JPH0887040A - 高分子非線形光学材料 - Google Patents

高分子非線形光学材料

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JPH0887040A
JPH0887040A JP22183794A JP22183794A JPH0887040A JP H0887040 A JPH0887040 A JP H0887040A JP 22183794 A JP22183794 A JP 22183794A JP 22183794 A JP22183794 A JP 22183794A JP H0887040 A JPH0887040 A JP H0887040A
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JP
Japan
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group
polymer
nonlinear optical
electron
nlo
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JP22183794A
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English (en)
Inventor
Masaaki Tsuchimori
正昭 土森
Shinichi Ogata
眞一 小形
Osamu Watanabe
修 渡辺
Akane Okada
茜 岡田
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 NLO分子同士が会合するのを抑制して優れ
た光学的非線形性が得られる高分子非線形光学材料とす
る。 【構成】 高分子のマトリックスと、π電子共役系に少
なくとも1つの電子供与基と少なくとも1つの電子吸引
基との結合を有しマトリックス中に分散保持された光学
的非線形性成分と、からなる高分子非線形光学材料にお
いて、光学的非線形性成分はメチル基より嵩高い置換基
を有する高分子非線形光学材料。置換基としてトリフル
オロメチル基を導入したものは非線形光学定数が高く経
時変化の少ない高分子非線形光学材料が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の光学素子への応
用が可能な高分子非線形光学材料に関する。詳しくは、
電気光学効果、光高調波発生、光双安定性などの非線形
光学効果を利用した、光スイッチ、光変調器、波長変換
素子、光演算素子などの光学素子において重要な、高い
光学的非線形性を示す高分子非線形光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機非線形光学材料においては、
π電子共役系に少なくとも1つの電子供与基と電子吸引
基とが結合した非線形光学成分が知られている。たとえ
ば、特開昭63−175837号公報あるいは特開平2
−115827号公報には、光学的非線形性(以下NL
Oと略称する)を示す成分を、ポリウレタンなどの高分
子の主鎖中に結合させることにより高分子マトリックス
中のNLO成分の含有量を高めた材料を、電場配向処理
によりNLO成分を配向させてある程度大きな光学的非
線形性を発現させる高分子非線形光学材料が開示されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はさらに大きな
非線形光学効果を発現する光学材料を提供することを課
題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来の非線
形光学材料を研究した結果、次のような見解にいたっ
た。すなわち、NLO分子はπ電子共役系が平面構造を
有し、かつ電子供与基と電子吸引基とが結合して分子内
で自発分極しているため、高分子マトリックス中に多量
のNLO分子が存在するとNLO分子同士が平面積層状
に会合ないしは凝集してこの分極を打ち消そうとする傾
向がある。そしてこのようなNLO分子同士が会合した
状態となると、外部電場によってもこの会合が解けるこ
とはないと考えた。そして、NLO分子同士の会合を抑
制することにより大きな非線形光学効果を発現する光学
材料が得られると考え、NLO分子の会合を阻害する嵩
高い置換基を導入することに着眼し本発明を完成したも
のである。
【0005】すなわち、本発明の高分子非線形光学材料
は、高分子のマトリックスと、π電子共役系に少なくと
も1つの電子供与基と少なくとも1つの電子吸引基との
結合を有し該マトリックス中に分散保持された光学的非
線形性成分と、からなる高分子非線形光学材料におい
て、該光学的非線形性成分はメチル基より嵩高い置換基
を有することを特徴とする。
【0006】本発明のNLO成分は、高分子マトリック
スと結合しているか、あるいは高分子マトリックス中に
分散保持されている。NLO成分には、π電子共役系に
メチル基より嵩高くNLO性に影響を及ぼさない置換基
が結合されており、この置換基が立体障害の効果によっ
て、NLO成分同士が分極性を打ち消すように平面層状
に会合するのを抑制している。その結果、本発明の高分
子非線形光学材料は、優れたNLO特性を長く保持する
ことができる。
【0007】本発明で利用可能な高分子のマトリックス
は、特に限定がなく、材料の用途に応じて要求される機
械的、化学的性質や透明性、コストなどに見合った高分
子材料が選択できる。たとえば、ウレタン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリシラス
スチレン、ポリアリレート、ポリスルホンなどの熱可塑
性樹脂、フエノール樹脂などの熱硬化性樹脂が利用でき
る。これらの高分子は成膜あるいは成形可能な程度の分
子量を備えておればよい。
【0008】NLO成分としては、π電子共役系に電子
吸引基と電子供与基とが結合して構成されており、これ
に嵩高い置換基が導入されて結合している。π電子共役
系としては、ポリエン構造、アゾベンゼン、スチルベ
ン、ビフェニール、ベンジリデンアニリンなどが、電子
供与基としては、アミノ基、ジアルキルアミノ基、メト
キシ基などが、電子吸引基としては、ニトロ基、シアノ
基、カルボキシル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0009】π電子共役系に結合する置換基は、NLO
分子同士が互いに分子内の分極を打ち消す様に平面積層
状構造に会合するのを防ぐもので、たとえば、メチル基
より嵩高いイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル
基、シクロアルキル基、ハロアルキル基などが挙げら
れ、特にトリフルオロメチル基は効果が顕著であるので
より好ましい。メチル基は、ここで言う置換基としては
嵩高さがやや不足し、必ずしも十分な効果が得られな
い。
【0010】NLO成分としては、たとえば、4−N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−4’−シア
ノ−2−メチル−3’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ
−4’−ニトロ−2−メチル−3’−トリフルオロメチ
ルアゾベンゼン、4−N,N−ビス(2−ヒドロキシエ
チル)アミノ−4’−ニトロ−2−メチル−3’−トリ
フルオロメチルスチルベン、4−N,N−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)アミノ−2−メチル−2’−ニトロ−
4’−トリフルオロメチルアゾベンゼン、4−(N−2
−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ−4’−ニト
ロ−2−トリフルオロメチルアゾベンゼン、4−(N−
2−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ−4’−ニ
トロ−2’−トリフルオロメチルアゾベンゼン、4−
(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ−
4’−ニトロ−3−トリフルオロメチルアゾベンゼン、
4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−3’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−2−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−2’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−3−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−3’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ンなどが利用できる。
【0011】この高分子非線形光学材料は、通常、成形
後にポーリング処理をおこなって使用される。すなわ
ち、スピンコート、射出成形、押出成形などにより材料
を所定の形状に成形した後、材料中のNLO成分が分子
運動できる温度に加熱しながら電場を加えて、NLO成
分を配向させる。次に電場を加えたまま、材料中のNL
O成分が分子運動できなくなる温度まで冷却する。これ
により、高分子非線形光学材料が得られる。
【0012】
【作用】本発明においては、メチル基より嵩高い置換基
が、電子供与基と電子吸引基とを結合したπ電子共役系
構造のNLO分子に直接結合している。その結果、π電
子共役系同士がNLO特性を打ち消すような平面積層状
に会合するのを阻止でき、優れたNLO特性を発揮する
ことができる。また、このNLO特性を長期間保持する
ことができる。
【0013】また、このNLO分子は、高分子マトリッ
クス中に分散している場合でも、あるいは高分子マトリ
ックスに結合している場合でも、前記メチル基より嵩高
い置換基が結合しているかぎり同様な効果を示す。しか
し、相対的な意味では、NLO成分は高分子マトリック
スに直接結合している方が会合の阻止がより有効であ
り、さらに、高分子マトリックスの主鎖がフレキシブル
のものより硬直なものである方がより効果的である。ま
た、高分子マトリックスとNLO分子との親和性を考慮
すると高分子に結合している方がより望ましいと推測さ
れる。
【0014】この置換基は、メチル基より嵩高いアルキ
ル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基がより効果的
にNLO分子の平面積層状の会合を阻止できる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。下記
の各例において、分子構造の確認は赤外線スペクトルと
1Hの核磁気共鳴スペクトルによりおこなった。融点お
よびガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計によりお
こなった。非線形光学特性は、第二高調波発生により求
めたd定数により評価した。入射基本波としてパルスの
Nd:YAGレザー(波長;1064nm,パルス幅;
7nsec,繰り返し発振周波数;10Hz)を用い
た。標準試料には石英結晶(d11=0.5pm/V)を
使用した。屈折率は、偏光解析法により測定した。
【0016】(実施例1)5−アミノ−2−シアノベン
ゾトリフルオライド5.05gを水55mlと36%塩
酸水溶液25mlとエタノール80mlとの混合液に溶
解させて4℃に冷却した。上記の溶解混合液に亞硝酸ナ
トリウム2.06gを水10mlに溶かした液を加え
て、4℃に保って2時間攪拌を続けた。さらにこの混合
溶解液中に、m−トリルジエタノールアミン5.30g
を水70mlと36%塩酸水溶液4mlとエタノール2
0mlとの混合液に溶解した液を35分間かけて反応液
の温度が上昇しない程度の速さで徐々に添加した後、4
℃で20分間攪拌を続けた。さらに、25℃で60分間
攪拌して反応させた。この反応混合液に水酸化カリウム
19.2gを110mlの水に溶解した液を添加して中
和し、反応生成物を析出させた。析出反応生成物を濾別
し水洗して乾燥させた。この生成物をエタノールとn−
ヘキサンの1:1の混合液から再結晶して(化1式)に
示す4−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ
−4’−シアノ−2−メチル−3’−トリフルオロメチ
ルアゾベンゼンを得た(収率;71%、融点;167
℃)。
【0017】
【化1】
【0018】化1式の化合物0.816gとトリレン−
2、4−ジイソシアネート0.362gとをN,N−ジ
メチルアセトアミド15mlに溶解して、110℃で3
時間攪拌した。反応液を300mlのエタノール中に投
入して沈殿析出したポリマーを濾別した。このポリマー
はさらに、200mlのエタノール中で30分間還流し
た後、減圧乾燥して(化2式)の構造で示されるウレタ
ン結合を主鎖とするポリマーを得た(収率;51%、ガ
ラス転移温度;107℃、1−メチル−2−ピロリドン
中での固有粘度;0.10dl/g,吸収極大波長;4
64nm)。
【0019】
【化2】
【0020】このポリマーは、π電子共役系のアゾベン
ゼンに電子供与基であるジアルキルアミノ基と電子吸引
基であるアミノ基とが結合し、置換基としてトリフルオ
ロメチル基が結合した構造を有する。この化2式のポリ
マー0.1gを2mlのピリジンに溶解し回転数200
0rpmの条件でスライドガラス上にスピンコートし、
厚さ0.10μmの薄膜を形成した。これをアルミニウ
ムの平板電極上にのせて150℃に加熱し、平板電極か
ら15mmの距離に垂直に設置した針電極と平板電極と
の間に20kVの電圧を加えた。電圧を加え始めてから
2分後、加熱を停止し、電圧を加えたまま室温まで冷却
した。電圧印加を停止した直後の非線形光学定数d33
測定したところ180pm/Vという高い値が得られ
た。
【0021】この薄膜試料を室温で放置し所定の時間経
過した後、再び非線形光学定数d33を測定し成膜直後に
測定した値の%表示で表したのが図1の○印のグラフで
ある。これにより、実施例1のポリマーのNLO特性の
経時変化が少ないことを示している。 (比較例1)p−アミノベンゾニトリル5.91gを水
100mlと36%塩酸水溶液45mlの混合液に溶解
させて4℃に冷却した。上記の溶解混合液に亞硝酸ナト
リウム3.80gを水18mlに溶かした液を加えて、
4℃に保って1時間攪拌を続けた。さらにこの混合溶解
液中に、m−トリルジエタノールアミン9.06gを水
125mlと36%塩酸水溶液7.5mlの混合液に溶
解した液を45分間かけて反応液の温度が上昇しない程
度に徐々に添加した後、4℃で20分間攪拌し、さらに
25℃で90分間攪拌を続けた。この反応混合液に水酸
化カリウム35.4gを200mlの水に溶解した液で
中和して反応生成物を析出させた。析出反応生成物を濾
別し水洗して乾燥させた。この生成物をエタノールから
再結晶して(化3式)に示される4−N,N−ビス(2
−ヒドロキシエチル)アミノ−4’−シアノ−2−メチ
ルアゾベンゼンを得た(収率;74%、融点;159
℃)。
【0022】
【化3】
【0023】化3式の化合物0.749gとトリレン−
2,4−ジイソシアネート0.402gとをN,N−ジ
メチルアセトアミド15mlに溶解して、110℃で1
9時間攪拌した。反応液を300mlのエタノール中に
投入して沈殿析出したポリマーを濾別した。このポリマ
ーはさらに、200mlのエタノール中で30分間還流
した後、減圧乾燥して(化4式)の構造で示されるポリ
マーを得た(収率;74%、ガラス転移温度;116
℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.
10dl/g,吸収極大波長;443nm)。
【0024】
【化4】
【0025】このポリマーは実施例1と比較してNLO
成分に置換基としてメチル基が結合しているのみでトリ
フルオロメチル基は結合していない。この化4式のポリ
マー0.1gを2mlのピリジンに溶解した液を回転数
2000rpmの条件でスライドガラス上にスピンコー
トし、厚さ0.20μmの薄膜を作製した。これに実施
例1と同様のコロナポーリング処理を施した。電圧印加
を停止した直後の非線形光学定数d33を測定したところ
100pm/vであり実施例1に比べて低い値である。
【0026】実施例1と同様に非線形光学定数の経時変
化を測定した結果のグラフを図1の■で示した。図1に
示すように経時変化による低下が著しい。すなわち、N
LO分子の会合によるものと推測される。 (実施例2)実施例1で合成した化1式の化合物0.7
50gと塩化テレフタロイル0.388gとを1、2−
ジクロルエタン10mlとピリジン1mlとの混合液に
溶解させて、70℃で4.5時間攪拌した。反応混合物
を400mlのエタノール中に投入して、沈殿ポリマー
を濾別した後、減圧乾燥して(化5式)で示されるポリ
マーを得た(収率:85%、ガラス転移温度:119
℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有粘度:0.
09dl/g)。
【0027】
【化5】
【0028】このポリマーはNLO成分として、π電子
共役系のアゾベンゼンに電子供与基のジアルキルアミノ
基と電子吸引基のシアノ基とメチル基より嵩高い置換基
としてトリフルオロメチル基が結合している。また高分
子マトリックスはポリエステルである。1、2−ジクロ
ロエタンとクロロホルムとの混合液3mlに化5式のポ
リマー0.1gを溶解した溶液を回転数1000rpm
の条件でスライドガラス上にスピンコートし、厚さ0.
06μmの薄膜を作製した。これに加熱温度を130℃
にしたこと以外は実施例1と同様のコロナポーリング処
理をほどこした。電圧印加を停止した直後の非線形光学
定数d33を測定したところ、200pm/Vという実施
例1と同様に高い値が得られた。
【0029】この薄膜試料を室温で放置し所定の時間経
過後、再び非線形光学定数d33を測定し成膜直後に測定
した値の%表示で表したのが図2の○印のグラフであ
る。これにより、実施例2のポリマーのNLO特性の経
時変化が少ないことを示している。 (比較例2)比較例1で合成した化3式の化合物0.7
50gと塩化テレフタロイル0.469gとを1、2−
ジクロロエタン10mlとピリジン1mlとの混合液に
溶解させて、70℃で6時間攪拌した。反応混合物を3
00mlのエタノール中に投入して、生成した沈殿ポリ
マーを濾別した後、減圧乾燥して化6式で示されるポリ
マーを得た(収率;92%、ガラス転移温度;120
℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有粘度:0.
12dl/g、吸収極大波長;438nm)。
【0030】
【化6】
【0031】このポリマーは実施例2と比較してNLO
成分に置換基としてメチル基が結合しているのみでメチ
ル基より嵩高いトリフルオロメチル基は結合していな
い。1,2−ジクロロエタン4mlに化6式のポリマー
0.1gを溶かした溶液を回転数2000rpmの条件
でスライドガラス上にスピンコートし、厚さ0.17μ
mの薄膜を作製した。これに実施例1と同様のコロナポ
ーリング処理を施した。電圧印加を停止した直後の非線
形定数d33を測定したところ100pm/vであり実施
例2と比べて低い値である。
【0032】実施例1と同様に非線形光学定数の経時変
化を測定した結果のグラフを図2の■で示した。図2に
示すように経時変化による低下が著しい。すなわち、N
LO分子の会合によるものと推測される。 (実施例3)実施例1で合成した化1式の化合物0.7
34gと塩化4、4’−ビフェニルジカルボニル0.5
22gとを1,2−ジクロロエタン10mlとピリジン
1mlとの混合液に溶解させて、70℃で8時間攪拌し
た。反応混合物を300mlのエタノール中に投入して
沈殿析出したポリマーを濾別した。減圧乾燥して以下の
構造式 化8式で示されるポリマーを得た(収率;78
%,ガラス転移温度;118℃)。
【0033】
【化7】
【0034】このポリマーはNLO成分として、π電子
共役系のアゾベンゼンに電子供与基であるジアルキルア
ミノ基と電子吸引基であるシアノ基が結合し、置換基と
してメチル基とトリフルオロメチル基が結合してNLO
成分が平面状に会合するのを阻止する構造を有してい
る。高分子マトリックスはビフェニールのポリエステル
である。
【0035】このポリマー0.04gをピリジンとクロ
ロホルムとの混合液2mlに溶かした溶液を回転数50
0rpmの条件でスライドガラス上にスピンコートし、
厚さ0.22μmの薄膜を作製した。これに加熱温度を
130℃にすること以外は実施例1と同様なコロナポー
リング処理を施した。電圧印加を停止した直後の非線形
光学定数d33を測定したところ150pm/Vという値
が得られた。
【0036】この薄膜試料を室温で放置し所定の時間経
過後、再び非線形光学定数d33を測定し成膜直後に測定
した値の%表示で表したのが図3の○印のグラフであ
る。これにより、実施例3のポリマーは高分子マトリッ
クスがビフェニールと硬直でありNLO分子の分子運動
も抑制されやすくNLO特性の経時変化が少ないことを
示している。
【0037】(実施例4)4−アミノ−3−ニトロベン
ゾトリフルオライド10.31gを水100mlと36
%塩酸水溶液45mlとエタノール400mlとの混合
液に溶解させて3℃に冷却した。上記の溶解混合液に亞
硝酸ナトリウム3.80gを水18mlに溶かした液を
加えて、3℃に保って2時間攪拌を続けた。さらにこの
溶解混合液中に、m−トリルジエタノールアミン9.7
6gを水125mlと36%塩酸水溶液7.5mlとの
混合液に溶解した液を20分間かけて反応液の温度が上
昇しない程度の速さで徐々に添加した後、3℃で30分
間攪拌を続けた。さらに25℃で60分間攪拌して反応
させた。この反応混合液に水酸化カリウム35.4gを
700mlの水に溶解した液を加えて中和して反応生成
物を析出させた。析出生成物を濾別し水洗して乾燥させ
た。この生成物はエタノールとn−ヘキサンの1:1の
混合液から再結晶して(化9式)に示される4−N,N
−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチル−
2’−ニトロ−4’−トリフルオロメチルアゾベンゼン
を得た(収率;25%)。
【0038】
【化8】
【0039】上記のNLO成分の合成方法に基づきP−
ニトロアニリンの2または3位にトリフルオロメチル基
の結合した化合物を用い、ジアゾカップリングする相手
の化合物をトリジエタノールアミンのアミノ基の置換基
が異なる(N−ヒドロキシエチル−N−エチル,N−シ
アノエチル−N−エチル)化合物を用いて化9式、化1
0式に示すようなNLO成分を合成した。いずれも嵩高
いトリフルオロメチル基がπ電子共役系に結合してい
る。
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】上記のNLO成分の具体例を挙げると、
(4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミ
ノ−4’−ニトロ−2−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル)ア
ミノ−4’−ニトロ−2’−トリフルオロメチルアゾベ
ンゼン、4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチ
ル)アミノ−4’−ニトロ−3−トリフルオロメチルア
ゾベンゼン、4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エ
チル)アミノ−4’−ニトロ−3’−トリフルオロメチ
ルアゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N−エ
チル)アミノ−4’−ニトロ−2−トリフルオロメチル
アゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチ
ル)アミノ−4’−ニトロ−2’−トリフルオロメチル
アゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチ
ル)アミノ−4’−ニトロ−3−トリフルオロメチルア
ゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチ
ル)アミノ−4’−ニトロ−3’−トリフルオロメチル
アゾベンゼン)などである。
【0043】高分子マトリックス成分としては、ポリメ
チルメタクリレート、ポリシラスチレン、ポリアリレー
ト、ポリスルホンなどを選び、上記のNLO成分とポリ
マーとが重量比で1:9になるようにクロロホルムにそ
れぞれ溶解した。得られた溶液を用いてスライドガラス
上にスピンコートした。得られた各ポリマー薄膜にポー
リング処理を施したところいずれもNLO性を示した。
これはNLO成分にトリフルオロメチル基を含むことに
よるものと推測される。
【0044】(参考例)2−メチル−4−ニトロアニリ
ン7.61gを水100mlと36%塩酸水溶液45m
lとの混合液に溶解させて4℃に冷却した。上記の溶解
混合液に水18mlに溶かした亞硝酸ナトリウム3.8
0gを加えて、4℃に保って1時間攪拌を続けた。さら
にこの溶解混合液中に、水125mlと36%塩酸水溶
液7.5mlとの混合液にN−フェニルジエタノールア
ミン9.06gを溶解した液を30分間かけて反応液の
温度が上昇しない程度に徐々に添加した後、4℃で30
分間攪拌を続けた。この反応混合液を35.4gの水酸
化カリウムを200mlの水に溶解した液で中和して反
応生成物を析出させた。生成物を濾別し水洗して乾燥さ
せた。この生成物はエタノールから再結晶を2回繰り返
して(化11式)に示される4−N,N−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)アミノ−2’−メチル−4’−ニトロ
アゾベンゼンを得た(収率;51%、融点;176
℃)。
【0045】
【化11】
【0046】上記のN−フェニルジエタノールアミンの
代わりにm−トリルジエタノールアミンを用いて以下の
4−N,N−ビス(2−ヒドキシエチル)アミノ−2、
2’−ジメチル−4’−ニトロアゾベンゼンを得た(収
率;80%,融点;169℃)。上記のN−フェニルジ
エタノールアミンの代わりにN−フェニルジエタノール
アミンを用いて4−N,N−ビス(2−ヒドキシエチ
ル)アミノ−4’−ニトロアゾベンゼンを得た(収率;
58%)。
【0047】上記の3種の化合物をN,N−ジメチルア
セトアミド中で4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネートと反応させてウレタン結合を形成したポリマーを
得た。
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】
【0051】実施例1と同様の方法により光学非線形定
数を測定したところ 置換基のない化14は、100pm/V 1000時間
後80pm/V メチル基1の化12は、150pm/V 1000時間
後130pm/V メチル基2の化13は、140pm/V 1000時間
後130pm/V であり置換基がメチル基でも効果はあるが嵩高さが少な
いため、会合阻止の力は弱い。外部電場によってもその
会合が解けることなく、その結果NLO成分の配向度が
低く抑えられたためと考えられる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、π電子共役系にメチル
基より嵩高い置換基を結合させたことによりNLO成分
が平面積層状に会合ないしは凝集するのが有効に防止で
きるので、NLO性に優れ、さらにNLO特性が経時的
に劣化することを防ぐことができる。このため非線形光
学素子として有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は実施例1と比較例1との室温放置条件
下で放置したときのd定数変化を示すグラフである。
【図2】この図は実施例2と比較例2との室温放置条件
下で放置したときのd定数変化を示すグラフである。
【図3】この図は実施例3の室温放置条件下で放置した
ときのd定数変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 修 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 岡田 茜 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子のマトリックスと、π電子共役系
    に少なくとも1つの電子供与基と少なくとも1つの電子
    吸引基との結合を有し該マトリックス中に分散保持され
    た光学的非線形性成分と、からなる高分子非線形光学材
    料において、 該光学的非線形性成分はメチル基より嵩高い置換基を有
    することを特徴とする高分子非線形光学材料。
  2. 【請求項2】 該置換基はメチル基を除くアルキル基、
    シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基から
    選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項
    1記載の高分子非線形光学材料。
  3. 【請求項3】 該光学的非線形性成分の骨格は、4−
    (N,N−ジアルキルアミノ)−4’−ニトロスチルベ
    ン、4−(N,N−ジアルキルアミノ)−4’−ニトロ
    アゾベンゼン、4−(N,N−ジアルキルアミノ)−
    4’−シアノアゾベンゼンから選ばれることを特徴とす
    る請求項1記載の高分子非線形光学材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001098177A (ja) * 1999-09-20 2001-04-10 Ciba Specialty Chem Holding Inc アゾ染料、それらの製造方法及び疎水性繊維材料の染色又は捺染でのそれらの使用
EP1368679A4 (en) * 2001-02-06 2005-08-31 Battelle Memorial Institute FUNCTIONAL MATERIALS FOR USE IN OPTICAL SYSTEMS
US7747128B2 (en) 2007-09-03 2010-06-29 Fuji Xerox Co., Ltd. Waveguide device

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