他の杭種、たとえばコンクリート既
製杭などを排除するものではない。また、杭1、1…
は、互いに隙間なく密な状態で列設することもできる
が、不経済となるため、ある程度の間隙を設けて杭1と
杭1との間に砂止め用部材2、2…を配置する。この砂
止め用部材2の高さとしては、好ましくは杭の突出長さ
の1/2以上とするのがよい。後述の本発明者等の実験
によれば、砂止め用部材2の高さが杭の突出長さの1/
2を超えると、砂の流出がほとんど無くなり、著しく海
浜変形制御効果の高いものとなる。
【0016】杭1および砂止め用部材2の構造として
は、種々の構造が考えられるが、順にその例を示すと、
先ず図2に示されるように、杭1の長手方向両側に沿っ
て一対の断面L字状の係止片によって構成される係止部
1a、1bを夫々設けておき、これに両側が係合する板
状の砂止め板2Aを落とし込んで設置する。この場合、
前記砂止め板2Aが波の衝突エネルギーによって座屈し
ないように、十分な強度設計を行うことが肝心であり、
たとえば図示のように、補強材を十分に配した中空板と
するか、さらに中空部を二層とするなどの工夫が必要で
ある。
【0017】次いで、図3に示される例は、杭を角型鋼
管3とし、各角型鋼管3、3…の間に中空構造の砂止め
板2Aを配置した例である。この場合の係止構造は、図
2の場合と同様に、杭3の長手方向両側に沿って一対の
断面L字状の係止片によって構成される係止部3a、3
bを夫々設けておき、これに両側が係合する板状の砂止
め板2Aを落とし込んで設置する。
【0018】さらに、図4〜図6に示される例は、鋼管
杭1、1…の長手方向両側部に溶接等により固設された
継手を砂止め用部材として代替した例であり、図4はパ
イプ2a、2bをリング状に噛ませた継手構造であり、
図5は一対の断面L字状の継手2bとT字状継手2aと
による継手構造であり、図6はパイプ2aとT字状継手
2bによる継手構造である。
【0019】ところで、本発明においては、単列杭の場
合、図7に示されるように、杭芯間隔をS、水深をh、
杭間隔当りの開口部面積をAとして、開口面積率ε(ε
=A/(S×h))を好ましくは0.1〜0.2の範囲
とするのが望ましい。この理由については、後述の実験
例において詳述するとして、開口面積率εが0.1未満
である場合には、不経済であるとともに、それに見合う
効果が望めずエネルギー的ロスが大きい。また、0.2
を超える場合には、伝達率が大きくなり、消波効果の小
さいものとなってしまう。なお、砂止め用部材2は、海
底からその天端まで連続して設けることでもよいが、深
さ方向に上部および下部のみに設け、中間部を開口させ
ることでもよい。波の消波効果は、ほぼ海面側開口面積
率によって決まるため、中間部が開口していてもさほど
の悪影響はでないし、また、砂の移動を阻止するために
は、海底よりある程度の高さがあれば十分であり、中間
が開口しても何ら問題はない。
【0020】他方、海面が潮の満干により1m近く上下
するため、前述した構造例では、開口面積率εを一定値
に保つことは困難であるが、下記実施例に従うことによ
り、ある程度の範囲内に、またはほぼ一定値内に保つこ
とが可能となる。先ず図8の例は、杭と杭との間隔を空
けることなく列設するとともに、杭の杭頭天端高さに変
化を持たせた例である。杭長の異なる三種類の杭4A、
4B、4Cを用意しておき、これを順序良く並べて配置
している。海面がH.W.L(High Water Level) とL.W.L(Lo
w Water Level)との間で変化しても、開口面積率εが0
になるというような事態を避けることができ、開口面積
率εをある所定の範囲内で変化させることができる。
【0021】また、図9に示される例は、杭1、1…の
杭頭天端高さを海面の上下変動に合わせて上下させて、
開口面積率εをほぼ一定に保つようにした例である。列
設された杭1、1…の杭頭部分に、上部端より若干径の
大きい移動管5、5…を被せて設けるとともに、この移
動管5、5…の上端に連結材6で繋がれたブイ7を取付
け、海面に浮いたブイ7によって前記移動管5を海中に
吊持し、干満による海面の上下動があっても、移動管5
が杭1をガイド部材として上下動し海面からの相対的位
置が変わらないため、開口面積率εをほぼ一定に保つこ
とができる。なお、杭1と移動管5との接合部分におい
て、杭1側にストッパー1aを設け、かつ移動管5側に
もストッパー5aを設け、これらが互いに障害となって
移動管5が杭1から抜け出すのを防止している。
【0022】次いで、前記列設された杭の配置は、図1
0に示されるように、沿岸方向に複列配置とすることも
できる。たとえば、図示される二列配置の場合、各列の
開口面積率ε1 、ε2 を合成した合成開口率εC は、ε
C =ε1 ×ε2 /(ε1 +ε2 )で表される。各列の開
口面積率ε1 、ε2 を同じとすると、εC =ε/2とな
り、ここで、εC を前記単列配置の場合と同様に、εC
を0.1〜0.2とすると、εは0.2〜0.4の値を
採り得ることとなる。
【0023】また、杭列間の岸沖方向間隔Pとしては、
対象とする現地波の観測に基づく波長−頻度特性から求
めた卓越波長の1/4〜3/4として配置する。複列配
置とする場合には、沖側の杭列を乗り越えた越波の一部
が岸側杭列に衝突した際、反射波として沖側に反射す
る。この反射波と前記沖側の杭列を乗り越えた越波とが
相互に干渉しあうことにより、波浪抑制効果が期待でき
る。この場合、あまり構造物の設置範囲を広げないとい
う条件の下では、卓越波長の1/4程度として配置する
のが望ましい。しかし、実際には、気象条件によって、
卓越波長は異なるため、これらを勘案しながら、総合的
に杭間隔Pが決められる。また、複列配置の場合に、図
11に示されるように、整列配置として岸沖方向に隣接
する杭同士を砂止め部材10、10により連結すること
もできるし、また図12に示されるように、岸側杭と沖
側杭とを千鳥状に配置するとともに、隣接する岸側杭と
沖側杭とを砂止め用部材10、10…により相互に連結
することもできる。なお、複列配置杭としては、前記卓
越波長から決められる杭の岸沖方向間隔とは別に、単純
に複列杭とし、これを一つ消波構造体とすることでもよ
い。
【0024】ところで、没水型杭の根入れ長の試算計算
によれば、設計波の条件を換算沖波波高H0' =4.25m 、
沖波周期T0=11秒とし、杭の条件を突出長さ7.74m 、径
1.8m、厚さ25mm、ピッチ2.05m とした場合、その根入れ
長は16.57mとなり、所要鋼管長さは約25m となる。ま
た、杭の条件を突出長さ7.74m 、径1.5m、厚さ25mm、ピ
ッチ1.75m とした場合、その根入れ長は15.08mとなり、
所要鋼管長さは約23m となる。いずれにしても、自立の
ために突出長さ(海底から杭頭までの長さ)の2倍強の
根入れ長が必要となっている。
【0025】以下、本発明の効果をさらに実験により明
らかにする。 〔波浪制御効果の実験〕長さ74m、幅1m、高さ1.
8mの反射吸収式造波装置を備えた二次元造波水槽を用
い、模型床は水平床とし、造波板から約48m離して勾
配1/20のステップ型の断面模型を設置し、これより
10m離れた一様水深部h=28cm(M.W.L)の位置に鋼
管杭列模型を設置した。なお、沖側造波水深は70cmと
した。模型の縮尺は、代表波の諸元と造波能力により1
/25とし、鋼管杭および砂止めプレートを図1または
図10に示すように、単列または複列(二列)に設置
し、杭頭から水面までの高さhr、杭列間隔P、砂止め
プレート高hpをパラメーターとした。詳細な模型諸元
は表1に示すとおりである。また、実験波としては規則
波を用い、海浜変形タイプを表すCパラメータで分類し
た場合に侵食型となる波浪を表2のように設定した。ま
た、入射波高の測定には沖側鋼管杭杭芯から4.0m離
れた地点に入反射分離用に3本の波高計を設置し、同様
に伝達波の測定にも岸側鋼管杭杭芯から2.0m離れた
地点に波高計を3本設置した。なお、波浪伝達率Kt
よび反射率Kr はエネルギー比で算出した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】(1)単列配置での波浪制御効果 図13は鋼管杭を単列に配置した場合の開口面積率ε、
波浪伝達率Kt 、反射率Kr の関係を沖波周期Tで整理
したものである。実験は、各周期ごとに数種類の波高で
行ったが、Kt およびKr に有意な差がなかったため平
均値を各周期の代表値とした。図13より、Kt および
r ともに周期の依存性はあまり見られず、εの関数と
して表現できることが判明した。実際の設計への適用に
当たっては、波浪伝達率Kt を先ず決定する。たとえ
ば、この波浪伝達率Kt は、建設省の指針に従えば0.
6となるように設定される。波浪伝達率Kt が決定され
たならば、これに対応する開口面積率εを求めて、この
開口面積率ε以下になるように、杭長、杭間隔および砂
止め板の高さが任意に決定されることとなる。なお、前
記波浪伝達率Kt =0.6の場合には開口面積率εは
0.12となる。
【0029】また、本発明に係る砂止め板併用の没水杭
列は、主に反射によって伝達波を減少させる構造物であ
るが、鋼管杭間で噴流混合、鋼管杭杭頭と砂止め板端で
渦とその剥離によって波のエネルギーが逸散を生じてい
るので、そのエネルギー逸散率Eεを、Eε=1−Kt
2 −Kr 2 として求め評価してみると、図14に示され
る結果となる。図14より、エネルギー逸散率Eεはε
が0.1〜0.2付近でピークを示す山形の曲線となる
ことが判る。これは発生している渦の規模がε=0.1
付近の水深で最大となるためと考えられる。
【0030】(2)複列配置での波浪制御効果 図15は横軸に鋼管杭列を2列にした場合の杭列間隔P
と杭列設置水深での波長Lとの比P/Lを、縦軸にKt
およびKr を取り、それらの関係を示したものである。
実験は hr =3.8 cm、岸・沖とも hP = hK =24.2cm
(この場合ε=0.136)とし、単列配置の場合と同様に波
高による有意な差はなかったため、各P/LごとにKt
およびKr の平均値で整理した。図15より、Kt はP
/L>0.20において0.50以下となり、全体的に見た場
合、P/L=1/4〜P/L=3/4の範囲で波浪制御
効果が比較的有効であることが判明している。また、K
r はP/L=1/2付近で共振の影響が強まるためピー
ク値を示し、逆にその前後では共振の影響が弱まりKr
が小さくなる傾向が見られた。
【0031】以上、これらの結果より、鋼管杭列間の共
振現象は、Kt よりもKr に対してその影響がはっきり
と現れ、実験結果から見る限り杭列間隔が波長の1/4
〜3/4に相当する場合に波浪制御効果が高まることが
判明した。実際の適用に当たっては、波の卓越波長は平
静時、高波浪時でそれぞれ異なるが、気象条件別に各卓
越波長を求めるとともに、これら各卓越波長の1/4〜
3/4値を求め、これらの数値間で重合する範囲の長さ
を杭間隔Pと採用するのがよい。具体的には、図16に
示されるように、静穏時の卓越波長を10m、波浪時の
卓越波長を20mとするとき、それぞれの卓越波長Lの
1/4〜3/4の長さをとり、それぞれの長さの数値の
重なる範囲、すなわち5〜7.5mが好適な杭の設置間
隔とされる。
【0032】〔海浜変形制御効果の実験〕長さ74m、
幅1m、高さ1.8mの反射吸収式造波装置を備えた二
次元造波水槽を用い、沖側造波水深を60cmとし、造波
板から49.8m離した位置から1/30勾配のモルタ
ル固定床を製作し、その上に厚さ15cmの移動床を設置
した。模型の縮尺は、代表波の諸元と造波能力により1
/25とし、斜面上で設置水深h=28cmとなる位置に
杭径D=4.8cm、杭突出長hK =24.2cm、杭杭芯
間隔S=9.6cmとなるように鋼管杭および砂止めプレ
ートを単列または複列配置した。他のパラメーターは、
砂止めプレート高hP および杭列間隔Pとした。実験波
としては規則波および不規則波を用い、その諸元を表3
のように設定し、海浜変形の測定には降下接触型砂面計
を使用し、測定間隔を5cmとして波の作用前と32時間
作用後の海浜変化を測定した。なお、底質材としては、
石炭灰造粒砂を用いた。
【0033】
【表3】
【0034】(1)単列配置での海浜変形制御効果 図17および図18は、単列配置において、砂止めプレ
ート高hP を杭突出長hK に対して0/4hK 、1/4hK 、2/
4hK 、3/4hK と変化させた場合の漂砂量および汀線位置
の変化を示したものである。漂砂量は鋼管杭より岸側の
砂の移動量を汀線から鋼管杭設置位置まで合計した値
で、正は鋼管杭より岸側への砂の流入(堆積)を示し、
負は、沖側への砂の流出(侵食)を意味する。なお、実
験波は侵食型であるW1を用いた。
【0035】図17および図18より、漂砂量は砂止め
プレートが高くなるに従って沖への流出が少なくなり、
2/4hK を超えると砂の流出がほとんど無くなる。ま
た、同時に波浪減衰効果により汀線位置の変化も急激に
小さくなり、海浜変形制御効果が大きくなる。他方、砂
止めプレート高hP が小さい場合、汀線位置は鋼管設置
前よりも後退する現象が見られる。
【0036】(2)複列配置での海浜変形制御効果 図19および図20は、実験波W1,W2,W3の各周
期の波につき、杭間隔40cmと120cmの場合につい
て、漂砂量および汀線位置の変化を示したものである。
なお、漂砂量は岸側鋼管杭設置位置での砂の移動量の合
計であり、hP は単列配置で効果があると判断された2
/4hK とした。また、この場合のKt は約0.65とな
る。
【0037】図19および図20より、砂の流出は鋼管
杭列を設置することにより防止でき、その効果は杭列間
隔Pの影響をあまり受けることがなく、作用波周期が長
くなると侵食傾向が大きくなることが判明した。また、
海浜断面は、どちらかと言えばhP 付近で砂が堆積しそ
れより岸側はその高さがあまり変化しない一種のステッ
プ地形のような断面となった。汀線付近もこのステップ
地形へ砂がすべり込み侵食され汀線位置も後退している
が、設置前と比べると若干改善されていることが判明し
ている。
【0038】次いで図21および図22は、実験波とし
てW3を用い、砂止めプレートhPを2/4hK および
3/4hK とした場合の漂砂量と汀線位置との関係を示
したものである。同図より、hP を3/4hK とした場
合のKt は0.53程度となり、波浪制御効果が大きい
ため、これに比例して海浜変形制御効果がより大きくな
ることが判明している。なお、海浜断面の傾向は前記図
19および図20についての実験結果と同様の傾向を示
した。
【0039】さらに、長周期波成分に対しての効果を検
討するため、比較的有義波周期の大きい不規則波を用い
て実験を行った。図23は、周期2.4sの規則波W3
と有義波周期3.2sの不規則波W4を作用させた場合
の海浜断面の形状と、累積漂砂量の変化を示したもので
ある。W4の場合は、汀線付近の侵食は大きくなるがプ
レートの効果により砂の流出は止められ、鋼管杭より岸
側はほぼ水平地形となり、鋼管杭列間にも砂が堆積する
結果となった。一方、漂砂量はW3とほぼ等しくなり、
長周期波成分に対しても効果があることが判明した。
【0040】以上(1)(2)より、海浜変形制御効果
について総括すると、砂止めプレートをある程度以上確
保することにより、岸沖方向の砂の流出を防止すること
ができ、十分に海浜変形制御効果が望めるものと考えら
れる。
【0041】
【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、杭
の列設により波浪を制御するものであるため、ほぼ永久
的に波浪制御構造物としての機能を保持できるものとな
る。また、砂止め用部材を設けることにより、その背後
の岸沖方向への砂の流出を防止でき、海浜変形制御効果
も期待できるものとなる。他方、杭打込みによるもので
あるため、従来の工法に比べて工費が廉価となる。さら
に、移動管を付設し杭頭高さを海面レベルに合わせて可
変とすることにより、常に一定の波浪制御効果が望める
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単列杭による波浪制御構造物の概
略斜視図である。
【図2】杭と砂止め用部材の構造例を示す水平断面図で
ある。
【図3】杭と砂止め用部材の他の構造例を示す水平断面
図である。
【図4】杭と砂止め用部材の他の構造例を示す水平断面
図である。
【図5】杭と砂止め用部材の他の構造例を示す水平断面
図である。
【図6】杭と砂止め用部材の他の構造例を示す水平断面
図である。
【図7】開口面積率の定義を説明するための正面図であ
る。
【図8】他の杭の列設状態を示す正面図である。
【図9】杭頭に移動管を設けた場合の縦断面図である。
【図10】本発明に係る複列配置の波浪制御構造物の概
略斜視図である。
【図11】複列複列配置とし岸沖方向に杭を連結した平
面図である。
【図12】千鳥状複列配置とし隣接する岸側杭と沖側杭
とを連結した平面図である。
【図13】単列杭の場合の開口面積率εと伝達率Kt
反射率Kr との関係図である。
【図14】単列杭の場合の開口面積率εとエネルギー逸
散率Eεとの関係図である。
【図15】複列杭の場合の杭列間隔/波長(P/L)と
伝達率Kt 、反射率Kr との関係図である。
【図16】岸沖方向杭間隔を決定方法を説明するための
図である。
【図17】単列配置での砂止めプレート高さと漂砂量と
の関係図である。
【図18】単列配置での砂止めプレート高さと汀線位置
との関係図である。
【図19】複列配置での作用波周期と漂砂量との関係図
である。
【図20】複列配置での作用波周期と汀線位置との関係
図である。
【図21】複列配置での砂止めプレート高さと漂砂量と
の関係図である。
【図22】複列配置での砂止めプレート高さと汀線位置
との関係図である。
【図23】長周期波成分の場合の海浜断面形状と累積漂
砂量を示す図である。
【符号の説明】
1・3・4A〜4C…杭、2…砂止め用部材、2A…砂
止め板、2B〜2D…継手兼用砂止め部材、5…移動
管、6…チェーン、7…ブイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥田 宏明 名古屋市東区東新町1番地 中部電力株式 会社内 (72)発明者 岡本 正由 名古屋市東区東新町1番地 中部電力株式 会社内 (72)発明者 丹羽 孝道 名古屋市中区丸の内3−21−25 佐藤工業 株式会社名古屋支店内 (72)発明者 金子 典由 東京都中央区日本橋本町4−12−20 佐藤 工業株式会社内 (72)発明者 歌川 紀之 東京都中央区日本橋本町4−12−20 佐藤 工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海上に突出させることなく海水面下に没し
    た状態で、杭を列設することを特徴とする没水型杭によ
    る海域制御方法。
  2. 【請求項2】各杭の間に間隙を設け、杭と杭との間に杭
    頭天端高さ以下の砂止め用の板状部材を設ける請求項1
    記載の杭による海域制御方法。
  3. 【請求項3】前記砂止め用の板状部材に代えて、杭から
    側方に突出して設けられた杭同士の継手部材を砂止め用
    部材とする請求項2記載の没水型杭による海域制御方
    法。
  4. 【請求項4】前記砂止め用の板状部材および杭同士の継
    手部材を杭の長手方向の上部および下部のみに設け、中
    間部を開口させる請求項2、3記載の没水型杭による海
    域制御方法。
  5. 【請求項5】杭配列を単列とし、かつ杭芯間隔をS、水
    深をh、杭間隔当りの開口部面積をAとして、開口面積
    率ε(ε=A/(S×h))を0.1〜0.2とする請
    求項1〜4記載の没水型杭による海域制御方法。
  6. 【請求項6】前記杭列を沿岸方向に複列とする請求項1
    〜4記載の没水型杭による海域制御方法。
  7. 【請求項7】前記杭列を沿岸方向に複列とし、かつ隣接
    する岸側杭と沖側杭とを前記砂止め用の板状部材により
    相互に連結する請求項1〜4記載の没水型杭による海域
    制御方法。
  8. 【請求項8】前記杭列を沿岸方向に複列とし、かつ各列
    の配置間隔を、対象とする現地波の観測に基づく波長−
    頻度特性から求めた卓越波長の1/4〜3/4とする請
    求項1〜4記載の没水型杭による海域制御方法。
  9. 【請求項9】杭の杭頭天端高さに変化を持たせた請求項
    1〜8記載の没水型杭による海域制御方法。
  10. 【請求項10】列設された杭の杭頭部分に、二重管状に
    前記杭をガイド部材として杭の長手方向に移動自在の移
    動管を設け、かつこの移動管を海面上に浮かぶ浮体から
    吊持したことを特徴とする請求項1〜8記載の没水型杭
    による海域制御方法。
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