JPH0881689A - 弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびシール装置 - Google Patents

弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびシール装置

Info

Publication number
JPH0881689A
JPH0881689A JP21890994A JP21890994A JPH0881689A JP H0881689 A JPH0881689 A JP H0881689A JP 21890994 A JP21890994 A JP 21890994A JP 21890994 A JP21890994 A JP 21890994A JP H0881689 A JPH0881689 A JP H0881689A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastic
resin
resin composition
coating
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21890994A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiro Oki
芳郎 沖
Hideyuki Tsutsui
英之 筒井
Masakazu Hirata
正和 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP21890994A priority Critical patent/JPH0881689A/ja
Publication of JPH0881689A publication Critical patent/JPH0881689A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sealing Material Composition (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物を、下地弾
性面のシール性を維持し、所期した摺動特性を発揮する
と共に、下地の弾性変形に追従することができて耐久性
があるものとする。この摺動性被膜用樹脂組成物を使用
して、シール装置の弾性シール面の使用耐久性を向上さ
せる。 【構成】 ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂またはフェ
ノール樹脂などの合成樹脂に、四フッ化エチレン樹脂な
どの固体潤滑剤を配合した摺動性樹脂組成物において、
前記固体潤滑剤の配合割合が合成樹脂と固体潤滑剤の合
計量の30〜85容量%である弾性面の摺動性被膜用樹
脂組成物とする。さらに、上記の摺動性被膜用樹脂組成
物を弾性シール面に被覆したゴム製シールリングなどの
シール装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、弾性面の摺動性を改
善する弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびこれを弾
性面に被覆したシールリング等のシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、バルブ、ダンパ、インクジェッ
トプリンタのインク回収ポンプ、電子写真装置の現像装
置などにおいては、潤滑油、インクなどの液体またはト
ナーなどの流動性の微粉末を密封する機構が必要であ
り、またこのような機構においては流体の収容室にロー
ラやピストンの軸を設ける必要もあるため、この軸を摺
動・回転可能に密封するシール装置が採用されている。
【0003】従来、弾性シールリングなどのシール装置
は、そのシール面に、四フッ化エチレン樹脂などのフッ
素樹脂の被膜を設けたり、別途成形した同樹脂製のスリ
ーブを介在させたり、またはシール面にシリコーン油な
どの潤滑油またはグリースを塗布したり、シール面その
ものを四フッ化エチレン樹脂やシリコーン樹脂などの固
体潤滑剤を添加した合成樹脂またはゴム材料でもって成
形して、シール性と共に摺動性を発揮するようにしてい
る。
【0004】このうち、摺動性の被膜でもってシール面
を完全に覆うようにする場合には、前記被膜が連続した
密着性の高い被膜となるように、被膜に添加する固体潤
滑剤の含有率を、被膜成分全体の30容量%未満となる
ようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、弾性面を固体
潤滑剤を添加した従来の合成樹脂組成物で被覆すると、
シール面の表面に連続した被膜が形成されることとなっ
て密着性は高いが、この被膜は下地であるゴムまたはエ
ラストマーの弾性変形性に追従できないので、下地が伸
縮を繰り返すと被膜にクラックが発生して剥離し、使用
耐久性が低いという問題点があった。
【0006】また、摺動性被膜の剥離現象を回避するた
め、多量の固体潤滑剤を含有する成形材料を採用してシ
ール面を成形し、摺動性を高めるようにしたものでは弾
性が低下してシール性が低下するので、弾性シール部材
の表面に本来のシール性を損なうことなく使用耐久性の
優れた摺動特性を付与することはできなかった。
【0007】そこで、この発明の課題は、弾性面の摺動
性被膜用樹脂組成物を、下地弾性面のシール性を維持
し、所期した摺動特性を発揮させながら、下地の弾性変
形に追従することができる耐久性のある摺動性被膜とす
ることである。
【0008】また、第2の課題としては、弾性面の摺動
性被膜用樹脂組成物を使用して、弾性シール面の使用耐
久性を向上させたシールリングなどのシール装置を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、合成樹脂に固体潤滑剤を配合
した摺動性樹脂組成物において、前記固体潤滑剤の配合
割合が合成樹脂と固体潤滑剤の合計量の30〜85容量
%である弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物としたのであ
る。
【0010】または、前記合成樹脂が、ポリウレタン樹
脂、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂である弾性面の
摺動性被膜用樹脂組成物としたのである。
【0011】さらに、前記の弾性面の摺動性被膜用樹脂
組成物を弾性シール面に被覆したシール装置またはゴム
製シールリングとしたのである。
【0012】以下にその詳細を述べる。この発明に用い
る合成樹脂は、摺動条件、使用時の耐熱条件、密封する
流体の物性に応じて適宜変更して採用するものであっ
て、特に限定して用いるものでないが、例えば、ポリウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂またはポリアミ
ドイミド樹脂などを適用することができる。これらの材
料は主としてゴムを用いた弾性材料の表面に被覆するも
のであり、その時の焼成(焼付け)温度、および形成さ
れる被膜の靭性を考慮すると、ポリウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂またはフェノール樹脂が特に好ましいものであ
る。また、これらの樹脂は、例えばゴム成分を添加した
り、共重合したような変性タイプのものであってもよ
い。
【0013】上記した合成樹脂は、弾性面にコーティン
グする作業を容易にするため、コーティング時には適当
な溶媒または分散媒にて希釈し、溶解または分散した状
態で用いる。
【0014】この発明に用いる固体潤滑剤としては、四
フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEと略記する)など
のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、またはグラファイト、
二硫化モリブデンなどが例示できる。前記したPTFE
は、懸濁重合法によって製造されたモールディングパウ
ダー、乳化重合法によるファインパウダーのいずれを用
いてもよく、そのうち、加圧・加熱処理した後に粉砕
し、γ線処理された平均粒径10μm以内の粉体を用い
て好ましい結果を得ている。
【0015】この発明における固体潤滑剤の配合割合
は、合成樹脂と固体潤滑剤の合計量の30〜85容量%
である。なぜなら、固体潤滑剤が30%未満の少量では
弾性面上にコーティングされた摺動性樹脂組成物の被膜
が連続膜となって、下地の弾性変形に追従できずにクラ
ックが発生し、剥離し易くなるからである。また、固体
潤滑剤が85容量%を越える多量では、被膜が密着性の
低下により剥がれ易くなって耐摩耗性が極端に低下する
からである。
【0016】なお、この発明の弾性面の摺動性被膜用樹
脂組成物には、発明の目的を損なわない範囲で以下に列
挙するような公知の添加剤を配合することもできる。
【0017】 補強剤:ガラス繊維、カーボン繊維、
ボロン繊維、アラミド繊維など、 電気特性の向上剤:カーボン、酸化亜鉛、酸化チタ
ンなど、 クラッキング(亀裂)性の向上剤:グラファイト、
マイカ、タルク、ガラスフレークなど、 熱伝導性の向上剤:鉄、亜鉛、アルミニウムその他
の金属の酸化物粉末、 靭性の向上剤:シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹
脂など、 この発明における弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物を、
被コーティング面であるゴムまたはエラストマーからな
る弾性面に被覆するには、たとえば、スプレー法、ディ
ップ法、ディップスピン法、タンブラ法、スタンピング
法などの周知のコーティング方法によればよい。
【0018】その場合、前記した諸原料を混合、混練す
るには、たとえば粉末原料のみをヘンシェルミキサー、
ボールミキサー、リボンブレンダーなどにて乾式混合
し、使用する合成樹脂材料が溶解または分散可能な溶剤
を添加して、これらをボールタンブラーまたはチップタ
ンブラーミキサーを用いて混合、混練する手法を採用で
きる。
【0019】また、この発明の弾性面の摺動性被膜用樹
脂組成物をコーティングする対象の弾性面は、室温にお
いてゴム状弾性を有する材質からなる面であればよく、
たとえば以下のようなゴムまたはエラストマーを弾性面
形成材料として採用することができる。
【0020】ジエン系ゴムとして:イソプレンゴム、ス
チレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニ
トリルブタジエンゴム、クロロプレンゴムなど、 非ジエン系ゴムとして:ブチルゴム、アクリルゴム、シ
リコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、
クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチ
レンゴム、エピクロルヒドリンゴム(EPDM)など、 熱可塑性エラストマーとして:ウレタン系エラストマ
ー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマ
ー、塩化ビニル系エラストマー、ポリブタジエン系エラ
ストマー、軟質ナイロン系エラストマーなど、 さらに、上記した弾性面形成材料のうち、この発明の摺
動性樹脂組成物が充分に密着しない材料(例えば、フッ
素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等)について
は、適当なプライマーを使用しても差し支えない。
【0021】
【作用】この発明に係る弾性面の摺動性被膜用樹脂組成
物は、比較的多量の固体潤滑剤を含有して表面に微小ク
ラックを有し、かつ不連続(斑点状)の被膜となって弾
性面の表面に合成樹脂の密着力で被覆固定される。
【0022】このような不連続の被膜を形成したゴムま
たはエラストマーからなる弾性面が伸縮すると、上記被
膜は、その不連続性および微小クラックの拡大・縮小に
よって前記弾性面の変形に追従する。このため、弾性面
の摺動性被膜用樹脂組成物は、弾性面から剥離し難いも
のとなって使用耐久性が向上し、弾性面の摺動性および
シール性が長期間維持される。
【0023】前記被覆表面に潤滑油等が存在すると、こ
の潤滑油等は微小クラック内に保持されるので、液体潤
滑性も維持し易くなって摺動性および耐摩耗性がさらに
向上する。
【0024】
【実施例】実施例および比較例に使用した原材料を一括
して示すと、以下の通りである。 (1)エポキシ樹脂(日東電工社製:絶縁ワニスN−1
20C) (2)フェノール樹脂(三井東圧化学社製:ミレックス
XL210) (3)四フッ化エチレン樹脂(PTFE)(喜多村社
製:KT8N) (4)グラファイト(ロンザ・ジャパン社製:KS6) 〔実施例1〜4〕表1に示した配合割合にて配合した組
成物をボールタンブラーにて約30分混練してコーティ
ング液を得た。
【0025】
【表1】
【0026】このコーティング液を、下記組成のフッ素
ゴムのコンパウンドで成形し加硫して得られた150m
m×150mm×厚さ2mmのシートの表面に、約15
μmの膜厚でスプレー塗布し、80℃で1時間乾燥し焼
付けたものを試験片とした。
【0027】 記 フッ素ゴムコンパウンド組成: (重量部) フッ素ゴム(日本モンテカキーニ社製:テクノフロン) 100 部 Ca(OH)2 3 部 ステアリン酸ナトリウム 1 部 カーボン 5 部 加硫促進剤 5 部 可塑剤 10 部 老化防止剤 1.5部 MgO 5 部 加硫条件:1次加硫 160℃、10分、 10kgf
/cm2 、2次加硫 230℃、16時間、 上記得られた試験片は、以下の摩擦・摩耗試験(1)、
弾性特性試験(2)にて物性を評価し、結果を表2に示
した。
【0028】(1)摩擦・摩耗試験 試験片を外径40mm、内径6mmのリング状に打ち抜
いて、これをボールオンディスク型の摩擦摩耗試験機に
取付け、試験当初、50時間後、100時間後の摩擦係
数および100時間後の摩耗量(mg)を調べた。測定
条件は、相手材のボール径(φ)6mm、ボール材質;
軸受鋼(SUSJ2)、荷重200g、周速度3m/分
とした。
【0029】(2)弾性特性試験 試験片を1号ダンベル試験片に形成し、これを用いてJ
IS−K6301(引張り試験)に準拠して、50%、
100%、150%、200%伸長状態で10分保持
し、被膜のクラックの発生の有無を肉眼で調べ、剥がれ
によるクラックがあったものを×印、無かったものを○
印と評価して結果を表2中に併記した。
【0030】
【表2】
【0031】〔比較例1〕コーティング液を塗布しない
で前記組成のフッ素ゴム試験片(ブランク)を作成し、
前記の摩擦・摩耗試験(1)、弾性特性試験(2)にて
物性を評価し、結果を表2に併記した。
【0032】〔比較例2〕表1に示した配合割合のコー
ティング液を製造し、さらに実施例1と全く同様にして
試験片を作成し、前記の摩擦・摩耗試験(1)、弾性特
性試験(2)にて物性を評価し、結果を表2に併記し
た。
【0033】表2の結果から明らかなように、比較例
1、2の試験片は、摩擦・摩耗試験の開始時に比べて5
0〜100時間後に摩擦係数が大きくなり、同時に下地
ゴムまで摩耗した。また、これらは50%伸長状態でク
ラックが発生した。
【0034】これに対して実施例1〜4の試験片は、摩
擦・摩耗試験の開始から100時間後まで摩擦係数は低
く安定し、摩耗量も3.6〜6.5mgと少なく、しか
も200%伸長状態でもクラックが発生しないものであ
り、弾性特性に優れていた。
【0035】なお、実施例1のコーティング液を用い、
クロロプレンゴム(CR)またはアクリロニトリルブタ
ジエンゴム(NBR)製のシートに対して、実施例1と
全く同様に塗布し乾燥して試験片を作成し、前記の
(1)摩擦・摩耗試験を、荷重500g、周速度10m
/分の条件下で行なった。この場合、シール面の被膜剥
離までの時間は、前者の試験片(下地材:CR)で40
時間、後者の試験片(下地材:NBR)では35時間で
あり、このことから実施例は、過酷な使用条件のシール
装置、たとえばダンパまたは緩衝器用のシール材等とし
ての使用にも充分耐えることが判明した。
【0036】〔実施例5〜8〕表1に示すように、実施
例5、6、7、8では、それぞれ順に実施例1、2、
3、4に対応させて全く同じ組成のコーティング剤を調
製した。
【0037】また、別途、下記組成のアクリロニトリル
ブタジエンゴム(以下、NBRと略記する。)のコンパ
ウンドを、図1または図2に示すように、インクジェッ
トプリンタのインク回収ポンプ用の所定形状のシールリ
ングに成形し、これを加硫して弾性シールリングA、B
を製造した。そして、前記調製したコーティング液を、
前記2種類の弾性シールリングA、Bのそれぞれのシー
ル面1、2に約15μmの膜厚でスプレー塗布し、80
℃で1時間乾燥し、焼付けた。
【0038】 記 NBRコンパウンド組成: (重量部) NBR(日本合成ゴム社製:230S) 100 部 硫黄 1 部 ステアリン酸ナトリウム 1 部 カーボン 30 部 加硫促進剤 5 部 可塑剤 10 部 老化防止剤 1.5部 酸化亜鉛 5 部 加硫条件:1次加硫 160℃、10分、 10kgf
/cm2 、2次加硫 170℃、60分、 実施例の弾性シールリングは、以下の摩擦・摩耗試験
(1)にて性能を評価し、結果を表3に示した。
【0039】(3)インク回収ポンプの摩擦力試験 弾性シールリングAおよびBを図3に示すインクジェッ
トプリンタのインク回収ポンプに取り付けた。すなわ
ち、このものは、シリンダ3の先端にインクの吸入孔4
を形成し、シリンダ3の中程にはインクの排出孔5を形
成すると共にそれより前方に弾性シールリングBを固定
し、シリンダ3の後端から挿入したシャフト6の中程に
は弾性シールリングAを固定したものであって、別途設
けたアクチュエータでシャフト6を後退させる時に吸入
孔4からインクを回収し、シャフト6を前進させる時に
排出孔5からインクタンク7にインクを戻すようにした
ものである。
【0040】上記ポンプに装着した弾性シールリング
A、Bの評価は、シャフト6のストローク3mm、1サ
イクル/秒で駆動、最長2000時間までの摩擦力(g
f)を測定するという条件で行なった。
【0041】また、シール面の形状変化を肉眼で観察し
た。これらの結果は、まとめて表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】〔比較例3〕コーティング液を塗布しない
で前記組成のNBR製弾性シールリングA、B(ブラン
ク)を作成し、前記の(3)インク回収ポンプの摩擦力
試験にて弾性シールリングの性能を評価し、結果を表3
に併記した。
【0044】〔比較例2〕表1に示した配合割合のコー
ティング液を製造し、さらに実施例5〜8と全く同様に
して弾性シールリングを作成し、前記の(3)インク回
収ポンプの摩擦力試験にて弾性シールリングの性能を評
価し、結果を表3に併記した。
【0045】表3の結果から明らかなように、比較例
3、4の弾性シールリングは、試験の開始時に比べて1
000〜1500時間後に摩擦力(gf)が大きくな
り、同時に弾性シールリングのシール面の摩耗または剥
離が見られた。
【0046】これに対して実施例5〜8の弾性シールリ
ングは、試験の開始から2000時間後まで摩擦力が低
く安定し、シール面の摩耗による変化がなかった。この
ことから、実施例5〜8の摺動性被膜用樹脂組成物を被
覆してなるゴム製シールリングが、インクジェットプリ
ンタのインク回収ポンプに適用できることがわかる。
【0047】〔実施例9〜12〕表1に示すように、実
施例9、10、11、12では、それぞれ順に実施例
1、2、3、4に対応させて全く同じ組成のコーティン
グ剤を調製した。
【0048】また、別途、前記NBRのコンパウンド
を、図4に示すように、シールリングに成形し、加硫し
て弾性シールリングCを形成した。このものは、内周に
シール用リップ8を有し、電子写真装置のトナーの収容
装置であるカーボンボックス用軸シール装置に適用でき
る形態である。そして、前記調製したコーティング液
を、弾性シールリングCのシール用リップ8の内周面8
aに約15μmの膜厚でスプレー塗布し、80℃で1時
間乾燥し、焼付けた。
【0049】実施例の弾性シールリングCは、以下の試
験装置によって(4)軸の回転トルク測定試験、トナー
漏れ・シールリップの観察を行ない、結果を表4に示し
た。
【0050】(4)軸の回転トルク測定試験、トナー漏
れ・シールリップの観察 弾性シールリングCを図5に示すカーボンボックスに取
り付けた。すなわち、このものは、トナー9を収容し、
かつローラ付きの軸10を挿通した筒状のボックス11
を有するものであり、さらにボックス11から突き出し
た軸10(端部直径8mm)を弾性シールリングCおよ
び軸受12で回転可能に軸シールしている。
【0051】ここで、弾性シールリングCは、リング状
の金属フレーム13(図4参照)で支持したものを使用
した。また、軸受12は、転がり軸受、摺動性樹脂製軸
受のいずれであってもよい。
【0052】上記カーボンボックスに装着した弾性シー
ルリングCの評価は、軸10を回転数500rpmで駆
動した状態で、最長2000時間までのトルク(gf−
cm)を試験当初から500時間毎に測定するという条
件で行なった。
【0053】また、測定終了後のトナーの漏れ、シール
面の形状変化を肉眼で観察した。これらの結果は、まと
めて表4に示した。
【0054】
【表4】
【0055】〔比較例5〕コーティング液を塗布しない
で前記組成のNBR製弾性シールリングC(ブランク)
を作成し、前記の(4)軸の回転トルク測定試験、トナ
ー漏れ・シールリップの観察にて弾性シールリングの性
能を評価し、結果を表4に併記した。
【0056】〔比較例6〕表1に示した配合割合のコー
ティング液を製造し、さらに実施例9〜12と全く同様
にして弾性シールリングを作成し、前記の(4)軸の回
転トルク測定試験、トナー漏れ・シールリップの観察に
て弾性シールリングの性能を評価し、結果を表4に併記
した。
【0057】表4の結果から明らかなように、比較例
5、6の弾性シールリングは、試験の開始時に比べて1
000〜1500時間後に摩擦トルク(gf−m)が大
きくなり、測定後にトナーの漏れが有り、弾性シールリ
ングのシール面のクラックの発生または剥離が見られ
た。
【0058】これに対して実施例9〜12の弾性シール
リングは、試験の開始から2000時間後まで摩擦トル
クが低く安定し、トナーの漏れおよびシール面の摩耗に
よる変化がなかった。このことから、実施例9〜12の
摺動性被膜用樹脂組成物を被覆してなるゴム製シールリ
ングが、電子写真装置のトナーの収容装置であるカーボ
ンボックス用軸シール装置に適用できることがわかる。
【0059】〔実施例13〜16〕表1に示すように、
実施例13、14、15、16では、それぞれ順に実施
例1、2、3、4に対応させて全く同じ組成のコーティ
ング剤を調製した。
【0060】また、別途、前記NBRのコンパウンドを
円筒状のシールリングに成形し、加硫してゴム製シール
リングDを形成した。このものは、自動車の自動チョー
クなどの温度制御弁用のワックス封入型サーモスタット
に取り付けられるゴム製シールリングに適用できる形態
である。そして、前記調製したコーティング液を、ゴム
製シールリングDの内周面(摺動面)に約15μmの膜
厚でスプレー塗布し、80℃で1時間乾燥し、焼付け
た。
【0061】実施例のゴム製シールリングDは、以下の
試験装置によって(5)ワックス型サーモスタットの感
度評価、シール面の観察を行ない、結果を表5に示し
た。
【0062】(5)ワックス型サーモスタットの感度評
価、シール面の観察 ゴム製シールリングDを図6に示すワックス型サーモス
タット試験機に取り付けた。すなわち、この試験機は、
金属製カップ14にワックス(融点50℃)15を入
れ、チューブ状のゴム製スリーブ16で密封し、さらに
スリーブ16にはニードル17を差し込んで、その上部
をゴム製シールリングDを介した蓋18でスライド可能
に保持している。このようなワックス型サーモスタット
試験機は、ワックス15が周囲の温度上昇に伴って融解
し体積膨張した時にニードル17を押し上げ、またワッ
クス15の温度が低下して固化する際に低体積化してニ
ードル17を引き下げるように動作するものである。
【0063】上記ワックス型サーモスタットに装着した
ゴム製シールリングDの感度評価は、試験機を−30℃
から+70℃まで昇温・冷却速度5℃/分にて加熱・冷
却を最長1000時間まで繰り返し、試験開始当初、1
00時間、500時間、1000時間後のニードルの上
下動を観察し、これが図7(a)の挙動を示す場合を良
好(○印)、図7(b)の挙動を示す場合を不良(×
印)として結果を表5に示した。また、測定終了後のシ
ール面の形状変化を肉眼で観察し結果を表5に併記し
た。
【0064】
【表5】
【0065】〔比較例7〕コーティング液を塗布しない
で前記組成のNBR製シールリングD(ブランク)を作
成し、前記の(5)ワックス型サーモスタットの感度評
価、シール面の観察にてゴム製シールリングの性能を評
価し、結果を表5に併記した。
【0066】〔比較例8〕表1に示した配合割合のコー
ティング液を製造し、さらに実施例13〜16と全く同
様にしてゴム製シールリングを作成し、前記の(5)ワ
ックス型サーモスタットの感度評価、シール面の観察に
てゴム製シールリングの性能を評価し、結果を表5に併
記した。
【0067】表5の結果から明らかなように、比較例
7、8の弾性シールリングは、試験の開始時に比べて1
00〜500時間後にニードルの挙動(温度に対応する
上下動)が敏感でなくなって不良となり、さらには測定
後にシール面のクラックの発生または剥離が見られた。
【0068】これに対して実施例13〜16の弾性シー
ルリングは、試験の開始から1000時間後までニード
ルの挙動が鋭敏で良好であり、シール面の摩耗による変
化がなかった。このことから、実施例13〜16の摺動
性被膜用樹脂組成物を被覆してなるゴム製シールリング
が、自動車の自動チョークなどの温度制御弁用のワック
ス封入型サーモスタットに適用できることがわかる。
【0069】
【効果】この発明は、以上説明したように、摺動性樹脂
組成物の固体潤滑剤の配合割合を所定割合として、弾性
面を被覆するようにしたので、多量の固体潤滑剤を含有
しかつ微小クラックを有する摺動性樹脂組成物が、弾性
面の表面に密着して不連続被膜を形成し、この被膜は下
地の弾性変形に追従する耐久性を有し、下地のシール性
を維持し、しかも所期した摺動特性を発揮する利点があ
る。
【0070】また、このような弾性面の摺動性被膜用樹
脂組成物を使用したゴム製シールリングなどのシール装
置は、弾性シール面の性能および使用耐久性が向上する
利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施例の弾性シールリングAを示す正面
図 (b)実施例の弾性シールリングAを示す断面図
【図2】(a)実施例の弾性シールリングBを示す正面
図 (b)実施例の弾性シールリングBを示す断面図
【図3】インク回収ポンプの摩擦力試験の説明図
【図4】実施例のカーボンボックス用弾性シールリング
の断面図
【図5】回転トルク測定試験を説明するカーボンボック
スの断面図
【図6】ワックス型サーモスタットの感度評価試験用装
置を説明する断面図
【図7】(a)ワックス型サーモスタットのニードルの
リフト量と温度の相対関係(良好な挙動)を示す図表 (b)ワックス型サーモスタットのニードルのリフト量
と温度の相対関係(不良な挙動)を示す図表
【符号の説明】
A、B 弾性シールリング 1、2 シール面、 3 シリンダ 4 吸入孔 5 排出孔 6 シャフト 7 インクタンク 8 シール用リップ 9 トナー 10 軸 11 ボックス 12 軸受 13 金属フレーム 14 金属製カップ 15 ワックス 16 スリーブ 17 ニードル
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 107:24 107:32 107:04) 103:02 Z C10N 30:00 Z 40:00 Z 40:34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂に固体潤滑剤を配合した摺動性
    樹脂組成物において、前記固体潤滑剤の配合割合が合成
    樹脂と固体潤滑剤の合計量の30〜85容量%であるこ
    とを特徴とする弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂がポリウレタン樹脂、エポ
    キシ樹脂またはフェノール樹脂である請求項1記載の弾
    性面の摺動性被膜用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の弾性面の摺動
    性被膜用樹脂組成物を弾性シール面に被覆してなるシー
    ル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の弾性面の摺動
    性被膜用樹脂組成物を被覆してなるゴム製シールリン
    グ。
JP21890994A 1994-09-13 1994-09-13 弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびシール装置 Pending JPH0881689A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21890994A JPH0881689A (ja) 1994-09-13 1994-09-13 弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびシール装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21890994A JPH0881689A (ja) 1994-09-13 1994-09-13 弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびシール装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0881689A true JPH0881689A (ja) 1996-03-26

Family

ID=16727221

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21890994A Pending JPH0881689A (ja) 1994-09-13 1994-09-13 弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびシール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0881689A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030049253A (ko) * 2001-12-14 2003-06-25 현대자동차주식회사 자동차 그라스런 피복용 수지 조성물
CN109233944A (zh) * 2018-08-30 2019-01-18 重庆交通大学 隧道盾构机盾尾密封材料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030049253A (ko) * 2001-12-14 2003-06-25 현대자동차주식회사 자동차 그라스런 피복용 수지 조성물
CN109233944A (zh) * 2018-08-30 2019-01-18 重庆交通大学 隧道盾构机盾尾密封材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4873120B2 (ja) オイルシール
US7658387B2 (en) Reinforced elastomeric seal
JP2785571B2 (ja) 表面被覆部材
EP1895208A1 (en) Oil seal and process for producing the same
WO1992018333A1 (fr) Element recouvert d'un enduit en surface
JP2006200616A (ja) 軸受用密封装置および耐寒性密封装置付き転がり軸受
JPH09109703A (ja) 塗料組成物及びフューエルキャップパッキン
KR101823545B1 (ko) 가황 고무용 표면처리제
JPH0881689A (ja) 弾性面の摺動性被膜用樹脂組成物およびシール装置
JPH05262976A (ja) オイルシールリング
EP3404072B1 (en) Coating agent, surface coated elastic body, and surface coated rubber metal laminated body
KR101823573B1 (ko) 가황 고무용 표면처리제
CN110054943A (zh) 用于降低橡胶表面摩擦系数和磨耗的二硫化钼纳米涂层及其制备方法
JP3629306B2 (ja) Vリング
JP3428919B2 (ja) 摺動部材
JP3017257B2 (ja) 潤滑性ゴム組成物
JPH093249A (ja) 潤滑性ゴム組成物
JPH08190270A (ja) 現像装置のローラ軸取付構造
JP3202854B2 (ja) 潤滑性ゴム組成物
EP1529975A2 (en) Sealing member for use in rolling bearing and rolling bearing
JPH09328015A (ja) 自動車の窓ガラス案内用摺動部材
WO2018105531A1 (ja) ゴム被覆シリンダヘッドガスケット用コーティング剤及びシリンダヘッドガスケット
JP3509564B2 (ja) 潤滑性ゴム組成物
JPH0886319A (ja) 等速ジョイント用ダストブーツ
JPH07188469A (ja) 潤滑性ゴム組成物