JPH0887776A - 光記録媒体 - Google Patents
光記録媒体Info
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- JPH0887776A JPH0887776A JP6221462A JP22146294A JPH0887776A JP H0887776 A JPH0887776 A JP H0887776A JP 6221462 A JP6221462 A JP 6221462A JP 22146294 A JP22146294 A JP 22146294A JP H0887776 A JPH0887776 A JP H0887776A
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- saturable absorbing
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 情報信号に対応したピットパターンが凹凸形
状として形成された光透過性基板1上に、少なくとも可
飽和吸収色素含有層3が形成されてなる,超解像再生用
の光記録媒体において、上記可飽和吸収色素含有層3の
厚さdを、再生光学系の対物レンズの開口数をNA、再
生光波長をλとしたときに、0.5・λ/NA2 <d<
λ/NA2 なる条件を満たすように設定する。 【効果】 レーザ光の照射による可飽和吸収色素含有層
や基板の熱変形が防止でき、再生光学系のカットオフ周
期λ/2NA程度あるいはそれよりも短い周期でピット
が形成された微細ピットパターンから良好な再生信号を
得ることが可能となる。
状として形成された光透過性基板1上に、少なくとも可
飽和吸収色素含有層3が形成されてなる,超解像再生用
の光記録媒体において、上記可飽和吸収色素含有層3の
厚さdを、再生光学系の対物レンズの開口数をNA、再
生光波長をλとしたときに、0.5・λ/NA2 <d<
λ/NA2 なる条件を満たすように設定する。 【効果】 レーザ光の照射による可飽和吸収色素含有層
や基板の熱変形が防止でき、再生光学系のカットオフ周
期λ/2NA程度あるいはそれよりも短い周期でピット
が形成された微細ピットパターンから良好な再生信号を
得ることが可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上に、凹凸形状に
よって記録された記録情報を、再生光を照射したときの
反射光量の変化を検出することによって再生する、いわ
ゆるコンパクトディスクタイプの光記録媒体に関する。
よって記録された記録情報を、再生光を照射したときの
反射光量の変化を検出することによって再生する、いわ
ゆるコンパクトディスクタイプの光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記録の分野においては、光学
情報記録方式に関する研究が各所で進められている。こ
の光学情報記録方式は、非接触で記録再生が行えるこ
と、磁気記録方式に較べて一桁以上も高い記録密度が達
成できること、再生専用型や追記型,書き換え可能型の
それぞれのメモリ形態に対応できること等の、数々の利
点を有し、安価な大容量ファイルを実現し得るものとし
て、産業用から民生用まで幅広い用途が考えられてい
る。
情報記録方式に関する研究が各所で進められている。こ
の光学情報記録方式は、非接触で記録再生が行えるこ
と、磁気記録方式に較べて一桁以上も高い記録密度が達
成できること、再生専用型や追記型,書き換え可能型の
それぞれのメモリ形態に対応できること等の、数々の利
点を有し、安価な大容量ファイルを実現し得るものとし
て、産業用から民生用まで幅広い用途が考えられてい
る。
【0003】上述のメモリ形態のうち、再生専用型の光
記録媒体としては、デジタルオーディオディスク(いわ
ゆるコンパクトディスク、CD)や光学式ビデオディス
ク(いわゆるレーザーディスク、LD)、さらにはCD
−ROM等が既に広く普及している。
記録媒体としては、デジタルオーディオディスク(いわ
ゆるコンパクトディスク、CD)や光学式ビデオディス
ク(いわゆるレーザーディスク、LD)、さらにはCD
−ROM等が既に広く普及している。
【0004】これらの再生専用型の光記録媒体は、例え
ば、ピットが凹凸形状として情報信号に対応したパター
ンで記録された高分子基板あるいはガラス2P基板上
に、Al等の金属材料よりなる反射層が被着形成された
構造とされている。このような光記録媒体では、透明基
板側よりレーザ光等の再生光を照射し、その再生スポッ
ト内のピットの有無を、反射光の強弱を検出することで
識別し、情報の再生が行われる。
ば、ピットが凹凸形状として情報信号に対応したパター
ンで記録された高分子基板あるいはガラス2P基板上
に、Al等の金属材料よりなる反射層が被着形成された
構造とされている。このような光記録媒体では、透明基
板側よりレーザ光等の再生光を照射し、その再生スポッ
ト内のピットの有無を、反射光の強弱を検出することで
識別し、情報の再生が行われる。
【0005】ところで、上記再生専用型の光記録媒体に
おいては、VTRのデジタル化やハイビジョンTV(H
DTV)等に対応できる容量を確保すべく、記録密度の
更なる向上が求められるようになっている。一方、操作
上の都合から、光記録媒体ではサイズの小型化も求めら
れており、このような要求からも記録密度の向上が望ま
れている。
おいては、VTRのデジタル化やハイビジョンTV(H
DTV)等に対応できる容量を確保すべく、記録密度の
更なる向上が求められるようになっている。一方、操作
上の都合から、光記録媒体ではサイズの小型化も求めら
れており、このような要求からも記録密度の向上が望ま
れている。
【0006】ここで、光記録媒体の記録密度を向上させ
る手段としては、記録パターンの微細化,たとえばピッ
トの周期を短くすることがまず考えられる。しかし、再
生光学系にはスポット径をそれ以上に小さくできない回
折限界λ/2NA(λ:再生光波長 NA:光学系の対
物レンズ開口数)があることから、ピットの周期があま
り短くなると、再生スポット内に複数のピットが重複し
て存在するといった状況が起き、情報信号が再生できな
いといった不都合が生じる。すなわち、通常の再生で
は、この再生装置のλ/2NAがカットオフ周期、その
逆数2NA/λがカットオフ空間周波数になる。
る手段としては、記録パターンの微細化,たとえばピッ
トの周期を短くすることがまず考えられる。しかし、再
生光学系にはスポット径をそれ以上に小さくできない回
折限界λ/2NA(λ:再生光波長 NA:光学系の対
物レンズ開口数)があることから、ピットの周期があま
り短くなると、再生スポット内に複数のピットが重複し
て存在するといった状況が起き、情報信号が再生できな
いといった不都合が生じる。すなわち、通常の再生で
は、この再生装置のλ/2NAがカットオフ周期、その
逆数2NA/λがカットオフ空間周波数になる。
【0007】このため、ピットの周期はそのままで信号
コードの方を圧縮化したり、あるいはピット周期の短い
記録パターンに対応できるように、光学系の対物レンズ
の開口数NAを増大化する,さらには再生光を短波長化
することによって再生光の回折限界を向上させる試みが
なされている。また、さらに、最近では超解像(super
resolution)と称される方法が、ピット周期の短い記録
パターンに対応できるものとして注目されている。
コードの方を圧縮化したり、あるいはピット周期の短い
記録パターンに対応できるように、光学系の対物レンズ
の開口数NAを増大化する,さらには再生光を短波長化
することによって再生光の回折限界を向上させる試みが
なされている。また、さらに、最近では超解像(super
resolution)と称される方法が、ピット周期の短い記録
パターンに対応できるものとして注目されている。
【0008】超解像とは、物点位置に照射光の回折限界
よりも小さいアパーチャ(開口)を設定することによ
り、照射光の見かけ上のスポット径を回折限界よりも小
さくすることで解像度を向上させることを原理とするも
のである。この超解像については、例えば“Charles W.
McCutchen,“Super-resolution in Microscopy and the
Abbe Resolution Limit. ”Journal of Optical Societ
y of America, 57(10),1190 (1967) ”、Tony Wilson
and Colin Sheppard, “Theory and Practiceof Scannn
ing Optical Microscopy.”,Academic Press (London),
1984”等で詳細に記載されている。
よりも小さいアパーチャ(開口)を設定することによ
り、照射光の見かけ上のスポット径を回折限界よりも小
さくすることで解像度を向上させることを原理とするも
のである。この超解像については、例えば“Charles W.
McCutchen,“Super-resolution in Microscopy and the
Abbe Resolution Limit. ”Journal of Optical Societ
y of America, 57(10),1190 (1967) ”、Tony Wilson
and Colin Sheppard, “Theory and Practiceof Scannn
ing Optical Microscopy.”,Academic Press (London),
1984”等で詳細に記載されている。
【0009】このような超解像を実際に光記録媒体の信
号再生に応用するには、光記録媒体上での再生光の移動
に追従してアパーチャも移動する必要がある。
号再生に応用するには、光記録媒体上での再生光の移動
に追従してアパーチャも移動する必要がある。
【0010】超解像を光磁気記録媒体に応用した例とし
ては、本願出願人が特開平1−143041号公報及び
特開平1−143042号公報において、光磁気記録再
生方式の磁気カー効果が現れる領域を熱的に再生光のス
ポット径よりも狭くして超解像効果を発現させ、高密度
記録を達成する方法(MSR:Magneto−Opt
ical−Superresolution)を提案し
ている。しかし、この方法は、光磁気システムに限って
使用され、通常の、磁気ヘッドを用いない光記録システ
ムには適用できない。
ては、本願出願人が特開平1−143041号公報及び
特開平1−143042号公報において、光磁気記録再
生方式の磁気カー効果が現れる領域を熱的に再生光のス
ポット径よりも狭くして超解像効果を発現させ、高密度
記録を達成する方法(MSR:Magneto−Opt
ical−Superresolution)を提案し
ている。しかし、この方法は、光磁気システムに限って
使用され、通常の、磁気ヘッドを用いない光記録システ
ムには適用できない。
【0011】通常の光記録システムに適用できる超解像
の手法としては、特開平2−96926号公報におい
て、反射層に光応答性の材料を用いることが提案されて
いる。この超解像再生の原理は以下の通りである。
の手法としては、特開平2−96926号公報におい
て、反射層に光応答性の材料を用いることが提案されて
いる。この超解像再生の原理は以下の通りである。
【0012】すなわち、光応答性材料を反射層に用いる
光記録媒体では、再生光を照射すると、再生光スポット
内にはその焦点位置をピークとする光量分布があるた
め、その焦点位置近傍の極小部分のみの光学特性を変化
させることができる。この光学特性が変化した部分がア
パーチャとして機能する。
光記録媒体では、再生光を照射すると、再生光スポット
内にはその焦点位置をピークとする光量分布があるた
め、その焦点位置近傍の極小部分のみの光学特性を変化
させることができる。この光学特性が変化した部分がア
パーチャとして機能する。
【0013】このようにアパーチャが形成されると、再
生光のスポット内に複数のピットが重複して存在する場
合でも、アパーチャ内に存在するピットのみが検出さ
れ、その他のピットはいわばマスクされた状態となって
検出されることがない。したがって、再生光学系の回折
限界よりも短い周期でピットが形成された微細記録パタ
ーンからの信号再生が行えるということになる。
生光のスポット内に複数のピットが重複して存在する場
合でも、アパーチャ内に存在するピットのみが検出さ
れ、その他のピットはいわばマスクされた状態となって
検出されることがない。したがって、再生光学系の回折
限界よりも短い周期でピットが形成された微細記録パタ
ーンからの信号再生が行えるということになる。
【0014】ところが、この公報には、光応答性の材料
として再生光によって光学特性が直接的に変化する非線
形光学材料、あるいは再生光の光吸収による熱発生によ
り光学特性が間接的に変化する相変化材料とのみ記載さ
れており、具体的な材料については挙げられていない。
このため、その実現は難しいと言える。
として再生光によって光学特性が直接的に変化する非線
形光学材料、あるいは再生光の光吸収による熱発生によ
り光学特性が間接的に変化する相変化材料とのみ記載さ
れており、具体的な材料については挙げられていない。
このため、その実現は難しいと言える。
【0015】そこで、具体的な光応答性材料として、カ
ルコゲナイト系の材料や可飽和吸収色素が提案されてい
る。
ルコゲナイト系の材料や可飽和吸収色素が提案されてい
る。
【0016】カルコゲナイト系の材料は、レーザ加熱に
よって固体からメルト状態へ相変化し、その際に複素屈
折率が大きく変化するものであり、PSR(Prema
stered Optical Disk by Su
perresolution)と称される超解像技術に
適用される。
よって固体からメルト状態へ相変化し、その際に複素屈
折率が大きく変化するものであり、PSR(Prema
stered Optical Disk by Su
perresolution)と称される超解像技術に
適用される。
【0017】一方、可飽和吸収色素は、本願出願人が特
願平5−26805号明細書において提案した光応答性
材料であり、一定量以上の光が照射され、励起状態にな
ると吸収率が0となるような現象,すなわち可飽和吸収
現象を呈する色素材料である。
願平5−26805号明細書において提案した光応答性
材料であり、一定量以上の光が照射され、励起状態にな
ると吸収率が0となるような現象,すなわち可飽和吸収
現象を呈する色素材料である。
【0018】例えば、ピットが凹凸形状として形成され
た高分子基板上に、この可飽和吸収色素を含有する可飽
和吸収色素含有層と、反射層が形成された光記録媒体
に、再生光を照射すると、上述の如く再生光スポット内
には焦点位置をピークとする光量分布があることから、
この焦点位置近傍の極小部分のみが強く可飽和吸収とな
る。この可飽和吸収となった領域は、吸収率が低下する
ことからほかの領域に比べて反射層にまで到達する光量
が大きく高い反射率が得られる。したがって、この可飽
和吸収領域がアパーチャとして機能し、再生光スポット
内に複数のピットが重複して存在する場合でもこの可飽
和吸収領域に存在するピットのみが検出されることにな
る。
た高分子基板上に、この可飽和吸収色素を含有する可飽
和吸収色素含有層と、反射層が形成された光記録媒体
に、再生光を照射すると、上述の如く再生光スポット内
には焦点位置をピークとする光量分布があることから、
この焦点位置近傍の極小部分のみが強く可飽和吸収とな
る。この可飽和吸収となった領域は、吸収率が低下する
ことからほかの領域に比べて反射層にまで到達する光量
が大きく高い反射率が得られる。したがって、この可飽
和吸収領域がアパーチャとして機能し、再生光スポット
内に複数のピットが重複して存在する場合でもこの可飽
和吸収領域に存在するピットのみが検出されることにな
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この可
飽和吸収色素含有層を用いる光記録媒体では、再生光を
照射した部分で可飽和吸収色素含有層や基板が軟化して
熱変形するといった現象が見られ、これが再生エラーの
原因となっている。
飽和吸収色素含有層を用いる光記録媒体では、再生光を
照射した部分で可飽和吸収色素含有層や基板が軟化して
熱変形するといった現象が見られ、これが再生エラーの
原因となっている。
【0020】このような可飽和吸収色素含有層や基板の
軟化を防止する対策としては、特開平5−225611
号公報に、色素含有層の吸光度(OD)を1未満に抑え
ることが記載されている。これは、色素含有層の吸光度
が1以上であると、この層での光吸収が強くなり過ぎて
大きな温度上昇が起こり、これが色素含有層や基板を熱
変形させるとの考えに基づいたものである。
軟化を防止する対策としては、特開平5−225611
号公報に、色素含有層の吸光度(OD)を1未満に抑え
ることが記載されている。これは、色素含有層の吸光度
が1以上であると、この層での光吸収が強くなり過ぎて
大きな温度上昇が起こり、これが色素含有層や基板を熱
変形させるとの考えに基づいたものである。
【0021】しかし、色素含有層の吸光度が1以上であ
ることが大きな温度上昇を起こすと考えるのは、非常に
不合理であると言わざるを得ない。
ることが大きな温度上昇を起こすと考えるのは、非常に
不合理であると言わざるを得ない。
【0022】たとえば色素含有層の吸光度が1である場
合、反射層による干渉効果がない条件では、色素含有層
はレーザ光を往復の光路でほぼ99%吸収する。したが
って、色素含有層の吸光度が1以上のいくら大きな値で
あったとしても、吸光度が1である場合に比べて、その
光吸収量は最大で1%程度大きい値にしかならない。1
%程度のわずかな光吸収量の差が、色素含有層や基板の
軟化を左右する程の温度上昇の差を生じさせるとは考え
られない。
合、反射層による干渉効果がない条件では、色素含有層
はレーザ光を往復の光路でほぼ99%吸収する。したが
って、色素含有層の吸光度が1以上のいくら大きな値で
あったとしても、吸光度が1である場合に比べて、その
光吸収量は最大で1%程度大きい値にしかならない。1
%程度のわずかな光吸収量の差が、色素含有層や基板の
軟化を左右する程の温度上昇の差を生じさせるとは考え
られない。
【0023】むしろ、色素含有層の吸光度を1未満にす
ると、超解像性の発現感度が低くなったり、アパーチャ
が広がって超解像性能が劣化するといった問題が生じ、
マイナス面が大きいと考えられる。
ると、超解像性の発現感度が低くなったり、アパーチャ
が広がって超解像性能が劣化するといった問題が生じ、
マイナス面が大きいと考えられる。
【0024】そこで、本発明は、このような従来の実情
に鑑みて提案されたものであり、レーザ光の照射による
基板の軟化が防止でき、再生光学系のカットオフ周期λ
/2NA程度あるいはそれ以下の周期でピットが形成さ
れた微細ピットパターンから良好な再生信号が得られる
光記録媒体を提供することを目的とする。
に鑑みて提案されたものであり、レーザ光の照射による
基板の軟化が防止でき、再生光学系のカットオフ周期λ
/2NA程度あるいはそれ以下の周期でピットが形成さ
れた微細ピットパターンから良好な再生信号が得られる
光記録媒体を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、情報信号に対応したピットパターンが
凹凸形状として形成された基板上に、少なくとも可飽和
吸収色素含有層が形成されてなる光記録媒体において、
上記可飽和吸収色素含有層の厚さdが、再生光学系の対
物レンズの開口数をNA、再生光波長をλとしたとき
に、 0.5・λ/NA2 <d<λ/NA2 なる条件を満たすことを特徴とするものである。
めに、本発明は、情報信号に対応したピットパターンが
凹凸形状として形成された基板上に、少なくとも可飽和
吸収色素含有層が形成されてなる光記録媒体において、
上記可飽和吸収色素含有層の厚さdが、再生光学系の対
物レンズの開口数をNA、再生光波長をλとしたとき
に、 0.5・λ/NA2 <d<λ/NA2 なる条件を満たすことを特徴とするものである。
【0026】また、基板上に反射層を介して可飽和吸収
色素含有層が形成されていることを特徴とするものであ
る。
色素含有層が形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0027】さらに、基板上に形成されたピットパター
ンの最短ピット長と最短ピット間隔の和xが、再生光学
系の対物レンズの開口数をNA、再生光波長をλとした
ときに、 0.9・λ/NA>x なる条件を満たすことを特徴とするものである。
ンの最短ピット長と最短ピット間隔の和xが、再生光学
系の対物レンズの開口数をNA、再生光波長をλとした
ときに、 0.9・λ/NA>x なる条件を満たすことを特徴とするものである。
【0028】さらに、可飽和吸収色素含有層の再生光波
長λにおける吸光度ε・ρ・d(但し、εは可飽和吸収
色素の分子吸光係数、ρは可飽和吸収色素のモル濃度、
dは可飽和吸収色素含有層の厚さである)が、1以上で
あることを特徴とするものである。
長λにおける吸光度ε・ρ・d(但し、εは可飽和吸収
色素の分子吸光係数、ρは可飽和吸収色素のモル濃度、
dは可飽和吸収色素含有層の厚さである)が、1以上で
あることを特徴とするものである。
【0029】また、さらに、可飽和吸収色素含有層の再
生光波長の分子吸光係数εが40万以上であることを特
徴とするものである。
生光波長の分子吸光係数εが40万以上であることを特
徴とするものである。
【0030】本発明の光記録媒体は、情報信号に対応し
たピットパターンが凹凸形状として形成された基板上
に、少なくとも可飽和吸収色素含有層が形成されてなる
ものである。
たピットパターンが凹凸形状として形成された基板上
に、少なくとも可飽和吸収色素含有層が形成されてなる
ものである。
【0031】上記基板としては、ポリカーボネート基
板、ポリオレフィン基板等の高分子射出成形基板あるい
はガラス2P(フォトポリマー法)基板等が挙げられ
る。この基板上には、その1主面上に情報信号に対応し
たピットパターンが凹凸形状として形成される。そし
て、特にこの光記録媒体は、超解像メカニズムで再生が
行われることから、最短ピット長と最短ピット間隔の
和,すなわち最短ピット周期xが0.9・λ/NA>x
なる条件を満たすような、現行のコンパクト・ディスク
に比べて短い周期となされている。
板、ポリオレフィン基板等の高分子射出成形基板あるい
はガラス2P(フォトポリマー法)基板等が挙げられ
る。この基板上には、その1主面上に情報信号に対応し
たピットパターンが凹凸形状として形成される。そし
て、特にこの光記録媒体は、超解像メカニズムで再生が
行われることから、最短ピット長と最短ピット間隔の
和,すなわち最短ピット周期xが0.9・λ/NA>x
なる条件を満たすような、現行のコンパクト・ディスク
に比べて短い周期となされている。
【0032】上記可飽和吸収色素含有層は、超解像性を
発現させるための層であり、励起状態になると吸収率が
0となるような現象,すなわち可飽和吸収現象を呈する
色素材料と結合剤によって構成される。
発現させるための層であり、励起状態になると吸収率が
0となるような現象,すなわち可飽和吸収現象を呈する
色素材料と結合剤によって構成される。
【0033】色素材料としては、分子吸光係数ε(l/
mol・cm)が40万以上のものが望ましく、例えば
化1で表されるシリコンナフタロシアニン(Silic
on2,3−naphtalocyanine bis
(trihexylsililoxide:SiNC,
分子吸光係数50万)等が用いられる。また、結合剤と
しては化2で表されるポリフェニルメタクリレート(p
olyphenylmetacrylate)等が挙げ
られる。
mol・cm)が40万以上のものが望ましく、例えば
化1で表されるシリコンナフタロシアニン(Silic
on2,3−naphtalocyanine bis
(trihexylsililoxide:SiNC,
分子吸光係数50万)等が用いられる。また、結合剤と
しては化2で表されるポリフェニルメタクリレート(p
olyphenylmetacrylate)等が挙げ
られる。
【0034】
【化1】
【0035】
【化2】
【0036】上記可飽和吸収色素含有層は、このような
色素と結合剤を、溶媒に溶解して色素溶液を調製し、こ
れをスピンコートすることで形成される。色素溶液を調
製するための溶媒としては、化3で表されるシクロヘキ
サノン(cyclohexanone)等が適当であ
る。
色素と結合剤を、溶媒に溶解して色素溶液を調製し、こ
れをスピンコートすることで形成される。色素溶液を調
製するための溶媒としては、化3で表されるシクロヘキ
サノン(cyclohexanone)等が適当であ
る。
【0037】
【化3】
【0038】このような光記録媒体では、基板の凹凸形
状を、レーザ光を照射したときの反射光量変化を検出す
ることで識別し、信号再生が行われる。その信号再生は
以下のような超解像メカニズムでなされる。
状を、レーザ光を照射したときの反射光量変化を検出す
ることで識別し、信号再生が行われる。その信号再生は
以下のような超解像メカニズムでなされる。
【0039】上記光記録媒体に、再生光を照射すると、
再生光スポットには中心程光量が大きくなる光量分布が
あることから、このうちある一定量以上の光量となった
部分のみが強く可飽和吸収となる。この強く可飽和吸収
となった領域は、吸収率が低くなる、言い換えれば透過
率が高くなることからアパーチャとして機能する。した
がって、再生光スポット内に複数のピットが重複して存
在する場合でもこの可飽和吸収領域に存在するピットの
みが検出される。つまり、再生光学系のカットオフ空間
周波数2NA/λ近辺、さらにはそれよりも周波数の高
い情報信号に対応する微細なピットパターンからの信号
再生が可能である。
再生光スポットには中心程光量が大きくなる光量分布が
あることから、このうちある一定量以上の光量となった
部分のみが強く可飽和吸収となる。この強く可飽和吸収
となった領域は、吸収率が低くなる、言い換えれば透過
率が高くなることからアパーチャとして機能する。した
がって、再生光スポット内に複数のピットが重複して存
在する場合でもこの可飽和吸収領域に存在するピットの
みが検出される。つまり、再生光学系のカットオフ空間
周波数2NA/λ近辺、さらにはそれよりも周波数の高
い情報信号に対応する微細なピットパターンからの信号
再生が可能である。
【0040】本発明では、このような光記録媒体の可飽
和吸収色素含有層の厚さdを、0.5・λ/NA2 <d
<λ/NA2 なる条件を満たすように設定する。これに
よって、再生光の照射による可飽和吸収色素含有層や基
板の軟化を防止し、良好な再生信号が得られるものとす
る。なお、λ/NA2 とは再生光学系の焦点深度やビー
ム・ウェイスト長に相当するものである。
和吸収色素含有層の厚さdを、0.5・λ/NA2 <d
<λ/NA2 なる条件を満たすように設定する。これに
よって、再生光の照射による可飽和吸収色素含有層や基
板の軟化を防止し、良好な再生信号が得られるものとす
る。なお、λ/NA2 とは再生光学系の焦点深度やビー
ム・ウェイスト長に相当するものである。
【0041】まず、これまで可飽和吸収色素含有層の厚
さは、再生光学系の焦点深度の1/10以下に当たる2
00nm程度と薄く設定されている。これは、可飽和吸
収となる領域を、集光された再生光の近視野領域に抑
え、アパーチャを先鋭化させるためである。この近視野
領域の目安となるのがλ/NA2 で定義されるところの
焦点深度やビーム・ウェイスト長であり、可飽和吸収色
素含有層の厚さがこの焦点深度あるいはビーム・ウェイ
スト長を大幅に越えていると可飽和吸収が遠視野領域で
も起こり、アパーチャの大きさが広がってしまう。これ
では、可飽和吸収色素含有層を設ける意味が無い。
さは、再生光学系の焦点深度の1/10以下に当たる2
00nm程度と薄く設定されている。これは、可飽和吸
収となる領域を、集光された再生光の近視野領域に抑
え、アパーチャを先鋭化させるためである。この近視野
領域の目安となるのがλ/NA2 で定義されるところの
焦点深度やビーム・ウェイスト長であり、可飽和吸収色
素含有層の厚さがこの焦点深度あるいはビーム・ウェイ
スト長を大幅に越えていると可飽和吸収が遠視野領域で
も起こり、アパーチャの大きさが広がってしまう。これ
では、可飽和吸収色素含有層を設ける意味が無い。
【0042】このため、光モードの超解像媒体に限ら
ず、磁気カー効果を有する材料を用いるMSR媒体や相
変化材料を用いるPSR媒体においても同様に超解像性
を発現させるための層は上述のような薄い厚さで形成さ
れる。
ず、磁気カー効果を有する材料を用いるMSR媒体や相
変化材料を用いるPSR媒体においても同様に超解像性
を発現させるための層は上述のような薄い厚さで形成さ
れる。
【0043】しかし、可飽和吸収色素含有層において、
厚さをこのように薄くしながら、良好な超解像性が得ら
れるだけの吸光度を持たせようとすると、単位体積当り
の吸光量が大きくなり、その結果、単位体積当りの発熱
量も大きくなる。そして、可飽和吸収色素含有層で発生
した熱により可飽和吸収色素含有層自体が変形したり、
その熱が基板に伝導して当該基板を軟化させ、基板の形
状劣化を引き起こす。
厚さをこのように薄くしながら、良好な超解像性が得ら
れるだけの吸光度を持たせようとすると、単位体積当り
の吸光量が大きくなり、その結果、単位体積当りの発熱
量も大きくなる。そして、可飽和吸収色素含有層で発生
した熱により可飽和吸収色素含有層自体が変形したり、
その熱が基板に伝導して当該基板を軟化させ、基板の形
状劣化を引き起こす。
【0044】ここで、可飽和吸収色素含有層や基板の軟
化に対処する方法としては、再生パワーを比較的低く設
定したり、基板の材質として耐熱性の高いものを選択す
ることも考えられる。しかし、その程度の温度調整では
効果が小さく、やはり可飽和吸収色素含有層で発生した
熱によって、可飽和吸収色素含有層や基板は容易に軟化
温度を越えてしまう。また、可飽和吸収色素含有層に隣
接して熱伝導率の高いアルミニウム層を設け、これによ
って熱を外部に逃がす試みもなされている。ところが、
可飽和吸収色素含有層で通常用いられている結合剤は熱
伝導率が低いため、可飽和吸収色素含有層で発生した熱
は、アルミニウム層へ伝わり難く、基板への熱伝導を十
分に遮ることができない。
化に対処する方法としては、再生パワーを比較的低く設
定したり、基板の材質として耐熱性の高いものを選択す
ることも考えられる。しかし、その程度の温度調整では
効果が小さく、やはり可飽和吸収色素含有層で発生した
熱によって、可飽和吸収色素含有層や基板は容易に軟化
温度を越えてしまう。また、可飽和吸収色素含有層に隣
接して熱伝導率の高いアルミニウム層を設け、これによ
って熱を外部に逃がす試みもなされている。ところが、
可飽和吸収色素含有層で通常用いられている結合剤は熱
伝導率が低いため、可飽和吸収色素含有層で発生した熱
は、アルミニウム層へ伝わり難く、基板への熱伝導を十
分に遮ることができない。
【0045】そこで、本発明者等が可飽和吸収色素含有
層の膜厚について詳細に検討を行った結果、以下のこと
が判明した。
層の膜厚について詳細に検討を行った結果、以下のこと
が判明した。
【0046】すなわち、可飽和吸収色素含有層の厚さd
は焦点深度の1/10以下と過度に抑える必要はなく、
焦点深度に相当するλ/NA2 未満の範囲であれば可飽
和吸収となる領域は十分小さく抑えられる。
は焦点深度の1/10以下と過度に抑える必要はなく、
焦点深度に相当するλ/NA2 未満の範囲であれば可飽
和吸収となる領域は十分小さく抑えられる。
【0047】また、可飽和吸収色素含有層の吸光度はε
・ρ・d(但し、εは可飽和吸収色素の分子吸光係数、
ρは可飽和吸収色素のモル濃度、dは可飽和吸収色素含
有層の厚さである)であるので、可飽和吸収色素含有層
の厚さdの値が、例えば0.5・λ/NA2 を越えて大
きければ、その分色素濃度ρを小さく抑えても、吸光度
ε・ρ・dは十分高い値とすることができる。一方、色
素濃度ρが小さければ、可飽和吸収色素含有層の吸光係
数,消衰係数は小さい値になるので、単位体積当たりの
吸光量および発熱量は低下し、温度上昇率が大きく抑え
られる。
・ρ・d(但し、εは可飽和吸収色素の分子吸光係数、
ρは可飽和吸収色素のモル濃度、dは可飽和吸収色素含
有層の厚さである)であるので、可飽和吸収色素含有層
の厚さdの値が、例えば0.5・λ/NA2 を越えて大
きければ、その分色素濃度ρを小さく抑えても、吸光度
ε・ρ・dは十分高い値とすることができる。一方、色
素濃度ρが小さければ、可飽和吸収色素含有層の吸光係
数,消衰係数は小さい値になるので、単位体積当たりの
吸光量および発熱量は低下し、温度上昇率が大きく抑え
られる。
【0048】以上のように可飽和吸収色素含有層の厚さ
dを0.5・λ/NA2 <d<λ/NA2 なる条件を満
たすように設定すると、良好な超解像性能を維持しなが
ら、可飽和吸収色素含有層の単位体積当たりの発熱量が
小さく抑えられ、色素含有層や基板の軟化を防止するこ
とが可能となる。
dを0.5・λ/NA2 <d<λ/NA2 なる条件を満
たすように設定すると、良好な超解像性能を維持しなが
ら、可飽和吸収色素含有層の単位体積当たりの発熱量が
小さく抑えられ、色素含有層や基板の軟化を防止するこ
とが可能となる。
【0049】なお、可飽和吸収色素含有層の吸光度ε・
ρ・dは1以上とするのが望ましい。可飽和吸収色素含
有層では、吸光度ε・ρ・dが高い程、再生光スポット
中心に対する遠方で透過率がより低くなり、アパーチャ
の形状が先鋭化し、強い超解像性が得られるからであ
る。
ρ・dは1以上とするのが望ましい。可飽和吸収色素含
有層では、吸光度ε・ρ・dが高い程、再生光スポット
中心に対する遠方で透過率がより低くなり、アパーチャ
の形状が先鋭化し、強い超解像性が得られるからであ
る。
【0050】以上のような光記録媒体は、実際には可飽
和吸収色素含有層とともに再生光を反射させるための反
射層が設けられる。反射層は、例えばピットが形成され
た基板上に形成され、この反射層上に可飽和吸収色素含
有層が形成される。
和吸収色素含有層とともに再生光を反射させるための反
射層が設けられる。反射層は、例えばピットが形成され
た基板上に形成され、この反射層上に可飽和吸収色素含
有層が形成される。
【0051】このような構成では、再生光は可飽和吸収
色素含有層側から照射され、照射された光のうち可飽和
吸収色素含有層上のアパーチャを透過した光が反射層で
反射され、その反射光を検出することで信号再生がなさ
れる。
色素含有層側から照射され、照射された光のうち可飽和
吸収色素含有層上のアパーチャを透過した光が反射層で
反射され、その反射光を検出することで信号再生がなさ
れる。
【0052】反射層としては、アルミニウム薄膜、金薄
膜等に代表される真空薄膜作製法によって成膜された金
属薄膜、有機色素薄膜もしくは誘電体薄膜等が挙げられ
る。
膜等に代表される真空薄膜作製法によって成膜された金
属薄膜、有機色素薄膜もしくは誘電体薄膜等が挙げられ
る。
【0053】
【作用】本発明では、情報信号に対応したピットパター
ンが凹凸形状として形成された基板上に、少なくとも可
飽和吸収色素含有層が形成されてなる光記録媒体におい
て、上記可飽和吸収色素含有層の厚さdを、再生光学系
の対物レンズの開口数をNA、再生光波長をλとしたと
きに、0.5・λ/NA2 <d<λ/NA2 なる条件を
満たすように設定する。
ンが凹凸形状として形成された基板上に、少なくとも可
飽和吸収色素含有層が形成されてなる光記録媒体におい
て、上記可飽和吸収色素含有層の厚さdを、再生光学系
の対物レンズの開口数をNA、再生光波長をλとしたと
きに、0.5・λ/NA2 <d<λ/NA2 なる条件を
満たすように設定する。
【0054】可飽和吸収色素含有層の厚さが0.5・λ
/NA2 より厚いと、超解像の発現感度を確保すべく可
飽和吸収色素含有層の吸光度を1以上としても、再生光
を照射したときの当該可飽和吸収色素含有層の単位体積
当たりの発熱量は小さく抑えられ、可飽和吸収色素含有
層や基板の熱変形が防止される。
/NA2 より厚いと、超解像の発現感度を確保すべく可
飽和吸収色素含有層の吸光度を1以上としても、再生光
を照射したときの当該可飽和吸収色素含有層の単位体積
当たりの発熱量は小さく抑えられ、可飽和吸収色素含有
層や基板の熱変形が防止される。
【0055】また、可飽和吸収色素含有層の厚さがλ/
NA2 未満に抑えられていれば、可飽和吸収となる領域
は再生光スポットの遠視野領域にまで広がるといったこ
ともなく、先鋭なアパーチャが形成される。
NA2 未満に抑えられていれば、可飽和吸収となる領域
は再生光スポットの遠視野領域にまで広がるといったこ
ともなく、先鋭なアパーチャが形成される。
【0056】したがって、良好な超解像性能を維持しな
がら、レーザ光の照射による可飽和吸収色素含有層や基
板の軟化が防止され、再生特性に優れた超解像再生用の
光記録媒体が実現する。
がら、レーザ光の照射による可飽和吸収色素含有層や基
板の軟化が防止され、再生特性に優れた超解像再生用の
光記録媒体が実現する。
【0057】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について実験結
果に基づいて説明する。
果に基づいて説明する。
【0058】実施例1 本実施例で作製した光ディスクの構成を図1に示す。こ
の光ディスクは、ピットパターンが形成されたガラス2
P基板1上に、アルミニウム反射層2、可飽和吸収色素
含有層3が形成され、さらにこの上に接着剤層4を介し
てガラス保護板5が接着されて構成され、ガラス保護板
5側からレーザ光を照射することで信号再生が行われる
ものである。このような構成の光ディスクを以下のよう
にして作製した。
の光ディスクは、ピットパターンが形成されたガラス2
P基板1上に、アルミニウム反射層2、可飽和吸収色素
含有層3が形成され、さらにこの上に接着剤層4を介し
てガラス保護板5が接着されて構成され、ガラス保護板
5側からレーザ光を照射することで信号再生が行われる
ものである。このような構成の光ディスクを以下のよう
にして作製した。
【0059】まず、各種ピット長,ピット間隔でピット
が形成されているガラス2P基板1上に、厚さ0.2μ
mのアルミニウム反射層2を蒸着法により成膜した。
が形成されているガラス2P基板1上に、厚さ0.2μ
mのアルミニウム反射層2を蒸着法により成膜した。
【0060】次に、このアルミニウム反射層2上に、厚
さが1.5μmの可飽和吸収色素含有層3をスピンコー
ト法により形成した。
さが1.5μmの可飽和吸収色素含有層3をスピンコー
ト法により形成した。
【0061】ここで、スピンコートに用いた色素溶液
は、シリコンナフタロシアニンとポリフェニルメタクリ
レートを、シクロヘキサノンに溶解させたものである。
可飽和吸収色素含有層の吸光度(OD)は、この色素溶
液の濃度を制御することで0.5,0.9または1.2
に調整した。
は、シリコンナフタロシアニンとポリフェニルメタクリ
レートを、シクロヘキサノンに溶解させたものである。
可飽和吸収色素含有層の吸光度(OD)は、この色素溶
液の濃度を制御することで0.5,0.9または1.2
に調整した。
【0062】また、可飽和吸収色素含有層3の厚さ1.
5μmは、再生光学系の焦点深度(λ/NA2 =780
/0.52 =3μm)の50%に相当する。
5μmは、再生光学系の焦点深度(λ/NA2 =780
/0.52 =3μm)の50%に相当する。
【0063】そして、この可飽和吸収色素含有層3上
に、厚さ1.2mmのガラス保護板5を厚さ〜5μmの
接着剤層4を介して貼り付け、光ディスクを作製した。
に、厚さ1.2mmのガラス保護板5を厚さ〜5μmの
接着剤層4を介して貼り付け、光ディスクを作製した。
【0064】実施例2 可飽和吸収色素含有層の厚さを再生光学系の焦点深度の
70%に相当する2.1μmに設定したこと以外は実施
例1と同様にして光ディスクを作製した。
70%に相当する2.1μmに設定したこと以外は実施
例1と同様にして光ディスクを作製した。
【0065】実施例3 可飽和吸収色素含有層の厚さを再生光学系の焦点深度の
90%に相当する2.7μmに設定したこと以外は実施
例1と同様にして光ディスクを作製した。
90%に相当する2.7μmに設定したこと以外は実施
例1と同様にして光ディスクを作製した。
【0066】比較例1 可飽和吸収色素含有層の厚さを再生光学系の焦点深度の
6%に相当する0.2μmに設定したこと以外は実施例
1と同様にして光ディスクを作製した。
6%に相当する0.2μmに設定したこと以外は実施例
1と同様にして光ディスクを作製した。
【0067】以上のようにして作製された光ディスクに
ついて再生特性を評価した。
ついて再生特性を評価した。
【0068】再生特性の評価には、対物レンズの開口数
NAが0.5、再生光波長λが783nmの光学ピック
アップ装置を用いた。この光学ピックアップ装置の理論
上のカットオフ周波数は1277mm-1,カットオフ周
期は0.783μmである。なおフォーカスサーボはフ
ーコー法、トラックサーボはプッシュプル法である。ま
た、スペクトラムアナライザとしては、アドバンテスト
社製,商品名TR4171を用いた。
NAが0.5、再生光波長λが783nmの光学ピック
アップ装置を用いた。この光学ピックアップ装置の理論
上のカットオフ周波数は1277mm-1,カットオフ周
期は0.783μmである。なおフォーカスサーボはフ
ーコー法、トラックサーボはプッシュプル法である。ま
た、スペクトラムアナライザとしては、アドバンテスト
社製,商品名TR4171を用いた。
【0069】まず、実施例2で作製したもののうち、可
飽和吸収色素含有層の吸光度を1.2に調整した光ディ
スクについて、ピット長、ピット間隔がともに0.3μ
m,0.4μm,0.5μm,0.8μm及び2.0μ
mのピット列のキャリア出力を測定した。ピットの空間
周波数とキャリア出力の関係を図2に、再生出力とキャ
リア出力の関係を図3に示す。なお、ディスクの線速度
は1m/秒である。
飽和吸収色素含有層の吸光度を1.2に調整した光ディ
スクについて、ピット長、ピット間隔がともに0.3μ
m,0.4μm,0.5μm,0.8μm及び2.0μ
mのピット列のキャリア出力を測定した。ピットの空間
周波数とキャリア出力の関係を図2に、再生出力とキャ
リア出力の関係を図3に示す。なお、ディスクの線速度
は1m/秒である。
【0070】図2,図3からわかるように、この光ディ
スクでは、0.4μmピット列、0.3μmピット列の
ようにピット周期がカットオフ周期近辺、さらにはそれ
より短い場合であっても、キャリア信号が再生出力に依
存して増加するといった典型的な再生出力依存性が得ら
れる。このことから、この可飽和吸収色素含有層の膜厚
が2.1μm、吸光度が1.2の光ディスクは、超解像
性が発現されることがわかる。
スクでは、0.4μmピット列、0.3μmピット列の
ようにピット周期がカットオフ周期近辺、さらにはそれ
より短い場合であっても、キャリア信号が再生出力に依
存して増加するといった典型的な再生出力依存性が得ら
れる。このことから、この可飽和吸収色素含有層の膜厚
が2.1μm、吸光度が1.2の光ディスクは、超解像
性が発現されることがわかる。
【0071】次に、作製された各光ディスクについて、
CDで記録されているEFM信号をピット列方向に1/
2圧縮した信号(以下、2倍密度EFM信号と称する)
の再生を行い、アイパターンを観測した。
CDで記録されているEFM信号をピット列方向に1/
2圧縮した信号(以下、2倍密度EFM信号と称する)
の再生を行い、アイパターンを観測した。
【0072】上記2倍密度EFM信号は、最短ピット長
が0.41μm、最短ピット間隔が0.41μmであ
り、最短周期が0.82μmである。これは、上記光学
ピックアップ装置におけるカットオフ空間周波数の逆数
の約105%に相当する。
が0.41μm、最短ピット間隔が0.41μmであ
り、最短周期が0.82μmである。これは、上記光学
ピックアップ装置におけるカットオフ空間周波数の逆数
の約105%に相当する。
【0073】また、測定条件は、線速度1m/秒、再生
出力10mWである。
出力10mWである。
【0074】典型的なアイパターンを図4に、また各光
ディスクで観測されたアイパターンの評価結果を表1に
示す。なお、表中、○は図4に示すような理想的なアイ
パターンが観測された場合、△はアイパターンは観測さ
れるが、アイの開き具合がクリアでない場合、×はアイ
が開かず、アイパターンが確認されない場合である。
ディスクで観測されたアイパターンの評価結果を表1に
示す。なお、表中、○は図4に示すような理想的なアイ
パターンが観測された場合、△はアイパターンは観測さ
れるが、アイの開き具合がクリアでない場合、×はアイ
が開かず、アイパターンが確認されない場合である。
【0075】
【表1】
【0076】表1に示すように、可飽和吸収色素含有層
の膜厚を1.5μm,2.1μm,2.7μmとした実
施例1〜実施例3の光ディスクでは、可飽和吸収色素含
有層の吸光度をある程度大きくすることで理想的なアイ
パターンが観測されるようになる。そのようなアイパタ
ーンは1000回以上再生を繰り返しても同様に観測さ
れる。
の膜厚を1.5μm,2.1μm,2.7μmとした実
施例1〜実施例3の光ディスクでは、可飽和吸収色素含
有層の吸光度をある程度大きくすることで理想的なアイ
パターンが観測されるようになる。そのようなアイパタ
ーンは1000回以上再生を繰り返しても同様に観測さ
れる。
【0077】これに対して、可飽和吸収色素含有層の膜
厚を0.2μmとした比較例1の光ディスクは、可飽和
吸収色素含有層がいずれの吸光度であっても、アイパタ
ーンが確認されず、信号再生が行えない。
厚を0.2μmとした比較例1の光ディスクは、可飽和
吸収色素含有層がいずれの吸光度であっても、アイパタ
ーンが確認されず、信号再生が行えない。
【0078】このことから、可飽和吸収色素含有層を有
する光ディスクにおいて、可飽和吸収色素含有層の膜厚
dをある程度厚くすること、すなわち0.5・λ/NA
2 <d<λ/NA2 を満たすように設定することは再生
特性を改善する上で有効であることがわかる。
する光ディスクにおいて、可飽和吸収色素含有層の膜厚
dをある程度厚くすること、すなわち0.5・λ/NA
2 <d<λ/NA2 を満たすように設定することは再生
特性を改善する上で有効であることがわかる。
【0079】なお、以上の結果から示されるように、可
飽和吸収色素含有層の厚さを上記範囲に設定した場合で
も、その吸光度が余り小さいと良好な信号再生が行えな
い。したがって、可飽和吸収色素含有層の吸光度は1以
上に調整するのが望ましい。但し、これは線速度が1.
0m/秒付近の場合であり、線速度が異なってくるとこ
の吸光度の適正値も多少異なる範囲になる。例えば、線
速度を0.6m/秒にすると、可飽和吸収色素含有層の
吸光度が0.9であってもクリアなアイパターンが観測
される。したがって、可飽和吸収色素含有層の吸光度は
このような測定条件との兼ね合いから設定するのが良
い。
飽和吸収色素含有層の厚さを上記範囲に設定した場合で
も、その吸光度が余り小さいと良好な信号再生が行えな
い。したがって、可飽和吸収色素含有層の吸光度は1以
上に調整するのが望ましい。但し、これは線速度が1.
0m/秒付近の場合であり、線速度が異なってくるとこ
の吸光度の適正値も多少異なる範囲になる。例えば、線
速度を0.6m/秒にすると、可飽和吸収色素含有層の
吸光度が0.9であってもクリアなアイパターンが観測
される。したがって、可飽和吸収色素含有層の吸光度は
このような測定条件との兼ね合いから設定するのが良
い。
【0080】また、本実施例では、可飽和吸収色素含有
層に含有させる色素として分子吸光係数εが50万のシ
リコンナフタロシアニンを用いているが、その代わりに
分子吸光係数εが30万のシアニン色素(日本感光色素
社製 商品名NK2421)を用いると、クリアなアイ
パターンを検出するのが難しくなる。したがって、可飽
和吸収色素含有層に含有させる色素としては、分子吸光
係数εがシリコンナフタロシアニンのように高いもの、
すなわち40万以上のものを用いるのが好ましい。
層に含有させる色素として分子吸光係数εが50万のシ
リコンナフタロシアニンを用いているが、その代わりに
分子吸光係数εが30万のシアニン色素(日本感光色素
社製 商品名NK2421)を用いると、クリアなアイ
パターンを検出するのが難しくなる。したがって、可飽
和吸収色素含有層に含有させる色素としては、分子吸光
係数εがシリコンナフタロシアニンのように高いもの、
すなわち40万以上のものを用いるのが好ましい。
【0081】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の光記録媒体は、情報信号に対応したピットパターン
が凹凸形状として形成された基板上に、少なくとも可飽
和吸収色素含有層が形成され、上記可飽和吸収色素含有
層の厚さdが、再生光学系の対物レンズの開口数をN
A、再生光波長をλとしたときに、0.5・λ/NA2
<d<λ/NA2 なる条件を満たすように設定されてい
るので、レーザ光の照射による可飽和吸収色素含有層や
基板の軟化が防止でき、再生光学系のカットオフ周期λ
/2NA程度あるいはそれよりも短い周期でピットが形
成された微細ピットパターンから良好な再生信号を得る
ことが可能である。
明の光記録媒体は、情報信号に対応したピットパターン
が凹凸形状として形成された基板上に、少なくとも可飽
和吸収色素含有層が形成され、上記可飽和吸収色素含有
層の厚さdが、再生光学系の対物レンズの開口数をN
A、再生光波長をλとしたときに、0.5・λ/NA2
<d<λ/NA2 なる条件を満たすように設定されてい
るので、レーザ光の照射による可飽和吸収色素含有層や
基板の軟化が防止でき、再生光学系のカットオフ周期λ
/2NA程度あるいはそれよりも短い周期でピットが形
成された微細ピットパターンから良好な再生信号を得る
ことが可能である。
【図1】本発明を適用した光記録媒体の一構成例を示す
要部概略断面図である。
要部概略断面図である。
【図2】各種再生出力における、空間周波数とキャリア
レベルの関係を示す特性図である。
レベルの関係を示す特性図である。
【図3】各種ピット列における、再生出力とキャリアレ
ベルの関係を示す特性図である。
ベルの関係を示す特性図である。
【図4】光記録媒体の典型的なアイパターンを示す模式
図である。
図である。
1 ガラス2P基板 2 可飽和吸収色素含有層 3 アルミニウム反射層
Claims (5)
- 【請求項1】 情報信号に対応したピットパターンが凹
凸形状として形成された基板上に、少なくとも可飽和吸
収色素含有層が形成されてなる光記録媒体において、上
記可飽和吸収色素含有層の厚さdが、再生光学系の対物
レンズの開口数をNA、再生光波長をλとしたときに、 0.5・λ/NA2 <d<λ/NA2 なる条件を満たすことを特徴とする光記録媒体。 - 【請求項2】 基板上に反射層を介して可飽和吸収色素
含有層が形成されていることを特徴とする請求項1記載
の光記録媒体。 - 【請求項3】 基板上に形成されたピットパターンの最
短ピット長と最短ピット間隔の和xが、再生光学系の対
物レンズの開口数をNA、再生光波長をλとしたとき
に、 0.9・λ/NA>x なる条件を満たすことを特徴とする請求項1または請求
項2記載の光記録媒体。 - 【請求項4】 可飽和吸収色素含有層の再生光波長λに
おける吸光度ε・ρ・d(但し、εは可飽和吸収色素の
分子吸光係数、ρは可飽和吸収色素のモル濃度、dは可
飽和吸収色素含有層の厚さである)が、1以上であるこ
とを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3記載
の光記録媒体。 - 【請求項5】 可飽和吸収色素含有層に含有される色素
の再生光波長における分子吸光係数εが40万以上であ
ることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3また
は請求項4記載の光記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6221462A JPH0887776A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 光記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6221462A JPH0887776A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 光記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0887776A true JPH0887776A (ja) | 1996-04-02 |
Family
ID=16767103
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6221462A Withdrawn JPH0887776A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 光記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0887776A (ja) |
-
1994
- 1994-09-16 JP JP6221462A patent/JPH0887776A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20011120 |