JPH0886636A - シールド工法における前方異常物体の位置および形状計測方法 - Google Patents

シールド工法における前方異常物体の位置および形状計測方法

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JPH0886636A
JPH0886636A JP22121294A JP22121294A JPH0886636A JP H0886636 A JPH0886636 A JP H0886636A JP 22121294 A JP22121294 A JP 22121294A JP 22121294 A JP22121294 A JP 22121294A JP H0886636 A JPH0886636 A JP H0886636A
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shape
abnormal object
abnormal
wave
transmitter
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JP22121294A
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English (en)
Inventor
Shogo Tanaka
正吾 田中
Yukihiro Terada
幸博 寺田
Masao Kinoshita
正生 木下
Akiharu Kitamura
暁晴 北村
Hiromi Hasegawa
裕己 長谷川
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Hitachi Zosen Corp
Original Assignee
Hitachi Zosen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 前方に埋設された異常物体の位置および形状
を正確に検出する。 【構成】 トンネルの掘削に際し、音波を使用して、前
方の地中内に埋設されている除去すべき異常物体の位置
および形状を計測する計測方法であって、まず予測し得
る異常物体からの受波信号波形をモデル化するととも
に、このモデル化された予測受波信号波形と実際の受波
信号波形とのパターン・マッチングを行い、異常物体ま
での距離を求めるとともに、この距離に基づき、音波の
送波器、異常物体14および音波の受波器13とにおい
て、音波の経路に関するスネルの法則を使用して反射点
を求めることにより異常物体の位置および形状を求める
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シールド工法における
前方異常物体の位置および形状計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地下鉄工事、電力ケーブルなどの埋設工
事を行う際のシールド工法においては、トンネル掘削機
により地下トンネルが掘削される。このとき、掘削機前
方に掘削不可能な寸法の岩石、地下構造物、地上建築物
の基礎杭、建築後に地中に残された鋼材、コンクリート
塊などが存在し、それに気づかずに掘削を続けると、掘
削機が破損するだけでなく、それらの除去や掘削機の修
理のために工期の大幅な遅れが生じる。
【0003】このため、掘削機前方に埋設する異常物体
の位置を検知するために、例えば音響センサが使用され
ており、掘削機の前面に設けられた音波発振器から音波
が発射され、そして異常物体で反射された反射波を検出
することにより、異常物体の検知が行われていた。
【0004】ところで、通常、地中には、破砕が困難な
除去すべき異常物体の他に、破砕可能な大小の石が散在
しており、上記の音響センサによると、このような、大
小の石まで検知してしまうとともに、例えば医療用装置
などに用いられるような反射波の受波時刻だけを包絡線
形状により検出する方式では、雑音のため誤差が大きく
なったり、または複数の異常物体がある場合には、1つ
の異常物体だけしか認識できなかったりして、実際に除
去すべき異常物体の位置を正確に検知することができな
かった。
【0005】そこで、本発明者等は、上記のような欠点
を解消し得る前方異常物体の自動検知方法を、既に、提
案した(特願平5−257389号参照)。この前方異
常物体の自動検知方法は、トンネルの掘削に際して、前
方の地中内に埋設されている除去すべき異常物体を、音
波を使用して、自動的に検知する方法であって、まず予
測し得る異常物体の受波信号波形をモデル化するととも
に、このモデル化された予測受波信号波形と実際の受波
信号波形とのパターン・マッチングを行い、通常埋設物
体と異常物体とを区別する方法であり、破砕可能な石な
どの通常埋設物体と異常物体とを確実に区別することが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の前方異
常物体の自動検知方法によると、送受波器側の異常物体
表面上の反射点の位置座標で代表される異常物体の位置
決定しか行われず、したがって異常物体の正確な形状お
よびこれに基づく正確な異常物体の位置の計測が困難で
あるという問題があった。
【0007】そこで、本発明は上記問題を解消し得るシ
ールド工法における前方異常物体の位置および形状計測
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のシールド工法における前方異常物体の位置
および形状計測方法は、シールド工法によりトンネルを
掘削するに際し、音波を使用して、前方の地中内に埋設
されている除去すべき異常物体の位置および形状を計測
する計測方法であって、まず予測し得る異常物体からの
受波信号波形をモデル化するとともに、このモデル化さ
れた予測受波信号波形と実際の受波信号波形とのパター
ン・マッチングを行い、異常物体までの距離を求めると
ともに、この距離に基づき、音波の送波器、異常物体お
よび音波の受波器とにおいて、音波の経路に関するスネ
ルの法則を使用して反射点を求めることにより異常物体
の位置および形状を求める方法である。
【0009】また、上記課題を解決するため、本発明の
シールド工法における前方異常物体の形状計測方法は、
シールド工法によりトンネルを掘削するに際し、音波を
使用して、前方の地中内に埋設されている除去すべき異
常物体の位置および形状を計測する計測方法であって、
まず予測し得る異常物体からの受波信号波形をモデル化
するとともに、このモデル化された予測受波信号波形と
実際の受波信号波形とのパターン・マッチングを行い、
異常物体までの距離を求めるとともに、音波の送波器、
形状を仮定した異常物体および音波の受波器とにおい
て、音波の経路に関するスネルの法則を使用して反射点
を求め、これらの位置を形状に対応するパラメータを含
む評価式に代入し、最小二乗法を適用するとともに、最
小二乗値を最小にするパラメータを求め、このパラメー
タの値に対応する形状が、異常物体の形状であると判断
する方法である。
【0010】
【作用】上記の構成によると、予測し得る異常物体から
の受波信号波形をモデル化するとともに、このモデル化
された予測受波信号波形と実際の受波信号波形とのパタ
ーン・マッチングを行い、異常物体までの距離を求める
とともに、この距離に基づき、音波の送波器、異常物体
および音波の受波器とにおいて、音波の経路に関するス
ネルの法則を使用して反射点を求めるようにしているた
め、異常物体の位置を正確に求めることができる。
【0011】さらに、形状を仮定して算出した反射点の
位置座標を、形状に対応するパラメータを含む評価式に
代入するとともに、最小二乗法により、最小の最小二乗
値を与えるパラメータを求め、このパラメータの値に対
応する形状が、異常物体の形状であると判断するように
しているので、異常物体の形状を精度良く検出すること
ができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図7に基づ
き説明する。本発明の要旨は、トンネル掘削機によりト
ンネルを掘削するに際して、前方地中内に埋設されてい
る除去すべき異常物体(前方異常物体で、例えば掘削不
可能または掘削が困難な岩石、地下構造物、地上建築物
の基礎杭、建築後に地中に残された鋼材、コンクリート
塊などである)を、音波を使用して、地中に散在する破
砕可能な石などの通常埋設物体と自動的に区別するに際
し、受波信号波形からの正確な反射波受波時刻の決定だ
けではなく、送波・反射波の経路にスネル(Snell) の法
則を利用し、送受波器の位置座標および音速伝播時間の
データに基づき、異常物体の形状計測およびより精密な
位置を決定することを目的とするものである。
【0013】通常、送受波器から異常物体までの距離情
報を得るには、音波を異常物体に向けて発射(送波)し
たとき、その送波時刻から反射波の受波時刻までの音波
伝播時間を計測する必要がある。このためには、受波器
で得られる受波波形を分析し、複数個の異常物体からの
反射波を分離、あるいは掘削機の空洞共振による直接伝
播波からの分離を正確に行う必要がある。これは、この
とき送波される音波の周波数が数kHzオーダーと医療
用の超音波映像装置に比べて極端に小さく、そのため反
射波が互いに重畳する場合が多くなるからである。
【0014】このように、医療用装置で用いられてきた
受波信号波形の包絡線を利用した方法では、受波時刻の
検出に大きな誤差が生じる。また、最悪の場合には、複
数個の異常物体を1個の異常物体とみなしたり、あるい
は異常物体が近距離にあった場合には、掘削機本体の空
洞共振波形に異常物体の反射波が隠れ、したがって異常
物体が検知できず大きな災害を引き起こすという危険性
がある。
【0015】このような観点から、既に提案した前方異
常物体の自動検知方法では、送波器と受波器に対してダ
イナミクスモデルを構成し、これに基づき受波器に現れ
る反射波受波予測信号波形を作成し、これとのマッチン
グを考えることにより、受波環境が悪い場合でも、正確
な受波時刻の検出を可能にしている。
【0016】ところで、反射波の予測モデル作成に際し
ては、送波器、受波器がそれぞれ電気信号を音圧信号
に、また音圧信号を電気信号に変換する音響振動子を有
する変換器(transducer)であることから、送波電気信
号を入力、受波電気信号を出力としたときの伝達関数
は、下記(1) 式のように表すことができる。
【0017】
【数1】
【0018】ζi j,ωi j(1≦i≦2)はそれぞれ二次
減衰振動系の減衰係数、固有角周波数を表す。これら減
衰係数や固有角周波数は、音響振動子の形状、材質およ
びこれにつながる電気回路の特性だけでなく、音響振動
子が接している土面の状況や質にも影響されるので、こ
れらは観測点毎に値の変わる未知パラメータとみなすこ
とができる。
【0019】さらに、無駄時間要素の無駄時間Tj は送
波から受波に至るまでの音波伝播時間であり、これら未
知パラメータは以下に述べる二つの実波形ベクトルおよ
び予測波形ベクトルのマッチングを図ることにより、観
測点毎に求められる(ゲインKi jは、波形のマッチング
においては意味を持たないので、考慮しない)。
【0020】一方、送波器に入力される電気信号u
(t)は、
【0021】
【数2】
【0022】(pは波数)で表され、結局、上述のモデ
ルの下では、受波器に出力される電気信号は、次式で表
される。
【0023】
【数3】
【0024】ここで、U(s) はu(t) のラプラス変換、
-1はラプラス逆変換を表している。トンネル掘削を行
う場合、掘削機に近い異常物体から順番に検知、除去で
きれば良く、したがって複数個の異常物体といっても、
同時に、2個の場合について考えれば十分である。通常
は1個の場合で十分であると思われ、まず1個の場合に
ついて、受波時刻の決定方法について説明する。
【0025】実際には、各観測点ごとに、モデル波形
(予測波形)と実際の受波電気信号波形とのマッチング
度を、受波信号波形上でウインドウ[kΔT,(k+N
−1)ΔT]をシフトしつつ調べればよい。
【0026】最適マッチングがTj =kj ΔTで得ら
れ、このときのマッチング度が予め定められたしきい値
を超えたときに、このTj (Tj #と記す)が受波時刻と
判定される。なお、ΔTは受波データ収録時のサンプリ
ングタイムである。各ウインドウで最適マッチングを図
るとき、マッチング評価関数を上記の未知パラメータで
最適化しなければならないが、このとき最適化手法とし
て高速計算が可能なPowell法が採用される。
【0027】採用するマッチング評価関数としては、両
波形の相関係数あるいはこれを幾何学的量に変換した角
度が使える。つまり、j番目の観測点における受波器か
【0028】
【外1】
【0029】次のように数ベクトル表示する。
【0030】
【数4】
【0031】次に、(5) 式に基づいて計算される予測波
形に対し、同一ウインドウ幅の波形ベクトル
【0032】
【数5】
【0033】を考える。このとき、(6) ,(7) 式で定義
される二つの時間波形ベクトルの相関係数および角度
(マッチング評価関数)は、それぞれ次式で与えられ
る。
【0034】
【数6】
【0035】ここで、地下15mの土中において実験を
行ったときの異常物体からの反射波受波信号波形(電気
信号)および提案されたモデルに基づく予測信号波形
を、図1に示す。この図1から、両者が殆ど一致してい
るのがよく分かる。(8) ,(9)式で言えば、それぞれ約
0.984および10.26度である。
【0036】なお、受波信号波形の立ち上がりの部分で
若干の差異が見られるが、これは掘削機空洞共振による
直接伝播波の影響が尾を引いているためである。このと
きの送波器電気信号の周波数および波数は、それぞれ
2.4kHzおよび5であり、最適マッチングの際の最
適パラメータ値ω1 ,ω2 は、周波数にしてそれぞれ
2.46および2.49kHz、減衰係数ζ1 ,ζ2
それぞれ0.0337および0.0335であった。こ
のように、提案されたモデルにより、実際の反射波が非
常に正確に表現できることが分かる。
【0037】次に、異常物体が2個近接して存在する場
合について考える。この場合は、受波器に得られる反射
波信号は、2個の異常物体からの反射波を重畳したもの
となる。したがって、2個の異常物体からの反射による
受波予測モデル波形は、これまでの単一異常物体からの
反射波受波予測波形(5) 式を、下記に示す二つの異なっ
たウインドウ
【0038】
【数7】
【0039】上で求め、これらを合成ウインドウWj
j 1∪Wj 2上で一次結合することにより得られる。こう
して得られた予測波形と同一ウインドウWj 上での実波
形との最適マッチング評価により、各異常物体からの反
射波受波時刻Tj 1,Tj 2が求められる。
【0040】勿論、予測波形を作成するときのパラメー
タは未知なので、単一異常物体のときと同様、予測波形
ベクトルと実波形ベクトルのマッチングが最適に行われ
るように、各Tj 1,Tj 2に対し未知パラメータをPowell
法により最適化される。
【0041】こうして求められた最適マッチング度が適
当なしきい値を超えたときに、このTj 1,Tj 2(T
j 1# ,Tj 2# と記す)が二つの受波時刻となる。このよ
うに、異常物体からの反射波受波時刻が求まるが、異常
物体が複数個である場合には、各観測点ごとに決定され
る幾つかの受波時刻がそれぞれどの異常物体によるもの
かグループ化を行い、距離情報を整理する必要がある。
上述したように、トンネル掘削においては近くの異常物
体から順次検知、除去されればよいので、本発明におい
て考える異常物体の個数としては、2個の場合を考えて
おけば十分である。
【0042】以下、この条件の下に、受波時刻のグルー
プ化を考える。このためには、後述する異常物体の簡易
位置決定法が有用である。すなわち、異常物体ごとに異
常物体表面上の反射点は観測点によらずほぼ一定である
ことから、異常物体の位置は、この反射点で代表しても
支障はない。なお、このとき用いる土中音速vとして
は、とりあえず水中標準音速1480m/sec(20℃の
とき)を用いる。水中標準音速を用いる根拠は、地下1
5〜25mの深所では土質が水分を十分に含んでおり、
水中標準音速とほとんど変わらないからである。例え
ば、既に提案した方法(特願平5−257389号)に
基づき、土中音速を求めると1510m/sec となり、
水中標準音速1480m/sec とほとんど変わらない音
速が得られており、土中音速vが水中標準音速で代用し
得ることが分かる。
【0043】このように考えると、異常物体を規定する
パラメータは反射点の位置座標だけであるから、まず3
箇所の観測点での受波時刻データに対し受波時刻のグル
ープ化を行えば良いことになる。これは結局、組み合わ
せの問題に帰着されるから、最初の受波波形から求まる
受波時刻を基準にとれば、合計2×2=4通りの組み合
わせ方がある。つまり、3つの受波信号波形から前述の
方法により得られた異常物体からの反射波受波時刻をそ
れぞれTj 1# ,Tj 2# (1≦j≦3)とすると、ひとつ
のグループは、
【0044】
【数8】
【0045】他のグループは、
【0046】
【数9】
【0047】ij とij *(1≦j≦2)は集合Sに関し
互いに排反事象である。つまり、一方が1をとれば、他
方は2をとる。このようにして、ふたつの受波時刻グル
ープS 1 ,S2 に対し、結局4通りの組み合わせ方があ
る。
【0048】よって、求める最適なグループ化S1 #,S
2 #は、これらの4通りの組み合わせの中で、受波時刻で
定まる音波伝播時間、水中標準音速、送受波器の位置座
標を用いて、各異常物体の反射点位置座標を最小二乗法
[(12),(13) 式参照]で求めたとき、それらの最小二乗
誤差を最小にする組み合わせとなる。
【0049】このとき、採用する最小二乗法は、後述す
る(12)および(13)式において、音速Vを水中標準音速1
480m/sec に、またMを3にしたものである。他の
観測点の観測データに基づく受波時刻のグループ化に対
しても、3箇所ずつの観測点データに対し上の手続きを
繰り返し、ほぼ同一の反射点を与えるグループ同志を統
合することにより、全観測データに対し、効率のよい受
波時刻のグループ化を行うことができる。この方法は、
3個以上の異常物体の場合にも、勿論有効である。
【0050】ただ、その分だけ、余分な計算時間が要求
されるが、トンネル掘削工事においては、異常物体検知
方法に用いる計算機として、回線を利用した大型あるい
は超大型計算機を利用することも可能であること、およ
び掘削機の進行に伴う(所定距離掘削ごとの)掘削機停
止から始動までに、ある程度まとまった時間が利用でき
ることを考えれば、この方法は2個以上の複数個の異常
物体を検知する場合にも有効である。
【0051】また、複数個の異常物体を受波波形だけか
ら識別する別の方法としては、送波器により送波する音
波の周波数を変えることも考えられる。周知のように、
音波を送波したとき、音波の半波長レベル以下の異常物
体からは反射が生じない。
【0052】したがって、周波数を何通りか変えた音波
を順次送波器から送波し、この送波に対応して得られる
それぞれの受波信号を比較することにより、受波時刻と
異常物体の対応関係を得ることができる。すなわち、周
波数を小さく(換言すれば、波長を大きく)していく
と、小さめの異常物体からは反射がなくなり、これが受
波信号上で対応する受波時刻の箇所で反射波が消失する
ことから、受波時刻と複数個の異常物体との間に対応関
係を得ることができる。
【0053】勿論、この方法は、異常物体のサイズがす
べて異なる場合にしか適用できず、同一サイズのものが
あれば、この部分については上述の組み合わせ論的な方
法を採用せざるを得なくなる。しかし、通常の仮定とし
て十分妥当と思われる近接異常物体の個数が2個の場
合、サイズが異なるというのは、それ程、厳しい条件で
はない。
【0054】ところで、反射がなくなる異常物体の大き
さであるが、音波の入射方向に対し垂直な等価的円板を
考えたとき、直径が音波の半波長程度である。したがっ
て、音波の周波数を変化させていったとき、受波波形
上、ある箇所での反射波が消失したときの周波数から、
受波時刻と異常物体との対応関係だけでなく、この異常
物体について大体のサイズも類推できることになる。
【0055】このようにして、受波信号波形から各異常
物体に対し、反射波の受波時刻が求められるが、次に、
これらに基づく距離データにより、個々の異常物体表面
上での反射点をそれぞれ同一点とみなし、これらで各異
常物体を代表させるときの異常物体の位置決定を考え
る。
【0056】この方法は、異常物体が掘削機よりかなり
遠方にあり、受波信号だけから形状計測が困難なときに
意義があるものである。また、この簡易位置決定により
求まる異常物体の位置座標は、後述する異常物体の精密
な位置決定および形状計測の際の初期値として利用でき
る利点もある。
【0057】通常、掘削機前面のカッター面には1個の
送波器と複数個の受波器が取り付けられており、適当な
距離(通常1m位)掘削するごとに送波器により音波が
送波され異常物体からの反射波が複数個の受波器で受波
されるので、各異常物体に対し{送波回数(掘削機停止
回数)×受波器数}の回数だけ、前方の各異常物体に対
し距離データが得られる。
【0058】ここで言う距離とは、送波器から異常物体
の反射点およびこの反射点から受波器までの合計距離で
あり、この計測値は、送波器による送波時刻から反射波
を受波する受波時刻までの時間に土中の標準音速を乗じ
ることにより得られる。
【0059】なお、土質に関する情報が正確でない場合
もあり得るので、音速も異常物体表面上の反射点位置座
標と合わせて変数とすることで、より正確な反射点位置
座標が求められる。
【0060】以下、各異常物体に対して得られた受波時
刻データを用いて、異常物体の反射点の位置座標および
音速を決定する方法について説明する。いま、図2に示
すように、掘削機1の進行方向をx軸、これに垂直なカ
ッター面方向に適当にy,z軸を、またx軸上の適当な
点に原点をとる。このとき、ある異常物体からの反射波
がM個の地点(掘削機の進行に伴う受波器位置)
(xj,yj ,zj )(1≦j≦M)(以後、観測点と
呼ぶ)で受波され、そのとき対応する送波器からの送波
から受波までに要した時間をTj #(1≦j≦M)とす
る。
【0061】ここで、音速をV、異常物体の位置(つま
り、反射点の位置座標)を(x,y,z)と表せば、異
常物体の位置座標および音速は次式により決定される。
【0062】
【数10】
【0063】ここで、{dj }は次式で定義される。
【0064】
【数11】
【0065】但し、(xj o,yj o,zj o)(1≦j≦
M)は観測点(xj ,yj ,zj )(1≦j≦M)(受
波器位置)にそれぞれ対応した送波器位置を表す。(13)
式の第1項が受波器から異常物体までの距離、第2項が
異常物体からの送波器までの距離を表している。また、
(12)式の計算を異常物体ごとの受波時刻データに対して
行えば、各異常物体に対し音速測定も含めた簡易位置決
定を行うことができる。
【0066】次に、異常物体の形状計測および精密な位
置決定方法について説明する。例えば、地下15〜25
mの深い所でトンネルを掘削する際、掘削機のカッター
で粉砕不可能なサイズの異常物体として現れ得るものと
しては、主にビルデイングのコンクリート壁、補強用の
鉄筋コンクリート杭、岩などが考えられる。コンクリー
ト壁および補強用鉄筋コンクリート杭は、それぞれ傾斜
面および円柱で正確にモデル化できるが、岩は種々の形
状のものが考えられる。しかし、送波信号(数kHzオ
ーダー)の半波長以下の凹凸は反射に影響を与えないこ
と、および岩の大きさは等価的な球に置き換えるのが便
利なため、ここでは岩のモデルとして球を考える。
【0067】いずれにしても、送受波器と異常物体表面
上の反射点との距離だけでなく、送波信号の反射点にお
ける反射条件を考えた送受波経路も考慮に入れることに
より、初めて異常物体の形状計測と精密な位置決定がな
されるので、まず上述した各異常物体に対する反射点の
満たすべき条件を求める。その後に、形状計測およびよ
り精密な異常物体の位置決定を行う。
【0068】このとき本質的な役割を果たすのが、音波
の入射ベクトルと反射ベクトルとが同一平面内に含ま
れ、かつ反射点における法線ベクトルに対し音波の入射
ベクトルと反射ベクトルが同一角度をなすというスネル
(Snell )の法則である。このスネルの法則は、光波に
対して同様、音波に対しても成り立つものである。
【0069】したがって、この法則を反射点、送波器お
よび受波器の3つの位置に関して適用すれば、まず反射
点は、その点における法線ベクトルがこれら3点を通る
平面内に含まれるような点でなければならない。また、
他の条件として、入射および反射ベクトルが法線に対
し、そのなす角が一致するという条件から、反射点が一
義的に定まる。以下、傾斜面、円柱、球の順に、これら
の条件を用いて反射点を求める。
【0070】まず、傾斜面の場合に対して、反射点を求
めてみる。いま、傾斜面の方程式を
【0071】
【数12】
【0072】とする。なお、式(14)中、‖・‖は通常の
ユークリッドノルム記号を、また*aは傾斜面PP を規
定する平面の方向ベクトルを表わす。なお*xは、*x
=(x,y,z)T を表す。ここで示した*記号は、そ
の後に続く文字がベクトルであることを示し(以下、同
じ)、また上添え字のTは転値記号を示す(以下、同
じ)。
【0073】ところで、傾斜面PP 上での反射点*rj
は、送波器位置*xj oの傾斜面PPに対する鏡像*xj #
と受波器位置*xj とを結んだ線分が傾斜面PP と交わ
る点で与えられる。
【0074】ここで、鏡像を求めるため、まず送波器位
置*xj oから平面PP へ下ろした垂線ベクトルを求め
る。このベクトルはt*a(t∈R)なる形で与えられ
るが、点(*xj o+t*a)は平面PP に含まれること
から
【0075】
【数13】
【0076】が成り立ち、結局求めるtはt* =1−*
T *xj o/‖*a‖2 となる。よって、*xj oの傾斜
面PP に関する鏡像は
【0077】
【数14】
【0078】となる。一方、この鏡像と受波器位置とを
結ぶ線分上の点は[*xj #+s(*xj −*xj #)]と
表されるので、これが傾斜面PP に含まれる条件によ
り、反射点は、
【0079】
【数15】
【0080】で求められることになる。ただし、
【0081】
【数16】
【0082】である。次に、円柱の場合に対する反射点
について説明する。送波器からの入射音波による受波器
への反射は円柱表面上の局部的な部分で行われるため、
反射点の解析に当たっては、円柱面の接平面を考えれば
十分である。したがって、送受波器の側の円柱面上の適
当な幾つかの点での円柱の接平面を考え、これら接平面
と送受波器の位置関係より各接平面に対する反射点を求
める。
【0083】この反射点の計算は、上述した傾斜面上の
反射点の導出結果をそのまま使うことができる。こうし
て求められた反射点の内、反射点が円柱面上の点になる
ものが、異常物体が円柱であるときの求める反射点*r
j になる。
【0084】次に、球の場合に対する反射点について説
明する。球の中心を*xC 、半径をRとすれば、反射点
における球の法線ベクトルが反射点、送波器位置、受波
器位置の3点で張られる平面内に含まれるという条件か
ら、反射点*rj は送波器位置*xj o、受波器位置*x
j および球の中心*xCの3点を通る平面PS と球の交
わりCj (この場合円となる)上に位置することにな
る。
【0085】ここで、平面PS を張る正規直交ベクトル
*e1 ,*e2 を求めれば、円Cj
【0086】
【数17】
【0087】で定義される。したがって、求める反射点
*rj は、この円周上、送受波器側で音波の入射角が反
射角に一致する点を見いだせばよく、これには次式を満
たす点*rj をCj上で、数値的に求めればよい。
【0088】
【数18】
【0089】上記(20)式中、(・,・)は通常のユーク
リッド空間の内積記号を表す。上述したように、異常物
体を特徴付けるパラメータ*pを与えれば、各異常物体
に対し反射点の位置座標{*rj }が各送受波信号対に
対し求められる。
【0090】いま、異常物体ごとに利用できる距離デー
タはM個あるので、このM個のデータを用い、次の最小
二乗法を適用することにより、異常物体ごとに、形状計
測および精密な異常物体の位置決定が可能となる。
【0091】
【数19】
【0092】勿論、Tj #は、上述したように、送波位置
*xj oの送波器から送波し、受波位置*xj の受波器に
異常物体からの反射波が受波されるまでの音波伝播時間
(なお送波時刻をゼロ時刻と仮定)であり、*qは最適
化に使用する未知パラメータ*q=(*pT ,V)T
ある。つまり、*qは異常物体の形状および位置を特徴
付けるパラメータ*pと音速Vとで構成される未知パラ
メータベクトルである。
【0093】例えば、異常物体の形状および位置を特徴
付けるパラメータベクトル*pとしては、傾斜面の場合
は、傾斜面の方向ベクトル*aが、球の場合は、球の中
心および半径が、また円柱の場合は、円柱の中心軸を規
定する変数(4個)と半径Rが該当する。なお、円柱の
場合は、一般性を失うことなく中心軸は(x,y)平面
を横切るとしている。
【0094】したがって、最適化する未知パラメータ数
は、音速の分も含めると、傾斜面、球、円柱の順に、そ
れぞれ4,5,6個となる。異常物体の形状が既知であ
る場合には、上記の(21)式を当該形状の場合について1
回だけ最適化すれば、形状を規定する正確な定数と異常
物体の正確な位置が求められる。
【0095】もし、形状が傾斜面、球、円柱のいずれで
あるか、明確でない場合(この方が普通である)には、
上述した3つの形状の各々に対し、それぞれ(21)式の最
小二乗法を適用し、その内、最小の評価値を与えるパラ
メータベクトル*pから、最終的に求める異常物体の形
状および位置が正確に求まる。
【0096】次に、上記説明した異常物体の形状計測お
よび位置決定の方法を、実験例に基づき具体的に説明す
る。なお、ここでは、形状計測のための実験を、土中で
行う替わりに、無響水槽の中で行った場合について説明
する。これは、深度15〜25mの土中では、土質は多
量の水分を含み媒質は水とみて差し支えないからであ
る。
【0097】そして、図3に示すように、この実験に使
用した無響水槽は、横幅5m、縦幅4m、深さ4mのも
のである。また、この水槽11の一方の端の水深2mの
箇所に壁面より0.65m離して送波器12を1個、そ
の周りに、ほぼ2π/3(rad) ずつの角度で3個の受波
器13を幾何学的に対称に配置した。これらの位置関係
を図4に示す。但し、図4は、壁面側(異常物体の反対
側)からみたときの配置図である。
【0098】また、異常物体14としては、半径0.3
mの球および半径0.25m(長さ1m)の円柱、並び
に傾斜角10°の傾斜面を考え、球および円柱について
は、異常物体を送波器の正面においた場合と正面から1
mずらした場合の二通りについてそれぞれ実験を行っ
た。
【0099】なお、使用する送波器電気信号の周波数
は、異常物体からの反射波に、水槽の壁面や水面からの
反射波ができるだけ重畳しないように、土中での仕様よ
りも少し高めの6kHzを採用した。また、送波信号の
波数はp=5を採用した。さらに、データ採取のための
サンプリング周波数は50kHzとした。
【0100】この条件下で、実際のトンネル掘削に似
せ、送受波器のセットを異常物体の中心から3.5mの
位置から異常物体側に向けて0.5mずつ平行移動させ
ながら、異常物体からの反射波データを採取した。
【0101】参考のため、最適マッチングを図ったとき
の固有角周波数ω1 ,ω2 は、周波数にして、4.75
および5.96kHz、減衰係数ζ1 ,ζ2 は、0.0
656および0.0720であった。これより、水中の
減衰係数は、土中に比べ2倍程度であることも分かる。
【0102】また、傾斜面データの採取に関しては、無
響水槽中でも壁面および水面からの多数の反射波が異常
物体からの反射波に重畳し、異常物体からの反射波の分
離が困難であったので、特に傾斜面データに関しては、
他からの多くの反射波が重畳しないよう送波器電気信号
の周波数を200kHzに上げ、かつ、水槽、センサな
どもそれに合わせ、ミニサイズのものを使用した。この
ため、サンプリング周波数も5MHzに高めた。なお、
波数pは、上記と同様に、p=5とした。
【0103】また、小型水槽の壁面側からみた送受波器
の配置を図5に示す。そして、データの採取に当たって
は、この送受波器セットを回転軸の周りに45°ずつの
角度で回転させ、傾斜面からの反射波データを8個(す
なわち、M=8)採取した。
【0104】このときの傾斜面の位置を、送受波器から
0.3m前方位置に、また送受波面に対し(送受波器側
からみて右側前方に)10°傾けて設置した。また、便
宜上、大型無響水槽では送波器の位置を原点に、送波器
の正面方向およびこれに垂直な送受波面の内、水平、垂
直方向をそれぞれx軸およびy,z軸に選び、小型水槽
では送受波器セットの回転中心を原点、正面方向(つま
り傾斜面側)およびこれに垂直な送受波面の内、水平、
垂直方向をそれぞれx軸およびy,z軸に選んだ(共
に、右手系座標)。
【0105】このようにして得られた各異常物体に対す
る受波信号に基づき、上述した方法により受波時刻を
得、さらにこれに基づき本発明に係る計測方法の下で異
常物体の形状計測および位置決定を行ったときの結果を
[表1]〜[表5]に示す。
【0106】[表1]は球を正面に置いた場合を示し、
[表2]は球を1mずらした場合を示している。また、
[表3]は円柱を正面に置いた場合を示し、[表4]は
円柱を1mずらした場合を示している。
【0107】さらに、[表5]は傾斜面の場合を示して
いる。なお、各表中のJは、最適化されたときの最小二
乗誤差値[(21)式の値]である。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
【表5】
【0113】これらの表より、球、円柱、傾斜面の各々
について、それぞれ良好な検出結果が得られていること
がわかる。なお、[表1]〜[表4]における遠距離デ
ータによる推定値というのは、実験により採取したデー
タの中、送受波器が異常物体から3.5m,3.0m,
2.5mの遠方3地点におけるデータを用いたときの推
定値を、また近距離データによる推定値というのは、2
m,1.5m,1.0mの3地点における距離データを
用いたときの推定値を表している。
【0114】いずれのデータ共、良好な計測結果が得ら
れている。ここでは、実験に用いた水槽の横幅が5mの
ため、送受波器から異常物体(球および円柱)までの距
離が3.5mより遠方のデータを採取できなかったが、
土中でこのような実験を行う場合には、異常物体に対し
何m程度、前方から形状計測が可能になるかなどの指針
が得られるものと思われる。
【0115】参考のため、図6に、正面からずらした球
の場合に対し、(21)式の最小二乗誤差値を与える反射点
の分布を、2地点での送受波信号に対し球面上に示す
が、送受波器が遠方から異常物体に近づくにつれ、反射
点は異常物体を囲むように移動する様子がみられる。な
お、図6において、θおよびφは球面上の点を極座標形
式で表したときの水平方向および垂直方向の偏角をそれ
ぞれ表し(送受波器側からみて、θは右側を、φは上側
を正の方向にとっている)、21A,21B,21Cは
異常物体から遠い地点の受波器13(A),13
(B),13(C)(図4参照)に対する反射点を、ま
た22A,22B,22Cは異常物体から近い方の地点
の受波器13(A),13(B),13(C)(図4参
照)に対する反射点を表す。
【0116】本実験では、実験の制約上、送受波器の位
置関係を図4の形に保ちながら送受波器セットを前方に
平行移動させたが、実際の掘削機においては、その前進
に伴い、送受波器位置は回転・前進するので、上述した
反射点分布以上に反射点が異常物体表面上に分散するこ
とになり、本実験と同様、高精度な形状計測および位置
決定がなされるものと考えられる。
【0117】以上、異常物体の形状が分かっていると仮
定して形状計測および精密な位置決定を行ったが、実際
には形状が未知である場合が多い。したがって、次は、
形状が未知であると仮定して、各異常物体について、そ
れぞれ球、円柱および傾斜面の形状の下で(21)式の最適
化を行い、このとき得られた最小二乗誤差値を比較する
と(詳細については省略する)、真の形状に対する最小
二乗誤差値は、そうでないものに比べ良くて(1/10
倍)、悪くても(1/3)倍程度の小さな値となってお
り、形状の識別についても併せて正しく行い得ることが
判明した。
【0118】最後に、上記の小型水槽中に直径0.04mの
球と直径 0.035mの円柱を図7に示すように、適当な距
離をおいて配置したときの異常物体の形状計測および精
密な位置決定を考える。このときの送受波器の位置は図
4の位置と同様にした。但し、小型水槽を使用したた
め、送波器と受波器の距離は 0.115mとした。この送受
波器セットを回転せずに、このままの形で 0.025mずつ
異常物体側に平行移動させながら3地点で、計9個(=
(受波器数)×(データ採取地点数))の、異常物体か
らの反射波データを採取した。
【0119】このとき、上述した受波時刻のグループ化
に沿って、反射波のオーバーラップした受波信号を3つ
ずつのグループに分け(ここでは送受波器セットの移動
地点ごとに分けた)、各グループに対して それぞれ反
射波の受波時刻を求めた。
【0120】この求めた受波時刻を送受波器セットの移
動地点ごとに二つのグループに分け、各々の受波時刻グ
ループに対し、上述した簡易位置決定法により最小二乗
誤差を求めた。移動地点ごとに求めた最適なグループ化
(つまり分割)は、そうでないものに比べて、一桁以
上、最小二乗誤差値が小さくなり、受波時刻の最適グル
ープ化を容易に行い得ることが分かった。
【0121】例えば、最初の地点の受波器13(A),
13(B),13(C)で受波される反射波信号から、
それぞれ受波器13(A)の場合0.2594および0.3100ms
が、13(B)の場合0.2526および0.2814msが、13
(C)の場合0.2588および0.3120msの受波時刻が、また
2番目の移動地点の場合、受波器13(A)の場合0.25
66および0.3060msが、13(B)の場合0.2536および0.
2860msが、13(C)の場合0.2566および0.3190msが、
また最後の移動地点の場合、受波器13(A)の場合0.
2000および0.2842msが、13(B)の場合0.1948および
0.2480msが、13(C)の場合0.2026および0.2974msが
得られた。そして、最初の地点での3つの受波信号か
ら、二つの異常物体に対応する受波時刻は、それぞれ受
波器13(A),13(B),13(C)の順にS11
{0.2594,0.2526,0.2588}、S12={0.3100,0.2814,0.
3120}のようにグループ化され、このときの最小二乗誤
差の和は 3.473×10-3となった。
【0122】他のグループ分けに対するもので最も小さ
い最小二乗誤差和は 9.159×10-3、最大のものは 1.168
×10-1となり、上述したようにグループ化が容易に行わ
れることが確認できる。詳細には述べないが、他の移動
地点ではこの差はもっと大きく、受波時刻の最適グルー
プ化の結果だけを挙げれば、2番目の移動地点では、S
21={0.2566,0.2536,0.2566}、S22={0.3060,0.286
0,0.3190}のように、また最後の移動地点ではS31
{0.2000,0.1948,0.2026}、S32={0.2842,0.2480,0.
2974}のように行われた。
【0123】S11,S12,S21,S22,S31,S32に対
する異常物体の簡易位置座標は、それぞれ(x,y,z)=(0.1
30,0.0,0.0),(0.183,0.050,0.0),(0.130,0.0,0.0),(0,1
83,0.050,0.0),(0.130,0.0,0.0),(0,183,0.050,0.0) と
なり、この場合、位置座標は二つの値をとる。位置座標
が一致する受波時刻グループを統合すると、最終的に求
める各異常物体に対する受波時刻は、それぞれS1 #=S
11∪S21∪S31およびS2 #=S12∪S22∪S32のよう
に、9個ずつ分離できることが分かる。
【0124】しかしながら、受波時刻を決定する際、受
波信号と予測受波信号との最適マッチング度が [(9)
式の角度で評価して]11度を超すものは信頼性が低いと
して使用しないこととしたので、ここでは各受波時刻グ
ループに含まれる計9個の受波時刻の内、マッチング角
度が12.26 度および14.27 度の受波信号に相当する受波
時刻の組(2組)は用いないことにした。具体的には、
最初の送受波器位置の受波器13(C)により算出され
た受波時刻0.2026msと0.2974ms、および2番目の移動地
点での受波器13(C)により算出された受波時刻0.25
66msと0.3190msが該当する。
【0125】こうして得られた最終的な二つの受波時刻
グループS1 #およびS2 #に対し、それぞれ球、円柱、傾
斜面を仮定し形状計測および精密な位置決定を行ったと
きの結果を[表6]〜[表8]に示す。
【0126】
【表6】
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】各受波時刻グループに対し(21)式の評価値
を最小にする形状が、その受波時刻
【0130】グループに対応する異常物体の形状であ
り、表6〜表8より、結局、S1 #に対しては球が、S2 #
に対しては円柱が対応することになり、球および円柱が
正しく認識されたことになる。また、そのときの各形状
に対しては、それぞれ実際の形状パラメータおよび位置
パラメータが正確に推定されており、本方法が有効であ
ることがわかる。
【0131】なお、各表より最小二乗誤差値Jが余り違
わないことから、球と円柱の形状識別が球と傾斜面ある
いは円柱と傾斜面の場合に比べて困難である様子がうか
がわれるが、実際のシールド工法においては受波器が掘
削機のカッター面の回転・前進に伴い移動(つまり、観
測点が大きく変化)し、全体として本実験に比べ大きく
分散するので、実際の適用に際してはもっと良好な識別
ができるものと推測される。
【0132】以上、無響水槽中の実験により、上述した
方法が、異常物体の位置決定および形状計測に関し有効
であり、また複数個の異常物体の場合の形状計測および
位置決定にも効果的であることが確認された。
【0133】
【発明の効果】以上のように本発明の構成によると、予
測し得る異常物体からの受波信号波形をモデル化すると
ともに、このモデル化された予測受波信号波形と実際の
受波信号波形とのパターン・マッチングを行い、異常物
体までの距離を求めるとともに、この距離に基づき、音
波の送波器、異常物体および音波の受波器とにおいて、
音波の経路に関するスネルの法則を使用して反射点を求
めるようにしているため、異常物体の位置を正確に求め
ることができる。
【0134】さらに、形状を仮定して算出した反射点の
位置座標を、形状に対応するパラメータを含む評価式に
代入するとともに、最小二乗法により、最小の最小二乗
値を与えるパラメータを求め、このパラメータの値に対
応する形状が、異常物体の形状であると判断するように
しているので、異常物体の形状を精度良く検出すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の異常物体の計測方法におけ
る異常物体からの反射波の受波信号波形と予測信号波形
とを示す波形図である。
【図2】同実施例における掘削機の座標系を示す斜視図
である。
【図3】同実施例の計測方法の水槽実験に使用した水槽
の平面図である。
【図4】同実施例における送受波器の配置状態を示す図
である。
【図5】同実施例における送受波器の配置状態を示す図
である。
【図6】同実施例の計測方法における球の場合の反射点
の分布を示すグラフである。
【図7】同実施例の計測方法を説明するための異常物体
と送受波器との位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
1 掘削機 12 送波器 13 受波器 14 異常物体
フロントページの続き (72)発明者 木下 正生 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内 (72)発明者 北村 暁晴 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内 (72)発明者 長谷川 裕己 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シールド工法によりトンネルを掘削するに
    際し、音波を使用して、前方の地中内に埋設されている
    除去すべき異常物体の位置および形状を計測する計測方
    法であって、まず予測し得る異常物体からの受波信号波
    形をモデル化するとともに、このモデル化された予測受
    波信号波形と実際の受波信号波形とのパターン・マッチ
    ングを行い、異常物体までの距離を求めるとともに、こ
    の距離に基づき、音波の送波器、異常物体および音波の
    受波器とにおいて、音波の経路に関するスネルの法則を
    使用して反射点を求めることにより異常物体の位置およ
    び形状を求めることを特徴とするシールド工法における
    前方異常物体の位置および形状計測方法。
  2. 【請求項2】シールド工法によりトンネルを掘削するに
    際し、音波を使用して、前方の地中内に埋設されている
    除去すべき異常物体の位置および形状を計測する計測方
    法であって、まず予測し得る異常物体からの受波信号波
    形をモデル化するとともに、このモデル化された予測受
    波信号波形と実際の受波信号波形とのパターン・マッチ
    ングを行い、異常物体までの距離を求めるとともに、音
    波の送波器、形状を仮定した異常物体および音波の受波
    器とにおいて、音波の経路に関するスネルの法則を使用
    して反射点を求め、これらの位置を形状に対応するパラ
    メータを含む評価式に代入し、最小二乗法を適用すると
    ともに、最小二乗値を最小にするパラメータを求め、こ
    のパラメータの値に対応する形状が、異常物体の形状で
    あると判断することを特徴とするシールド工法における
    前方異常物体の形状計測方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017032459A (ja) * 2015-08-04 2017-02-09 日本電気株式会社 目標識別レーザ観測システム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017032459A (ja) * 2015-08-04 2017-02-09 日本電気株式会社 目標識別レーザ観測システム

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