JPH0877561A - 光学的情報記録再生方法 - Google Patents

光学的情報記録再生方法

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JPH0877561A
JPH0877561A JP23955494A JP23955494A JPH0877561A JP H0877561 A JPH0877561 A JP H0877561A JP 23955494 A JP23955494 A JP 23955494A JP 23955494 A JP23955494 A JP 23955494A JP H0877561 A JPH0877561 A JP H0877561A
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optical
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transparent resin
axis
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JP23955494A
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Michikazu Horie
通和 堀江
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 700nm未満の短波長の光を利用し、トラ
ックピッチ1.3μm未満の密度で光学的情報記録用媒
体の記録・再生を行う場合に発生するクロストークを減
らし、高密度記録を達成する。 【構成】 透明樹脂基板の入射面B−B’に垂直な方向
B1−B1’と、透明樹脂基板に入射する集束光ビーム
の光軸A−A’とのなす角度βを3mrad未満とし、
かつ、透明樹脂基板の入射面B−B’に垂直な方向B1
−B1’と、透明樹脂基板の屈折率楕円体の基板板厚方
向主軸F−F’とのなす角度γを5mrad未満とし
て、光ディスクの記録・再生を行う。集束レーザ光の複
屈折によりに生じる位相差及び非点収差を除いて、クロ
ストークを減らす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的情報記録再生方
法に関し、さらに詳しくは、大容量の光学的情報記録用
媒体(光ディスク)に対して、特に今後主流となると思
われる、700nm未満の波長のレーザ光を利用して、
トラックピッチ1.3μm未満の記録密度で記録・再生
を行う光学的情報記録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】記録可能な光ディスクとして穴あけ型媒
体が登場して以来、10年以上の年月が経過した。この
間、記録及び消去が可能な光磁気媒体、1ビームオーバ
ーライトが可能な相変化媒体なども実用化されている。
極く初期を除き、記録再生用光源としては半導体レーザ
ーが用いられており、使用レーザー波長は、初期は83
0nm前後、最近では780nm前後が主流である。集
束光ビームは、その波長が短いほどスポット径を小さく
することができるため、短波長化が望まれている。現
在、信頼性のある実用的な半導体レーザーの波長は78
0nmまでである。
【0003】上記のような光記録媒体は、コスト及び量
産性の観点から、一般に透明な樹脂基板上に記録層、保
護層等を設けることにより形成されており、樹脂基板と
してはポリカーボネート樹脂基板が主に用いられてい
る。樹脂基板、特にポリカーボネート樹脂基板では、基
板の光学的異方性、すなわち複屈折と、基板のそり、す
なわちチルトが問題となる。特に光磁気媒体では、0.
5度程度の小さなKerr回転角を検出するため、基板
の複屈折の影響が大きい。
【0004】しかし、樹脂の分子量の最適化、成形技術
の改良により、面内複屈折は20×10-6未満に抑えら
れ、実用上問題のないレベルとなっている。一方、垂直
複屈折は、特にポリカーボネート樹脂基板で大きく、5
00×10-6にも達するが、作動光学ヘッドの開発によ
り、やはり実用上問題ないレベルまでその影響は低減さ
れている。さらに、基板のそりについても、チルト角度
5mrad未満という平坦度は、量産レベルで十分達成
できている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光ディ
スクの高密度化が求められる中、波長が680nm前後
の半導体レーザーが実用化され、近い将来には安価で高
出力なものが提供される見通しが出てきた。また、波長
が800〜1000nm前後の高出力半導体レーザー
と、非線形光学素子とを組み合わせて500nm程度の
波長を得る技術も進歩し、レーザーと非線形光学素子と
を組み合わせたヘッドも小型化されつつある。さらに
は、波長500nm程度の半導体レーザーも、実験室レ
ベルでは開発に成功したという報告が相次いでいる。
【0006】上記のような短波長のレーザー光を用いた
高密度光ディスクは、まず波長680nm前後を始めと
して、近い将来に量産化される状況が整ってきている。
この際には、780nm程度の波長ではいったんは解決
されたと思われた、樹脂基板の光学的異方性及びチルト
(基板のそり)が再び深刻な問題になることが懸念され
る。ここで、樹脂基板の光学異方性(複屈折)に関わる
問題点としては、以下の2点が挙げられる。
【0007】(1)基板を光ビームが通過する際に生じ
る位相差の問題。このことは、W.A.Challener and T.A.
Rinehart, Appl.Opt., 26(1987), 3974ページ等に詳し
い。光磁気媒体のように光の偏向とその方位の回転を利
用して情報の記録再生を行う媒体では、特定方向の直線
偏向の回転とともに、楕円化が生じ、これがキャリアレ
ベルの低下、作動ヘッドにおけるコモンモードノイズの
増加をもたらす。通常のポリカーボネート基板は2軸又
は1軸の光学異方性を有しており、これは入射光の方向
によって位相差が異なってくることを意味する。集束光
ビームは、種々の方位の入射光線が存在するため、基板
を透過すると無数の位相差を有する光線の寄せ集めとな
り、位相差板等では簡単に補正できない複雑な波面を形
成する。
【0008】位相差は、光線の入射方向によって決まる
基板の複屈折をΔn、基板厚をd、波長をλとすると、 (Δn・d)/λ で決まるから、記録・再生に用いる波長が短くなれば、
位相差は実質的に増加する。したがって、短波長、特に
700nm未満で使用する光磁気媒体では、基板の複屈
折による位相差の問題が深刻になる。
【0009】(2)複屈折による非点収差の問題。集束
光ビームでは、基板に対して垂直ではなく斜めに光線が
入射するため屈折が生じるが、光学的異方性を有する基
板では、入射光線の方位、入射角度によって屈折率が異
なることはよく知られている。このため、本来、基板の
記録層側の面で直径1μm程度の面内に集束すべきビー
ムに、非点収差が生じる。非点収差が生じた場合、焦点
面をどこで合わせるかという光学ヘッドの機差により、
記録再生特性にばらつきが生じる。
【0010】また、ビームがトラック横断方向に長軸を
もつ楕円ビームとなった場合、隣接トラックからのクロ
ストークが問題となる。短波長光源を用いた高密度光デ
ィスクでは、トラックピッチも狭くなるから、クロスト
ークの問題はよりいっそう厳しくなる。
【0011】非点収差発生のメカニズムは、さらに以下
の2点に分けられる。 (イ)通常、光ディスクに用いられる射出成形による樹
脂基板は、面内複屈折に比較して、基板に垂直方向の複
屈折が1桁以上大きく、実質上、光学的には1軸異方性
を示す(吉沢、光学、第15巻(1986)、414ペ
ージ)。そして、図1に示すように、基板の屈折率楕円
体は回転楕円体となり、その基板板厚方向の主軸(回転
軸)はほとんど基板に垂直な方向を向いている。
【0012】斜め入射光bが基板を通過するときに感じ
る屈折率は、入射角θ及び方位角φに依存する。基板板
厚方向主軸が理想的に基板入射面に垂直な方向を向いて
いる場合、屈折率のφ依存性は面内主軸に関して対称に
なる。その屈折率は、屈折率楕円体を入射光線に垂直な
面で切断したときの断面aの長軸n’と短軸n”とで表
される。基板に入射する光線の偏向はn’とn”の2方
向にベクトル的に分解され、1軸異方性の場合、それぞ
れ異常光線、常光線とよばれる。
【0013】図2は、図1を入射面での断面として見た
図である。n’>n”であれば、常光線は異常光線より
手前で集束する。n’<n”であれば逆となる。入射光
が直線偏向であれば、方位角φにより偏向方向とn’、
n”とのなす角度が変わってくるため、常光線と異常光
線の割合が異なる。したがって、常光線の焦点面cでは
n”の方向を長軸とする楕円状に、異常光線の焦点面d
ではn’の方向を長軸とする楕円状にビーム集束面の形
状が変形し、しかも焦点面が2面に分かれることにな
る。すなわち、非点収差が生じることになる。
【0014】(ロ)実質的に1軸異方性を有するプラス
チック基板において、図3のように回転楕円体の基板板
厚方向主軸(回転軸)が基板入射面と垂直な方向に対し
て傾いている場合、図1の場合と異なって、屈折率楕円
体の面内主軸に関する焦点面の対称性が失われる。した
がって、図2のような常光線焦点面と異常光線焦点面と
いう上下方向の収差に加え、焦点面内の対称性も失われ
るため、(イ)よりも複雑な収差が生じる。この基板板
厚方向主軸の傾きによる収差は、円偏向を用いても発生
するため、穴あけ型のライトワンス媒体や相変化媒体に
おいても、クロストークを生じさせる原因となる。さら
に、基板に垂直入射する光に対する回転楕円体の断面は
図4に示すeのようになり、実質的に1軸異方性である
にもかかわらず、見かけ上、非常に大きな面内複屈折が
生じる。
【0015】以上述べたように、記録・再生に直線偏向
ビームを用いた場合は、屈折率楕円体の基板板厚方向主
軸の基板入射面垂直方向からの傾き如何によらず非点収
差が発生し、また、たとえ円偏向ビームを用いた場合で
も、屈折率楕円体の基板板厚方向主軸が基板入射面垂直
方向から傾いた場合には、集束面での光ビーム形状が歪
む。さらに、光学系の光軸が基板入射面垂直方向から傾
いている場合には、上述した基板板厚方向主軸の傾きの
影響はさらに増幅されるのである。
【0016】従来、垂直複屈折値を400×10-6未満
とする基板についての技術としては、特開昭62−20
4451号があるが、屈折率楕円体の主軸の方向に関す
る記載はない。また、特開昭62−121767号で
は、むしろ屈折率楕円体の主軸を基板入射面に水平にす
ることを提案している。これらの技術では、800nm
程度の波長での比較的低記録密度の媒体を念頭に、複屈
折にともなう位相差の低減のみを考慮している。
【0017】前述した先行特許出願や文献、あるいは国
際規格で推奨される測定方法(ECMA(European Comp
uter manufacture association)文書No.184付
記)では、基板の屈折率楕円体の基板板厚方向の主軸の
基板面に対する傾きについては注意が払われていない。
また、集束光ビームの光軸と基板平面との角度、いわゆ
るチルトについての規定はあるが、屈折率楕円体の主軸
方向を含む全体的な角度関係については全く注意が払わ
れていない。この場合、基板のチルトという機械的な精
度のみを規定しても、基板の屈折率楕円体の主軸が傾い
ていれば、結局チルトが大きい場合と同様の収差が生じ
てしまい、何ら高密度記録における問題解決にならない
のは明らかである。
【0018】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、7
00nm未満の波長での記録・再生を前提とし、真に有
用な基板の光学的特性及び機械的特性はいかにあるべき
かについて種々検討を行った。その結果、基板の複屈折
の低減、屈折率楕円体の主軸の傾きの低減、基板のそり
によるチルトの低減、集束光ビームの光軸の精度向上を
それぞれ個別に規定しただけでは不十分であり、記録再
生システム全体としてこれらの光学軸の精度を改善すべ
きであるとの結論に達し、本発明に到達した。
【0019】すなわち、本発明の光学的情報記録再生方
法は、厚さ1.2mm以下の透明樹脂基板上に記録層を
設け、透明樹脂基板を介して記録層に波長700nm未
満、開口数0.55以上の集束光ビームを照射して、ト
ラックピッチ1.3μm未満の密度で情報の記録・再生
を行う光学的情報記録再生方法であって、透明樹脂基板
の入射面に垂直な方向と、透明樹脂基板に入射する集束
光ビームの光軸とのなす角度を3mrad未満とし、か
つ、透明樹脂基板の入射面に垂直な方向と、透明樹脂基
板の屈折率楕円体の基板板厚方向主軸とのなす角度を5
mrad未満とすることを特徴としている。
【0020】この場合、透明樹脂基板の入射面に垂直な
方向と透明樹脂基板に入射する集束光ビームの光軸との
なす角度、及び、透明樹脂基板の入射面に垂直な方向と
透明樹脂基板の屈折率楕円体の基板板厚方向主軸とのな
す角度の和を5mrad以下とすることがより好適であ
る。
【0021】本発明において、樹脂基板としては、記録
再生波長において透明なものであればどのような材質の
ものでも使用できるが、ポリカーボネート樹脂基板は安
価で機械的強度に優れており、また射出成形により量産
が可能であるため好ましい。また、樹脂基板は、その光
学的特性が基板全面で均一であることが望ましい。本発
明は、光学的異方性が問題となるすべての樹脂基板に対
して有用であるが、ポリカーボネート樹脂基板では複屈
折が大きくなりがちであるから、特に有用である。基板
の複屈折は、垂直複屈折が500×10-6未満、かつ、
面内複屈折が20×10-6未満であることが好ましい。
【0022】上述したような、ほぼ1軸異方性の光ディ
スク用基板は、通常の射出成形の条件を制御することで
得られる。図5は、射出成形時の金型内の樹脂の流れを
模式的に示したものであるが、樹脂の流れに伴う配向性
が光学的な異方性の原因となることはよく知られてい
る。異方性の少ない基板を得るための方策としては、ま
ず、非晶質性の樹脂、例えば、配向性にかかわらず光学
的な異方性が少なくなるポリオレフィン系の樹脂や、そ
のポリマーアロイを用いることが挙げられる。また、ポ
リカーボネート樹脂のように配向性による光学物性の異
方性が大きい樹脂では、配向性そのものを低減するべ
く、分子量2万以下の低分子量の樹脂を用いたり、末端
基の変性により流動性を改善するなどの方法を採用でき
る。
【0023】以上のような方法を単独であるいは組み合
わせて用いることにより、垂直複屈折500×10-6
満、面内複屈折20×10-6未満のほぼ1軸異方性の樹
脂基板を得ることができる。また、たとえ成形による複
屈折が大きめになった後でも、ガラス転移点以下で、軟
化を起こさないような温度でアニールすれば、複屈折を
所望の範囲に低減することができる。
【0024】本発明では、図6に示すように、樹脂基板
の入射面B−B’に垂直な方向B1−B1’と、基板の
屈折率楕円体の基板板厚方向主軸F−F’とのなす角度
γを5mrad未満にする。このためには、図5の金型
断面の樹脂の流れを断面の中心線P−P’に関してほぼ
完全に対称にし、中心線P−P’に関して対称な配向性
を実現することが好ましい。
【0025】成形に関する文献(R.W.Friedel, Polym.E
ng.Sci.,30(1990),813ページ)等によれば、局所的には
樹脂の流れ及び配向に沿った屈折率楕円体が定義でき、
個々の楕円体の基板板厚方向主軸は必ずしも基板入射面
に垂直ではなく、むしろ水平に近い場合もある。しかし
ながら、そうした局所的な基板板厚方向主軸の傾きが図
5に示した中心線P−P’に関して対称であれば、基板
を通過する光は個々の基板板厚方向主軸の傾きを感じな
いで、あたかも基板板厚方向主軸が基板入射面に垂直で
あるかのように振る舞う。通常は、こうした局所的屈折
率楕円体を全体として一つの屈折率楕円体で近似して、
基板の異方性を定量化し、あるいは規格として制限して
いる。したがって、P−P’に関して対称な配向性を実
現すれば、基板全体の光学異方性を1つの屈折率楕円体
で記述した場合の基板板厚方向主軸を、基板入射面に対
してほぼ垂直にできることとなる。
【0026】そのための具体的手段としては、金型上下
の温度分布を対称にすること、樹脂の注入口から横方向
に押し出す際のゲート形状を最適化すること、樹脂を注
入した後、固化する前に基板面に垂直に圧縮力を加え、
金型をずらさないことなどが挙げられる。
【0027】なお、本発明において、樹脂基板の垂直複
屈折を400×10-6未満、面内複屈折を10×10-6
未満とすれば、収差の問題はいっそう低減される。ま
た、基板の厚みを薄くすることも有効である。
【0028】基板の機械的特性としては、できるだけ平
坦な基板であることが好ましい。基板自体の平坦性の目
安であるチルトは、例えば、使用波長が680nmで対
物レンズ開口数NAが0.6程度となる高密度媒体で
は、3mrad未満であることが必要であるとされてい
る。こうした平坦な基板は、成形時の金型内温度分布を
均一にすること、金型から取り出すときの引っかかりを
なくすこと、基板冷却中に均一に熱を逃がすこと等がそ
の製造に重要である。また、記録層等の成膜及びハード
コート硬化時の収縮によるそりをバランスさせること等
にも注意する必要がある。
【0029】本発明では、単に基板の光学的、機械的特
性を制限しただけではなく、これらの特性を記録再生方
法と結び付けて規定したところに特徴があり、かつこの
全体的要件が、高密度記録媒体にとって不可欠の条件と
なっている。図6は、本発明方法が採用される樹脂基板
について、樹脂基板の入射面B−B’に垂直な方向B1
−B1’と、樹脂基板に入射する集束光ビームの光軸A
−A’と、基板の光学的異方性を単一の屈折率楕円体で
表した場合の基板板厚方向主軸F−F’との角度関係を
模式的に表している。通常、光ディスクに用いられる、
開口数NA=0.55〜0.6程度のレンズによる集束
光ビームでは、最大34〜38度程度までの斜め入射光
線を考慮すればよい。
【0030】ここで、屈折率楕円体の面内異方性は、通
常、垂直方向の異方性に比べて一桁以上小さいので、屈
折率楕円体は基板板厚方向主軸を回転軸とする回転楕円
体で近似される。ディスクは回転中心軸(スピンドル)
に固定されている。また、基板そのものにそりがあるこ
とは好ましくないが、これは前述のように基板全面でチ
ルトαを3mrad未満とすればよい。
【0031】本発明では、基板入射面B−B’に対して
垂直な方向B1−B1’と、集束光ビームの光軸A−
A’との角度βが、3mrad未満でなければならな
い。そのためには、スピンドル中心軸C−C’(垂直基
準軸)に対して光軸A−A’がほぼ平行であり、かつス
ピンドル中心軸C−C’に垂直な面E−E’(水平基準
面)に対し平坦なディスク面D−D’がほぼ平行である
ことが好ましい。したがって、ディスクのスピンドル装
着面及びハブが、スピンドル中心軸C−C’に垂直な面
E−E’に対してほぼ平行であることが望ましい。
【0032】このように、装置各部の機械的精度を改善
することで、ディスク全面にわたってβを3mrad未
満とすることができる。なお、本発明では、前述したよ
うに、角度βと角度γとの和を5mrad以下とするこ
とがより好適である
【0033】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細
に説明する。実施例として、基板入射面垂直方向に対す
る屈折率楕円体の基板板厚方向主軸の傾きが3.5mr
adを越えず、ほぼゼロの基板を用意した。また、比較
例として、同傾きが約1度(17mrad)の基板を用
意した。両基板とも直径は130mmとした。
【0034】両基板は、射出成形時の保持圧力を変えて
成形した。すなわち、金型内に樹脂を充填した直後に金
型に垂直に加える圧力の大きさを変えた。実施例の基板
は、樹脂充填後、保持圧として70kg/cm2を7秒
間一定に保って加えた。比較例の基板は、保持圧を15
0kg/cm2から30kg/cm2まで4秒間で減ら
し、30kg/cm2で3秒間保持した。金型温度は1
10℃、樹脂温度は350℃で同じとした。比較例で
は、詳細なメカニズムについては不明であるが、垂直方
向の圧力印加が不十分なため、屈折率楕円体の基板板厚
方向主軸が傾いたものと考えられる。基板入射面垂直方
向に対する屈折率楕円体の基板板厚方向主軸の傾きγ、
基板の面内複屈折δL及び垂直複屈折δVは、以下の方
法で測定した。
【0035】まず、入射角θ=60°にて、基板半径方
向及びそれに直交する円周方向の2方向から斜めにHe
Neレーザー光(633nm)を入射させ、位相差を測
定する。半径及び円周方向の位相差をそれぞれ、
【数1】 とする。基板の屈折率楕円体の半径方向の主軸、円周方
向の主軸、基板板厚方向主軸の値をそれぞれ、
【数2】 とし、面内複屈折を
【数3】 垂直複屈折を
【数4】 と定義する。
【0036】基板板厚方向主軸の傾きは、基板の円周方
向の対称性から、通常半径方向にあり、その傾きをγと
する。このとき、半径方向内側から入射させた光と、外
側から入射させた光に対するRrは異なる。それらをR
r1、Rr2とすると、
【数5】 は、極めて良い近似として下記式(1)〜(3)で与え
られ る。ただし、dは基板の厚みである。
【0037】
【数6】
【0038】式(1)〜(3)は、δL、δV、γに関
する非線形連立方程式であり、これを解くことでδL、
δV、γが求まる。
【0039】一方、ドライブの光軸及びスピンドル面の
精度は、ガラス基板を用いて別途校正を行った。校正用
のガラス基板はそりが全くなく、その基板入射面に対し
て集束光ビームの光軸が垂直になるよう調整した。実際
は、全面溝付きガラス基板に記録層を成膜した媒体を使
用した。この場合、全面溝付きガラス基板は、ガラス基
板に直接溝を形成したものでもよく、熱又は光硬化性樹
脂を塗布して溝を形成したものでもよい。また、記録層
は、光磁気、相変化、穴あけ型等のどのような種類であ
ってもよい。
【0040】相互に隣接する3本のトラックの内、中央
トラックを除いて両端のトラックに記録を行い、中央ト
ラックにおいて両隣のトラックからの漏れ信号、すなわ
ちクロストークを測定し、クロストークが最小となるよ
うに光ヘッドの光軸を調整した。両側からのクロストー
クは−30dB未満であり、この状態では、ガラス基板
入射面に垂直な方向に対する光軸の傾きは3mrad未
満であることが別途確認された。このような光軸調整の
プロセス自体は公知であり、より自動化された方法もド
ライブ量産工程に導入されており、困難なものではな
い。
【0041】別途機械特性を測定し、チルトαが3mr
ad未満であることを確認した実施例及び比較例の基板
を用いたディスクをドライブに装着した。ガラス基板を
用いて光ヘッドの光軸を調整したのと同様にして、3本
の隣接するトラックのうちの両端のトラックに記録を行
い、中央トラックでのクロストークを測定した。この場
合、トラックピッチは1.2μm、測定波長は680n
m、集束レンズのNA(開口数)は0.55であった。
【0042】屈折率楕円体の垂直主軸(基板板厚方向主
軸)の傾きが3.5mradを越えない実施例のディス
クに比べ、屈折率楕円体の垂直主軸の傾きが約17mr
adと大きい比較例のディスクでは、クロストークが大
きくなった。詳細には、比較例のディスクでは、両端の
トラックに記録した信号の内、一方のクロストークが増
大し、全体としてクロストークを悪化させていた。ま
た、垂直主軸の傾きがほぼゼロのディスクでも、ハード
コートによりそりが発生し、基板入射面と垂直な方向に
対する光軸の傾きが3mrad以上になると、上記のよ
うに測定したクロストークは増大し、−25dB以上と
なった。
【0043】トラックピッチが1.39μmと比較的大
きく、かつ、使用波長が780nm、NA=0.55の
ドライブを用いた従来のシステムでは、例えば、本発明
の要件の内の屈折率楕円体の垂直主軸に関する要件を満
たさず、垂直主軸が基板の入射面に垂直な方向に対して
5mrad以上傾いていても、クロストークの値として
−25dB未満を達成することはさほど困難ではない。
しかし、本発明の要件である、波長700nm未満、N
A0.55以上、トラックピッチ1.3μm未満の高密
度の記録・再生では、クロストーク−25dB未満を確
実に達成しようとすれば、本発明要件をすべて満たすこ
とが重要となる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、700nm未満の波長
の光を使用してトラックピッチ1.3μm未満の密度で
記録・再生を行う場合において、基板の複屈折等の光学
異方性及びチルトの問題を解決して、高密度記録を達成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂基板への入射光により形成される屈折率楕
円体の模式的斜視図。
【図2】図1において、入射面からの光の進行方向を示
す模式的斜視図。
【図3】屈折率楕円体の基板板厚方向主軸が基板入射面
に垂直な方向に対して傾いている場合の光の収差を示す
模式的斜視図。
【図4】基板板厚方向主軸が基板入射面に垂直な方向に
対して傾いている場合の屈折率楕円体の模式的斜視図。
【図5】射出成形時の金型内の樹脂の流れを模式的に示
した断面図。
【図6】基板入射面に垂直な方向と、基板に入射する集
束光ビームの光軸と、基板の屈折率楕円体の基板板厚方
向主軸との角度関係を示した断面図。
【符号の説明】
A−A’ 集束光ビームの光軸 B1−B1’ 基板入射面B−B’に対して垂直な方向 F−F’ 基板の屈折率楕円体の基板板厚方向主軸 β 基板入射面に垂直な方向と、集束光ビームの光軸と
のなす角度 γ 基板入射面に垂直な方向と、基板の屈折率楕円体の
基板板厚方向主軸とのなす角度

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ1.2mm以下の透明樹脂基板上に
    記録層を設け、透明樹脂基板を介し記録層に対して波長
    700nm未満で開口数0.55以上の集束光ビームを
    照射して、トラックピッチ1.3μm未満の密度で情報
    の記録・再生を行う光学的情報記録再生方法であって、
    透明樹脂基板の入射面に垂直な方向と、透明樹脂基板に
    入射する集束光ビームの光軸とのなす角度を3mrad
    未満とし、かつ、透明樹脂基板の入射面に垂直な方向
    と、透明樹脂基板の屈折率楕円体の基板板厚方向主軸と
    のなす角度を5mrad未満とすることを特徴とする光
    学的情報記録再生方法。
JP23955494A 1994-09-07 1994-09-07 光学的情報記録再生方法 Pending JPH0877561A (ja)

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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61229243A (ja) * 1985-04-04 1986-10-13 Ricoh Co Ltd 光学的情報記録再生方法
JPH03225650A (ja) * 1990-01-31 1991-10-04 Sony Corp 光ディスクシステム

Patent Citations (2)

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