JPH089040B2 - 脱水スラッジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、脂肪及び蛋白を含む廃水の精製に関する。
特に、それは、溶解した気体浮遊セルからフラッジ又は
くず（skimmings）の脱水に関する。

背景技術 蛋白及び脂肪の含量の多い多量の廃水は、魚類の缶ず
め工場、赤肉の屠殺場及び加工工場並びに家禽の屠殺場
及び加工工場で生ずる。これらの廃水は、普通、（ａ）
空気が加圧下注入され次に圧力を低下させ、一次の浮遊
フラッジ又は「くず」（又「DAF」廃スラッジ」）を生
成する、化学的凝固剤及び凝集剤とともに又はそれなし
に操作される起泡分離（Dissolved Air Flotation）
（DAF）セル中の廃水の予備処理、次に（ｂ）生物学的
スラッジを生成するための通性又は好気性の条件下の生
物学的酸化又は嫌気性の条件下の生物学的還元により処
理される。

米国特許第4933087号によれば、溶解した空気の浮遊
工程における化学的凝固剤及び凝集剤の添加は、これら
の添加物が、廃水から追加の蛋白及び溶解する有機物質
を浮遊させるために、好ましい。これらの化学物質がな
いと、浮遊スラッジは、「粗（roughing）スラッジ」と
呼ばれ、そして乾燥重量基準で75％以上の脂肪含量を有
し、一方これらの化学物質を含むと、スラッジは、「化
学的浮遊スラッジ」と呼ばれ、そして処理工場の中で非
常に異なる脂肪含量を有する。

家禽の屠殺操作からの化学的凝固剤及び凝集剤を加え
た溶解した空気浮遊により生成する化学的浮遊スラッジ
は、米国特許第4933087号によれば、平均85−95％の水
を有する複雑な混合物である。スラッジは、５−30％に
及ぶ固体含量を有するが、通常平均10−15％であり、そ
して乾燥重量基準で約30−40％の蛋白、10％の灰分及び
繊維並びに40％の脂肪を含む。

浮遊スラッジの処分は、特にアルミニウム又は鉄の塩
が普通凝集を行うのに使用されるので、産業が直面して
いる環境上の主な問題の一つである。金属例えばアルミ
ニウム、亜鉛、銅及び鉄を含むスラッジを農地又は他の
場所に処分することを避けることは、必須なことになっ
ており、それは、作物及び／又は水の供給をこれらの金
属による汚染に曝すかもしれない。

凝集剤の天然の源は、澱粉、澱粉誘導体、直物ガム、
海草の抽出物、セルロース誘導体、蛋白及びタンニンを
含む。多数の異なる海草の抽出物又は海藻のタイプは、
金属塩の添加なしに凝集剤として利用される。これらの
海藻は、紅藻類、藍藻類、緑藻類及び褐藻類並びにこれ
らの２種以上の混合物を含む。好ましくは、用いる藻類
は、紅藻類、藍藻類及び／又は緑藻類である。さらに好
ましくは、藻類は、紅藻類及び／又は緑藻類であり、最
も好ましくは紅藻類である。これらの群内の全ての藻類
は使用できるが、紅藻の綱の内の好ましい藻類は、属ch
ondrus（例えばc.cripus及びc.ocellatus）,eucheuma
（例えばe.spinosum及びe.cotton ii）,gigartina（例
えばacicularis,g.pistillata,g.radula及びg.stellat
a）,iridea（例えばi.laminariodes,i.capensis及びi.f
laecia）,gymnogongrus（例えばg.norvegicus及びg.pat
ens），並びにgloiopeleis（例えばcoloformis,g.furca
ta及びg.tenax）のものを含む。藻類の凝集剤は、粗製
の藻類の組成物、粗製のアルカリ処理藻類組成物、並び
に切りとられ、さいの目に切られ、混合され又は藻の粉
を形成するように細かく粉砕されることにより機械的に
処理された藻類の形で利用できる。凝集剤として有用な
合成の重合体は、カチオン性、アニオン性、両性及び非
イオン性として官能的に分類できるもの例えばポリ
（Ｎ、Ｎ−ジメチルアミノエチル メタクリレート）、
ポリ（エチレンアミン）、ポリ［Ｎ−（ジメチルアミノ
プロピル）−メタクルアミド］、ポリ（２−ヒドロキシ
プロピル−１、１−Ｎ−ジメチルアンモニウム クロリ
ド）、ポリ［Ｎ−（ジメチルアミノメチル）−アクリル
アミド］、ポリ（２−ビニルイミダゾリニウム、ビサル
フェート）、ポリアクリルアミド（PAM）、ポリ（ジア
リルジメチルアンモニウム クロリド）、ポリ（エチレ
ンオキシド）（PED）及びポリ（ビニルピロリジノン）
を含む。

米国特許第4790943号は、溶解した空気浮遊（DAF）セ
ル前にアニオン性凝集剤を好ましくは使用する工程を開
示している。清澄にされた水は、次に再使用されるが、
くずは、さらに使用されず、恐らく内臓及び余分なもの
として切り取ったものとともに「くず」に送られる。

米国特許第4913826号は、過酸化水素が、空気の代り
にDAFセルで使用でき、又は別にグリースのトラップで
使用されてスラッジを浮遊させてDAFセルを真似ること
を教示している。過酸化水素は、流出液のBODを低下さ
せるが、スラッジの容積は、僅かに減少して85％になっ
た。BODの低下は、過酸化水素がその目的にしばしば使
用されるとき、予想されるものであろう。その上、ユニ
ットにおける空気の泡の代りに酸素の泡を使用すること
は、流出液のBODを低下させることが知られている。

発明の概要 DAFセルの操作を改善するのに有用であるが、従来の
技術は、くずにエントレインされる水の多い容積を排除
する問題に、解決策を示唆していない。本発明は、脂肪
及び蛋白を含む廃水を精製するための改良した工程を提
供することにより、従来の技術の工程の問題を克服する
ものであり、その場合、凝集剤は廃水に配合され、そし
て少なくとも一部の脂肪及び蛋白は、くずとして溶解し
た空気浮遊セル中で廃水から分離されるが、その改良
は、 （ａ）段階（ｃ）からの固体に富む部分の容積を少なく
とも10％減らすために有効な量の過硫酸塩をくず中に配
合する段階、 （ｂ）少なくとも10分間約40−約100℃の温度で段階
（ａ）からの過硫酸塩含有くずを維持する段階、及び （ｃ）段階（ｂ）からのくずを水に富む部分及び固体に
富む部分に分離する段階により、起泡分離セルからくず
を脱水することよりなる。

「起泡分離」（DAF）は固体−液体の分離を行うため
の周知の方法であり、たとえばJournal WPCF Vol.48,
No1（1976年１月）107−119頁に記載されている。この
方法は液体を空気で過飽和にさせて微細な気泡を生成さ
せ、これを固体粒子の表面に吸着させ、それによって粒
子を表面から浮遊させて粒子をくずとして容易に除去し
うるようにする方法である。この固体を浮遊させるため
の装置を「起泡分離セル」（DAFセル）と呼ぶ。

全ての水溶性過硫酸塩が、本工程で使用できるが、好
ましくは過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウムであ
る。所望の過硫酸塩の有効量は、過硫酸塩の活性酸素含
量、くず中の凝集剤のタイプ及び割合、必要な分離の温
度及び程度に応じて変化するだろう。当業者は、不当な
実験なしに特別のくずに必要な量を容易に決めることが
できる。通常、くず100重量部当り約0.05−約0.1重量部
の活性酸素を提供するのに十分な過硫酸塩が、多くのタ
イプの凝集剤にとり好ましい。例えば、くず100重量部
当り約0.07重量部の活性酸素（約１％の過硫酸ナトリウ
ム）は、可溶性鉄塩及びポリアクリレート凝集剤により
予め処理された家禽のくずに適当であり、そして約60−
80℃で優れた分離をもたらすだろう。もしより低い程度
の分離（例えば10％）が望まれるならば、過硫酸塩は、
100重量部当り約0.01部に減少できるか、又は多くの凝
集剤にとりより活性の少ない活性酸素に低下できること
は、明白である。これは、約0.14重量％の過硫酸ナトリ
ウムに相当する。

過硫酸塩の量は、くず100重量部当り１部以上の活性
酸素を実質的に提供するように増大できる。（しかしな
がら、くず100重量部当り0.3重量部より多い活性酸素を
使用することは、殆ど経済上の利益がない。） 過硫酸塩を使用する本発明は、その有効性が鉄塩の存
在を必要としない点で、過酸化水素より利点が多い。こ
れは、紅藻類、藍藻類及び緑藻類の凝集剤が使用される
とき、特に有利である。

全ての化学反応と同じように、反応の時間は、温度に
反比例する。一般に、40−100℃の温度範囲が有効であ
る。望ましくは、60−80℃の温度が、経済的に最適であ
る。しかし、当業者は、不当な実験なしにそれぞれの特
別な工場について最適の温度及び時間を容易に決定でき
る。温度を10℃上げると、一般に反応速度は、二倍にな
る。

全ての従来の分離手段は、固体に富む部分から水に富
み部分を分離するのに使用でき、例えばデカンテーショ
ン、遠心分離、漉過などがある。一般に、時間及び装置
のサイズを最小限にするために、遠心分離をしようとす
ることが望ましい。

本発明は、その操作について特定の理論上の基礎に存
在しない。しかし、以下の理論により以下の実施例で使
用される段階を説明するのが都合が良い。

食品加工の廃物からの例えば家禽の加工からのスラッ
ジを脱水するのに、可溶性の鉄塩及び凝集重合体及びポ
リアクリレート（又は金属塩なしの藻類に基づく凝集
剤）の組み合せは、DAFセル内のスラッジと水との間の
最初の分離を促進するのにしばしば使用される。凝集剤
は、気泡により表面に浮遊しそしてくずとして除かれる
大きな安定した塊と互いに固くスラッジ粒子を結合する
ように見える。水は又塊中に固く保持されるように見え
る。本発明では、過硫酸塩は加えられて、それは、凝集
剤を解重合する遊離基を発生させ、塊中に強く結合して
いた水を逃す（「スラッジを不安定化する」）ものと考
えられる。これは、水に富み部分の清澄化及びスラッジ
から回収される固体に富む部分の量を顕著に改善させ
る。過酸化水素は、有効でないことが分っていた。

実験室のテスト−測定された量の過酸素例えば過酸化
水素又は過硫酸アンモニウムを100mLの家禽工場のくず
に加え、400mL容ビーカー中で脂肪−蛋白−水の混合物
をDAF（溶解した空気浮遊セル）から分離し、磁気攪拌
器ホットプレートにより攪拌しつつ所望の温度に加熱し
た。過酸素を添加してから15分後、混合物を３分間小さ
い実験室用の遠心分離機に入れた。水性の部分からのス
ラッジの分離の程度は、サンプルを肉眼で比較すること
により決められる。

工場のテスト−通常の工場のやり方は、「コントロー
ル」であった。それは、DAFセル中の浮遊前の塩化第二
鉄−ポリアクリレート凝集剤による処理廃水よりなっ
た。くずは、硫酸により酸性化され、そして軟鋼製の反
応器中で60−78℃に維持した。40分後、処理したくずを
遠心処理した。

コントロールとして同じ一般的な条件を使用し、過酸
化水素又は過硫酸塩の何れかの過酸素を、硫酸とともに
又はその代りの何れかでくずに加えた。

実施例 実施例 １ くずを過酸化水素又は過硫酸アンモニウムにより処理
した。割合及び結果を表Ｉとして示す。

実験室の実験は、いかにうまく混合物が分離したかの
定量的な評価をもたらす。表Ｉは、両方の濃度のレベル
で過硫酸塩が、くずからの水に富む部分の良好な分離を
示したことを表す。二つのH₂O₂の実験とコントロール
（酸化剤なし）との間には、差は検出されなかった。こ
れは、鉄塩の存在下の過酸化水素が、遊離基を発生する
ことが知られているので、特に驚くべきことである。

実施例 ２ 工場のテストが行われ、約25000kgのバッチが連続的
に処理された。コントロールのバッチでは、約120kgの
みの脱水された固体に富む部分が、毎時集められた。一
方、25kgの過硫酸ナトリウム（1.66kgの活性酸素）をバ
ッチ毎に使用したとき、回収は、硫酸の添加なしに、毎
時約320kgの脱水された固体に富む部分に増大した。

実施例 ３ 実施例２を繰り返したが、但し8.6kgの100％過酸化水
素を、硫酸の添加又は無添加の両方で使用した（4.0kg
の活性酸素）。僅か約120kgの脱水した固体に富む部分
が、両方のケースで得られ、それは、コントロールと同
じであった。

実施例２及び３において、くずからの脱水した固体に
富む部分は、コントロールより色が薄かった。過流酸塩
が実施例２で使用されるとき、遠心分離機からの水に富
む部分は、遥かに透明であり、少ない固体の存在を示し
た。明らかに、本発明は、実質的に固体の回収を改善す
る。

過硫酸塩及び過酸化水素の実験の比較は、両方の過酸
素が、加熱されしかも重金属例えば鉄の存在下遊離基を
発生するだろうことが、文献に認められているので、驚
くべきことである。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】凝集剤を廃水に配合し、そして少なくとも
   一部の脂肪及び蛋白を、起泡分離セル中で廃水からくず
   として分離することにより脂肪及び蛋白を含む廃水を精
   製する方法において、 （ａ）段階（ｃ）からの固体に富む部分の容積を少なく
   とも10％減らすために有効な量の過硫酸塩をくず中に配
   合する段階、 （ｂ）少なくとも10分間約40−約100℃の温度で段階
   （ａ）からの過硫酸塩含有くずを維持する段階、及び （ｃ）段階（ｂ）からのくずを水に富む部分及び固体に
   富む部分に分離する段階により、起泡分離セルからくず
   を脱水することを特徴とする方法。
2. 【請求項２】くず100重量部当り0.01−１重量部の活性
   酸素を提供するのに十分な過硫酸塩が加えられることを
   特徴とする請求項１の方法。
3. 【請求項３】段階（ｂ）のくずの温度は、60−80℃に維
   持されることを特徴とする請求項１の方法。
4. 【請求項４】段階（ｂ）のくずの温度は、60−80℃に維
   持されることを特徴とする請求項２の方法。
5. 【請求項５】くずは、遠心分離により分離されることを
   特徴とする請求項１の方法。
6. 【請求項６】くずは、遠心分離により分離されることを
   特徴とする請求項２の方法。
7. 【請求項７】くずは、遠心分離により分離されることを
   特徴とする請求項３の方法。
8. 【請求項８】くずは、遠心分離により分離されることを
   特徴とする請求項４の方法。