JPH0890312A - 刃物装置 - Google Patents

刃物装置

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JPH0890312A
JPH0890312A JP25733694A JP25733694A JPH0890312A JP H0890312 A JPH0890312 A JP H0890312A JP 25733694 A JP25733694 A JP 25733694A JP 25733694 A JP25733694 A JP 25733694A JP H0890312 A JPH0890312 A JP H0890312A
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JP
Japan
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balance weight
center
blade
gravity
tool
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JP25733694A
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English (en)
Inventor
Hidekazu Hirano
秀和 平野
Koichi Komuro
浩一 小室
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Toyoda Koki KK
Original Assignee
Toyoda Koki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半径方向に刃物が変位自在である刃物装置の
アンバランス振動の抑制向上。 【構成】 刃物装置は、先端面側に直径方向の案内部が
形成されていると共に、中空部が形成され、後端側にシ
ャンク部を備えたケーシング本体;案内部で案内されて
移動自在な移動部材から軸線方向に突出し、刃物が取り
付けられている刃物保持体;ケーシング本体の全周面に
亘って形成されたバランスウエイト収納凹部に滑動部材
の滑動方向に平行に滑動自在に嵌装された略環状のバラ
ンスウエイト;軸線方向に作動する工具変位作動部材;
及び中空部内に収納され、移動部材とバランスウエイト
とに対し工具変位作動部材の軸線方向の作動を互に反対
の半径方向の相関関係量変位作動に変換伝達する作動変
換部;から構成されおり、回転軸線に関し、刃物の回転
半径が最小の中立基準位置の場合のバランスウエイトの
重心と刃物の回転半径が最大の偏心位置の場合のバラン
スウエイトの重心とが刃物装置の回転軸線に関し互に反
対側にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、バイトチップを回転
軸線から半径方向に変位させ得ると共にその変位に対応
可能なバランス装置を具備した刃物装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術における刃物を半径方向に変
位させる面削り用や中ぐり用の刃物装置には、例えば図
6及び図7に示されているよう刃物変位装置とバランス
装置を具備したものがある。
【0003】具体的に述べると、刃物装置のケーシング
本体1は、中空部が形成されていると共に、後端に筒状
のシャンク部1cが形成されている。ケーシング本体1
の先端面には、案内部材2,2が開口両側に跨って設け
られ、両側にあり溝3が形成された滑動部材4がケーシ
ング本体1の半径方向に滑動自在に案内部材2,2に嵌
合している。
【0004】フランジ状の基部5aをもつクイル5は、
基部5aが滑動部材4の表面に固着され、刃物装置の軸
線方向に突出しており、クイル5の先端部には、バイト
チップ6が半径方向に突出して取り付けられている。バ
イトチップ6の取付けの半径方向は、滑動部材4がケー
シング本体1の外周面方向に変位する半径方向と同一方
向である。
【0005】又、ケーシング本体1の外周面に形成され
たバランスウエイト収納凹部7には、そのバランスウエ
イト収納凹部7を丁度埋めるようなヘビーメタルのバラ
ンスウエイト8が嵌装されており、バランスウエイト8
は、滑動部材4がケーシング本体1の外周面方向に変位
する半径方向と逆の半径方向にバランスウエイト収納凹
部7内で滑動自在である。又、ケーシング本体1のバラ
ンスウエイト8と逆側の外側面とは、バランスウエイト
8によって生じる遠心力を相殺するための固定ウエイト
8´(図7参照)が設けられている。
【0006】中空部1e内には、中空部1eの断面短軸
線方向で中央略1/3の厚さ寸法で、中心軸線方向で中
空部1eの中心軸線方向の長さより短かい板状のカム溝
部材9が中空部1eの断面長軸線方向の両側を転がり直
線軸受10,10を介して支持され、中心軸線方向に滑
動自在に嵌装されている。カム溝部材9の両側面には、
斜行カム溝が中心軸線方向に対して傾いた軸線方向に形
成されており、一側面の斜行カム溝と他側面の斜行カム
溝9bとの傾きは傾き角度が同じで、且つ傾き方向は逆
であり、所謂X字状となっている。
【0007】カム溝部材9の後端面からは、ケーシング
本体1の中心軸線上にある作動棒17が突出して、ケー
シング本体1の隔壁1dを貫通してシャンク部1cの中
空部内に伸びている。中空部1eの両側面とカム溝部材
9の両側面との間には、夫々中空部1eの断面長軸線方
向の長さより短い従動部材11,12が案内に転がり軸
受15を介して図示の上下方向に滑動自在に嵌装されて
いる。又、従動部材11,12は、斜行カム溝9a,9
bに直線軸受16を介して嵌装されている。
【0008】一方の従動部材11は、中心軸線方向に伸
び、滑動部材4の裏面に固着されている。他方の従動部
材12は、ケーシング本体1の半形方向に伸び、ケーシ
ング本体1の外周面のバランスウエイト収納凹部7の底
面から突出し、バランスウエイト8に固着されている。
【0009】上記のカム溝部材9とそれに係合する従動
部材11,12との関係は、作動棒17が後方に引張ら
れることによりカム溝部材9が前記中立基準位置からケ
ーシング本体1の隔壁1dに最も近接した終端位置に変
位すると、クイル5とバランスウエイト8とは、中心軸
線から互に反対の半径方向に最も離れた位置に変位する
ようになっている。
【0010】バイトチップ6の回転半径が最も小さい位
置にある中立基準位置におけるバランスウエイト8の重
心は、図7のモデル図に示すようにバランスウエイト8
の変位方向に回転中心から適宜偏位(r1 )している。
その中立基準位置の状態での滑動部材4、クイル5、バ
イトチップ6及び従動部材等並びバランスウエイト8の
合成重心は、実質的に回転中心から偏心していない、即
ちアンバランスがない状態になっている。
【0011】そして、クイル5のバイトチップ6が中立
基準位置から回転半径を増大するように滑動部材4が変
位された場合に、バランスウエイト8の重心も中立基準
位置からバイトチップ6と反対の半径方向に同量(Δ
r)変位し、回転半径がr2 (=r1 +Δr)となる。
滑動部材4、クイル5、バイトチップ6及び従動部材等
の合成重心の半径方変位とバランスウエイト8の重心の
反対の半径方向の変位により、主軸の回転の際の主軸全
体の合成偏心重量、即ちアンバランスがなくなるように
なっている。
【0012】上記の刃物装置は、シャンク部1cが主軸
に嵌着され、主軸に装着される。そこで、作動棒17
は、引張られて所望位置にまで軸線方向に後退する。即
ち、斜行カム溝部材9は、ケーシング本体1の中空部1
eにおいて直線軸受10,10に案内されて所望の位置
にまで中心軸線方向に変位して位置決めされる。する
と、カム溝部材9、即ち斜行カム溝9a,9bの変位に
より、転がり直線軸受16,16を介して係合する従動
部材11,12は、互に反対の半径方向に等量だけ変位
し、中心軸線に関し対称位置になる。
【0013】バイトチップ6とバランスウエイト8と
は、夫々従動部材11,12と一体的になって互に反対
の半径方向に等量だけ変位して、中心軸線から夫々所望
量偏心した位置に位置決めされる。そして主軸が回転駆
動されて、バイトチップ6は、中心軸線から所望量偏心
した位置で回転して、工作物に対する所望の加工径で切
削加工が行われる。バイトチップ6付きのクイル5は中
心軸線から偏心した位置で回転するが、対称的に偏心し
たバランスウエイト8によつてアンバランスが相殺され
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の技術にお
ける刃物装置のバランス装置は、中立基準位置において
バランスウエイト8(質量m)が既に刃物の変位方向と
は逆の半径方向に主軸中心軸線から偏心(偏心量r1
して設けられているので、主軸の回転(角速度ω)にお
いて遠心力(mr1 ω2 )が生じ、遠心力は、バランス
ウエイト8の変位がクイル5の半径方向の変位(変位量
Δr;バランスウエイト8の偏心量r2 =r1 +Δr)
により増大すると、更に増大する(mr2 ω2 )(図7
参照)。
【0015】そして、バランスウエイト8により生じる
遠心力は、バランス装置に関連する刃物変位装置(例え
ば溝カム機構や転がり直線軸受等)に影響を与えるた
め、故障を防ぐために主軸の回転速度を大きくすること
ができない。他方、バランスウエイトのバランス性能
は、遠心力の変化量(mΔrω2 =mr2 ω2 −mr1
ω2 )による。
【0016】しかし、r2 は遠心力による上記の影響に
より大きくすることは好ましくなく、r1 は、構造上、
小さくすることは困難である。即ち、変位量Δrを余り
大きくすることはできない。そこで、遠心力の変化量を
大きくするためには、バランスウエイトの質量mを大き
くする必要が生じるが、刃物装置、即ちバランス装置の
構造上、バランスウエイトを大きくすることは困難であ
る。
【0017】従って、バランスウエイトを大きくしない
で、その質量mを大きくするために、バランスウエイト
にヘビーメタルを用いる手段もあるが、それはコスト高
という問題が生じる。又、この様なバランスウエイトの
質量を大きくする手段では、上記した偏心量r1 が大き
いために、結局、遠心力(mr1 ω2 ),(mr
2 ω2 )が大きくなってしまうこととなり、適切な方法
がなかった。
【0018】上述したようにバランスウエイトのバラン
ス性能が低いと、主軸の回転数を大きくできないだけで
なく、刃物の変位によるアンバランス振動が発生し、加
工精度が低下するのであるが、それを解決するべく、バ
ランスウエイトのバランス性能を高めることは、上記の
理由で困難となる。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明の刃物装置は、
先端面側に直径方向の案内部が形成されていると共に、
中空部が形成されたケーシング本体;案内部で案内され
て移動自在な滑動部材から軸線方向に突出し、刃物が取
り付けられている刃物保持体;前記ケーシング本体の全
周面に嵌装され、前記滑動部材の滑動方向に平行に滑動
自在に取り付けられた略環状のバランスウエイト;軸線
方向に作動する工具変位作動部材;及び中空部内に収納
され、前記滑動部材と前記バランスウエイトとに対し前
記工具変位作動部材の軸線方向の作動を互に反対の半径
方向の相関関係量変位作動に変換伝達する作動変換部;
から構成されている。
【0020】そして、刃物装置の回転軸線に関し刃物の
回転半径が最小の中立基準位置の場合の前記バランスウ
エイトの重心と刃物装置の回転軸線に関し刃物の回転半
径が最大の偏心位置の場合の前記バランスウエイトの重
心とが刃物装置の回転軸線に関し互に反対側にあること
が好ましい。
【0021】
【作用】上記の刃物装置においては、初期状態におい
て、刃物変位作動部材は中立基準位置にある。そこで、
刃物変位作動部材が中立位置から所望量だけ軸線方向に
作動すると、工具変位作動部材の軸線方向の作動は、作
動変換部により前記滑動部材と前記バランスウエイトと
に対し工具変位作動部材の軸線方向の作動を互に反対の
半径方向の相関関係量変位作動に変換伝達される。
【0022】すると、刃物は、滑動部材と一体的になっ
て半径方向に変位して、中心軸線から所望量偏心した位
置になる。それと共に、バランスウエイトは、刃物と逆
の半径方向に刃物の変位量と関連した量を変位する。そ
して、主軸が回転駆動されて、バイトは、中心軸線から
所望量偏心した位置で回転して、工作物に対する所望の
加工径で切削加工が行われる。
【0023】その際、相反する半径方向の変位により刃
物・刃物保持体・滑動部材の合成重心が回転軸線から偏
心し、又、バランスウエイトの重心も回転軸線から相関
関係量だけ偏心する。夫々の重心の偏心による回転のア
ンバランスは、相殺される。従って、工具装置の回転に
おいて、アンバランス振動は生じないで、安定した回転
が行われる。その結果、加工精度は維持される。
【0024】
【実施例】この発明の実施例における刃物装置を図面に
従って説明する。図1において、刃物装置のケーシング
本体1は、先端側の大径部1a、中間の小径部1b及び
後端のシャンク部1cから構成されている。ケーシング
本体1には、小径部1bとシャンク部1cとの境界位置
の隔壁1dを隔てて、大径部1aの先端面に開口し、大
径部1aと小径部1bとを通した断面略長方形の中空部
1eと、シャンク部1cの後端面に開口した円形穴1f
とが形成されている。
【0025】小径部1bの外周面には、自動工具交換装
置の交換ハンドが係合する環状溝1hが形成されてい
る。シャンク部1cは、小径部1bより小径のテーパシ
ャンクであり、円筒状中空部が形成された中空円筒状と
なり、外周周壁には、周斜面をもつクランプボール孔1
gが穿設されており、シャンク部1cと小径部1bとの
段部は、刃物装置が主軸50に装着された時、主軸50
の先端面に当接する。
【0026】大径部1aの開口端面には、同形断面の案
内部材2が固着され、案内部材2の前端面には、中空部
1eの断面長軸線方向(図1における上下方向)のあり
溝3が開口両側に跨って形成されており、あり溝3に
は、中空部1eを蔽う滑動部材4がケーシング本体1の
半径方向に滑動自在に嵌合している。
【0027】フランジ状の基部5aをもつクイル5は、
基部5aが滑動部材4の表面に固着され、刃物装置の軸
線方向に突出しており、クイル5の先端部には、バイト
チップ6が半径方向に突出して取り付けられている。バ
イトチップ6の取付けの半径方向は、滑動部材4がケー
シング本体1の外周面方向に変位する半径方向と同一方
向である。
【0028】又、ケーシング本体1の大径部1aの全周
面に亘って形成されたバランスウエイト収納凹部7に
は、略環状のバランスウエイト8が嵌装されている。バ
ランスウエイト収納凹部7の底面及びバランスウエイト
8の内周面は、夫々図3に示すように滑動部材4の滑動
方向に平行な面、即ち案内面71,71;滑動面81,
81をもつ八辺形をなし、バランスウエイト8の内周面
の八辺形は、バランスウエイト収納凹部7の底面の八辺
形より滑動部材4の滑動方向にのみ伸長している。
【0029】即ち、滑動面81は案内面71より長い。
従って、バランスウエイト8は、滑動面71,71が案
内面81,81上滑動して図1及び図3の上下方向に滑
動自在である。そしてバランスウエイト8は、図3に示
すように案内面81,81を形成する側辺部8a,8a
とそれらに両端が止めねじで結合された錘部8b及び接
続部8cとの4部分から構成されている。
【0030】刃物変位装置としては、次のような構造と
なっている。(図1、図2、図3及び図4参照) 中空部1e内には、中空部1eの断面短軸線方向で中央
略1/3の厚さ寸法で、中心軸線方向で中空部1eの中
心軸線方向の長さより短かい板状のカム溝部材9が中空
部1eの断面長軸線方向の両側を予圧が加えられた転が
り直線軸受10,10を介して支持され、中心軸線方向
に滑動自在に嵌装されている。
【0031】カム溝部材9の両側面には、斜行カム溝9
a,9bが中心軸線方向に対して傾いた軸線方向に形成
されており、傾き方向は逆であり、所謂X字状となって
いる。斜行カム溝9aと斜行カム溝9bとの傾き角度
は、夫々適宜定められているが、実施例では、両者の傾
き角度が同じである。
【0032】中空部1eの両側面とカム溝部材9の両側
面との間には、夫々中空部1eの断面長軸線方向の長さ
より短い従動部材11,12が嵌装されている。中空部
1eの両側面に対向する従動部材11,12の側面に
は、夫々案内溝11a,12aが中空部1eの断面長軸
線方向(あり溝3と同方向)に形成され、中空部1eの
両側面に同方向に設けられた案内13,14に予圧が加
えられた転がり直線軸受15,15を介して係合されて
いる。
【0033】又、カム溝部材9の両側面に対向する従動
部材11,12の側面には、夫々斜行カム溝9a,9b
に予圧が加えられた転がり直線軸受16,16を介して
係合する突条部11b,12b(係合部)が形成されて
いる。一方の従動部材11は、中心軸線方向に伸び、案
内部材2の開口部に突出し、突出端が滑動部材4の裏面
に固着されている。他方の従動部材12は、ケーシング
本体1の半形方向に伸び、ケーシング本体1の外周面の
バランスウエイト収納凹部7の底面から突出し、バラン
スウエイト8の錘部8bに止めねじで固着されている
(図3参照)。
【0034】上記のカム溝部材9とそれに係合する従動
部材11,12との関係は、カム溝部材9が中立基準位
置から後記の引張棒61によりケーシング本体1の隔壁
1dに最も近接した終端位置に変位すると、クイル5と
バランスウエイト8とは、中心軸線から互に反対の半径
方向に最も離れた位置に変位するようになっている。カ
ム溝部材9の後端面からは、ケーシング本体1の中心軸
線上にある作動棒17が突出して、ケーシング本体1の
隔壁1dを貫通してシャンク部1cの中空部内に伸びて
いる。作動棒17の端部は、通常のプルスタッドと同様
の形状である。
【0035】バイトチップ6の回転半径が最も小さい位
置にある中立基準位置におけるバランスウエイト8の重
心Gは、図5のモデル図に示すようにバランスウエイト
8の変位方向と反対方向に回転中心Oから適宜偏位(r
1 )していることが好ましい。その中立基準位置の状態
での滑動部材4、クイル5、バイトチップ6及び従動部
材11等並びバランスウエイト8及び従動部材12等の
合成重心は、実質的に回転中心Oから偏心していない、
即ちアンバランスがない状態になっている。
【0036】そして、クイル5のバイトチップ6が中立
基準位置から回転半径を増大するように滑動部材4が変
位された場合に、バランスウエイト8も従動部材12共
々、中立基準位置からバイトチップ6と反対の半径方向
に変位する。この重心Gが最も移動したときの重心G´
は、回転中心Oより偏位距離r2 離れた位置となる。
【0037】滑動部材4、クイル5、バイトチップ6及
び従動部材11等の合成重心の半径方向変位とバランス
ウエイト8及び従動部材12等の合成重心の反対の半径
方向の変位により、主軸の回転の際の主軸全体の合成偏
心重量、即ちアンバランスがなくなるようになってい
る。
【0038】図1に示すように主軸50には、先端部が
刃物装置のシャンク部1cが嵌着される環状穴51と中
心孔52が同軸線関係に形成され、環状穴51内側周面
と中心孔52の内周面との間で形成される円筒部には、
刃物装置装着時におけるシャンク部1cのクランプボー
ル孔1gに対応するクランプボール孔53が貫通してい
る。
【0039】中心孔52には、図示しない駆動源で進退
する作動スリーブ54が挿通され、作動スリーブ54の
先端部の外周面には、縁部斜面をもつクランプボール作
動用凹部55が形成され、クランプボール作動用凹部5
5とクランプボール孔53とに跨ってクランプボール5
6が納められている。
【0040】又、主軸50には、環状穴51の内周面に
開口した仮クランプボール孔57が半径方向に穿設さ
れ、仮クランプボール孔57に納められた仮クランプボ
ール58は、外側から仮クランプボール孔57に挿入さ
れねじ止めされた圧縮コイルばね59の付勢力で押圧さ
れ、仮クランプボール孔57の先端の絞り開口部から環
状穴51の内周面に一部突出している。
【0041】作動スリーブ54内には、先端開口から適
宜だけ奥に位置するコレットチャック60を先端に備え
た引張棒61が挿通されている。引張棒61の後端は、
主軸50後部で、図示しないサーボモータにより回転駆
動されるボールねじ機構に結合され、引張棒61は、制
御装置で制御されるサーボモータの回転駆動で所望量の
軸線方向の変位がされるようになつている。又、コレッ
トチャック60は、作動スリーブ60aの前後動で開閉
するようになっている。
【0042】上記の刃物装置の操作・作用について説明
する。先ず刃物装置を工作機械の主軸50に装着するの
に際しては、ケーシング本体1の小径部1bの環状溝1
hが自動工具交換装置の交換ハンドで把持され、シャン
ク部1cが主軸50の環状穴51に挿入される。その
際、圧縮コイルばね59の付勢力で環状穴51内に突出
している仮クランプボール58がクランプボール孔1g
に係合し、シャンク部1cは主軸50に仮クランプされ
る。
【0043】それから駆動源で作動スリーブ54が後退
されると、クランプボール56は、クランプボール作動
用凹部55の縁部斜面によりクランプボール孔53から
押上げられ、シャンク部1cのクランプボール孔1gに
突出してクランプボール孔1gの周斜面に係合し、シャ
ンク部1cは、シャンク部1cと小径部1bとの段部が
主軸50の先端面に当接するように引込まれて、主軸5
0に固締される。即ち刃物装置は、主軸50に装着され
る。
【0044】そのとき、図略の制御装置で制御されるサ
ーボモータでボールねじ機構を介して変位する作動スリ
ーブ54内の引張棒61の先端面は、作動棒17の後端
面に当接した中立基準位置にあり、作動棒17の後端の
プルスタッド部は、引張棒61の先端のコレットチャッ
ク60に挿入された位置にある。そして引張棒61の先
端のコレットチャック60は、作動棒17のプルスタッ
ド部を把持する。
【0045】そこで、作動スリーブ54内の引張棒61
が制御装置で制御されるサーボモータの回転駆動で中立
基準位置から所望量だけ軸線方向に後退すると、作動棒
17は、引張棒61と共に所望位置にまで軸線方向に後
退する。即ち、斜行カム溝部材9は、ケーシング本体1
の中空部1eにおいてバックラッシュなく転がり直線軸
受10,10に案内されて所望の位置にまで中心軸線方
向に変位して位置決めされる。
【0046】すると、カム溝部材9、即ち斜行カム溝9
a,9bの変位により、それに予圧が加えられた転がり
直線軸受16,16を介して係合する従動部材11,1
2は、予圧が加えられた転がり直線軸受15,15を介
してバックラッシュなく案内13,14に案内されて互
に反対の半径方向に変位し、所定位置になる。
【0047】従動部材11の変位と共に滑動部材4、ク
イル5、バイトチップ6が一体的に半径方向に変位し、
バイトチップ6は、所定位置に位置決めされる。それと
共にバランスウエイト8も従動部材12と一体的に反対
の半径方向に変位して所定位置に位置決めされる。そし
て主軸50が回転駆動されて、バイトチップ6は、中心
軸線から所望量偏心した位置で回転して、工作物に対す
る所望の加工径で切削加工が行われる。
【0048】バイトチップ6は、中立基準位置から中心
軸線に関し更に偏心した位置で回転するが、そのときの
滑動部材4、クイル5、バイトチップ6及び従動部材1
1等の合成重心の偏心により生じるアンバランスは、中
立基準位置からバイトチップ6付きのクイル5とは反対
の半径方向に変位したバランスウエイト8及び従動部材
12等の合成重心によつて相殺され、アンバランス振動
は生じないで、刃物装置の安定した回転が行われる。そ
の結果、加工精度は維持される。
【0049】刃物装置を主軸50より取り外す際は、作
動スリーブ54内の引張棒61が制御装置で制御される
サーボモータの回転駆動で所望量だけ軸線方向に前進す
ると、作動棒17は引張棒61に押されて中立基準位置
にまで軸線方向に前進する。即ち、カム溝部材9は、ケ
ーシング本体1の中空部1eにおいて転がり直線軸受1
0,10に案内されて中立基準位置にまで軸線方向に変
位し、斜行カム溝9a,9bの変位により、それに係合
する従動部材11,12は、案内13,14に案内され
て互に対向したの半径方向に変位し、中立基準位置に復
位する。
【0050】そして、引張棒61の先端のコレットチャ
ック60は、作動スリーブ60aの後退により開いて作
動棒17のプルスタッド部を解放する。次いで、駆動源
で作動スリーブ54が前進すると、クランプボール56
は、クランプボール作動用凹部55に落ち込み、クラン
プボール孔53内へ没入し、シャンク部1cのクランプ
ボール孔1gから外れ、刃物装置は、仮クランプボール
58とクランプボール孔1gとの係合で、シャンク部1
cは、主軸50に仮保持状態になる。
【0051】それから、ケーシング本体1の小径部1b
の環状溝1hが自動工具交換装置の交換ハンドで把持さ
れ、シャンク部1cが主軸50の環状穴51から引き抜
かれる。その際、圧縮コイルばね59の付勢力に抗し
て、クランプボール孔1gの縁部で仮クランプボール5
8がクランプボール孔1gから押出される。次に図5の
モデル図に基づいて、この実施例のアンバランス相殺作
用について説明する。バランスウエイト8は、八辺形の
略環状をしているため、その重心位置Gは、略環状の中
心位置となる。
【0052】従って、重心位置Gは、刃物装置の回転中
心Oに接近し、バイトチップ6の回転半径が最も小さい
ときの重心位置Gと回転中心Oとの距離r1 を小さくす
ることができる。又、バイトチップ6の回転半径が最も
大きいときの重心位置G´は、初期の重心位置Gとは反
対方向に回転中心Oからr2 の距離となり、距離r2
従来に比べ小さくなる。
【0053】このため、刃物装置に作用する遠心力(m
1 ω2,mr2 ω2 (m:バランスウエイト8の質量
ω:主軸50の回転角速度))は、小さくなる。従っ
て、刃物装置内部のカム溝部材9、従来部材11,12
及び転がり直線軸受10,15,16等の機構に作用す
る遠心力は小さくなるため、刃物装置の故障を防止する
ことができる。即ち、主軸50の回転速度を高速にする
ことができる。
【0054】又、バランスウエイト8の移動距離Δr
は、Δr=r1 +r2 となり、クイル5の移動に伴うア
ンバランス相殺作用に寄与する遠心力の変化量mΔrω
2となり、従来に比較して大きくすることができる。即
ち、故障の原因となる遠心力を小さく保ったまま、遠心
力の変化量を大きくすることができる。従って、故障す
ることなく、主軸の回転速度を大きくすることができる
と共に、刃物装置のバランス性能を向上させ、刃物に発
生する振動を抑え、加工精度を向上させることができ
る。
【0055】以上述べた実施例では、刃物装置は、主軸
に着脱可能なものであるが、この発明は、そのような着
脱式の刃物装置のみに適用可能なものでなく、主軸自体
に一体的に刃物が取り付けられたものにも適用すること
ができる。
【0056】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明は、バランス
ウエイトの形状を略環状形状としたために、以下の効果
を奏する。即ち、バランスウエイトの重心位置が刃物装
置の回転中心位置に接近するため、重心位置と回転中心
との距離が小さくなり、刃物装置に作用する遠心力が小
さくなる。このために、刃物装置内部の作動変換部等を
構成する部材(例えば転がり直線軸受)に作用する力小
さくなり、刃物装置の故障を減少させることができる。
即ち、主軸の回転を高速化することができる。
【0057】そして、重心位置と回転中心との距離が小
さいため、バランスウエイトが移動した後の重心位置と
回転中心との距離も従来に比して小さくすることができ
る。このため、バランスウエイトが移動距離を大きくで
きるため、バランス性能が向上する。又、この発明のバ
ランスウエイトは、略環状形状であるため、実質的に従
来よりも断面面積が大きくなり、延いてはバランスウエ
イトの質量は大きくなり、バランス性能が向上する。従
って、従来用いられたヘビイメタル等の高価なものを用
いる必要がないため、コストが低減される。
【0058】更に、バがケーシング本体の全周面に嵌装
された略環状形状であることによって、刃物装置が回転
した時のバランスが良くなる。即ち、従来のようなケー
シング本体の一端側にバを設け、他端側に固定ウを用い
たときに比し、略環状形状のバは、それ自体でのバが良
く、構造的にも強度がある。そのため、刃物装置内部の
空間を形成し易く、装置全体を構成し易い。以上述べた
ようにこの発明の刃物装置では、バランスウエイトのバ
ランス性能が向上するので、刃物に発生する振動も小さ
くなり、加工精度も向上する。
【0059】又、請求項2に記載の刃物装置では、特
に、バランスウエイトの重心位置の初期位置と最大移動
後の位置が回転軸線に対して反対方向にあるため、更に
以下の効果を奏することができる。即ち、バランスウエ
イトの移動距離を大きくしても、回転中心を介している
ため、バランスウエイトによって発生する遠心力は移動
後も小さくなる。しかし、バランスウエイトの実際の移
動量は大きいために、刃物の移動に対するバランスウエ
イトの遠心力の変化量は大きくなり、バランス性能は更
に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例における刃物装置の断面図で
ある。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1のIII −III 線における断面図である。
【図4】図3の IV− IV線における断面概略図であ
る。
【図5】この発明の実施例の刃物装置におけるバランス
装置のバランスウエイトの重心変位の説明図である。
【図6】従来の技術の刃物装置の破砕斜視図である。
【図7】従来の技術の刃物装置におけるバランス装置の
バランスウエイトの重心変位の説明図である。
【符号の説明】
1 ケーシング本体 1a 大径部 1b 小径部 1c シャンク
部 1d 隔壁 1e 中空部 1f 円形穴 1h 環状溝 1g クランプボール孔 2 案内部材 3 あり溝 4 滑動部材 5 クイル(刃物保持体) 5a 基部 6 バイトチップ 7 バランス
ウエイト収納凹部 71 案内面 8 バランス
ウエイト 8a 側辺部 8b 錘部 8c 接続部 81 滑動面 9 カム溝部材 9a,9b 斜
行カム溝 10,15,16 転がり直線軸受 11,12 従
動部材 11a,12a 案内溝 11b,11b
突条部 13,14 案内 17 作動棒 50 主軸 51 環状穴 52 中心孔 53 クランプ
ボール孔 54,60a 作動スリーブ 55 クランプ
ボール作動用凹部 56 クランプボール 57 仮クラン
プボール孔 58 仮クランプボール 59 圧縮コイ
ルばね 60 コレットチャック 61 引張棒

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端面側に直径方向の案内部が形成され
    ていると共に、中空部が形成されたケーシング本体;案
    内部で案内されて移動自在な滑動部材から軸線方向に突
    出し、刃物が取り付けられている刃物保持体;前記ケー
    シング本体の全周面に嵌装され、前記滑動部材の滑動方
    向に平行に滑動自在に取り付けられた略環状のバランス
    ウエイト;軸線方向に作動する工具変位作動部材;及び
    中空部内に収納され、前記滑動部材と前記バランスウエ
    イトとに対し前記工具変位作動部材の軸線方向の作動を
    互に反対の半径方向の相関関係量変位作動に変換伝達す
    る作動変換部;から構成された刃物装置。
  2. 【請求項2】 刃物装置の回転軸線に関し刃物の回転半
    径が最小の中立基準位置の場合のバランスウエイトの重
    心と刃物装置の回転軸線に関し刃物の回転半径が最大の
    偏心位置の場合の前記バランスウエイトの重心とが刃物
    装置の回転軸線に関し互に反対側にある請求項1に記載
    の刃物装置。
JP25733694A 1994-09-28 1994-09-28 刃物装置 Pending JPH0890312A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010090261A1 (ja) * 2009-02-05 2010-08-12 三菱重工業株式会社 工作機械の主軸装置
JP2014507298A (ja) * 2011-03-11 2014-03-27 テーネス アルメン アクスイェ セルスカプ カッター上に切削油を噴射するためのノズルを備えた、孔内で切り屑を生じる切削機械加工用の装置
CN116423232A (zh) * 2023-05-12 2023-07-14 武义扬升机械设备有限公司 一种手自一体镗焊一体机

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