JP3602589B2 - 光記録媒体および光記録方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、記録密度の高い光記録媒体と光記録方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
光記録媒体には、光磁気記録ディスクや相変化型光記録ディスク等の書き換え可能型光記録ディスク、有機色素を記録材料に用いた追記型光記録ディスクなどがある。
【0003】
光記録媒体は磁気記録媒体に比べ一般に記録密度を高くすることができるが、近年、画像等の膨大な情報の処理のためにさらに記録密度を高くすることが必要とされている。単位面積あたりの記録密度を高くするためには、トラックピッチを狭める方法と記録マーク間を縮めて線密度を高くする方法とがある。しかし、再生光のビームスポットに対しトラック密度や線密度が高すぎる場合、C/Nが低くなってしまい、ついには信号再生が不可能となってしまう。信号再生時の分解能はビームスポット径によって決定され、具体的には、再生光の波長をλ、再生装置の光学系の開口数をNAとしたとき、一般にカットオフ空間周波数2NA/λが再生限界となる。したがって、再生時のC/N向上や分解能向上のために再生光の短波長化やNA増大が有効であり、多くの技術的検討がなされているが、これらを導入するためには様々な技術的課題を解決する必要がある。
【0004】
このような事情から、特開平2−96926号公報では、超解像を実現する非線形光学材料の層を有する記録担体を提案している。この非線形光学材料とは、その光学的特性が入射する放射によって変化する材料であり、その変化としては、透過率、反射率、屈折率の変化、またはその層の形状の変化が挙げられている。このような非線形光学材料層を通して情報面に再生光ビームを照射することにより、より小さな対象物の部分を読み出すことが可能になる。
【0005】
同公報には、非線形光学材料層としてブリーチング層が開示されている。ブリーチング層は、入射する放射の強度の増大と共に透過が増大するものであり、ブリーチング層に用いる材料としては、ガリウム砒素、インジウム砒素およびインジウムアンチモンが具体的に挙げられている。しかし、これらからなる非線形光学材料層は、吸収中心すべてを励起する必要があるため、高エネルギー密度の再生光が必要であり、材料設計および媒体設計が容易でない。
【0006】
また、同公報には、非線形光学材料層に相変化材料を用いることができる旨が開示されており、相変化材料の具体例としてGaSbおよびInSbが挙げられている。同公報には、「この種の材料の複素屈折率は、非晶質から結晶質又はその逆の変換を発生させるレベル以下の強度の照射の場合であっても、これらの材料の層を本発明の非線形層に用いることが出来るのに充分な程度の大きさに温度に依存して変化することが見い出された」という記述がある。同公報には、このような複素屈折率の変化が生じる理由は明記されていないが、この複素屈折率変化は非線形光学材料層の結晶−結晶間転移を含むものであると推定される。この場合には非線形光学材料を溶融する必要がないので低パワーの再生光を使用することができる。しかし、GaSbは30℃付近の低温または590℃付近の高温に結晶−結晶間転移温度が存在し、InSbは150℃付近の低温または500℃付近の高温に結晶−結晶間転移温度が存在する。これらの相変化材料において高温側の転移温度を利用する場合には高パワーの再生光を使う必要があり、前述したような問題が生じる。一方、低温側の転移温度を利用する場合には、再生光は低パワーで済むが、GaSbでは転移温度が著しく低いため安定した再生が実質的に不可能である。InSbも転移温度が低いため、非線形光学材料層の冷却速度が遅くなって熱がマスク層付近にこもり、このため見掛け上のビームスポット径が大きくなって、超解像再生には不利になる。
【0007】
特開平5−89511号公報、特開平5−109117号公報、特開平5−109119号公報には、光学的に読み出し可能な位相ピットが形成された透明基板上に、温度によって反射率が変化する材料層を形成した光ディスクが開示されている。前記材料層は、特開平2−96926号公報における非線形材料層とほぼ同様な作用により、再生光波長λと対物レンズの開口数NAによる制限以上の高解像度を得るためのものである。しかし、前記材料層は、再生時に結晶から液体または非晶質から液体となる変化が必要なので、高パワーの再生光が必要となってしまう。
【0008】
特開平6−111369号公報には、エネルギービームの照射によって情報の追加記録や書き換えができる書き込み可能型光ディスクにおいて、記録膜に加えて、無機物の層に挟まれたマスク層を少なくとも一層設けた記録用部材が記載されている。このマスク層として、色素を含んだ層または融点300℃以下の無機物層が例示されており、同公報の実施例1では、ナフタロシアニン色素が含まれた厚さ300nmの有機物層を、また、実施例2では、厚さ25nmのTe20Se80相変化マスク層を、それぞれZnS−SiO2 中間層とNi−Cr反射層との間に設けている。同公報における有機物層は、再生光ビーム照射による色素の吸収飽和を利用して再生光ビームスポット径を絞るものであり、また、無機物層は、溶融することにより再生光ビームスポット径を絞るものである。
【0009】
特開平6−111330号公報には、非線形光学効果層により光スポットを絞って高密度光記録再生を行なう方法が記載されている。
【0010】
第55回応用物理学会予稿集19p−K−5には、有機色素のもつ光学非線形性により誘起される超解像現象を利用して、回折限界以上に高密度記録された信号を再生する方法が記載されている。また、同予稿集19a−S−7には、有機色素系非線形材料からなるマスク層(ヒートモード)を用いることにより、ROM再生用のリア・アパーチャー(後方開口)型ディスク超解像を実現した旨が記載されている。
【0011】
以上に挙げたように、従来の高密度記録再生法では、空間周波数2NA/λで表わされる光学的な再生限界を、可逆的なマスク効果を示す層を設けることによって超えようとするものであり、いずれもマスク効果を示す層に再生光を照射するたびにある種の変化を生じさせる必要があるので、繰り返し再生に対する耐久性が低くなってしまう。また、一般的に高パワーの再生光が必要となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、再生光の短波長化や再生装置の光学系の開口数の増大以外の方法で光記録媒体の高密度情報の記録および再生を可能とし、しかも、繰り返し再生に対する特性の劣化を防ぐことである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(7)のいずれかの構成により達成される。
(1) 基体表面上に、マスク層、記録層および反射層をこの順で有し、
マスク層は、低結晶性半導体合金から形成されており、基体を通した記録光ビーム照射により、マスク層の厚さの不可逆的減少によって光透過率が増加した再生用窓が形成されると共に、記録マークが記録層に形成される光記録媒体。
(2) 基体表面上に、下部誘電体層、マスク層、上部誘電体層、記録層および反射層をこの順で有する上記(1)の光記録媒体。
(3) マスク層の融点が100〜700℃である上記(1)または(2)の光記録媒体。
(4) マスク層が、Ge、Ga、Te、Sn、In、Se、SbおよびAsから選択される少なくとも1種の元素を含む合金である上記(1)〜(3)のいずれかの光記録媒体。
(5) マスク層がGe−Te合金から構成される上記(4)の光記録媒体。
(6) マスク層が50原子%以下のGeを含むGe−Te合金から構成される上記(5)の光記録媒体。
(7) 基体表面上に、マスク層、記録層および反射層をこの順で有し、
マスク層は、低結晶性半導体合金から形成されており、この光記録媒体に対し、基体を通して記録光ビームを照射することにより、マスク層の厚さを不可逆的に減少させて光透過率の増加した再生用窓を形成すると共に記録層に記録マークを形成する光記録方法。
【0014】
【作用および効果】
本発明の光記録媒体の構成例を図1に示す。本発明の光記録媒体では、記録光ビームは基体2を通して照射される。図1に示す構成の光記録媒体では、記録光照射によりマスク層32の厚さが不可逆的に減少して多重反射条件が変化し、この部位での光透過率が高くなって再生用窓30となる。そして、再生用窓30が形成されると共に、記録層4には記録マーク40が形成される。記録光ビームスポットは、マスク層面においてガウス分布に近似した強度分布を有するため、再生用窓形成に必要な温度上昇が生じる領域の径は、波長λおよび開口数NAによって決まるスポット径よりも小さくなる。このため、再生用窓の径は記録光ビームスポット径よりも小径となる。したがって、再生用窓および記録マークの存在密度をその光学的限界よりも高くすることができる。
【0015】
従来、光学的な再生限界を超えた密度の記録マークを再生する場合、マスク層の再生光ビームスポット中央付近だけをヒートモードやフォトンモードで変化させて多重反射条件を可逆的に変化させ、再生対象の記録マークだけに再生光を照射しかつ隣接する記録マークへの照射を防ぐ必要があると考えられていた。しかし、本発明者らは、記録光ビーム照射によってマスク層を不可逆的に変化させることにより光学的な微小開口を形成して再生用窓とし、これを通して再生光を照射することにより、再生光のビームスポット内に複数の再生用窓が存在するような高密度記録がなされている場合であっても、光学的な再生限界を超えた再生が可能であることを見いだした。
【0016】
本発明では、再生時にマスク層を変化させる必要がないため、再生によるマスク層の変質が防げ、繰り返し再生に対する耐久性が良好となる。また、低パワーの再生光が利用可能となるので、媒体各部への負担が少なく、各部の材料の選択の自由度も高くなる。
【0017】
【具体的構成】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0018】
本発明の光記録媒体は、基体表面上に、マスク層、記録層および反射層をこの順で有し、基体を通した記録光ビーム照射により、不可逆的変化によって光透過率が増加した再生用窓がマスク層に形成されると共に、記録マークが記録層に形成されるものである。
【0019】
本発明の光記録媒体の構成例を、図1に示す。図1に示す光記録媒体1は、基体2表面上に、下部誘電体層31、マスク層32、上部誘電体層33、記録層4および反射層6をこの順で有し、さらに、記録層4と反射層6との間に誘電体層5を、反射層6上に保護層7を有する。
【0020】
図1に示す構成の光記録媒体では、基体2を通して記録光および再生光が照射される。
【0021】
基体は、記録光および再生光に対して実質的に透明である樹脂やガラスから構成することが好ましい。具体的には、樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂を用いればよい。基体の形状および寸法は特に限定されないが、通常、ディスク状であり、その厚さは、通常、0.2〜3mm程度、直径は50〜360mm程度である。基体の表面には、トラッキング用やアドレス用等のためのグルーブ等を設けてもよい。
【0022】
記録光照射によりマスク層32の照射部位は温度が上昇するため、圧力が急激に上昇して膨張する。マスク層32は、下部誘電体層31と上部誘電体層33とに挟まれているため、主として面内方向に膨張して照射部位の厚さが減少する。このとき、通常、図示のように下部誘電体層31と上部誘電体層33とが変形してほとんど接触した状態となり、マスク層32の厚さがほぼゼロとなる。また、このとき、通常、記録層4、誘電体層5、反射層6などにも変形が生じ、樹脂基体を用いた場合には、基体2にも変形が生じる。このようにマスク層32の厚さが減少して多重反射条件が変化した領域が、再生用窓30となる。再生用窓におけるマスク層32の厚さは、前述した作用による再生が可能となるものであればよく、特に限定されないが、未記録部の厚さに対し、通常、50%以下、好ましくは30%以下である。なお、媒体各部にこのような変形が生じていることは、透過型電子顕微鏡や走査トンネル顕微鏡などにより確認することができる。
【0023】
記録光のレーザビームは、マスク層32付近に合焦するように照射するが、通常、記録マーク40の径も記録光のビームスポットよりも小さくすることが可能である。
【0024】
本発明では再生用窓30を通して記録層4の記録マーク40を読み出すため、再生用窓において光透過率が高くなる必要があり、かつ、再生用窓以外では光透過率が低い必要がある。このためには、最適な多重反射条件となるように各層の厚さおよび屈折率を適宜選択する。
【0025】
記録光ビームのスポット径に対して再生用窓の径を小さくするためには、マスク層の体積膨張率の温度依存性が非線形的であることが好ましい。すなわち、記録光ビームスポットの中央付近の高温領域において体積膨張率が急激に高くなるように、高温において体積膨張率が高い組成の材料を用いることが好ましい。具体的には、マスク層の融点付近の高温領域において、体積膨張率が5×10−5/deg 以上であることが好ましい。マスク層の融点は、好ましくは100〜700℃、より好ましくは200〜600℃である。マスク層の融点が高すぎると高パワーの記録光が必要であり、マスク層の融点が低すぎると、再生時にマスク層が変化してしまうおそれがある。
【0026】
マスク層の組成は特に限定されないが、低結晶性半導体系合金であることが好ましい。低結晶性とは、スパッタ法などにより非晶質状の薄膜を形成し、これを加熱した場合、容易に結晶化しないことを意味する。低結晶性合金を用いることにより、マスク層の形状変化以外の要素を排除することができる。このような合金としては、Ge、Ga、Te、Sn、In、Se、SbおよびAsから選択される少なくとも1種の元素を含むものが好ましく、特に、Ge−Te合金が好ましい。Ge−Te合金のGe含有率は、好ましくは50原子%以下、より好ましくは35原子%以下であり、好ましくは5原子%以上である。このような合金は、上述した体積膨張率の点でも好ましい。Ge含有率が高すぎると融点が高くなってしまう。Ge含有率が低すぎると、転移点付近での体積膨張率の温度依存性が小さくなってしまい、上述した効果が得られにくい。なお、Ge−Te合金中には、30原子%以下の範囲でGa、Sn、In、Se、Sb、As等やその他の元素が含まれていてもよい。
【0027】
マスク層の好ましい厚さは、その組成や他の層の構成によっても異なるが、好ましくは3〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。マスク層が薄すぎると再生用窓以外でのマスク効果が不十分となり、厚すぎると再生用窓の形成に大きなパワーが必要となってしまう。
【0028】
マスク層の形成方法は特に限定されず、スパッタ法や蒸着法などから適宜選択すればよい。
【0029】
マスク層32は、下部誘電体層31と上部誘電体層33とに挟まれている。このような構成とすることにより、上記した作用による再生用窓の形成が容易となる。各誘電体層の構成材料は特に限定されず、例えば、SiO2 や、SiO2 とZnSとの混合物、La、Si、OおよびNを含有するいわゆるLaSiON、Si、Al、OおよびNを含有するいわゆるSiAlON、Yを含有するSiAlON、NdSiONなどを用いればよい。各誘電体層の厚さは特に限定されず、上述した効果が十分に発揮できるように適宜決定すればよいが、通常、各誘電体層の厚さは10〜100nmとすることが好ましい。各誘電体層は、スパッタ法や蒸着法等の気相成長法により形成することが好ましい。
【0030】
本発明の効果は記録層4の構成には依存しない。例えば、希土類元素−遷移元素合金系等の光磁気型の記録層を有する光磁気記録媒体、Sb2 Se3 等の非晶質−結晶間相変化を利用する相変化型の記録層を有する光記録媒体、シアニン色素等の有機色素を記録材料に用いた追記型の記録層を有する光記録媒体などのいずれにも本発明を適用することができるが、本発明では上述したように不可逆的な変化により再生用窓を形成するので、記録層が書き換え可能型のものであっても本発明の光記録媒体は追記型として用いられる。記録層の厚さは、その組成などに応じて適宜決定すればよい。
【0031】
図示例では、相変化型の記録層を用いているため、記録層4と反射層6との間に誘電体層5を設けている。誘電体層5は、前述した下部誘電体層や上部誘電体層と同様にして形成すればよい。
【0032】
反射層6は、媒体からの反射光量を増加させるために設けられる。反射層の材質は特に限定されず、通常、Al、Au、Ag、Pt、Cu等の単体あるいはこれらの1種以上を含む合金などの高反射率金属から構成すればよい。反射層の厚さは、30〜150nmとすることが好ましい。反射層が薄すぎると十分な反射率が得にくくなる。反射層を厚くしても反射率の向上は小さく、コスト的に不利になる。反射層は、スパッタ法や蒸着法等の気相成長法により形成することが好ましい。
【0033】
保護層7は、耐擦傷性や耐食性の向上のために設けられる。この保護層は種々の有機系の物質から構成されることが好ましいが、特に、放射線硬化型化合物やその組成物を、電子線、紫外線等の放射線により硬化させた物質から構成されることが好ましい。保護層の厚さは、通常、0.1〜100μm 程度であり、スピンコート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等、通常の方法により形成すればよい。
【0034】
記録光および再生光のパワーは特に限定されず、媒体の構成および媒体に対する各光のビームスポットの相対線速度によっても異なるので、実験的に決定すればよい。各ビームスポットに対する媒体の相対線速度は特に限定されず、前述した作用による記録および再生が可能なように適宜設定すればよいが、通常、1〜20m/s 程度である。
【0035】
なお、以上では、マスク層の厚さが不可逆的に変化する構成の媒体について説明したが、本発明ではこの構成に限らず、マスク層の記録光ビーム照射部が不可逆的に変化して多重反射条件が変化し、これにより上記再生用窓に相当するものが形成される構成であればよい。例えば、記録光波長に吸収を有する色素等を用いてマスク層を形成し、記録光照射により熱分解させて光学定数を変化させ、かつ再生光照射時にはこのような変化が生じないようにすれば、再生用窓として利用することができる。また、相変化材料をマスク層に用いても、同様にして再生用窓の形成が可能である。ただし、機能が高くしかも安定性の良好な再生用窓が形成できることから、前述したようにマスク層の厚さを減少させる構成が好ましい。
【0036】
また、以上では基体の片面だけに記録部を設けた片面型媒体について説明したが、記録部を内封するように一対の片面型媒体を張り合わせて両面型の媒体としてもよい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0038】
<実施例1>
射出成形によりトラックピッチが1.6μm となるようにグルーブを同時形成した直径130mm、厚さ1.2mmのディスク状ポリカーボネート基体の表面に、下部誘電体層(厚さ20nmのSiO2 )、マスク層(厚さ25nmのGe30Te70)、上部誘電体層(厚さ20nmのSiO2 )、相変化型の記録層(厚さ17nmのAg9 Sb55Te30In5 V1 合金)、誘電体層(厚さ20nmのZnS−SiO2 )、反射層(厚さ100nmのAu)および保護層(厚さ5μm の紫外線硬化型樹脂)を順次形成して、本発明の光記録ディスクサンプルを作製した。
【0039】
また、下部誘電体層、マスク層および上部誘電体層を設けず、替わりに基体と記録層との間に誘電体層(厚さ170nmのZnS−SiO2 )を設けた他は上記と同様にして、比較サンプルを作製した。
【0040】
各誘電体層、マスク層、記録層および反射層は、スパッタ法により形成した。
【0041】
各サンプルを線速度2.8m/s で回転させながら信号を記録した。記録レーザ光の波長λは780nm、光学系の開口数NAは0.5とし、カットオフ空間周波数2NA/λを超える記録マーク(0.35μm 長マーク)を形成するために、4MHz の信号を記録した。バイアスパワーは3mWとし、記録パワーPW が15mWとなるように変調したレーザ光を記録光とした。なお、これらのサンプルは、記録マークの反射率が低下するタイプである。
【0042】
次に、再生パワーPR を表1に示すように変えながら、各サンプルの再生を行なってC/Nを測定した。再生光の波長および光学系の開口数は記録時と同じとした。本発明サンプルのC/Nから比較サンプルのC/Nを減じた値(ΔC/N)を、表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から、本発明サンプルでは、マスク層を設けない比較サンプルよりも著しく高いC/Nが得られることがわかる。しかも、このときに必要とされる再生パワーは、2.5〜3.5mWという低いものである。なお、再生パワー2mW以下で本発明サンプルのC/Nがそれほど高くないのは、構成層数が多いために媒体としての光反射率がやや低いためであると考えられる。
【0045】
記録後の本発明サンプルを酸処理して、下部誘電体層31、マスク層32および上部誘電体層33からなる積層体を単離した。この積層体の透過型電子顕微鏡写真を、図2に示す。この写真から、記録レーザ光照射によりマスク層の厚さが減少した再生用窓が形成されていることがわかる。
【0046】
また、記録後の本発明サンプルの記録層4から上側の層を剥離し、上部誘電体層33の表面を走査トンネル顕微鏡により測定したところ、再生用窓では深さ5〜8nmの陥没が確認された。
【0047】
以上の実施例の結果から、本発明の効果が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の構成例を示す部分断面図である。
【図2】記録後の下部誘電体層31、マスク層32および上部誘電体層33からなる積層体の透過型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
2 基体
30 再生用窓
31 下部誘電体層
32 マスク層
33 上部誘電体層
4 記録層
40 記録マーク
5 誘電体層
6 反射層
7 保護層
Claims (7)
- 基体表面上に、マスク層、記録層および反射層をこの順で有し、
マスク層は、低結晶性半導体合金から形成されており、基体を通した記録光ビーム照射により、マスク層の厚さの不可逆的減少によって光透過率が増加した再生用窓が形成されると共に、記録マークが記録層に形成される光記録媒体。 - 基体表面上に、下部誘電体層、マスク層、上部誘電体層、記録層および反射層をこの順で有する請求項1の光記録媒体。
- マスク層の融点が100〜700℃である請求項1または2の光記録媒体。
- マスク層が、Ge、Ga、Te、Sn、In、Se、SbおよびAsから選択される少なくとも1種の元素を含む合金である請求項1〜3のいずれかの光記録媒体。
- マスク層がGe−Te合金から構成される請求項4の光記録媒体。
- マスク層が50原子%以下のGeを含むGe−Te合金から構成される請求項5の光記録媒体。
- 基体表面上に、マスク層、記録層および反射層をこの順で有し、
マスク層は、低結晶性半導体合金から形成されており、この光記録媒体に対し、基体を通して記録光ビームを照射することにより、マスク層の厚さを不可逆的に減少させて光透過率の増加した再生用窓を形成すると共に記録層に記録マークを形成する光記録方法。
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